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1963-03-05 第43回国会 参議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月五日(火曜日)    午前十時二十九分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     石谷 憲男君    理事            小林 武治君            西田 信一君            林  虎雄君            市川 房枝君    委員            西郷吉之助君            沢田 一精君            館  哲二君            秋山 長造君            鈴木  壽君            松本 賢一君            鈴木 一弘君            基  政七君   国務大臣    自 治 大 臣 篠田 弘作君    国 務 大 臣 川島正次郎君   政府委員    警察庁長官   柏村 信雄君    警察庁長官官房    長       後藤田正晴君    警察庁交通局長 冨永 誠美君    運輸省自動車局    長       木村 睦男君    自治省行政局長 佐久間 彊君    自治省財政局長 奧野 誠亮君    消防庁次長   川合  武君   事務局側    常任委員会専門    員       鈴木  武君   説明員    建設省道路局次    長      尾之内由紀夫君    自治大臣官房参    事官      松島 五郎君    日本国有鉄道踏    切保安部長   渡辺 寅雄君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件道路交通法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○消防組織法及び消防団員等公務災害  補償責任共済基金法の一部を改正す  る法律案内閣提出) ○地方公務員共済組合法長期給付に  関する施行法の一部を改正する法律  案(内閣提出) ○昭和三十七年度分として交付すべき  地方交付税の総額の特例に関する法  律案内閣提出衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  本日は、道路交通法の一部改正案並び昭和三十七年度地方交付税特例法律案の審査及び先議案件二件の説明を聴取することにいたしたいと存じます。  初めに道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行ないます。警察庁のほか川島国務大臣建設省尾之内道路局次長運輸省木村自動車局長国鉄渡辺踏切保安部長が出席いたしております。御質疑の方は順次御発言を願います。
  3. 小林武治

    小林武治君 川島長官にお伺いしますが、昨年三月、警察法の一部改正案の採決をいたしました際に、この委員会附帯決議をいたしまして、その中で、第一に「道路交通に関する強力な総合行政の実現を図るため、交通関係行政一元化する有効適切な措置を講ずること。」、こういう附帯決議をいたしまして、当時川島大臣もおいでになったと思いますが、この点に関しまして、その後どういうふうな取り運びになっているか、お伺いいたします。
  4. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 昨年本院におきまして、道路交通法案を御審議願った際に、附帯決議のことは、私も御趣旨に賛成でありまして、交通行政一元化をしたいということで、いろいろ行政管理庁といたしましても検討を加えておるのでありますが、一方ただいまやっておりまする臨時行政調査会に対しまして、交通行政一元化の研究をお願い申し上げてございまして、まだこの結論は出ておりません。せっかく臨時行政調査会ができまして、行政体質改善につきまして熱心に検討願っておる際でありますからして、その結論を得まして、政府といたしましては考慮したいと、こういう態度をただいまとっておるのであります。御承知のように、一昨年交通関係閣僚懇談会を開きまして、ただいま各省庁においてそれぞれ所管をいたしておりまする道路交通に関する仕事連絡調整を密にいたしまして、仕事の運営上差しつかえないようなことをいたしておる程度でただいまありますが、今のところはそれで非常に大きな支障はないと思っております。しかし、一元化につきましては、今申し上げましたように将来何とかこれを実現したいと、こう考えて参っておるわけであります。
  5. 小林武治

    小林武治君 今、あまり支障のないようなお話でございますが、道路交通関係においては実際上ほとんど改善されておらないと、こういうふうに私どもは見ております。その中でも、この行政の問題がやはり一つ原因であると思っておりまして、昨年川島さんも相当この問題については意気込んでおられたと思うのでありますが、どうも一年経過しまして、あまりこういう方面で前進がないように思われまするが、これの見通しと申しまするか――私どもは昨年、二年も三年もかかってやってほしいと、こういうふうな希望を述べたわけじゃなくて、差し迫った問題として、少なくともこれらの調整というふうな問題について片づけていただきたいと、こう思っておったんでありますが、その点は見通しと申しまするか、やはり変な言葉でいえば、まだだらだらおやりになるつもりか、その点をひとつ伺っておきます。
  6. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 臨時行政調査会時限立法でございまして、三十八年度じゅうに結論をつけて政府に答申すると、こういうことになっておりまして、したがいまして、明年の三月までには必ず結論が出るものだと、かように確信をいたしておりまして、その結論を得まして、政府としてはそれを尊重して考慮したいと、こういうことがただいまの政府としての考え方でございます。実は、閣僚懇談会ができましてから、従来運輸省建設省警察庁の間でなかなか意見調整できなかった点が多いのでありますが、その意見調整しまして、法律改正ども、たしか四つか五つして、御審議を願って、これを実行に移しておるわけであります。閣僚懇談会は決して道路行政が満足に運営されているとは考えておりませんけれども、さしあたっては、これを活用いたしまして、なるべく交通問題を解決したいということを今考えておるわけであります。
  7. 小林武治

    小林武治君 私、さしむき具体的なことを二、三お伺いいたしたいと思いますが、陸運事務所の問題ですね、府県にありまする陸運事務所でありまするが、これは前々から問題になっておりまするが、今これが知事所管になっております。実際上ただ知事所管というだけで、ほとんど知事監督があるわけでもなし、陸運局に所属しておるような格好でありまして、ああいうふうなヌエ的の所管ということは私は適当でない。したがって、この陸運事務所どもひとつ今のような状態なら、存否は別としまして、存続するなら陸運局に持っていっちゃったらいいじゃないか。知事はほとんど何もしておりません。人事についても持っておりませんし、仕事内容監督しておりません。しかも何かの時は知事をかさに着るというと変な言葉でありますが、そういうふうな状態で、私は名実伴わない存在であると思うので、これらの所管についてはぜひひとつ考えてほしいと思いますが、どうですか。
  8. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 陸運事務所だけではありませんで、厚生省関係その他国の仕事知事に委任しまして、実際はそれぞれの本省出先機関的な存在幾つかございます。これらを整理しようという考え方もありまして、これまた臨時行政調査会でも検討いたしておりますし、行政管理庁でも検討いたしておるのでありまして、国と地方仕事の分配のことは大きな問題として取り上げているわけであります。ことに、ただいま御指摘の陸運事務所知事の下にあるのですが、実際は全く運輸省出先機関に過ぎないのでありまして、これを運輸省に戻すか、それとも完全に知事配下に置くかということは一つ問題があろうかと思うのです。たとえば、タクシーハイヤー許可権のごとき、これを完全に知事権限でよかろうという議論もしばしば私は聞いております。タクシーなどは大体同じ府県内で営業するのでありますからして、何も運輸省で持たなくても実際は知事が知っているのだから、知事権限にしたらよかろうということも一つ議論であります。これは一面考えますと、知事はどうも選挙をやる関係相当弱い立場にあるので、知事に全部まかしたらめちゃめちゃにタクシー許可をするのじゃないかというような反対論も出ておりまして、実際問題としてはまだ相当考究する余地があるのじゃないかということでありまして、問題としてはまことに重要な問題であり、取り上げて検討しておるわけでありますが、まだ結論的には私としては何とも申し上げられない段階なんであります。
  9. 小林武治

