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鈴木強君 私は、
日本社会党を代表しで、ただいま議題となりました
放送法第三十七条第二項の
規定に基づき、
国会の
承認を求めるの件に対し、以下申し上げる附帯決議と三つの希望
意見を付しまして、賛成をいたすものであります。
附帯決議(案)
政府並びに
日本放送協会当局は、左に掲げる事項の
実施につとむべきである。
一、難視聴地域の解消対策を積極的に推進すること。
一、
教育テレビ放送網の拡充並びに
教育放送番組の強化をはかること。
一、経営の
合理化、能率の
向上をはかることによって、従業員の待遇改善につとめること。
右決議する。
この附帯決議につきましては、あえて説明を加える必要はないと存じますが、特に
最後の従業員の待遇改善につきましては、私は事業は人であるということを絶えず申しておるのでありますが、やはり
協会の
使命を完全に達成するためには、そこに働く職員諸君が自信を持ってその業務に邁進することにあると思います。それには、まずその裏づけになる待遇の改善ということは当然であろうと思いますから、今、
協会の待遇は、同類の新聞
報道関係に比べましても中ないし中ちょっと上というところにありますので、私は、あえてこの附帯決議をもって、今後経営の
合理化と能率の
向上の上から、ひとつせめて
一般の新聞
報道関係並みまで職員の待遇ができますように、強く希望するものであります。
それから次に、希望
意見の第一は、
FM放送の開発、
普及についてでございます。
NHKは、
FM放送の開発、
普及のために、今
年度十七の
FM放送局ら建設を行なうことを
計画されておりますが、これにつきましては、
質疑の中で明らかになりましたように、目下
郵政省において、
FM放送の全面本
実施のために、
技術基準、
免許方針等の準備を進められておりますが、わが国におきましては、VHF帯の実験
放送は、
昭和三十二年十二月四日に初めて
電波を発射して以来、ここに五年半を経ております。この間における実験の結果は、
FMがAM
放送に比して音質の点で比較できないほどの良音を送出できること、雑音も入りにくく、混信の少ないこと、昼夜の感度の差がほとんどなく安定した
放送のできることを立証されているのでありますから、
郵政省当局は、これらの
結論を十分勘案されまして、早急に
技術基準、
免許方針を御決定になられ、この中に
計画をされております十七の
FM放送が
協会の
計画どおり
実施できますように、格段の御配慮をお願いしたいのであります。
その二つ目は、オリンピック
東京大会についてでありますが、オリンピック
東京大会の
放送の完璧を期するために、
NHKが着々と準備を進められておりますことは、私
ども十分
承知いたしましたが、しかし、万一この大会において、その報道の一部においてそごを来たすようなことがあったといたしましたら、わが国のこの面における信を世界に失墜することになりますので、万全の上にも万全を期せられ、全世界の目と耳が
東京に集中をされることに思いをいたされまして、万遺漏なきよう格別の御配意をいただきますよう、私は強くこの際申し上げておきたいと思います。
三番目は、経営のあり方について、私はこの際幹部各位に一言苦言を申し上げておきたいと思います。
NHKが
放送法の立法精神に基づき年ごとに拡充発展の一途をたどっていることは、御同慶にたえません。しかしながら、昨今民放の発展も目ざましくなりまして、これとの
関係で、特に
協会が聴視料を取って
運営をいたしております等の
関係から、
協会に対する批判も私はきびしくなっていると思うのであります。
委員会の審議を通じて、
協会の業務は、
ラジオ第一、第二、
テレビの総合、
教育、カラー
テレビ、
FM放送、国際
放送、
教育通信高校開設等、これが助成、年末助け合い運動、海外特別
番組の編成等々、広範多岐にわたっておりまして、下手をすると大男総身に知恵が回りかね、こういったことわざがありますようなことになるのではないかと、私は一面心配をしておるものであります。
NHKは
公共放送の上にあぐらをかいているのではないか、こういう町の声も一部に聞かれるのであります。現在のところ、
協会の経営は、
収入の面において、非常に
テレビの
普及が目ざましいものがありますから、伸びておりまして、比較的良好に経営ができるのでありますが、この状態がいつまで続くかということは保証の限りではなく、今でも料金は取らないでやれないのかとか、あるいはもっと安くならないのか、こういう声を私は聞くのでありまして、もし少しでも心がゆるむということになりますならば、そういう面からの
協会に対する批判というものは、また経営の面における問題点は、私は幾多出てくると信ずるのであります。したがって、甘いお
考え方は持っておらないことを私はかたく信ずるのでありますが、そういうことのないように、ひとつ幹部各位の一そうの研さんと、それからより姿勢を正しくしていただきまして、将来にわたる展望と見通しを的確に把握され、しっかりした
基本方針を作られて、全員一致事業発展のために邁進せられるように期待をいたしまして、討論を終わります。