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1963-05-14 第43回国会 参議院 地方行政委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年五月十四日(火曜日)    午前十時二十七分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     石谷 憲男君    理事            小林 武治君            西郷吉之助君            林  虎雄君            市川 房枝君    委員            沢田 一精君            館  哲二君            西田 信一君            秋山 長造君            占部 秀男君            鈴木  壽君            松本 賢一君            鈴木 一弘君            基  政七君   国務大臣    自 治 大 臣 篠田 弘作君   政府委員    自治大臣官房長 大村 襄治君    自治省行政局長 佐久間 彊君   事務局側    常任委員会専門    員       鈴木  武君   説明員    自治大臣官房参    事官      松島 五郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方自治法の一部を改正する法律案  (内閣提出)     —————————————
  2. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) ただいまより地方行政委員会を開会いたします。  地方自治法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回までに説明を聴取いたしておりますので、これより質疑を行ないます。御質疑の方は、順次御発言を願います。
  3. 林虎雄

    林虎雄君 今回の地方自治法の一部を改正する法律案内容でありますが、まあ大体におきまして財務制度改正と、それから地方開発事業団設置ですか、この二つだと思いますが、そういうわけですね。そこでまあ財務制度は、大臣説明の中にも府県制、市制、町村制当時のものを踏襲しておったのが、今度は実情に照らして、かなり改善をしたということでありますが、旧の府県制市町村制当時の制度に対して、かなり思い切った改革をしたわけでありますか。
  4. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 従来の制度に対しまして相当思い切った改革をいたそうとしているわけでございます。
  5. 林虎雄

    林虎雄君 この改正の具体的な内容でございますが、監査委員制度は、従来も府県においては四人、あるいは市においても、町村においても置くことができるということになっておりますが、今度従来の「置くことができる。」というのを必置制にするという意味改正されたわけですね。そこで代表監査委員制度というものを設けることになっておりますが、従来も常勤制度というものがあって、ほとんど同じ任務を遂行するのではなかろうかと思いますが、どうしてこの常勤制度代表監査委員制度にしたのか。その意義はどこにあるのですか。
  6. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 従来の常勤監査委員と今回の代表監査委員とは、性質が違っておるわけでございます。で、従来、監査委員につきましては、常勤でございましても、あるいは非常勤でございましても、監査委員としての職務権限につきましては、何ら違いはなかったわけでございます。ただ、常勤の方は、比較的多くの分量の監査を担当されるということであったわけでございまして、今回もその点につきましては、監査委員権限につきましては、常勤でありましょうとも、非常勤でありましょうとも違いはないわけでございます。ただ、監査委員が複数でございます場合には、監査委員の内部管理的な庶務的なことを、たとえば事務局職員の任免でございますとか、あるいは予算要求書を作成するとか等々の庶務につきまして、これはどの監査委員責任をもってやるかということにつきましては、従来、実際の運用といたしまして、監査委員の間で協議をいたしましてきめておったわけでございまして、その場合、おっしゃいますように、常勤監査委員がそういう役をいたしておったことが多かったと思うのでございます。今度は、それを、制度的に代表監査委員というものを設けまして、その代表監査委員庶務だけをやるということでございまして、監査そのものにつきましては、代表監査委員が特別な権限を持つということはないわけでございます。
  7. 林虎雄

    林虎雄君 そうすれば、常勤制というものは廃止して、代表監査委員というものが、常勤的な、しかも権限代表するという形になるわけですか。
  8. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 常勤制はそのままで、変更を加えておりません。
  9. 林虎雄

    林虎雄君 そうすれば、代表でなくても、常勤というものは別にあっても差しつかえないということですね。
  10. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) そうでございます。
  11. 林虎雄

    林虎雄君 それから、市には三人ないし二人、町村は二名ないし一名となっておりますが、いずれも議員を一名加えるものとする、そういう考え方に立っておるわけですか。
  12. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) さようでございます。
  13. 林虎雄

    林虎雄君 それから、事務局でありますが、事務局も今までの自治法にも、二百条でありますか、ありますが、これも、従来のは、「置くことができる」でありましたね。ですから、今度は必置制にするという意味でありますか。
  14. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 都道府県につきましては必置制にする、市につきましては任意設置にするという趣旨でございます。
  15. 林虎雄

    林虎雄君 それから同じ問題で、おしまいのほうを見ますと、職員賠償責任制度でありますが、従来もあったわけですが、今度はさらに合理化するということですが、その内容を承りたいと思うのです。
  16. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 一番大きな点は、従来は、出納長収入役出納職員だけを対象にいたしておったわけでございますが、今回は、そのほかに、たとえば物品を使用しております職員でございますとか、あるいは予算執行、たとえば支出負担行為を担当しております職員でございますとか、さらに、工事検査監督の職責を持っておる職員でありますとか、そういう者に広く拡張をいたした点でございます。  それから、第二番目には、賠償責任の有無あるいは賠償額ということにつきましては、監査委員の決定を求めるということにいたしたわけでございます。そのほか若干、字句の上で不備でありました点を整備をしたということでございます。
  17. 林虎雄

    林虎雄君 その次に、契約締結に対する基準を定めるという点であります。九十六条ですか、請負契約が主だと思いますが、従来の法律には、「重要な契約」ということになっておりますけれども、金額については、各府県、各町村まちまちだと思うのです、議決をする場合に。それを政令によって一定基準を設けるという意味に解していいわけですか、今度の改正については。
  18. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 現行法は、御指摘のように「条例で定める重要な契約」ということになっておったわけでございますが、地方財務会計制度調査会答申におきましては、契約締結は、予算執行面仕事でありますし、予算につきましては、議会審議をしているわけであるから、あとの執行については、責任を明確にする意味において、原則として長にまかせてしまったほうがいいという趣旨答申をいただいたわけでございます。しかし、まあいろいろ実情等も検討いたしました結果、全然議会議決事項からはずしてしまうということは、やはり行き過ぎではなかろうか、そこで調査会答申趣旨も勘案をいたしまして、従来、条例にまかせておりました契約程度を、政令で合理的な基準をきめることにしようというのが、この改正趣旨でございます。
  19. 林虎雄

    林虎雄君 「政令で定める」というのは、府県市町村とはおのずから、額その他についても相違があると思いますが、大体政令で定めようという内容程度は、どの程度のことをお考えですか。
  20. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 御指摘のように、府県市町村によりまして、かなり現状におきましては、ばらばらでございます。同じ都道府県におきましても、これは三十四年の調査でございますが、工事一般競争入札につきまして、最高は九千万ということを定めておりますし、最低は一千万というように、非常に開きがあるわけでございます。そこで、これらの点につきまして、もう少し合理的なものを定めようという考え方をいたしております。ただ、私ども調査をいたしておりますのは、一応、三十四年当時の数字でございますので、現在、最近の実情をあらためて照会をいたしておりますので、その資料が集まりましたところで、具体的な額は検討をいたしたいと思っております。
  21. 林虎雄

    林虎雄君 ちょっと変わりますけれども、同じ問題ですが、請負業者ですね、議員が相当にあるのですね。現行では、議員であっても、だれでも、請負契約は認められておりますけれども、旧の府県制市町村制等においては認められなかった、そう記憶しておりますが、現行法議員請負契約ができることに対する弊害というものについては、お考えありませんか。
  22. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 御指摘のようにいろいろ弊害が見受けられましたので、その後地方自治法改正いたしまして、現在九十二条の二の規定禁止をいたしております。
  23. 林虎雄

    林虎雄君 禁止をしておりますが、名目はともかくとして、実際行なっているということについてお気づきはありませんか。この事例はありませんか。
  24. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 詳細は承知いたしておりませんが、私どものほうに、こういう形態をとった場合にこの規定に該当するだろうか、どうだろうかというような照会がままございますので、それらの点から推測いたしますというと、実質上はこの精神からいって問題になるようなケースが多少あるのではなかろうかというふうに考えております。
  25. 林虎雄

    林虎雄君 その次に、地方開発事業団に関する事項につきまして若干承りたいと思います。大体これを読んでみますると、数市町村にまたがる開発事業、あるいは県から他の県に関係しております場合に、事業団を設けまして、特別地方公共団体として取り扱っていくということになっておりますが、すでに府県単位の場合に考えますと、これは特定の河川というようなものだけでありますけれども国土総合開発法がありまして、特定地域が指定された場合には、関係府県審議会等を設けまして事業の推進をはかっておる、あるいは数市町村にまたがっておりますような仕事をやる場合には、一部事務組合というようなもので行なっておるわけですが、この事業団発足いたしますと、従来の特定地域指定等による審議会あるいは一部事務組合というようなものとの関連は、どういうふうにお考えになっておりますか。
  26. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 現在、御指摘のように地方公共団体共同事務を処理する方式といたしまして、協議会方式あるいは一部事務組合方式があるわけでございますが、従来の方式ではいずれも最近におきます一定地域における開発事業共同でやります方式といたしましては不十分であるというところから、事業団制度を新しく設けることにいたしたわけでございます。その理由といたしましては、協議会は御承知のように連絡協議をする、あるいは計画を作成するということでございまして、独立の法人格を持っておるわけでもございませんし、この協議会自体事業主体になるということは予想いたしていないわけでございます。それから一部事務組合は、これは事業団性質が似ているわけでございますが、これも現行の一部事務組合でございますと、病院の経営でございますとか、あるいは水道だけの維持管理でございますとか、そういう定型的な特定事業共同でやるというような場合には、現在の一部事務組合が適しておるわけでございまするが、数種の開発事業一定計画に基づいて総合的に実施をするというような場合には、そうした弾力的な、能率的な事業活動には一部事務組合制度では不十分だというところから、いわば一部事務組合をもう少し開発事業に適応したものに若干の変形を加えたのが、今回の事業団構想でございます。  したがいまして従来ございます協議会は、もちろん、事業団制度ができましてすぐこれに振りかわるということはございませんし、一部事務組合もすぐこれに振りかわらなければならないということはないと思います。ただ現在特定地域におきまして、水道なら水道だけの一部事務組合がございます場合に、今度はその地域におきましてほかの道路港湾下水住宅等、数種の事業共同してやろうというために事業団を作ります場合には、当然現存の一部事務組合事業団に吸収される、そのような成り行きになろうと予想いたしております。
  27. 林虎雄

