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1963-06-18 第43回国会 参議院 内閣委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年六月十八日(火曜日)    午後二時二十六分開会   —————————————   委員異動  六月十四日   辞任      補欠選任    中村 順造君  伊藤 顕道君  六月十五日   辞任      補欠選任    上原 正吉君  宮澤 喜一君  六月十七日   辞任      補欠選任    宮澤 喜一君  野本 品吉君   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     村山 道雄君    理事            石原幹市郎君            下村  定君            山本伊三郎君    委員            大谷藤之助君            栗原 祐幸君            源田  実君            小柳 牧衞君            野本 品吉君            林田 正治君            伊藤 顕道君            小林 篤一君    政府委員    総理府総務長官 徳安 實藏君    総理府恩給局長 八巻淳輔君    大蔵省主計局次    長       澄田  智君    大蔵省主計局給    与課長     平井 廸郎君    厚生省援護局長 山本浅太郎君    電気通信監理官 岩元  巌君   事務局側    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    総理府恩給局審    議課長     中嶋 忠次君    大蔵省主計局主    計官      船後 正道君    日本国有鉄道理    事       河村  勝君    日本電信電話公    社職員局次長  森  元和君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○恩給法等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○旧令による共済組合等からの年金受  給者のための特別措置法等の一部を  改正する法律案内閣提出衆議院  送付) ○公共企業体職員等共済組合法の一部  を改正する法律案内閣提出、衆議  院送付)   —————————————
  2. 村山道雄

    委員長村山道雄君) これより内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十四日、中村順造君が委員辞任され、その補欠として伊藤顕道君が、また、去る十五日、上原正吉君が辞任され、その補欠として宮澤喜一君が、また、昨十七日、宮澤喜一君が辞任され、その補欠として野本品吉君がそれぞれ委員に選任されました。   —————————————
  3. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 恩給法等の一部を改正する法律案、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法案の一部を改正する法律案公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題といたします。  右三案中、公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案については、すでに提案理由説明を聴取いたしており、他の二案については、前回より質疑に入っておりますので、これより三案に対する質疑を行ないます。  政府側より、ただいま徳安総務長官、八巻恩給局長平井主計局給与課長岩元電気通信監理官が出席いたしております。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  4. 林田正治

    林田正治君 私は、この恩給の問題につきまして、ことにこの二十三年以前に退職いたしましたる老齢恩給者と現在の人との間に、あまりにも差が激しいのであります。この点につきまして、いろいろの実例をもってこれは長官あるいは恩給局長にお尋ねいたしたいと思いまするが、実は実感のこもったお話をいたさなきゃならぬと思いまするが、二、三日前に、私の旧友の、かつて名古屋の検察庁の検事正をいたし、終戦後間もなく大審院の勅任検事として退職いたしました某君とお目にかかりました際に、君の恩給は幾らあるかということを私は聞いてみたのです。ところが、その話はもう林田君してくれるな、おれはもう実際その話を聞くと憤慨にたえないのである。まあしかし、幾ら取るかということを聞いてみたら、驚くなかれ、自分恩給は今のところ一カ月に二万円に達しない、こういう話をいたしておりました。その人が、話によると、昔と今をとうてい比較することはできないけれども、昔、自分のおやじが陸軍のたしか中佐でやめまして、その人は自分恩給によって自分をどうにかこうにか大学まで育てた。ところが、今日、われわれの子供自分の親の恩給によって大学はおろか、あるいは高等学校さえも困難ではないか、こういうような話をいたしておりましたが、そういう不都合な例は、これは私の今の友だちだけでなく、至るところに例があるのでございまするが、いわゆるこのごろようやく七十才になった場合に二万円のベースアップがされたと私は記憶いたしますが、しかしながら、現在のところでは、どうかしますると、二万九千円かあるいは三万円ベースになってやせぬかと思いますが、あまりにはなはだしいのであって、しかもこのように老齢なるものは前途はなはだおい先短いものであって、その私の友だちがいわく、今日の国家のわれわれに対する取り扱いは、お前は早く死ねというようなことと同じではないかというような、ほんとうに私に対して、涙をもって悲憤慷慨いたしたのでございまするが、こういう例は今の友だちだけでなくして至るところにあるわけでございまするが、こういう例の是正に対しまして、先般から承っておりますると、ことに恩給局長の御意見は全く非常に冷静なるものであって、実に財政の問題だけをもってやむを得ざるというふうに言っておられるようでございまするが、もうこの間からも同僚の委員からるるお話がございましたとおり、財政の問題はもうだいぶ好転いたして、私はこの財政一本やりでもってこういう不公平を是正せずにおくということは、これは国家ほんとうにゆゆしき一大事である、こういうふうに痛感せざるを得ないのでございまして、もう少しく恩情あるところの考えを持って大蔵省の壁にぶち当たって、そうしてやはりこの問題は、財政問題より以上の私は人道問題として、長官初め今後一そうのひとつ御検討をお願いいたしたい。私のこれを切なる希望を申し上げまして、別にこれに対するもう御答弁はいただきませんが、ぜひともひとつこの国家財政の好転とともに、私はこの大きな問題につきましては真剣に御考慮の上、取り組まれんことを切にお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  5. 野本品吉

    野本品吉君 簡単に恩給局及び大蔵省の方に二、三の点につきまして御質問申し上げたいと思います。恩給局内にあります恩給制度研究会という会から、恩給法についてのいろいろな検討を加えました結果の収録いたしました本が出ております。そのうち恩給の意義というところで次のように書かれておる、それは「普通恩給増加恩給および扶助料のように、長期にわたり継続して支給される年金恩給は、公法上の継続的金銭債権ともいうべきものであるが、それぞれの恩給給与事由が生じた当時における法令により給与条件が決定されるのであるから、その年金額退職又は死亡当時の条件に従って定められた額が給せられることになる。しかしながら、恩給公務員の在職中における経済上の取得能力減損を補填し、退職後の生活を保障するために給せられるものであるとすれば、その後経済事情変動にともない物価賃金等が昂騰した場合、退職者の過去における経済上の取得能力減損補填についても必然的にこれが金銭価値評価換えが行なおれてしかるべきことになる、ことに低額恩給受給者のように、わずかの恩給所得にのみ依存して生活をつづけているものについては、いわばこれらの人々の死活に関係するものでもある」これが恩給局内にあります恩給制度研究会研究の結果の所論であります。  そこで私は恩給局長さんに、これは局内諸君検討の結果でありますから、大体御同感のことと思うのでありますが、今私の読みました「必然的にこれが金銭価値評価換えが行なわれてしかるべきである、」この点についての局長さんの御意見を伺います。
  6. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) 御承知のとおり、恩給というものが退職時の条件に応じてきめられておりまするけれども、その後経済事情が変わりまして、その年金購買力が維持できないというようなことになりますれば、これを見直していくということが恩給制度の本旨からいって当然であろう、こう考えております。その文書の中で、必然的とかなんとかという意味は、もちろんそういうふうな考え方の上でそうあってしかるべきものであろう、こういうことであると思うのです。そういう思想に基づきまして、私どもも逐次給与改定というものを織りまぜながら恩給ベースアップということをやって参ったわけでございます。しかしながら、それは必ずしも満足する状態ではないということは認めますけれども、そういう方法で今まで毎年の法律改正をやって参ったと、こういうことが言えると思うので、あります。
  7. 野本品吉

    野本品吉君 なお、この点について大蔵省側の御見解を伺います。
  8. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) ただいまの問題は、率直に申し上げまして、私ども所管事項からややはずれているわけでございますが、同じような、公務員退職後の生活の補てんという意味できめられている共済組合退職年金という立場において考えました場合においても、同様の問題があるわけでございまして、この点、この共済組合制度というのは、恩給制度の場合と異なって、保険数理の上に立って問題を解決する建前をとっておりますので、恩給と全然同じようなやり方という議論にはならぬと思いますが、少なくとも社会保険体系の中でも物価とあるいは所得水準変動に伴う年金実質価値の減耗という点については何らかの方法においても補てんする必要があるということは、ただいまのところ考えておるわけでございます。
  9. 野本品吉

    野本品吉君 私の特にここではっきりしておきたいと思いますのは、この表現のうちで「必然的に」という言葉です。これは私どもの注意を引く言葉であります。この点についてはどうお考えになりますか、局長さん。
  10. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) そうあってしかるべきものであるという、こういう一つ願望と申しますか、そうした理想と申しますか、そういうものをそこに掲げているわけでございます。これが行政的にあるいは立法政策的に必然的な関係を持つように、つまりたとえば物価指数が上がれば当然恒常的な関係において上がる、あるいは給与が上がれば恒常的な関係をもって上がるというふうな一つ標準というものを打ち立てる、技術としては、打ち立てるかどうかということは、いろいろな条件のもとできまってくると思いますけれども、ここで言っておるのは、おそらくそうあってしかるべきものであるという願望であり、また、理想であると、かように考えております。
  11. 野本品吉

    野本品吉君 今の私の読みました「減損補填についても必然的にこれが金銭価値評価換えが行なわれるべきである、」ということを、われわれは当然のこととして考えておるわけです。したがって、こういう見解に立てば、経済事情が変化し物価が高騰したそのことに対して即応する措置として、給与ベース改定スライドすべきであるという、われわれの年来の主張はお認めいただけますか。
  12. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) 過去の年金価値を見直す場合に、公務員給与スライドさせるか、何にスライドさせるか、何と見合って考えるかということはいろいろ議論があるところだと思うのでございます。しかしながら、公務員退職者年金制度を扱っておりまする私ども、あるいは公務員退職者のグループ、こういう方々願望として当然公務員給与スライドしてということは一つ理想としてあると思うのでございます。したがいまして、そういう方向で今までもやって参ったわけでございまするし、また、今後もそういう方向で何らかの、一つ目安と申しますか、標準と申しますか、手法における一つの客観的なものをつかみ得るということができますならば非常にけっこうでありますので、そういう方向で今後十分検討していかなければならぬ、こう思っております。
  13. 野本品吉

    野本品吉君 あまり御答弁がはっきりしないのでありますが、時間の関係もありますので後日に譲りまして、その次のことをお伺いしたいと思います。  そこで、今のような観点に立ちますというと、先般の恩給法の一部改正におきまして、遺族扶助料は二万四千円、それからして生存者は二万円、こういうことで一応落ちついておるわけです。当時の給与ベースは二万七千円ベースでありますので、その点から見ますと、遺族を二万四千円にし、生存者を二万円ベースに置いたということは、当時の給与ベースである二万七千円のレール恩給扱い方が乗ったと、こういうふうに考えられるのでありますが……おわかりでしょうか。もう一度申します。つまり生存者が二万円ベースですね。遺族扶助料は二万四千円ベース、当時のベースは二万七千円ベース、そうすると、二万七千円ベースに切りかえるのが相当であるけれども経済上の理由があって、遺族のほうは大事な子供をなくなしたり夫をなくなしたりした人々ですから、二万四千円ベースに置いた。生存者はとにもかくにも生存という恩恵を受けておるのだからそこで二万円ベースにとめた。したがって、二万円と二万四千円があるということは二万七千円ベースを目ざす一つレールの上にこれらのものが置かれたと、こういうふうに理解してさしつかえありませんか。
  14. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) 昨年の増額改定におきまして用いました手法というものは昭和三十三年の百二十四号と同じように、公務員給与というもののある時点をつかまえてそれにスライドさせる。スライドといっていいかどうかわかりませんが、それを目標にして増額した、こういうふうになるわけであります。この場合に生存者につきましては二万円ベース、いわゆる昭和三十四年の十月一日の給与体系に乗せたわけであります。また、遺族あるいは傷病者につきましては、昭和三十五年の十月一日における給与体系目安にいたしまして、二万円ベースの場合よりも約一割二、三分ふやした、こういうことになるわけであります。でありまするから、今後の増額措置が行なわれるといたしました場合にやはり同じような手法が講ぜられるであろうということは予想されるわけでございます。
  15. 野本品吉

    野本品吉君 この点につきましては、ぜひ給与ベーススライドすべきであるという原則を認めての上の措置であった、今後もその線に沿っていこう、こういう考え方のようですが、間違いありませんか。
  16. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) 少なくとも私どもが従来使っておりました手法というものは今後も踏襲されるであろうということが予測されるわけでございます。ただしかし、まあ、後ほどまたいろいろ議論が出るかもしれませんけれども恩給に境を接する共済年金等々との関係増額手法においてどういう手法がまた講ぜられるか。それとの見合いというような問題が少なくともございますので、この方式が今後とも踏襲されるのだということを確言することはできませんけれども、私の恩給に関して知る範囲におきましては、そういう方向で進むということがただいまのところ予測されるわけです。
  17. 野本品吉

    野本品吉君 それからなおついでに申し上げて御善処をいただきたいと思うのでありますが、現在非常に低い恩給にくぎづけされている者が相当多数あるわけです。ところが、公的年金を受けるという理由国民年金老齢福祉年金が支給されない。それから一方生活保護基準が引き上げられてきた、それらを考えて、むしろ恩給権を辞退してそうして生活保護法の適用を受け、それからして公的年金の支給を受けたほうが実際生活にはプラスになるのだというような声がごく最低恩給受給者から出ているわけです。これらのことについて、恩給局のほうはどんなふうなお調べがありますか、また、お考えがありますか。
  18. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) 御承知のとおり、恩給相当低額恩給受給者もございます。しかしながら、恩給そのものが、理想といたしましてはそれで老後を養うに足る程度の額であるということが一方で言われるわけでございますけれども、他面恩給につきましては、その収入認定と申しますか、その人が収入のあるなしにかかわらず給与されるというふうなこともございますので、必ずしもその額が生活保護基準に見合わなければならないということは言えないと思います。しかしながら、一方におきまして、恩給老後生活保障であるという意味におきまして、最低生活も維持できないということでは一方の理想を貫けないわけでございますので、これらの最低保障といいますか、そういうものをできるだけ引き上げていくという方向では今後研究しなければならぬと思います。で、現在恩給で低い恩給と申しましても、三万六千円——御承知のとおり、二万円ベースで完全実施されまするというと三万六千円以下の恩給受給者というものはなくなるというのがこの一三九号及び昨年の一一四号の法律によって実現するわけでございます。もちろん三万六千円というふうな程度方々というものは非常に文官恩給の中では少ない、まれなケースでございまして、このレベルを六万円でとって見て参りますと、六万円未満恩給を受けている人がどのくらいあるであろうかと申しますと、国の裁定による普通恩給受給者の数は全体で十四万七千人でございまして、その中で六万円未満の者は一万五千円ベース時代には四万一千人、二八%、これが昨年の法律改正によりまして二万円ベースに到達することによって一八・九%に減って、約一〇%減りました。そういうふうなことでだんだんとこうした低額所得者が逐次のベースアップによりまして減少していくというのが、現在の国の裁定恩給受納者の実態でございます。
  19. 野本品吉

