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1963-03-12 第43回国会 参議院 地方行政委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月十二日(火曜日)    午前十時二十八分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     石谷 憲男君    理事            小林 武治君            西田 信一君            林  虎雄君            市川 房枝君    委員            北口 龍徳君            西郷吉之助君            沢田 一精君            館  哲二君            占部 秀男君            鈴木  壽君            松本 賢一君            鈴木 一弘君   政府委員    自治政務次官  藤田 義光君    自治省税務局長 柴田  護君    消防庁長官   藤井 貞夫君    消防庁次長   川合  武君   事務局側    常任委員会専門    員       鈴木  武君   説明員    消防庁総務課長 山本  弘君    消防庁教養課長 上川  澄君    消防庁予防課長 雨倉正太郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方税法の一部を改正する法律案(  内閣送付予備審査) ○消防法の一部を改正する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○消防組織法及び消防団員等公務災害  補償責任共済基金法の一部を改正す  る法律案内閣提出)     —————————————
  2. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  本日は、初めに予備審査法律案一件の説明を聴取いたしました後、消防関係二法案の質疑を午前午後にわたり行ないたいと存じます。  初めに、地方税法の一部を改正する法律案議題といたします。  提案理由説明を願います。藤田政務次官
  3. 藤田義光

    政府委員藤田義光君) ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由要旨を御説明申し上げます。  地方税法につきましては、従来、累次にわたる改正により、住民負担軽減合理化をはかって参ったのでありますが、引き続きできる限り、住民負担軽減合理化に努める必要があると存じます。ただ、地方財政の現状は逐次好転して参っておりますものの、地方行政の水準はなお低く、その向上をはかることは国家的見地からも緊要とされているのでありますが、明年度税収入には大幅な伸びを期待することが困難な状況にあるのであります。したがいまして、明年度地方税制改正につきましては、このような地方財政実情を考慮して、国で必要な財源措置を講ずることとして、電気ガス税及び国民健康保険税軽減をはかりますとともに、その他税負担均衡化合理化のため所要改正を行なうこととしたのであります。  また地方税徴収制度につきましても、社会の進展と従来の運営実情とにかんがみ、国税改正に準じて、納税義務の円滑な履行と税務行政合理的運営に資するため、所要改善合理化を行なうことといたしました。  まず、地方税負担軽減合理化に関する改正につきまして、その概略を御説明申し上げます。  第一は、電気ガス税及び市町村たばこ消費税についてであります。  電気ガス税につきましては、住民負担軽減をはかる趣旨から、昨年に引き続きその税率を一%引き下げて八%とすることとし、これに伴う減収を補てんするため、国からたばこ専売納付金の一部の移譲を受けて、市町村たばこ消費税税率を一・四%引き上げ十三・四%にいたしました。  第二は、国民健康保険税についてであります。  低所得者層国民健康保険税負担軽減するために、国の財政措置と相まって、本税の納税義務者及びその世帯員所得合算額一定額以下の場合には、被保険者均等割額または世帯別平等割額を減額することといたしました。  なお、国民健康保険税標準課税総額につきましても、療養の給付及び療養費の総領から一部負担金の額を控除した額の百分の八十を百分の七十五に引き下げることといたしております。  第三は、固定資産税についてであります。国民健康保険組合及び国民健康保険団体連合会保健施設及び農林漁業団体職員共済組合病院診療所保健施設について固定資産税を課さないこととしました。  また、鉄軌道用地及び鉱業用坑道につきましては、これらの固定資産特殊性にかんがみ、評価基準合理化をはかって固定資産税負担軽減を行なうことといたしております。  第四は、不動産取得税についてであります。農林漁業団体職員共済組合病院診療所の用に供する不動産については不動産取得税を課さないこととし、また、中小企業工場集団化のため事業協同組合等不動産を取得して組合員に譲渡した場合における事業協同組合等に対する納税義務免除期間について合理化をはかることといたしております。  第五は、狩猟者税の廃止と狩猟免許税及び入猟税の創設についてであります。  最近における野生鳥獣減少の傾向にかんがみ、野生鳥獣保護を強化し、狩猟適正化をはかるため、別途狩猟法改正が行なわれることとなっておりますが、この改正に関連して、地方税制におきましても、現行狩猟者税を廃止し、新たに狩猟免許税及び入猟税を設けることといたしました。  狩猟免許税は、狩猟免許を受ける者に対し、免許を受ける都道府県において課することとし、その税率は、甲種または乙種狩猟免許については千五百円とし、そのうち、道府県民税所得割納税義務を有しない者には、七百円とし、また、丙種狩猟免許については四百五十円としております。  入猟税は、鳥獣保護及び狩猟に関する行政を積極的に推進するための目的税として設けるものであります。狩猟免許税と同様、狩猟免許を受ける者に対し、免許を受ける都道府県において課するものでありますが、その税率は、甲種または乙種狩猟免許については千円、丙種狩猟免許については三百五十円とし、狩猟免許税とあわせて徴収することといたしております。  以上のほか、他の法律改正等に関連して、税負担合理化を推進するため所要規定整備するとととしております。  今回の地方税負担軽減合理化に関する改正による減税額は、電気ガス税五十二億円、国民健康保険税四十二億円及び固定資産税二億円並びに国税改正に伴う減税十六億円で、合計百十二億円でありますが、さらに昨年改正が行なわれました市町村民税準拠税率の引き下げが昭和三十八年度から実施されます結果、これによって百三十億円の減税が行なわれますので、昭和三十八年度の地方税減税規模は二百四十二億円と相なる次第であります。しかしながら前に申し上げましたように、国からの税源移譲による市町村たばこ消費税税率の引き上げ、国民健康保険税の減額にかかる国庫負担金の増加並びに狩猟者税改正に伴う増収がありますので、差引百四十七億円の減収となります。  次に、地方税徴収制度改善合理化に関する改正につきまして、その概略を御説明申し上げます。  第一は、延滞金及び各種加算金軽減合理化についてであります。  延滞金及び延滞加算金につきましては、この両者を統合して延滞金とするとともに、現行日歩三銭または六銭を日歩二銭または四銭に引き下げることとしました。  次に、不申告加算金につきましては、現行では申告遅延期間に応じて一〇%ないし二五%となっているのを一律一〇%に改め、また重加算金現行五〇%を三〇%に引き下げることといたしました。  第二は、地方税賦課権期間制限についてであります。  地方税賦課権を行使することができる期間につきましては、従来特別な規定がなく、地方税徴収権時効期間である五年間と同様であると考えられていたのでありますが、これを徴収権時効と区別し、原則として法定納期限から三年間としたものであります。なお、住民税及び事業税国税所得税または法人税と関連を有しますので、これらの税が確定した時から二年間賦課権を行使することができることとする等、必要な特例を設けております。  第三は、納税手続改善合理化その他規定整備についてであります。  納税者納税の便宜を主眼とし、また徴収事務合理化をはかるために、災害の場合の申告期限等の延長、申告書等提出についての到達主義の緩和、地方税に関する端数計算方法合理化等制度整備改善を行なうことといたしております。  なお、この法律案施行につきましては、地方税負担軽減合理化に関する改正は公布の日から施行することとし、地方税徴収制度改善合理化に関する改正地方団体事務実情考え、その円滑な実施をはかるために、原則として、本年十月一日から施行することといたしております。  以上が、地方税法の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) 本案の質疑は、後日に譲ることにいたします。     —————————————
  5. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) 次に、消防法の一部を改正する法律案消防組織法及び消防団員等公務災害補償責任共済基金法の一部を改正する法律案、を一括して議題といたします。  これより質疑を行ないます。御質疑の方は順次御発言を願います。
  6. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今、私は一案のうち、消防法の一部を改正する法律案について自治省並び消防庁質問いたします。質問条文改正の二十一条の二に関することです。  今度、消防用関係機械器具等につきまして、従来任意検定でやっておったものに対しまして、検定協会を作って、そうして検定等をやるということはいいことだと思うのでありますが、それに関連して御質問したいのは、まず第一に二十一条の二に、「消防の用に供する機械器具若しくは設備、」こういうものの検定について「政令で定める」というふうに書いてありますが、その内容はどういうことになりますか。
  7. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 現在、政令できめたいというふうに予定をいたしておりますものは、第一に消火器その他の消火設備でございます。それから第二は消防ポンプ、その次は消防のホース、それから火災報知設備、さらには消火の薬剤、こういったものを考えておるわけでありますが、今申し上げましたのは、現在すでに消防研究所で大体任意検定をやっておる品目でございます。そのほかに研究を進めておりますものといたしまして、避難器具がございます。これにつきましても私たちといたしましては、慎重に各方面意見も聞き、技術的に検討を加えまして自信のあるものができましたならば政令で指定をしたい、かように現在のところは考えておる次第でございます。
  8. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 それで、今後検定協会を設けて検定を行なう。従来は任意検定であったものを強制検定にし、さらに型式検定個別検定をするというふうなことになっておりますが、この条文の中を見ますと、「技術上の規格に適合している旨の承認をいう。」という「技術上の対格」という文句があるのですが、この消防法に関連しまして、消防法施行令、これを見ますと避難器具等についても基準というものがあり、また消防法施行規則には「基準の細目」というようなものも詳細に書いてあります。今度ここに出ているように、避難器具その他についても検定を受けるに際しては、まず第一に、「自治省令で定める技術上の規格に適合している旨の承認をいう」というふうに書いてあるが、そうしますと、今後検定を受けるについて一番根底をなすものは省令で定めるところの技術上の規格ということになると思うが、そう考えていいでしょうか。
  9. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) そのとおりでございます。
  10. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そうしますると、検定協会検定をするということは非常にけっこうなことと思うが、自治省令技術上の規格をきめる、そのことが今後消防関係機械器具設備等に対しては非常な根底をなす重要な要素になると思うのです。今の御答弁で、それがそうであるとしますると、検定協会などを作ることはいいが、その根底をなす自治省令規格というものをお作りになるに際しては、消防庁長官としては、これは非常に根底をなす重要なものであるからいろいろ考えておられると思うが、どういう根拠に基づいてその技術上の規格を作られるか、詳細に承りたい。
  11. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 今御指摘にもなりましたように、現在すでに任意検定制度のもとにおきまして、消防法施行規則その他ですでに技術上の規格というものをきめておるのでございます。ただ、これらの点につきましては、たえず火災の現象というものも変わって参りまするし、それに新しい火災原因というようなものが付加されて参っております。と同時に、技術上の消防の対策というものも日進月歩してやまないことでもございますので、これらの技術上の規格についてはすでに制定したからといって、それで事足れりとするのではなくて、たえず検討して、さらによりよいものに持っていくという努力をいたさなければならないと思います。しかし現に、すでに規格というものがきまっておりまするので、それでもって問題がなかったものにつきましては、今度の強制検定についても大体それを骨子にして技術上の規格として取り入れていくというふうにいたしたいと考えております。ただ今まで規格がきまっておらないというものにつきましては、これはよほど慎重にやりませんと、消防用機械器具自体が非常に人の生命財産というものに対する保安用具でもございますので、われわれといたしましてはその点きわめて慎重にあらゆる角度から技術的な検討を加えて、確信を得たものでなければ、これを省令でもってきめるわけにはいかないのではないか。かように考えております。そこで規格をきめまする際におきましては、それぞれ私のほうでも予防課専門家もおりまするし、また消防研究所専門技術者もおって、理論的、実験的にいろいろの研究もやっております。それらの意見を徴し、それらが主体となって参りますことは当然でございますが、それだけではなくて、さらに業界意見、これは豊富な、自分で商品を製造したり、実地にこれを使ってみたりするような、そういう経験も持っておるわけでございますので、実務家経験というもの、さらにはこれらの機械器具を実際に使用して体験を持っております六大都市等消防関係専門家、こういう方々にも参加していただきまして、規格の制定につきましてはいやしくも誤りのないように、慎重にやって参りたい。かように考えておる次第でございます。
  12. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 ただいま消防庁長官が御説明されましたように、非常に慎重にやるのだというお考えで、正式にそういう御意見を承りましたから、ぜひこういう重要なものでありますから消防庁独断に陥ることなくやっていただかなければならぬ。そう思いますので、質問したのですが、今度は御承知のとおり検定協会を作れば、従来の任意検定と違って強制検定をするわけですね。でありまするから、私は今後消防機械器具避難設備等進歩発達根底は、自治省令できめるところの技術士規格いかんによってきまっていくことであり、しかも強制検定をやるのですから、私は非常に幅広く慎重に御検討になってしかるべきものであって、もし軽率に一予防課ぐらいの技術官が未熟な考えから、独断に陥るようなことで規格をきめるようなことがあったら、これはもう非常な罪悪を犯すことになるので、その点は長官のもとに予防課長も出席しているようだが、予防課長、よほどしっかりしてもらわなければいかぬ。私は、これは非常に重要なことだから念を入れて伺いますが、予防課長は、今消防庁長官が言われたが、その趣旨どおりに非常に慎重を期してやられるでしょうね。念のために伺います。
  13. 雨倉正太郎

    説明員雨倉正太郎君) ただいまお話のございました点、また長官から申し上げました点、私も全く同じ気持でやっておりますので、その点申し上げておきます。
  14. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 私は、長官のもとにおるところの予防課長に念を入れて聞いたのは、理由がないではないのです。この消防法施行令等を見ますと、いろいろ地階から六階以上のものにはどういう設備をしなければいかぬとか出ておりますね。今後避難器具設備等で一番重要なものは、高層建築になっていくから、だんだん三階とか四階、六階、ここに出ているようなそういうものに対する避難器具設備というのが一番重要なことになるわけですね。で、私は昭和三十六年の三月消防組織法改正案のとぎにも、現長官の前の鈴木長官にもそういう問題について詳細に質問をしたんです。当時の鈴木長官の言われるのに、非常にそういう避難器具等も発達して参って、七階、八階等からおろすところの避難袋等も、日本のそういうものは非常に技術が発達して参って、一分間に百人以上もおろせるようなものもあるのだというような答弁を聞いた。私宅非常にいいことだというふうに考えたのですが、今申し上げるように、これは消防法に関連する施行令を見ると、三階以上のものには必ず置かなければならぬものは救命袋避難場所とかなっておりますが、避難橋のほうは建物を建つときに同時に作るから問題ないと思うが、そうなってくると一番厄介なのはこの救助袋の問題。これは四階以上にはそういうものをつけることになる。その点について、私はさらに伺いたいのですが、これを見ますと、検定をする場合に、型式承認を得るには何か試験をするというふうに書いてありますね。試験を受けなければならぬ。その試験というのはどういう内容なんですか。
  15. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 自治省令技術上の規格をきめて、これを一般に出すわけであります。そういたしますと、製造業者のほうではその規格というものを頭に置きまして、それに合った製品というものを作るわけであります。それで自信ができましたならば、それを申請をして参ります。申請をしてきたものにつきまして検定協会自治省令できめた技術上の規格に合っているかどうかということの、実際上の試験をやるという意味でございます。
  16. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 その試験を通ったもののみが、この型式承認を受けられるわけですね。
  17. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) そのとおりでございます。
  18. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そういうことで、さらに今度の改正案では、型式承認を受けた後に、個別検定をするというふうに非常に厳重にやられることは、私は救助というような問題は人命に関することでありますから、こういうふうに念をお入れになることは非常にいいことだと思います。しかし何しろ技術によるものでありまするから、先ほども長官に念を押して御質問したように、消防庁としても技術陣整備されて、しっかりした陣容になさらないと、これは非常に逆に弊害を及ぼすおそれがたぶんにあるんではないかということを、私は危惧するのです。で、現在消防研究所等もあってやっておられるが、こういうものが非常にふえたから、間に合わないから別に検定協会を作るのだというその方向も、私はいいと思うんですが、さらに少し伺いたい点は、今予防課長にも御質問しましたが、この技術上の規格お作りになることが非常に重要なことになるのですが、どうも今私が申し上げたように、三十六年にも御質問して、消防庁長官は一分間に百人以上もおろせる救助袋もできているからというような話もあって、私も非常にけっこうだと思い、だんだん伺ってみると、そういう技術が進歩しておって、駐留米軍等もそういうものについては非常にこれは世界的なものであるというふうに折紙をつけたということも聞いておるのですが、何しろわれわれしろうとですから、詳細にあなた方に伺わないと、今後の、こういういい型があっても、技術上の規格などが作り方が悪くって、そういうものを一度きめますと、たいへんなことになりかねないと思うので、私はそれに重点を置く。と申しますのも、もしつまらぬ——つまらぬと言っちゃ失礼ですが、不適当な机上プラン等技術上の規格等を一技官等がきめるようなことが万一あると、それが根底をなして、非常に現在発達しているものをむしろ阻害するというような悪影響を及ぼす結果がありますから、私はこの点を伺うのです。長官は非常に慎重にやるという御意見ですから、私はぜひそうお願いしたいと思うのです。この技術上の規格をきめるということは、私はなかなか技術関係の者だけでもむずかしいのではないかと思うのですが、どうも今の長官意見は慎重にやると言うが、仄聞すると、もうすでに自治省ではこういう技術上の規格準備に入ってやっておられると——技官等がやっておられるというふうに聞いたのです。すでにそういうものをやって、そういう形はできておるのですか、どうですか。今後なさるのですか。今もうすでにそういうものはできておるのですか。
  19. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 避難器具等につきましてはまだ規格はできておりません。現在なるべく早く作っていきたいという心組みで準備をいたしておりまする段階でございます。しかしこの点については御注意がございましたように、むろん自治省令できめる技術上の規格でございます。したがって、私といたしましては、先刻申し上げましたようにいろいろな手だてを講じて、慎重の上にも慎重を期して参りたい、かように考えております。なかんずく、消火器その他についてもそうでございますが、この避難器具というのは、それ自体もし本誤った危険なものができますると、人命に直接損傷を与えるという重要な意味を持つ器具でございます。したがいまして、私といたしましても、これは技術のことは率直に言ってあまりわかりませんけれども、しかしその点は、技術者ないし実務家というものの意向をよく反映してもらいまして、私といたしましても決してこれについては無関心ではないので、衆知を集めていいものを作っていくということに持っていくつもりでございます。お話にも出ておりましたが、これは自画自賛ではございませんで、業界の協力、また研究等によりまして、わが国の消防用機械器具というものはかなり進歩したものでございまして、世界的にも評価を受けております。最近では東南アジアその他には消防機械器具もかなり輸出をされておるというような状況でございまするし、避難救助関係器具にいたしましても、かなり進んだものが現実にできております。したがいまして、そういうものも参考にしながら十分慎重にやって、いい規格を作っていく、いやしくも間違いがあるようなことにならないように、その点は私といたしましても慎重の上にも慎重を期して参りたい、かように考えております。
  20. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の御答弁を聞いて、非常にけっこうだと思うのですが、ただ私も戦争中に苦い経験を持ったから、こういうものについて非常に関心を深くしておるのです。私自身も戦争中に一万トンの船の上甲板から、潜水艦攻撃のために縄ばしごをおりなければならぬ、そのときに、われわれは気の弱いほうじゃないのですが、一万トンの船の上甲板から縄ばしごをおりるという訓練に初めてぶつかったときには、これは非常に容易ならぬと感じたのですね。縄ばしごは一本の綱と同様にからだにぶつかってしまって、高いところからおりるというのは非常に厄介なものであるということを、軍装もありますが、非常に苦い経験を持ったのですが、救助袋もせいぜい二階ぐらいならいいのですけれども、それ以上になりますと、救助袋に飛び込むという際に、これは平生のときならいいが、火災の場合ですから、緊急の場合ですから、婦人、子供等を優先的におろさなければならぬということになると、非常に危険を伴うわけです。今長官に御質問したように、いやしくも人命を尊重するという点からいうならば、この規格をおきめになる際には、念には念を入れ、単なる自治省技官独断なんかに陥ることが万々一あってはいかぬし、民間に、今の長官の御答弁のように、非常に今消防ポンプ等は行き渡っていない。救助袋等については世界の賞賛を得るというふうにも聞くのですから、そういう方面についてもさらに御検討をなさって、机上プランでなく、技術実地訓練等もなさって、十分の上にも十分の注意を払っていただきたいということを、私は特に長官に言っておきますが、こういうふうに任意検定から強制検定に移し、しかも非常にむつかしいことになっており、しかもそれを途中で変えたときは前のものはだめになるというような改正案で、めんどうではありますが、人命に関するものだけに、この程度のめんどうな型式に移すほうがむしろ私もいいと思っております。ですから今申し上げたことは、くどいようでありますが、救助袋等はいやしくも緊急の場合に人命を助けるためのものでありますから、十分今後とも御注意を願いたいということを重ねて長官に御要望し、長官に大いに期待するものであります。
  21. 西田信一