    小林武治君 今大臣からタクシーの問題がありましたが、私もタクシー免許などは、ああいう官庁でやっておることはいろいろこれは具体的に弊害が出ております。地方でもいろいろ問題になっておるのです。私は知事に移すか、これはタクシー一つ営業であると同時に、交通上の非常に大きな問題になっておりますので、場合によったら公安委員会へ持って行く、警察へ持って行く、こういうふうな考え方があり得るのじゃないかと思うのです。知事ではお話のような心配もあろうと思いまするが、この点はひとつこれからの問題として、免許そのものが私は非常に交通取り締まり影響がある、実際問題としてタクシーそのものは。だから、場合によって警察に持って行く、公安委員会に持って行く、こういうふうな考え方も持てるのじゃないかと思いますが、その点はどうですか。
  10. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 私は多少そういう考えがあるので、ただいま意見として申し上げたわけであります。これは運輸省にも相当意見があろうかと思います。運輸大臣とも十分相談をいたしたいと、こう考えております。これは御質問がなくてもかねがね私がそう考えておりまして、適当なときにやっぱりこれは解決しなければならぬ、こう思っております。
  11. 小林武治

    小林武治君 今の事務配分の問題はほかにもいろいろありますが、さしむきやはり問題になっておるのが職業安定あるいは国民年金関係の職員が、国家公務員として知事配下におる。これはいろいろの面で、あれができたときはいろいろいきさつもありますが、現在の段階においては弊害のほうが多い。むしろこれは純粋な地方公務員にしてしまったほうがいいのじゃないかという議論もありますし、私もそのほうがいいと思っておりまするが、その辺のことはいかがでございますか。
  12. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 各省庁地方に移管している問題で、しかも実際は本省がにぎっているというようなことも、先ほどお話したようにたくさんございまして、それを今検討いたしております。これは臨時行政調査会で正式に取り上げて検討をいたしておるのでありまして、何とかこれは結論が出るのじゃないかという私は期待を持っておるのであります。小林さんのお説のように、このままでは正しい行政の姿とは言えないんじゃないかと思うのでありまして、地方行政あり方と国の行政あり方関係を十分ひとつ調査して結論づけたい、これも行政改革一つの大きな項目として今取り上げているわけであります。
  13. 小林武治

    小林武治君 これは、もう一つ交通の問題でありますが、自動車登録問題、これは前々から問題になっておりまするが、今陸運事務所にある自動車登録というものは、主として財産保全ということのために登録しておりますが、その登録が一面、交通取り締まりに非常に大きな影響があり、今のひき逃げとか、いろいろな問題で、警察はすぐにだれのものかということを始終調べなければならぬ、こういうわけで、この登録が今の法規上、陸運事務所だけにあって、警察にはない、こういうことが交通関係で非常に不便を来たしておりまするが、警察にも、あるいは大都会等においては登録をする、こういうふうな仕事を持たしたらどうかと思いまするが、これはいかがですか。
  14. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) これは昨年法規を変えまして、警察署の証明した常置場所がきまらなければ登録はしない、こういうふうにしたわけであります。そうしまして警察登録には関与することになっております。警察署が証明した常置場所のないものは登録しない、こういうふうに昨年改正いたしまして、ただ勝手に登録はできない、こういうことにしまして、その点はだいぶ直った、こういうわけであります。
  15. 小林武治

    小林武治君 今の点はどうですか、厳重に履行されているかどうか。これは警察の問題ですが、登録警察にないために、交通取り締まり上非常に不便を来たしておる――こういうようなことが軽減されたと申しますか、その点はどうですか。
  16. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) ただいま川島大臣からお話警察が関与するというのは、新しく車を登録する場合に、一定の区域を限って警察の証明を受けた上で登録するということになっております。この事務については相当正確に行なわれているわけであります。ただ、これは全国に及ぼされているものでもありませんし、また、新規に購入して車を持つというものについてでございますので、それ以外のものについては警察が関与するという問題ではございません。ただ、警察署等におきましては、ただいま小林委員からお話のありましたように、いろいろ交通違反取り締まり等に関連して、登録されている車について警察があらかじめ知っていることが必要であるということから、運輸省のほうからその登録写し等をいただいて、そうしてそれによって敏速な活動をする場合の準備をいたしている面はございます。これも全国的にそう行なわれている、また、運輸省のほうで義務的に警察のほうにこの登録写しを配付するということになっているわけではございません。
  17. 小林武治

    小林武治君 まあ、今のお話のようなとおりでありまして、ほんの一部分にすぎない。しかも、まだそれが厳格に行なわれているかどうか私も存じませんが、既往の、すでに持っている自動車については、その関係はそういうわけでありまするが、実際問題として、所轄の警察がやはり所有者をある程度確認しているというか、確認し得るという制度は、私ぜひ必要じゃないかと思いまするが、そういうふうな問題について検討余地はありませんか。これは行政管理庁長官に。
  18. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 全国的でございますか。
  19. 小林武治

    小林武治君 全国的でなくても、六大都市とか、要するに、交通事故の非常に多そうな、交通の激しいところ……。
  20. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 運輸省警察庁と私が中に入りまして、十分ひとつ相談をいたしましてやろうと思っております。ちょっと私、意見を言うだけの段階に達しておりませんから。
  21. 小林武治

    小林武治君 まあひとつ、そのことは至急御相談いただいて御意見をお出しいただくと非常にけっこうだと思います。  要するに、まあ最初お話がありましたように、行政のばらばらということが、相当程度交通混乱原因にもなっておりますので、今、そういう審議会審議しておるということも、一つの事実でありまするが、非常にこれはもう急ぐ問題でありまして、できるだけ早い機会に結論を出して、少しでも交通をよくするということにひとつ努めてほしいと思います。ことに川島さんはこの点について非常に御熱意を昨年来持っておられますので、私どもとしては、非常に期待をしておりますので、できるだけ早くひとつ結論をお出しになるように、政府としても推進されるようにぜひお願いをしたいと存じます。  もう一つ交通の問題については、これはまあ主として運輸省あるいは警察庁公安委員会というものがありますが、地方団体もたとえば交通安全都市とかいうような宣言をしておるが、あれはどういう意味があるのか、あるいは地方団体交通取り締まりというような、交通の緩和と申しますか、交通健全化と申しますか、そういうことについて何か役割がないのかどうか、こういうこともひとつお尋ねしておきたいと思います。
  22. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) 地方自治団体は住民のためにあらゆる施策を行なっておるわけでございますが、ただいまお話しの安全都市宣言というようなものは、それ自体直ちにいわゆる行政の効果がそこに及ぶというようなものではなかろうと思いまするけれども、そういう宣言をすることによって市民関心を高め、また、そういう宣言をすることによって、いろいろその都市としても、予算上、交通安全施設整備等に力を入れるというような動きが非常に見えておるわけでございます。また、地方自治法等におきましても、交通の安全に関することというようなものを、その行政事務を列挙してある中に、さらに加えていただくようなことも考えていただいたらいいのではないかというお話も目下し合っておるような状況でございまして、やはり一つには、市民関心を深める、また、施設を充実するというような点にさらに自治体が積極的に乗り出していただくことは、われわれとしては非常に歓迎すべきことであろうと思っておるわけでございます。
  23. 小林武治

    小林武治君 警察の手も足りないし、何かこういうことについては地方団体で関与してもらいたい、あるいは手伝ってもらいたいというようなことがありはせぬかと思うのですが、そういうようなことについて、警察庁考えて、むしろ地方に積極的にこれにひとつ加わってもらうというふうな考え方はありませんか。
  24. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) ただいま申し上げましたように、自治省としても、私どもの申し入れに賛成されて、たしか今国会に提出される地方自治法改正には、そういうものも含まれるのじゃないかと思っておるわけでございますが、取り締まりというようなものが多元的にわたることは、これは適当でないと思いまするけれでも、いろいろな施設教育というような面において大いに自治体の活躍する分野というものはあるというふうに私ども考えておりまして、ただいまお述べになりましたように、自治体仕事としても交通に関して受け持つ分野相当に広い、それを推進していただくようにお願いしたいと思っておるわけでございます。
  25. 小林武治