    野本品吉君 次に、国家公務員共済組合の問題について、恩給との関連においてお伺いいたしたいと思うのであります。国家公務員共済組合法が実施されまして、実際の長期給付その他が行なわれて今日に至っておりますが、その長期給付の行なわれました時期は二万円ベースであったと思うのです。現在もこの退職者に対しましても二万円ベース長期給付を行なっておるのでしょうかどうか。
  20. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 先生すでに御承知と存じますが、共済組合制度と申しますのは、恩給の場合でも同じであったと思うのでございますが、退職時の給与基準といたしまして、恩給の場合でございますと退職時の俸給基礎とし、国家公務員共済組合でございますと、退職前三年間の平均俸給基礎といたして年金額を定めることになっているわけでございます。したがいまして、その退職いたしました時期のいかんによりまして、そのいわゆるベースという観点からいたしますと、あるいは二万円ベースで御退職になった方もおりましょうし、あるいは二万四千円ベースで御退職になった方もありましょうし、あるいは二万六千円ベースで御退職になった方もある。そういう格好で、そのつどによって行なっているわけでございます。
  21. 野本品吉

    野本品吉君 ここでなおはっきりお伺いいたしたいと思いますことは、二万円ベースでやめた者は、今後現職者給与がどのように高められても公務員共済組合年金は二万円ベースで支給される、こういうことですか。
  22. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 先ほどちょっと申し上げましたように、現在の共済組合制度というのは、単に国の一方的給付ではなくして、保険数理の上に立って国の負担金組合員掛金とで構成されるという建前になっております。したがいまして、これを上げていく場合において、どういうやり方で、その負担をいかにして上げていくかという問題があるわけでございます。この点につきましては、私どもは私的な保険の場合と違いまして、掛金がこれだけしかふえていないという理由のもとに上げないということは妥当ではない。いわば社会保険の一環としての共済組合給付金というものも、ある程度実質価値保全される方法考えるべきであろうと考えております。ただし、これまた御承知のように、社会保険全般を通じて現在までのところ、そういった実質価値保全策というものが定まっておりません。昨年の社会保障制度審議会の答申にもありましたように、たとえば厚生年金等においては、少なくとも定額部分スライド制考えるべきだというような御意見もありまして、ただいま厚生年金等についてそういった問題を審議しておられるわけでございます。私どものほうといたしましても、少なくとも実質価値保全のための何らかの方策は必要であると考えておりますが、こういった社会保険全体を通じての動きと即応いたしまして、将来の問題として何らかの制度考える必要があるというふうに考えておる次第でございます。
  23. 野本品吉

    野本品吉君 そうしますと、将来現職者給与ベースが上昇した場合には、それとのアンバランスを調整するための何らかの方法考えなければならぬ、考えたいと、こういうことでございますか。
  24. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 一たん裁定されて決定いたしました年金をどのような基準で引き上げていくか、逆に言えば、どのような基準実質価値保全をはかっていくかという方法につきましては、現在のところまだ結論が出ておりません。先生御指摘のように、一つには公務員給与ベーススライドするという方法もございましょうし、あるいは物価変動消費者物価等に即応して変えるという考え方もありましょうし、あるいはまた、国民所得伸び等に比例して変えるという考え方もございましょう。いろいろな考え方があるわけでございますが、現在のところ、直ちに公務員給与ベーススライドさせるというところまでは考えておらない次第でございます。
  25. 野本品吉

    野本品吉君 自民党、今の政府経済成長政策を打ち出しましたときに、予定のように経済が成長していけば、給与所得は三十五年度の二・四倍になるということが計算されて出ておるわけですね。そういうことになりますというと、今後の経済成長に伴いまして、現職者給与はそれに準じて相当上昇するということが、もう当然予想されるわけです。そういうときに二万円ベース共済組合長期給付を押えておくということは、これはもうだれが考えてもできないことなんで、そこで今のようなことをお伺いしたわけです。そこで、特にはっきりお互い考えておきたいと思いますことは、国家公務員共済組合法の第一条には、「国一家公務員及びその遺族生活の安定と福祉向上に寄与するとともに、」云々と書いてあるのですね。公務員であった者及びその遺族生活の安定と福祉向上に寄与する、これが国家公務員共済組合法の第一条に示されておる目的なんです。したがって、その目的に沿っていこうとするならば、当然先ほど私が申し上げましたようなことが考えられなければならないと私は思うのです。さらに「国は、前項の共済組合の健全な運営と発達が図られるように、必要な配慮を加えるものとする。」、こういうことも掲げてあるわけです。私はここではっきりしておきたいのは、いつまでも二万円ベース長期給付をとめておくのではないということをはっきり確認いたしたいと思います。それは間違いありませんですね。
  26. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 年金実質価値保全のために何らかの方策考える必要があるということは、衆議院内閣委員会においても附帯決議等で私どもが伺っていることでございますし、そういった意味において何らかの策を講ずる必要があるということは、私どもも認め、政府としても努力をいたさなければならぬところであると考えているわけでございます。ただ、その方策内容等については、今後さらに慎重に検討する必要があるということでございます。
  27. 野本品吉

    野本品吉君 そういう場合に、問題は所要の財源をいずれに求めるかということに帰着すると思う。総合共済というか、共済立場からいえば、あるいは文字どおりにみな共済組合負担しろという考え方が出てくるかもしれませんけれども先ほどお話のございましたように、共済組合現職者諸君のお金を拠出することによってお互いに守っていくという建前になっておりますから、これを組合員負担にすべて転嫁するというようなことはそれは考えられない。したがって、所要財源をいずれに求むるかということになりますというと、組合員負担に求むるか、あるいは国のしかるべき方法に求めるか、二つになろうと思いますが、これはいかがでしょうか。
  28. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 先ほどちょっと私申し上げましたように、共済組合制度というのは、保険数理に基づいて収支をバランスさせていく建前のものであることは御承知のとおりであります。その場合におきまして、国が恩給として給付を行なっていく場合と違う一つの点といたしましては、共済組合自体が自由裁量の範囲において、もちろん法規上の制限がございますが、資産の運用をはかっていくわけであります。したがいまして、今後問題を考える場合に、先生御指摘のような負担の問題を考えると同時に、一方においては資金運用面において、たとえば貨幣価値の変動に対して比較的強い面に運用していくような問題も一つ方法として考えれば考えられるわけであります。極端な言い方をいたしまするならば、たとえば不動産投資を大規模に行なう、あるいは株式投資、こういうものは性格上妥当かどうかという議論はございますけれども、アメリカ等の例でもありますように、株式投資にもかなり金をつぎ込んでおる。こういうやり方をいたします場合には、比較的長期的に見て貨幣の変動に耐えるようなものであるといわれておるわけでございます。そういった資産運用上の問題をも一方に考えながら、一方では、同時に、負担金なりあるいは国の負担なりあるいは組合員掛金というような問題も総合して考える必要があるというふうに考えるわけでございます。また、この問題を考えるにあたりましては、御承知のように、共済組合社会保険の一環をなしております以上、社会保険全体の体系の中でしかるべき地歩を考える必要があるわけでございまして、社会保険の全般的な動きと別個に、共済組合だけの立場において議論をするのはなかなかむずかしいという面もあったわけでございます。そういった全体の動きの中で公務員の利益を守るという点を考えなければならないというふうに私ども現在の段階では考えております。
  29. 野本品吉

    野本品吉君 今の点につきましては、一応考慮の中にあるように思いますから、私はさらにその点につきまして十分な検討を遂げられて、そして共済組合の円滑な運営が行なわれるようにお願いいたしたいと思う。  さらにここでお聞きいたしたいと思いますことは、巷間伝えるところによれば、共済組合の給付が二万円ベースにとどまっておるということを理由にして、よりどころにして、いわゆる恩給ベースアップが阻止されておる、ブレーキがかけられておる、こういうことを耳にするのでありますが、そういうことはありますか、ありませんですか。
  30. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) 昨年の法規改正によりまして、一応生存者普通恩給なり、あるいは一般の恩給扶助料というものにつきましては、二万円ベースということでセットルしているわけでございます。今後の問題としては、そこでくぎづけするということはないだろうと思うのでございまして、共済とできるだけ歩調を合わせてやっていくということは当然だと思いますけれども、しかし、必ずしも歩調がとれないという場合があるかもしれない。ですから、そういう意味では、恩給立場からいうと、そういうことでくぎづけになるということはないようにしなければならぬというのが私たちの希望でございます。
  31. 野本品吉

    野本品吉君 これは、大蔵省共済組合年金制度というものは管理しているのでありますから、特に大蔵省方面からそういう声が出るのではないかということをひそかに私はおそれておる。その点について、大蔵省の方はどういうふうにお考えになっておりますか。はっきり知らせていただきたいと思います。
  32. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 昨年、恩給の二万円ベース改定を行なった経緯については、私どもつぶさにいたしておりません。ただ、先ほども申し上げましたように、共済組合の新法の施行後の年金ベースというものは、おやめになる時期々々によって異なっておるわけでございまして、必ずしも二万円ベースで固定されておるというわけのものでもございません。あるいは二万六千円ベースでおやめになった方は、二万六千円で給付をもらっているわけでございまして、必ずしもそういう事実はないわけでございます。ただ、共済組合自体として、さらに今後ベースアップをしないのかという問題は、先ほどお答えを申し上げましたように、今後の制度問題として考えていきたいということでございます。
  33. 野本品吉

    野本品吉君 今の問題は、これはきわめて常識的に考えても、共済組合恩給制度がどちらが先に発足しているかということを考えますと、あとからできた共済組合法、あるいは共済組合年金の問題が、古くからずっと一つ方向を持って、一つ考え方を持って一貫して進んできた恩給法の適正円滑な運営を阻害するようなことは考えられないことなんです。私はまあそう思う。この点についてさらにはっきりしていただきたい。
  34. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 共済組合年金実質価値保全の問題というのは、先ほど私も申し上げましたように、単に公務員退職年金であるという観点のみでなく、社会保険全体の体系の中で考えなければならぬということでございます。したがいまして、恩給等のベースアップのように、国が一方的に給付する場合の論理と同じ論理でいくのかどうかという点には、いろいろ議論のあるところでございまして、私ども必ずしも同じであり、かつ共済組合制度が優先して考えられるべきものだとは思っておりません。
  35. 野本品吉

    野本品吉君 今までお伺いしたことを通しまして、恩給制度共済組合制度とは、本質的な性格に違いのあることはよく知っております。よく知っておりますけれども退職者退職後の生活を守り、その遺族生活を守っていくという点においては全く同じである。そこでこの二つの制度が、それぞれの性格に応じて運営されると同時に、この二つの問題が公正に扱われるようにということは、退職公務員の処遇の上において考うべきことであると、私は思うのです。  そこで最後に、総務長官がおいででございますから、ひとつ総務長官にお願いやら御意見を承りたいと思うのでありますが、私どもは、年末、現職の公務員に対しては、民間企業その他のバランスをとると同時に、処遇の適正を期するために、人事院という特別な機関がありまして、そして必要に応じて内閣と国会とに勧告を出されて今日に至っておるわけです。ところが、退職した者に対しましては、現職者における人事院のように、その生活をどういうふうに守っていくか、あるいは物価の高騰、経済情勢の変動に対しましてどう適用していくかということを絶えず研究しておる機関がない。そのために、やめた諸君はいつも事実が示しておるのでありますが、不利と不安な状態に置かれておると、そこでぜひどの機関でもけっこうでございますし、また、必要ならば、新しく設けることも一つ方法であるかもしれませんけれども退職者の処遇をいかにするかということを常時検討するようにお願いいたしたい。このことは、単なる退職者の処遇、やめたあとの問題だけではありませんで、そうすることによって、現職中の退職者の服務、仕事に非常な影響を持ってくるわけでございますから、この点について総務長官の十分な御考慮をわずらわしたい。  もう一つは、この前の参議院の内閣委員会でその意味の附帯決議をつけまして、関係者は一応一同首を長くして、そういうことの検討と、検討に基づく具体的な措置について期待をいたしておりましたが、遺憾ながらその期待は十分に満たされることがなかった。今度、衆議院内閣委員会の審議の際にも、衆議院の方がこの点につきまして附帯決議をされておる。これらの問題について十分検討をするようにということの措置がとられたわけであります。総務長官といたしましては、非常に複雑な問題ではありますけれども、当然これらの附帯決議の精神に沿い、また、退職者生活の実情にも十分御賢察をいただきまして、ぜひ今度は衆参両院で付せられた附帯決議の精神が、総務長官の特別な御配慮に基づきまして、急速に着手され、具体化されるようにということを私はお願いを申し上げると同時に、この点についての総務長官のお気持を拝聴いたしたい。
  36. 徳安實藏