    ○西田信一君 関連。規格の問題に関して具体的に救助袋を例にとって御質問がありまして、長官からの慎重な態度で規格を作りたいという御答弁がありましたから、私宅ぜひそう願いたいと考えておるのでありますが、そこで従来何回か、こういう人命救助すべき救助袋によって、それが適当でないために、救助袋に入ってかえって人命を損傷したという実例を何回か聞いておる。そういうようなことを見聞しておりますので、私も全く同感で、今拝聴しておったんですが、今度この建築基準法が改正になって、高層建築——地盤によっては高さの制限なしにどんどん高層建築を許すという方向に進んでいるようです。そういうようなことを考えますというと、現在の救助袋に対する規格のきめ方が、そういう点も十分考えてきめていただく必要があるのではないかというふうにも考えるわけですが、それらの点についてどんなふうにお考えになっておりますか。
  22. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 先刻も申し上げましたように、現在避難器具等についてはまだ規格はきめておりません。現在検討をいたしておる最中でございます。さらに今お話に出ましたように、今度建築基準法等の改正によりましていわゆる容積地区の制度が出て参ります。そういたしますると二十階、三十階という建物も出てくるということになってくるわけです。そういたしますと、私たち消防の立場から見ましても、さらに本質的にいろいろ考え直していかなければならぬ面も今後出て参ります。いろんな消火器具その他にいたしましてもそうでございますが、避難器具等につきましてはさらにその重要性が増してくるということになるわけであります。で、そういう点もあわせ考慮に入れながら、慎重にいいものを出していくということにいたしたいと思っております。
  23. 西田信一