    小林武治君 その点については、警察庁も積極的にこういうようなことは地方に手伝ってもらう面がある、こういうようなことをひとつ検討されて、そうしてそれを地方に依頼すると申しまするか、そういうようなことについてひとつ進んでほしいと、こういうふうに思います。  それから、この前の附帯決議には、警察官の増強とかあるいは配置転換とか、それから道路施設の標識とか、こういうふうな問題につきまして幾つ附帯決議をしておりますが、この問題についてのその後の進行状況をひとつ説明してほしい。
  26. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) 三十五年の本委員会におきまして、道路交通法案改正の際の附帯決議がございます。また三十七年の三月に警察法の一部を改正する法律案に対しまして附帯決議が同じく本委員会においてなされておるわけでございます。前者が八項目、後者が四項目になっておりますので、これについてただいま川島大臣のお述べになりました第一の問題を除きまして、そのあとの私ども行なって参りましたことについて申し上げてみたいと思います。  三十五年の第二番目の「一般国民に対して、本法趣旨徹底交通道徳昂揚を図るため必要な措置を講ずるとともに学校教育を通じ学童に対して交通知識普及を図ること。」というのと、三十七年の第四番目の「広く国民各層にわたる運動を強力に推進して社会教育徹底交通道徳昂揚を図るとともに交通知識普及徹底を期すること。」という御決議に対しまして、まず第一に交通安全運動の推進ということを大いにはかって参ったわけでございますが、従来警察庁におきましては、春秋二回全国交通安全運動を行なって来ておったわけでございますが、三十七年度の春からこれを飛躍的に拡大をいたしまして、中央地方を通じて、いわゆる国民総ぐるみ運動という形で展開することにいたしたのでございます。ざらにまたとの春秋二回の交通安全旬間だけに限らず、むしろこれを常時継続的に国民運動的に展開していくということに努力をいたしておるわけでございます。
  27. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) ちょっと待って下さい、長官。せっかく大臣が見えておりますから、もうちょっと大臣に御質疑のある方がありますから、それを先にしまして、そのあとでお願いしますから。
  28. 林虎雄

    林虎雄君 川島大臣お見えですから、ただいま小林委員から質問のありました点と同じ陸運事務所あり方についてもう一ぺん確かめたいと思います。  御承知のように、国の出先機関整備ということで、先年その監督権知事にまかせたという形になったのでありますが、小林委員の指摘いたしましたように名目だけでありまして、むしろこのままの状態では意味がない。だから事のよしあしは別として、知事権限、権能という名目のものはやめたほうがいいという考えすら出るわけでありますが、川島大臣お答えの中にありましたように、この際知事にもっと営業許可権というようなものを与えたほうがいいのではないかという御質問に対しまして、選挙等の問題もあり、市町村長あたりが突き上げられて、かえって弊害が起こるのではなかろうかというような懸念からのお答えがあったようでありますが、私はむしろ逆でありまして、今の陸運事務所長という立場は、運輸省ではあまり役人としては高い立場でもないようでありますが、事実は強大な権限を持っているというように解釈をいたしておるのであります。長野県の例をちょっと申し上げますと、先年陸運事務所に大きな汚職事件が起こりましたが、知事は全然その内容も何もわからないし、つんぼさじきにあって、そして責任だけを追求ざれるというような妙なことが起こった経験があります。なるほど陸運事務所の上には陸運局というものがありますけれども、ほとんどこの権限というものは陸運事務所長許可権等を持っておりますので、それだけに業界に対するにらみと言いますか、そういうものが強すぎて、むしろ弊害がある。むしろ知事が直接そこにタッチするというようなことになれば、そういう弊害がなくなると思うのでありますが、現在の地方行政陸運事務所との事務の関連につきまして今後どういうふうにお考えになるか、この点を承りたいと思います。
  29. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 先ほど小林さんからお話のございました公安委員会にまかせるということ、まあ一つの問題なんですが、自動車営業許可権を、公安委員会――と言っても警察のことですが、警察にまかせることの可否につきましては、これはやっぱり議論があるところでありまして、知事にまかせたらどうかということにつきましては、そういうことも私からも意見を申し上げたのですが――そういう議論が従来からもございます。ございますが、これに対してまた反対議論もあるわけでありまして、この問題は私も昨年来相当検討を加えておるのであります。大体ハイヤータクシーのごときは同じ県内だけが営業場所なんでありますから、その実際を知っておりますのは知事なんでありますから、知事にまかせることが適当ではないかという考えもあるのですが、これに対しては運輸省方面には相当反対意見が出ております。出ておりましても、どうすることが一体国家的にいいかという見地からむろん判断を下す必要がありますが、まだその判断を下す結論まで行っていないわけであります。先ほどそういう意味でもってお答えを申し上げたわけでありまして、この問題は十分検討すべき重要性の問題と考えますからして、なお検討を重ねたい。こう考えております。
  30. 林虎雄