    政府委員徳安實藏君) 私が就任いたしましてから後に各衆参両院からも、また委員会からも、あるいはわが党の部会からも、この問題は非常に真剣にお話もございますので、また、委員会において決議をされておりますのも承知いたしております。その機会あるたびに申し上げておったわけでありますが、本来ならばこの御趣旨に沿うて何らか抜本的な研究をする機関を作るべきである。つまり言葉をかえて申しますというと、今の恩給制度のもとに恩給をいただいている方もございまするし、続いて共済制度のもとに今度は恩給をもらう方もございますので、やはりこの両者の関係等も考えながら、完全スライドということは、もちろんあるいは不可能かもしれませんけれども、先ほどからこの法の精神等もお読み上げになりましたように、何らかこれに対しては処置をしなければならぬということは、理論を抜きに考えなければならぬことであります。私どもはこういう経済界の大きな変動によりまして、恩給がもとの恩給ではまるで子供の小づかいすらもないという事態になっておりますことは、まことに悲しむべきことであって、まことに本来からいいますならば、ある程度の期間というものは安定した生活状態、収入生活できるような状態であるべきがほんとうだと思いますが、これは戦後やむを得なかったと思います。したがって、これをいかにして現在の退職された方々との格差を是正し、スライドしていくか、さらにこれを行なうことにおいて共済制度お互い助け合っていくというあの共済制度、これがもし、将来やはりこういう事態になることを予想しなければならぬと思いますが、そういう場合に赤字を一体どういう形で補てんしていくか、今から国がそういうものを準備して、そうして、そういうときにはこの金で補てんするということにするのか、幸い大蔵当局からも御説明ありましたように、あるいはその資金を活用いたしまして、あるいは不動産その他をどんどん買い取るとか、転売するとか、そういう仕事をしながらそういう利益によって資産を増していって、そうして、そういう経済状態の変化によってスライドしなければならぬ場合には、そのもうけた金の中から支出していくとかいうようなことも一つ考え方だというような話も一部された方もあるようでありますが、はたして国家のそういう機関が、そういうことがいいのかどうかということも厳格に考えなければなりません。ちょうど、言葉をかえて申しますれば、私鉄あたりが運賃が安くても、土地の売買でありますとか、地方の開発等において非常に大きな利益をあげている。国鉄はそういうことができぬものですから、運賃一本に依存しなければならぬというような例があるわけでございまして、民間とは違いますから、そういうもうけるような仕事にどんどんと金を回し得るか、もし失敗したらどうするかというような問題もあるわけであります。しかし、赤字というものを全然考えずに、また、政府がそういう補てんする方法考えずに、ただむやみに勝手なことをするわけには参りませんと思います。で、先般来からその話もございました。私どものほうも新しい機関を法律できめるということも困難でございましょうから、もしILOでも通りませんようでしたら、これは各関係局部長だけでも関係者集まりまして、そうして定期的にでもその問題と真剣に取り組んで研究するようなことをやってみようかという説もあり、いろいろ協議いたしまして、幸いにあれでも通りまして、総理府に人事局でもできましたら、やはり給与関係の職員も相当ふえますししますから、そういうところのどこか一カ所でこういう問題を真剣に研究いたしまして、そうして、やはり一般の給与スライドするためにはどうすればいいか、あるいは、どの程度スライドすべきかというようなことを研究しながら、一般の給与と見合っていきたい、そういう機関をその中にひとつこしらえて研究するようにしたらどうかというようなことも、私も内々では考えておるわけでありますが、総理府も現在のところ手一ぱいでございまして、そういう方面に実は人を向けて研究するだけの余力がなかった、まことにこれは申しわけないと思います。今後、もし、ああいう制度が通りまして、相当の人員等も整備されることになりますれば、そういうことは私はできると思いますから、ぜひやりたいと思います。もし、それが不幸にして通らないような場合には、新しい人を雇って給料を出すというわけにも今のところできませんから、大蔵省あるいは総理府、あるいはその他の関係、あるいは厚生省等から有能な諸君を借りまして、あるいはまた、そういう諸君の一番関係の深い局部長等もお集まり願って、一つ研究機関と申しますか、調査機関みたいなものをこしらえて、それでひとつ附帯決議の御趣旨に細々ながらでも沿っていかなければならぬと考えておるわけでありまして、いろいろ今苦心しておるわけなんですが、あの決議の御趣旨を無視しておるわけでもございません。ほっておくわけでもございませんが、何しろ御承知のような工合でもう手一ぱいで、総理府でも何でも手はほとんどネコの手も借りたいような状態なものですから、御希望に沿うてどんどんそういった問題に対して積極的に作業できなかったということも、私はまことに申しわけないと思います。今後必ずそうした機関をこしらえまして研究をいたしたいと思います。
  37. 村山道雄

    委員長村山道雄君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  38. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 速記をつけて。
  39. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、この前の当委員会、きょうおのおの与党の方々のきわめて貴重な参考になる御意見、御質問を聞きまして、これから私、野党の立場から、恩給法改正並びに恩給改正に附帯して国家公務員共済組合の問題、第二には公共企業体職員等共済組合法の一部改正、それから次には、旧令による共済制度改正の問題について、順次、政府の所信をひとつ聞いていきたいと思います。  まず、恩給法の問題でありますが、実は戦後目まぐるしい経済変動の中で、公務員恩給という年金制度が相当考え方も運用も変わってきたと思うのです。特に昭和二十八年の法律第百五十五号による改正は、いろいろの意味において論争されておることも私は会議録で読んでおるのであります。そこで、冒頭にひとつ総理府総務長官、責任者から政府を代表してお聞きしておきたいのですが、もう今日実は恩給法の適用を受ける公務員はおらない、ただ、やめた方々に対してのみ恩給法というものは適用されておるのが現状であります。これは説明せぬでもおわかりだと思うのです。そこで、恩給法が制定されたのは大正十二年というのですが、陸海軍人に年金を出されたのは明治七、八年だと私は記憶しているのですが、そういう遠い昔のことは別として、恩給法を制定された当時と、今日の恩給法——やめた人に適用されておる恩給法の運用について、累次の戦後の改正の経過を見ますると、やはり変わってきておると思うのです。したがって、その点について、政府は、今日の恩給法の運用についてどう考えておられるか。今後私は、具体的な質問をする場合に、いろいろそれが影響してきますので、まずその点をお聞きしておきたいと思います。
  40. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) 戦前の恩給法と戦後の恩給法、特に軍人の恩給制度でございまするけれども、御承知のとおり、昭和二十八年法律第百五十五号によりまして、一たん廃止制限せられました旧軍人の恩給というものは、二十八年の法律百五十五号によって再出発いたしたわけでございます。このときの考え方は、もちろん旧軍人軍属というものがやはり公務に基因する傷病あるいは死亡のために経済獲得能力を失った公務員であるという観点に立って、国が使用者としての立場から、こういうような人々に対して補うべきであるという、恩給制度本来の立場からその復活が議論されたわけでございます。しかしながら、これが制定いたされました際におきましては、その対象者も非常に多く、膨大なものとなっておりますので、戦前と同じような恩給を給するということになりますと、国家財政の相当な負担になる、こういうような意味から言いまして、戦後における国民感情あるいは国の、恩給ばかりでございません、その他の公的年金制度との関係も十分考慮しなければならないというので、この制度の出発にあたりましては、遺族、重傷病者、老齢者に重点を置いて、ほかの点につきましては必ずしも旧制度というものをそのまま生かしてはおらない、相当制限した形で参っておる、こういうことになっておるわけでございます。その後の、戦後における改正におきましても、やはり遺族、重傷病者、老齢者というものに重点を置いて改善が加えられている。あるいは大東亜戦争の特殊事情ということを考え改正が講ぜられておる、こういうことが言えると思います。
  41. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 内容的な問題からいくと私はそのとおりだと思うのでございます。で、国家公務員共済組合法が制定されるときにも実はいろいろ論議されたのですが、これは池田総理自体の発言でもあると私は思うのですが、すでにもう公務員という資格と申しますか、それ自体が変わってきているわけです、新憲法によって。前の官吏といえば、天皇の任命、いわゆる天皇の官吏であったけれども、そういう言葉は使われなくなったのです。そうして、新憲法では、国民全体の奉任者、こういう意味からも、恩給というようなやや特権的な考え方に堕するようなものについては改めるべきである、相互扶助的ないわゆる共済制度というのが新時代にあるべきだ、そういうことで共済組合法が私はできたと思うのですが、これは、地方公務員共済組合法の審議のときです、池田さんの言われたのは。そういうことから考えますと、恩給自体についてやはり先ほど恩給局長も言われましたように、なるほど老齢者あるいは遺族、また労働能力のすでに喪失または減退した者に重点を置いて考えるという社会保障的な考え方の運用ということは、私は妥当だと思います。しかし、ややもするとそういうものを考えずに、ただ恩給の既得権を復活するのだという方向考えていくと、私は相当将来問題が起こってくると思うのですが、私は累次の恩給法改正を見ておると、政府は先ほど言われた線に沿ってやっておられます、やや実情に合わしてそういう方向でやっておられますが、いろいろ今後問題を私提起いたしますが、恩給法の適用をそのまま受けておる以外の人で、むしろ救済をすべきような人も相当出てきている。これが今度の法律改正により、旧満鉄におられた方々、そういうものがここに現われてきたと思うのです。恩給法自体においては、これはおそらく取り得難いものであったけれども、そういう方向にこれを取り入れられたことについては、私は非常に敬意を表するのです。そういう意味において、冒頭に言われた恩給局長考え方については、私は正しいと思うのですが、総理府総務長官、どう思われますか。
  42. 徳安實藏