    ○西田信一君 もう少し具体的にお尋ねいたしますが、規格は建物の高さ、階層等によりまして差別をつけたような規格お作りになるのでしょうか。それとも救助袋なら救助袋というものがどういう階層の建物にも適合するような、そういうような階層によって差をつけない規格お作りになるということなんでしょうか。
  24. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 救助袋を例にとってみますると、これはあまりにも高階層になりますと非常に無理がくるんじゃないかと思います。高階層であればあるだけに相当横に伸ばしていかないととてもおりられない。それ自体が危険であるということになってしまいますので、おのずから限界があろうかと思います。したがって、そういうような高階層のところでは、建築基準法上もいわれておりますが、たとえば安全階といいますか、避難階とか、そういうものもまん中に入れていくというようなことで、そこに避難すれば絶対に安全だというふうな建築構造にするというようなことも、あわせ考えていかなければならぬのじゃないか。さらに避難階段というようなものも、あわせ考えることによって万全を期していかなければならぬのじゃないか、二十階、三十階というようなところで救助袋等を使うことは、これはおそらく困難ではないかというふうに考えております。
  25. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 さらに質問を続行いたしますが、今回の検定協会の設立に伴いまして、なかなか検定が重複して、慎重を期することになりますが、長官に伺いたいのは、今の消防関係の機材その他をごらんになって、今度は強制検定にしていきますから、今まで使っておるものは全部検定をパスしなくちゃならぬことになりますが、今のそういう機械器具等をごらんになって、大体検定協会を作りましても、今使っておるようなものは、それに合格するような程度のものなんでしょうか。大部分はだめになるのでしょうか、その点はどういう関係に。
  26. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 現在、任意検定ではございますけれども、おそらく一般に出回っておりまする消防用機械器具の中で、まず全体を通じまして七割強は、任意検定でございますが、検定を受けております。したがいまして、その検定任意でございますけれども、いわゆる技術上の規格というものに適合したものとして出回っておるものでございます。大部分はまず検定に合格するということに相なろうかと思っております。ただ従来、任意検定も受けておらない、いわゆる無検査品というものの中には、今度の強制検定によって構造そ他を改めていただかなければ、規格に合わないといったようなものが、出てくる可能性はございますが、大部分は検定に合格すれば適法に流通するということになるのじゃないかと思っております。
  27. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今回の改正で、検定協会は職員がいろいろこういう試験をやったり、なお、うしろのほうを見ますと、そういうメーカーなどに行って検査をしたり、また質問をしたりというようなこともできるように——立ち入ってできるようになっておりますが、そうなってきますと、この職員の資格というものは政令でおきめになるようですが、非常に重要なものになってきますが、政令で定める資格を有する者というのは、大体どういうふうな技術者をお考えか、概略伺いたい。
  28. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 検定といわれる中には、いわゆる型式の試験と、個別検定と二つございます。何といっても重要なのは、骨格をなします型式の試験というものでございます。あとは、個別検定は型式の試験を通ったものについて、個々の製品が、それにはたして適合しておるかどうかということを見て参るものでございます。これは、わりと形式的な検査であるともいえます。そういうことから、おのずから資格につきましては厚薄があってしかるべきではないかというふうに考えております。現在大体考えておりまするのは、型式の検査の職員につきましては、高度の学識と経験を要しまするので、大学の理工学部を卒業した者、またはこれと同等以上の学力を有する者で、一定の実務経験を持っておる者ということにいたしたいと考えております。それから個別検定につきましては、これは型式試験ほどの学識経験を必要としないと思われまするので、高等学校卒業程度で、一定の期間における実務経験を有する者というものを充てるように、政令でもってきめて参りたいと考えておる次第であります。
  29. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そういう技術者につきましても、こういうふうに強制検定ですから、十分りっぱな有資格者を集めていただきたいと思いますが、今度は検定協会を作って、こういうものは検定協会に一切をまかすわけですから、従来消防研究所任意検定をやっておりましたが、これができたあとの消防研究所というものは、本来の技術の進歩、発達というふうなものに専念するわけでしょうか。その点伺いたい。
  30. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 研究自体は、本来の消防研究ということに専念をいたす体制に持っていきたいと思っております。
  31. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 長官に重ねて伺いますが、今の消防研究所技術陣というものの力によって、今日までの機械器具とか、そういうものの発展に相当貢献してきたと思われておるでしょうか。それは有名無実というようなそしりを受けるようなことがあってはならぬと思いますが、その点はどうでしょうか。
  32. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 私から申すのはいかがかと思いますが、消防研究所自体は、研究設備その他は、御承知の方もあろうかと思いまするが、非常に貧弱でございます。しかしながら、それらの悪条件を克服いたしまして今日まで相当の成果を上げてきておると思います。実績から見ましても、今一般に用いられておりまする可搬の小型動力ポンプといったようなものは、消防研究所研究の成果を実用化したというように考えておるのであります。しかしながら、今後研究対象として成果を上げなければならない面は非常に多いわけでございますが、幸い、来年度におきましては待望の消火技術センターというものを設立いたしたいということで、ただいま予算の御審議を賜わっておるような次第でございまして、これができますれば、消防研究所も画期的な前進が見られるのではないかと考えておる次第でございます。
  33. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 さらにもう一点伺いますが、うしろのほうに鑑定という文字も使っていますね。二十一条の三十六ですか、それの四に「機械器具等の鑑定を行なうこと。」というので、鑑定という文字が出てくるのですが、検定とどういうふうにこれは差別しておりますか。
  34. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 検定は、いわゆる強制検定の対象になるものでございまして、具体的に政令でもってこれこれというふうに品目その他が上がって参る種類のものでございます。それについては技術上の規格というものを自治省令できめて、その規格に適合するかどうかということについて試験を行ない、個別検定を行なうという建前になるわけでございますが、ただここに参りますのには急には参りません。次々と製品等が出て参りまする際に、技術上の規格をどんどん追加していくということもなかなか追いつかない、また自信を持てないというような場合も中にはあり得るわけであります。ただ業者等のうち、あるいは発明開発に従事をしておられる方々が、こういうアイデアで、こういう製品を作ったが、これはどんなものであろうかというような、いわゆる御相談に見えるというような場合も間々あるわけであります。そういったものについて試験研究設備もある程度備えまするので、この協会におきましてこの申し出があったものについて、技術上の立場からその効果等について判定を下すということを、技術上の一種のサービス業務としてやって参りますることは、機械器具の発展、向上をはかる意味からいっても、その一助になり得るのではないかということで、鑑定という業務を一つ加えたわけであります。これは検定とはそういう意味で違っておるわけであります。
  35. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 次に、組織法の中で一点伺っておきたいのですが、今度の改正条文第十条を見ますと、政令で定める市町村に今度新たに消防本部及び消防署を置かなければならないというふうに強制したわけですが、先般の御説明によりますと、この「政令で定める市町村」というのは、密集地一万の市街地を持つ市町村という御説明でありましたが、この点について長官からもう少し詳しく、具体的に御説明願いたいと思います。現在大体こういう市町村は五百くらいあって、今回の改正で百二、三十ふえるというふうに伺ったのですが、そうでしょうか。その点について伺いたい。
  36. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 組織法の改正案の第十条にございまする「政令で定める市町村」ということでございますが、この政令につきましては、今お話が出ておりましたように、大体市街地人口が一万以上ということと、それから平均建蔽率——建物の建蔽率が一〇%以上、この程度の基準でもって市町村を指定をしていきたい、かように考えておるのでございます。と申しますのは、現在消防力の基準というものを出しております。これは、市町村はこういう規模のところではどのくらいの消防力を持つことがいいのかという一つの最小限度の基準として示しておるものでございます。これは物的の消防施設、人的の消防——消防職員、消防団体、これらをあわせて基準として示しておるのでございますが、その中におきましても、今申し上げましたように、建蔽率が一〇%以上であって、かつ市街地人口が一万以上というものについては常設消防が必要であろうというふうにきめておるのでございます。これは相当長きにわたって各方面から検討をいたしました結果、こういう基準を適当と認めて出しておるわけでございまして、現在のところこれを改めていく必要もないと、かように考えておりますので、政令につきましてもこれを受けまして、今申し上げましたような線でもってきめて参りたい、かように考えております。  そこで具体的に申しまして、政令で設置を義務づけられる市町村数の問題でございますが、三十八年の二月一日現在における市町村の総数は、三千四百四十四市町村でありまして、このうち消防本部署それから常設消防を設置いたしておるのは四百四十一市町ということに相なっておるのでございます。そういたしますると、今のような基準で参りますと、この法律が通って効力を生ずるようになりました後において、常設消防の設置を義務づけられる市町村の数は百二十六、現在調べましたところでは百二十六、内訳は、市が七十三、町が五十一、村が二、こういうことに相なっておる次第でございます。
  37. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 これで常置するのですから、強化することになりますが、こういう点は費用の点その他について相当苦しいところも出てくるのではないかと思います。そういう点は十分見てやらなければならぬと思うのですが、長官に重ねて伺っておきたいのは、現在すでに自治体消防におきましても、年令が高進しているのに新規の採用に非常に困難をするような点があるように聞いておりますが、そういう点どうですか。
  38. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 常設消防を必置といたしまするための法改正を行ないます以上、それの裏づけとなりまする財政措置というものも並行して十分講じて参らなければならないことは、当然のことだと考えております。実は現在におきましても、いわゆる標準団体につきましては、われわれといたしましては、それほど理想まで単位費用等は認められておるわけではございませんけれども、まずそうひどいことには相なっておらないのではないだろうかと思っております。しかし、この第十条の改正規定が動き出しますまでにはまだ若干の期間もございますので、その間にさらにその裏づけとなるような交付税措置を含める財政措置も講じて参りたい、それとともに、これらの設置義務を負いまする市町村につきましては、消防施設等についての国庫補助の配分あるいは損保協会から配分を受けておりまする損保債の重点配分等もあわせ講ずることによって、財政措置の裏づけにさらに遺憾のない措置を講じて参りたい、かように考えておるのでございます。それから現在社会経済情勢の変化とともに農村、山村地帯におきまする消防団の劣弱化といいますか、弱体化というものがかなり目に立ってきておるような現象に相なってきておりますことは御指摘のとおりでございます。これに対しましてはいろいろ対策がございます。最も常套の対策といたしましては、常設消防というものを推進をしていく、あるいは常設消防とまでいかなくても消防団の常備具を作っていく、あるいは常設消防にいたしましても、一市町村ではなかなかむずかしければ組合を作っていくとか、あるいは中心部の都市に消防事務を委託するとか、いろいろのことがございます。そのほかに消防自体についても団員確保をはかりまするためにやむを得ず暫定的な措置といたしましては、年令の引き上げ、最高限の引き上げ、あるいは最低限の引き下げというようなこともあわせ考慮していかなければならないのではあるまいか、それらのいろんな対策がございますけれども、それを現地の情勢に応じて最も適当な方法を講じて参るように昨年来いろいろ指導に万全を期しておるような次第でございます。
  39. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 長官にもう一点最後に伺っておきますが、この今回の改正で十八条の二ですか、都道府県は今度新たに市町村の消防のあっせんをしたり、さらに今度新たに市町村相互間の消防職員の人事交流のあっせんというようなこ〜も加わりまして、こういうことを上手にやれば私は士気向上の上にもその他からも非常にいいことだと思うんですが、これを下手にしますと、府県市町村というものは地方公共団体として上下の区別なく同格の立場でやっているんですから——御承知のようにそういう立場ですから、急にこれが、こういう権限がきたからといって、下手に市町村に指揮命令するような態度に出ると、これは非常に悪い結果を与えるということを私は懸念するんです。従来とも各府県において警察署長の古手が消防署長になったりする場合に、やり方が悪いために警察と消防が非常に対抗した実例も私は承知しておりますが、そういうふうにこれは幹部のほうですが、警察署長が消防署長になるというのは上のほうのことですが、上のほうの人事におきましても影響するところが大きい。警察は警察、消防消防というふうなことでやってきておるんですから、そういう場合でも非常に対抗意識を持ってもめたことも承知しております。そういうこともありますので、都道府県が上手に相手の立場を尊重してやれば、私はこれは非常にいい結果を生ずる方向にあると思うんですが、下手しますと指揮命令するごとき立場に都道府県が急に出ると、せっかくこういういい条文も逆効果はなはだしきものが出るおそれがありますので、そういう点を心配します。二十条を拝見しますと、消防庁長官は市町村に対して必要な助言などもできることになっておりますから、そういう点をあわせ考えて、上手にやっていただかないと、この条文は非常に弊害をもたらすおそれなしとしないので、その点について今後とも十分の御考慮を願いたいということを申し上げまして、質疑を終わります。
  40. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 御指摘の点はごもっともでございます。私どもといたしましても、この規定の運用については万全の配慮を加えまして、いやしくも市町村自治体消防の理念というものを没却することのないように考えていきたいと思っております。もともとこれは人事交流のあっせんと申すのは、自治体消防が発足いたしましてことし十五周年を迎えることに相なっておりまして、かなり小さな自治体消防では人事の渋滞が見られるところもございます。そういうところでは、やはりもう少し広い立場で人事交流というものをやってもらうほうがいいのではないかというような要望も出ておりますし、さらに先刻御質問のございました一定の規模の市町村について消防本部、消防署が必置制になるということになって参りますと、現在全然消防の専任がなかったところに、そういうものをやっていくわけでございますので、どうしても消防職員の有能な人が必要であるということになりまして、何か適当な人を紹介してくれというような事態も起こって参るのではないかということが考えられるのであります。そういう意味で、現実の必要性ともにらみ合わせまして、あっせんということに限って、これを認めることにしてはどうか、というのがこの趣旨であります。あっせんでございますから、本来市町村側から言ってくる、それを受けてやっていくということが本来の建前でございます。しかし、筋はそのとおりであるけれども、こういう規定をたてにとって、人事干渉にわたるというような運用になっては、これは非常に行き過ぎでございます。そういう点は十分配慮いたしまして、この規定がうまく運用されて参りますように、万全の指導を加えて参りたいと、かように考えております。
  41. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 初めに、消防法のことで二、三お伺いしたいのですが、ことしは火事の新記録になったわけですが、組織法のほうを見ていっても、消防の普及宣伝ということが載っておりますし、今の西郷先生からの御質問の中に検定の問題が取り上げられ、強制検定ということになってきたということはいいと思いますが、その問題以前に防火消防思想の普及という点の効果というものが十分でなかったのではないか。だから、ことしの二月あたりに最高記録の火災の発生ということになっているのではないかと思うのですが、その点をちょっと最初に関連して伺っておきたいと思います。
  42. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 年々若干の高低はございますけれども、火災件数がふえて参っておるということは遺憾ながら事実でございます。私たちといたしましては、火災予防というものバ対火災対策といたしましても、最も其本的な要請でなければならないということで、努力して参っておるわけでございますけれども、遺憾ながら社会経済情勢の進展とともに、非常に複雑な火災原因というものがふえて参りまするのと、何といっても火を使う機会というものが、一般の家庭内におきましてもどんどん増加をいたしてきておるわけであります。これらの点から全体といたしましては、火災が増加の傾向をたどっておる。特に本年におきましては、今お話もございましたように、一月中の六大都市の火災件数は前代未聞と申しますか、今までよりも非常な激増を示してきておるということは事実でございます。これに対しましては何といたしましても、今お話がございましたように、警火思想、火の用心というものをあらゆる機会をとらえて、これを推進し、徹底をしていく。しかも、それをじみちな努力として積み上げていくということをやっていかなければならぬ、かように考えております。今までのやり方というものが十分でない、こういう点があったのではないかということは、私といたしましても、率直にこれは反省を加えております。火災予防の徹底ということにつきましては、さらに関係府県あるいは市町村とも連携を保ちながら、徹底のために邁進をいたしたい、かように考えております。
  43. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 非常に慎重な御発言なんですが、今までやってないというのじゃなくて、一生懸命おやりになっていても、こういう状態だったわけです。それから先ほどの消防用機械器具検定の問題にしても、長年の間には実際、圧力の抜けている器具まで出るような状態でありますし、この問題は一そう考慮してやっていただくように——今のお言葉に期待する次第であります。  その次に、消防法の第二条に救急業務の問題が出ておりますが、救急業務を法律で初めて今回規定するという形になるわけですけれども、救急自動車の配置、これはやはり人口一万単位、あるいはそれ以下のところまで考えておきたいという意向のようですけれども、そうすると、現状ではだいぶ不均衡の状態にならないかどうか、その点をひとつお伺いしたい。
  44. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 救急業務の実施を義務づけたいと思っておりますのは、消防本部署を置かなければならない市町村で、しかもそれにもう一つ大ワクをかぶせまして、人口十万以上ということにいたしてはいかがかと、現在のところ考えておるような次第でございます。と申しますのは、救急業務自体も、時代の要請でございまして、あらゆる市町村においてこの体制を整備しなければならぬということは当然でございますけれども、現在常設消防自体につきましても、まだそこまでなかなか参っておりません。それについて一歩前進をさせるために、常設消防についても義務制をひとつ打ち出していこうではないかというふうに考えておるような段階でもございますので、今のところは、救急業務について義務づけをいたしたいと思っておりますのは、人口十万以上の市町村で、消防本部署というものを置かなきゃならぬところ、かように考えておるのであります。
  45. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 この問題になりますと、救急業務の条文でも、結局、事故現場から病院までの間の問題ということになって参りますし、そうすると救急医療ということに非常に関連があることでありまして、そういう救急業務等についても厚生省令で定める医療機関でありますけれども、こちらでは大体どの程度で、どのくらいの病院を用意しておきたいという考え方がおありになるか。
  46. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 救急業務は、救急隊によって事故による傷病者を医療機関に搬送するということを主体にして取り上げていく建前になっておるのであります。その場合におきまして、救急業務というものが、全体としての救急医療体制ということと密接不可分の関係にあることは、これは申すまでもございません。ただ医療体系ということになって参りますると、これはやはり所管は、医療行政自体でございますので、これは厚生省の所管になるわけでございます。われわれ消防行政の建前から、医療機関自体の中に、あるいは医療行政の中に立ち入って参るということは、これは適当でないと、かように考えておるのであります。そこで御承知と思いますが、厚生省におきましては、本年一ぱいかけまして救急医療体制というものを整備していく考えがあるようでございます。その中には、中央に救急指定の中央病院というようなものを置いて、それを主体にして救急医療体制というものの整備をはかって参りたい、そういうような構想でもって全体の体系を打ち出したいというような気持であるようであります。私たちのほうといたしましても、厚生省のそういうような全体の構想が打ち出されて参りまするならば、当然それに歩調を合わせて、それの一環として救急業務をはめ込むというふうに協力をして参りたいと、かように考えていることでもございますので、医療機関に関しましても、これは厚生省令で定めるということで、その点のけじめをはっきりいたしたような次第でございます。  ただ現実に、鈴木委員も御承知であるかと思いますが、東京、大阪等におきましては、実際問題といたしましては、病院側と打ち合わせをいたしまして、指定制度をとってこれを運用しているところが実際にございます。それにつきましては、まちまちでございますけれども、一応の基準というものがあるのでございまして、やはり総合病院であることが理想である。あるいは夜間いつでも開いておって、しかも医者が必ず詰めているということでなければならない、そういったような基準は、一応病院側と相談してきめて、それに適合したものについて、事実上の指定をやっているというようなことで、制度運営をはかっているのが現実の姿でございます。しかし今度、これが出て参りますると、この点もはっきり厚生省と相談をいたしまして、厚生省令で具体化をはかって参る所存でございます。
  47. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 今度、救急隊を使うときの救急自動車を、人口十万になれば当然置かなければならぬ、そういうふうになってくると思います。先ほども消防本部設置についての財源的な措置のことがございましたが、これは私は角度を変えて申し上げてみたいと思うのですけれども、話に伺いますというと、アメリカあたりでは生命保険会社がほとんど救急自動車の供出をしているというような状態だということですけれども、わが国におけるそういうふうな関係の状態はどんなふうですか。
  48. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 保険機関が、こういうふうな事故あるいは災害というものに対して根を断つため、あるいは被害を軽減するために、協力をいたしておりまする度合いというものは、各国によって建前がだいぶ違うようでございます。特にアメリカあたりでは、今お話にございましたように、保険会社の協力というものが非常に積極的であることは、お話のとおりであります。たとえば火災等につきましても、もともといわゆる義勇消防、わが国の消防団に当たるもの以外のいわゆる常設消防の初めての萌芽というものは、保険会社が作った。それがだんだんと公共機関のほうに転移をしていったというような経緯もあるようであります。それぞれの国情、沿革の相違からきているものでありまして、わが国の場合に、直ちにそれを持ってくるというわけには参りませんのですが、さらに弔う少し積極的な協力というものは、私たちとしても期待していいのではないかというような気持はいたしております。現に火災関係では損害保険の協会がございます。損保協会といっておりますが、そちらから現在二つの面にわたって一応の協力態勢は示しておるわけであります。一つは、消防自動車を市町村に対して寄付をしている。それからもう一つは、損保債というもので起債の財源に充当いたしまするために資金の融通をやっております。これは三十七年度——本年度は十二億五千万円でございましたが、これも毎年少しずつ増加をしてきておるということで、その面の協力はいたしておるのでありますが、それよりさらに進んで救急業務と生命保険会社との協力関係ということにつきましても、私たちといたしましては、今の御示唆の点もございますので、もう少し積極的にひとつ研究をしてみたいと思っております。
  49. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 研究してみたいということですが、これは極力研究していただいて、今のアメリカのお話がございましたけれども、当然保険会社としては生命を尊重しなければなりませんし、こういう面で協力というものは国家的行事として求めるべきであると、こちらとして協力を要請するといいますか、求めるべきであると、こういうように私も思います。研究するということですから、早々の研究をお願いしたいと思います。  それからその次に、共済基金のことですが、非常勤の団員の災害補償、これが今度水防の問題が入って参りまして非常にいいと思うのですけれども、これに関連してひとつ現状をお伺いしておきたいと思います。今団員が不幸にして職に殉じたようなときに、合算して約五十万程度であろうと、このように推定しているのですけれども、警察関係と比較すると低いのじゃないかという感じがするのですが、その点具体的に御説明願えないでしょうか。
  50. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 低いことは御指摘のとおりでございます。そこで、来年度は警察並みに全部歩調を合わせるということで、改正の手続を現在進めておる最中でございます。
  51. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 そこで、結局支払い責任というものは市町村にあるわけですね。そこの市町村財政とのかね合いの問題についての見解ですね、その点についてひとつ伺っておきたい。
  52. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 御指摘のとおり補償の責任は市町村にございます。ただ相手が災害のことでございますので、一時にある場所で集中的に災害が起きますと、財政力貧弱な市町村ではとうてい一時の負担にたえ切れないということで、これの共済制度を確立したいということで、公務災害補償責任共済基金というものを設立して今日に至っておるわけでございます。しかし主体はあくまで市町村がその補償の主体でございますので、財政負担その他も市町村がいたすということに相なっております。共済基金に加入をしておりますものは、その意味で第一次的には基金が払いますけれども、その裏づけといたしまして掛金はそれぞれの市町村が一定の基準に従って払い込んでおるということで、基金の運営が行なわれておるような次第でございます。そこで今度改訂をいたすということになりますると、当然掛金が上がるということに相なるわけでありまして、その掛金に充当しまするためには交付税の中に算定をいたしまして財政の裏づけに遺憾のない措置を講じたい、かように考えておる次第であります。
  53. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 今のに関連するのですけれども、一般人が応援協力した場合にも、これは非常に少ないわけですけれども、警官の場合と比較して、これも同額にするということですね。
  54. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 一般の方につきましても、警察官に対する協力者の場合と同様に処置ずる所存でございます。
  55. 市川房枝

    ○市川房枝君 「三十七年の火災の実態と消防の現況」というものを拝見したのですが、その中でちょっと気がついたことですが、火災による被害のうち一番痛ましいのは死傷者の問題だと思います。この火災の死傷者はだんだんふえておるようなんですが、これは三十六年は出ていますね、三十七年の実数がおわかりでしょうか。
  56. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 申し上げます。三十七年の実数につきましては、最近調査がまとまったのでありますが、それによりますると、死者は遺憾ながらさらにふえておりまして八百五十名、それから負傷者につきましては、これは若干減っておりますが、前年の八千七百七十四人に対しまして八千三百七十一名、四百三名の減少でございますが、死者につきましては遺憾ながら四十四名の増加と相なっております。
  57. 市川房枝

    ○市川房枝君 東京での死傷者はときどき新聞に出ております。それを拝見しますと、カフェーなんかの女給さんだとか、あるいは工場あるいは商店などで働いておる若い人、特に女の子が、職場の二階あるいは三階に泊まっておりまして、そうして焼け死ぬというような場合が相当にあるような気がしますけれどもいかがですか。
  58. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 率直な言い方をしますと、焼死者が出ておりまする建物はほとんど全部が違法建築物であるといっていいのではないかと思っております。その点は、建築行政自体と、われわれのほうの消防行政とのからみ合いで、今までもいろいろ問題になりました。できるだけ調整をはかってやっておりますけれども、遺憾ながら建築確認を受けましたものでも、その書類上のこととは関係なく、さらに継ぎ足しをしたり、おかしな間仕切りをするというようなことになって、どうも建築関係に人手が足りないこともありまして、現実の問題としてそういう違法建築物ができております。そこに今お話になりましたような女の人たちが、住まざるを得ないというようなことになってきておるのでありまして、消防の見地からは、カフェー、バー、そのようなところにつきましては、防火の査察でもって、立ち入り検査をやっておりまして、注意は毎度やっておるのであります。そういう焼死者が出ておりますところは、ほとんど五回も注意をして、しかも業者のほうからは、いつまでに直しますというようなことまで誓約書を入れておりながら、それがずるずるおくれておって、そのうちに悲惨な結果を招来したというような事例が多いわけであります。私たちもその点は非常に遺憾千万に考えております。違法建築物というものの防止——違法建築物には人を住まわせないような措置というものをもっと強力にやれないものかというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、受ける相手方といたしましては、何かかんかと言って口を濁すというようなこともあり、また、ある場合には、それこれ開き直って、こっちの責任でやっておるものを、そこまで言う必要はないじゃないか、そこまでやかましく言うのなら、あなたのほうでやってくれというような捨てぜりふを言うような業者も中にはおるようでありまして、それらの中に入ってうまくやっていくには、非常に現場機関も苦労はいたしておるようであります。私たちといたしましては、実はそれに対する是正のための根拠規定がないかというと、現在消防法規定はあるわけであります。そういう危険な場合については使用の停止とか改修とか、そういった是正命令が出せるという規定はあるわけであります。ただこれがあまり乱用に過ぎますると、いわゆる建築行政との関係で、一たん建築行政でいいとされておったものが、それが消防の見地からやかましくいわれるということでは、政令二途に出て、おもしろくないじゃないかという、いろいろなことがありますし、この是正命令を出しました際に、これが行き過ぎでありますと、あとで裁判で引っくり返るというようなこともございます。かれこれ考えあわせまして、むしろこういう伝家の宝刀を抜くよりも前に、実質上の指導でもってうまくやっていきたいということでやっておるわけであります。しかし、私は最近はその点にもおのずから限界があって、もう少しこういった違法建築——目に見えて、火災の危険があるのみならず、火災があれば必ず人命に損傷が起きるということが確実と思われる建物の措置については、もう少しはっきりとした強い態度で進んでいかなければならない。そういう時期に来ておるんじゃないかというふうに考えておる次第であります。
  59. 市川房枝

    ○市川房枝君 そうしますと、この焼死者がふえたというか、死者が多いということは消防庁の責任ではないというのですか、それは建築行政関係にあるというのですか、あるいは今のお話では、消防庁から何回も是正するように勧告をしているのだ。ところが、その勧告を聞かないというお話もあったのですが、この責任が——焼死者がこんなに出ている、ふえている責任はどこにあるかということで、消防法の今度いろいろな改正もありますけれども、あまり改正をしたって、この焼死者を少なくするということには大して役に立たないことになりませんか。
  60. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 消防側に全然責任がないといういい方は私はいたしません。やはりそれぞれの所掌事務を取り扱っておるところはそれなりの責任というものは負っていかなければならぬのじゃないかというふうに考えております。ただ実態をはっきり申せば、違法建築というものに起因する死傷者の場合が圧倒的に多い。そのためにやはり建築行政と、われわれ消防の予防行政の面と、これをもう少し密接不可分な協力関係を確立をして進ませるようにしていかなければならぬじゃないか。その他の点についても改善の余地がなお残されているのではないかというふうに申し上げたのであります。  さらに、根本にさかのぼりますれば、日本の建築街区なり都市構造、あるいは建物構造の問題にまでさかのぼります。しかし、そこまで消防の立場からいうことは、これは行き過ぎでありまして、一般的には要望いたしますけれども、そういうことをやめなければ消防行政は達成できないというような、のんきなことは、これは言っておられません。現実に火災が起きて、現実に死傷者が出ておるという、そういう事態に対して、今ここでどういう対策を講ずるかというようなこととわれわれは取り組んでおるような次第であります。それで、最近死傷者がふえておりますのは、火を使う頻度というものがどんどんふえてきた、いわゆる出火件数がふえてきたことと大体比例をしておりますけれども、そのほかに、特に私たち注目いたしておりますのは、家庭内その他における石油ストーブあたりの使用が非常にふえて参りました。これは、御承知のように転倒したりなんかいたしますと、一瞬で火災になります。のんきにやっておりますと、直ちに延焼火災にまで発展してしまうようなことで、その点から死傷者というもの——も逃げおくれて、窒息したりあるいは焼死するというような事例も、かなり多くなってきているのではないか、というふうに見ております。
  61. 市川房枝

