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1963-05-07 第43回国会 参議院 地方行政委員会 第17号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十八年五月七日(火曜日) 午前十時二十七分開会
—————————————
委員
の異動 三月二十八日
辞任
補欠選任
北口
龍徳
君
川野
三暁君
西田
信一
君
日高
広為君 三月二十九日
辞任
補欠選任
川野
三暁君
森部
隆輔君
後藤 義隆君 安井 謙君 松野 孝一君
上林
忠次
君 三月三十日
辞任
補欠選任
日高
広為君
青木
一男
君
沢田
一精君
西田
信一
君 四月八日
辞任
補欠選任
森部
隆輔君
北口
龍徳
君
青木
一男
君
沢田
一精君 四月十日
辞任
補欠選任
大谷 贇雄君
小沢久太郎
君 四月二十五日
辞任
補欠選任
鍋島
直
紹君
前田佳
都男君 四月二十六日
辞任
補欠選任
前田佳
都男君
鍋島
直
紹君
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
石谷
憲男
君
理事
小林
武治
君
西郷吉之助
君 林 虎雄君 市川 房枝君
委員
上林
忠次
君
沢田
一精君 館 哲二君
西田
信一
君 秋山 長造君 小柳 勇君
鈴木
壽君 松本 賢一君
国務大臣
自 治 大 臣
篠田
弘作
君
政府委員
警察庁刑事局長
宮地 直邦君
自治大臣官房長
大村
襄治
君
自治省行政局長
佐久間 彊君
自治省財政局長
奧野
誠亮
君
事務局側
常任委員会専門
員
鈴木
武君
—————————————
本日の会議に付した
案件
○
地方自治法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
) ○
地方公営企業法
の一部を
改正
する法
律案
(
内閣送付
、
予備審査
) ○
地方財政法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣送付
、
予備審査
) ○
地方行政
の改革に関する
調査
(
誘拐
事件等
に関する件)
—————————————
石谷憲男
1
○
委員長
(
石谷憲男
君) ただいまから
地方行政委員会
を開会いたします。 本日は、初めに
先議案件等
三
法律案
の
説明
を聴取することにいたします。
地方自治法
の一部を
改正
する
法律案
、
地方公営企業法
の一部を
改正
する
法律案
、
地方財政法
の一部を
改正
する
法律案
、三案を
議題
といたします。
提案理由
の
説明
を願います。
篠田自治大臣
。
篠田弘作
2
○
国務大臣
(
篠田弘作
君) ただいま
議題
になりました
地方自治法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
提案理由
及び
内容
の
概要
を御
説明
申し上げます。 この
法律案
は、
地方公共団体
の
組織
及び
運営
の
合理化
及び
能率化
に資する
見地
から、
地方財務制度
の
改正
と
地方開発事業団
の創設を行なうことを中心として、
地方自治法
の一部を
改正
しようとするものであります。
地方自治法
は、
昭和
二十二年に制定され、その後しばしば
改正
されているのでありますが、
地方財務制度
に関する
基本規定
は、
府県制
、市制、
町村制
当時のものを踏襲しておりますので、今日の
実情
に照らし、改善を要する点が少なくないのであります。政府は、その
改正
について
地方財務会計制度調査会
に諮問し、昨年三月
答申
を得ましたので、その
趣旨
に従いまして、
地方財務制度
の全般について
改正
を行なうこととしたのであります。 次に、最近における
地域開発
の
進展
に伴い、新
産業都市
に指定される区域を初め、
一定
の
地域
の総合的な
開発計画
に基づく諸
事業
を数
地方公共団体
が総合的かつ能率的に実施するため、これに適応した新しい
地方公共団体
の
共同処理方式
が要請され、昨年十月、
地方制度調査会
において
地方開発事業団
の
制度
を設けることを考慮すべき旨の
答申
がありましたので、これを立法化することとしたのであります。 以上がこの
法律案
を
提案
するに至った
理由
であります。以下
法律案
の
内容
の
概要
について御
説明
申し上げます。 第一は、
地方財務
に関する
規定
の
改正
であります。 まず、
財務
に関する
地方公共団体
の
組織
につきまして
議会
と
執行機関
及び
執行機関内部
における
権限分配
の
合理化
をはかる
見地
から、若干の
規定
の
改正
を行なうこととしたのであります。 その一は、
財務
に関する
規定
の
整備
に伴い、
契約
の締結並びに
財産
の取得及び
処分
についての
議会
の
議決事項
を
条例
で定める場合には
政令
で定める基準に従うべきものとするとともに、
財産
の
出資等
にかかわる
事項
を新たに
議会
の
議決事項
に加えることといたしたのであります。 その二は、
地方公共団体
の長の担任する
事務
について
規定
を
整備
するとともに、
出納長
及び
収入役
の
職務権限
に
財産
に属する
現金
及び
有価証券
の出納及び保管の
事務
を加える等、その
範囲
を広げ、さらに、
出納長
及び
収入役
の
補助職員
及び
事務補助組織
を
整備
し、
会計機関
の
責任体制
を明確にすることとしたのであります。 その三は、
監査委員制度
の強化をはかるため、現在
市町村
においては
任意設置制
とされておりますのを必置制に改めるとともに、
監査委員
の定数及び
選任方法
について
合理化
をはかることとし、さらに、
監査委員
の
職務権限
を
明確化
し、
代表監査委員制度
を設け、
監査委員
の
事務補助組織
を
整備
することとしたのであります。 次に、
財務制度
の
改正
について申し上げます。 その一は、
予算
に関して、国の
制度
にならい、
歳入歳出予算
のほか、
継続費
、
繰り越し明許費
、
債務負担行為
、
地方債
、一時借入金及び
経費
の流用に関する定めをあわせて
予算
の
内容
とすることとするとともに、いわゆる
弾力条項
や
事故繰り越し
の
制度
を設ける等、
規定
を
整備
したのであります。なお、
決算
に関しても、若干の
手続規定
の
整備
をすることとしたのであります。 その二は、
収入
及び
支出
に関する
事項
について、主として
内部管理
の諸
手続
を
合理化
、
能率化
することとし、特に、
住民
の利便を考慮して、証券による納付の
方法
、
口座振替
による
収入
及び
支出
の
方法
、小切手の振り出しによる
支出
の
方法等
につき
規定
を設けることとしたのであります。なお、最近における運用の
実情
にかんがみ、
大役現品制度
は廃止することといたしました。 その三は、
契約
に関して、現在、
規定
が不備でありますので、
指名競争入札
または
随意契約
によることができる場合を
政令
で定めることとする等、
契約締結
の
方法
の
合理化
をはかるとともに、
契約
の履行を確保する方途を講じ、いわゆる
長期継続契約
の
制度
を設ける等、全面的に
規定
を
整備
することとしたのであります。 その四は、
現金
及び
有価証券
に関して、現在、
規定
が不備でありますので、適正な
管理運用
ができるよう
規定
を
整備
したのであります。 その五は、
財産
に関し、
現行制度
のもとにおいて、
現金
の取扱いに比べて、
財産
の取り扱いが軽視されておりましたのを改善するため、
規定
を
整備
することとしたのであります。すなわち、
公有財産