    林虎雄君 事業団発足の動機といいますものは、新産業都市発足に伴って数個の市町村との関連が出るから、こうした考え方が出たと思うのであります。したがって、この開発事業団考え方は、府県との関連というよりも一つまり国土総合開発法府県との関連というよりも、むしろ市町村というものを主として想定しておるような感じでありますけれども、そういう解釈でいいのでありますか。
  28. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) お話のように、私どもこの地方開発事業団構想は、新産業都市建設ということを一つの契機といたしまして検討いたしたものでございますし、さしあたりこれが活用されますのは、新産業都市に指定された区域が多かろうと予想いたしておるわけでございます。ただ新産業都市に指定されました区域におきまして事業をやります場合に、もちろん関係市町村主体にはなるわけでございますが、しかし地域実情を見ますというと、それに関係府県も加わって、府県市町村一緒になって事業団を設立するということが、むしろ実情に適しているという場合が多いのじゃなかろうか。そういう場合には、府県市町村一緒になって事業団設置するということが可能であり、またそういうことができるように考えているわけでございます。
  29. 林虎雄

    林虎雄君 事業団には理事長理事監事等を置いて行なうことになっておりますが、この場合に府県知事とか市町村長あるいは議員という立場にある者が、これを兼任するという、そういう構想ではあるわけですね。
  30. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 事業団理事理事長監事につきましては、法律上は関係地方公共団体規約によりまして、その選任の方法を決定する建前にいたしております。したがいまして、規約におきまして関係市町村長をするということもありましょうし、あるいは理事長理事にはむしろ民間の事業経営につきましての適材を招いてくるというようなことも可能であると考えておるわけでございます。で、地方公共団体の長が理事長あるいは理事になります場合には、長の兼職禁止規定を排除いたさなければなりませんので、それは三百四条の第十項にその規定を置いております。ただ議員につきましては兼職を認める規定を置いておりませんので、地方自治法原則どおりに兼務はできないというふうに考えております。
  31. 林虎雄

    林虎雄君 事業団が行なうべき事業内容は非常に広範で、「住宅工業用水道道路港湾水道下水道」等の建設、そうしてこれらの施設の用に供する土地、工場用地等の取得、造成というふうに非常に広範にわたっておるわけですが、すでに、これらの仕事をしておりますのは、たとえば府県あたりでは特別会計企業局などを設置いたしまして、かなり具体的に仕事を進めておるように伺っております。また住宅等については、御承知住宅公社というものが各府県等にありまして、用地の買収とか建設とかあっせんとかやっておりますし、それから観光的な開発には観光開発公社というようなものが全国にかなり多数今あると思いますが、これと、この事業がダブるといいますか、このままこの住宅公社なり観光公社なりを存置しておきますと、かなり屋上屋のような、あるいは競合するようなことになるような感じがいたしますが、この点はどのようにお考えになりますか。
  32. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) ただいまの御質問お答えいたします前に、先ほどの御質問に対するお答えに若干修正をさしていただきたいと思います。先ほど議会議員理事長理事と兼ねることができないと申しましたのは常勤理事長理事と兼ねることができないのでございまして、非常勤の場合でございますれば禁止をいたしておりません。  それからただいまの御質問でございますが、現在県の企業局というような形で開発事業を行なっておりますものは、これは県の内部組織としてあるわけでございますので、これは、今回事業団制度を採用することになりましても、県で引き続き県の内部組織として事業をやっていこうという場合には、そのまま存置しておいて一向差しつかえないと思いますし、また、それらの事業も、開発事業団を作ってそちらに移して、そこでやろうという場合には、そうすることも一向かまわないわけでございます。それから住宅公社観光公社等のいわゆる公社でございますが、これは法律上の性格から申しますと、民法上の財団法人でございますとか、あるいは商法でいう株式会社でございます。それに地方公共団体が相当多額の出資をし、あるいは役員等を送り込んで、事実上は地方公共団体の外郭の機関あるいは分身的な機関のような形で運用がなされておるわけでございます。したがいまして、いわゆる公社につきましては、地方公共団体コントロールの点が従来欠けておったわけでございます。地方公共団体、ひいては住民の監視、監督という点が欠けておりましたので、それでは、地方公共団体から相当多額の税金をつぎ込んで仕事をしておるのにコントロールができないというのは適当でないというので、昨年地方自治法改正をお願いいたしました際に、それらのいわゆる公社に対しましても長が報告を求める。あるいは監査委員に命じて監査をさせる。あるいはその徴した決算等議会報告をするというような最小限度監督の道を地方自治法に置いたわけでございます。しかしながら、率直に申しまして、いわゆる公社地方制度のいわば私生児のようなものでございますから、そういういわゆる公社が乱立されて参りますことは地方自治制度建前から申しまして歓迎すべきことではない。むしろ抑制をしていくべきではなかろうか、かように考えておるわけでございます。今回の地方開発事業団制度は、そうした現在ございますいわゆる公社の長所というものも相当程度取り入れて、しかも地方自治法の中の特別地方公共団体としてそうした事業を営み得るようなものとして考えたわけでございますので、その地域地方開発事業団設置されることになりますれば、その地域で現にこれらの事業を行なっておる住宅公社等は当然地方開発事業団に吸収すべきものだと、かように考えております。
  33. 林虎雄

    林虎雄君 新産業都市発足であるとか、広域経済といいますか、経済の範囲が広くなってきておりますが、開発事業団考え方はけっこうだと思いますけれども開発事業団ができまして、はたしてこの所期目的を達成するような仕事ができると、言いかえるならば、財政的な力が——従来地域開発等によりまして起債ワクもきまっておりますけれども、この開発事業団発足いたしますと、この起債等の場合に従来の地域開発ワクの中で、起債ワク対象となりますと、従来の地方開発が縮小されるだけで、少しも飛躍するような、事業団としての所期目的を達成できないのではないかと思うのですが、この起債ワクというものはどのように、別ワクといいますか、それを考えておられるのですか。
  34. 松島五郎

    説明員松島五郎君) 事業団が今後どの程度にできて、どの程度仕事をやっていくかという問題は、法律ができました暁を見なければはっきりしたことはまあわからないわけでございますけれども、一般的にこうした事業団のようなものを作って、法に掲げられておりますような仕事を推進していかなければならないという客観的な情勢がすでにあるわけでございますので、すでに御承知のとおり本年度から地方起債計画の中に地方開発事業債というようなワクを設けまして、ここにたしか四百三十億ばかりの地方債ワクを別ワクにとりまして、こういった事業に対応していきたいというふうに考えておるわけでございます。もとよりこのほかに工業用水でございますとかあるいは水道下水道というようなものは、従来もそれぞれ地方債ワクを持ってきたわけでございますけれども、これらにつきましても三十八年度は相当大幅に増額をはかってきておりますので、それらの起債運用によりまして事業団事業が円滑に執行できますように改良いたして参りたい、かように考えております。
  35. 林虎雄

    林虎雄君 地方開発関係起債ワクが四百二十九億ですか、その程度あるようですけれども、これは地方開発事業団というものが発足する前の、もうすでにいろいろ計画されております各地方開発計画にならって、この四百二十九億という起債ワクができたと思うのですが、そのほかに一体どの程度のものを地方開発事業団としてワクがとれるかという見通しですね、その点をお聞きしたいのですが。ということは、前にも申し上げましたように、従来のワクの中でもってやりくりしておったのでは、もうすでに計画されている地域開発がそれだけ狭められる。仕事が、起債ワクが狭くなってきて、それに事業団のほうから侵害されるということになりまして、国全体としての開発計画というものは結局大したことがないじゃないかということにならざるを得ないと思いますが、その意味で四百二十九億のほかに、一体地方開発事業団として特定起債ワクというものはどのように考え、そうしてまたどの程度見通しが可能かという点ですね。今お話では、若干何とかしなければいけないということのようですけれども、もう少しはっきりしないと、従来のワクの中で食い合ってしまう、お互いに競合してしまうということになるというおそれがあって、せっかくの事業団有名無実のような感もあるわけですが。
  36. 松島五郎

    説明員松島五郎君) この事業地方債ワクが、ほかの事業に食われてしまうので事業団のほうに回らないのではないかというような意味のお尋ねであったかと思いますが、この地方債計画を作りますに際しましては、各方面からの資料に基づきまして来年度行なわれるであろう事業を積み上げて計算をやっております。事業団を作るかどうかという問題は、そういう事業をやる一つ方式でございまして、事業団ができたからといって、そのために事業団がそのワクを食って、ほかの仕事ができない、あるいはほかの仕事でそのワクを食って事業団仕事ができないというようなことではなくて、水道なら水道下水なら下水という問題について、来年度全国的に見てどの程度事業があるかということを基礎にして地方債計画を作っておるつもりでございます。したがいまして、その中でそれを実施する事業の遂行の方式として事業団という形式をとったから、あるいは地方団体がみずからやるからということには、必ずしも関係がないのではないかというふうに考えております。
  37. 林虎雄

    林虎雄君 松島さんのお答えは、確かにそういうダブる点はあると思います。たとえば新産業都市建設の場合には、従来地域開発考えておったところの水道なり、その他の起債というものは事業団の方へ移すことは、これはいいのでありますが、しかしそれだけでは新産業都市発足というような大きな構想に対しては、あまり財源的には貧弱ではないか。くどくど申し上げますが、四百三十億という地方開発予算ワクといっても、これはまだこの自治法改正にならない、地方開発事業団発足ということを想定しない前のワクであります。少なくとも地方開発事業団というものが発足いたしますと、これにどの程度かは、まあ程度問題は別ですが、プラスしなければ意味はないというふうに思うのですが、これはどうですか。
  38. 松島五郎

    説明員松島五郎君) 先ほども申し上げましたように、地方開発事業団構想自体は、すでに昨年来、地方制度調査会答申等もございまして、いろいろ検討されてきたところでございます。地方債計画を定めるに当たりましては、先ほども申し上げましたように、それが地方開発事業団によって行なわれるか、あるいは地方団体みずからの手で直接行なうかは別といたしまして、おおよそ本三十八年度において予想されます事業というものを、いろいろな方面の資料によって推定をいたしまして、起債の全体計画を立てておるわけでございます。したがいまして、そのワクそのものは事業団によって行なわれることも予想をいたしておりますし、また地方団体が直接行なうことも予想した、いわばそれらを両方ひっくるめた事業の総量というものを考えまして、地方債計画を策定いたしておるわけでございますので、新しい法律ができたからと申しましても、これはそういう事業をやる一つ方式を定めたものでございまして、必ずしも今の計画で不十分だということは、現段階において言えないのではないかというふうに考えております。
  39. 林虎雄