    ○市川房枝君 さっきの違反建築のほうは建築行政のほうなんですが、その建築行政とそれから消防行政といいますか、との間で、何か話し合いといいますか、両方で協力して、もっと焼死者を少なくするような協議といいますか、そんなことは行なわれておりますか。
  62. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 制度といたしましては、現在ある人が建物を建てるということになりますると、設計書その他を付けまして、建築行政を担当いたしておりまする窓口へ行って手続をいたします。都でいえば建築局というものがございまして、そこに建築の事務をやっております建築主事というのが御承知のようにございます。ここで手続をしておるわけでございますが、その際に、建築主事が法令の規定に基づいて適法であると認めますれば、ものに応じてあるいは建築の許可とか確認とかいうような行為をいたします。その際に、消防のほうに書類を回します。東京でいえば東京消防庁のほうへその書類を回します。そこで、消防のほうは、火災予防の見地から、あるいは人命危険度という見地から、その構造等についても検討いたします。検討して、これがいいと思われるものにつきましては、それぞれ異議ないということでもって、書類を建築当局へ回していくということでやっておるわけであります。ただ、遺憾ながら——その書面どおりに出てくるものは、それで防げます。防げますけれども、書面とは別に、届け出も何もしないで、屋根裏等を改造して——こそこそと建物の改造をして、危険な個所を作るというようなことになりますと、これはなかなか目が届きません。いわんや、建築行政の担当のほうはそう人手もございませんですし、一々見回るわけでもございませんですから、どうしてもその間に目こぼれというものが出てくる。これらの点の間隙をなるべくなくするために、消防当局といたしましては随時見回って、火災予防の見地からいろいろ注意をしております。ただ、対象がいかにも多過ぎる。それと、おのずから各家庭にまで入り込むというわけにいきません。これは各家庭でもって了承してくれればよろしいですけれども、強制的に入っていくわけにもいきません。そういうおのずから限界があるわけであります。わかりましても、すでに改修などをしてしまって、そこに現実に人が住んでおるということになりますと、なかなか言葉をかまえて、それに応じてくれないというようなことでもって、危険な建物にiIそのまま危ない個所に人を住まわせて、いざ火事が起きれば不幸な犠牲者を出すというような結果を招来しておるのではないか、かように見ておるのでございます。
  63. 市川房枝

    ○市川房枝君 焼死者、まあ私は家庭の場合は今お話しの石油ストーブとか、そういうものの扱い方の問題になりますけれども、さっき私が申しました、働いておる人たちが職場の違反建築の二階とか三階に寝かされて、しかも、そこには逃げるときのはしご一つない。火事が起きたらもう焼け死ぬということは、ほとんど確定的だというようなものですね。そういうものについては、やっぱり私はしょっちゅう見回っていただいて、それは特定のものだから、私はある程度おわかりになるはずだと思いますから、勧告をしていただくというか、そうしてそういう場合、やっぱり私は建築行政のほうは建築局といいますか、監督の建築のほうと連絡を取って、そうしてそれを改造させる、あるいはそういうところには働いておる人たちを寝かさないとか、何とかいう処置を、これは法的なことは私今よくわからないのですけれども、ほんとうに死傷者、焼死者をなくしよう、かわいそうだということであれば、そういう方面での努力をもっとやっていただきたいということをお願いするのです。  それから、たとえば、何回もこれは危ないからという警告をしたところで、火事が起きて焼け死ぬといったような場合に、死んだ人たちの補償の問題といいますか、それはそれぞれの関係の法規であるかもしれませんけれども、しかし、業者が勧告を聞かなかったという、その責任というものは、何らかそれに加味されるというようなことはありませんか、補償の場合に。そう言われておりながら、それをやらなかった。そうして火事が出て死んだというような場合ですね。
  64. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 注意しておったにもかかわらず、火事を起こして、そのために人命に損傷を来たした、その場合の責任というものは、どうなるかという点でございますが、これはそれぞれの法規に従って、亡くなった方等は、労災の保険とかいうようなことで措置をされて参ると思います。その場合の業者の責任というものと、火災の見地からの責任とは、おのずからやはり別個の問題ではないかと私は考えております。ただ先刻も申しました消防法規定では、第五条というのがございます。第五条という規定がご.さいまして、かみくだいて申しますと、建築物の位置や構造、設備、管理の状況について、火災の予防上必要があると認める場合、あるいは火災が発生したら人命に危険があると認める場合においては、その改修、移転、除去、使用の禁止等を命ずることができる、かようになっておるわけであります。この規定を相当に強力にやっていきますならば、かなり効果が上がるのじゃないかというように考えられるわけであります。しかしながら、これがあとで取り消されるということになりますと、補償の費用が市町村等の負担にかかってくるというような点がございまして、なかなかこれはそうあまりに強硬に発動するということに踏み切る態勢には現在のところなっておらないわけでございます。伝家の宝刀ですから、そうむやみやたらに振り回すということはいかがかと思いますけれども、せっかくこういうものがあるわけでありますから、一罰百戒的に、ひどいものにつきましては権限発動をやっていくということについて、もう少し強い立場で当たるようにやっていかなければならないのではなかろうか、というふうに私は考えておるのであります。今お話のございました点は一々ごもっともでございますので、今後予防査察、注意等の強化を通じまして、死傷者というものをなくしていくという方向に向かって、一そうの努力をいたすように、市町村の消防当局について指導を行なって参る所存であります。
  65. 市川房枝

    ○市川房枝君 この五条からしますとですね。注意することも改修させることもできるということになると、もしそういう建物で焼死者が出たということになると、消防庁の責任ということになりますね。消防のほうの責任ということになりますね。それは条文規定にあるのに、それを履行させなかった。もっと注意して直させるまでそれは消防庁の責任だということも成り立ちますね、法的にはどうか知りませんけれども。
  66. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 形式的にはそういう責任論の成り立つ余地はあると思います。ただ、それはいろいろな情勢を考慮いたしまして、直ちに五条の発動をやっていくよりも、話し合いで十分目的が達せられておる場合も実は多いわけでございます。そうでない場合もままありますために、非常な不幸を呼んでおるというわけで、そのけじめは非常にむずかしいと思いますけれども、責任があるといえば、責任もないことはないといえると思います。
  67. 市川房枝

    ○市川房枝君 これは今消防庁長官からお話がありましたけれども、この規定をもっと励行していただくというか、いろいろの問題があるでしょうけれども、やはり何といいますか、既存の事実を認めるといいますか、悪いことでも認めていくということは、この問題ばかりでなく、いろいろな問題がありますけれども、つい弱くなってしまう——違反建築なんかも堂々と大手を振って通っておるという現状なんだと思いますけれども、やはり消防人命尊重という立場は一番これは消防での——それは建物とか、林野とかの損害も大きいわけですけれども、しかし、それらの中で、かけがえのないのはやはり人命の損傷だと思います。それに一番重点を置いていただいて、もう少しこれを励行していただいて、そういう違反建築で死亡する人の出ないように、ひとつお願いをしたいと思います。  それから私、今年の一月の五日でしたか、東京都の消防の出初式というものに御案内をいただいて、実は初めて拝見をいたしたわけなんですが、そこで消防のいろいろな機械化——ずいぶんいろいろ外国で使っておりますようなものを拝見して安心といいますか、喜んだわけなんです。しかし、そういう機械がやっぱり、こういう焼死者なんかの場合にどの程度役に立っているのかなあと実は感じたわけなんですが、今の違反建築の問題からいうと、それには全然関係がないのだというような印象を私持ちました。それから、そのときに、あとで江戸時代の纏の消防のほうを拝見したのですが、今、纏のああいう方々は、消防消火の上でどの程度役に立っておりますか。
  68. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 消防の機械化というものがだんだん進んで参りますに従いまして、高層建築火災等の場合において、はしご車等が相当活動をいたしておりますことは、一般の都民の方々もよく御承知のところだろうと思っております。そのほか人命救助に現実に役立ったという事例もかなりございます。最近の例では、大阪南の「いろは」という料亭でもって火事がございました。これもやはり上のほうに給仕の女の方々が寝ておって、それが下のほうから燃えてきて、逃げ場を失ったという事例でございますが、これも近代設備を持った消防車が出動いたしまして、たしか七人の女子従業員を現実に炎の中から救い出しております。そういうふうにりっぱに効果をあげております。  それから、その次の江戸消防の名残りの演技を見られた件でございますけれども、これが現実に消防の、今日の消防活動にプラスになっているかということになりますと、これは現実にはそうプラスということはあるまいと思っております。ただ消防活動をいたしまする場合には、訓練が何よりも必要でございまして、はしご自動車なんというものでも、私どもも一ぺん乗せられましたけれども、上がっていくだけで精一ぱいであります。つかまっておるのが精一ぱいでありまして、上に上がって、さらに放水をやったり、人を救ってきたりなんということは、よほどの技術訓練がなければできません。その意味では、ああいう纏といいますか、はしご乗りといいますか、ああいう軽快な動作ができますのは結局長年の訓練の結果でございまして、そういう訓練を目のあたりに見ることは、一般の消防職員なり団員の活動上にも、決してこれは無意味なことではないというような意味の関連はあり得るのではないか。それ以上に、あれが現実の消防活動に非常にプラスになっているということは、私はちょっといえないのではないか、というふうに感じております。
  69. 市川房枝

    ○市川房枝君 これは東京都ですから、自治省消防庁長官に御質問申し上げるのは、ちょっと筋違いかもしれませんが、私、そのときに、一般の消防が済んでから、纏のほうのはしご乗りなんかの行事があったのですが、これは東京都の消防庁とは別の、あれは純然たる民間ですから、もちろん違うと思うのですけれども、私は指揮台のつい近所にいたものですから、その間の事情はよくわかったのですが、東京都の消防庁の方たちは全部指揮台から降りてしまって、そして今度は纏なんですけれども、その纏のほうの指揮者が、何というのですか、号令をかけたいのだけれども、どこでかけていいのかわからない。指揮台の上にはやっぱり上がっていけないというのですか、上がらないのですよ。そうして下でまごまごしていて、そしてあそこで何といいますか、ラジオですかのアナウンスがありまして、それからだれかそこへ行って言いなさいといって連れてきたりしましてね。それであと、みんなが立ちかけたりしまして、せっかく大勢の人が来て、そしてそれをなさろうとするのに、何だか少し気の毒な気がいたしました。やっぱりあれを一つの続きの行事とするならば、ちゃんと場所を与え、そしてほとんど継続するような形でしないと、私、出場した方たちに対して何だか気の毒だという感じを持ったのですけれども、あるいはどなたか、そこにおいでになっていたかもしれませんけれども……。
  70. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 今の点は、目の前にごらんになった市川先生がそういうことをお感じになったのは、あるいは無理もないことかと思います。あまりに立ち入った話をするのはいかがかと思いますが、ある程度ざっくばらんに申し上げますと、実は出初め式というものの主体は——主催者というものは、これは申すまでもなく東京の消防庁でございます。そこに、最後になって、はしご乗りが出て参りますが、あのはしご乗りというものは、昔からの伝統を保存しておりまする江戸消防記念会というのがございまして、それがいわば正式の出初め式が終わったあとにおいて、余興といってはこれは非常に失礼に当たりますけれども、必ずやはり最後にもってきて伝統の行事をお目にかげる、また、あの行事自体は一般の都民からも非常に親しみを持たれておるし、外人のお客さんなどもあれを非常に喜ぶというようなことであります。ただ、東京消防庁の意図をそんたくいたしますると、いつまでたっても日本の消防は、ああいうはしご乗りが本来の姿かと、また事実外国のカメラマンあたりも、あっちのほうに興味があるものですから、それを写す。写すと、それがよそへ行って写される。首都東京の日本消防というものは、ああいうものかというふうに言われるのはいかにも心外だ、やはり本体はこういうはしご車であり、りっぱな設備を持った消防なんだ。だから、そこはお祭りとせつ然と区別したいという気分から、ああいう格好に最近はどうもなってきておるようであります。しかし、今御指摘の点、お気づきの点は私もごもっともだと思います。参加をしてもらっている限りは、弔う少し気持よくやっていくというふうになることが、私はけっこうなことだと思いますので、御注意の点は東京消防庁のほうにも申し上げまして、もう少し何かスムーズにいくように御注意までに申し伝えたいと思っております。
  71. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) 午前中の審査は、この程度にいたしまして、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時十四分休憩      —————・—————    午後一時四十七分開会
  72. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  消防関係、両案につきまして質疑を続行いたします。御質疑のある方は御発言を願います。
  73. 鈴木壽

    鈴木壽君 今度消防用の機械器具等検定について新しく協会を作ったり、従来のいわゆる任意検定から強制的なものになる。こういうことで、午前中の質疑の中にもいろいろ西郷先生から御質問がありましたが、若干私もこの問題についてお伺いしたいと思います。この協会ですが、これは全額政府出資で協会を作るわけなんですが、協会の性格と言いますか、これは一体どういうふうに考えたらいいか。まあ特殊法人としてこういうものを新設するということになっておるわけなんでありますが、政府の責任でこういう検定をする。その機関としてやはり政府の責任で、政府関係機関という格好で考えているのか。そこら辺はどういうことなんでしょう。
  74. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 消防用機械器具検定ということになりますと、この行為自体はやはり公権力の行使に当たる行為であろうかと思います。したがいまして、これを純然たる民間の団体にやらせるということは不適当であるわけであります。しかしながら、一面、検定業務、なかんずく個別検定ということになりますと、これはかなり形式的、機械的な業務であるという要素も持っておるわけであります。そういたしますと、これを能率よく業者並びに一般消費者の迷惑にならぬようにという配慮を同時に加えていくということも必要ではないか、かように思われるわけであります。今度の検定協会を特殊法人として発足させようというのは、両面の考慮の総合的な判断から下しました結論でございまして、公権力の行使という点に着目いたしまして、それはあくまで特殊的な機関、いわばその限度においては国の一種の分身という考え方を打ち出していきたい。それと同時に、能率というようなことも考え合わせ、なかんずく検定料といったような収入は、これを研究その他の機具、施設、機材の改善、その他の方面にも充て得べくんば充てていく。一般の政府の収入になってしまうということでなくて、それを目的的に使用することも可能である、かたがた、消防研究所をして、本来の研究業務に専念させる態勢をとるほうがいいのではないか、それらの点を考慮いたしまして、こういう機関に検定業務をやらせるということに踏み切ったわけでございまして、検定協会自身は、読んで字のごとく、特殊法人でございますが、これは考え方といたしましては、政府の、国の分身というふうに考えたいと申したいと思います。
  75. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは大事な問題ですから、したがって、検定等の仕事をする協会というものも、まあやはり性格のはっきりしたものでなければいかぬじゃないか、こういうふうに思っておるわけなんです。今のお話の一つには、中心の問題は公権力で、それの形として考えられたことだと思うのですが、ただ、業者とかメーカーとかというもののそういうことも考え、あるいは仕事の能率化ということも考えてこういうふうなことにするのがいいのだというふうなお考えのようでありますが、これは政府の分身として考えると言うのだが、政府の考え方がどこら辺まで及ぶのですか、これは協会に対して。
  76. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) まず制度の立て方といたしましては、これは国の責任においてまず消防用機械器具技術上の規格というものを作っていく。その形式は自治省令でもって一般に公示をする。その面においては技術的な責任を果たしていく。それと同時に、もう一つは検定の業務の中心でございまする型式承認ということにつきましては、これを国の権限として留保していく。型式承認の前提になります具体的な試験と、それから型式承認がございましたものについての個別検定、これは検定協会にやらしていく。あくまで国の責任体制はそういう意味においてはっきりと確保していくという建前は立てていきたいという格好にいたしております。それと同時に、なお検定協会が行ないまする事務は、型式承認の前提になりまする試験にしろ、また個別の検定にしろ、これは保安の用具の検定ということで非常に重要な公権力の行使に当たることでございまするので、検定協会に対する国の指揮系統あるいは命令系統、監督規定というものをはっきりと確立をいたすことにいたしておるのであります。その点は他の特殊法人等に対する規制と大体軌を一にいたしてはおりますけれども、ある部門の特殊法人に対するよりも、もう少し明確な監督の規定を置いておるということでございます。その点は業務遂行上の問題だけではなくて、あらゆる財政の運営の問題、それから人事の面、これらを通じまして公正、あやまちのない運営が確保せられますることについて留意をいたしておるつもりでございます。
  77. 鈴木壽