については、その
範囲
を法定するとともに、これを
行政財産
と
普通財産
とに分類し、それぞれの
管理
及び
処分
に関し
所要
の
規定
を設けることとし、また、
物品
及び債権の
管理保全
に関しましては、国の
制度
を参考として
所要
の
規定
を設けることとしたのであります。なお、
基本財産
及び
積立金
の
制度
を
基金制度
に改め、その
設置
、
管理
及び
処分
に関する
規定
を
整備
することといたしました。 その六は、
住民
による
監査請求
及び訴訟の
制度
に関して、
現行
の
規定
が必ずしも明確でなく解釈上疑問の点も少なくないために、
住民
の正当な請求がいれられないおそれがある
実情
にかんがみ、
規定
の
明確化
をはかるとともに、
所要
の
手続規定
を
整備
したのであります。 その七は、
職員
の
賠償責任
に関し、その対象となる
職員
の
範囲
を
予算執行職員
及び
物品
を使用している
職員
にまで広げ、
当該行為
について
実質的責任
を有する者が
責任
を負う
制度
に改めるとともに、
手続規定
を
整備
したのであります。 第二は、
営造物
に関する
事項
を
改正
しようとするものであります。
営造物
については、
現行法
では
財産
と一括して
規定
されているのでありますが、これについては、
財産的管理面
からではなく、
行政的管理面
から
規定
することが適当と考えられますので、
財産
と切り離して別に
規定
することとするとともに、「
営造物
」の名称を「公の
施設
」に改め、その
設置
、
管理
及び廃止に関する
規定
を
整備
することとしたのであります。 第三は、
特別地方公共団体
の一つとして、
地方開発事業団制度
を新設するものであります。 その一は、
地方開発事業団
は、一部
事務組合
の場合と同様に、
関係地方公共団体
が
議会
の議決を経て協議をして、
規約
を定め、
自治大臣
又は
都道府県知事
の認可を受けて
設置
するものとしたのであります。 その二は、
地方開発事業団
は、
一定
の
地域
の総合的な
開発計画
に基づく
道路
、港湾、水道、
工業用水道
、
住宅等
の
建設
、
工場用地
その他の用地の
取得造成
、
土地区画整理事業等地域開発
のための
事業
を、
設置団体
が協議して決定した
事業計画
により委託を受けて行なうものとし、
事業
が完了したときは、その
事業
にかかる
施設
についてはこれをそれぞれの
設置団体
に移管し、また、
当該事業
にかかる住宅または土地についてはこれを
処分
し、または
設置団体
に移管することといたしております。 その三は、
地方開発事業団
には、
理事長
、
理事
及び監事を置き、
重要事項
は、
理事長
及び
理事
をもって
組織
する
理事会
の議を経なければならないこととしたことであります。 その四は、
地方開発事業団
の
財務
については、おおむね
普通地方公共団体
の
財務
に関する
規定
を準用しているのでありますが、
地方開発事業団
が
事業
を能率的、かつ、弾力的に執行できるようにするため、
予算
の
繰り越し
のほか、特定の
事業
については
地方公営企業法
の
財務
の
規定
を準用する等、若干の
特例
を設けております。 その他、
地方開発事業団
と国及び
都道府県
との
関係
、
地方開発事業団
の
設置
及び解散の
手続
、
規約
及び
事業計画
の
内容等
に関して
所要
の
規定
を設けております。 第四は、その他
規定
の
整備
を図ろうとするものであります。 その一は、
地方公共団体
の
事務
の中に、交通安全の保持を行なうことを明記することにしたことであります。 その二は、
地方公共団体
の長及び
議会
の議長がそれぞれその
相互
間の連絡を緊密にし、並びに共通の問題を協議し、及び処理するための
全国的連合組織
に関する
規定
を設けたことであります。 その三は、
大都市周辺町村
における
人口
の急激な
増加状況
にかんがみ、
昭和
四十一年十二月三十一日までの間に限り、国勢
調査
の
人口
によらないで最近の
指定統計調査
による
人口
をもって
町村
を市とすることができる
特例
を認めることとしたのであります。 その四は、法令の制定及び改廃に伴い、
地方公共団体
の処理しなければならない
事務等
を掲げた別表に
所要
の
改正
を加えることとしたものであります。 以上が、この
法律案
を
提案
する
理由
及び
法律案
の
内容
の
概要
であります。何とぞ慎重御
審議
の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
—————————————
次に、
地方公営企業法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
提案
の
理由
及び
内容
の
概要
を御
説明
申し上げます。
地方公共団体
が経営する
企業
は、最近著しく増加し、現在その総数は五千余に達している
状況
であります。このうち、
地方公営企業法
の
規定
の全部または
財務
に関する
規定
が適用されている
事業
は
昭和
三十六年度末で六百四十二となっております。しかしながら、
地方住民
の福祉を増進するために、今後ますます各種の
地方公営企業
の健全な発展を期する必要があるのであります。これがためには、
企業
の
経営成績
及び
財政状態
を明確にし、もって
企業
の能率的な
運営
を確保することが肝要でありまして、
地方公営企業
には原則として
企業会計方式
による
財務運営
を行なわせることが適当であると考えられます。この
趣旨
から、
地方公営企業法
の
財務
に関する
規定
の
適用範囲
をさらに拡大するものとするほか、
地方公営企業運営
の
実情
にかんがみ、若干の
関係規定
を
整備
する必要が認められますので、この
法律案
を提出した次第であります。 次に、この
法律案
の
内容
につきまして、その
概要
を御
説明
申し上げます。 第一は、いわゆる準
公営企業
についても常時雇用する
職員
の数が百人以上のものに、
地方公営企業法
の
規定
のうち
独立採算
にかかる
規定
を除く
財務
に関する
規定
を適用しようとするものであります。
事業
の
範囲
は、
政令
で定めることとし、病院、
市場等
、主としてその
経費
を
当該事業
の経営に伴う
収入
をもって充てるものを予定いたしております。従来、これらの
事業
については、
当該事業
を経営する
地方公共団体
の
条例
で定めるところにより任意に
地方公営企業法
の
規定
の全部または
財務
に関する
規定
を適用することができるとされていたのでありますが、これら
事業
のうち、
事業量
が大きく、かつ
事務処理能力
も十分であると認められる
規模
のものに、
地方公営企業法
の
財務
に関する
規定
を適用して、
複式簿記
による
会計処理
を行なわせることとし、もって
企業
の
経営成績
及び
財政状態
を明確にさせようとするものであります。 第二は、同一
地方公共団体
内における
地方公営企業
の
管理者
間に
事務委任
の道を開こうとするものであります。
現行規定
では、
管理者
はその
権限
に属する
事務
をすべて自己またはその
補助職員
で処理しなければならないとされておりますが、二以上の
管理者
が
設置
されているときは、
事務
の種類と性質によっては、いずれか一方の
管理者
にあわせて処理させることが適当であると認められる
事務
のある場合がありますので、
管理者
は
相互
にその
事務
を委任することができるものとすることにより、合理的、能率的な
事務処理
をはかろうするものであります。 第三は、
繰入金
に関する
規定
を
整備
して