    林虎雄君 最後に一点だけ述べておきますが、今のお答えで従来の地域開発仕事開発事業団という名前で、事業団設置する地域においては従来のワクの中でやるのだということになりますと、ただ事業団というものの発足の大きな意図というものが、財政的に全く麻痺状態になってしまうのではないかという感じがいたすわけです。問題は事業団というものがせっかく発足したので、従来の地域開発起債等ワクの中で処理するということになりますと、事業団の特殊性というものは何もなくなってしまうわけで、少なくとも事業団というものはワク外の起債がある程度認められるかどうかというくらいの権力というか、力を持たせるような、そういうことでなければ、せっかくの事業団意味がないのじゃないかという感じがいたしますが、これは大臣にむしろ承ったほうがいいと思いますが、地域開発起債ワクが四百三十億程度新年度に組まれているわけです。そこで事業団発足いたしますと、もちろんこの中で処理する起債もあるでしょうけれども、これはオーバーするのが当然出てくる。新産業都市というような新しい構想の上では出てくると思うのです。その場合に、従来のワクの中だけで縛られておったのでは、ほんとうの地方開発が——所期目的を達成するような開発ができないのではないかというふうに思いますので、財源調達をもう少しこの四百二十九億のほかに考えられるべきだと思いますけれども大臣はどのようにお考えでありますか。
  40. 篠田弘作

    ○国務大臣(篠田弘作君) まあこの地方開発と申しますか、地域開発、新産業都市を初めとする地域開発の問題が相当大きく地方に反響を呼んでいるわけですから、そのほんとうの目的を達するということになれば四百億や五百億ではできないと思います、はっきり申しまして、それだけでは。ただ、まだ事業に取りかかったわけではなくて、現在これから指定の段階でございますから、地域開発起債というものを見込んで、今自治省におきましては来年度といいますかの起債ワクを組んでいるという状態でございまして、ほんとうの百万都市を全国に作るとか、工業都市を作っていく、あるいはまた低開発地域開発をやるということになれば、おっしゃるとおり私もそれじゃできないと思います。
  41. 林虎雄

    林虎雄君 今大臣お答えで大体わかりました。指定の段階だから一応この中でやっていくが、将来は考えたいというお話でありますが、四百三十億程度では新産業都市が大きな宣伝で発足いたしまして仕事をやるとすれば、一地域だけでもおそらく五十億や六十億はかかると思う。そうすれば四百億くらいは三つか四つの地域で終わってしまうと思いますので、将来財源の問題を十分に考えていただかないと、せっかくの事業団というものの発足の意義が薄れてしまうというふうに感じておりますので、その点よろしく御配慮をお願いいたしたいと存じます。質問を終わります。
  42. 鈴木壽

    鈴木壽君 今いろいろと審議されておる地方開発事業団関連してなんでございますけれども、まあ一つ地域開発、また広域的な行政をやっていくという、こういう建前からの新しい一つの行き方が示されておるわけなんですが、これとともに自治省で今考えられておる地方行政連絡会議ですか、こういうものとの関連をどのようにお考えになっておられるのか。  それからいま一つは、臨時行政調査会のほうで、まあこれはまだはっきりした結論とはなっておらないようでありますけれども、そこで取り上げられておる地方行政府あるいは地方庁と呼ばれるものの設置についても、これに対する自治省としての、自治大臣としての考え方をまず最初に概括的にお伺いをしておきたいと思います。
  43. 篠田弘作

    ○国務大臣(篠田弘作君) 地方行政連絡会議は、主として府県あるいは地方自治団体の仕事のやりやすいように、一々中央まで来なくても大体そこで意見を民主的にまとめ得るようにという意味で作るものでありまして、その中に、地方自治団体を主として、国の出先の庁がその中に参加をする、言いかえれば地方自治団体を主とし、国の出先機関を従とした連絡会議を作ろうとするものであります。臨時行政調査会のいわゆる地方行政府といったようなものの考え方は、試案の域でありますから、私、十分に承知しておりませんけれども、国の出先機関をそこでまとめようと、あまりたくさんある出先機関をそこでまとめようと、そういう案であろうと考えます。しかし、どういうふうに一つの、何といいますか、さっきおっしゃったような一つのブロックごとに官庁を作るという考え方であるか、あるいはまた、その一つのブロックの中において出先機関が集まって地方問題に対する連絡協議をするというような案であるかということは、私にはまだよくわかっておらないわけです。地方庁というようなものまでいくのかどうかということは、私はよく存じておりません。今申し上げたように、自治省でやっております地方行政連絡会議は、地方自治団体を中心としてやるということ、それから臨時行政調査会の試案は国の出先機関をまとめようという案であるということをお答え申し上げます。
  44. 鈴木壽

    鈴木壽君 臨時行政調査会のいわば試案というようなものの地方行政府、あるいは地方行政庁と呼ばれる、それについては私どもも、まだはっきり答申をされているわけじゃございませんし、新聞等に伝えられるそういうものを見て考えるしかない段階と思いますから、大臣も今おっしゃるようにまあはっきりしないんだと、こういうことだと思いますが、ただ、今おっしゃるように国の出先機関をブロックごとにまとめるというような、単にそれだけのものであるのか、だいぶこの問題に対しては自治省あたりで、新聞の伝えるところでは、自治省では反対の意向を持っておられるとか、難色を示しておるとかというようなことがあるのですが、どういう点に対して難色を示しておるのか、こういう点はいかがですか。
  45. 篠田弘作

    ○国務大臣(篠田弘作君) それが今おっしゃったような、何といいますか、地方庁といったような、戦争中にありましたような何か九州とか北海道とか、地方総監府ですか、ああいったようなものであれば、やはり自治省としては反対せざるを得ないと思います。それはせっかく民主主義というものが育って、地方の自治というものもだんだん確立し、また財政の面におきましてもそれを建前として今日までやってきておりますから、突如としてそういう何か中央集権的なものができるということであれば、自治省は反対いたします。少なくも私は絶対反対いたします。
  46. 鈴木壽

    鈴木壽君 伝えられるところ、さっき言ったように、新聞等によって伝えられておるところしか私ども承知しておりませんが、ただ各ブロックごとに出先機関を統合するということだけでもないようであります、問題は。ですから、単にその出先機関が多過ぎるのだし、これを統合してもっと総合的にといいますか、あるいは有機的にというのであれば、これはまあ一つ考え方として、私どももこれは考えていい問題ではないかと思うのであります。ただ、そういうことだけでなしに、大臣も今心配されておりますように、何か中央支配といいますか、地方自治を侵すようなそういう妙な権限を持つと、こういうことであるとすれば、しかもそういうにおいが今までのあれから見ますと、相当出ておるのでありますが、こういうことであれば、私どもこれはやはり自治省としてもはっきりした態度をこの際示すべきじゃないだろうか、こういうふうに思うのでありますが、重ねてどうです、大臣、御答弁を。
  47. 篠田弘作

    ○国務大臣(篠田弘作君) これはもう私が反対するというよりも、そういう案はおそらく委員会を通らないのじゃないですかね。国会の委員会を通らないでしょう。何ぼそんなものを政府が出してきても、国会でもってつぶしてしまえば問題にならぬと私は考えます。そういうことが一つ。  それからもう一つは、そういう中央集権的なものを考えておるのではなくて、むしろその出先機関に対して中央の今日まで持っておる権限を移譲しようという考えじゃないか。そうすれば地方の自治団体としても、いわゆる陳情政治とかいわれておる、ああいう繁雑なことがなくなって、まあ今東京都がちょうどいろいろな仕事を区に移譲しようとしている、そういう意味の私は研究ではないかというふうに考えております。今おっしゃるような中央集権的なにおいがするものであれば、申し上げたように、国会の委員会は絶対私は、自治省が反対であることはもちろんでありますが、かりにその案が出たとしても、私は国会は通過しないだろうと、そういうふうに考えております。
  48. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあ政府がそういう案を出しても国会を通ることはあるまいと、こういうお話なんでございますがね、政府部内でそういう妙なものを出さないように、やっぱり自治省として、あるいは自治大臣として考えなきゃならぬ問題じゃないかとこういうことなんでございますが。
  49. 篠田弘作

    ○国務大臣(篠田弘作君) 私としては、もちろんそういうものは取り次ぎいたしません。
  50. 鈴木壽

    鈴木壽君 そこで、あくまでも地方自治という建前に立っての地方行政連絡会議というようなものを考えられておるようでありますが、これについてもう少し大臣考え方お話し願いたいと思います。と同時に、それと具体的にいろいろなこの広域的な行政を進めていく、あるいは開発事業を促進をさせるというようなことになりますと、今回の地方自治法の一部改正に出ておる地方開発事業団というものとの関係が当然出てくるわけなんであります。これとの関係をもう少しはっきりしていただきたい。
  51. 篠田弘作

    ○国務大臣(篠田弘作君) 私は、基本的に地方府県府県の間におきましても利害の相反するものがもちろんあるわけでありますが、大体において広域行政という面からいうと、府県間で話がつくことが多いのではないか。それにまた中央まで来なくても出先機関もあることでありますから、そういうものを中に入れてやれば、少なくも今中央に出てきておる問題の六、七割といいますか、七、八割か、比率は十分検討しませんが、そこらは地方でもって解決されるのではないか、そういうふうに考えておるわけであります。そういう意味において事務当局に案を作らせ提案したわけでありますが、一番やはり関係が深いということは、今後地域開発の問題が起こって参りますから、地域開発というものは一つのブロックではありますけれども、同時にまた広域行政あるいは広域経済との関係がありますので、その地域開発のために開発事業団を作るわけでありますが、そういう問題ともからみあわせて、現地と申しますか、地方においてどういうものをやっていくかという話し合いもつくのではないか。具体的に非常にこまかい事務的な関係とか、あるいは具体的にこういうこともやるというところまで私は考えたわけじゃありません。そういう問題はやはりケース・バイ・ケースでもって処理されていくのではないか、こういうふうにまあ考えておるわけであります。
  52. 鈴木壽

    鈴木壽君 いずれ地方行政連絡会議ですか、こういうものについては後ほど提案があるでしょうから、その機会にまたいろいろお尋ねすることもあると思いますが、ただ今申しましたように、今度新たに設けようとする地方開発事業団ですね。これとの関係をどういうふうに予想されているのかということを一ぺんひとつ。
  53. 篠田弘作

    ○国務大臣(篠田弘作君) 地方連絡会議には、計画を主としてどういうことをやるかというような相談をさせます。そのほかにふだんのいわゆる行政面においても、その行政を円滑にするということのために連絡会議を置くわけであります。開発事業団は純粋に事業の遂行実施をやるということでありますから、連絡と申しますか、十分行政連絡会議等の意向を取り入れて実施をする、こういうことになるわけであります。
  54. 鈴木壽