    政府委員徳安實藏君) 私も同様でございます。
  43. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこで、実はちょっとこの際聞いておきたいのですが、恩給関係費については、昭和三十六年度、三十七年度、三十八年度を見ますると、三十六年度から三十七年度においては、若干低下しておる——低下というのは、少なくなっておりますが、三十八年度は約四十億程度ふえておるように見ておるのですが、国家財政から見て、恩給関係費については、最高限度をどの程度で押えるべきかという国家財政上の立場から、大蔵当局はどう考えておりますか、それを聞いておきたい。
  44. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 率直に申しまして、私どもこの問題を査定するべき立場にございませんので、正確な答えは担当の主計官なりからしていただかなければならぬわけでございますが、そもそも国家公務員共済組合法を新法という形で制定いたしました考え方基礎には、一つには恩給亡国論というようなものもあったことは事実でございます。その限りにおきまして、恩給の増高に伴って国家財政に過大の負担がかかってくるということは、将来の問題として考えなければならぬということは言われたわけでございますが、同時にまた、それが国家財政に対して何%程度になれば過大と認められるかどうかという点については、必ずしもその当時といえども議論ははっきりしておったわけではございません。したがいまして、毎年度の予算の査定にあたりましては、全体としての政策の成り行き等を勘案して、その中において問題を処理していくということにならざるを得ないのではないかと考えております。
  45. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 主計局次長さん、見えておるはずですが……
  46. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 必要があれば……ちょっとまだ見えておりませんが、すぐ。
  47. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この問題は、主計局の方が見えてからお聞きしますが、大臣に予算委員会でも私は質問したいと思うのですが、今、給与課長立場からの答弁だとして受け取っておきますが、私は、この恩給費については、もうすでに文官の恩給費というものは、おそらく増高の傾向はとらない、すでに共済組合においてやられるのですから。ただ問題は、やはり旧軍人遺族関係、それから体系は違うけれども、遺家族の援護関係、これも私は随時減ってくると思うのですが、この点について恩給局長にひとつお聞きしておきますが、旧軍人遺族恩給費に関しては、昨年から見ると約十億程度増高しておるのですね。これは昨年法律で百十四号ですかで改正されたあれによって上がってきたと思うのですが、今後この旧軍人遺族恩給費と関係して見通しはどういう見通しでおられますか。
  48. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) 旧軍人遺族恩給費は、三十八年度におきまして千七十二億ということで昨年よりも三十億ふえております。この昨年の法律の効果によりまして三十九年度は千百九十九億、約百億以上のものがふえる予定になっております。さらに四十年度におきましては百十四号の効果が平面化いたしますので、若干それがふえまして、千二百十七億となります。しかしながら、その後におきましては減少の一途をたどるというわけでございまして、現在の推計では四十一年度が千二百三億、四十二年度が千百九十一億、四十三年度が千百八十億という趨勢をたどって漸次減少して参るということになっております。
  49. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 名目金額だけの上昇として言うこと自体私も間違いであると思っておるのです。先ほどからいろいろ言われましたけれども、名目金額、費用というものは上がっていくというのは、実際の物価とかそういうものは上昇するし、そういうことから見ると、当然これは恩給受給者といえどもそれについて上げなくちゃいけませんので、私は今の恩給局長言われたが、ただ、今の状態、事態を基礎に置いて言われたと思うのです。そこで私はまだ計算しておらないのですが、三十六年、三十七年、三十八年度おのおの旧軍人だけではなしに、恩給関係費、いわゆる文官恩給費に旧軍人遺族恩給費、遺族及び留守家族援護法による費用、これら合わした総予算との間のパーセンテージはどうなっているか、ちょっと知らせて下さい。
  50. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) 文官恩給費と軍人恩給費を合わせましたほかに、援護関係の経費も合わせました数字は私手元に控えておりません。恩給費だけで一応お答えさせていただきますと、昭和三十六年度一般会計予算に対しまして恩給費の割合は六・三%、三十七年度は総予算二兆四千八百九億に対しまして四・九%、本年度の三十八年度は総予算の二兆八千五百億に対しまして四・四%、こういうことになっております。でございまするから、援護費の関係が若干恩給費に対して一割に至らないくらいかと思いますが、ふえますから、パーセンテージは若干上がると思います。その程度でございます。
  51. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 事前には言っておらなかったので、資料がなければまたあとでという答弁でけっこうですが、恩給費に対して——いわゆる共済制度社会保険的なものではないのです、私の言うのは。恩給に対する費用としてフランスが一番といいますか、フランスは非常に高いということを聞いておるのですが、西欧諸国の恩給費の実情というものをおわかりであればちょっと聞かしていただきたい。
  52. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) ちょっと手元に資料がございませんので、あとで詳しく調べた上で御提出したいと思いますが、公務員給与に対する比率から申しますと、私が聞いております範囲では、西独の比率が一番高いということになっております。
  53. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは何ですか、恩給という自然保険料式による、いわゆる国が負担している、国の責任で給付するという、その年金のことを言われるのですか。あるいは共済組合とか互助精神によっておるやつも含めての今のお話ですか。
  54. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) いろいろの制度がございますので、あらためて資料を提出した上で御説明をいたしたいと思います。
  55. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこで先ほど、順序ちょっと変更ではないのですが、先ほど野本委員さんから質問がありましたが、重要な問題に触れられておると思うのです。これで一つただしておきたいと思いますが、国家公務員共済組合あるいは公共企業体職員等共済組合、地方公務員共済組合、三組合法に対して関連があるのですが、この国家公務員共済組合の第一条第二項で、先ほどあげられました「国は、前項の共済組合の健全な運営と発達が図られるように、必要な配慮を加えるものとする。」、これはたしか非現業がこの共済組合に入る昭和三十四年の改正のときにこれが入ったように私思っておるのですが、最初の場合には入ってなかったのですが、それをちょっとただしておきたいと思いますが、どうですか。
  56. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) ちょっと今調べましてお答え申し上げます。
  57. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私の記憶ではそういう理解をしておるのです。そこで逆に私尋ねましたので答弁しにくかったと思うのですが、確かに新共済組合法においてはスライドの条章はございません。また、先ほど給与課長答弁になったように、共済組合制度はいわゆる保険数理による掛金によってやっておるのですから、やめた人のスライドといいますか、年金増加をする財源というものは保険数理上入れておらない。これは地方公務員共済組合がやるときにも相当地方行政委員会で論議をされたのです。先ほど総務長官は、非常に私らとしてはいい印象を与えるような答弁をされた。何かの方法でやはり年金の性格から言うと、なるほどこれは増加しなくちゃならないと思うのですが、この三共済組合法については何らそういう法的根拠がないのです。その法的根拠を唯一に認めてわれわれが指摘し、認めざるを得ないのは第一条第二項だ、こういうわれわれは考え方でおるのです。でなければ第二項の意味というものは何を意味するかということに、ちょっとわれわれわからないのですが、この機会に明らかにしてもらいたい。
  58. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 第二項の具体的な内容は何であるかという問題でございますが、たとえば国家公務員共済組合法の規定の中にございますように、こういった組合の健全な発達を助けるという意味において、国の施設なり、あるいは職員を提供するというようなことも考えておりますし、また、これは社会保険全般に通ずる問題でございますから、必ずしも共済組合のみではございませんが、たとえば長期給付の費用の、百分の五十五、使用者としての四十五と国としての十というものと合わせまして百分の五十五を負担する、そういう点をいろいろ考えているわけでございます。
  59. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この法律が立法されたとき、あなたは特に関係されたかどうか知りませんが、今言われたやつは、おのおの国家公務員共済組合、地方公務員共済組合法の条章にはっきりうたっておるのです。そういうものをこれに入れておらないのです。そういうものはすでに国の施設がおのおの使うべきであるということは、おのおの条文があるのです。長期給付負担は国のほうが見る。これもはっきりと法律でこうするのだということをきめておるのです。第一条第二項というのは、これにつけ加えられたという意味は、恩給法の適用から共済組合に変わった場合に当然出てくる問題は、退職者にしてこの年金受給者経済的社会的変動によってその年金自体がもう用をなさない。そういうときには国がめんどう見るべきであるという論議の中からこういうものは生まれてきたと私は思うのです。それを私は十分政府考えてもらわなくちゃいかぬと思う。その点どう思いますか。
  60. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 率直に申しまして、当時私もこの法律関係いたしておりませんので、その二項の、立法の制定経緯というものは存じておりませんが、先生のおっしゃるように、具体的にそういった問題をこの条項できめたというところまで私ども理解はいたしておらないわけでございます。
  61. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もちろんそれが論争になって具体的にそういうものを入れること自体新共済組合の立法精神から若干矛盾するのじゃないかという逆の論もあるのですね。これは御存じのように、保険数理に基づいた掛金負担金でまかなうのだから、国がまた別の費用を出すということを約束することはできない。しかし、先ほどいろいろ言われたように、そういう将来の問題もあるので、この場合、政府は全然知らぬのだというようなことは言えないということで、この問題が取り上げられたと私は思っておるのですが、この点につきましては、給与課長はその当時おらなかったので、また主計局長に一ぺん来てもらって、その点をひとつただしたいと思いますので、研究していただきたいと思います。  そこで問題は具体的に入っていきますが、きわめてこの問題は重要な問題で、地方公務員共済組合法が制定されたときも問題になったのです。ここで一つ矛盾があるのです。現在国家公務員は、地方公務員でもいいのですが、また三公社の共済組合でも同じように言えるのですけれども、現在やめていく人、いわゆる恩給法の適用の期間というものはみな持っておるのですね。これは追加費用として出すということになっておるのですが、論理的に言えば、それに新共済組合はそういう制度を新しい法律で作らなければできないという、また新しい措置でなければ、そういうベースアップというものができないということになれば、なるにしても恩給法の適用期間の点については当然上げるべき問題である、恩給法が変われば上げるべきものであるという論理的帰趨になると私は思うのですが、その点の見解は、大蔵当局の、恩給局長からも意見として聞いておきたい。
  62. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 御承知のとおり、国家公務員共済組合の場合におきましては、いわば恩給公務員の旧恩給公務員期間については、確かに先生のおっしゃるとおり、追加費用はすべて国が持つという規定が置いてございます。ただしその追加費用を生ずべき原因が何であるかという点については、必ずしも現在までのところ、そういうベースアップが行なわれておりませんので、少なくとも、現在までの形においてどうなるということは規定されておらないわけでございます。かりに将来恩給について、先ほど言われた二万円ベース以上のベースアップが行なわれまして、たとえば二万四千円ベース、二万六千円ベースという段階へのベースアップが行なわれました場合に、こちらをそのままにして捨てておくのかどうかという問題がまず第一に問題になるわけでございます。その場合におきまして、もしも国家公務員共済組合法におきまして、当然同じような措置をとっているということになりますれば、その期間については当然国が負担するということはもちろんでございます。
  63. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この国の負担なりあるいはまた、掛金であるとかいうことは、一応別にいたしまして、年金制度全般の受納者に対する、ベースアップという言葉を使ういましょう。ベースアップについては、当然これはやらなくちゃならぬ。この共済組合なり、恩給を運用する責任者がやらなければならぬと思うんです。というのは、その当時かけている掛金の貨幣価値というのは、その当時の貨幣価値で私は掛金をしていると思うんです。ところが、いろいろの社会的な変動によって物価は上がり、生活向上してくるということは、当然それだけの貨幣価値の減った分は、この組合なり、恩給を施行しているところの、運営者という言葉を使っておりますが、それらが見なければ年金の価値そのものが私はなくなると思うんですが、これは基本的な問題でありますが、先ほど総務長官は、ある程度それを肯定したような答弁をされましたが、もう一回基本的な理論としてそうあるべきだということについてどう考えられるか、聞いておきたい。
  64. 徳安實藏

    政府委員徳安實藏君) この問題については、先ほど申し上げましたように、法理的に考えましても、いろいろな議論があると思います。しかし、実際問題として、ほっておけない問題に立ち至ったために、理論を抜きにして、過去の恩給制度による退職者に対しましては、ベースアップを幾分しているというのが現状ではないかと思うのであります。将来恩給の金額が上がる、また、そういう方にも上げていく、これはもう自然の勢いで、これだけを無視するわけには参らないような現在実情に陥っていることは事実でありますから、これを無視しようという考えはないことは、すでにもう今日上げている事実でおわかりになろうかと思うのでありますが、ただ、全体を考えまして、先ほど申し上げましたように、共済制度等も今できておりまして、切りかえも済んでいる関係もございまして、国の現在の恩給制度共済制度との関連並びに国の共済制度と他の共済制度との関連、こういうことを考えてみますというと、これはたいへんな問題でございまして、にわかに法律に書いてないのだから、それは別の問題だという、私はそういう簡単なことで片づけようというようなことは考えておりませんが、事態が事態であるだけに、何とかよく研究いたしまして、もし過去におけるように、一般のものを上げると同時に、過去のものも上げていくというようなことが妥当だという結論がりっぱに出ますならば、その赤字の補てんというようなものに対して法的措置考えるようにいたさなければならない。そういうものも含めまして、非常に重大な問題でありますから、研究機関をこしらえたい、こういうことを考えているわけでございます。その結果、皆さんのほうに結局は御審議を願うことになろうかと思いますが、スライドを完全に共済組合制度につきましても認めます、ですからこうだというようなことは、私の口からは今ちょっと口幅ったいことは言えないわけで謝ります。これは大蔵省が主管省でもございますし、共済制度関係につきましては、政府全体としましても今にわかにそうしたことを断定することはできないかと思います。ただ過去におけるのは、理屈は抜きにして、子供の小づかいぐらいでしかなくなって、もうどうにもそういう方はほっておけないという事態に立ち至ったために応急の措置を今講じている。今後においてもそういうことがあり得るだろう、だから今からこれは研究して、そういうものに対処する考え方をまとめねばならぬ、こういう考え方研究をしていきたい、こういう考え方で、しばしばそういう機関も早く作れという御要望もございますので、もし予算等の処置が不可能でございましたら、局部課長等によって研究会をこしらえるとか、今回のILOでも通りましたら、相当の機関ができますから、そういうことによりまして一つの分担をきめて研究をして結論を出したい、こういう工合に考えておるわけでございます。
  65. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは先ほど野本委員に言われた内容です。私、そういうことでなくして、少なくとも恩給だけではないのです。また、公務員共済制度だけでない。民間の厚生年金、あるいは広く言えば国民年金の問題もすべて総括して、年金制度のいわゆる一つの理念として、そういうスライドベースアップをしなければ年金の性格ということはないのじゃないか。そうでなければ、一般銀行でやっておる、貯金をしておいてそれを分割して出すというものになってしまう。少なくとも政府が社会保障制度の一環とし、考えておる年金制度の基本的な考え方としては、いわゆるベースアップをとらなければ用はなさないのじゃないかという基本的な理念について僕はどうかということを聞いておるので、予算をしてこれからやるのだというその誠意はわかる。それはもうわかっておるのですが、基本的な理念をどう持っておるかということを政府に私はただしたい。もしあなたでなければ恩給局長でもけっこうだし、大蔵省でもけっこうです。
  66. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 社会保険全体を通ずる問題でございますから、私ども関連者としてお答え申し上げますが、確かに先生おっしゃるように、社会保険というのは私的な保険でもございませんし、私的な貯蓄でもございませんから、単に掛金がこれだけであったからこれだけの給付しかないという性格のものではございません。あくまでも最終的には国なり何なりが責任をもって社会保険を運営するという建前でもございまするし、一定の生活水準の保証ないしその補完という性格を持っている以上は、まあ方法なりあるいは内容についてはいろいろ議論はあると思いますけれども、基本的にはベースアップというものは認めらるべきであるというふうに考えております。
  67. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは船後主計官が見えられましたが、船後さんは前給与課長をされて、これの専門家だからちょっと聞いておきたいんですが、きょうは共済組合の問題であなたにお尋ねしようと思っておらない。大蔵大臣を代理して、恩給関係費について、総予算の何%程度までであれば国家財政上、妥当という言葉は使いませんが、無理してでもいけるんだ。こういう一つのものが——大蔵省の予算編成の当局である主計局はどう考えておられるか。
  68. 船後正道

    説明員(船後正道君) 国の予算の中で恩給費のウエートがどのくらいが妥当であるかという意味の御質問であろうと考えます。非常にむずかしい問題でございまして、この問題は、事恩給費に限りませず、その他の経費につきましても同様、国の予算といたしましてどのような構成比率を保っていくのが一番妥当であるかということであります。御承知のとおり、ここ数年来恩給費の一般会計予算に占めるウエートは、大体四、五%あるいは六%、大体五%を前後しておるというような比率になっています。他方また恩給費は御承知のとおり、法律にきまっております支給をするのが国の義務でございまして、それに必要な経費は必ず計上しなければならない、かような立て方になっております。そこで先生の御質問は、一般会計予算総額の中でどの程度が妥当で、それならばどの程度まで改善の余裕があるかといったようなことであろうかと思うのでございますけれども、それはこの恩給費にきわめて類似する社会保障の問題あるいはまた、その他の行政投資の経費、種々の国の需要があるわけでございますが、これらとのバランスを考慮いたしまして、そのときそのときの情勢に応じて予算を編成するほかはない。御満足いただけるとは思いませんけれども、やはり一般的な議論といたしましてはその程度のことしか申し上げられないんじゃないか、かように思う次第でございます。
  69. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この問題であなたにあまり追及することは立場上どうかと思いますが、主計当局としては私はそのことは当たらぬと思う。われわれ予算委員会でも、たとえば防衛庁の費用を論じても、その他の問題を論じても、やはり中央のめどというものを持って予算の編成をしておるやに聞いておる。あなたの言われることを私はきょうは信じておきますが、そのときそのときの必要があれば、恩給法改正その他これに類する援護関係改正も、そういう予算のバランスというものを考慮なくして大蔵省は認める、こういう立場を表明されたと聞きとっていいですか。
  70. 船後正道