地方公営企業
の
特別会計
と
一般会計
または他の
特別会計
との
関係
を明確にしようとするものであります。
現行制度
では、
地方公営企業
の
特別会計
に対する
出資金
を除いて同一
地方公共団体
内の各
会計
間の資金の授受は、
予算
上すべて一時的な
繰り入れ
、繰り出しという考え方で行なわれており、この結果、
地方公営企業
の
特別会計
に
繰り入れ
が行なわれる場合、
当該繰入金
がいかなる目的を持つものであるかは明らかでありませんので、これらをその
目的別
に区分し、
会計
間の経理の
明確化
をはかろうとするものであります。 以上のほか、
決算
に関する
規定
を
整備
する等、若干の
規定
について必要な
整備
を行なおうとするものであります。 なお、この
法律
の
施行期日
については、従来の
官公庁会計方式
による
財務制度
を
企業会計方式
による
財務制度
に移行させる
事項等
の
改正部分
は、
準備期間
を必要としますので、
昭和
三十九年四月一日とした次第であります。 以上が
地方公営企業法
の一部を
改正
する
法律案
の
提案理由
及びその
内容
の
概要
であります。何とぞ慎重御
審議
の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
—————————————
次に、
地方財政法
の一部を
改正
する
法律案
の
提案理由
とその
要旨
を御
説明
いたします。 ここ数年来、
地方財政健全化
の諸施策の
進展
に伴い、
地方財政
の実態は相当改善されてきておりますが、さらに
都道府県
と
市町村
間または
都道府県
と
住民
間の
財政秩序
の
適正化
を前進させ、
地方財政
のより健全な
運営
を確保して参る必要があるのであります。また、最近の
石炭鉱害復旧事業
の実施に伴う
地方公共団体
の
経費負担
の
状況
にかんがみ、
関係地方公共団体
に対しその
所要財源
の充実をはかる必要があります。これが本
法律案
の
提案
の
理由
であります。 次に、本
法律案
の
内容
の
要旨
につきまして御
説明
申し上げます。 第一は、さきに
都道府県
またはその
機関
が行なう
道路
、河川、砂防または海岸にかかわる大
規模
かつ広域にわたる
土木事業
の
経費
を
市町村
に
負担
させることを禁止し、
都道府県
及び
市町村
間の
財政秩序
の
適正化
をはかることとしたのでありますが、さらに昨年十月になされた
地方制度調査会
の
答申
の
趣旨
に沿い、
昭和
三十九年四月一日から、
都道府県
が行なう
高等学校
の
施設
の
建設
に要する
経費
についても、これを
市町村
に
負担
させてはならないことといたしたのであります。また、これとあわせて、
都道府県
は、その
都道府県立高等学校
の
施設
の
建設費
について、
住民
に直接であると間接であるとを問わず、その
負担
を転嫁してはならないこととして、
税外負担金
の解消をさらに前進させることといたしたのであります。 第二は、従来から、
地方公共団体
の実施する
鉱害復旧事業
に要する
経費
については
地方債
の発行が認められておりますが、今回あらたに
鉱害復旧事業団
など
地方公共団体
以外のものが実施する
鉱害復旧事業
について、
臨時石炭鉱害復旧法
の
規定
により
地方公共団体
が
負担
し、支弁しまたは補助するために要する
経費
についても、当分の間、
地方債
を発行することができることとするとともに、
鉱害復旧事業
に要する
経費
に充てるため起こした
地方債
の
元利償還費
については、
昭和
三十八年度から
地方交付税
の額の算定に用いる
基準財政需要額
の基礎に算入することといたしたのであります。 以上が、
地方財政法
の一部を
改正
する
法律案
の
提案理由
及び
要旨
であります。何とぞ慎重御
審議
の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
—————————————
石谷憲男
3
○
委員長
(
石谷憲男
君) 三案についての質疑は、後日に譲ることにいたします。
石谷憲男
4
○
委員長
(
石谷憲男
君) 次に、最近の
誘拐事件等
に対処して
篠田国家公安委員長
から
事件
の概況、
対策等
について発言を求められておりますので、この際これをお伺いすることにいたします。
篠田国家公安委員長
。
篠田弘作
5
○
国務大臣
(
篠田弘作
君) 最近、相次いで
発生
し世間の注目を浴びております
二つ
の
事件
につきまして、特にこの
機会
に事案の
内容
と
捜査
の
概要
について御報告いたします。 まず第一は、
都内台東
区において
発生
いたしました
幼児営利誘拐事件
であります。これは去る三月三十一日午後六時ごろ
台東区立入谷南公園
内で遊んでおりました四才になる
村越吉展
ちゃんが行方不明になった
事件
であります。 同日午後八時十分ごろ、家人から
下谷警察署
に対し迷子としての
届出
がありましたので、同署におきましては直ちに
都内
各
警察署
に手配し、同人の発見に努めましたが、発見することができなかったのであります。 翌四月一日に至りまして、四囲の
状況
を判断いたし
誘拐
の
疑い
があると認め、
警視庁本庁
から
捜査員
を応援派遣し、
幼児誘拐事件
として
捜査
を開始したのであります。 その後、四月二日から
被害者宅
に
恐喝的内容
を含む
電話
が連日十数回かかってきたのでありますが、同月七日に至る間、同一人と思われる男が九回にわたり身のしろ金五十万円を要求して参りましたので、この
電話
の男を
容疑者
と判断し、これに
捜査
を集中したのであります。その間
犯人
は三回にわたり
現金引き渡し場所
を指定してきたのでありますが、これらの場合にはいずれも
犯人
を特定し得るような
状況
にはなかったのであります。 その後、四月七日午前一時二十五分ごろ九回目の
電話
で「
被害者宅
から約三百メートル離れた
昭和通り
の
品川自動車株式会社
の横に駐車している
小型貨物自動車
の荷台に
子供
のくつを置くから、
母親
が一人で来て、そこに金を置いて帰れ。
子供
は金を受け取ってから一時間以内に返す
場所
を指定する。これが最後だ。」という旨を述べたのであります。 当時、
被害者宅
には
捜査員
六名が待機しておりましたので、
母親
が
自動車
で出発すると同時に裏手から
現場
に急行したのでありますが、
母親
の到着がわずかに早く、
捜査員
の到着する直前に、置いていった
現金
五十万円を
犯人
に持ち去られてしまったのであります。その後、
犯人
から
被害者方
に対する
電話
はありません。 そこで、去る四月十九日、それまでの
捜査経過
とともに
吉展
ちゃんの
特徴等
を詳細に発表し、さらに同月二十五日
犯人
の
恐喝電話
の録音を
報道機関
の
協力
を得て放送いたしまして、広く
一般
の御
協力
を期待いたしたのであります。これに対しましては、特に
全国
的に多大の御支援をいただいているところでありまして、この
機会
に
国民
の
皆様方
に心から感謝の意を表する次第であります。 今後、
警視庁
を初め
関係警察
が一体となりまして、本
事件
の
解決
に努力いたす
所存
でございます。 次は
狭山
市における
女子高校生殺害事件
についてでありますが、これは本年五月一日午後八時ごろ、
埼玉
県
狭山
市
大字赤坂
、
中田栄作
氏から、四女の
川越女子高校入間川分校
一年生
中田善枝
さんが、夕方になっても
学校
から帰らない上、自宅に
恐喝内容
の手紙が届けられた旨、
狭山警察署
に
届出
があったのであります。その
状況
から悪質な
営利誘拐
の
疑い
が認められましたので、直ちに
極秘裏
に
捜査