    鈴木壽君 いろいろ将来の協会の運営なり、協会に対する国の責任の持ち方、これはまあいろいろ考えておられるようでありますが、こういう、検定業務と私まあ一口に申しますが、こういうことは国の責任において行なわれるというのか。もしそうだとしますと、私はやはりちょっとあいまいなようなこういう協会−あいまいと言っちゃ悪いが、あなた方からすれば心外かもしれませんけれども、私は何かそういうふうな心配があるのですがね。ですから、私はもっと、国の責任においてやるとすれば、やはり国の機関としてこういうものをはっきり持つのだと、こういうことがいいのじゃないかと思うのですがね。それが一つですが、最後に自治大臣が承認を与える格好をとっておりますね。こういう協会を通ったものを、また自治大臣まで持ってきて、これは書類審査だけのようでありますけれども、最後にそういうことが一つありますけれども、最後の自治大臣がこれに対して認めてやるということは、いわば検定協会でやったそれの書面審査ですね——だと私はこれで見ました。ですから、もし事実上どういうふうな審査の方法があるのか、現実にこれ以外のことについて、実際問題についてのそれがあるならあとでお知らせいただきたいのですが、そうなりますと、私はやはりもっと国の機関としての性格をはっきり持った、そういうものがいいのじゃないか、こういうふうに思うのですが、そこら辺どうですか。
  78. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 確かにそういう考え方があり得ると思います。私たちもこの検定制度というものの改善について考えました際に、はたしてどういう方法をとることが一番いい方法であろうかということで寄り寄りいろいろ考えを出してみたわけであります。その中の一つに、現在の消防研究所というものを主体にいたしまして検定業務を確定をするという方法も、これは事実問題としてあり得るわけであります。そういう方法を実は考えてみた時代もございます。ただ、検定業務というものは重要な事柄でございますけれども、先刻来も申し上げておりますように、個別検定等に至りますと、これは非常に機械的、形式的た仕事の部面が多いということも事実であります。それに対応いたしまして、毎年どんどん検定件数というものがウナギ登りに上がってくるという状況に対応いたしますと、それに応ずるための職員というものをどんどんふやしていかなければならないということになるわけであります。これは政府部内の問題でありまして、われわれのほうと大蔵省との関係で、過去数回にわたっていろいろ論議をやったわけであります。しかし、この点について、どうも思わしい人員の増加というものが、財政の都合と申しますよりは、全体のやはり政府職員の増員というようなことに対する考え方から申しまして、そう思うようにいかない。それともう一つは、われわれ常に考えておりましたことは、検定件数の増加とともに、検定手数料というものがかなりの額に上って参ります。来年度あたりは、大体推測でございますけれども、一億ばかりの検定料に達するのではないかというような見通しも立ったわけでございます。そういった場合に、現在までは検定手数料はそのまま消防研究のために還元をされておりません。また、還元さるべきだという理論上の根拠もないわけです。なるべくわれわれは、検定手数料が入っているのだからして、それを見返りにして消防研究検定内容の改善に充ててもらいたいというふうにはやって参りましたけれども、これはなかなかそうは参りません。一般歳入に入ってしまいますものですから、十分でない。それと、まあもう一つの考え方といたしまして、業務量は、研究所のやっております中の半分、あるいは半分以上を検定業務のためにとられてしまうということは、研究自体のあるべき姿としていいのであろうかというような点も出てきたわけであります。こういう意味合いをもちまして、いろいろ検討をいたしました結果、国の責任というものは、やはり最終的には留保していく。留保していくけれども、もう半面、検定というものの能率化と、これの迅速化というものをはかっていくことが現在の情勢からいって非常に緊急の仕事になってきた。そういう見通しのもとにこういう格好にいたしたような次第でございます。お説のように、もっと国の責任というものをすっきりした形にしていくというやり方も一つあるわけでありますけれども、諸般の事情を総合的に勘案いたしました結果、このような形が現下の情勢では最善の方策ではないかと、かように結論を下した次第でございます。
  79. 鈴木壽

    鈴木壽君 また政府機関とはっきりなった場合に、その人員の問題等もいろいろこれはめんどうな問題が出てくるだろうと思いますし、それから、手数料の問題なんかも、お話しのように、すぐそのままの格好で還元できるという今の建前じゃないんですから、そこに問題も出てくるだろうと思うのですが、しかし、まあそういう問題は、たとえば手数料の問題にしても、そのまま入ったものが全部戻らなくとも、これはこの仕事の重要性なり、その重要な仕事をよりよくやるためには、国から経費として、そういうものも含めたいわゆる予算の立て方というものを私は当然考えられてしかるべきだと思うし、可能なものではないかと、私はそう思うのですがね。ですから、そういうことの理由から、どうもこの協会のほうがいいんだと、こう私は思う。ただし、私自身としては、納得できない部面があるのです。  それからもう一つ、私は今の研究所の中で、そのままあそこで仕事をせいと、こういうような意味でもないんです。あそこは純然たるいわゆる研究所なりとして、その性格でやっていく。これはこれでけっこうだと思う。こういうものを、一つの新しいものを作るとすれば、そういう新しいものを作るという、そういう形において、はっきり国の責任の持てる、持たなければならぬ、そういう機関のほうが考えられてはよくないか、こういう考え方なんです、私の場合。ですから私は、今の研究所に一切のそういう検定業務をやらせて、その中でやりくりをしなければならぬという、こういう考えでなしに、繰り返して申しますと、こういう新たな機関を作るという——研究所は研究所として、従来のそれの仕事をやるために残すと同時に、しかし、こういう仕事のために一つの機関を作るとすれば、もっと国が責任をはっきり持つ。そういうものであってほしいという気持なんですがね。そこでひとつお聞きしますが、たとえば度量衡の機械検定なんというものは、どこでやっておりますか。
  80. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 原則といたしましては、物によって区別がございますけれども、一番多いのは県でございます。それから大型のものは、それぞれ通産局、それから能力のあるところでは、若干市でもやっていると承知いたします。
  81. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあ通産省とか都道府県がやっている。これは私、公的な団体のそういう責任においてやるということの一つの現われだと思う。ただ、国の中央でやるか、都道府県でやるかですね。ですから、それは団体はかりにあるにしても、やはり国あるいは公共機関がはっきり責任を持ってやる、こういう建前だと思うのですが、この場合は、私何も都道府県にやらせろとか、市町村にやらせろとか、こういうことでなしに、やはりそういう意味では国がはっきり責任を持ってやる。そういうものが、この場合により一そう必要じゃないかというふうに思うのですがね。度量衡の問題はまあわき道に入るようでありますが、かりに多少の検定のそこにミスがあったりなんかしましても、これは人間の命に直接かかわるとか、直接的な生命、財産の被害とか損害ということにはならぬですがね。こういうことは、そういうこととすぐ結びつく性質のものでありますから、それだけ国がはっきり責任を持つ。責任を持ったそういう体制で仕事をやれるところ、こういうものをやはり考えるのが筋じゃないかと、こう思う。もちろん私、頭からこれはいいかげんな協会だとかなんとかということを申し上げているのじゃなくて、何かせっかくこういう全額国が出資してやるというようなことであったら、きちっとしたものがあったほうがよかったのじゃないかという気持がしてならぬのですがね。そういう点はさっき御検討なさったと、こういうことでございますが、やはり、よりこちらのほうがよかった、今の提案しているこういうものがよかったと、こういうものがいいというような最終的な御判断であったわけなんですか。
  82. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) まあ申し上げましたようないきさつでございまして、確かにお話に出ておりますような、国の機関でもって検定の体制というものを確立していく。たとえば今の研究所でやっているものを、研究自体についてのやり方というものを、もう少し整備確立というのじゃなくて、たとえば研究所は研究所として、研究所の中から検定業務を除いて、消防庁の付属機関として、たとえば消防機械器具検定所といったようなものを置いて、そこでもって検定業務に専念せしめるというやり方は、確かにあると思います。ただしかしながら、その点につきましては、今の予算の使い方の面、それから人事の点、人員増加の問題その他を考えました際には、総合判断といたしまして、特殊法人たる検定協会にやらせるほうが一番適当ではないかという最終的な結論に相なったわけであります。検定協会自体については、特殊法人でございますけれども、資本金の面、あるいは法人の監督の面、役職員の点について、刑法上も公務員の取り扱いをする。あるいは検定業務に従事する職員の資格についても、これを政令できめると、他の特殊法人とはちょっと比較にならない程度の強い監督規定というものを別個に設けることによりまして、考えられます不安の面をこれでもってカバーをしていくということにいたしますることが、全体としての消防検定業務とまた消防研究業務というようなものを円滑に進めて参りまするためには一番いい方法ではなかったかという結論から、このような仕組みに踏み切ったわけでございます。
  83. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうしますと、このような形の、あるいはこのような性格を持った協会になりますと、たとえば必要な人員でも、あるいは必要な経費でも、消防庁の付属機関で発足した検定所みたいなそれよりも心配なくいろんな面でやっていけると、こういうことなんですか。
  84. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) その点は直属の政府自体の責任でやっていく場合と、そういう特殊法人その他の外郭団体でやっていく場合と、その仕事の進め工合というものが著しく異なるというのはほんとうはあるべき姿ではないと思います。しかしながら、現実問題として、やはり一般会計と特別会計という建前の相違によって結果が違って参りまするように、この場合におきましても、やはり一般の会計ということになって参りますると、おのおの予算編成上のやはり立て方なり基準というものがございまして、いかに特殊事情をるる説明をいたしましても、おのずから折衝の過程において限界があるというのは、遺憾ながら今までの事実でございます。そういう点から申しまして、検定業務の遂行に遺憾なからしめるようにこういう特殊法人に踏み切ったということは、今申し上げたとおりでございますが、私たちといたしましては、一応の検定協会自体の予算というものを見積ってみましても、今までとは問題にならない程度にかなり余裕のある予算が組め、検定業務の増高に対処して円滑に事務を進めていく自信が実はついておる次第でございます。
  85. 鈴木壽

    鈴木壽君 人員の面なりあるいは予算の面等で、今までのそれよりよくやっていけると、したがって、全体としての運営がより効果的にできるというようなお考えのようであります。しかし、それは私は、はっきり政府自体で、政府の責任としてやるという心がまえがはっきりすれば、従来のような形、それをそのまま踏襲していいということになりませんから、そこに私はやはり一歩前進した形のものができてくるのじゃないかと思う。おれたちの責任なんだが、まあしかしうるさいから——うるさいと言うか、予算とかなんとかいうもので制約があるから、別の者にやらせよう、まあある程度の出資をし、責任を持たしたような格好でやらせよう、こういう考え方は私はとっちゃうまくないのじゃないかと思うのですがね。ほんとうに政府の責任でやらなければならぬのならば、予算の面でも、あるいは人員の面でも、さっきからのお話があったように、新しいいろいろなものが出てくる。そういうものを遅滞なく検定をし、あるいはまた、りっぱなものをより多く出していくというような形で仕事を進める、そういうことが出てこなければならぬと思うのですね。そこで必要な人員でもあるいは経費の面でもやっていく。まあ、こういうふうなことが私責任の持ち方だと思うのですがね。私さっきから申し上げているように、それは規格とか、そういうことは自分の責任においてきちっとしておく。規格にのっとって、あるいは規格に合致するかどうか、こういうことを検査するわけですが、その業務を別にやらせる。問題は、規格と同時に、この規格に適合するかどうかというその判断が一番私は大事なことだと思うのですね。それを一体だれの責任でやるかということなんです。規格を作っても、それはりっぱな規格もできるでしょう。しかし問題は、実際に今度作られたものがそういう規格に合致するかどうか、これが一番肝心なわけですね。それをやる場所が、私からいうと別の一つの団体に行って——私は初めからこういう団体では役に立たないとか、不信の目で見ているとかいうことじゃありませんよ。ただ、考え方としてですね。そうして最後には自治大臣のところへ回っていきますが、それは書面で、意見をつけられた、あるいは何かいろいろと書き込まれた書面で行って、ここに判を押されるだけでしょう。それでは、一体肝心のところに対する国の責任ということについてはちょっと心配な点が残りはしないか。私のお聞きしたいのは、心配なのはこういうことなんです。だから、もう一度申し上げますが、私はいいかげんなものを作って何だと、こういう気持じゃなくて、もっと本質的に、こういう仕事は国の責任においてやらるべきものである、またやらなければならぬということであるならば、あくまでもそれを貫くような体制なり、そういう機関なり、そういうものがきちっとできてなければならないのじゃないかと、こういうことなんです。
  86. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) おっしゃることは私もよくわかります。私といたしましても、もし国の直接の責任でもってやっていくのでなければ、絶対にこの検定業務というものはうまくいかないということでありましたならば、あるいは先刻来話が出ておりまする検定所というような特別の政府の付属機関を置いてやらしていく。そのためには、やはりわからないところは蒙を開いて、財政的にも、その他組織上からも、これができるような体制に持っていく、そういうことを当然やらなければならないし、それがわれわれとしてなすべき責務であるというふうに考えるだろうと思います。ただ、いろいろ工夫をいたしておりました結果、また、その他の、これらの検定に類する公権力の行使について特殊法人でやっている例も、他の行政分野において絶無ではないというような例もございますので、もし、これでもってうまくやっていけるという保証がついて、その結果、さらに検定業務も非常にスムーズにいく、組織もかなり充実整備ができる、人員も確保される、また研究用のためにある程度の財政というものも回していける、そういうような利点が出て参りまするならば、それのほうが現実問題としてはいいのではないかということで、こういう組織の立て方に踏み切ったということが実情でございます。お説のように、最も理想的な形態がこれかというふうになりますると、私どもといたしましても、今度のやり方というものは最も理想的で完璧なものであって、これ以外のことは考えられないというほどのことを申すような考え方はございません。また、事実考え方をまとめまする過程におきまして、今申し上げたようなことも一応案として考え、それらを総合的に検討をいたしました結果、今度のやり方というものが現実的には一番適当な方法ではないかということに落ち着いた次第でございます。
  87. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあ私は残念であったと思うのですよ。せっかく踏み切って、それこそ国の責任においてこういう検定を行なうべきである、行なわなければならないということを考えながら、何か中途で私はそれがぼやけたような形になってきているんじゃないかと思いますから、実質的な問題としてですよ、最終的には自治大臣が、型式の承認であっても、個々のそれの場合であっても、最後には自治大臣というものが出ておりますけれども、それは単に形の上だけのものであって、もっと私は、先ほどから申し上げておるように、国の責任というものが実際の仕事、実際の業務、それに十分しみわたるようなこういうものがあっていいんではないかと、あるべきでないかというふうに思うものですから。まあしかし、この問題、ああでもないこうでもないと言ってやってみたってしようがないから……。まあ私そういう考えを持っております。それで、型式の承認の場合ですね、申請者が協会へ持っていく。協会に申請をするわけなんですが、協会では試験をする。ここで、さっきもちょっと触れたことに関連しますが、それから午前の質疑の中に政令で資格要件みたいのものをきめると、たとえば型式の場合には、大学の理工学部を出た者とか、あるいはそれと同等以上の力を持っている者をやるとか、こういうことなんでありますが、ここのところが私一番やっぱり大事なところだと思うのであります。たとえば規格のほうが非常に渋いのだ、規格を作るまでの作業がより軽いのだと、こういう意味でなしに、ここがやっぱり一番大事なことになると用いますから、それは簡単な器具等になりますと、これは別でありますけれどもね。これはまあいろいろ重要な問題の検定に当たるということでございますから、この点について私は、むずかしい注文でございますが、ほんとうにそこに実際の業務に当たる人たちの能力、力量というものについては、それからまた、ある程度これは人員も必要でございましょうし、こういう問題については、ほんとうにこれは政府が、あなた方がもっと何といいますか、十分監督、指導できるような、そういうふうなものを私ほしいと思うんですがね。この中には別に、そういうただ形式的な資格となんとかの、政令できめるということだけであって、協会自体で選んだりなんかできますから、そこら辺あたりどうですか。私が申し上げているようなこと、可能であるか可能でないか、あるいはやれるのかやれないのか。
  88. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) その点は重要な点でございまして、私たちも十分の配慮を加えたいと思っております。その中の一つは、検定の業務と申しましても、なかなかやはりこれは専門的、技術的な事柄でございますから、そう簡単に——いかに理工学部を出て相当の学識を持っておるという者でも、すぐ役に立つというわけにはなかなか参りません。そういう意味から、この検定協会とそれから国の職員との関係については、通算規定を置きまして、交流が十分にやれるような措置を講じております。したがいまして、現実問題といたしましては、現在研究所で検定業務に従事いたしております者の大部分が、むろんこれは本人の希望を聞いてのことでございますが、その上で検定協会に行き得る余地を残している。検定協会に参りました場合は、退職手当その他年金の計算上、すべてこれを勤続期間として通算をする、そういう措置を同時に講じたいというふうに考えておる次第でございます。これを骨子といたしまして検定協会の業務運営というものを軌道に乗せていきたいと考えております。
  89. 鈴木壽