    鈴木壽君 たとえば地方開発事業団を、これは市町村だけの区域仕事を進めていくためにこういう開発事業団を作るという場合もあると思います。しかしだんだんこれから広域的ないろいろな仕事をしていくというようなことになりますと、府県を越えた相当広範囲にわたる仕事というものも、これは考えられなきゃならぬと思いますし、趨勢としては当然そういうようなことになると思うのであります。その場合に、もちろんこの地方開発事業団の今のこれによりますと、関係府県がいろいろ協議をし、あるいは議会に諮って事業をきめていくということになっておりますが、一方地方行政連絡会議というものがあるのですから、これからひとつ出てくるだろうという前提に立って——そういう場合に私は、一方はただ計画だけだし、一方は直接の事業だけである、具体的な仕事だけであると割り切っておりますが、問題ではないかと私は思うのであります。
  55. 篠田弘作

    ○国務大臣(篠田弘作君) この開発事業団というのは、主として新産業都市の指定に伴って、新産業都市に指定されたその地域の工業開発なり、その他の開発について、実施機関として事業団を作ろうと、こういうものであります。  現在の新産業都市構想というのは、大都会に集中している人口を地方に分散し、これを全国八ブロックか九ブロックに分けまして、そこに工業を中心とする百万都市の建設をやっていこうというのが構想でございますから、少なくも開発事業団は数府県にまたがる開発事業団であるということは、現在の新産業都市構想から申しましてないと思います。地方行政連絡会議はもう初めから一つのブロックの、中国なら中国、近畿なら近畿の行政連絡会議でありますから、初めからもう県を越した連絡会議。それで、片一方は今申しました百万都市でありますから、中国なら中国の中におきまして、岡山に作るか、広島に作るか、また山口に作るかという問題が残りまして、指定された場合、その指定地域内における事業をやる事業団でありますから、直接的な関係というものは今のところはありません。
  56. 鈴木壽

    鈴木壽君 新産業都市の指定を受けた区域仕事を主としてするために、こういう開発事業団というものを設けると。まあ当面の目的は私はそれで発足するだろうと思います。ただこの自治法にこういうふうな一つの章を起こして地方開発事業団というものを規定をしておる、こういうことからしますと、私ばかりに新産業都市の指定がなくとも、その地域の、相当広範囲にわたる地域開発を進めるために、やはりこれが生きてこなきゃならぬ問題だと思うのであります。今回の新産業都市の指定が、かりに伝えられるように全国で十カ所程度だと、こういうふうなことがまああるわけなんでありますが、それ以外の区域で、いろいろな条件から、ぜひこういう開発事業が必要だし、することがまた住民にとってよりよいことだと、こういうことになりますと、そういう場所は私、幾つもあると思うのですが、そういう場合でもやはりこういう地方開発事業団というようなもので開発仕事を、具体的ないろいろな仕事を進めていくということが私は必要だと思う。そうでないと、私はこの今回の地方開発事業団のこういう規定というものは、これは新産業都市の指定に伴った、ひとつのそれに関連した何かの措置で足りると私は思う。自治法の中にはっきりこういうふうなものがうたってあることからいっても、あるいはまた実際的な必要性からいっても、必ずしも私は新産業都市の指定された、そういう区域だけに限られるべき問題じゃないだろうと思う。そうなりますと、私は今たとえば地方行政連絡会議で考えられておるブロックどおりとは言わない、しかし二府県にまたがるような、そういう開発事業というものは、当然考えられなければならぬことだし、生まれてくる可能性というものは十分私はあることと思う。そういう意味で、何かそとに、もっとこうすっきりした関連というものを考えられておるのじゃないかと、こういうふうなことをさっきお聞きしたわけなんですが。
  57. 篠田弘作

    ○国務大臣(篠田弘作君) 開発事業団というのは、先ほど申しましたように、直接の目的と申しますか、それは要するに新産業都市地域開発をするための事業団という構想でございますが、ただいま鈴木さんがおっしゃったように、これは一般規定でございまして、新産業都市に限ったわけではありません。したがいまして、おっしゃるとおり新産業都市に指定されなかった地域におきましても、地域開発のために事業団を作ってやるということがけっこうであるということになれば、それは決して作ることは差しつかえないわけでありますし、それからまた、他府県にまたがる場合でありましても、たとえば大阪と奈良なりあるいは近接しておる府県——近接する地域におきまして共同開発をやる、そのために二府県にまたがっておるけれども一つ事業団でやろうという場合も、もちろんこれはおっしゃるとおりできるおけであります。そういうことは、別に事業団というものは、何と申しますか新産業都市だけのものであるという、そういう狭い考えはもちろんありませんし、規定の上におきましても、今あなたのおっしゃったような、そういう考えを前提として作られておる、こう思います。ただ先ほど地方行政連絡会議と事業団との関係というふうにお尋ねになったものだから、直接の目的はそういう意味であることを申し上げたので、決してあなたのおっしゃることは間違いではございません。そのとおりだと思います。
  58. 秋山長造

    ○秋山長造君 ちょっと今の大臣の御一答弁に疑問があるのですが、先ほど来一百万都市、百万都市ということをしきりにおっしゃって、地方開発事業団は百万都市を建設するためのものだというふうな御答弁があったのですけれども大臣がおっしゃる百万都市というのは、どういう意味でおっしゃっているのですか。単数の一つの都市という意味で百万都市ということをおっしゃっているのですか。
  59. 篠田弘作

    ○国務大臣(篠田弘作君) 私は、新産業都市の指定をする関係閣僚の一人であるわけです。そういう意味から申しまして、今の数百万あるいは一千万に近い東京あるいは大阪といったような、こういう大部市の人口というものを分散すると同時に、やはり工業の分散をしまして、地方の現在ある農業なり、あるいはまた、その他海岸であるならば漁業であるわけでありましょうが、中小企業なりとバランスのとれた都市を作りたい、それにはちょうど人口百万ぐらいの都市が一番いいんじゃないか。余談になりますが、アメリカに行きましてエンパイア・ステート・ビルを見たときに、あれでは高過ぎる。どれぐらいの建築が一番いいかと言ったら、三十階ぐらいが一番使いやすいということを言っておりました。私自身の考え方でもあり、また政府の考え方でもありますが、工業を中心としてあまり小さなところでは大工業地帯というわけにはいきませんし、あまり大きくてもいけないので、人口百万くらいの都市を全国に作ったらいいじゃないか、こういう考えなんです。百万でなければならぬという考えじゃありません。それは七、八十万でもいいだろうし、ある場合においては百十万、百二十万の場合もあると思いますが、あまり大きな都市を作りたくない、最高百万くらいの都市でとめたい、これがわれわれの言う百万都市の構想でございます。
  60. 秋山長造

    ○秋山長造君 それはいいんです。それは大臣の個人的なお考えとして十分成り立つお考えだと思う。だからそれをとやかく言うんじゃないんだけれども、百万都市を作るための事業団とおっしゃるから、それはちょっと違うんじゃないかと思う。百万都市というものを作るんだったら、何も事業団というものは要らぬじゃないですか。ここの法文の最初に書いてあるとおりに、これは幾つかの公共団体が共同して一つ事業団というものを作るというんでしょう。大臣のおっしゃるように、百万都市の一つの部市を作るなら、これと関係ないじゃないですか。
  61. 篠田弘作

    ○国務大臣(篠田弘作君) 事業団は百万都市を作ることを目的とした事業団ではなくて、いわゆる産業開発地域開発をやるための事業団、そういう事業団地域開発をやっていく結果として、そこに百万都市ができる。百万より大きな都市は作りたくないと、こういう考え方です。少しごっちゃになりましたけれども、そういう考え方です。
  62. 秋山長造

    ○秋山長造君 この点は、やっぱり話をされる場合に、よくそこをはっきり何してやってもらわぬと、これは地方に重大な影響があります。それはそうですよ。たとえば今大臣の話を聞いておりますと、新産業都市区域指定即百万都市建設だというお考え方でしゃべっておられるように受け取れるんです。ところが、今までわれわれが自治省から聞いてきた——自治省に限らず政府から聞いてきた新産業都市法の説明についてもそうじゃないんですから、百万都市云々というようなことは、大体法文のどこにも書いてないことだし、ただ俗称百万都市と言うておるだけのことで、新産業都市法のどこを見ても、新産業都市法が百万都市を作るための法律だということはどこにも書いてない。それから第一、百万都市を作るためには現存の市町村の合併をやらなければいかぬが、その合併を前提にしたものでもないし、また必然的に合併を伴うということを予想したものでもない。それから新産業都市というのは、大臣は何じゃないですか、新産業都市法というから、やっぱり新産業都市という一つの市を作る法律だというように私は誤解していられるんじゃないかと思う。そこらの用語に注意していただかないと、大臣が国会の委員会ですぱっとやられると、これは非常に影響は大きいですよ。
  63. 篠田弘作

    ○国務大臣(篠田弘作君) これはおっしゃるとおり、何も町村の合併を前提としたものでもありません。一つの都市で百万の人口という、そういう意味でもありません。これはやはり一つ地方にまたがった、あるいは複数の都市にまたがった新産業都市の指定ですよ。ただし、それは今おっしゃるように合併を前提としておらないで、A市、B市、C市というものにまたがった、いわゆる都市圏といいますか、そういうものであります。ただ私自身少しこだわり過ぎたかしれませんが、私の頭の中にはその地域で百万都市という、行政上、法律上の都市ではなくて、一つのブロックとして、区域として百万の人口を単位とした区域を作るということが頭の中にあるものですから、それで都市々々という、委員会の答弁としてはこれは法律上非常な疑義があると思いますが、私の頭の中にあるものを率直に都市という一つの言葉で表現したわけであります。その点は私の表現が悪かったということであります。
  64. 秋山長造

    ○秋山長造君 大臣の頭の中のことはよくわかりました。これはよくわかりましたが、よほど私はやはり——政治論としてしゃべる場合は、それはもうそれで十分傾聴に値する見解だと思うのです。また敬意も表するのですが、ただ法律説明としてそれをごっちゃにやられると、非常に誤解を与えたりなんかする。特に開発事業団というのは、合併しなくてもそういう方法があるじゃないかというところから出ているのじゃないかと思うものですからね。事業団が百万都市を作る法律だという、こうなると、その点はよく大臣のなにはわかりましたけれども、十分この点は細心の注意を持って御発言を願いたいと思う、いろいろな機会に。
  65. 篠田弘作