を開始したのであります。 文面には二十万円を五月二日夜十二時に
指定場所
に持参すれば
子供
を返すと記載されていましたので、その時間に
被害者
の
姉登美恵
さんが
指定場所
である
同市堀兼
、
雑貨商佐野屋
前に行くとともに、
捜査員
四十名を予ての付近に張り込ませ、
犯人
の
逮捕
をはかったのであります。同夜午前零時十五分ごろ
登美恵
さんの立っている
場所
より三十メートルくらい離れた茶畑の中から
犯人
が声をかけ、その後十分くらいにわたって姿を見せないまま「こっちへ持って来い」と再三再四要求したのでありますが、これに応じなかったところ、「もう帰るぞ」と言って
犯人
の声が絶えたので、
現場
に張り込み中の
捜査員
は警笛を鳴らして追跡したのでありますが、ついに
犯人
を
逮捕
できなかったのであります。 その後、
狭山市内一帯
を広
範囲
に捜索中、五月四日午前十時三十分ごろ、
同市入間川
の
麦畑農道
に埋められていた
被害者
の
死体
を発見したのでありますが、
死体
を解剖した結果、死因は扼殺であり、さらに暴行されている事実及び
死亡時刻
は食後三時間くらいであることが判明したのであります。したがって
犯行時刻
は五月一日午後四時前後と推定されるに至ったのであります。 以上のような
状況
から、
犯人
は
学校
から帰宅途中の
被害者
を暴行扼殺したものと認められるのでありまして、
埼玉
県
警察
といたしましては、
目下全力
をあげて
捜査
中であります。 以上
二つ
の
事件
を通じまして、
犯人逮捕
の絶好の
機会
に
捜査
の不
手ぎわ
から
犯人
を逃走させましたことは、まことに遺憾に存じておる次第であります。第一の
事件
の
発生
後、
警察庁
におきましては、この
種事犯
の防止と
早期事件
の
解決
のため、
全国警察
に対し
所要
の指示をいたしたところでありますが、さらに今回の
事件
の
発生
を見ましたので、
事態
の
重要性
にかんがみ、五月六日
緊急国家公安委員会
を開催いたしまして両
事犯
を具体的に検討し、
捜査
の不
手ぎわ
について反省を行なったのであります。
国家公安委員会
といたしましては、さしあたり両
事件
について
関係警察
を督励いたしまして、
事件
の
早期解決
に
全力
をあげる
所存
であります。また、今後は今回の
事件
を教訓といたしまして、あらゆる
事態
に対処する
捜査能力
の向上をはかり、もって
国民
の各位の御期待におこたえいたしたいと考えておる次第であります。
小林武治
6
○
小林武治
君 ただいま二件につきまして、
公安委員長
の
説明
があったのでありまして、
公安委員長
は率直に、
警察当局
の不
手ぎわ
だと、こういうことを言われておるのでありますが、私どもはこの
事件
ばかりでなく、どうも最近における
警察当局
に対して強い不満を持っておるものであります。それは、先般も私は、
公安委員長
が出席されない際に、大分県の
警察官殺害事件
、あるいは帝国ホテルにおける
外人殺害事件
、あるいはにせ
札事件等
の
捜査状況
、あるいは
見通し等
についてお尋ねをしたのでありまするが、これらについても、まだ何らの手がかりも出ておりません。そこへまた、このたびかような
事件
が
二つ
も起きまして、しかもこれについては、率直に、
警察
が悪かったということを言われておるのでありますが、
国民
はいかにももう、
警察当局
に対して、たよりない、こういう気持を持っております。ことに
誘拐事件等
は、
全国
の家庭に与える影響がきわめて甚大であるのでございまして、何か私は、
警察
がゆるんでおる、あるいは
警察
がたるんでいるのじゃないか、こういうふうな感じを持たざるを得ないのであります。これは
公安委員長
も御承知のように、この
地方行政委員会
としましては、超党派的に、
警察当局
に対しては常に協調的、好意的態度をとっておりまして、人員の増加にいたしましても、
予算
の増額につきましても、われわれ
委員
会からむしろ積極的にこれを勧奨しておる。こういうふうな状態で、われわれが
警察当局
に非常な
協力
態勢をとっておるということは御承知のとおりであります。それでもなお、今日のような状態だ、こういうことにつきましては、もっと私は、この当面の問題でなくて、根本的にひとつ
警察
制度
そのものにまでさかのぼって考えなければならぬ、こういうふうな考え方を持っております。ことに公安
委員
会という、こういう
制度
が、民主
警察
としてあるのでありますが、これがはたして何らかの、
警察
活動について影響があるのじゃないか、こういうふうな考え方も持たざるを得ません。これにつきまして、私は、先般の三つの
事件
につきましても、その後の
捜査状況
を知らせてもらいたい、こういうことを言っておきましたが、にせ札
事件
なども、最近また出た、こういうことで、いかにも
警察
はほんろうされている。
公安委員長
なんか気性の激しいほうだから、こういうことについては、あなたも非常な不満を持っておられると思いまするが、何か
警察
の訓練とか、紀律とか、あるいは装備とか、そういう問題について
委員長
として感じていることがあったら、ひとつお話し願いたいと思います。
篠田弘作
7
○
国務大臣
(
篠田弘作
君) 御指摘のとおり、最近非常にたくさんの
事件
が起こりまして、にせ札あるいは帝国ホテルの殺人
事件等
、まだ
犯人
検挙に至っておりません。非常に遺憾でございますが、これらの
事件
は、みな
犯人
が逃げておる、あるいはまた隠れておるわけでありまして、結局だれが
犯人
であるかというところが、今まだわかっておらないのです。 ところが、この
吉展
ちゃんの
事件
並びに善枝さんの殺害
事件
につきましては、
犯人
みずから金を
請求
して出てきているわけでございます。そういう点について、私、昨日、記者会見あるいはテレビ等においても申しましたように、もう少し頭を働かせることができる、あるいはまた、
吉展
ちゃんの
事件
では、
母親
が夢中になりまして、とにかくお金を持って
現場
に行く、そういうような場合に、もしその
母親
というものに対して、相当説得力を持ち得る指揮官が、かりにそこにいて、あなた今そうすることが、かえって
子供
のために危険だから、私らの言うことを聞きなさいというふうにして、あるいは
母親
のかわりに婦人警官でもやるというような配慮があれば、
逮捕
されたのじゃないか。 それから、善枝さんのときにでもそのとおりでありまして、
犯人
のほうは、三十メートルほど離れたところから、こっちへ来い、こっちへ来いと言っているわけであります。ところが姉さんだから、こわくて行けない。それがもし婦人警官であるならば、こっちへ来いと言ったら、今行きますからと言って、ピストルを突きつけるなり、あるいはまた、なんなら笛を吹くなりの
方法
は、私はあったと思います。 そこで、科学的ないろいろな装備であるとか、犯罪によりましては、もちろんそういうものが必要でございますが、この
二つ
の
事件
については、それほどの科学的な装備というようなものを必要としなかったのじゃないか、強いて言うならば、
犯人
が
自動車
でもって通路のほうからやってくる、そうすると、
捜査
陣は、全部
犯人
の言うとおりを聞きまして、
道路
のほうに全部を集中して、その裏の茶畑には一人の配置もしていなかった。
犯人
が十二時に来ると言えば、またそのとおり信用しておる。
犯人
に持って歩かれたというような感じが非常に深い。もしそれが、佐野屋を中心といたしまして、たとえば直径百メートルというところに警官を配置すれば、周囲が三百メートルでありますから、三十人の警官ならば、十メートル置きに十分配置される。茶畑でありますから、中へ十分身を伏せるところもあると私は考えます。あるいはまた
警察