    鈴木壽君 私は重ねて申し上げますが、大事な問題ですからね、これはぜひひとつお話しのように、ほんとうにこういうふうに心配のないような体制を作るための配慮がなされなければならぬと思いますので、まあひとつ注文めいたことになりますけれども、申し上げておきたいと思います。  次の問題は、救急の一番初めのほうでございますが、救急業務の新しい規定が入ってきましたが、まあこれと関連をして、今の法文的なことでなしに、これと関連をしまして、これも前に、先ほど午前中に質問なされた方がありましたが、こういうものによって救急業務に従事した人たちに事故があった場合の補償の仕方、こういうことについて関連して少し聞いてみたいと思いますが、この救急業務だけでなしに、今のいろいろな法律の中に、たとえば今の現行消防法の中にも、災害があった場合に、その災害の防除のためにその付近にある人が出ていかなければならぬとか、まあいろいろあるわけなんですね、こういった際に起こった事故、たとえばそのために死んだというようなことも間々あることなんでございますが、こういうことの補償の問題で、今言ったように少しお聞きしてみたいと思うのでありますが、端的に言って、こういうような場合に、死亡した場合に今どのくらいの金が出るのですか。まあこれは少し法律にもいろいろなそれがありますが、端的に、どのくらいの金が出ますか。
  90. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 現行では、一般協力者の場合は、最高が六十万ということでございます。
  91. 鈴木壽

    鈴木壽君 消防団員の場合はどうですか。かりに、あまりいい例じゃありませんが、仕方がないから、そのものずばりで言うと、死亡ということの場合です、消防団員の場合。
  92. 上川澄

    説明員(上川澄君) 消防団員の場合でございますと、団員の五年未満の最低は四十七万八千円でございます。それに六十日分が葬祭料として加わりますので、約五十万前後になろうかと思います。最高は六十六万九千円、約七十万近くの金額になると思います。それから、団長でございますと、団長は最高が九十八万でございますので、これも約百万前後になります。これが団長の最高。最低が七十五万五千円ですから、約七十七万くらいになろうかと思います。
  93. 鈴木壽

    鈴木壽君 消防団員で最低が四十七万八千円くらいから、最高で六十六万九千円でございましたか。いいですね。それから協力者の場合の最高が六十万、こういうことですね。先ほど長官が警察官の場合と同様にしたい、こういうふうなことをお答えになったようでございましたが、警察官の場合はどれくらいでございますか。
  94. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 協力者の最高は百万となっております。
  95. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうしますと、これは今度の長官考え方で、警察官と同じようにしたい、こういうふうなお話ですから、年度が改まれば、まあ最高百万ということになると、こういうことですか。
  96. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) そのとおりでございます。
  97. 鈴木壽

    鈴木壽君 今の法と直接関係がありませんが、今の法のそのとおりじゃございませんが、災害救助法ですね、あの中にも業務に対して従事命令が出たり、あるいは協力命令が出たりするのですが、あの場合も、あなたのほうの直接担当ではないかもしれませんが、厚生省の担当ですか、災害救助法は。あの場合の従事命令を出され、あるいは協力命令を出された者が事故があって命を失ったというような場合には、どのくらい出しておられるかおわかりですか。
  98. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 調べて、後ほどお答えいたします。
  99. 鈴木壽

    鈴木壽君 私は今ここでそれが中心で何のかの数字を述べ立てるのじゃないから、あとでいいんですが、補償が私一般にどうも低いと思うのですね。かりに警察官と同じようなところまで引き上げたにしても、百万円ですわね。警察官の業務に協力した者に対してのそれであっても百万円、消防団員が今度引き上げるという考え方であっても、やはりこれは百万円程度でございましょう。だとすれば、改訂をしたにしても私は低いと思うのですがね。もっと考えられませんか。
  100. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 私も、協力者のみならず、一般の非常勤の消防団員等の公務災害補償の金額というものは、非常に低いと思います。もう少し何とか引き上げの措置を講ずべきが当然ではあるまいかという考え方には相違ございません。ただ、こういった種類のものにつきましては、他のやはり関連もございます。今論議に上がっておるものでも、警察官との関係といったこともいろいろにらみ合わせながら考えていかなければならぬ問題もございます。その点は御意見として私といたしましても全然同感でございますので、今後さらに改善の措置を講じまするとともに、警察官が上がったから、それに追いかけてということでなしに、もう少し積極的にわれわれ消防関係からも他の方面にも働きかけまして、その改善措置、引き上げ措置については、一そうの努力を傾注いたしたいと考えます。
  101. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは警察官の業務に協力した者であっても、消防その他災害関係であって、それに協力した者の事故の場合であっても、私は区別をつけて考えているのではなくて、一般にそういうことのために起こった事故、それによって失われた人命の補償というようなことになりますと、これは命を金にかえてどうこうと言って済む問題じゃありませんけれども、しかし、それはそれとして、やっぱりこういう場合に補償をやるのには、それこそ時代によるしかるべき金額でなければならんということから、そういう気持から申し上げるのでありますが、命を失って遺族の方々が百万円かりにもらった。それで一体どういうことなのか。今の時代で百万円の金を——今度引き上げられたとしても、百万円だと、まあかりにそうしますと、私はやっぱり問題があると思いますね。ですから、私は、消防団員だから、あるいは消防の業務に協力した者、これだけを突拍子もなく上げろという、他と無関係にやれというのではなく、全部の問題として私はやはり政府が十分考えていかなければならぬのじゃないか、こういうふうに思うのですがね。藤井さんのほうの関係のそれだけということでなく、私は政府全体としてこういう場合の、人命が失われた場合の補償の仕方については、本気になってやっぱり考えていかなければならぬのじゃないか。私はその場合に一つ考えなければならぬことは、かりに公務員の場合ですね、これはいろいろな意味で公務員と普通の人とで取り扱いが変わるということも、やっぱり一応考えられますが、それにしても、今のこういう災害に関連した業務に従事した人たち、これは一つの法的にもやはりその仕事につけとか、あるいは協力せいとか、そういう一つの規制がある限り、やっぱり公の仕事に従事したこういう者として考えていかなければならぬと思うのです。とすれば、やっぱり従来のみみつちい、せいぜい御見舞金程度だというようなことで済ましておれないと思うのですね。そこら辺、重ねて長官からお聞きしたいと思うのです。
  102. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) それは御説のとおりでございます。私も、消防だげじゃなくて、全般の問題として考えた場合におきましても、その処遇というものは、むしろ非常に低きに過ぎるのではないかという感じがいたしております。今後、関係の各方面とも連絡をとりながら、もう少し思い切った処遇の改善ということを実現するように努力をいたします。
  103. 鈴木壽

    鈴木壽君 非常勤の消防団員の今の問題のほかに、団員のいわゆる現在の手当、処遇ということについても、非常に私は不満を持っているわけです。前の消防庁長官にもしばしば私そういうことを申し上げたことがございますが、依然としてと言うと、あるいは言葉が過ぎるかもしらぬけれども、そういうことがあまり改善されておらないというのが実情だと思うのですね。これに対して長官はどういうふうにお考えになっていられますか。
  104. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 漸次改善の方向には向いておりますけれども、しかし、団員に対する処遇はきわめてこれまた低いということは事実でございます。報酬、手当等を通じてそういうことは言い得るのではないかと考えられます。手当につきましては、来年度の財政計画、交付税の算定基準等で若干の増額をやっておりますが、これとても十分なものでないことは御指摘のとおりでございます。私は、消防団員の処遇というものは、やはり何といっても実現をしなければならない重要な事項である、ただ単に義勇奉公だ、滅私奉公だという精神的な方面だけにたよっていくというようなことは、おのずから限界がございますし、そういうことは少なくとも政府の施策として言うべき筋合いのものではない。やはりそういう精神的なものにむろんたよって参らなければなりませんけれども、それとやはり並行して、それにふさわしい相当程度の処遇というものをやっていかなければならぬというふうに考えております。なかなかこのごろは、特に消防団員の確保というようなことがいろいろ難渋をきわめるような客観情勢にもなってきておる状態でもございまして、ますますその必要性が痛感されるわけであります。そこで、今さら調査会、審議会でもあるまいというおしかりを受けるかもしれませんが、私といたしましては、昨年これをさらに実現化いたしまする第一歩といたしまして、私のほうの諮問機関でございまする消防審議会に、消防団員の確保対策と処遇の改善方策はどうすべきかということの諮問を出しまして、現在審議会でもって検討をいたしていただいております。私の希望といたしましては、本年の半ばごろまでには御答申をいただきたい、いただけるものと考えておりまして、この答申がございましたならば、これを参考にいたしまして、少し画期的な消防団員の処遇の改善というものをはかるために、具体的な措置を検討いたしたいと思っておる次第であります。
  105. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあ長官のお考えはわかりましたが、少しくどくなるようでありますが、たとえば出動手当の問題一つをとってみましても、これで消防団員に、何といいますか、労苦に報い、出動したそれの一つの手当としてというようなことはとても言えない額が、特に町村のほうには多いですね。お話の中にもありましたように、奉仕の精神と犠牲的の精神とか言っても、これは限度があると思います。そういうことに甘えちゃ私はいけないと思いますね。最近、特に若い人たちが消防団員になり手がない。昔の人は、おれは好きだからこれをやっているのだという、報酬も手当もそんなものは要らぬ、たまに出ぞめ式のときに一ぱい飲めばいいのだということを言っておる人がかなり年配の方にはありますけれども、若い人に消防団員になるというような人はないですな。これは私の住んでおる周辺の関係者の話に上ると、そうです。これは犠牲的精神が欠除したとか、奉仕の精神がどうのこうのということだけで済まされない問題だ。現実の問題は、そんな一つの精神的なものだけでやっていけない時代にもうなってきていると思いますね。やはり一つのこういうことについての報酬なり手当というものを、出たら出ただけのそういうものを正当に支払う。むしろ単なる精神的な奉仕とか犠牲とかいうことでなしに、一つのはっきりした、何といいますか、働いたらそれだけ払うんだという、そういうある意味においての権利義務というようなことでだんだん建て直していかなければならないような時代になってきているんじゃないかと思うのですね。かりに五十円出たとか、金がないから年に一ぺん出ぞめ式のときにみんなで集まって、その費用を持ち寄って一ぱい飲もうというような、あまりに前近代的なそういうことでやったんでは、これはもう残念ながら消防団そのものの構成すら危うくなるというような、少しひどい言い方かもしれませんけれども、そういうような心配すら私は持つのですが、ほんとうに私は真剣にやらなければならぬと思う。と同時に、先ほど申し上げました補助の問題なども、これはあわせて考えていかないといけないと思うのです。私は藤井さんが何かに書かれた、大事な消防のあなたは責任者の長の立場にあっての考え方を書かれたものの中に、人の問題を書いたのをちょっと見たことがある。人と、機材と予防体制といいますか、災害の予防体制、人の問題は今言ったようなことをやはり抜本的にやらないといけないということを強く感じておる。あなたのおっしゃったこと、それにはたして私の言うことと一致しておったかどうかはわかりませんけれどもね。そういうことも含んでおられるんじゃないかと私は思っておったんですが、この点はぜひひとつ……。これはいつかいつかと言ってもだめですね。ですから、三十八年度からこうやるんだということくらいのかまえをやはりほしいと思うのですがね。これは一律に、全国にたくさんある市町村にそういうことを全部三十八年度からやれと言ってもそれはむずかしい。特に財政の問題等から言っても簡単でないと思いますけれども、何かここでひとつふっ切って強く押し出さないと私はいけないときに来ているんじゃないかと、こう思うのですが、いかがですか。
  106. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 消防団員等の処遇の問題に関連していろいろお話しがございましたが、私はいつもそう感じ、そう機会あるごとに言っておることがございますが、それは、一つは消防団員自体についても、報酬なりあるいは手当等は、これは政府の方針として財政計画上の単位費用を出す。そういった場合に積算の基礎等についても十分考えていかなければならぬ。報酬にしても、団長が一万円、一般の団員が一千円というようなことがはたして適当であるか。出動手当等につきましても、だんだん上がってきてはおります。三十六年が百円、それを三十七年度に百五十円にした。また来年度はさらに五十円増して二百円にする予定だと、こういうふうにだんだんやっておりますけれども、それ自体が私は十分なものでないとむろん考えております。それの引き上げというようなこと、しかるべき処遇というところまで持っていかなければならぬということは、これは一つの努力目標、それからもう一つは、実は消防費だけに限ったことではございませんけれども、どうも一般の市町村について、あるべき姿まで消防費を出し渋るという傾向がございます。決算額との対比等を見ても、漸次決算額も上がってきておりますけれども、しかし、われわれが期待いたしております財政需要額というようなものには非常にほど遠い。ところによってはかなりやっておるところがございますけれども、それに達しないところがむしろ全国的に多い。ここに一つの問題があるのではないかというふうに考えております。  それから弔う一つの点は、平生の恒常的な報酬、出動手当等についても適切なものを考えていかなければなりませんと同時に、私はむしろ、先刻お話が出ておりました、不幸にしてなくなられたり、あるいは負傷をされたり、病気にかかられたりした、あるいは長い間消防のことに努力しておって、老齢のためにやめられて、それがどうも路頭に迷うようなことになる、こういう点は少なくとも絶対に防止をしていかなければいかぬのではないか。死亡なり、負傷、病気、あるいは老齢の退職、そういった場合の処遇については、もっとやはり思い切った処置というものが講ぜられてしかるべきではないか、そういう考え方を基本的には持っております。来年度を待たずというようなお話もございますけれども、一応消防審議会に諮問を発しております関係もございますので、審議会の御答申を急いでいただきまして、私たちといたしましては、できるだけすみやかに結論を出し、その方向に向かってできるだけの努力をいたして参りたい、かように考えておるわけであります。
  107. 鈴木壽

    鈴木壽君 今の長官お話しの中に、おしまいのほうにありました、たとえば単に死亡という場合だけでなしに、老齢、あるいは負傷、廃疾等の場合の問題ですね。実は私もそういうことまでいろいろ予定してメモの中に書いておきましたが、端的な問題として死亡のことを、これははっきりしますから、取り上げてちょっとお伺いをしたのでありますが、ぜひそういうことを含めて、ほんとうに真剣にこれに対して配慮して善処せられるように、重ねて希望を申し上げておきたいと思います。  そこで一つお聞きしますが、救急業務のことで三十五条の五に、政令で定める基準に該当する市町村は救急業務を行なわなければならない旨の規定が今度新しくできるのです。これは説明によりますと、政令で定める基準の市町村というのは、大体人口十万程度のものを考えておられると、こういうようなことであったと思いますが、それはそれでよろしゅうございますか。
  108. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) そのとおりでございます。
  109. 鈴木壽

    鈴木壽君 今の市では、ほとんど消防本部というようなものができつつあるのですが、人口の十万というのをもっと下げて考えていく必要はありませんか。
  110. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 現在、今申し上げました十万以上というものについて見ますると、その中で救急業務をやっておりますのが百十三市、かようになっておるわけであります。したがいまして、私たちといたしましては、十万というのは、さしあたっての目標でございますが、将来にわたってずっとそれで行くというようなことは考えておりません。やはり救急業務といったような仕事の性質上、これは普遍的に、どういうへんぴなところであってもそういう体制は作っていかなければならぬ筋合いのものだろうと思います。ただ、一定の基準に達した救急隊というようなものを持ち、また救急自動車というものを持って活動するような救急体制の整備を、すべての市町村に義務づけていくというのは、今のところまだ時期尚早ではあるまいかということでございます。消防業務自体につきましても、すでに御承知のとおり、このたびの改正をもちまして、市街地人口一万以上というものを目途にいたしまして、常設消防の設置義務を課して参るという建前になっております。そういう段階でございますので、救急業務のほうは、施行の義務を課しまするのは一応十万以上というところにいたしまするのが現実の姿に合うのではあるまいかと考えております。しかし、それの実施状況等をにらみ合わせ、さらに財政的な裏づけその他について確信が持たれる段階に達しますれば、政令についてもそのつど改正をいたしまして、われわれは救急業務体制が整備されるように持って参りたい所存であります。
  111. 鈴木壽

    鈴木壽君 現在、市が約五百ぐらいありますが、この中には、消防本部を持たない市がどのくらいありますか。
  112. 山本弘

    説明員(山本弘君) 現在消防本部を置いてある市は四百四十一でございますから、したがいまして、市の全数からすると持たないところは百幾つあると思います。
  113. 鈴木壽