    説明員(船後正道君) あるいは誤解を招くような発言をしたかとも思うのでございますが、私が申し上げましたのは、この恩給費を初め社会保障費あるいは公共事業費、種々の財政需要があるわけでございまして、これらの財政需要の相互間のバランスというものを考慮いたしました上で予算が毎年編成されていく、かような次第でございます。したがいまして、恩給費につきましても、あるいは社会保障費につきましても、種々の改善の要望があろうかと思うのでございますけれども、やはりそのときそのときの経済情勢、財政情勢その他を勘案されて具体的な予算計上額が決定されるほかはない。頭から一般会計予算の何%程度がこれにさかれるべきだというようなことは申されぬのじゃないか、かように考えておる次第でございます。
  71. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これ以上あなたに言ってもやむを得ないかと思いますが、この恩給に関しては相当まだ改善すべき問題が残っておると思うのです。まあ大蔵当局よく御存じだと思いますが、やはりいろいろの問題も、私たち政府機関に入ってないですからわかりませんが、いわゆる大蔵省が、やはり一番この問題——これは予算全般についてでありましょうが、やはり発言権が強いようであります。そこで私はあなたに聞いたんですが、そういうことであなたの今の説明はそのまま私はネットに受け取っておいて、この総予算についての問題についてはこれで終わります。  それでは次に、一、二具体的に聞きますが、これは恩給局長でけっこうですが、第六十五条五項を削ったということで、二千四百円のやつを全部四千八百円に引き上げた。この四千八百円という未成年のこういうものについての、扶養家族についての加給の四千八百円というのはどういう基準で出されたんですか。
  72. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) 恩給で家族加給なり遺族加給なり、加給がついておりますのは、公務扶助料の場合とそれから増加恩給受給者についてです、これは。この加給額は年金四千八百円になっておりますが、この四千八百円という金額は、在職公務員における扶養家族手当と大体見合って四千八百円という数字を出しております。
  73. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは将来、経済上の変動で四千八百円というのはそういう趣旨からいくとこれは変わっていってもいいはずですが、その点について伺います。
  74. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) 扶養家族手当という趣旨から言いますると、四千八百円というものを見直していくという時期があるかと思っておりますけれども、何分にも在職公務員給与体系の中に織り込まれておる家族加給というものと見合いになっておりますものですから、そちらのほうが変わるということになればこちらも変わる、あるいはこちらを変えて向こうを変える、どちらが逆になりますか、本筋から申しますというと、やはり在職公務員給与体系の中の家族手当が変わるということによって、こちらも変わるということが考えられるわけです。
  75. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは恩給局長もうすでに御存じですが、現在国家公務員なり地方公務員についておる家族加給というものは、これは今の実態には合っておらない。家族給付の扶養家族の手当の増額ということが言われておりますが、もう今の公務員給与体系の中からそういうものはもう残滓のようにして見られているのです。したがって、それと比較をして考えることは私は酷だと思う。というのは、この増加恩給の受給者はすべてこれは働く能力が私はほとんどない人だと思っている。そういう人の増加恩給額については、また別に質問しますけれども、そういう人に対しての扶養家族加給というものは、私はこれではいかないという考え方に立って質問しておるのですが、この点どう思われますか。
  76. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) 先生のお説は、在職公務員給与体系の中の四千八百円というものは、もうほとんど実質的な意味を失っておる。だから恩給における加給のほうはそれと離れてもう実質的に見直したらどうかという御意見だと思います。確かにその点はごもっともな御意見だと思うのですが、何分にも制度的にそういうふうな続き工合になっておるものでございますから、にわかにこれと切り離して新しい制度を立てるということはなかなかむずかしいと思いますけれども、将来の研究課題としては大いに研究して参りたいと思っております。
  77. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この問題についてもう一問聞いておきますが、昭和二十八年の恩給法の一部改正いわゆる百五十五号のときには、この二千四百円というものがなくて、全部四千八百円だと調べてきたのですが、その後これが途中で昭和三十三年ですか、これが抜けたようにちょっと私調べたのですが、それで間違いありませんか。
  78. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) 法律百五十五号の当初におきましては、増加恩給の受給者に対して退職後の子女に対しては加給制度がなかったのでございます。一般の他の法的年金におきますと同様に、退職時における条件退職時において扶養しておった家族というものを対象にして加給をつけておったのでございまするが、その後昭和三十二年の臨時恩給調査会におきましてこの問題が戦傷病者の場合には、退職後生まれた子供についても加給をつけるべきではないかという意見が出まして、重症者についてもそういうことを考慮すべきであるというふうな答申も出まして、昭和三十三年の法律百二十四号によりまして、退職後の子女につきましても、加給の制度をとるということになったわけでございます。しかしながら、非常に例外的措置でございましたので、一般の加給四千八百円に対しまして、この退職後の子女につきましては、二千四百円という半額の制度でスタートいたしたわけでございます。しかしながら、その後、年数もたちまして、他のいろいろな手当制度等も考えまして、退職後の子女につきましても、同様に四千八百円に一率にいたそうという、こういうことで今回の改正案を提案しているわけでございます。
  79. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 木曜日にまた同僚伊藤君から詳細な質問があると思いますので、あらかただけ聞いておきますが、次に今度の改正一つになっております減算制度をしかれたというのは大体趣旨はわかるのですが、まずひとつ恩給局長から聞いておきたいと思います。
  80. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) 御承知のとおり、軍人の戦時加算、戦地加算と申しますか、これがつきまして恩給年限に達するという方々につきまして、その資格を認めますけれども年金を受給する資格を認めますけれども、その年金額におきましては、まるまる十二年なり十三年なり実勤で勤めたというのとは違って、実勤年数が十二年に足りない年数一年について俸給の百五十分の四・五ずつ差し引いていくということにいたしているわけでございます。そうしてまた、この引いた限界というものは百五十分の二十二というところで、以下は減算しないという最低限度といたしまして、軍人の場合は、仮定俸給でございますが、百五十分の二十二以下には引かないということにしているのが現行法でございまして、これに対しまして減算率を百五十分の四・五を三・五に改めるということにいたしましたのは、実はこの昭和二十八年に法律百五十五号が出ましたときには、当初百五十分の三・五というのが減算率でございました。ところが、その当時におきましては、いわゆる既裁定者に対しては軍人恩給加算が認められておったが、未裁定者に対しては認められておらないという問題がございまして、この問題の解決があるまでは、昭和三十三年における一万二千円ベースを、一万五千円ベースに引き上げるという際も、こういう人に対しては実質的な増加をさせないようにしようということで、ベースを上げるけれども、減算率のほうで加減をいたしまして、百五十分の三・五を四・五にきつくしたという事情がございます。その後昭和三十六年に、いわゆる未裁定者につきましても、軍人恩給の加算制度を復活するということで既裁定者と未裁定者のアンバランスがこれによって十分解消いたしたものでございますから、過去の経緯を考えまして、その減算率を百五十五号当時の百五十分の一三・五というものに復原し、最下限につきましても百五十分の二十五というところに引き上げるということにいたしたわけでございます。
  81. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体減算制度をしかれたという趣旨はわかったんですが、これはあの不足分、いわゆる実在職年が恩給の資格年限に達しない不足を一年につき百五十分の三・五にされるわけですね。そうすると、どうなんですか、今度旧満鉄の勤務在職年数を通算して、この場合も資格取得期間だけ認めよう、その場合には、その不足分についていわゆる減算をして給付するというように考えておられるのか。
  82. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) この今回の措置における満鉄等の職員期間につきましては、先回昭和三十六年の百三十九号によって外国政府職員期間についての通算措置を講じましたと同じような手法を講じまして、在職年数の計算なりあるいは年金額の計算をやっておるわけでございますが、それによりますというと、日本から満州に参りまして、そしてまあ満州からまた日本へ帰ってきたという場合にはまるまるその期間を見ております。それから日本から満州へ行っておしまいになれば、その期間につきましては全部通算して見ております。それからただ向こうで採用になりましてそして日本国政府に就職した、そして日本国の公務員としてやめる、こういう場合に、向こうの期間をどう見るかということにつきましては、その方がおやめになるときに恩給法上の公務員でございますれば、十七年に達する足らずまいだけを見る、つまり向こうで十年お勤めになる、そしてまたこちらの日本政府で十年お勤めになった、こういう場合には、十七年になれば必要にしてかつ十分なのでございますから、向こうの在職年数は七年分だけ見る、こういうことにして通算しております。旧軍人恩給のいわゆる加算——想像上の在職年を加えていわゆる資格がつく場合、これにつきましては、実在職年が普通恩給年限に達しない一年について百五十分の四・五、あるいは今度の改正によって百五十分の三・五引くのでございますけれども、これの場合はそういう減算率は用いません。日滞日の場合には完全に通算、日浦も同様でございます。滞日の場合についてだけ年限に達するに必要にしてかつ十分なだけ向こうの在職年数を取り扱う、このようにしてございます。したがって、その場合につきましても減算率を用いるということはございません。
  83. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ちょっと私の質問が要点を間違っておったかもしれませんが、この旧満鉄で採用されてそれから内地に帰って公務員になられた、この場合には資格期間だけの通算をする、その場合のいわゆる給付の内容というものは、十七年勤めたという率で出されるのかどうか、こういうことです。
  84. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) ただいまも申し上げましたように、向こうの在職年がございまして、そして日本国政府に就職になった方、この方々がまあ相当の年令に達して、そしてこちらの恩給法なりあるいは共済法なりの期間だけではその恩給年金を受けられない、これはまあ非常にお気の毒である、人事上非常に困る、お互いに困るということで、向こうの在職年数を最小限度に見なければならないということがあるわけでございます。それでこちらのほうでやめるときにこっちだけの在職であると十年間、これに向こうの在職年数を加えると十七年になる、こういう方々に対しては、十七年として、恩給でございますれば百五十分の五十、共済でございますれば百分の四十という率でもって、年金退職時の俸給、あるいは共済でございますれば三年間の平均給与に対する、まあそういう率でもって年金が計算される、こういうことでございます。
  85. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでわかりました。そうすると、それは今、言いかえますと、十七年だから一年について五十分の一というものが毎年ついていくのだと、それが三分の一、百五十分の五十になるということですね——それでいいです。  それから軍人の場合は、これは在職年ではなしに、加算された分だから、その分についてはこれだけ引くというのは妥当だ、こういう趣旨で減算率というものをおかれているんですね、この点どうですか。
  86. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) 加算年というのは、御承知のとおり、実際にお勤めにならない、それに対してプラス・アルファをして、そうして実在職年をふくらまして年限というものを勘定するという期間でございます。そこで実在職年の値打——極端に申しますると、実在職年の一年に対する値打で年金額を計算すればよろしい、こういう思想でございます。
  87. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これについてはまた別な質問があると思いますので、私はこれはこれにとどめますが、それに関連して、幸いにして当委員会なり衆議院内閣委員会の附帯決議によって旧満鉄等の通算措置が行なわれたんですが、まだいろいろと問題が残っておるんですね。でまず大事な大きな問題というのは、われわれとしては資格期間の通算だけではいかぬ、やはり全期間の通算ということを主張しておったんだが、相当いろいろ政府部内で問題があって、資格期間ということになったんですが、やはり実際これは戦時加算ということではなくして、やはり実在して勤めておったという事実ははっきりしておるんだから、資格期間の通算ということだけでなくして、やはり全在職年の通算ということを考えるべきだと思うんですが、恩給局長としてはどう思われますか。
  88. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) 外国政府職員の期間の通算の際にも考えたのでございまするけれども、元来外国政府職員の期間の通算につきまして、ああいう特別措置を設けたということは、昭和十八年に日本から満州に、日本政府の官吏が満州に参りまして、そうしてその方が日本政府に帰ってくる、こういう場合にはその期間につきまして通算をするという措置がすでに戦前講ぜられておったわけです。ところで終戦によりまして、日本から出向になりまして満州国政府に参りましたが、終戦でもって引き揚げてきたけれども、こちらで相当老齢になって就職——本属省で引き取らない、こういうようないろいろな異常な事態になってしまったわけでございます。そこで日満日でなくとも、これは日満日であったと同じように、満州国へこちらから出向させたその期間につきまして計算に入れるのが特殊事情から考えて至当であろう、これは日満日と同じケースに取り扱ったわけでございます。しかしながら、満州国で御採用になりまして、そうして日本国政府でこれを採用したという方々につきましては、向こうの在職年というものについて必ずしも日本政府というものは責任を負っておらない。これはむしろこちらの恩給法なり共済法なりという、こちら側の雇用者の立場に立っての、その人の、職員の進退、身分というものをどう考えたらいいかという人事管理上の立場から考えた仕事でございまして、こうした考え方というものはむやみに拡大して、また給付を拡大して考えるべきものではない、必要最小限度に、年金年限に達するだけを考えていく、これによって気の毒な方々が救済されるんではなかろうかということで、必要最小限度にしぼって、こう考え措置したわけでございます。で、その措置を今回も同じように適用しよう、こういうことでございまして、これをどんどんと拡大して考えますというと、いろいろほかに波及する問題もございまして、こうした問題につきましては慎重に——かなり消極的と申されるかもしれませんけれども、慎重に考えなければならぬ、こう思っております。
  89. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 元満州国官吏あるいは旧満鉄の関係、それらについてはいろいろまだ問題の残っておるところたくさんあるんです。私の言ったのは、根本的な大きな問題だけ言ったんです。  で、私が冒頭に、恩給の現在の運営の考え方というのをただしたのはそこにあるんです。元満州国に勤めておった人、あるいは旧満鉄その他関係政府機関に準ずるところにおった方々は、あの終戦によって、内地におって恩給を受けておる人々以上に私はあの戦争による犠牲を受けておると思うんです。しかも、旧満鉄にしても満州国にしても、あの当時の日本の政治の状態から見ると、日本の内地の公務員とほとんど変わらない重要性のある日本の国策を遂行した人々であると思うんです。したがって、恩給法自体の、今までの法そのものを適用するという——復活したということでなくして、新しい理念のもとにこの恩給法を運用するという先ほどの政府当局のお話からすると、そういう満州国で採用されたから、あるいは満鉄に採用されて、それから帰ってきてから公務員になったんだから、日満日というようなケースではいかない、こういう御説明であるけれども、私はそれは受け取れない。新しい恩給法の運用という点からわれわれが満鉄なり満州国というものを累次、恩給法の中に入れてもらうように努力をし、また、政府当局も考えていただいたと思うんです。そういうことからいくとこの問題については、いろいろの差別する理由があるにいたしましても、基本的な新しい恩給法の運用から見ると、やはりそういう差別のない方法でやるべきであると私は思っておる。ただ、大蔵当局に先ほど尋ねましたけれども国家財政上から見て、あまり国の費用をここにたくさん取るということはいけないんだという、国家財政上の問題からいけば別として、恩給法の新しい運用の立場からいくと、私は、差別なく全部の通算なり、あるいは同じ日本の公務員としておったという立場ですべてを措置しなきゃならぬと思うんですが、この点について総理府総務長官どう思われます。
  90. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) ただいまのお尋ねの点でございまするけれども、御承知のとおり、恩給法というのは、日本国政府が使っておる公務員、これの退職後のいろいろな給付というものについての制度でございます。あくまでも日本国政府が使っている公務員のことでございます。また、恩給法は元来その身分、資格——官吏としての身分というふうな厳格なことを規定してございまして、いわゆる旧官吏法時代——雇傭人、官吏というふうに分かれておった当時は、雇傭人は恩給法レールの上に乗らない、官吏だけが乗っかっておる、こういうことで、その幅につきましては厳としてずっと引き続いてそういう人たちだけが対象になって恩給法ができておるわけでございます。したがいまして、そういった公務員でない人——日本国政府として使っていない、そういう公務員でない人をこの制度の上に乗っけるということは、恩給法としての技術の限界から外にはずれてしまう。もしもそういう方々について何らかの措置が必要であるというふうな政策的な見地がありますれば、これは恩給法という制度とこういう道具では役に立たないわけです。過般来の通算問題にいたしましても、恩給法の上に乗っかった公務員方々の前歴というものを考慮に入れるという限度においてそれらの通算が行なわれたのでございまして、お説の点につきましては、いろいろ問題はあろうと思いまするけれども、どうしても恩給法のワク外の問題になるということになるわけでございます。
  91. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 だから私は冒頭に、恩給法のできた性格から、今運用されておる態度というものを聞いたんですが、私の問い方がばく然としておったから、そういうところにひっかかってくるということは考えられておらなかったと思うんですが、そういう恩給法の性格論については、やると長くなりますからやりませんが、少なくともこの元満州国あるいはまた、旧満鉄その他の関係機関についておった人については見るべきであるという考え方が出たということは、少なくとも新しい恩給法運用上の私は考え方からきたと思うんです。今恩給局長が言われたように、恩給法自体から厳密な意味に解釈すれば、それはそういうことは成り立ってこない。資格通算のことすら問題になることはたびたびここで論議されたのですが、ようやく政府はそういうところに反省されたとは言いませんけれども、理解されて一歩前進してきたのですね。したがって、私はこの旧軍人の減算率なんかについてもいろいろ問題ありますが、現実にやはりそういう一つ政府の機関だという見方に立って考えるならば、差別をすべきでないという私は主張を堅持しているんですが、この点について恩給局長は、恩給制度についてはきわめて何といいますか、よく知っておられる方ですから、これは一つの事務的な問題ではなくして、新しい恩給法の運用として政策的に出てきたことが大きいのですから、政府のひとつ見解総理府総務長官から聞いて、次の質問に移りたいと思います。
  92. 徳安實藏

