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鈴木強君 私は、
日本社会党を代表して、ただいま議題となりました
電信電話債券に係る
需給調整資金の
設置に関する
臨時措置法案に対し、反対の立場を明らかにして討論をいたすものであります。
反対の理由の第一は、本法制定の基本的な
考え方についてでございます。
御
説明によりますと、この
法律案は、
電信電話設備の拡充のための暫定
措置に関する
法律並びに
電話設備費負担臨時措置法に準拠して
加入者が
引き受ける
電信電話債券について、その
需給の
調整と
価格の安定を期するために制定する、こういうことでございますが、私は、率直に、今日
電電公社の
健全経営の実情、並びに
電信電話債券の国内外を問わず
信用の強いことにつきましては、天下周知のとおりでありまして、当面
政府がお
考えになるような、
電信電話債券の
暴落によって
加入者に迷惑をかけるというようなことは、私は想定ができないのであります。そういう義務に基づいて
加入者の
皆さんを保護するという、私は、その精神を否認するのじゃなくて、むしろ、そういう精神であるならば、私が
質疑の中で申し上げましたように、何も、
相場が下落したときにこの
法律を発動するということではなくして、
現実に、今日われわれの前に展開されております、具体的な大量開通等の場合において見られる一部業者の行為等によって不利益をこうむる
加入者諸君に、一日も早く手を差し伸べるべきではないか。
大臣は、この点について、業者を何らか取り締まる
法律案を今
国会に出そうとしておりますが、これはなかなか、しかく簡単には参りません。
電話七十年の歴史を見ても、そのことは私は立証できると思いますので、もちろん、われわれは、そういう
法律案が今度の
国会に必ず提案をされ、可決成立せしめて、今問題になっておる当面の問題を除去できれば、その面に対する
一つの憂慮はぬぐい去られるのでありますけれ
ども、しかし、おそらくこれも不可能に近いことだと私は思います。したがって、むしろ、そういう
意味において、下落をする、
暴落をするというときに備えることじゃなくて、下落をする、
暴落をすることのないような
電信電話債券のふだんにおける安定政策というものを
考えていくことが焦眉の急務であって、このねらっておるところの立法精神は、私の認めることができないところでありまして、そういう基本的な立法精神に対して、われわれ社会党と、提案をされております
政府の間に、大きなへだたりのあることを発見したわけでありまして、ここに私は反対理由の第一を申し上げるわけでありますが、なお、希望
意見として強く述べておくならば、われわれがこの審議を通じて主張いたしましたような、平常における
市場における安定政策というものを十分
考えて、この
法律の運営をなされるように希望するものであります。
それから反対理由の第二は、第一の理由とも関連をいたしますが、
法律第四条によって、
郵政大臣が大蔵
大臣と協議をして
資金運用の
基準を定めることになっておりますが、この
基準については、第一次
取得者に限定し、しかも一定
価格以下に下落した場合にこの法を適用する、ただし、例外として、必要があれば、
郵政、大蔵、電々
公社の三者の協議によって買い上げることもできる、こういう御回答をいただいたのでありますが、この一定
価格というものは、
質問をすればするほど幅のあるものであり、しかも、二十二億というわずかな
資金源からいたしまして、場合によったら、このあいまいもことしておる一定
基準価格というものを、いかようにでも移動せしめてコントロールができるというような、きわめて危険の伴うものだと私は思います。たとえば、
資金がないために、七十五円で発動しようとしておったのだ、が、それは七十円になるまで待たなければならない、こういうことが具体的に
政府委員の答弁の中からも出てきております。まことにこれは遺憾な問題だと思います。
もしこの立法精神を
加入者が理解をし、最悪の場合に
政府があたたかい手を差し伸べてくれるだろうと期待して電々
公社の拡充計画に
債券を
引き受けて
協力する
人たちが、かりに今後
市場において
相場が下落をし、買ってもらえるだろうと期待しておった人が、二十二億や何かの
資金によって一部は