    鈴木壽君 消防本部を置いている市には全部こういう救急業務を行なわせるようにしたらどうですか。
  114. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) そういうことも考えられますけれども、消防の本来の業務と救急業務のどちらに重点を置くということでもございませんですが、やはり消防体制の整備ということが先決ではあるまいか。その際に、常設消防というものを置いておりますところでも、消防の自動車が一台といったようなところもございます。そういったところに全部救急業務の施行義務を負わせて、一台のところでも救急自動車一台ということになりますのも、バランスというか、そういう点からもいかがなものであろうかという判断をいたしたような次第でありまして、さしあたっては、十万以上というところに設置義務を課していくということが、事故件数その他の点からにらみ合わせても、妥当な線ではあるまいかという判断であります。
  115. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは主として、たとえば自動車を用意するとか、こういう業務をやるためのいろいろな体制の整備とかということに対する財政的な問題を考慮して、こういうふうに一応の基準を、人口を十万以上程度になさろう、こういうふうに理解してよろしいですか。
  116. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 財政的な面もむろんあると思います。それと、本来の消防業務施行のための体制のバランスの問題、それから事故件数、それらの三つの点を勘案いたしまして、当分の間はこれで行くのがいいのじゃないかという結論であります。
  117. 鈴木壽

    鈴木壽君 やはりこういうことですよ。かりに今、救急業務として行なわなければならないような、いわゆる事故件数がかりに少なくても、やはり何か直接的には人命に関するもの、これがかりに一件あったとしても大事なものであると思うし、人一人の命を救うといいますか、助けることは、百万や二百万の自動車一台と引きかえて、二百万の自動車が高いとか百万の自動車が高いとかという性質のものでもないと思いますから、私はやはり、できるならば人口十万という線で切るよりも、むしろ消防本部の置いてあるところは少なくとも——例外として自動車一台しかないのだというところもあるかもしれませんけれども、原則としてはやっぱりこういうところには置くのだというようなことで、そのためあるいは必要な場合には財政的な裏づけをどうするか、こういうことも考えながらやっていくべきものじゃないだろうか、こういうふうに思うのですがね。たとえば市街地の連檐区域で人口一万以上持っているところ、これが多少説明の中にございましたね。総体の人口が十万以上で、そうして何か市街地の人口が一万以上ある連檐地域のあるそういうところを考えているというようなことがあったようでありますが、もしそういうふうな説明であったとしますと、連檐地区人口一万のところ、これは最近の地方の地域としてはたいていのところありますわな。ですから、何かそこに大きな災害が出てくるというような場合には、やっぱり心配しなければいけない事態が出てくると私は思う。今まではなかったかもしれぬけれども、災害はいつどういう形でやってくるかわかりませんし、ですから、私はこういうものは現実を無視して理想的なことばかりも言っていられないけれども、しかしまた、可能な限りの努力をして理想的な形に持っていくという、いい姿に持っていくということが大事であると思うし、市町村であっても、あるいはまた、それから今のこういう仕事に対する指導の役目を持っておられるあなた方も、そういうかまえを持っていくべきじゃないかと思うのですがね。いかがですか。
  118. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) お説の点はよくわかります。ただ、常設消防自体についても、従来は指導その他でもってだんだん整備をはかってきておったのでありますが、法律上の設置義務というものを課することは、なお時期的に見てどうであろうかということで、今までそれすらも法律上の義務としては規定をしておらなかったわけであります。しかし、もはやその時期になってきたのではあるまいかということで、今度の改正案では、一定の規模、すなわち、今お話しのございました市街地人口が一万以上、それから、さらにつけ加えますと、市街地の平均建蔽率が一〇%以上、そういうところにはやはり火災危険も多いし、延焼危険も多いことでもありまするので、常設消防の必置義務、設置義務というものを課することにいたしたのであります。それと救急業務自体の重要性はわかりますけれども、やはり今度初めて救急業務というのも法的な制度として織り込むということにいたしました段階でもありますので、常設消防の設置義務を負わせるところに、さらにもう一つの網をかけまして、「政令で定める基準に該当するもの」という余地を残しておる次第でございます。その政令で定めるのは、お話もございましたように、大体今のところでは、われわれは人口十万以上というところに持っていくのがいいのではないかというふうに考えております。しかし、それでもって事足れりとするのではございません。常時整備状況等にらみ合わせまして、改善の方向に向けて政令もそのつど検討を加えて参りたいと思いますし、さらに三十五条の五の第二項でも、法律上の義務ではございませんけれども、そのほかの努力義務といたしまして、「救急業務を行なうようにつとめなければならない。」というような規定を置いております。したがって、この条項の運用によりまして、あるいは行政指導の面を通じまして、その点につきましても、漸進的に遺憾のない措置を講じて参りたい、かように考えております。山の中でも、現在救急業務について熱心なところでは、御承知かとも思いますけれども、たとえば小型の消防自動車を持っておる、ジープ改造のような格好の消防自動車を持っておるところがございますが、こういうところに、さらに少し構造についてあんばいをいたしまして、担架等が積めるような構造でもってやっておるところがございます。いざというときに救急業務にそれを使っていくというような方途を講じておる村も現実にございます。そういうことでもございますので、私たちといたしましては、行政指導の面を通じまして、それらの点について遺憾のない配慮を加えて参りますとともに、政令自体につきましても、この条項の実施の状況等をにらみ合わせまして、適時検討を加えて参る所存でございます。
  119. 鈴木壽

    鈴木壽君 長官災害対策基本法についてはあなたのほうの一応所管ということになっておりますか。
  120. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 災害対策基本法は、私のほうの所管というのではございません。それぞれの関係各省庁が、それぞれの業務に関連のある事項について所掌をするということに相なっております。ただ、総括的な問題といたしまして、防災会議の運営その他の庶務の点に至りましては、これは総理府の関係でやっております。そういう状況に相なっております。  それと、もう一つつけ加えて申し上げますと、中央防災会議の中の事務局長は総務長官でございます。次長制をとっておって、その次長が三人になっております。一人は総務副長官、一人は総理府の審議室長、もう一人は私ということになっておりまして、防災会議の仕事としては、一応の分担をきめております。その分担では、消防庁長官——私といたしましては、各府県、地方との連絡、それから、地方で作りまする地域防災計画の作成指導、こういった問題につきましては私のほうで所掌をする、そういう分担に相なっておる次第でございます。
  121. 鈴木壽

    鈴木壽君 実は、災害対策基本法の中にある災害対策基金というようなことについてお尋ねしたかったのですが、そうすると、これはどこで——やっぱり総理府長官にでも来てもらわなければならぬ、こういうことになりますか。いかがですか。
  122. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 総理府なり、あるいは厚生省なり、自治省の財政局関係に相なると思います。相なると思いますが、便宜私もそういう点は、内容はある程度知っておりますので、もしよろしければ、あまり一人相撲にならない程度でお答えをいたしたいと思います。
  123. 鈴木壽

    鈴木壽君 それで、災害対策基本法の中にある災害対策基金のことですが、私、これはこういう意味でお尋ねをしたいと思っておったのです。それは、さっきから質疑の中に出ていました人的な問題に対する補償とか、そういうような問題が、なかなか現状では、私ども考えて不十分だと思うし、さらに今度警官並みにするというようなことがありましたけれども、それでも私は不十分だと思うし、それを、今ある規定の中では、なかなかむずかしい面が、私どもの望ましいようなことまでに引き上げるのにむずかしいような情勢にあるのではないか。もし、この災害対策基金というものがどのような性質のものであり、そういうものの中に、今言ったような問題が含まれてしかるべきだとは思うのだが、そういうものははたして含まれるかどうか、また含めて運用することがいかがなものかというようなことを、実はお聞きしてみたかったのです。そういうことを、じゃあ、お聞きしてよろしゅうございますか。
  124. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) あまり自信ありませんけれども。
  125. 鈴木壽

    鈴木壽君 お互い、私も何も自信……。ただ、私の、かくありたいという気持が先に立っての質問ですから……。
  126. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 私、災害対策基本法の立案に参画をいたしました者といたしまして、その限度で一応お答えを申し上げたいと思います。  百一条にございまする災害対策基金でございますが、これは立案の過程におきましては、災害対策基本法が災害対策についての基本的な法制であるということから、あらゆる災害対策関係を全部網羅して、他の法律等に書いてあることもその基礎はここに求めるように組み立てをしていこうということに相なりました経緯から、この災害対策基金につきましても、ここに一条規定を置いたわけでございます。ところが、この規定自身は、さらに今後新しく別の法律をさっそくに作って災害対策基金という制度を新しく起こそうということを、この立法の当時ははっきりと予定をしたというものではございません。先刻申しましたこの法律の建前上から、全部にわたってこれを網羅していくという建前をとりました。したがいまして、現在ございまする災害救助法上の災害救助基金、あるいは地方財政法あるいは地方自治法上の積立金、そういったようなものにこの基本法との関係をどういうふうにつけるかということで、この橋渡しの規定ということになっておるわけでございます。したがって、百一条がございますといたしましても、直ちにこれに基づきまして災害対策基金というものを新しく積み立てなければならぬということにはなって参らない。「別に法令で定めるところにより、」ということで、現行法というものをここに橋渡しをするという意図を持ったものでございます。立法の過程におきましては、まさしくそのとおりであったように私は承知をいたしておるわけであります。ただ、そうかといって、今鈴木委員お話しになりましたような意図を、この条文によって全然盛り込み得ないかと申しますと、それは私はそうじゃないと思います。「別に法令で定めるところにより、」というのでありますからして、これは、この基本法ができた際に現存をした法体系だけでなくして、今後の立法措置によって出てくるものも当然あり得るわけであります。それをどういうふうな内容を盛っていくかということは、これは今後の問題であり、今後の研究課題であるというふうに考えるのであります。それの一環といたしまして、先刻来話題になっておりまするような公務災害補償的なもの、あるいはその他の災害補償的なものというようなものについての要するに救済措置を、これらの災害対策基金の名においてこれを運用していく。その足がかりをここに求めていくということは、私は法律上も不可能なことではないというふうに考えております。ただ、その点については、各省関係に非常に関連の多い問題でございますので、私がここで、今後こう持っていくとかいうことを申し上げることは、これは僭越でございますので、差し控えたいと思います。しかし、この問題はやはり研究課題としてわれわれの前途にあるということは、これは事実でございまして、いずれは、それらの問題を中心といたしまして関係各省とも連絡をとり、各省協議をいたしまして問題の解決に当って参らなければならず、そういう時期が来るのではないかとは考えておる次第でございます。
  127. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあお話でわかりましたが、災害対策基本法というものが、いわばみんなから期待をされながら出た。その期待にこたえるためにも政府が作ったと、こう言っていいと思うのですが、そこで、子の中にある、いわば基本法の中に、今お話しのあったように、百一条に災害対策基金というものを設けるという規定がはっきり出ているわけですね。私は、この中の条文は、「災害対策に要する臨時的経費に充てるため、災害対策基金を積み立てなければならない。」こうあるんだから、現行法の、たとえば災害救助法あるいは地方財政法の中にある積立金なり、自治法の二百八条にある積立金穀というような問題、こういう問題をさらに統合したものとして、いわゆる災害対策のための一つの基金制度というものができるだろう、できなければならぬと、こういうふうに理解しておったわけですがね。現行のものはそのままにしておくんだ、ただ、それをよりよく生かすために、橋渡しの役をするということでなしに、新たな観点で、私、場合によっては現行法の中で削るべきものは削り、この災害対策のための経費に充てるための基金として、一つの新しい衣装をまとったものができるだろうと思っておったが、そうでもないわけなんですか、いかがですか。
  128. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 繰り返しになりますが、この立法の過程におきましては、現在ございまする災害救助法に基づく災害救助基金、その他財政法上あるいは自治法上の積立金あるいは積立金穀というようなものと、災害対策基本法との関連性をはっきりと橋渡しとしてここに持ってくるという意味を持っておったことは事実でございます。しかし、その意味があったことは事実でございますけれども、私自身といたしましては、そうかといって、この百一条ができた姿を見た場合において、将来そういうものについての改正なり、あるいは新しい構想に基づきまする災害対策基金といったものが、この百一条の規定に基づいて考えられるということを決して否定するものではない、おそらくそういう時期がまた来るのではないかということを申し上げておる次第であります。
  129. 鈴木壽

    鈴木壽君 直接の災害対策のための金となりますと、まあ災害救助法の規定のものがあると思うのですが、しかし、これは積み立てた金を使うとかなんとかいうのは、限られた、いわゆる救助法の適用のあった場合の金だと思うのです。それ以外にはこれは簡単に使えない金だと思う、この法律からすれば。そうだと私は思っているんですが、その点はどうですか。
  130. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) それはそのとおりでありまして、災害救助法に基づく災害救助基金というのは、おのずから使途が限定されております。
  131. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうしますと、やっぱり現在災害救助のための、あるいは災害対策の応急的、臨時的な経費としての積み立てというそれからしますと、非常に狭まく規定をせられて運用しなければならぬ、こういう一つの問題があると思うのです。ですから私は、さっきもちょっと申し上げましたように、これは一つの新しい形での災害対策基金というものを設けて、これは都道府県なりあるいは市町村にそういう基金というものをはっきりやらせる、そうして、それと関連する災害救助法の関係のやつは、場合によっては修正、手直しをしていかなければならぬ、こういう形に持っていくべき筋合いのものではないだろうか。あなたもそういう時期が来るだろうと、こういうふうにおっしゃっておりますが、さて、それ以上にあなたに聞くのはいかがでございましょうか。そこら辺、きょうどうもあなた個人としては、私はそう思うとおっしゃっているのですが、政府としてどうなんだとお聞きしたいのですが、いかがでございますか。
  132. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) その点は、政府委員としての答弁でございますけれども、この点はやはり関係するところも非常に広範でございまして、将来必ずそういう新しい構想に基づく基金というものが考えられるべきである、あるいは近いうちに考えるというところまで申し上げますることは、現在のところは私は差し控えたいと思っております。ただ、法律解釈上といたしましても、新たなる構想に基づくそういう基金制度というものがこれに基づいて将来考えられるということは、法律上も当然禁止するものでもなし、おそらくそういうような時期が来るのではないかという見通しについて申し上げる程度にとどめさせていただきたいと思います。
  133. 鈴木壽

    鈴木壽君 私は、あなたにそれ以上お聞きできないようでありますから、その点はそれ以上聞かないことにしますが、私、ただこの機会に、もっと自分としてこうなければならないと思う点をちょっと申し上げますと、災害のいわゆる対策基金というものは、この法にあるように、災害対策に要する臨時的な経費だ、そのために積み立てておくのだ、こういうことなんで、いろいろ使途はあると思うのです。使途はあると思うのですが、その中に、さっきからあなたにお聞きしているとおり、災害補償についての現行法なりあるいは他に立法が必要なら必要でやっていきますと、一つの補完的な意味を持って、補助的な意味を持ってことでカバーしていけるような何かがやはり含まれなければ、ぜひ含まってほしいという私の気持があるのですがね。そのためには、私はやはりこれははっきり府県なり市町村にまでこういうものをやって、それに対する積み立てなんかはきちっとやらせる。また、国もそれをやらせるだけのいわばめんどうを見る一と言うと言葉は悪いのでありますけれども、国もそういうふうにやっていくのだということにならないといけないと思うのです。まあしかし、これはあなただいぶ用心しておられるようでありますから、また、立場上も無理もないと思いますから、いずれあとの機会に、何かのときにお尋ねして、政府の直接関係しているところにお尋ねするようにいたしたいと思っております。  で、時間もないようでありますから、私もう一つだけできょうは終わりたいと思いますが、いわゆる消防力の充実、消防施設の問題ですが、さっきもいろいろお話の中に出てきたことなんでありますけれども、どうしても私は今必要なのは、この消防のいわゆる消防力と充実ということでなければならぬと思うのでありますが、もちろんその前提に、前に、火事を出さないとか、災害予防とかという立場でのそれも大事でありますけれども、起こったものをいかに最小限に食いとめて、身体、財産、こういうものを守っていくかという、こういうことに直接的に取っ組んでいかなければならないと思うのでありますが、見ますと、どうもあなた方せっかく消防力の基準とかなんとかというものを出しておりますけれども、なかなか市町村にはそれに到達することはむずかしい、こういう実情だと思いますが、そういうことに対してどういうふうにお考えになっておられますか。
  134. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 消防力が整備をされませんと、延焼火災、あるいは大火というものがどうしても防止ができない。しかも消防力の優秀か劣弱かということによって、その結果というものは端的に統計上も出ておるというところから見まして、消防力というものはどうしても急速に整備をしていかなきゃならぬのであります。その中心になります消防施設につきましては、消防施設の整備計画を立て、側面的には施設に対する国庫の補助と、それから損保債の充当ということを中心にいたしまして、漸次整備の促進にも当たっているわけであります。ただ、最近のところで全国的に調べたところによりますと、消防庁のほうで発表いたしておりまする消防力の基準というものに対しまして、まず曲がりなりにも一応の整備をいたしておりますのは、消防ポンプだけであります。これも内容がいろいろございますが、ポンプ自動車が約七割の充当率、手引き動力ポンプは、これはほぼいいところまで行っておる。小型動力ポンプは、まだ整備があまりはかばかしくございませんで、五三%ということになっております。ところが、これに対しまして、火災報知機等に至りますると、発信機が三五%、受信機が五五%、消防用の専用無線電話に至っては三割にも至っておらない。防火水槽が五割にも満たないというようなことで、ごく大ざっぱな消防力として見まする場合においては、まず半分ちょっと越えたところまでにしか行っていないのじゃないかということでございます。この整備というものは、できるだけすみやかにひとつはかっていかなければならぬということで努力をいたしてきております。しかし、国庫補助のほうも、その飛躍的に一ぺんにふえるというわけにも参りませんですし、地方の受け入れ態勢自体についても、やはり財政上の限界があるということで、それほどめざましい整備、充実が見られないことは遺憾でございます。しかし、いろいろ御協力によりまして、法的にも、あるいは財政的にも措置を講じて参りました結果、結果的には相当整備を見たということも、これも事実疑いのないところでございます。しかし、すみやかにある程度満足すべき状態に持っていくということが先決の要件でございますので、私たちといたしましては、財政的、行政的、いろいろな面から努力をいたしまして、消防施設の整備というものをできるだけすみやかに消防力の基準にまで高める、持っていくということに努力をいたしたいと考えておるものでございます。
  135. 鈴木壽