犬も、三十時間もあるのでありますから、もし
現場
にいなければ、
警視庁
から借りるとか、あるいは民間から借りるとかして、すぐそんな者の追跡はできた、こういうふうに私は考えておりまして、
委員長
としては、少し批判がきびし過ぎるかもしれませんが、私自身としてはそういうふうに考えておるのでありまして、この
二つ
の
事件
につきましては、ただいまおっしゃいましたような科学的な装備というよりも、科学的な——むしろ頭脳を働かせたほうがよかったのではないかと、こう考えている次第であります。
小林武治
8
○
小林武治
君 こういうふうな
事件
に照らして、私はここであまりきびしいことを申したくないのですが、
警察
の
責任体制
と申しますか、指揮監督というものが、私はどうもすっきりしないような気がいたしますが、今のような集団的な公安
委員
会で、そういうふうな面に多少でも欠けるようなことがないか。こういうことについて検討されたらどうか、これはいかがですか。
篠田弘作
9
○
国務大臣
(
篠田弘作
君) 昨日の公安
委員
会におきまして、そういうことが検討されまして、少なくとも
捜査
陣というものを手に握り得る指揮者を今後つけるということ。あるいはまた、
吉展
ちゃん
誘拐
事件
のような場合には、ただ若い
警察
官であるとか、そういうことばかりでなく、先ほど申しましたように、
母親
を説得し得るだけの、言いかえれば何と申しますか、相当、貫禄といいますか、説得力のあるような指揮官をつけなければいけない。 それから、
捜査
の仕方も、ただ旧式な、経験だけで
捜査
をするというようなことではなくて、もっと科学的な
現場
の分析その他をやりまして、科学的に
捜査
の指揮に当たれる人でなければいけない。こういうような面につきまして非常にいろいろな意見が出まして、それに対する今後の対策をどうするかということは、最近に開かれます
全国
管区警備課長会議におきまして、十分検討させるという結論になっております。
小林武治
10
○
小林武治
君
警察
の
責任体制
と申しますか、
責任
制度
と申しますか、こういうことがどうもしっかり行なわれておらぬような気もいたしますが、その点はどうですか。今のたとえば府県
警察
、国家
警察
、
警察庁
等の
関係
において。
篠田弘作
11
○
国務大臣
(
篠田弘作
君)
国家公安委員会
が直接地方の
警察
を指揮する
権限
もございませんし、
警察庁
がまた直接
捜査
等について地方の各府県の県警本部というものを指揮する
権限
というものも今与えられておりません。そういう点につきましては非常に不十分でございまして、各県がそれぞれ独自の判断で各県警本部において最高指揮をとるというような段階で、われわれ
国家公安委員会
あるいは
警察庁
は、それに対して気づいたことをアドバイスするというような現在形でございます。そういう点におきまして、何と申しますか、非常に
捜査
上あるいは
警察
運営
上非常に不都合が起きているということは私は言えると思います。
小林武治
12
○
小林武治
君 今の点は、ひとつぜひ検討を……。犯罪は単なる地方的なものじゃありません。どうしても今のような連鎖反応的に
全国
的な
規模
でもって起きてくる。こういうことでありますので、今の
責任体制
と申しますか、指揮系統と申しますか、こういうことについて再検討してもらわなければいけないときに来ているのじゃないかと思いますが、その点どうですか。
篠田弘作
13
○
国務大臣
(
篠田弘作
君) ただいま臨時行政
調査
会におきましてそういう点も検討されておりますので、その結果を参考として善処したい、こういうふうに考えます。
小林武治
14
○
小林武治
君 もう一つ。よく世間では近ごろ、公安
警察
も大事だが、刑事
警察
も
国民
の日常生活にとってさらに大事だ。刑事
警察
のほうが軽視されておるのじゃないかというような批判もあります。私はその当否はどうかと思いますが、その点はどうですか。
篠田弘作
15
○
国務大臣
(
篠田弘作
君) 公安
警察
を重視して、刑事
警察
を軽視しておるというようなことはございませんが、公安
警察
の場合は大体集団あるいはまた事前に予知できる場合が非常に多いのでございますけれども、刑事
警察
の場合は、犯罪が孤立しておりまして、また、いつどこで起こるかということもまた予知できないために、防犯という面あるいは対策という面に非常にやりにくい面があるし、また刑事
警察
の場合は、
犯人
が犯罪を犯しまして、その場から逃げまして、できるだけ
警察
の目から隠れるということでありますので、そういう面について結果的には
犯人
の検挙というものが非常にむずかしくなる、こういうことであろうと考えます。特に公安
警察
を重視して刑事
警察
を軽視するということはございません。
小林武治
16
○
小林武治
君 いずれにしろ
公安委員長
のお考えのように、
警察
に対する市民の信頼性というものが相当あぶなくなっているということは御承知のとおりでありまして、ぜひひとつあなたの
責任
で、
警察
の規律なり訓練なり心がまえですね、こういうものについてもっとしっかりひとつやってほしいと思いますが、そういう御決意はいかがですか。
篠田弘作
17
○
国務大臣
(
篠田弘作
君) そういうことを非常に痛感いたしまして、現在のいろいろな問題によって
国民
の間に起こった
警察
に対する不信感というもの、これをなくするために、さらに一そう信頼を高めるためにはどうしたらいいかということでございますが、これには何と申しましても
犯人
を検挙するということが最大の急務でございます。それからまた、いろいろな世間には健全なる精神状態の者ばかりもおりませんので、いろいろ模倣の問題等も起こって参りますので、これを予防する。そのためにはいろいろ社会的な面からも応援を受けることも必要でありますが、そういうことをしましても、悪いことをすればすぐ検挙されるのだ、非常に重い罪になるということがわかれば、幼児
誘拐
というような問題は少なくもなくなるのじゃないか、こういうふうに考えまして、目下のところ、
関係警察
を督励いたしまして、とにかく
犯人
を検挙しろという指令を今出しておるのであります。
小林武治
18
○
小林武治
君 もう一つ、最後に伺っておきたいのでありますが、どうも
営利誘拐
に対する刑罰が軽過ぎる、外国に比べてもさような
実情
でありますので、これをもっと重くしろと、こういう意見が強く行なわれておりますので、
政府
部内においても、この問題を早急に何か結論を出すと、また結論を出さにゃなるまいと思いますが、それについてどうお考えですか。
篠田弘作
19
○
国務大臣
(
篠田弘作
君) これは幼児
誘拐
だけを重くするというわけにはちょっと参らないので、刑法が非常に古いままの刑法でございまして、罰金なんかも新しい、たとえば交通法規によって交通違反を犯した者は、即座に五千円ぐらいの罰金を食っておりますけれども、人をひいたような場合でも、古い
法律
によりますと、罰金が三十円とか、四十円とかいうことで、まあ
法律
全体に不つり合いな面があるので、これはひとつ刑法の
改正
までに国会でもって持っていくようにぜひしなければ、いわゆる時代に即応しない、ふさわしくない
法律
が、古いものが、依然としてそこにあるということだと思いますので、皆さんの御
協力
を得まして、できるだけそういうアンバランスを直したい、こういうように考えます。
小林武治
20
○
小林武治
君 これはもうどうも最近の流行で、差し迫った問題のように思うのですが、今の
営利誘拐
というようなことは、場合によったら臨時立法的なものを考えてもいいのじゃないかと思いますが、たとえば、ことしも暴力行為を取り締まる
法律
なんというものも出ておりますので、何か
政府