    ○国務大臣(篠田弘作君) どうも御注意ありがとうございます。
  66. 松本賢一

    ○松本賢一君 ちょっと関連して。今の事業団の問題ですが、大体さっきからお話を伺っておって、幾つかの市町村が集まって作るんだということはわかるのですが、県と県が集まって作るというような場合もあるわけですか、この中には。
  67. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) あり得ます。
  68. 松本賢一

    ○松本賢一君 それから二つ三つの県にまたがった市町村が作るということもあり得るわけですか。
  69. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) それもあり得ます。県と市町村一緒になるということもあり得ます。
  70. 松本賢一

    ○松本賢一君 そういうこともあるのですか。そうすると、この事業団と県との関係というか何というか、その点はどういうことになるのですか。たとえば一つの県内の市町村がこういうものを作った場合に、その事業団と県との関係、それから県と県にまたがってそういうものを作った場合に、両方の県とその事業団との関係といったようなものはどうなるのですか。
  71. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 数個の市町村だけで事業団を作りました場合におきましては、それに対する県との関係は、県が普通の市町村あるいは一部事務組合というものに対する関係と同じであります。ですから、その設立につきまして知事が認可をする、あるいはまた知事がその組織運営について助言、勧告ができるというようなことは、これは特別地方公共団体でございますから、現在一部事務組合に対して知事がやっておりますものと同じような関係であります。  それから、さらにその地域開発事業関係市町村だけでなくて、むしろ県も一緒に入って、県と市町村共同事業をやったほうがより効果的だろうと思われる場合には、県自体も事業団の中に入って、県と市町村事業団を作るということも可能でございます。  それから、二県にまたがるところで一つ地域開発計画を作って、開発事業をやっていこうという場合には、その両県の関係市町村でこの事業団を作ることも可能でございますし、その場合に両県も一緒に入って、両県とそれから関係市町村一つ事業団を作って共同事業をやるということも可能でございます。
  72. 松本賢一

    ○松本賢一君 そんなようなことで、先ほどからいろいろな話が出たわけですが、直接この法律関係のないことも出たのですが、私もそういうことで少しお尋ねしてみたいのですが、自治省の考えておられる地方行政連絡会議ですか、そういう考え方、それから調査会のほうがいっている地方行政府、そういったような考え方、いろいろな考え方が交錯して——現在経済の活動のスケールが大きくなってきている。そこへもってきて道路の問題、河川の問題等で非常に広域的な問題がたくさん出てきている。そういうものを扱っていく上にいろいろな議論が出てきているわけですね。それについて今の地方行政連絡会議という考え方というものが、自治省としての最終的な、しかもやや恒久的な解決法という意味でお考えになっているのじゃないですか。
  73. 篠田弘作

    ○国務大臣(篠田弘作君) それは最終的でもないし、それが非常にベストであるという考え方ではございません。現在のやり方の中において、こういうものを作ったら便宜ではないだろうかという考え方でありますから、作ってみて欠陥があればもちろん直しますし、また改正すべきことはどんどん改正をしていくのであります。現行制度のもとにおいては、こういう機関を作ったほうが地方のためにいいのじゃないか、こういう考え方です。
  74. 松本賢一

    ○松本賢一君 これはいろいろな議論があるが、一応こういうものを作ってみて、それで少し様子を見てみようかということくらいのことなんですか。
  75. 篠田弘作

    ○国務大臣(篠田弘作君) その程度であろうと思います。
  76. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、いろいろな考え方もあるのですが、たとえば中部市以上の都市の人たちの場合には、もう県なんか要らんじゃないかという議論も出てきている。それから幾つかの県を統合して、県をもっと大きくすべきじゃないかという意見もある。それからもう一つ、今の県の上に行政府的なものを考えようという考え方もある。そういうようないろいろなことについて自治省としては、まだ何も持っておられないわけですか。そういう恒久的な解決法というものは持っておられないで、今大臣のおっしゃったように、当分こうやってやってみようかということくらいのことなんですか。
  77. 篠田弘作

    ○国務大臣(篠田弘作君) それはいろいろな議論が、いろいろな調査会とか審議会等において試案として、あるいは新聞紙上に発表されたものもありますし、また現在審議会ではないけれども府県の財界といいますか、実業界といいますか、そういう面においても大阪と奈良、和歌山を合併したいとか、京都と滋賀は合併したほうがいいというような議論が行なわれていることも承知いたしております。しかし自治省といたしましては、今のところ、そういうことをすべて地方制度調査会答申を待って考えたいという考えでありまして、地方行政連絡会議は実際上の自治団体の事務の行政上の煩雑さを避けるために、こういうふうにしたらいいじゃないか、これは永久の機関としてやっていくというものではなくて、先ほど申し上げましたように、こういうふうにしたら非常に地方自治団体の経費も少なくなるし、時間も節約できるし、能率的でもあるし、そういう意味において便利ではないかということでやったわけであります。したがいまして、自治省として今府県の合併をどうするとか、あるいは府県の上に行政府を一つ作るとか、そういう考えは全然持っておりません。
  78. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、この連絡会議の考え方というものは、今出てきかかっておる調査会考え方というものと矛盾しないという考え方なんですか。それとも、あの考え方には自治省に反対だというようなことを新聞で拝見するのですが、あの考え方よりも、さしあたってはこの連絡会議的な考え方のほうがいいんだという御判断の上で、そういうふうにやっておられるのですか。
  79. 篠田弘作

    ○国務大臣(篠田弘作君) ほかの考え方というものを、取りあえず何と申しますか、将来の問題でありましょうけれども、現在として、先ほど申し上げましたように、こういう方法が現在の制度の中においては、一番能率的であり、経済的である、また便宜でもあるというふうに考えてやったのでありまして、そういう案が正式に出て参りますれば、それに対してもちろん賛否を述べる場合もあるでありましょうし、あるいはまた、問題によっては考慮するという場合もあるでありましょうが、とりあえず、今ほかで論じておられる地方行政府であるとか、府県の合併であるとかいうふうなことは別問題として、この問題な考えたわけでございます。
  80. 松本賢一

    ○松本賢一君 これと直接関連のない問題ですから、この辺で私の質疑を打ち切りますが、またあらためて、こういう問題が出たときに伺います。
  81. 西田信一

    ○西田信一君 ちょっと関連で。地方開発事業団ですね、これは今いろいろお話を伺っておりまするような趣旨で、たいへんけっこうな構想だと思うのですが、しかしながら、私どもちょっと疑問に感じまする点ですけれども市町村市町村、あるいは市町村と県、いろいろな形が考えられるわけです。しかし、大体において広域行政の方向に向かっておるということは、これは否定できないことでありますし、この広域行政の方向に向かって一定地域の総合開発をやるための事業団です。そこで、これは事業が終わったら、それぞれの設置団体に移す、事業をやるだけで、あとの経営、管理はやらないという建前をとっておりましょう。それがまあ、たとえば市町村の場合でも、合併を前提にしておらぬということははっきりしております。それから新産業都市でも前提としておらないのじゃないか。方向としては、そういう方向に向かいつつあるということは否定できないと思うのです。そこで、これは原則はそうであっても、例外として、私は事業経営をある期間やるという必要を感ぜられるのではないかというように考えられるのですが、ここではすっかり割り切って、事業の実施だけはやるのだ、あとは全部引き継ぎをして公共団体に戻すと、こういう考え方に立たれた理由というものを伺っておきたいと思います。
  82. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 御指摘のように、立法論といたしましては、この事業団で完成をいたしました施設の維持管理も、なお事業団でやらせるということは、私どもも立案の過程におきまして、十分検討をいたしたわけでございます。ただ、さしあたりは、地域開発建設の段階でございますので、その建設段階におきまする各種の事業を、ばらばらでなくて、一つ計画に基づいて総合的に、できるだけ能率的に短期間に終わるということが、当面の一番主眼ではなかろうかということで、事業建設段階を主としてこれにやらせるという構想にいたしたわけでございます。しかし、このでき上がりました施設につきまして、やはり共同維持管理までやったほうがいいという種類の事業もあろうかと思いますので、それらにつきましては、将来の問題としては十分研究に値する問題だろうと思います。ただ、当初からそういうふうな建前にいたしませんでしたのは、ここに掲げてありますようないろいろな事業が、建設一緒にやりましても、維持管理になるというと、必ずしも共同でやったほうがいいかどうかということは、事業の種類も違いますので、それらの点も考慮いたしまして、このようなことで御提案をいたしたわけでございます。
  83. 西田信一

    ○西田信一君 そういう将来の含みを持っておるとすれば、原則原則でよろしいが、当初から、あるいは共同でやったほうがよろしい事業も想定されると思うのです。そういうような事業については、形はどうなるかわかりませんが、一部事務組合という制度もあるわけでありますけれども、これは事業によりましては、設置団体に移管をするといっても、実際どの団体に移管をするのが適当かというようなことは、非常に判断に苦しむようなものもあると思うのです。それで、そういうことのために、かえってこういうような事業団設置が最初からむずかしくなるという面もありはせぬか。つまり、将来共同で管理するという前提があればやれるのだけれども、そうでなければ、どうもだれが引き受けるかということで非常にむずかしい、こういう点もありはしないかということも想像されるのですが、そうすれば、設置団体に返すのだという原則はまあいいとしまして、そういう余地を開いておく必要があったのじゃないかというふうに感ずるのですが、そういう点はどういうふうにお考えですか。
  84. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 確かに事業によりましては、建設だけじゃなくて、維持管理共同でやるということに最初からしておいたほうがいいのじゃないかというものも考えられないことはないと思います。で、率直に申しまして、そういうことも立案の過程で検討いたしたわけでございますが、ただ、そういうふうにして、事業によっていろいろ振り分けをいたしますと、いろいろこれは複雑な制度になりますし、むしろ当面は、これらの事業がばらばらじゃなくて、総合的にとにかく一定計画に従って、早く建設をやってしまうということに主眼を置くべきであろうということで、このようなふうにいたしたわけでございます。
  85. 西田信一

    ○西田信一君 それはわかるのです。わかるのですけれども、私は今、最初の質問指摘しましたように、たとえばある自治団体、ある地方公共団体では、荷が重過ぎてやり切れぬというような仕事、それは負担面からもあると思うのですよ。そこで共同してやる、あるいはまた県の力を借りるとかいうような問題も起きてくる。そういう場合には、むしろ最初から、将来の経営共同でやるのだという建前をとったほうが、スタートが切りやすい、こういうこともあると思うのです。私は、そこら辺は考える余地を残しておく必要があるのじゃないかと思うのですが、当面こういうことでスタートしておっしゃるけれども、そこら辺はどうなんですか。大臣から……。
  86. 篠田弘作