    林虎雄君 御意思の点はよくわかりましたが、知事あるいは公安委員会、いずれにしても県の実情をよく知っておりますものがタッチすることが誤りなきを期すのではないかと思うのであります。その許可等によりまして営業一定の保護をされているという点はわからないでもありませんけれども、保護されているということで、むしろそれにあぐらをかいて非常に行き過ぎをしているような感じが若干するわけであります。  一例を申し上げますと、あとでまた運輸省のほうにお聞きしたいと思っておりますけれどもタクシー従業員相当年もとり技術もいいので、個人タクシーを申請しようというので、その申請をしたところが、それがわかったので、その会社から馘首されて、そして馘首をされたのはやむを得ないとしても、他の業者に――その付近の全部の業者に通達を出して、これを使用するなということで、その人は全く職を失ってしまって困っているという二、三の事例があるわけです。これはもう非常に生活権の問題ですし、人道上の問題としても非常に大きな問題ですけれども、要するに許可という一つのワクの中にありますので、そういう横暴というか、行き過ぎを招来しておるということがありますので、こういう点について、特に許可の問題でありますから運輸省の問題だと思いますが、お考えおきを願いたいと思います。  それから、もう一つ大臣にお聞きしたいことは、行政管理庁立場におきまして、この陸運事務所の所在地の問題でありますが、との間、二月二十五日でありますか、衆議院の予算委員会の分科会において、山口丈太郎氏が質問したようでありますが、たとえば兵庫県のように非常に大きな地域の県では、裏日本のほうへ参りますと、陸運事務所へ出てくるにもたいへん時間もかかるし、能率も非常に悪いというようなことで、出張所とか、陸運事務所の数を増すように、あるいは何か裏日本でも許可が簡単にとれるような、そういう事務所の出張所を設置してもらいたいというような意見があったようでありますが、長野県においても、御承知のように非常に大きな県でありまして、先年分県問題、長野県を二つに分けようというような大きな騒ぎがあり、また現在でも県庁を長野から松本へ移そうというような騒ぎをしておるわけであります。そういうことは、要するに長野に現在陸運事務所がありますが、南信方面は非常に不便であるというようなことで、南信方面に何らかの機関がほしい、出張所のような機関がほしいというようなことであります。これは人員の問題とからみ、また行政管理庁とされても相当問題であると思いますが、お考えを承りたいと思います。
  31. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 運輸省は、役所の性質上どうしても営業許可の場合には経営の方面から見がちなんです。最近交通問題がやかましくなりましたので、警察とも十分連絡をとって、相当許可の際に考慮しておるのだと、かように考えておりますが、許可権の所在につきましては、先ほど来申し上げたように、閣僚懇談会で取り上げて十分再検討いたします。陸運事務所の出張所の問題につきましては私よく存じませんから、これは運輸省政府委員からお答えを申し上げたいと思います。
  32. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 先ほど来、陸運事務所の問題、それから登録関係、ただいま車両検査について小林先生、林先生から御質問がございましたが、運輸省といたしまして、これらの問題につきまして簡単にお答えをいたしたいと思います。陸運事務所につきましてまず申し上げますと、これは昭和二十四年の八月に占領政策の一環として、中央権限を一部地方委譲ということで、運輸省といたしましては、当時陸運局の分室というものが各府県にあったわけでございますが、それを知事権限下に移しまして陸運事務所という機構にしたわけでございます。もちろん人員あるいは任命権――人事権、予算、すべて運輸大臣が現在でも持っておるわけでございまして、これは行政の性質が運輸行政として縦に一貫すべきもので、その体制をとっておったにもかかわらず、たまたまそういった占領政策の犠牲といえば言い過ぎかもしれませんが、一つの方途として各省ともそういう事実があったのでありまして、運輸省としては陸運局分室を知事権限下に入れたということになっております。その後、すでに十数年たっておるのでございますが、陸運事務所のやっております運輸行政につきましては、知事監督下にはあるのでございますが、実質上は運輸大臣陸運局陸運事務所という縦につながる行政をそのままやって参っておりまして、現状に至っております。これも運輸行政というもののあるべき姿から当然出ることでございまして、その間この機構問題につきましては、いろいろ行政管理庁におかれましても監察をされまして、たとえば昭和二十八年に行政管理庁の監察局の報告書の中を見ましても陸運事務所というものが非常にあいまいな地位にいつまでも置かれておることは、職員の士気を低下し、また責任の所在の不明確と事務能率の阻害を生ずるおそれがあるので、早急に解決すべきであるというふうな報告も出ております。また昭和三十年の八月にもやはり行政管理庁から所見の発表がありまして、この場合にも陸運事務所というものが奇形児的な存在に置かれておる、したがって、これを文字どおり運輸省の支分部局の組織のもとに入れて、権限分野をすっきりすべきであるという勧告をもらっておるわけであります。事実、職員が、もともと運輸省の職員でありましたものが、そういういびつな関係にある、しかも占領政策の結果である。しかも、占領を解除されてすでに何年もたっておる今日、依然としてこの形態では困るということで、職員の士気に非常に悪い影響を与えておることも事実でございますし、また事務の能率化あるいは簡素化、その点から申しましても非常に不合理な面が多いのでございます。早くこれを一本の縦に筋の通った形にまとめたいということで努力をして参ったのでございます。たとえば昭和三十五年の八月ごろには、一応当時の政府といたしまして、関係各省の間におきまして、陸運事務所をもとの姿に戻すというほぼ話し合いがついたのでございますが、たまたまその直後、内閣の更迭等がありまして、またもとに戻ったというようないきさつをたどって現在に至っております。なかなかこういった機構というものは、一たびこういう形になりますと、もとへ戻すということはいろいろ抵抗がありまして困難なのが実情でございます。幸いに現在、臨時行政調査会ができまして、こういった機構問題についての検討をしていただいておりますので、われわれといたしましても、この機会にとにかくすっきりした形にいたしたいということで、調査会のほうにも運輸省としての意見も十分開陳をいたしております。この調査会の結論を待ってこの問題は処置いたしたい、かように考えておるのでございます。  それから陸運事務所権限が非常に強くて、いろいろそこに問題があるという御指摘がございましたが、実は陸運事務所長権限はしかく強大ではないのでございます。むしろ権限を持たしていないでおかしいではないかというような御質問のほうが多いのでありまして、タクシー免許権にいたしましても陸運局長の権限でございまして、陸運事務所長陸運局長の指示によりまして具体的な事実調査、実態調査等はいたしますが、処分権限は持っていないのでございます。若干、事業計画の変更、たとえば停留所を変えるとか、そういった程度権限は持っておりますが、いわゆる免許にかかわる権限は一切陸運事務所長は持っておりません。ただ免許につきましては必ず反対と賛成とございまして、半分はどうしても処分については不利な立場に立ちますので、いろいろそこでいかに公正をはかりましても不利な処分を受けたほうからはいろいろな非難が出るのでございまして、これは一陸運事務所のみに限りません。陸運局長もしかりでございますし、またわれわれ本省責任者もそういう場合には、常に片側からは非常な非難を受けておるというふうな実情でございます。しかも、これらの免許というものがすべて、何といいますか、利権に関連のあるいわゆる企業でございますので、いろいろそういった立場から批判を受けるのでございまして、われわれ職員といたしましては常に公正に処置するように注意をいたしておるのでございます。今後とも一そうその方面につきましては努力を重ねていくつもりでございます。  なお、タクシー業務も知事に移したらというふうな御意見もございましたが、これは川島長官からお話がありましたような状態でございますが、さらにつけ加えますと、なるほどタクシーにいたしましても、一つの県あるいは一つの都区内で動いておりますが、たとえば東京都と神奈川県を比べてみましても、東京のすぐ隣りに川崎がございまして、川崎は神奈川県でございますが、いずれも事業区域はそれぞれ神奈川県、東京都になっておりますが、お客を乗せて事業区域を中心に着発は片ほうは県外に出てもいいわけでございますので、東京のタクシーが神奈川県に出る、また川崎のタクシーが東京都にお客を輸送するという場合もあります。したがいまして、たとえば料金等につきましても、やはり川崎あるいは横浜、東京、そういったものを一応横に関連をつけて考えてみますると、そこに料金等の格差がございますと、やはり監督をいかに厳重にいたしましても、安い料金のものが高い料金の地帯に入り込むといったようなことで、輸送秩序を乱すという場合もあります。そういう意味合いから申しますと、やはり交通事業というものが次第に広域化しているのは御承知のとおりでございますので、できるだけ広い範囲においてこれを監督指導するのが適切ではないか、こういう意味も合わせ考えまして、われわれといたしましては、先ほど行政管理庁長官のおっしゃったような理由ももちろん加味いたしまして、陸運局長の権限にあったほうがよかろうというふうな考えを現状では持っておるわけでございます。それから大きな県等で登録あるいは車両検査等の事務で出先を拡張するとか、あるいは別に出先を設けるというふうな御質問がございましたが、実はわれわれも全く同感でございまして、この車両検査あるいは登録事務につきましては、非常に業務量がふえて参っておりますので、その処理に実は苦慮しておるのでございます。一例を申し上げますと、八年前の昭和三十年に自動車の数が百五十万両で全国であったわけでございます。今日ではその三倍をオーバーいたしまして、五百四十万両くらいになっております。しかし、これらの車について検査登録という業務は、車のふえる数と物理的に全く並行してふえるわけでございますが、この間車が三倍有余ふえましたのに対しまして、これを担当する人員は三割くらいしかふえていないという状況で、一人当たりの業務量が十倍に近くふえておる、こういう状況でございます。したがいまして現在車両の検査につきましては、各県に――東京都は別でございます、四カ所ございますが、普通の県ですと県庁の所在地に一カ所、運輸省の直轄といいますか、直営といいますか、車両検査所がありまして、そのほか県内に出張車検所と申しまして、施設を借賃を出して借り上げをして、そして週一回なりあるいは二回なりということで職員がそこに出張いたしまして、検査をいたしておる、こういうところが二百数十カ所あるわけでございます。こういうことで、この少ない人員でこれだけの増加する車の登録検査をやっておりますので、なかなか手が回わらない。車両検査等は、これは本来サービス行政であるべきものでございますが、なかなかそれがはかどらないということで、毎年実は定員の増加の要求もいたしております。しかし、単純に業務量の増加という理由では増員しないというふうな従来の政府の方針でもございますので、われわれといたしましては毎年ごくわずかの増員の程度で、ほんとうに焼け石に水の程度の増員でがまんしておるわけでございます。職員からは現在われわれ幹部はその点では突き上げられておるような状況でございまして、なんとか仕事の合理化、簡素化をあわせ考えまして、押し寄せて参りますこの業務量を、できるだけ早く公正にさばくという努力はいたしておりますが、現状はそういうことでございますので、出張所なり、あるいはそのほかの機関を設けたいのでございますが、今後の努力に待ちたい、かように考えておるような状況でございます。
  33. 林虎雄