    政府委員徳安實藏君) 恩給局長の申し上げます答弁は、これはまあ当務者として正しい一つ基準と申しますか、ワクの中で御答弁申し上げているわけだと思います。この問題につきましては他にもいろいろの問題もございまして、今回の改正是正につきましても、まだともにこの際一緒にやりたいものもございますけれども、そううまくも参りませんで、次に残ったものもございますことは御承知のとおりでございます。で、こういう点につきましても、今後次の国会までには相当検討を加えまして、大蔵当局とも折衝をして、提案をいたしたいと考えておりますが、ただいまのようなお説につきましても、高い次元においてひとつ検討の中へ加えて研究さしていただきたいと思います。
  93. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それに加えて、今私は最も大きな実在年数の完全通算ということで代表的に言ったのですが、そのほかに、実はこの満州国なりあるいは旧満鉄その他に勤めて公務で殉死した場合にはこれは遺族扶助料が出ない。それからまた、あの戦争中に抑留された、戦争後も入りますけれども、抑留された期間も通算がない。その他まだまだこの点については問題がありますから、この点もひとつあわせて今後御検討願いたいと思います。  そこで、これはまあ与党内部でもいろいろ問題があるというので聞いておきたいのですが、あの当時満州国の中に、協和会または開拓指導員というような方々がおられたということも聞いているんですが、そういう方々についてもやはり満州国官吏という待遇でおられたといわれているんですが、この点どういうことなんですか。
  94. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) その後、満州開拓青年義勇隊とかあるいは満州国の協和会というところで勤めた日本人の向こうでの職員という方々につきましては、全く満州国政府の職員と同じような仕事をしておったんだ、また、性格からいっても全く表裏一体のものであるというふうな御説明がありまして、御陳情を承っております。しかしながら、私どもまだその実体を十分きわめておりませんし、また、それによる財政負担がどの程度になるか。また、その他の退職給与制度にどう影響を及ぼすかということもきわめておりませんので、今後十分検討して、それに対する可否の結論を出していきたい、こう思っております。
  95. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その点については、政府部内で十分ひとつ御検討をお願いしたいと思います。これは恩給局長、ちょっと法律上の解釈の問題を聞いておきたいのですが、私も恩給法をずっと見ておるのですが、第二章の公務員というところで第二十条、恩給の受けられる公務員を規定しておるのですが、その第十号に「第二号又ハ第三号ニ掲グル官職ニ相当スル官職(委員会ノ委員長委員並法令ニ依ル公団及住宅金融公庫ノ役員及職員中別ニ法律ヲ以テ定ムルモノ以外ノモノヲ含マザルモノトス)」こういう第十号のことはどういう範囲に入るのですか、この点ひとつ聞いておきたいと思うのですが。
  96. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) ちょっと非常に技術的なことになりますので、中嶋審議課長から……。
  97. 中嶋忠次

    説明員(中嶋忠次君) お答えいたします。  この第十号の規定はそこにございますが、二号、三号に代表的な官名が掲げてありますが、これに類する官の人たちを規定するつもりであります。その中に委員会の委員長とか委員とかそういうふうな者で、解釈上二号、三号に掲げる官職と同一のものだと思われる方々があると思われますので、それは除くことといたしたのでございます。その除く中から、さらに別の法律でもって定める者をさらに除いて、結局二号、三号に準ずる者という取り扱いをしておることになるわけでございます。これはただいまのところはございません。かつて、委員であって、この恩給法上の公務員とするということが別の法律で規定してあった委員一つございましたので、そのための念のための規定で入れておいたのでございます。現在といたしましては、カッコの中で、委員とか、もちろん公団とか金融公庫の役職員とかいうふうな人たちは、現在のところ恩給法上の公務員ではございません。
  98. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、この二号、三号に掲げる官職に相当する官職というものも今ないのですか。
  99. 中嶋忠次

    説明員(中嶋忠次君) 今ちょっと記憶ございませんが、相当あると思います。
  100. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ちょっと代表的なものを言って下さい。
  101. 中嶋忠次

    説明員(中嶋忠次君) 一番わかりやすい例でいきますと、防衛庁の参事官とか、それからそういうふうな大体これと同じような官吏の方でございますが、一定の官職によりまして特定の名前、あるいはいわゆる宮内庁関係の女官とかあるいは東宮大夫とか、そういうふうな、ここに掲げてない名前の官吏もございます。
  102. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは、私はなにもミスをあばくわけじゃないですが、第二十条に、これミスプリントだと、もちろんわかるのですが、国会議員と書いてあるが、国会職員でしょう、このパンフレット。これはどこで発行されたのですか。
  103. 中嶋忠次

    説明員(中嶋忠次君) 二十条に、もし国会議員と書いてあれば、国会職員の誤りでございます。つつしんで訂正させていただきます。
  104. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もしじゃない、書いてある。こんなことせんさくするわけじゃないので、国会議員にも恩給つくかと思って、中を見るとわかるのですけれども、こういう点、注意してもらわぬと、国会議員には恩給はつかぬでしょう、互助年金はつくけれども。これはちょっと言うておきます。  大体恩給の問題につきましては、一応また木曜日には伊藤委員からも言われますので、あらかたその程度で終えておきます。  次に時間が迫って参りましたが、三公社の公共企業体職員等共済組合法の一部改正について聞いておきます。  公共企業体職員等共済組合の問題ですが、これは、本法律案は、先ほどから恩給当局と質問したそのままをとられた内容だと思うのですが、その点につきましては、私はもう時間の関係で触れませんが、公共企業体職員等共済組合法の運用が、現在、国鉄共済組合、電電公社、専売と分かれているのですが、この運営についてちょっと聞いておきたいのです。  短期給付は私きょうは省きます。長期給付の実態についてお聞きしておきたいのですが、まず国鉄のほうにお聞きしたいのですが、現在、長期給付の資金として、すべての給付の対象になる資金、準備積立金その他の資金は、一体どれくらい積み立てしておられるのですか。
  105. 河村勝

    説明員(河村勝君) 三十六年度末現在で六百八十四億でございます。
  106. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 長期給付に対する毎年度の給付総額はどのくらいになっていますか。三十六年度でいいです。
  107. 河村勝

    説明員(河村勝君) 約百三十億でございます。
  108. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 国鉄の場合六百八十四億、これは三十六年度の期末の帳じりですか。
  109. 河村勝

    説明員(河村勝君) さようでございます。
  110. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはどういう運用方法をされているのですか。大体でいいですから、定期預金また不動産投資または国鉄の場合聞いておりますと、国鉄自体への融資と申しますか、出資と申しますか、貸付と申しますか、そういうものをやっておるとも聞いておりますが、そういう仕訳はあらかたでいいですから、ちょっと聞かしていただきたいと思います。
  111. 河村勝

    説明員(河村勝君) 預貯金が四億五千万円、有価証券が十一億一千万円、投資有価証券が五十六億一千万円、信託が百八十七億、それから長期の貸付金、これは二百三十七億円、投資不動産が百八十七億、大体合計六百八十四億、そういうことになります。
  112. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 実は国家公務員の場合だけちょっと資産表を出してもらったのですが、ほかのほうにも委員部を通じてちょっと頼んでおいたのですが、何ですか、おのおの有価証券あるいは投資なんかしておられますが、おのおの年利率は違うでしょうね。
  113. 河村勝

    説明員(河村勝君) それぞれ違います。
  114. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 明細書は持っておられますか。
  115. 河村勝

    説明員(河村勝君) 同じく三十六年度でございますが、預貯金につきましては三分三厘四毛、有価証券が九分六厘九毛、投資有価証券が七分七厘三毛、信託が八分五厘三毛、長期貸付金が五分六厘六毛、投資不動産が七分一厘八毛、合計いたしまして七分七毛ということになります。
  116. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この国鉄だけではございませんが、公共企業体職員等共済組合法の成立される場合の予定利率は五分五厘になっておると思いますが、間違いないのですか。
  117. 河村勝

    説明員(河村勝君) さようでございます。
  118. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もちろん運用上私は担当者としてある程度有利に回すということはこれはいいのですが、私はこれについて追及しないのですが、予定利率五分五厘ということで国鉄の場合は本人の掛金百分の四・三ですか、程度になっておると思うのですが、そうすると、七分七厘にかりにずっと行くとすると、掛金率に、相当私は保険数理から行くと相当掛金率は下げてもいけるという、保険数理の上から割り出すとそう出るのですが、その点どう思われますか。
  119. 河村勝

    説明員(河村勝君) 共済組合法実施以前の問題から発生する追加投資の額とあるいは今後の年金額改定とかそういったものを予定いたさなければなりませんので、それだけでもって一がいに余裕ができるかできないかという議論はできないと思います。
  120. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この問題は、総括的にあとで担当の、今度は運輸省ですか、新たにお聞きしたいから国鉄の人にはそれだけの資料でけっこうです。  次に、電電の方がいらっしゃれば、公社の共済組合の今言った長期給付に対する資金が幾らあるか、年々どれくらいの支出をされておるか、これは長期給付だけでけっこうですが……。
  121. 森元和

    説明員(森元和君) 先ほどと同じように申し上げます。現在の長期経理の資産額は三百二十七億でございます。その内訳は預貯金が三十八億円、有価証券が二十二億、それから投資有価証券が三十四億、信託が七十七億、長期貸付金が八十八億、それから投資不動産が六十六億、合計いたしまして三百二十七億になっております。  それから次に三十六年の受給者の実情を申しますと、大体十二億出ております。利回りを申し上げますか。
  122. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 資料が出ております。ちょっと待って下さい。それではこの資料によって質問しますが、担当の運輸省の方ですか、これは各三共済関係ありますから、だれから答弁してもらってもいいのですが、先ほど申し上げましたところの営業保険料方式にとって保険数理からいくと予定利率五・五%いわゆる五分五厘ということが基礎であの掛金が決定されておる。この表で見ますと、国鉄の場合は先ほど七・七%と言われましたが、これでは六・五八%と出ておるのですが、大体七分程度に全部運用されておると思いますが、先ほど国鉄の方がちょっと答弁されましたが、その年その年によってどうかと言われますが、保険数理からいくとそういうものは出てこない。
  123. 河村勝