としてそういうことを早急に考えるつもりがあるかどうか。
篠田弘作
21
○
国務大臣
(
篠田弘作
君) この
法律
の
改正
の問題は、
国家公安委員会
の問題というよりは、むしろ犯罪……。
小林武治
22
○
小林武治
君 いや、あなたの意見を聞きたい。
篠田弘作
23
○
国務大臣
(
篠田弘作
君) 私は大賛成でございます。
小柳勇
24
○小柳勇君 わが党は、きのう中央執行
委員
会で、あした以降この問題を徹底的に究明し、
国民
の不安を一掃することを決定したのであります。本格的な質問は、明日以降に譲りますが、今の
小林
委員
の質問に関連して四点、
公安委員長
に質問をいたしたいと思う。なお、補足的に刑事局長も見えておりますから、刑事局長からも答弁を求めたいと思います。 一つは、この
責任
の問題ですが、
事件
のさなかに柏村長官がかわった。したがって、柏村さんは、あの
事件
の
責任
をとったのじゃないかという世間のうわさもある。まあ今
公安委員長
のお話を聞きますと、
責任
は
警察庁
長官にはない、各
現場
の県警本部長など、
現場
の
機関
が
権限
を持って
捜査
しておるからというような話でありますが、一体
警察庁
長官は、そういうふうな刑事
責任
についてはないのですか、その点を明らかにして、柏村長官の更迭のいきさつについて
説明
を願います。
篠田弘作
25
○
国務大臣
(
篠田弘作
君) もちろん柏村国警長官は日本の
警察
の行政上の最高
責任
者でございますから、そういう意味におきまして
責任
はあります。ただ、こういう地方で起こりました一つの刑事
事件
などの
法律
上の
責任
というものは、地方の国警本部長が持つということを申し上げたのです。柏村君のこの更迭の問題につきましては、柏村君自身も就任以来五年になりますので、将来と申しますか、この統一地方選挙が終われば自分は勇退したいという希望を本人は持っておったそうであります。たまたままあ、この問題を表面に出したということは、あるいは私の
責任
かもしれませんが、従来大蔵省であるとか農林省であるとか
建設
省であるとかというところの役人が、やめるとすぐ公団の総裁であるとか副総裁であるとか、あるいは金融公庫の総裁であるとかいう横すべりを非常にいたしているわけでございまして、これは適当なことであるかどうかということは十分検討されなければならない問題であると私は考えております。それに反しまして
警察
であるとか自治省であるとかいったところの人々は、御承知のとおり、非常に退官後の待遇と申しますか、社会的な扱い方というものは他の官庁に比べてほとんど、何と申しますか、食うくらいがぎりぎりのような待遇しか受けておらない。そこで私が国家
公安委員長
に就任をいたしまして、いろいろやりましたが、そのうちの一つは、この長い間のいわゆる刑事なら刑事というものばかりをやっておった、試験を受けることのできない人の特別の任用の問題、あるいはまた
警察
官の退官後における、何と申しますか、地位の安定と申しますか、できるだけ生活に困らないような、そういう処遇を与えることが、それに続く
警察
官の意気を、士気を高揚するのではないか。一生懸命に働いておれば将来はある程度めんどうがみてもらえるという、そういうふうにしたほうがいいんじゃないかということを私考えておりました。たまたま
住宅
公団の副総裁が公取の
委員長
に就任されるということになりまして、そのあとがあいたわけでございます。そこで私が年来そういうふうに考えておりましたものですから、柏村長官を異動するという
目的
よりも、むしろそういう
場所
をひとつ
警察
で押えることがいいんじゃないかということで、実は
建設
大臣の河野君に対して、今度あいた
住宅
公団副総裁の地位をひとつ
警察
によこせという交渉を私がいたしました。河野君は、やってもいいけれども、一体だれをもってくるのだということで、そのとき私の頭に浮かんだのは、もう五年もやっている
警察庁
長官も近くはやめなければならぬだろうということを考えまして、いや、実は柏村君だという話をしました。そこで柏村君という名前が出ました。ところが、それはちょうど参議院の
予算
委員
会での話でございまして、その周囲にはたくさんの人も見えておりましたし、あるいはまた新聞記者もたくさんおりましたので、
予算
委員
会が終わったあとすぐ柏村君を呼びまして、実は自分はこういうふうに考えて、今、河野君と折衝しているのだが、それは君を別にやめさせるという意味じゃなくて、そういういいポストがあるから交渉しているのだが、承知していてもらいたいということを私は柏村君に話した。柏村君もそのときは、それでは私は知らないことにしておきますということで終わった。それが新聞に出まして、非常にこじれてきまして、まあ、いいポストがあるから出るということは、従来の
警察
の精神に反するとか、あるいは政党大臣——新聞によりますと、政党大臣から世話を受けるということはよくない。いろいろ雑音と申しますか批判と申しますか、いろいろ入りました。そこで、私自身の黒星ということで実は一応
事件
がおさまっております。私自身は何も黒星でも白星でも、私自身やり方に多少の批判されるべきところがあったかもしれませんが、もともと善意に出発したことでありますから、私はそれで問題は一応おさまったものというふうに考えておりましたが、柏村君自身は、選挙が終わったら引退したいという意思を持っておられまして、今、ここに辞表を持っておりますが、この辞表を四日の日に預けられたというのが真相です。
小柳勇
26
○小柳勇君
公安委員長
はさっきから、今度の
事件
について非常に遺憾の意を表明しておられるこの重要な時期に長官の異動などということを考えられることが、さっきの発言のように、これは
現場
の
警察
の
責任
であって、長官や刑事局長はもう指揮についてアドバイスするだけ、こういうような思想に立っておるのではないかと心配するから質問するわけです。今までのいきさつは私は大して問題じゃございません。そういうことであるならば、
現場
の第一線の県警本部長ですね、県の本部長に一切の
責任
を負わせて、もう
警察庁
長官や刑事局長は見ているだけ、そういうことを心配するあまり質問しておるわけです。その点どうですか。
篠田弘作
27
○
国務大臣
(
篠田弘作
君) これは先ほど申しましたように、
責任
がないということではございません。ただ、
現場
の指揮をするという
法律
上の何といいますか、
権限
がない、むしろそういうふうに解釈したほうがいいと思います。そこで、こういういろいろな問題が起こっておるときに長官の辞表を認めることがいいか悪いかという問題につきまして、私は考え方が
二つ
あると思います。一つは、こういう場合、やめたいという人間を残して、はたしてこの
現場
の士気というものが高揚されるかどうか。あるいはその意思をいれまして、陣容を一新して、そうして新しい意気をもって
捜査
に当たらせるということが、これがまた非常に必要なんじゃないだろうか。もうやめたいという人が、たとえ一カ月延ばしてみましても、また来月、再来月は——やめたい気持でございますから、そういう、もうすでに一歩下がっておる人に
責任
を持たせるよりも、新しい気魄をもって指揮をさせるほうがいいと、私はそう考えておりますが、物の考え方でございますから、二色も三色もあるだろうと私は考えております。
小柳勇
28
○小柳勇君 刑事局長、どうですかね。今
責任
の問題を
小林
委員
も盛んに言われました。役人は辞表をふところにしてということを申しますが、最後の
責任
は私がとりますという腹を据えて仕事をするわけですが、柏村さんも
誘拐
事件
の
責任
ではなさそうです、今の話では。次の生活の問題を中心にやめるような話です。ほんとうに一体だれが
責任
をとるのかということを、今もう平次とりもの帳以前の話だといって笑っておる。そういう