    林虎雄君 今局長さんから承りましたが、私の申し上げたことは、この陸運事務所権限が強大であるというのは、法規的に強大だという意味ではなしに、実質的にそうだということで、陸運局が遠くにありますから、その許可をめぐっての賛否の問題というようなときには、当然陸運局のほうでやるでしょうが、その他の問題についてほとんど知事監督権があって、めくら判を押すような工合に、陸運局長も同じような立場ではないかということを申し上げたわけであります。そこで今お話のありますように、臨時行政調査会がいろいろ検討しておりまして、すっきりした形におそらくなるだろう、しなければならないというお話でありまして、その点もどういうふうに動いて参りますかよくわかりませんが、ただ最後に川島長官に申し上げたいと思いますことは、臨時行政調査会の現在の進行過程を新聞を通じて見る場合におきまして、どうも今の憲法の方向と逆に進んでおるのではないか。地方分権というものを逆に中央集権の方向へ持っていこうとするような感じがいたしておるわけであります。今陸運事務所の問題だけを申し上げるわけでなくて、一般的に国の出先というものを一そう強化するような方向のにおいがするわけでありまして、それらが全くこれからの時代に逆行したやり方ではないかというふうな感じがございますので、この方向についてわれわれも重大な関心を持って見守っていくつもりでございます。地方自治の本旨は、私があらためて申し上げるまでもないわけでありまして、これを強化していくことが正しい時代に即応する方向であろうと思うのであります。そういう点について特に川島大臣の善処をお願い申し上げます。  次に、自動車局長にお伺いいたしたいと思います。各府県個人タクシーの事業者数について資料を要求して出ておりますが、全国で四千八百二十六でありますかのタクシー業者がございます。各府県別についても明らかにされておりますが、この県も、大都市を中心といたしましての県だけでありまして、他の県の、たとえば長野県、山梨県、近県の静岡県にしても全然個人タクシーというものがないわけでありますが、これは許可の方針について何か方針があるわけでありますか。承りたいと思います。
  34. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 個人タクシー許可につきましては、いろいろ方針がございますが、ただいま御質問のような地域によって、この地域はよろしいとか、この地域はやってはいけないという方針はございません。これはただいま主要大都市では個人タクシーを認められておりまして、中都市は一部認められ、認められていないところもございますが、これは個人タクシーというような事業として成り立つかどうか。事業としてやる以上はその点を考えますので、その地域々々の状況に応じて陸運局長が判断をいたしまして、個人タクシーについて十分に事業ができる、個人タクシーを認めました趣旨を十分生かせるというときにおいては、事情を勘案して陸運局長がきめるということになっております。
  35. 林虎雄

    林虎雄君 それでは別に、ここにあります県以外の県で希望者があった場合に、その事業として成り立つかどうかという点が中心で、あとは別に制限はないということでございますね。
  36. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) そのとおりでございまして、一般のタクシー事業の免許基準は一般的には適用にはなりますが、お話の点だけについてはそのとおりであります。
  37. 林虎雄

    林虎雄君 実は具体的な例でありますが、長野県は一人も許可を取っておりませんが、長野県としても、私どもしろうとですからわかりませんが、個人タクシーでも営業が必ずしも成り立たないというところだけではないと思います。そこでタクシー業者に雇われて働いていた人、二十年、三十年というような長い経験を持ち、それから事故等もほとんど起こさない、全然起こさないというような優秀な人があります。ただ年をとって参りますと、雇われておるだけではどうも体もたいへんだというので個人タクシー許可をしてもらってやりたいが、どうもじゃまをされて許可にならない。つまり他の既存業者からどうも反対をされておるのか許可にならないということがありますけれども、そういう点については既存業者の保護といいますか、既存業者の立場ももちろん考えなければならないでしょうけれども個人タクシー許可をもう少し、個人の資格にもよりますけれども、認めていったらどうかという方針を本省のほうから府県のほうへ指示するというようなお考えはありませんか。
  38. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 個人タクシーにつきましては、四年前からこの制度を新しく認めましたのですが、大体いわゆる流しでいたしております地域、流してお客を拾うという地域でなければ個人タクシーというものはなかなか事業として成り立ちがたいというのが一般の傾向でございます。と申しますのは、会社で大ぜいの運転手を雇っております場合と違うのでございまして、一人が車を持ってやるのでございますので、一日八時間以上は労働基準法の関係で働いてはいけないということになりますと、そういう点でいろいろ考えますというと、事実上個人タクシー免許をもらってやっていけるというのは流しの認められているような中都市以上の都市でございますが、そういう都市が最も適当であるということでございます。で、ここでいいます個人タクシーはいろんな年令その他の制限がございまして、今お話のように、長年営業者に雇われて、もう年をとった、自分で家族にもそう心配がないので余世を送りたいというのでやりたいという場合も認めておりますが、現在でも地方におきましては、一人の人が一両ないし二両を持って普通会社と同じようにハイヤー的にやっておるものは別にございます。従いまして、地方におきましては、そういう意味の個人経営のタクシーは認めておりますが、このお話個人タクシーは今のような実情を勘案しながら認めることにいたしておりますが、できるだけ広範囲に、いい制度でございますので認めるように指導いたしております。
  39. 林虎雄

    林虎雄君 今のお答えで大体わかりました。個人タクシーにつきましての許可の方針もどうか実情に即して、他の反対というものも若干その土地においてあると思いますけれども、他の業者の反対ですね。しかし、個人として相当年輩であり、経験もあり、事故もない成績の優秀な者についてはとくに許可して、その人の生業を守ってやることが適当だと思いますので、各府県の方針、陸運局の方針としてもひとつその点を、今後推進を願いたいと存じます。以上で打ち切ります。
  40. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) では、さっきの続きをお願いいたします。
  41. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) それではただいまお尋ねの点だけ要点を申し上げてみたいと思います。  人員の増強、配置転換あるいは交通安全施設整備、装備の強化というような点について特に申し上げておきたいと思います。交通警察に関する要員の増強につきましては、昭和三十四年から三十六年にわたります三カ年計画で一万名増員していただいたわけでございますが、そのうち四千名を交通警察の強化に充てるということにいたしたわけでございます。さらに緊急の措置といたしまして、部内の職員を交通警察部門に配置転換するように極力推進をしてきたわけでございまして、現在全国交通警察官の定員が約一万二千名ということになっております。しかし、こういう配置転換も非常に無理がかかりまするし、またこの一万二千名ではとうてい不十分であるということで、今後二カ年計画によりまして、さらに一万名の交通警察官を増員する方針にいたしておるわけでございまして、そのうち初年度分五千名、二年度分五千名ということにいたしておるわけでございます。  交通安全施設につきましては、三十七年度予算におきまして、総額一億三千万ほどを計上されたのでございますが、来年度予算案におきましては、二億四千五百万というものを計上いたして極力増強に努める覚悟でございますが、なかなか逐年努力はいたしておりますが、この面についてはまだ十全を期しがたい状況考えておる次第でございます。  交通警察用の装備につきまして申し上げますが、機動取り締まりのための白バイ、四輪車等の装備につきましては、今回の交通警察官の一万人増員計画とあわせまして、その充実強化を計画しておるところでございます。白バイは約三千台、交通取り締まり用四輪車は約四百台ということを当面の目標といたしまして、その整備に努力をしておるのでありまするが、三十八年度においては計画の第一年度分として四輪車七十二台、白バイ五百三十七台が今回の予算案に計上されている次第でございます。  その他の点につきましては、もし御質問がございますればお答えいたしますが、あるいはまた書面によって申し上げたいと思います。
  42. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) 他に御質疑はございませんか。――他に御発言もないようでございますから、本案についての質疑は終了したものと認め、これより本案の討論を行ないます。  御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようでございますから、本案についての討論は終局したものと認め、これより本案について採決を行ないます。  道路交通法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。  本案を、原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  43. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) 全会一致であります。よって本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案の審査報告書につきましては委員長に御一任願います。  それでは、委員会は午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十分休憩    ――――・――――    午後一時三十二分開会
  44. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。  初めに、先議案件二件を聴取いたします。まず、消防組織法及び消防団員等公務災害補償責任共済基金法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、提案理由の説明を願います。篠田自治大臣
  45. 篠田弘作