引き受けてもらったけれ
ども、大部分は
引き受けられなかったということになりますと、
一体その責任はだれがとるのか、そしてその
加入者諸君に相当な混乱を起こして、収拾できない
事態が起きることは明らかであります。したがって、私は、この
基準の設定等についても、きわめて問題があるし、また第一次
取得者をどうして認定するかということにつきましても、なかなか
質疑の中でこれを明確に認定する方法がないことを知るわけでありまして、非常に第四条の中には理解に苦しむ点がたくさんございます。
しかも私は、この
資金の問題については、
昭和三十四年、
減債基金として
郵政大臣が
承認をし、
決算上四十億円の
資金の積み立てを認めたにもかかわらず、三十七年、
電電公社の建設
資金のほうにそのうち二十億円繰り入れる
措置をしておる。今日その残りの二十億円と、これに対する利息二億円を合わせて二十二億円をこの
資金源としようとしておる。こういう見え透いた
措置をやっておる。
一体減債基金制度はどこへいっておるか。一方では、基金
制度を認めておる
郵政大臣が、その
減債基金制度はどこかにいってしまって、何かしらぬ、その肩がわりをしたような
格好で二十二億を
調整資金として出してきたことは、私の了解に苦しむところであります。
一体、この
減債基金がどうなっておるのか、明確なお答えがなかったままに
質疑を終わっております。この点は、私はきわめて不明朗な点があると思います。
なお、
資金の繰りかえにつきましても、一方的に、
公社は、支払上、
現金に不足をしたときにこの
資金を使ってもよろしいと、こういうような第六条の定めがございますが、なるほど、この
法律の精神が、私
たちの
考えたとは全く違う精神でありますから、二十二億円積み立てておる、したがって、その金は必要によって
公社が使ってよろしいと、こういう精神だと思いますが、
質疑の中でも明らかになりましたように、私は、少なくとも、たとえ少額であっても、積み立てた以上は、その金に手をつけられないで、どういう
事態が起きても適切な
措置が間髪を入れずにとれるような立場に
資金の
運用をおくべきだと思います。
なおまた、こういう
法律を作るからには、
予算総則上の点も勘案をして、逆に、この
資金の不足を生じた場合において、
郵政大臣と大蔵
大臣とが協議をし、ある一定の限度に限っては
予算総則上この
資金に繰り入れができる、こういう逆な
措置もお取りになったら、幾らか
資金運用に対しても妙味があったと思いますが、その点については、
法律上の、ミスであると思いますけれ
ども、
一つも触れておらない、まことに片手落ちの
資金運用の操作の繰りかえ
措置だと思います。
第三の反対理由は、第七条の事務の委託でございます。
この点につきましては、
電電公社は、第三次、第四次と、これから約一千万個の
加入電話をふやす拡売計画をわれわれの前に示しておりますが、そういう膨大な仕事をかかえておる
公社が、この
法律施行によって、事務が
公社の上におおいかぶさってくるということになりますと、要員
措置を完璧にしない限りは、本来の事務に支障があると思います。
質疑の中には、要員
措置については何ら
考えておらない。そうなれば、勢いこの付帯的にやる事務については、証券業者にこれを当然委託することになると思います。しかし、そのことについても、この
法律案審議の中で、
郵政大臣の認可を受けて定めるというこの規定の内容が、
一体どのようなものであるか、
電電公社からも、今日に至っても、まだわれわれに明快な答弁ができるような結論が出ていないことは、まことに私は遺憾だといわなければなりません。着々と準備は進めておるというようなことで、この
法律に対して、われわれが必要とする要求に対して、答弁ができないということは、まことに遺憾なことだと私は思います。したがって、要員
措置が万全であり、その上に立ってこの
法律の精神を遂行しようとする
考え方がここにも見られませんので、私は反対せざるを得ないのであります。
おそらく、いつの日か、われわれのこの反対の理由に対して、
政府当局が、なるほどそうであったかという、私は反省をするときがくると思いますが、そのことがおそきに失したということがないように、ひとつ万全の対策も立てていただくよう、私は期待をして、反対の討論を終わりたいと思います。