警察
を建て直すには、一体だれが
責任
をとるのか、はっきり示してもらいたい。
篠田弘作
29
○
国務大臣
(
篠田弘作
君) それは
全国
的には私が
責任
をとります。
小柳勇
30
○小柳勇君 第二の問題は、
小林
委員
の発言にありました、公安、交通などに重点を置いて、治安を軽視しておるのではないか。今
警察
官に会って話を聞きますと、率直に言います、公安や交通のほうが第一線で、治安のほうは忘れられつつある。そういうことで、先般の警官の増員もほとんどこれは交通に回っておる。公安のほうは、すぐもう労働運動などについては一から十まで大したことでないことでも調べておる。県警本部に参りましても、たとえば労働組合の第一線の組合の役員の行動なんというものは毎日
調査
して報告がいっておる。ところが選挙違反の問題でも、あるいは今度の
事件
の問題でも、こういうふうな刑事
事件
についてはほとんど手が出ないという情勢。警官でも第二線級、第三線級を刑事警官として投入しておるのではないか、そういう点について具体的に刑事局長から
説明
を求めます。
宮地直邦
31
○
政府委員
(宮地直邦君) 小柳
委員
にお答えいたします。結果といたしまして刑事
警察
が、特に部内において、現在の段階において軽視されておるということはないと存じております。警備
警察
の問題と、あるいは公安、刑事の問題というのは、これはやや性格が違う問題でございます。
重要性
というものを同一
基準
において判断できないと思っております。ある時期におきまして、あるいは警備が正面に出てくる、また現在のように刑事の問題が表面に重点となりましたときには、これまた刑事の問題が非常に当面
警察
力を投入していくという形をとっておるのでありまして、全体的な
警察
といたしまして、これは異質のものであって、この両者というものをいずれを重視し、いずれを軽視するということはわれわれも考えておりませんし、そういう感情を持っていないのでございます。
小柳勇
32
○小柳勇君 では、あらかじめ質問
要旨
を出してないから正確な数字は要りませんが、
予算
、それから人員の概数を言って下さい。
宮地直邦
33
○
政府委員
(宮地直邦君) 現在刑事
警察
に従事しておる者は約二万二、三千人の人員で、刑事
警察
の
予算
は、これは国費
事件
、県費
事件等
がございまして、直接活動に要する
経費
が大体補助金を二倍にいたしますというと、二十数億円になるものと考えております。
秋山長造
34
○秋山長造君 ちょっと関連。その点ですが、まあ
委員長
も局長も頭から否定されるわけですけれども、従来この
委員
会でも
警察
行政の問題が論議されるたびに、われわれはいつも同じような質問を繰り返しているわけです。それに対していつも同じような御答弁があるわけですが、しかしまあかりに
吉展
ちゃん
事件
にしても、
中田善枝
さんの
事件
にしても、これだけ天下の関心をそばだてるような
事件
が、かりに警備
警察
の面で起こったとした場合、一体どれだけの人員を
警察当局
はそれにつぎ込むかということを考えてみますと、おそらく機動部隊や何かといってトラック何台とつぎ込むと思う。ところが先ほどの御報告によりますと、
吉展
ちゃんのときには六人の刑事が金の受け渡しのときに張り込んだ、あるいは善枝さんの
事件
にしてもその程度の者が張り込んだにすぎない。それは技術的にその程度の者で必要にして十分だという御判断でそうされたのか、あるいはそれしか間に合わなかったのか。その程度の人員しか、というようなことを比較対照してみますと、やはり当局は別に刑事
警察
を軽視しておるとか、あるいは警備
警察
偏重だということはないとおっしゃるけれども、われわれ部外者からすなおな目で見ますと、やはり今の
警察
の、どう言いますか、重点というものは警備
警察
にかかっておるのではないか。で、刑事
警察
というものはおろそかにはされておらぬだろう、されておらぬだろうけれども、相対的に見ればやはり軽視されておるのではないか、おろそかにされておるのではないか。まあ人材、能力、訓練、そういう角度から見ても、刑事
警察
にたずさわる
警察
官の訓練なり素養なりというようなものが、警備
警察
面に比べて劣っているのではないか、あるいはぬかっておるのではないかというような判断を下さざるを得ないのですが、その点はもう
篠田
委員長
も、われわれがそう言うからこう答えるのだということでなしに——私はやはりそういう感じを非常に与えていると思うのですよ、多数の人に。警備
警察
偏重になって、本来の刑事
警察
という面がどうもぬかっているのではないか、それは一々具体的な事実があるわけですから——にせ札の問題だとか何とか、次々あるのが全部わからぬままに済んでしまっている。そういう事実があるわけですから、だからなおさら、われわれが懸念するようなことになっているのではないか、
実情
が。こういうふうに判断せざるを得ないのです。だからその点はひとつ率直に、私はやはり
警察
のあり方というものを再検討していただきたいと思うのですがね。
篠田弘作
35
○
国務大臣
(
篠田弘作
君) 率直に申し上げまして、警備
警察
の場合は人数が多いということは、これはもう事実でありますし、当然だと思います。何万という群衆のデモ、あるいはそれを放置しておいた場合には治安にも
関係
するという場合に、その安全を期するためにそれ相応の人数を出すということは当然でありまして、人数の面からいえばそうであります。ところが御承知のとおり、
吉展
ちゃん
事件
の、たとえば
犯人
が金を取りにくるというときに、もし何万でなくても何百人でも張り込ませたとしたら、これはそこに
犯人
は来ません。やはり
事件
の性質から見ましてできるだけ
犯人
が
母親
が一人で来いといったような場合には——もう逃がしてしまったから、精鋭主義ということは、これは言えませんけれども、少数精鋭主義で効果をあげるということからいえば、
犯人
は一人である、しかも、いついつかここに現われるという具体的な事実がわかっておるということになると、やはり一人に対して六人ということが適当であるか十人が適当であるか、十五人が適当であるかわかりませんが、警備
警察
に使うような、何百人何千人の警官を使う必要はないということは、これは明らかであります。でありますから、その何万人というものを対象として治安を一時的に守る場合と、個人的な
犯人
を
逮捕
する場合というものは、私は人数が違っていいし、また違わなければいけないんじゃないか。人数だけでこっちを重視しているか、軽視しているかということは、これは率直に言って言えないんじゃないか。これは要するにその問題によってきまる問題じゃないか、私はそう感ずるのです。
秋山長造
36
○秋山長造君 もちろん、
吉展
ちゃん
事件
に機動部隊をなぜ繰り出さないかということを言っておるのではない。
篠田弘作
37
○
国務大臣
(
篠田弘作
君) もちろんそうです。
秋山長造
38
○秋山長造君 量よりも、やはりそれはおっしゃるとおりケース・バイ・ケースで質の問題だと思う。だからこれは、これだけの視聴を集めた問題に六人の刑事を張り込ませたということは、六人ということで必要かつ十分だと判断されたのかどうか、あるいはもっと張り込ますべきだったけれども、人が間に合わなかったというのか、そこらに質的な問題があるんじゃないかということを私は言っているのです。
篠田弘作
39
○
国務大臣
(
篠田弘作
君) その六人が非常にタイミングよく動けば、もちろん六人で十分だと私は考えます。ただそこに、そのお母さんのほうは
自動車
で飛び出していってしまう、警官のほうは三百メートルだから裏口から走っていくというような、そういう何といいますか、手違いというものが起こったところに、むしろ人数の問題というよりは作戦の問題に手違いがあった、こういうふうに私は判断するわけであります。