    国務大臣(篠田弘作君) ただいま提案いたしました消防組織法及び消防団員等公務災害補償責任共済基金法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。  まず消防組織法関係につきましては、この法律は、国及び地方公共団体の消防に関する組織、機能についての基本を定めたものでありますが、最近の消防行政の推移と防災における消防の地位の重要性にかんがみ、その一そうの進展を期するため、消防の任務をさらに明確化し、消防庁の所掌事務について補足を行ない、市町村の消防体制の充実強化をはかることとするとともに、都道府県の消防に関する連絡機能を明らかにし、合わせてその他所要の規定の整備を行なおうとするものであります。  次に、消防団員等公務災害補償責任共済基金法につきましては、昨年施行されました災害対策基本法の損害補償に関する規定に照応いたしまして、必要な整備をはかろうとするものでありまして、ここに一括して、両法律改正案を提出した次第であります。  以下この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、消防は市町村の防災活動上極めて重要な地位を有するものでありますが、災害対策基本法の制定等により、防災における最も基礎的な地方公共団体である市町村の防災機関として、その役割も一段と重要性を加えることになりましたので、従来、被害の軽減の一環として運用されておりました災害の防除を消防の任務として明確にこれを規定し、防災活動における第一線消防機関の責務遂行を強く期待することといたしました。  第二は、災害対策基本法の制定に伴ない、同法に基づく地方公共団体の事務で消防に関係のあるものについて、国、地方を通ずる連絡を特に緊密にするとともに、市町村消防に対する技術的な指導、助言を積極的に行なう必要があり、また、市町村の行なう救急業務の法制化に伴い、これに関する諸基準の制定を要しますので、消防庁の所掌事務に必要な整備を加えることといたしました。  第三は、近年の火災発生件数の激増に対処し、市町村における火災予防行政の推進と消防力の充実強化をはかるため、政令で定める一定の規模の市町村には、消防本部及び消防署の設置を義務づけることとし、所要の経過期間を置いてその実現を期することとしたことであります。  第四は、防災における市町村消防の重要性にかんがみ、消防に関する都道府県の所掌事務改正を加え、都道府県は、関係区域内の市町村の消防が十分に行なわれるよう、市町村との連絡及び市町村相互間の連絡協調をはかることを明かにするとともに、市町村相互間における消防職員の人事交流のあっせんをすることができることとしたことであります。  第五は、市町村の消防機関の設置等に関する措置整備し、併せて職制に関する規定の整備を行なう等所要の改正を加えることといたしました。  第六は、災害対策基本法第八十四条は、市町村長等が災害に対する応急措置を実施するため、市町村の住民等をその業務に従事させた場合における死亡その他の事故に対しまして、市町村の損害補償責任を規定いたしておりますが、これについては、消防団員等公務災害補償責任共済差金法による共済の取扱をすることが適当でありますので、これを加えることとし、その他規定の整備をはかることとしたものであります。  以上が、この法律案を提出いたしました理由とその内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。   ―――――――――――――
  46. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) 次に、地方公務員共済組合法長期給付に関する施行法の一部を改正する法律案を議題といたします。  提案理由の説明を願います。篠田自治大臣
  47. 篠田弘作

    国務大臣(篠田弘作君) ただいま議題となりました地方公務員共済組合法長期給付に関する施行法の一部を改正する法律案につきまして提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。  すでに御承知のとおり、政府は、恩給制度について、旧外国特殊法人職員期間の通算増加恩給の子女加給額の引上げ等の措置を講ずるため、恩給法等の一部を改正する法律案を今国会に提出し、御審議を願っておりますが、これに伴い、地方公務員の退職年金制度においても同様の措置を講ずる必要があります。これがこの法律案を提出した理由であります。  次にこの法律案の概要を御説明申し上げます。  第一に、旧南満洲鉄道株式会社等の外国特殊法人職員期間について、外国政府職員期間と同様に、地方公務員共済組合の組合員期間に通算することといたしております。  第二に、公務上の傷病による廃疾年金の最低保障額に附加される扶養加給額のうち、組合員の退職後に出生した子にかかるものを、一人につき二千四百円から四千八百円に引き上げることといたしております。  第三に、地方職員共済組合、公立学校共済組合及び警察共済組合が支給する国家公務員共済組合法の規定による長期給付及び国家公務員共済組合法の長期給付に関する施行法第三条の規定による給付について、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等の一部を改正する法律案による措置と同様の措置を講ずることとしております。  第四に、新共済制度の実施に伴い解散した旧町村職員恩給組合の恩給組合条例の規定による退隠料等の受給者及び恩給組合条例にかかる年金条例職員であった者について、恩給法の改正に準じて同様の措置を講ずることとしております。  以上のほかに、地方公務員共済組合法長期給付に関する施行法の規定について苦干の整備を行なうこととしております。  以上が、この法律案の提案の理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。
  48. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) 両案についての質疑は、後日に譲ることといたしたいと存じます。   ―――――――――――――
  49. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) 次に、昭和三十七年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案を議題といたします。  前回に説明を聴取いたしておりますので、これより質疑を行ないます。御質疑の方は順次御発言を願います。
  50. 鈴木壽

    鈴木壽君 お尋ねをいたしますが、大臣は二時から衆議院の本会議だそうですが、そのあとはいいんですか。また、こちらに来ていただけますか。
  51. 篠田弘作

    国務大臣(篠田弘作君) 参ります。
  52. 鈴木壽

    鈴木壽君 それでは向こうに間に合うまでお伺いいたします。  今回の地方交付税の総額の特例に関する法律案説明の中に、交付税のうち二十二億を特別交付税の額の増額に充てることにして、これはことしの異常な豪雪の状況にかんがみての措置であって、いわば政府の豪雪対策の一環としてやったんだ、こういう説明になっているわけなんでありますが、今回の豪雪によって地方公共団体が当然雪害の復旧なり、その他等においてまかなわなければならない額をどの程度見ておられるのか。そうして、それに対してこの二十二億というのは、どういうところからはじいた額であるのか。これをまずお伺いしたいのでありますが、もし数字的なことでございましたら、大臣でなくてもよろしいのですが、その点をひとつお聞きしたいと思います。
  53. 篠田弘作