    説明員(河村勝君) 保険数理で計算する場合には、今後のベースアップ等は勘定に入れておりません。
  124. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは給与課長よく知っておると思うのですがね。あなたの保険数理の計算方式はどういうのですか。
  125. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 専門家ではございませんが、大体のところは存じております。
  126. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 今どういう答弁ですか、大体のところ……。
  127. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) たとえば先生御質問の点の今後のベースアップの問題に伴う財源の不足の問題とかあるいはいろんな形態のベースアップの問題が入っておるかどうか、そういった点に関連しては大体お答えができるかと思います。
  128. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いや僕の聞いておるのは、あの保険数理基礎としては俸給指数ということでずっと上がっていく指数でかけておるのです。今国鉄の人があの指数より上に上がっているといわれておるのだが、全然、昇給そういうものがベースアップ基礎になっておらないと言われるのか、そこらが僕は理解できないのです。
  129. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) これは国鉄の問題は直接私は存じませんけれども国家公務員等の問題から考えました場合に、昇給曲線等を前提として計算されておることは事実でございます。したがって、同じような形で同じ率でベースアップが行なわれる場合におきましては、曲線には影響はございませんので、その限りにおいては考慮されるということはいえると思います。ただベースアップの方式にもいろいろございまして、たとえば下厚上薄でベースアップが行なわれる場合あるいは逆に上厚下薄でベースアップが行なわれます場合において財源率に影響があるということも事実でございます。
  130. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私は、国鉄を含めて三公社のベースアップの状態を見てみますと、国家公務員からはなはだしく高いとか変動があるものとは私は見ておらない。そういうことから見ると、私はベースアップによってこの保険数理掛金が所要費用が変わってくるということは考えられない。もしそうすると、あの保険料を出す基礎というものは私はどうなっているかということを聞きたいのです。
  131. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) ベースアップ自体が必ず保険料に影響を及ぼすものでないことは先生御指摘のとおりでございます。ただたとえば上厚下薄のベースアップが行なわれたといたしました場合、これはどういう意味を持つかと申しますと、上厚であるということは比較的勤務年限が長くて退職時に近い方がこれはベースアップ率が高くなるということでございます。逆に比較的勤務年限が短い方についてアップ率が少ないということになるわけでございます。その場合におきましては、いわば退職年令層の高いところにおいて引き上げ額が大きいということになりますと、それは支払われるべき年金なりあるいは一時金に対する影響等を持たざるを得ないのでございます。その伸び率と一方における積み立ての伸び率というものを考えますと、やはりその間に若干のギャップが出て参るわけでございまして、その限りにおいてはやはり影響があると言わざるを得ないと思います。
  132. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはきょうはそこまであなた方が言うからといって、資料を持ってこないのですが、それは間違いですよ。そういうあらゆる場合を規定して脱退残存表の中で処理をして、ずっとの計算をしておるのです。したがって、そういうあなたの言うようなことであの計数が出ておるということになれば、あの保険数理というものは基本的にも間違いだということになってくるのですよ。昇給指数、それから何年たてば何人やめるかという年々の脱退者の率も統計上から全部出してきておる。その統計に誤りがあるかどうか、これは別ですよ。保険数理からいってそういう要素を全部入れておる。そういう要素が入っておらなければ、あの保険数理というものはもともと間違いだということになる。
  133. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 御説のとおり、そういった要素は全部織り込まれております。ただ今後において行なわれるベースアップのあり方として、そういう事後的に起こり得る体系変動は要素には入っておらないというふうにわれわれ理解しておるわけでございます。
  134. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはたとえばベースアップをした場合に、逆に言うと掛金がよけい入ってくるのですよ。やめた人はベースアップしない。やめた人の受給者は先ほどから問題になっておったが、ベースアップをするということをしておらない。そういうものから見ると、むしろベースアップをしていく場合には掛金のほうがよけい入ってくるということになるでしょう、あなたの言われることをそのままとると。あなたは保険数理御存じですか。
  135. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 非常に仮定に基づく議論になって恐縮でございますが、かりにやめる人の給与ベースが平均的に見て三万円であるという前提で考えまして、一般的に掛金ベースも三万円であるという場合に、かりにやめる人の、やめる階層のベースアップ率が三万五千円に上がったときに、一般的のベースアップ率としては三万二千円というようにしかならないという場合もあろうかと思います。そういった場合には退職給付に対する給付率とそれから掛金として積み立てられるものとの間にギャップが生ずるということでございます。
  136. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あの保険数理掛金決定、負担金決定の場合のあの数理というものは、在職して一年に何人やめるか、二年で何人やめるか、三年で何人やめるかということでずっと計算をしておるのです。統計が誤っておれば別ですよ。そういうことであの保険数理を出して、しかも給与の上がり方というものは国家公務員に準じてこういう上がり方をしておるということでやっておる。おっしゃるように、給与がよけい上がるということは、むしろこの保険経済としてはよくなるのです。掛金がそれだけ入ってくるのです。やめた人はもう掛金をとらない。あなたの言うていることでいくと逆の結果が生ずるのですよ。やめる層が、高い人が幾らやめるかということは、それはみな統計で何年間にどのくらいの給与の人が何人やめるか、そういうものを計算して、統計上計算をして、そうして出しておるのですよ。あなたのように何かの事情のときにそうなるということはあるのです。時期的にあるから、それをいろいろな方式によってずっと平均に延ばして、そうしてなめらかな線をしておるのですから、だからそのときどきにおいては変動があるということは統計上認めておる。保険数理で認めておる。それをずっと平均して長く延ばしてそういうものを是正しているのです、数理上。あなたの言うことはもうすでにその保険数理の中に織り込んでそれはやっておるのですよ。
  137. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 確かに先生おっしゃるとおりでございます。ただ、その織り込み方は過去における変動値を平均してやっておるのでございまして、将来におけるそういう体系変動値まで織り込んでいるというふうには私ども伺っておりません。
  138. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなた、そんなことを言えばこれの長期給付の将来というものは全然もうめくらになってしまいますよ。百年の後を考えてこの数理を出しておると思うのですよ。かりに物価変動がどうあろうとも、それから賃金がどう上がろうということも全部一応計算をしてそうしてやっておるのですよ。だからそういうものが、今国鉄の言われたそういうものを予想してやったのではないのですよ。もしそういうことであれば、これはもう私は根本的にこれを——共済組合長期給付を根本的に考え直さなければいかぬと思う。私は国鉄の方が率の問題でこだわってそういうものを否定されるならば、私は根本的に公共企業体共済組合ができたときの保険数理を出して、そんな給与が上がったり何かすることによって不安だから、これだけの資金を持っていかなければいかぬ、そういう説であれば、これは考え直さなければいかぬ。これは国家公務員共済組合にも関係する。地方公務員共済組合にも関係する。そういう論議は一つも出ておりませんよ。この掛金は若干上がる場合もあるということは予定しております、保険経済だから。しかし、上がってもすべてのバランスのとれるような形であの負担金というものをきめているのです。それがあなたがそのときそのときの給与の上がり方とか、そういうもので変わるというのだったらこれは重要な問題です。
  139. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 詳しくはそれは専門家、アクチュアリーの方に議論していただいたほうがいいと思うのでございますが、私ども保険料率をきめるいろいろなファクターの中で、そういったベースアップの仕方というものを一応可変的要素としては私のほうとしては伺っているわけでございまして、その点についてはアクチュアリーの専門家の方に議論をしていただきたいと思います。
  140. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私のそれが認められなければ質問は、そうなっておるということか、そうなっていないことか、はっきり——そういう思惑で言われても質問にならぬのですがね。僕はそういうことを何も発展させようと思わないけれども、非常にそれを固持されてくるから、すなおにそう認められれば別として、それが認められなければその共済制度長期給付の根本が間違ってくるということを私は言っている。それを政府が認めるならば別ですよ。もうあの法律全部やり直しだ、できているけれども。そんなことで掛金をかけてやっている人は非常な不安ですよ。
  141. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) まあ私専門家でないのにいろいろ申し上げてまことに失礼でございますから、後刻確かめましてお答えをいたしたいと思います。
  142. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私きょう実は三公社の場合を聞いたのは、これの問題ではない。これから発展さして政府を追及しようという意味において聞いたのですが、あの保険数理からいくと、予定利率五分五厘、もしあれが一%も動けば、予定利率が六分五厘にもなれば、掛金は少なくとも、これは私資料を持ちませんが、私の頭の記憶の計算からいくと、百分の三十二ぐらいか三ぐらいでいけると思うのです。一〇%程度下がってくる。もっと下がるかわからぬ。〇・五%の五厘の利率がふえた場合には大体一〇%程度掛金が下げられるというのが国家公務員共済組合法ができたときの説明であるわけです。それで、私は五分五厘というような、こういう予定利率じゃだめだと大蔵大臣にただしましたけれども、その当時は佐藤さんが大蔵大臣であったけれども、とにかく日本の金利は高いんだと、したがって、国際金利に早く下げるためには、将来長い間の資金の運用だから、一応五分五厘の安全性を持ってやるのだと、しかし、現在のところは若干それは運用上高くなることもあるけれども、一応予定利率としては五分五厘にするのだと、こういう説明であったことを記憶しておるのです。それを私は今ちょっと聞いたんですけれども、あの保険数理自体が間違いを起こすと、そういう時代によって変わってくるということになれば、これは共済組合あれ自体、大蔵省はおるんだから変えてもらいたいね。これ以上言うと、また何かこだわっていじめているような質問にとられてはいけませんから、先に進みますが、国鉄のほうに言っておきますが、そういうことを一ぺん帰って調べて下さい。そういうことがあなたの言われる要素によって変動してくるならば、あの長期納付の基礎的な問題から考え直さなければ、年金経営というものはおそらく不安でできませんよ。それは私はこれ以上言いません。そういうことになりましたら、専売では七・六%以上、国鉄は六・五%以上、電電は七・二%以上の利回りで運営されておるということは、あの保険数理が正しいとすれば、私は長期給付の資金としては上回ったものが実はたまると、こう私は見るのです。それが間違いだという数字的な根拠があれば、ひとつ示してもらいたいと思うのです。その点どうですか。
  143. 河村勝

    説明員(河村勝君) 先ほどの私の答弁少し間違っておったようでございまして、先生がおっしゃったように、七%程度の利回りが維持できるかどうか、現在でもなお確信がございませんので、五・五%に下げたということでございます。将来もし七%程度が維持できるならば、その他の追加費用の入り方とか、あるいは今後のいろいろな新しく生じた問題を考慮に入れて、なおかつそれで十分足りるということであれば、五・五に掛金率を引き下げるということもあり得るわけでございます。
  144. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでいいんですよ。それが正しい答弁ですよ。若干違うことを言われるから私は時間を損したけれども、一応そういうことになっておると思うのですが、大蔵省はまだ固執しますか。
  145. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) ちょっとただいまの御答弁私も全部よく聞かないところがございますので、正確には言えませんが、もちろん予定運用利回りを上げれば、一般的に見て掛金率は引き下げられるということは私どもも肯定いたします。
  146. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 だからそういうことを最初からあなたは言えばいいけれども、間違った答弁を援護しようと思っていろいろ言うからそういうことになるのです。今後そういう点はすなおに言ってもらいたい。  そこで、国鉄あるいは三公社の方にお聞きをするのですが、この共済組合に移行されたときに、やはり恩給法の適用者が相当おられたと思うのです。そういう方々国家公務員のように追加費用ということで国のほうから財源をもらわなければ共済組合の運営というものはできないように保険数理上なるのですが、それの費用を三公社のほうで共済組合の追加費用として政府のほうからもらっておるかどうか、これをひとつ。
  147. 河村勝

    説明員(河村勝君) もらっておりません。
  148. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、それは国鉄、電電、専売のおのおのの利益金から恩給期間中の計算をして出す金も、そういうところから国鉄が負担されておるのですか。または電電、専売おのおの。
  149. 河村勝

    説明員(河村勝君) 利益金ではございませんが、経費のうちから払っております。
  150. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私は公社はそういう経理は大体、利益金というと、えらい語弊があるかもしれませんが、どういう経理から出されるのですか。国のほうの補助はないと、どこから出されるのですか、その経費は。
  151. 河村勝

    説明員(河村勝君) 経費の中の一つの項目になっております。
  152. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 国鉄はいろいろ国のほうの投資もあるけれども、あれは独立採算制でやっておられるのでしょう。そうすると、経費というものはやはり運賃から出てくるのじゃないですか。
  153. 河村勝

    説明員(河村勝君) 運賃からもちろん出て参ります。ただし利益ではないわけでございます。
  154. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 どうも私頭が悪いかしらぬが、運賃からで、利益でないというか、それが出さなければ、国のほうは当然負担する費用を、国のほうから見ればそれだけ利益になるのじゃないですか。その共済組合の追加費用の部分は利益として出てくるのじゃないですか。
  155. 河村勝

    説明員(河村勝君) 私が利益でないと申し上げましたのは、収入から支出を差し引いて、それから益金が出る、そういう意味の益金から出すのではない、そういう意味で申し上げたのです。
  156. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 担当の郵政省の——国鉄ばかり言うていても国鉄に済まぬですが、三公社ともそういうことですか。
  157. 岩元巌

    政府委員岩元巌君) さようでございます。公共企業体共済組合法の附則の第三十条にその規定がございます。経過措置に伴う費用の負担は、公共企業体が負担するというふうになっておるわけでございます。
  158. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私は法律上を聞いておるのじゃないのです。まあ法律で出されておるから皆さん方やむなく出されておると思うが、やはりそれは私一つの不合理であるということを追及したいと思うのです。国鉄におられた方であるが、身分がかわったから国鉄の共済組合に入られた、あるいは三公社の共済組合に入られたのですが、もともとは国の恩給の該当者ですね。その費用までも三公社が持つということは、先ほどちょっと私は国鉄の方に言いましたけれども、やはりそれが運賃なり、あるいは電話料なり、あるいはたばこ代にかかっておると私はそう見るのです。そういうことを私は法律にあるからそれでいいというものの、やはりその法律が悪ければ正しい方向に変えなくちゃならぬと思うのです。この点政府はどう考えますか。
  159. 岩元巌