    ○国務大臣(篠田弘作君) 今、西田委員のおっしゃったことは、そういうふうに考えることもいいと私は思います。ただ、事業を、いわゆる建設をやっておるときの事業団の組織、陣容というものと、建設を終わってしまって、保守、維持だけをやる事業団というものは、非常に大きさも違うし、内容も違ってくるし、経費もまた違ってくるのじゃないか。そこで今、行政局長から申し上げましたように、建設を主眼とした事業団であるから、とりあえず建設をさせるということに主眼を置いて、これはまだ審議中でございますから、あなたがおっしゃるような考え方というものも十分取り入れまして、建設が終わった場合においてはどうするかという問題は、一応ここでやはり考えておかなければ、建設が終わったからすぐやめちゃった、あとの維持、保守は、村によってはできないというような場合もあるかと思います。しかし、今申し上げましたように、建設に要する人員なり、あるいは機構なり、予算なりというものと、終わったあとのものとは、私は雲泥の差があると思うのです。そういう関係で、建設を主眼としてこの法律を作ったわけでございます。そういうことで御了承を願いまして、あとの問題につきましては、あなたのおっしゃった御意見も十分に取り入れまして、ひとつ相談をして、いい法律を作ろう、こういうことであります。
  87. 西田信一

    ○西田信一君 よくわかりました。私も、スタートは、これで必ずしも不賛成というのじゃないのですけれども、しかしさっき申したように、そういう道が開かれておらぬと、最初から共同でやること自体にそのスタートがむずかしくなるというものもありはせぬかという懸念で申したわけで、引き継ぎの場合に出資がどうなるとか、人間関係がどうなるとか、いろいろお聞きしたいこともありますが、次の機会に譲って、原則的な考え方で言ったわけです。ひとつ御検討を願っておきたいと思います。
  88. 鈴木壽

    鈴木壽君 簡単に大臣に。各地で行なわれております総合開発ですね、国土総合開発仕事が数年前から進められておりますんですが、これと、この法律の当面の直接的なねらいは新産都市の建設考えておるんだと、こういうことなんですから、新産都市でなくて、一般法としてはさっき申し上げて、また大臣からも答弁がありましたように、ほかの新産都市の指定地区以外の所であっても、こういうものを作ることができるだろうと思うんだが、具体的に今の奥地総合開発仕事なんかの場合に、こういう事業団でやるといった場合には、県がそれに入っておるような場合に、自治大臣はこれを認可しますか。
  89. 篠田弘作

    ○国務大臣(篠田弘作君) ただ無差別に認可するというようなことも、今ここで申し上げるわけにいきませんが、その内容を検討しまして、その内容が非常に合理的であり、またいいものであれば、認可するに決してやぶさかでないわけであります。
  90. 鈴木壽

    鈴木壽君 その場合に資金の裏づけは、認可した場合。総合開発で現に進められておる仕事の延長として、こういう事業団が今後仕事をやっていきたいといった場合に、資金の問題はどうなりますか。
  91. 篠田弘作

    ○国務大臣(篠田弘作君) この地域開発の新産都市とか、そういうものは、先ほど事官から申しましたように、起債ワクをあらかじめ、何と言いますか、予定して作っておるわけでありますから、はっきり裏づけがあるわけです。しかし、そうでなくて、その府県においてこれとは別に事業団を作るという場合には、あらかじめ資金のワクはきまっておらないわけでありますから、そのときの事情によりまして起債をできるだけ許すとか、あるいはまた、融資の面においてあっせんをするとか、そういうとにかく地域開発につきましては、できるだけの努力をしていきたい、こう考えます。
  92. 鈴木壽

    鈴木壽君 具体的な問題として、北海道総合開発——北海道の開発がありますね、これは国で今やっていますね。これをもし北海道で、こういう、何といいますか、開発事業団というようなものを、地域開発として当然これは考えられていいと思うんですが、やった場合に、国で今やっておるそういう仕事との関係を、どういうふうに調整しますか。
  93. 篠田弘作

    ○国務大臣(篠田弘作君) 北海道総合開発の問題は、さきに五カ年計画を立てまして、それを一応昨年度において終了いたしました。今年度は四月から新しく第二次八カ年計画を立てましてやっておるわけであります。これは御承知のとおり、公共事業というものが中心になって行なわれておるわけでありまして、経済的ないわゆる産業都市開発といったようなものは、工場の誘致であるとか、そういうものが中心になっておらないわけであります。したがいまして、北海道開発庁の予算において継続中の事業については大体幾ら、あるいは何年度に完成するためにはどれだけの予算を持ってくるとか、あるいはまた、新規事業についてはどれだけの程度のものを許すとか、そういうふうにやっておるわけであります。で、地域開発の問題は、この北海道総合開発の問題のように、公共事業だけではなくて、先ほど申しましたような工場誘致の問題、あるいはまた経済圏の開発の問題というものがありますから、公共事業だけに限られておる北海道総合開発——もちろんその総合開発としての結果といたしまして、地域開発が行なわれる、経済開発が行なわれるということは事実でありますが、直接そういうふうになっておらないところに違いがある、こういうような考え方であります。
  94. 鈴木壽

    鈴木壽君 私は、そういう違いが実はおかしいと思うのです。北海道総合開発がいわゆる単なる公共事業だと——地域開発やら、あるいは特に工場誘致等の問題について考えておらないというのであれば、私はやはりそういうものを含めた総合的な開発でなきゃいけないと思うのです。だから、そういう場合に、今までの建前はまあおっしゃるとおりだと思うのですが、今後北海道がこういうものの開発事業を単なる新産都市の建設という意味でなしに、それ以上にもやれるし、やらなきゃならんということはさっきからのそれでわかりましたから、そういった場合に今のようなやり方でいいのかどうか。私はこれはもともと発足からおかしいやり方をしているとは思っておるのですがね。そういう問題をどうやっていくのか、こういうことなんであります。
  95. 篠田弘作

    ○国務大臣(篠田弘作君) それは、結果はまあ同じなわけです。北海道はまあ非常に未開発なままの状態で置かれまして、明治の初めに開拓使が置かれて、日清戦争ごろまで相当北海道の開発というものは重視されましたが、その後においては、日露戦争あるいは第一次欧州大戦というものが過ぎて、日本の政治家あるいはまた官僚と申しますか、官吏あるいは軍部といったようなものの目が全部外地に向けられた。満州、台湾あるいはまた樺太あるいは大陸、南方というふうに向けられていきまして、敗戦の結果、海外から人間が引き揚げてくる。その場合において、この人口の収容もしなくちゃならないし、開発もしなくちゃならないし、同時にまた北海道は日本経済再建の一つの基盤としてながめたときに、道路港湾、漁港その他河川の改修といった面において非常におくれておる。また、公共費の投入もほとんど少ない。河川はほとんど原始河川だというような面から、道路はもう春になればトラックも通れないというようなことから、北海道開発というものが必要上起こって参りまして、ひとつは人口収容というような面からも起こって参りまして、行なわれたわけでありますが、ただ、港湾を作るということが目的ではもちろんないのでありまして、その港湾を利用して、そこに経済の発展なり、交通の便利なりをやるということが目的でございますから、もちろん新産業都市の指定という問題と結果的には同じ経済効力を持つと思います。ただ、違うと言えば違うわけでありますが、新産業都市の場合は、先ほど申しましたように、一つの地区というものを問題といたしまして指定をするわけであります。北海道の場合は、北海道全体を対象といたしまして、そういう開発をやっているというところに、私は違いと言えば違いがあるかと思います。経済開発のための、あるいは文化なり、経済なりの開発のための北海道開発であるということは、これはもう当然であります。
  96. 鈴木壽

    鈴木壽君 どうもお話を聞いていますと、これはこの地方開発事業団というのは、やはりこれは一般法として地方自治法の中にこういうふうに規定されるわけなんでありますが、ねらいは新産都市の建設だと、これ以上に出ないのじゃないのですか。どうです、その点は。でないと話がどうもこれはおかしい。
  97. 篠田弘作

    ○国務大臣(篠田弘作君) そういうわけではないのですけれども、とりあえずのねらいが、やはり新産都市を指定した場合に、どうして新産都市というものを開発していくか、それには事業団がいいじゃないかということはこれはもうとりあえずのねらいであります。それは間違いはありませんが、しかし新産都市に限ったものではないということもまた事実であります。
  98. 鈴木壽

    鈴木壽君 この法文からしますと、限られたものではないし、大臣もまた、そういうふうにお答えになっておるのでありますが、ここにたとえば事業内容が一番初めに書かれてありますね。事業というか、事務内容というか、実施すべき事業ですね。こういうのからしますと、やはりどうしても、今問題になっている新産都市の建設以外にこういう事業を必要とするわけはあまりない、こういうふうにいってもいいと思うんです。たとえば、さっきは、総合開発のことも、そういう区域についての事業団を設けることも内容を見て認可することがあるんだ、こういうふうなお話でありますが、今までの総合開発のねらいは、工場とか、あるいは工業用水とか、何かこういうものよりも、従前は奥地の資源を開発すると、こういうことが大きなねらいであると思うんですね、実際問題として。今のねらいからすると、別にそういうところにこういう事業団を設けなくてもいいじゃないか、こういうふうにも考えられるんですがね、そこら辺どうです。
  99. 篠田弘作

    ○国務大臣(篠田弘作君) 必ずしもそうじゃないと思います。それはどういうことかといいますと、もちろん奥地の資源の開発あるいは地下資源の開発というような問題もあるわけでありますが、例を苫小牧にとりますと、苫小牧は御承知のとおり太平洋の砂浜であります。しかしそこに港を作りまして、現在工場用地の造成をし、それから工業用水、あるいはまた都市計画によりまして緑地地帯あるいは住宅地帯、それから商業地帯というふうに都市計画をしております。これは本来、今の構想でいえば、事業団でやるべきものであったかもしれませんが、現在は苫小牧港開発株式会社というものを作りまして、それが中心になって、この勇払原野の十五万町歩のうち、約七万町歩くらいが火山灰で、農耕にも酪農にも適しませんから、それでそういう港湾を作り、この火山灰地帯を工業地帯にする。そのためには工業用水あるいは道路あるいは港湾下水、公園というようなものも都市計画で作っておりますから、これは必ずしも奥地の開発というものとは違う。こういう前例もあるわけでありまして、今鈴木さんが言われましたようなところ、その他の地方におきまして、こういうことをやろうという場合が出てくると思います。そういうことで必ずしも奥地の開発だけをやるということではない、こう考えます。
  100. 鈴木壽