    国務大臣(篠田弘作君) 豪雪分といたしまして三十七億を見ているわけでございます。これは三十五年度にも豪雪がございましたが、その当時の交付税が十五億円でございました。今度二十二億を加えまして、特に豪雪分として三十七億を見たわけでございます。
  54. 鈴木壽

    鈴木壽君 地方公共団体のいわゆる被害――直接の責任に帰すべき被害というものをどの程度に見たのか。そうして、この二十二億というものは、この二十二億と合わせて三十七億というような数字でございますけれども、それでは、その数字の根拠は、一体どこからどう出てきたものか、こういうことなんです。
  55. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 被害と申しますと、地方団体から御報告のありましたものの中には、農業関係の被害でございますとか、その他のいろいろなものが合算されてあるわけでございます。ところが、そのうちで地方団体として経費を負担しなければならないと考えられますさしあたっての経費は何かということについて、私ども方面からの資料等を参照して検討いたしたわけでございます。その場合に、第一番目に地方団体が強く要請しておりますのは、道路関係の除雪費でございます。第二番目には建物関係の除雪費、これがほとんど、地方団体側から出て参りました地方交付税の要請の九〇%近くを占めるんではないかというように考えられます。そのほかに災害救助法を発動いたしましたところの災害対策の経費でありますとか、あるいは一部の地域におきましては、屎尿処理関係に要しました経費でありますとか、あるいは連絡等のために必要となった経費でありますとか、というようなものが別にございます。で、総体でどのくらいかというお話でございますけれども、私どもも一応各県の要望はまとめてみたのでございますけれども、これは大小さまざまでございまして、出ました数字の中には、必ずしも一定の基準に基いてと申しますか、お話が来ておるとも考えられませんので、私ども、ここで交付税を算定いたします場合には、各県から出ました別途の積雪量の資料でございますとか、あるいは除雪の回数の資料でございますとか、あるいは道路の現状でございますとか、建物の建坪の面積でありますとか、そういうものを基準にして算定いたしておる次第でございます。
  56. 鈴木壽

    鈴木壽君 二十二億を加えた三十七億円というのは、自治省一つの基準に照らしてこれだけの交付をすればいいんだ、こういうことの数字だ、こういうお話でございますね。
  57. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) そのとおりでございます。ただ、各県からの御要望の中には、さらに道路が除雪したあとで損傷した、そういったものの補修というようなものを、相当額御要望がございました。ただ、私ども、実際いろいろお話を聞いて参りますと、現段階においてはまあこれだけあるであろうという推定であって、今直ちに砂利を入れるとか、そういう砂利を入れるのにどれだけかかるかという見込みも、もちろんはっきりいたしませんし、また、現実の問題として毛、砂利を取る川は雪で埋まっておるというようなことで、現実に仕事も現段階ではできない、が将来このくらいの問題があるであろうというような、われわれの注意を喚起すると申しますか、そういうような意味でお出しになっておる部面もございますが、今回は一応建物、道路の除雪関係を中心にいたしまして、そのほかの諸対策費もかかるであろう、その中には、今申し上げました多少の小修繕的なものも含めて計算いたしてございますが、なお、道路の損傷等の問題につきましては、今後の調査に待たなければ正確なものは出てこないのではなかろうか、かように考えております。
  58. 鈴木壽

    鈴木壽君 お話大体わかりましたが、私は、特交として今回特に地方団体に対する雪害対策の措置として交付した三十七億の額、また特に、ここの説明にありますように、二十二億の額を特別に豪雪対策としてこの増額に充てるのだ、こういう説明でありますから、その際に、地方団体のいわゆる被害がどの程度であり、直接地方団体がどの程度負担をしなければならないのか、こういうような額を一応押えて、一〇〇%でももちろんないでしょうけれども、ある程度の財政的なそれを見てやろう、こういう点から三十七億という額がはじき出されたのじゃないだろうか、こういうふうに思ったものでありますものですから、それでそこをお聞きしてみたわけなんであります。私は、何もここの数字をどうのこうの、それが妥当であるとか妥当でないとか、あるいは、あなたがあとで述べました道路の損傷とか、そういういわば将来にわたるようなものをどうのこうのというのじゃなしに、全体として市町村がどの程度、負担しなければならない額というものを見たのか。そのために、三十七億というのはいわば何割ぐらいに当たるのか、その配分の基準がどうなのかということ、こういうことを実は聞いてみたかったのであります。それは、いわば豪雪対策という、一昨年だったと思いますが、あのときから特にやかましく論議されてきておりまして、ほっておけない状態だという、そういうことから、これは当然政府としてもやってもらわなけりゃならぬことだと思っておりまして、幸い――幸いといいますか、今回こういう金が出た、こういうことにつきましては、私根拠になるようなものがあったらお示しいただきたいと、こういう意味であったのであります。
  59. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 個々の団体ごとには、先ほど申し上げましたように、私どもの目から見まして、必ずしもバランスがとれていないのではなかろうかという報告もないわけではございません。しかし全体として見ますならば、今申し上げました道路関係、建設関係、あるいはそれに関連をします諸対策に要します経費というものは大体四十億前後になるのではないかというふうに私ども推測をいたしておるのでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、いろいろなものがまじって出てきておりますので、必ずしも出した団体によって内容が同一ではございません。あるところは道路の補修費を今後の分も全部見込んで相当巨額に入れてこられたところもございます。またその他の面においても、かなり将来まで見込んでこれだけ要るということをいってこられたところもございますが、今申し上げましたようなものを中心にして考えれば、大体この程度ではなかろうかというふうに考えております。ただ問題は、県と市町村との間の重複の問題、あるいは国と県との間の重複の問題というようなものも多少ございます。たとえば積寒道路につきましては、積寒道路法によって国が三分の二の補助をするというものを見込んだ上での要望を出しておられるところと、そういうものは一応除外して要望を出しておられる、あるいは市町村の御要望にいたしましても、県道あるいは国道についてやったという実績を基礎にして要望されておりますところと、それは県からあとで出してもらうのだから当該市町村道についてのみの分はこれだけだという要望を出しておられるところ、いろいろございますので、一がいにその出ました数字でもって断定をすることは困難でございますけれども、大体いろいろなお話を聞いていると、道路、建物等の除雪を中心としてその他の諸対策費を含めたものは、さしあたってはこの程度ではなかろうかと、こういうふうに考えております。
  60. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうすると、大臣にお聞きしますが、政府が今回のいわゆる豪雪対策として地方団体に、金の面でね、いわゆる財政的な、財政の面で手当をしたと、そういうのは、この今の特交のこれ以外にどういうのがあります。
  61. 篠田弘作

    国務大臣(篠田弘作君) これ事務当局に説明さしてもらいたいと思います。
  62. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) ただいま政府におきましては、全体的な対策をどういうふうに進めていくか、なお検討中の段階でございますので、具体的にどういうものについて幾らということは、私まだ承知いたしておりませんが、ただ聞くところによれば、積寒道路法に基づきます道路関係の除雪費として二億ないし三億円程度のものを予定しているやに建設省から承っております。
  63. 鈴木壽

    鈴木壽君 今の、その建設省が出す直轄道路の除雪費というのは、いわば国道のそれでしょう。
  64. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 国道のほかに、積寒道路法によって指定されておりますいわゆる積寒道路につきましては国が三分の二の補助をする建前に一応なっておりますので、その分が含まれていると考えております。
  65. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうすると、大臣、そのほかにあなたの、大臣として、国の今回の豪雪対策という面から地方団体にその手当をしなければならぬというようなのは、そうすると、今の松島さんの話の積寒道路の二億ないし三億、それと今の特交でやったこれ以外にはないわけですね。
  66. 篠田弘作