秋山長造
40
○秋山長造君 作戦というものはないですよ、僕らでもやります、この程度のことは。
篠田弘作
41
○
国務大臣
(
篠田弘作
君) そこは先ほど申し上げましたように、
母親
にいかに説得をタイミングよくやるかということが
吉展
ちゃん
事件
の場合に一番必要でありましたが、その説得ができなかったというところにさっき私が申し上げましたように、あれがあったと考えます。
小柳勇
42
○小柳勇君 私の言わんとするところは、過去のことを責めるだけではなく、前向きに考えまして、公安と警備と刑事と三つに分けて、大体人員配置、
予算
等をこの次に詳しく聞きますから、まとめておいて下さい。刑事局長、
委員長
に言っているのは、たとえば機動隊員に今優秀な人を抜擢されて、非常に誇りを持って機動隊の仕事に精励されている、それはいいことである。ところが刑事なんかに残された人は希望を持たないで仕事をしているんじゃないか、そのことを言いたいわけです。そういう声も聞くわけです。僕らが
警察
官にいろいろ話を聞く場合に、警備や公安のほうが第一線で、刑事のほうはどうも第二線に扱われつつある、こういうことを聞きますから、そういうことのないようにということで、前向きに御検討を願いたい。このことを今言っておるわけであります。 それから第三の質問は、
小林
君も言われましたように、それに類似した
事件
がまた起こりつつある。したがってこのあとの、同じようなまねして出てくるような
事件
について、早急に防止対策を講じなければ、また出ないとも限らぬ。そういうふうな治安の強化策と、今後の防止策については、一体どんな母体策を検討されたか、御質問をいたします。
篠田弘作
43
○
国務大臣
(
篠田弘作
君) この類似
事件
が今後も相当起こるおそれがありますし、現在すでに九件ぐらい起こっております。そこでこの問題につきましては、いろいろの
方法
もあるわけでありますが、たとえば自分のところの
子供
に、知らないおじさんが来てどっかへ行こうとか、キャラメルをくれるとか言っても、ついていっちゃいけないというやり方もありますし、また
警察
が非常にパトロールを厳重にいたしまして、そういうようなことをめつける、あるいは予防する、あるいは危険なところにひとりぼっちでいるような
子供
は保護するとか、いろいろな
方法
があると思いますが、結局個人的にこれを防止するということは容易じゃないと私考えます。実は、私のところに孫が三人おりまして、この問題が起こって以来相当心配しております。一人は幼稚舎の二年生、一人は白金小
学校
の一年生、一人は愛育幼稚園の二年生、三人が別々の
学校
に行っておる。そうしますと、それじゃ三人について三人の女中さんを雇ってつけてやれるかというてもなかなかできません。また実際上それは
子供
の問題ですから、やれるとしましても、そのこと自体が
子供
の将来に教育上いかなる影響を及ぼすかという問題もございます。それからもう一つは、それでは
子供
に、おとなを見たらどろぼうと思え、おとなが来たと言ったら、みんな逃げちまえというような教育をすることもなかなかむずかしい。
警察
はもちろんやらなければなりませんが、
警察
だけでは何千万という
子供
がおるわけでありますから、それを全部保護するということも現在のところでは、なかなかこれは
警察
だけの力ではむずかしい。そこでやはり私は、小暴力に対すると同じような社会的な一つの監視体制というものを作りまして、あるいは婦人団体なり、その他におきましてそういう危険な場面——迷い子、あるいはまた、たとえば泣いている
子供
を引っ張っていこうとするとか、あるいはまた何かくれると言ってつれていこうとする場面が見つかったら、それは親であるとか兄弟であるとかは別としまして、一応は注意する、監視するという形のものを作っていかなければ——大体模倣する人間は常識を持った人間でなくて、多少精神的な欠陥を持った人間が模倣すると思いますので、そういう意味でそういう者をまた一方において監視するというようなことも必要じゃないか。今のところ具体的にごうごうということは、きのうの
国家公安委員会
におきましても結論は出ておりませんが、近く刑事課長の会議を開きまして、そこでひとつ率直にどういう
方法
を具体的にとったらいいかという検討をさせたい、こういうふうに考えております。
小柳勇
44
○小柳勇君 私は、これは課長会議の問題じゃないと思うのです。たとえば
吉展
ちゃんのお母さんを脅迫したあの声が、テレビ、ラジオで流れています。これが効果があるかないかは、僕ら将来の問題として検討しなければなりませんが、実際あの声を聞いても、これが
犯人
だといって
逮捕
できる人間がいるかどうか問題だと思う。ところが、もしこれを逆に、こういうふうなことで再度
誘拐
事件
があっては困りますから、お母さん注意しなさいということを公安
委員
会はラジオで流しましたか、テレビで流しましたか。そういうことを言っているわけです。具体的に何をやっておるのか。ただ
犯人逮捕
にきゅうきゅうとしておって、まだどんどんどんどん毎日新聞に出ている、そういうものに対してはお手上げではないか。
警察
は一体何をしたか。これは刑事課長会議の話じゃない、これは
公安委員長
、自分の話ですよ、それを聞いているのです。
篠田弘作
45
○
国務大臣
(
篠田弘作
君) そう一がいにも私は言えないと思う。と言うことはどういうことかといいますと、たとえば善枝さんの場合に、四十名の警官が
現場
に張り込んだ。その場合に、もし会議を開いておったとするならば、ベテランの刑事の中から、主任さん、裏の茶畑には一人も配備をしなくてもいいのですかと、質問が出たろうと思います。ただ会議をしないで、お前はどこへつけ、どこへつけと言うだけだから、皆がそこの持ち場へ行ってしまいますから、もしそういう会議をしたとするならば、ベテランの刑事もおりますから、それはやはりまんべんなく配置をする。重点はここに置くとして、茶畑のほうも全部がらあきにしては危険だということは当然わかりますから、茶畑のほろへも警官を配置すれば
犯人
はつかまった。だから会議をする問題じゃないというけれども、
全国
的に専門家を集めて会議をするということは、これは非常に重要なことでございます。それのみによってどうするということではありません。しかし、御承知のとおり、きのう私はラジオに一回、それからテレビに二回出ました。そのほかに新聞記者との共同会見をした。私が特に
母親
に向かって注意しろと言わなくても、
母親
はこれだけでもって、十分この
事件
をもって注意するのでありますから、今日は民主主義の時代ですから、国家
公安委員長
が
母親
に注意しろと言わなければ
母親
は注意しないという時代ではない、こう私は考えます。
小柳勇
46
○小柳勇君 その会議の無用を言っているのじゃないのです。たとえばさっきも
小林
委員
が言われた、
営利誘拐
について緊急に罪を重くしたらどうか、これも類似犯を防止する一つの
方法
でありましょう。それは
母親
は自発的に注意しますよ。しかし
公安委員長
は法務省にいったり、あるいは各省の会議にかけて防止策をやりましょうということをやりましたか。その具体的なことを聞いているわけですよ。
篠田弘作
47
○
国務大臣
(
篠田弘作
君) そういうことはまだいたしておりません。これは私の手落ちでございますから、至急にやります。
石谷憲男
48
○
委員長
(
石谷憲男
君) 本件につきましては、本日はこの程度にいたしたいと存じます。 次会は、五月九日(木曜日)午前十時より
地方自治法
の一部を
改正
する
法律案
について審査を行なう予定でございます。 本日は、これにて散会いたします。 午前十一時三十八分散会