    鈴木壽君 私が申し上げることは、あるいは言い方が悪かったために取り違えておとりになったのじゃないかと思うのですが、これは直接的には新産都市の建設考えてやっておるのだ、あるいは新産都市に準ずるような、主として工業的な、そういうものを中心にした地域開発のためにやるのだ、こういうことだと思うのですね。今おあげになった苫小牧の例は、あそこが新産都市に指定になるかならぬかわかっておりませんが、かりにならなくても、それに準じた地域としての開発、そういう場合には、条件からいってもこの事業団でやっていけばいい、私はそう思うのですよ。私の申し上げるのは、総合開発の場合、そういう新産都市あるいはそれに準ずるような地域でなくとも、総合開発で今までやってきたようなところでも、こういう事業団によって仕事をすることがいいと思って、認可を求めてきた場合には、大臣、認可するかと言ったら、認可すると、こういうのです。その総合開発が大体奥地の資源開発を中心にした仕事を今までやってきておるのですね、全国に幾つか指定された個所を見ますと。港湾とか、何かそういうところよりも、奥地のいろいろな資源をよりよく開発をしていこう、こういうことをねらっておるのですよ。しかし、そういう地区にこういう事業団を設けて、開発事業を進めていくというようなことを考えても、実際問題としては、ねらいはそこじゃなくて、認可はされないのじゃないかと、私はそういうことを端的に考えるものですからね。そういうことは第二の問題として、ともかく新産都市あるいはそれに準ずるような地域の、いわゆる地域開発のための仕事を、この事業団によってやらせると、そういうところにだけ認可をすると、こういうことにならざるを得ないと思うのだが、その点どうか。こういう意味です。苫小牧のことを否定するのじゃなくて、苫小牧はお話のように、かりに新産都市の指定にならなくても、それに準ずる都市として、こういうことは認可されて仕事はできていくと思う……。
  101. 篠田弘作

    ○国務大臣(篠田弘作君) とりあえずの事業団目的といいますか、事業団というものの構想ですね。一番先に思いついたといいますか、それはなるほど鈴木さんのおっしゃるとおり、新産都市の指定をした場合に、その開発をどういうような手段で、あるいは機構でやるかという、そういうことから考え出して、事業団がいいのじゃないかということになったということは、これは間違いありません。ただしかし、それを新産業都市だけの事業団という考え方じゃなくて、それを一般法による事業団というふうに現在なっておるわけでありますから、その一般法によって、ある地域が新産業都市に指定されなくても、この地方一つ事業団によって開発する、このことが適当であるということであれば、もちろんそれは認可いたします。鈴木さんのお考えは、よけいなことを憶測するようですけれども、認可しないのじゃないかという前提に立ってお話になっておるのじゃないでしょうか、そうじゃないのですか。どうもあなたの、何といいますか、質問をされる、ほんとうの意図がどういうところにあるのかということを、私はちょっとくみとりにくいわけであります。
  102. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは一般法である限り、新産都市の指定、それだけでなくて、指定されないところであっても、その地域開発のために必要と認めた場合には、こういう事業団を設けることができるし、かりに自治大臣が認可をしなければいけないような問題であれば、自治大臣はこれを認可をするだろう、こう思っておりましたが、ここにある仕事、こういう政令で定めるような事業、こういうことからしても、それから当面のねらいからしても、新産都市あるいはそれに準ずるようなもの、それ以外のところでは事実上これは認可できないのじゃないかと、特に奥地開発の場合でも、あなたはやると、こう言ったが、奥地開発にこういうようなことは出てないのですよ。ですから、あなたはそういう場合にも認可しますと、こう言うけれども、事実上認可できないのじゃないかと、こういうことなんです。
  103. 篠田弘作

    ○国務大臣(篠田弘作君) ここに「住宅工業用水道道路港湾水道下水道、公園緑地その他政令で定める施設の建設」という、その条件があるから、たとえば奥地でもって森林の開発をするとか、あるいはまた、鉱山の開発をするとか、それを一つの複数の町村なり、市町村でやろうというときに、そういうものの認可を——事業団でやりたいというときに認可するか、しないか、こういう問題ですか。
  104. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうです。
  105. 篠田弘作

    ○国務大臣(篠田弘作君) それはどうも。そういう意味だと思ってなかったのですが、そういうことであれば、やはりここに法律に書いてありますから、できないのじゃないかと思います、それは。
  106. 鈴木壽

    鈴木壽君 一般法でそういう、たとえばこれは複数の地方自治体が仕事をやるためにこういうものを設けることができる。ただここにあまりに具体的になすべき事業を並べてあるから、実際は新産都市のそれ以外にはできないことになるのじゃないか。こういう心配から——だからもし何でしたら私もっと端的に言えば、新産都市の建設あるいはそれに準ずべき地区の工業開発を中心とした、そういうものであったら、新産都市の一つの付属の法案として特別にあけて、そのものずばりでやったほうがいいのじゃないか、こういうことです。そういう腹が私にはあるわけですよ。いかにも一般的に何でもできるようなことをやって、しかもいろいろな地方公社、今ある公社もこれによって吸収されるとかなんとかというが、しかし事実上これはそういうことでなくなってきているのじゃないか、こういうことです。
  107. 篠田弘作

    ○国務大臣(篠田弘作君) 新産業都市というものだけであれば、ただいま鈴木さんのおっしゃるとおりの新産業都市法律の中に書けばいいわけであります。それでいいと思います。しかし新産業都市に指定されない他の地方におきまして新産業都市と同じような仕事をやりたいというような希望があり、また実際にそういう動きが現在ありますけれども——過去においてもあったわけでありますけれども、そういう場合に新産業都市法律の中だけに置いておきますと、そういう事業団というようなものを認めるわけにいかない。そこで、新産業都市に指定されないものがそういうことを希望した場合におきましても、地方自治法の中において規定をしておけば、それは許すことができるという広い幅を持たせる意味で、こちらに持ってきた、こういうふうに解釈いたします。
  108. 鈴木壽

    鈴木壽君 だろうと思います。だから、私はしばしば新産業都市並びにこれに準ずる地区と申し上げておると思いますが、私、少したちが悪いようでございますが、では現在毎日進められてきておる、いわゆる奥地の総合開発等についてはこれはどうか。——これもやります、こう言うから、ちょっとこれはおかしくなったな、こう思うんですがね。
  109. 篠田弘作

    ○国務大臣(篠田弘作君) いや、その総合開発という意味を、私はその意味を、この条件に当てはまっておる開発というふうに解釈して、現在の新産業都市は主として臨海工業地帯というものを頭に描いておる。奥地のほうにおいてそういう新産業都市と同じようなものを作るという場合に許可するかしないか、こういう意味に私解釈したものですから、「許可します」、こういうふうに申し上げた。こういう条件と全然違った開発ということであれば条件があるわけでありますから、それは自治大臣独断ではできないと思います。
  110. 鈴木壽

    鈴木壽君 それじゃ大臣、よろしゅうございます。今後委員会のほうで……。  局長さん、佐久間さんでいいですが、どうも私自身すっきりしないところもありますが、それはそれとして、これはいずれも地方自治団体の二以上の団体で作るわけですから、その場合町村だけの場合はこれは県知事が認可をすればいいわけですね。そこでこれは町村でこういう仕事をやりたい、たとえば新産都市の指定に漏れた、しかし地元のいろいろな条件等から将来に対する一つの希望をつなぎながら、何カ町村一緒になってやりたいというところが、私は出てくるのじゃないかと思うのですが、県知事の認可の場合、何か自治大臣が認可をする、建設大臣が認可をする、こういうふうな場合の一つ基準というようなものを県知事のほうに与えますか。
  111. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 町村だけが中心になりまして、これに掲げてありますような事業のうち、数種の事業をやるという場合に、もちろん作ることはできるわけでございます。その場合に都道府県知事の認可だけでいいわけでございますが、その都道府県知事の認可をする際の認可の基準というふうなものが、何かあるかというお尋ねかと存じますが、基準というふうなものは別段考えておりません。ただ、この法律の条文の趣旨からいたしますと、これらのうちの特定一つ事業をやるのでありますれば、現在一部事務組合方式があるわけでございますから、これはそれによるのが適当であろう。ただ、一定地域の総合的な開発計画に基づいて数種の事業を総合的に実施する、そういうようなことがこの法律にうたってあるわけでございますから、この法の趣旨をくんだ内容のものであれば、都道府県知事が認可をしてしかるべきである。もしまた、その照会があれば、そういうような指導をしていくべきだろう、かように考えております。
  112. 鈴木壽

    鈴木壽君 たとえば、ここに事業住宅と上下水道道路、こういうものだけに限って事業団を設けたいといった場合、どうでしょうか。
  113. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) それも可能でございます。
  114. 鈴木壽

    鈴木壽君 上水道のような場合、ただ一つのことであっても、一つ町村だけでは処理できなくて、水源地の問題等、あるいはその導水等の関係からいって、水をずっと持ってくる関係からいって、他の市町村にまたがることもあるし、また利用の面からいって、場合によっては主たる最初の出発はAならAという町であっても、その経過する土地によっては、おれのほうにも分けてもらいたいというようなことでやるのだから、この水道だけを取り上げた場合にはこれは一部事務組合ということにしますか、それともこういうものによってやりますか、単数の場合どうですか。
  115. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 単数の場合には、一部事務組合でいくことを予定いたしまして立案をいたしました。
  116. 松本賢一

    ○松本賢一君 関連。これは私はたいへんな問題を含んでいるのじゃないかと思うのです。というのは、新産業都市に指定された都市がこういうものを作る場合、これは一応問題ないと思うのですが、それ以外の新産業都市の指定に漏れた地方も、われもわれもと、こういうものを作ると思うのです。そうすると、それも相当数認可になったということになると、先ほど来の話の四百三十億という起債ワクというものの奪い合いが始まるのじゃないか。そういったような点で、新産業都市というものの指定を受けたところへこの四百三十億というものを重的点に向けるのか、あるいはまた、こういうものを作った場合に、それをやはりこう分けてやるようなことになっていくのか。そうなってくると、この財源というものに対してたいへんな問題を含んでくるのじゃないかと思うのですが、その点どうですか。
  117. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これは制度といたしましては、ここに掲げてありますような事業共同処理方式でございますから、それと起債運用とは一応別個の問題だと思います。起債運用にあたりましては、先ほど答弁のありましたように、新産都市に指定されました所に重点的に配分をしていくということになろうと思うのでありまして、それ以外の所は事業団を作ったから、起債運用上特別な配慮が払われるということにはならないので、やはりその事業団の行ないます事業内容を検討して個々にきめていく。ただ事業団としてはこういう事業共同でやる共同処理の方式として非常にこれは効果的だから、これを使いたいというところには、新産都市に指定されないところでありましても、何でも使えるような制度として考えておるわけでございます。
  118. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、そういった起債なんというものに対して、特別な配慮は新産都市のほうへは払われるけれども、そうでなく、地方でこういうものを作った場合には払われないのだということになると、こういうものを作るということは何か意義が薄くなってしまうような気がするのですが。
  119. 松島五郎