    政府委員岩元巌君) 公共企業体発足前に起きましたこれらの事業はすべて国が直接行なっておったわけでございますし、その職員も公企法施行前までは恩給法上の職員が大半であったわけでございます。したがいまして、恩給法退職いたしました者に対します恩給負担金と申しますか、これも当然これの事業主体が負担しておったものでございますし、現在におきましても、また恩給当時の姿をそのまま公共企業体が引き継いでおるわけでございますから、現在公共企業体のほうからそういった負担をするということは妥当な措置ではないかと考えております。
  160. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 電電の場合でもこれは郵政省、当時の逓信省だったときの役人なんですね。国鉄の場合も、あのときは一つの省で官吏としてやっておられたわけですね。現業関係の人がおられますね、そういう人々が国鉄に入っていって恩給がなくなりました場合、国家公務員共済組合法ができるまでは恩給法の適用があった。たまたま国鉄にその人が行ったからといって、前に国に勤めておった分までも国鉄なり専売で持たなくちゃならぬという理屈は、私はどうも成り立たないと思います。そういう人があるかないか知りませんが、あなたがさっき言われましたように、ずっと初めから運輸省、あのときは鉄道省だったと思いますが、運輸省に勤めておってずっとかわっていったというんならいいが、それがほかの官庁からかわってこられた方も中にはあるでしょう。これはないんですか、三公社の中に。
  161. 岩元巌

    政府委員岩元巌君) ほかの官庁からあるいはかわってきた方もあるかもしれないと思いますが、しかし、こういった法律建前といたしまして最終、まあ一番最後にやめた官庁においてこれを負担するというような趣旨になっておるわけでございます。
  162. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私が言っておるのは、全然経済の別なこういうところにやる場合に、恩給法なりあるいはこういう共済組合法ができたときには、国家公務員と同じように政府がそういう追加費用を考えるということが必要ではないかということを私は言っておるのです。法律があるから三公社は自分のほうでやってもいいのだという考え方でやっておられるのですか。そういう考え方はやはり依然として、公共企業体でそういうものは政府が持つべきであるという筋のものであるけれども法律がこうなっておるのでやはりそういうことでやっていくんだと、それでいいんだということになるわけですか。
  163. 岩元巌

    政府委員岩元巌君) 先ほども申し上げましたとおり、現在の公共企業体が以前国でやっておりました事業をそのまま引き継いでおるわけでございますし、また、国でやっておりました当時、恩給納金と申しますが、こういったものを一応当時の公務員が納めておったわけでございますが、その納金は特別会計の収入としてそのままこれは公共企業体に引き継いでおるわけでございますから、そういった面から申しましても、やはり公共企業体で負担するというのが妥当じゃないかと考えます。
  164. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まああなたは政府の代表としていろいろ答弁されておるのですが、私は三公社の立場考えてみると、やはり私は酷だと思うのです。この三公社、経済はみないいかもしれませんが、やはり当然政府が持つべき恩給として処理すべきものが、たまたま公共企業体に変わったがために、そこの企業で前の分まで全部持つんだということは、私は筋が通らぬと思うのです。おそらく国鉄なんかでもいろいろ運賃の値上げのときに問題になって苦労されると思うのですが、そういう点はやはり政府が出すべきものは出してやって、そうして運営したほうが私はすっきりとそういうものが理論的にも実際的にも合っていくと思うのです。そういう考え方というものは全然持っておらないのですか。それは相当政治性のあることですから、あるいは答弁がむずかしいからちゅうちょされておると思うのですが、たとえば私企業の関係に勤務している労働者の厚生年金でも国が補助金出しておるのです。国鉄は公企体、あるいは三公社は公企体といえども、その経営状態はやはり企業として経営しておるのです。若干独占企業だという特典を与えておるけれども、やはり企業として独立採算制で規制しておるのですね。そういうことから見ると、政府はこの共済組合に対して全然見ない、年金に対して政府は一銭も考えないということ自体、私は根本的に異議があるのです。公企業体だからといってそんなに政府は冷淡にする必要がないと思うのですよ、この問題について。全般の企業については私は国策のためにやっておられるのだから、あるいは別の問題がありますけれども、この労働者の、従業員の立場から見ると、政府が一銭の補助も国鉄あるいは電電公社あるいは専売の労働者に対しては、年金については一つも見ておらない、こういうことになるのですよ。私はそれを言いたいのです。公社が経済がいいからそれで負担したらいいじゃないかということで、あまりに政府が冷淡でないかということを言いたい。もしそういう補助金でも、そういう追加費用でもあればもう少し国鉄や三公社の共済組合で、もっと福祉施設も私は十分できると思う。あまりにも国は冷淡じゃないですか。その点どうですか。
  165. 岩元巌

    政府委員岩元巌君) 国は全然補助していないではないかというお話でございますが、公共企業体の発足前におきましては、先ほども申し上げましたように、これらの事業は国自身が直接行なっておったわけでありまして、その当時の職員は、恩給法あるいは旧国家公務員共済組合法の適用を受ける職員であったわけであります。このことは公社発足後、公企法が施行になりましてそのまま引き継がれまして、その当時の事業主体の負担金の割合は組合員が四五%、国が五五%といった負担でもって負担をしておったわけでございます。それを恩給法等を吸収いたしまして一元化して、現在の公企法で引き継いでおるわけでございますので、現在の公共企業体のほうで五五%あるいは組合員のほうは四五%という負担割合で、現在公共企業体として五五%負担しているということは、これは妥当な措置ではなかろうかと考えるわけであります。
  166. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 妥当々々と言われますがね、こういう現在できておる共済組合なりあるいは民間の年金制度を見ましても、国が全然金を出しておらないというのは三公社だけですよ。国民年金はもちろんのこと、厚生年金、船員保険にいたしましても、国家公務員にいたしましても、地方公務員にいたしましても、その補助の額こそ差がありますけれども政府は見ておるのですよ。したがって、私は国鉄にやるとか電電公社に出すとかそういうことでなくて、そこに働いておるいわゆる日本の労働者といいますか、従業員は国から、年金制度については国鉄は事業主として負担金はしておるけれども、国は全然見ておらないというのでしょう。そういうことは私はこの制度を通覧して間違いである、その額はこれは一〇%あるいは五%でも額によって変わるかもしれませんが、全部公企体にすべて費用を負担させておる。したがって、三公社の共済組合では今日の社会保障制度と申しますか、年金制度からいくと、全く政府は冷酷な措置をとっておると言わざるを得ないのです。三公社は独占企業で非常にもうけておるのですから、それだけの負担をさすというならまた問題が別に起こります。おそらく政府はそうは言いません。私は、三公社の場合でもいろいろやりたいことがある、けれどもこれは経営を切り詰めて独立採算の経営をしておると思うのです。そういうことを考えると、政府はもう少しあたたかい気持で三公社の共済組合についてめんどうを見てやるべきであると私は思うのですが、給与課長大蔵省代表してあなたどう思いますか。
  167. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 社会保険主体というものをどういうふうに考えるかという問題が基本であろうかと思いますが、社会保険主体は常に国にあるべきかどうかということにつきましては、昨年の地共法制定のときにもいろいろ議論された点であります。ただ確かに形式上から申しますと、もし公企体というものを、国と完全に別のものであって、したがって、性格も違うものであると考えるならば、先生の御立論もわからないではありません。また同時に、公企体が国の特別会計から分かれて一つの公社制度になったとしても、実体的な面ではそうした退職公務員に対する給与やり方なり、あるいは財源負担について特にたよる必要があろうかどうかという議論があろうかい思います。また、その当時の考え方としましては、公社に移行する際は、国から、その当時持っておりました一切の資産、負債、債権、債務を全部そのまま引き継ぐという考え方もあったわけでありまして、そういった沿革的な経緯から今日の規定を設けられたということは当然じゃないかというふうに考えるのです。
  168. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 僕は何べんも言いますが、あなたの場合は国鉄あるいは三公社は国の一つの機関の延長である、したがって、国鉄あるいは三公社、専売、電電公社が持っておる負担は国が持っておる負担と同一である、こういう考え方ですか、手っとり早く言えば。
  169. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 私の申し上げておるのは、国そのものであるということを申し上げておるのではございませんで、社会保険主体であるもの、社会保険主体としての、公経済主体という、言葉はちょっと何ですが、公経済主体という言葉を使わせていただけば、公経済主体は、国あるいは地方公共団体も公経済主体、また、三公社も公経済主体として考えられてしかるべきではないかと思います。
  170. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 むずかしい言葉を使いましたが、私の言っておるのは、今、年金制度を、先ほど例をあげましたように、たくさんあるでしょう。国が全部法律で作って、それに対して、補助率は違いますけれども、国が負担した費用というものは、相当出しておるのですね。国鉄あるいは三公社の場合にはそれは一つも出しておらない。出しておらない理由は、先ほど言われたが、国鉄はいわゆる政府の延長した機関のようなものであるから、国鉄自体が、あるいは三公社自体が負担しておる分は、国が負担しておるものと見てもいい、という主張かどうかということを聞いている、また、それならそれで私の質問の内容が変わってくる、そういう意味ですか。
  171. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 公企体自体が国と同じものであるというふうには申し上げておるのではありません。ただ社会保険主体となり得るものは、昨年の地方公務員共済組合法制定のときに問題になりましたように、あるいは国であり、あるいは公企体であり、あるいは地方公共団体であり得るのではないかという意味で、公企体もまた公経済主体として負担すべき負担をとっていいのじゃないかという意味であります。
  172. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 地方公務員の例を出されましたけれども、地方公共団体の負担は一〇%というのは、あれはやはり地方交付税なりそういう国の費用の延長として負担しておるのですから、国が別に補助金を出さなくてもそれによってかわっておるのだという説明ですよ。
  173. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 当時の御説明は私ども詳しくは存じませんが、それは確かに一般財源として結果的に見て国がある程度補助するということはあろうかと思いますが、それが直ちに国が負担しておるものだというふうには私ども考えておりません。
  174. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはあのときの論議は発展させませんが、そういう説明で、国が直接補助しなくても地方交付税で行っているのだから、国の負担と同じように、地方公共団体負担しても国の負担と変わらないのだという説明、私はそういう考え方でいいと思いますが、そういう考え方なら、国鉄、三公社負担してもいいのですが、国がそういう考え方で、ある程度の分は国鉄あるいは三公社の経営の中にそういう要素が入っているのだという自覚があるかどうかということ、それを私は言いたいのです。三公社が負担しても、三公社がいかなければ最後は国の責任になってくるかもしれませんが、そういうものまで企業体が負担しているのだ、そういうものまで経営の中に要素としてあるのかどうかという自覚が、政府部内にあるかどうかということが一つの根本問題であります。先ほど言われましたように、法律でやるのだからそうしているのだというようなことで、簡単に片づけちゃ将来問題があるというので私は言っているのです。それ一問で置きますが、どうですか。
  175. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 確かにこういった追加費用の負担が、負担の結果、公企体の経費として何がしかの資金の投入されていることは事実であります。その点は私ども認めます。
  176. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 昭和三十一年できたのですが、その後そういう費用は、大蔵省は、三公社でどのくらい実は負担しているのかということの概数を握っておりますか。
  177. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 毎年度の追加費用の負担率については、私存じております。
  178. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 どのくらいですか。
  179. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 昭和三十五年度以降についてちょっと御説明申し上げますと、専売におきまして額で二億七千二百万円、率にいたしまして〇・〇二八、それから国鉄の場合におきまして三十九億八千八百万円、率にいたしまして〇・〇三六であります。それから電電は七億一千九百万円で、率にいたしまして〇・〇一六でございます。これはそのパーセンテージは予算案できめられた俸給総額に対する率で計算いたしました。その後三十六年度、三十七年度、三十八年度と漸次増加いたしております。
  180. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは三十六年度末の帳じりですか、帳じりというか、トータルですか。
  181. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 毎年度の繰入額でございます。
  182. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 毎年度の繰入額というと、今までのトータルじゃないのですか。
  183. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) トータルではございません。たとえば専売の場合でございますと、三十五年度において二億七千二百万円、三十六年度において三億七千四百万円、三十七年度においては四億七千五百万円、三十八年度においては四億九千三百万円繰り入れたことになっております。
  184. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ最後に聞いておきますが、今までの追加費用として、三公社別で総額どのくらいになりますか、概算でいいが。
  185. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 三十四年度以前については正確でございませんが、かりに専売で申しますと、三十五年度以前が、二億平均であったと考えますならば、約二十億程度ではなかろうかと思います。国鉄の場合におきますと、ちょっと今のところこまかい数字がありませんので、あとで取り調べて申し上げます。
  186. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 将来は別として、今まででも、そういう政府負担するかどうかは一応別として、追加費用として、恩給法が施行されておればそれだけ出さなければならない金が、国鉄の場合にはおそらく三百億を上回るような金が、三十九億と言われた、これは一年ですね、十年でないから、大体三百億程度のものは国鉄が負担していることになる——負担というと悪いが、そういう費用ということになるのですね。
  187. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 正確な数字はわかりませんが、大体三百億ぐらいになるかと思います。電電の場合におきましては約六十六億ぐらいになるかと思います。
  188. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 将来これは上向線をたどって、また下降して最後はなくなる費用ですから、将来永久というわけじゃございませんが、これは公共企業体の経営上相当私は長年累積すると大きい負担になってくると思うんです。  私は、時間もだいぶ過ぎたのでこれで終わりますが、なお若干私はまだ残っております。きょうは非常に質問者が多くて私はこれで二時間まだやっておらないと思うのですが、まだだいぶあるのですが、きょうは一応私はこれでおいて、また、木曜日に伊藤委員が言われたあと、また私やりますから、きょうはこれで一応おきたいと思います。
  189. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  190. 村山道雄

    委員長村山道雄君) 速記をつけて。  他に御質疑はありませんか。——他に御発言がなければ、三案の質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時三十一分散会    ————・————