    鈴木壽君 今お話をお聞きしますと、端的には財政の問題に帰着すると思います、地方財政にですね。ですから、この点をいわゆる、まあこういう言葉が当たるか当たらないか、消防財政といいますか、こういうものの充実ということが大きな任務に、仕事にならなきやならぬと思いますが、具体的にまた一つずつ聞きますが、今の交付税の算定の中に織り込まれておるいわゆる消防関係のもの、これでいいとあなた方お考えになっておられるのか、率直に今まで。
  136. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 決していいとは思っておりません。なお不足でございます。
  137. 鈴木壽

    鈴木壽君 三十八年度で、あなた方、この点について交付税の改正に当たって、三十八年度について、今度の交付税の改正案、単位費用の引き上げについてどういう折衝をなさいましたか。
  138. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 事務的には消防力の基準というものが出ておりますので、この基準に見合うだけのものを標準団体の財政規模としては取り込んでもらいたいということを主体にして折衝をやってきておるのであります。ただ、まだ、両者の歩み寄りは、そこまで十分には行っておりません。それと、消防団員関係の処遇の改善につきましては、先刻来、お話がございましたが、目下、努力をいたしております。消防審議会の答申も早く得まして、それについての具体案の作成をして参りたい、かように考えております。来年度の折衝の結果、はっきりと織り込まれましたものは、出動手当の五十円アップという点が主となったわけでございます。この結果、前年度、すなわち三十七年度、単位費用が三百三十八円二十七銭でありましたものが、三十八年度、来年度は三百八十六円ということに相なっておりまして、財政需要額の見込みを立ててみますると、三十七年度が三百九十四億でございましたのが、来年度は、積算四百五十億ということに相なっておる次第でございます。ちなみに、昭和三十六年度の消防費の市町村決算額は、三百六十三億でございます。
  139. 鈴木壽

    鈴木壽君 交付税で需要額を三百九十四億と見ておるにもかかわらず、市町村の支出の決算を見ますと三百六十億程度と、ここに一つの市町村の消防に対する経費の使い方には問題があると思いますが、交付税の問題になりますと、いわゆる消防の問題だけじゃありませんから、いろいろむずかしい点も出てくると思いますが、やはり、さっきあなたが述べられました消防力の基準を維持できるだけの経費というものは、当然見てもらわなきゃならぬと、こういうことでなければならぬと思いますがね。交付税の単位費用の計算の際に用いる標準団体における消防のいろいろなあれを見ますと、僕らしろうとなものだから、はたして、たとえば人間の問題についても、署員が何人あれば、あるいは車が何台あれば、あの人口十万の基準団体のそれにきちっと適合するのかちょっとわかりませんが、しかしあなた方の出しておられる消防力のあれからしますと、私ちょっと見ただけでも、劣っておると思うのです。まず第一に、この点を、これから、あなた方努力目標の一つとしてやっていただきたい、こう思うのですが、これは財政当局にも、あとの機会に、何か関係ある際に申し上げるつもりでありますけれども、やはりそういうところをやっていくと、さっき言ったように、市町村の金の使い方もちょっと問題はありますけれども、ともかく、この点についての配慮がなされなければならぬと思います。この点についてもうちょっと聞きますと、出動手当が五十円アップになったということですが、人員関係では何人がふえていますか。
  140. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 標準団体で消防吏員一名ということになっております。
  141. 鈴木壽

    鈴木壽君 国庫補助についてですが、来年度も、ことしと比べて同額だったと思いますが、これをもっとふやす方法はありませんか。
  142. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 同額ではございませんで、施設関係は本年度が六億八千万、それに対して二千万増の七億ということになっております。
  143. 鈴木壽

    鈴木壽君 もっとこれは大幅にできませんか、せめて十億ぐらいに。
  144. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) これは多いに越したことはございませんので、毎年かなりの額を要求しているのですが、まだ、私の政治力が足らないところもありまして、そこまで十分に参っておりません。なお、もう少し思い切った増額には今後ともひとつ努力して参りたいと思っております。
  145. 鈴木壽

    鈴木壽君 損保からの融資ですね。起債を三十八年度はどのくらいに見込んでおられますか。
  146. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) まだ折衝いたしてはおりません。損保のほうも、何か資金繰りがあまり楽でないようなことで、事務的には連絡をしてきているようでございますが、まだ正式な折衝をいたす段階ではございませんが、私といたしましては、少なくとも減らすというようなことのないように、要すれば、いかに向こうの事情がございましても、ほかならぬ消防施設の強化ということに役立つことでもあり、そのことはやはり損保自体の利益還元にもなることでございます。こういう点を十分にわかっていただきまして、十分の起債ワクの確保ということに努力したいつもりでおります。
  147. 鈴木壽

    鈴木壽君 三十七年度は十二億五千万ですか。そうですね。
  148. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) そうです。十二億五千万です。
  149. 鈴木壽

    鈴木壽君 長官は、それ以下にはしたくないと、こうおっしゃるのですが、それ以上にふやすように努力して下さいよ。それは損保としては、こっちに回すより、どっかほかのほうへ回したほうが、少しはもうかるでしょう。だから、少しでももうけの多いほうへ回したのでしょうけれども、長官が今言うように、それから午前中の質疑の中にもありましたように、この金というものは、これは終局的には損保のほうにもプラスになる金ですね、最後に考えてみますと。だからもっと、十二億五千万円を減らさないどころじゃない、十二億五千万に二億五千万上げて、十五億ぐらいにはね上げるように努力してみたらどうです。
  150. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) むろん私といたしましては、できるだけ増額をするという気がまえでやりたいと思っております。
  151. 鈴木壽

    鈴木壽君 私、冗談めいた話でなしに、やはりこういうような問題について、損保のほんとうの意味の理解と協力を求めなければならぬと思いますし、当然だと思うけれども、今言ったように、あの人たちは、金をあっちこっち回すためには、どうもこっちのほうが少し不利ですから渋ると思います。しかし、損保は金が実は、そう言っちゃ怒るかもしれないけれども、うんとあるのですね。あなた方、調べたことありますか。たとえば責任準備積み立てなり、いろいろな内部留保の問題なり、調べたことありますか。
  152. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) ワクの折衝をいたしまする際には、こちらも計数等をはっきり腹に入れませんと折衝になりませんので、その点十分に下調査をいたしまして、それを腹に持って折衝をいたしております。
  153. 鈴木壽

    鈴木壽君 むしろ今の損保で、私はこまかい数字的なものまで検討した結果じゃありませんけれども、これは責任準備の金でも、今の災害状況からすれば、使い切れないであるのですね、ほんとうを言うと。それは責任準備の金は多いに越したことはない。いついかなることがあるかもしれませんからね。しかし、通常のあれからしますと、ずいぶん余っているわけだな。そういうこともありますし、それから、掛金でも年々やはり増加してきているのですね。それに伴ういろいろな金の回し方なんかも、今言ったように、いろいろな面に金を使っているのですから、その損保に対して、ほんとうにある意味においては、国を守り、人間を守り、また財産を守るという、こういうことに対して、しかも、自分たちに直接的に関係のある仕事に対する融資というものを、もっと強く要望してもいいと思うのですね。あまり卑屈にならないで、ひとつ長官、交渉して下さいよ。がんばっていただきたいと思います。  それから、これに関連して、私はもう一つだけできょうは終わりたいと思いますが、私どもは消防施設等のために消防のために消防の施設税というものを新たに設けるべきだということを従来主張してきておったのであります。いつか、自治省消防関係のほうでもその消防施設税について御検討なさって、ある案もできたやに聞いておりましたが、今この点について何か検討しておられますか。
  154. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 目下のところ、いついつからやろうとかというような気がまえを持って検討をいたしておりまする段階ではございません。過去において一応それが問題になったことは、私も承知をいたしております。その場合に一番論議の対象になっておりますることは、目的税自体の性格論の点もございまするし、目的税としてこれを設定いたしまする際に、税の実質的負担者というものが、いわゆる保険契約の当事者、保険をかける人に、要するに、かかっていく。そういう点から見て、消防施設というような、こういう普遍的な施設強化のためにどうであろうかというような、税法上の若干問題点もあったというようなことも聞いております。しかし、それはそれといたしまして、私たちといたしましては、消防施設を強化するというような点からいいまして、消防施設に対する特別の目的税というものを考慮することは、十分考えていい一つの考え方ではないかというふうに私自身は考えておるわけであります。しかし、これにつきましては、税務当局のお考え方、あるいは大蔵省の考え方、いろいろの面がございますので、私自体といたしましても、これを一つの課題としてじっくりとひとつ取り組んで研究をしてみたいと思っておる次第でございます。
  155. 鈴木壽

    鈴木壽君 考え方としてはあなたも異存がないようでありますが、さらに内容として、この施設税の場合、私どもは保険料の一定歩合を保険会社から取る——と言うと悪いのですけれども、徴収する、こういう形で考えているわけなんです。それについて先ほどあなたは、保険金をかける人から一つの目的税として取るような形はどうかというような税務当局の考え方もあったやに聞いたと、こういうお話でしたが、これはかける人ということよりも、それを取るほうの立場に立って、保険料を集めたほうの側に課するという形で考えていくべきだと思うのですがね。で、そういうふうな考え方について、今の集めたほうのことはともかくとして、保険料のある一定率で徴収をしてその施設税のそれに充てる、こういう考え方はどうです、内容的に。
  156. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 私は、保険契約者本人からという表現をいたしましたのは、これは実質的負担意味でございまして、もし、そういう施設税がなければそれだけ保険料が軽減されるといったような場合に、それがあるために軽減をされない、あるいは、さらに保険料が上がるといったような場合のことを想定して、一応問題点として申し上げたのであります。
  157. 鈴木壽

    鈴木壽君 実は今の保険の仕組みは、今の施設税というような形で保険料の何パーセントかを徴収するという形、それがなければ保険料の軽減になり、あるいはそれがあることによって保険料がふえるというようなことでなくて、もっと私は、今の料金の、保険会社のいわゆる使い方そのものから考えていっていい問題だと思っています。保険税ができて、たとえば私どもは掛金の三%なら三%と、この程度はどうか。まあかりに三%とした場合に、それがなければ保険料が減るかというと、減らない。また三%取ることによって保険料金を上げなければならぬかというと、そうじゃない。もっとそれは端的に言うと、保険会社は相当利益をあげていますからね。その利益の一部分をこっちに回せと、こういうことなんですがね。まあ、いずれそういうことで私はぜひこれはやらなければならぬ問題だと思っていますけれども、これはあなたがさつき言ったように、これから検討したい、取っ組みたいと、こういうお話でございますが、これは保険会社のほうからうんと反対が来ます。私どもこういうことを言うと、僕らにまで反対が来るのですよね。そして大蔵省を動す。大蔵省も、どうも工合が悪いのじゃないかということで、この前はつぶれたと思うのです。だから、非常な反対がありますけれども、しかし、それは言ってみれば、保険会社の反対だけであって、自分たちの利益が減るということで、しかし、私は概算、今の保険料金——年間火災保険の料金が約六百億程度出ますから、かりにその年によって多少異同があるとしても、五百億に押えても三%で十五億ある。かりに二%としても十億ある。こうなりますと、私よほど消防施設のほうに回す金としては市町村では助かると思うのですがね、これはひとつ、ほんとうにでかすようなかまえで検討していただきたいと思うのですがね。その点どうですか。どうもこいつはあぶないからやめると、こういうことでしょうか。
  158. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 消防施設を強化していく、またその裏づけとしての消防財政を確立する、そういう一環といたしまして消防施設税の問題も前向きに検討をいたしてみたいと思っております。
  159. 鈴木壽

    鈴木壽君 きょうはこれで……、時間が時間ですから。
  160. 林虎雄

    ○林虎雄君 ちょっと関連して長官に承りたいと思うのですが、中座したので、鈴木さんが今質問をしておりました地方団体に対する補助ですが、救急業務を規定される、基準の市町村が指定された場合に救急業務を行なうということで、当然経費増が出てくると思いますが、そのために地方団体負担の増というものはどのくらいに推定されておられるのですか。
  161. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) こまかい推定の数字は、後ほど事務的に調べましてお答えをいたす機会を持ちたいと思いますが、この点は大ざっぱな言い方をして恐縮でございますけれども、義務づけたからといって、それほどびっくりするような金がかかるわけではございません。むろん主体となる消防自動車が要ります、それの維持管理費というのが要ります、動かす人が要りますということになるわけでございますけれども、現在、標準団体としてやっておりまするところの消防費というものが、これは三千八百六十万ということになるわけでございますので、それに対してそれほど驚くような増加を見るわけではございません。ただしかし、私たちといたしましては、現在消防費の中で救急業務について見ておりまする見方というものが、これは非常に少ないのであります。技術的に申せば、いわゆる十四種地、交付税の段階補正の十四種地でございますが、十四種地あたりから若干の救急業務に要する費用を見込んでいるという段階でございます。しかし、これだけでは十分でございませんので、私たちといたしましては、十万以上に救急業務の施行を義務づけるということにいたしますれば、十万に見合う種地のところに対しましては、はっきりと救急に要する費用というものは見込む、費用の見込み方自体の単価をもっと現実に合うように引き上げたい、かように思っております。これは実は法律が出ましてから実際に動き出しますには一年間の猶予期間がございますので、その間に財政当局とも相談いたしまして、はっきりとした措置を講じたいと思っております。  それともう一つは、今もお話が出ておりました損保債の重点的な運用によって、新しく救急業務をやらなければならない義務を課せられまする市町村につきましては、救急自動車等の購入に充てるために起債を重点的に回す、こういうこともあわせて講じて参りまして、救急業務を義務づけることによって財政的に非常に負担がかかって支障が生ずるということのないように、万全の措置を講じたい所存であります。
  162. 林虎雄

    ○林虎雄君 そうすると、地方団体に対しては補助が出るのですか。交付税に算入されるのですか。
  163. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 現在のところでは、交付税と、それから損保債の運用で参る所存でございます。補助につきましては、これは内部的な問題で恐縮でございますが、予算要求は実はやったのでございますけれども、これが折衝の過程においてうまく参りませんでした。しかし、われわれといたしましては、この点についてすっかりあきらめてしまったわけではございませんので、なお、今後とも努力はいたして参りたいと思っております。  さらにもう一つの考え方といたしましては、現在消防施設のために補助を出しておりまするが、それの補助の一つの対象として、救急自動車の購入というのも加えるということも可能なのではあるまいかという考え方もございます。これらも参考としながら、裏づけのためにはできる限りの努力をいたして参る所存でございます。
  164. 林虎雄

    ○林虎雄君 地方団体、まあいずれもそうですが、最近の火災の惨禍というものが予想外に大きなものが頻発をいたしますので、地方団体としても非常に熱心に消防に対しては力を入れようという意欲のあることは明らかですが、御承知のとおり、地方団体も最近財政も幾らか落ち着いたとはいいながら財源難ですから、よほど国のほうで予算を見ていただかないと、思うような充実したものができないと思いますので、地元は熱意はありますから、ひとつ財政的にもっとがんばっていただきまして、完璧を期するように御努力をお願いいたしたいと思います。
  165. 山本弘

    説明員(山本弘君) 先ほどの御質問の、救急業務実施に要する費用は幾らかということでございましたが、それにつきましては、十万の人口を有する、いわゆる政令市町村でございますが、救急車一台と、これに要する人員を一応六人というふうに考えております。車一台は大体二百五十万円、最小の付属施設をつけまして二百五十万円、人は三人、片番勤務の六人、こういうことになるわけでございます。したがいまして、六人の人件費は、現在消防吏員一人当たり大体五十万ということになっておりますので、人件費が三百万、車二百五十万で、計五百五十万という数字が一応出ます。しかしながら、これは特に人の点につきましては、事故件数その他救急業務の実際の態様から考えまして、こればかりの専任の人を置くかどうかにつきましては、それぞれ各種の事情も異るかと思いますので、兼務その他の方法もとられるかと思いますので、そう大きな財政負担をかけずに救急業務の実施ができるのではないか、かように考えております。
  166. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) 両案についての本日の審査は、この程度にいたしたいと存じます。  次会は、二月十四日(木曜日)午前十時より消防法関係の二案、地方公務員共済組合法の長期給付に関する施行法の一部を改正する法律案について審査を行なう予定でございます。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時五十五分散会      —————・—————