    説明員松島五郎君) 先ほど来、行政局長から申し上げておりますように、この開発事業団は、仕事があり、かつその仕事をいかに能率的にやるかという一つ方式仕事をやる方式でございます。仕事そのものが、新産業都市であるといなとを問わず、今日たくさんありますこと、またそれに対して資金需要が非常に多いことは、先生御承知のとおりでございます。したがいまして、こういう方式を作らなかったから仕事がなくなり、こういう方式を作ったから急に仕事がふえるというわけのものではないのではないか。現在でも能率的には問題はありますけれども、一部事務組合というような方式でやれないこともないわけでございます。したがいまして、私ども起債考え方といたしましては、新産業都市につきましては起債上特別の配慮をしなければならないというような、するように努めなければならないというような規定もたしかあったと思いますが、できるだけそういう趣旨に沿って運用いたしたいと思いますけれども、新産業都市にならなかったから、そこのところは事業団を作っても起債を認めないのだとか認めるのだとかいうようなことを、一概にきめることはできないと思います。要は、その仕事の緊急性なり必要性なりというものを判断してきめていかなければならないわけでございます。この点は、また新産業都市についても、ある点については同様であると思います。新産業都市だから仕事の緊急性あるいは必要性というようなことを度外視して、起債を配分するということも、もちろんあり得ないわけでございます。そこら辺は、この制度を作るからどうなる、作らないからどうなるという問題に必ずしもならないのではないか、というふうに考えております。
  120. 松本賢一

    ○松本賢一君 それは各地方にやりたい仕事はみなあるわけなんですよ、地方開発したいという気持がある以上。ところが、それがなかなか財源を得られないとか、認可が得られないとかいう関係でできないでいるわけですから、新産業都市法なんというものを作ったというのも、それを促進するために作ったわけなんで、それで指定になった土地と、ならない土地というのは、土地の事情からいえば紙一重なわけなんですよ。ですから指定にならない土地も紙一重の事情を持っているわけなんだから、やはりこういうものを作って仕事をやりたいわけなんです。ですから、それに対して何か特別な配慮がやはり払われていかなければ、こういうものを作るということが、どうも仕事があって作るというのだとすると、もうお金の手当てもできて、そしてこの仕事をする上に便宜がいいから、こういう開発事業団を作るのだ——これは消極的な事業団なのか、それともやはり地方を積極的に開発するためにこういうものを作って、今まで考えられておった仕事を積極的に進めていこうじゃないかという意味を持たせるものなのか、持たせるんでなかったら意義がないと思うんですよ。持たせるためには、その財源措置というものを特別な配慮をしていかなければやはり意味がないと思うんです。そこで今の新産業都市の場合と、そうでない場合と、いずれこういう形のものがおそらくできると思うんです。そうなった場合に、その財源というものの考え方をどういうふうにして区別をつけていくかというようなことについて、これは私はずいぶん問題が起こってくるんじゃないかと思うんですがね。
  121. 松島五郎

    説明員松島五郎君) 先生御指摘のとおり、非常にやらなければならない仕事は、各地方団体とも持っておりまして、それを緊急にやっていく、やっていくための最も能率的な、かつ合理的な方式として、こういう事業団というような方式が適当であるということで提案を申し上げているわけであります。そこで今お話がございましたように、新産業都市に指定にならなくとも、それに紙一重のものがあるのではないかというお話でございますが、これは御指摘のとおり、そういうものがあり得ると思います。したがいまして起債考えます場合でも、やはりそういう紙一重のものは紙一重のものとして、ウエートを置いて考えていくということが、われわれとしては当然であろうと思います。したがいまして、そういう趣旨に沿って運用をはかって参りたいと考えております。
  122. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、新産業都市に指定されるということが、今度はまたあまり意味がないことになるんではないかという気もするんですがね、そういう点はどうなんですか。
  123. 松島五郎

    説明員松島五郎君) 御指摘のとおり、新産業都市に指定されたから、そこで非常に大きな段がつくということになりますと、これは指定にならなかったものとの間の、何といいますか、指定の要件に対する、かりにまあ新産業都市が百点だとして、指定にならなかったものがずっと開いて五十点だということであれば別でございますが、それが九十九点であり、九十八点であるという場合でありますと、これは全く紙一重の問題ですから、その辺はやはり実情に即して、個々に解決をしていくよりほかにないんじゃないかというふうに考えております。
  124. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうしますと、企画庁の言われる、新産業都市というものをやたらにたくさん指定したんでは影が薄くなってしまうから、数を少なくして重点的に援助をしていくんだと、そういう方針がやはり影が薄れて、もとのもくあみになってしまうんではないかという気がするんですよ。
  125. 松島五郎

    説明員松島五郎君) そこは具体的問題の取り扱いの問題でございますので、形式的に新産業都市だから絶対考え、そうでないところは絶対に考えないというような性質のものではないと思います。しかし一方において新産業都市という制度ができました以上、ある程度そこに重点を置いていくということもまた当然かと思いますので、その辺は具体的な実態に即して判断をして参りたいと考えております。
  126. 松本賢一

    ○松本賢一君 ここで幾ら議論しても解決のつかない問題のような気がいたしますから、これで打ち切りますが、そういう点私は非常にまだ疑問の余地があると思うということだけ申し上げておきたいと思うんです。
  127. 鈴木壽

    鈴木壽君 局長にさっき上水道の問題に例をとって申し上げまして、単数のものの場合には事業団でなしに、一部事務組合等によってやったほうがいい、こういうことでしたが、工場用地の造成というような問題あるいは土地区画整理事業にかかわる工事、こういうことになりますと、これはそのもの一つであっては事業団の設立の認可はやはり不可能ですか。
  128. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) まあ境目になりますと、問題があろうかと思いますが、法律趣旨といたしましては一定地域の総合的な開発計画があって、その開発計画に基づくおもな事業は、ばらばらでなくて、総合的に実施をさせるための仕組みとして考えていく、こういうことでございますので、もちろん具体的には、事業計画でもって関係団体がこの事業団でやるべき事業の種類は自主的にきめる建前になっておりますが、事業団といたしましては少なくともここに書いてございますものを、幾つかは総合的に実施をするというものとして考えておるわけでございまして、それらの事情を認可にあたっては勘案をするということに考えておるわけでございます。
  129. 鈴木壽

    鈴木壽君 さっき大臣が例にあげた苫小牧の地区の開発事業、こういうかりに事業をやりたいと、あそこの市町村だけで関係してやるとすれば、これは北海道の知事の認可だけで済みますんですが、あるいはまた北海道として、道の仕事としてああいう一つ地域開発をするといった場合、これは事業団としてはどうなんですか。北海道としては二以上の団体のそれということにはなりませんね。これはまあそういうことがあり得るかどうかわかりません。ただ考えていった場合にそういう場合も出てくるんじゃないかと、どっかの地域を県の事業としてやる、こういった場合、どうです、やはり事業団として……。
  130. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) この開発事業団は、数個の地方公共団体共同処理方式一つとして考えておるわけでございますので、おあげになりました例のように、北海道だけでもってある地域開発をやるための事業団を作るということは予想をいたしていないわけでございます。
  131. 鈴木壽

    鈴木壽君 これはまあ将来の問題ですから、いいです、きょうは。  局長、今地域開発の場合に県が主体になって、県でたとえば工業用水の問題だとか、道路だとか、土地の造成の問題、こういうことを考えているところがあるんでしょう。もちろん県といっても何々市なりあるいは何々町なりという、その区域の中の仕事であるけれども、今県でやろう、県の仕事としてやろう、こういうところがあるんですよ。そういう場合には今のお話からしますと、事業団としては適当でないというようなことになるわけですね。
  132. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) その点、立法論といたしましては、単独の地方公共団体がここに書いてあるような事業をやるためにこういう方式を使うという必要を認めてもいいじゃないかということは考えられようかと思います。しかし特別地方公共団体たる性格を持たせるわけでございますので、一つ地方公共団体の中にもう一つ別の地方公共団体ができるということになりますことが、現行法制上若干問題もあるわけでございまするし、かつまた、単独に地方公共団体がやる場合には、現在でも地方公営企業法によりまして、その事業についてある程度企業活動に便利な方式も認めてあるわけでございますから、そういう方式を利用する建前で立案をいたしたわけでございます。
  133. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは実際問題としてはちょっとおかしいというようなことにもなると思うのですが、しかし、今言ったように、港湾の問題あるいは道路、工場用地の造成、工業用水、こういうものを県の立場で計画を立てて、県の手でこれを施行していく、こういう構想を持っているところがあるのです、実際は。これはもう単なる市町村の問題ではないのだ、県として一つ地域開発というような必要性からそういうものを県の仕事としてやっていこう、こういう場合があるのです。ですから、この法律からしますと、また今お話のように県がやるときに事業団という特別公共団体を設立するということはおかしい、少なくとも二以上の地方団体一緒になって仕事をする、そうでないと、この事業団法のそもそもそれが成り立たないようですから、一体こういう場合にはどうするのか。じゃ県が従来やっておったように、公社のような何かそういうことで処理していくよりほかないと思うが、一つの想定としてそういうことがあるということを申し上げて、考え方を聞いたわけなんですが。
  134. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 私ども、こうした地域開発事業市町村よりもむしろ県が中心になって事業を遂行する場合が相当あるだろうということは、十分予想をいたしておるわけでございます。そこで、そのような場合には、便法といたしまして、県が中心になりましても、やはり関係市町村も入れて——と申しますのは、おもな事業は県がやるといたしましても、若干の事業関係市町村関連してやるべき事業も当然あろうと思いますので、形は県と関係市町村とで共同でやるという形態をとることによりまして、この法律の適用が可能になるというふうに考えておるわけでございます。
  135. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) 本日の審査は、この程度にいたしたいと存じます。次会は、五月十六日午前十時開会の予定でございます。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時四十八分散会