    国務大臣(篠田弘作君) 私と大蔵大臣との間の話し合いで、これはもうほんとうの二人だけの話でございますが、まあこれで足りない場合には両大臣相談の上で考えようということにはなっておりますけれども、今まで出した、あるいは出そうとしている分は今申し上げたとおりでございます。
  67. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうだとしますと、私、政府がまあ豪雪対策についての対策としては、政府の豪雪対策として、地方団体にもめんどうをみてやろうとか、あるいははその他のいろいろな問題について措置しなきゃならぬと、こういう対策の一環としてこれは考えていいわけですか。いかがです。
  68. 篠田弘作

    国務大臣(篠田弘作君) もちろんそのとおりでありまして、政府としましては過去の豪雪の例を参照いたしまして、これでできるという考え方でおるわけでありますが、しかし、万が一これでは足りないという場合にはひとつ大蔵大臣と私とで協議をしようと、話し合いをしようということは申し合わせをしておるわけでございます。
  69. 鈴木壽

    鈴木壽君 さっそく大臣に大蔵大臣と話をしてがんばってもらいたいと思うのですが、というのは、これは変な言い方のようになりますけれども、これは政府地方団体に対してやる豪雪対策手当としてはおかしいのです、これは。自分の交付税の増額された分が二十二億プラスしてですよ、これは特交でも、今までもみておりました特交のワクの中で見ておったことについては、これは当然だと思うし、特別の事情の場合には出ます。今度増額になった補正によって、二十二億というものを特交にぶち込んでやる、これでもって政府地方に対する今度の豪雪対策措置としての一つ政府としての対策だと、めんどうみてやるのだと、こうなるとおかしいことになると思うのですよ、私は。やっぱり特交なり今のやった交付税は、もともと自分たちの地方団体の金ですよ、これは。それを、こういうような事情によって、一部の区域の豪雪地帯に対して、そういう地方団体に対してやると、それだけで政府の豪雪対策だとか、地方に対してめんどうをみてやったというようなことになると、これは私はおかしいと思うのですね。私は出したことは、特交として配分したからそういう事情としてはよろしいが、これでもって政府の豪雪対策だと、地方自治団体に対するそれだということになりますと、私はちょっと聞こえない話だと思うのですね。
  70. 篠田弘作

    国務大臣(篠田弘作君) 実はこの交付税の百二十二億というものを大蔵省では明年度に繰り越すという案を持ってきたわけであります。しかしながら、それを全部みんな繰り越されてしまったんでは、もし二百九十三億というあの特別交付税でこの豪雪関係が処理できないという場合は非常に困るというので、私が閣議で発言をいたしまして、そのうちの二十二億を今年度支払う、豪雪のために支払う特別交付税に回したいということで実は回したわけでございまして、もとはこの二十二億も明年度繰り越しという大蔵省の原案であったわけです。
  71. 鈴木壽

    鈴木壽君 それはまあ話はわかりました。大臣がそういう閣議において発言をして、二十二億の特別交付税の中で豪雪対策をやらせようと、その意図はわかりましたが、それは、国が地方自治団体に対して今回の豪雪によっての被害がいろいろありますが、それを特別にいわゆる豪雪対策としてみてやる性質のものじゃないのじゃないか、こういうことです、端的にいえば。これは地方団体の相互共済制度みたいなものです。自分たちのワクの中からそっちへ分けてやって、そうして豪雪対策だといって、各団体がそれで何とも言わないからまあいいようなものの、政府の私は豪雪対策としてはおかしいのじゃないかと、こういうことなんです。別に私は金を出すべきじゃないかと、こういうことを言っている。
  72. 篠田弘作

    国務大臣(篠田弘作君) これは私、あんまりそういうことをよく知らないから、間違っていたらあとでまた取り消しいたしますが、これは政府としましてはやっぱり農林関係は農林関係、あるいはまた建設省関係建設省関係として、豪雪対策費は別に出しておるんじゃないか、そういうように私考えます。違っておったらあとで訂正をいたします。
  73. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) ただいまお話のございました問題でございますが、たとえばこの豪雪によって融雪時に災害が起きるとか、あるいは現在においてもなだれその他によって災害がすでに生じている。こういうものの復旧の問題ということになりますと、当然公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の適用があるわけでございます。またそれにさらに激甚災害法の適用というような問題になりますと、国庫補助のかさ上げもさらにその上に行なわれる、こういうふうな手続が進められるものと考えております。また農林災害等につきましては天災融資法の発動の問題でございますとか、そういった資金手当の問題も別途講ぜられることを考えております。したがいまして、今特別交付税をもって措置いたしましたものは、さしあたって道路の除雪あるいは建物の除雪、あるいはその他地方団体が早急に行なわなければならない地方団体の負担に属すると考えられます対策に要する経費に充てるために特別交付税を配分をいたしたわけでございまして、それぞれの制度に従ってなお講ぜらるべき対策は、各省において検討せられておるところでございます。
  74. 鈴木壽

    鈴木壽君 松島さんのおっしゃることはわかるのですが、私の言うのは特別に新たに政府が何かの措置をして、金を出してやって交付税を食わなきゃいいということですよ、端的に言えば。それなら政府の豪雪対策として地方にもこういうふうにめんどうをみたと、こういうことが言えると思うのですよ。そして、それをそうしないで、たまたま補正があって百二十二億を翌年度に繰り越すという大蔵省の考え方があったんだが、その二十二億をとって豪雪対策費にしたんだ、これでは国としてのいわゆる市町村に対するめんどうをみたということじゃないじゃないか、特交のワクの中にある金を幾ら……、今まできまった特交の中にある金は十五億ですか、使ったということになると思いますが、そういうことは私文句を言ったり、けしからぬと言ったりするんじゃなくて、これはいつかはあれですよ、地方団体にいく金ですもの、配分しなきゃいけない金ですものね。当然それは配分の基準とか何か別になるかもしれませんけれども、それを今豪雪対策だといって市町村に、一部の市町村に分けてやって、これで政府の豪雪対策だなんて恩を売るような考え方はおかしいんじゃないかと、こういうことです、端的に言うと。それは私実は事務的な、失礼ですけれども、あなた方をどうのこうの言うのじゃない。私は政府大臣として、いわゆる政府の雪害対策としておかしいんじゃないかと、こういうことを私は大臣からはっきりさしてもらいたかったのです。あなた方の配分の仕方が悪いとかいいとか、そんな問題じゃなくて、根本的にこういう問題に対する政府措置というものはおかしいんです。
  75. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 従来からも、災害の際に国がどれだけ持つかということにつきましては、災害復旧に関します各法令、あるいは激甚災害の場合には特別の法律によって国の持ち分をかさ上げにしていくとか、そういった措置が講ぜられてきたわけでございます。なおその場合でも、地方の負担が残る、その地方の負担等を勘案をいたしまして特別交付税を交付してきたわけでございます。したがいまして、この部分に関する点で申し上げまするならば、特別交付税は地方団体の総体としては財源でございますから、先生御指摘のとおりに災害があろうとなかろうと、地方団体へいずれは交付さるべきものでございますけれども、そのうちその災害に関しまする部分については、いわば地方団体相互の連帯――何と申しますか、連帯の救済と申しますか、というような意味も含めまして特別交付税の配分が行なわれてきたわけでございます。したがいまして、今回の措置もそれにならったものでございまして、特別にこれを出すことによって国費をどうする、こうするという問題ではないと考えております。
  76. 鈴木壽

    鈴木壽君 あの、私実は大臣、先ほどから言うように大臣にもっと聞きたいのですけれども、特交の中にたとえば従来こういう豪雪がなかった場合でも、災害のために市町村にも都道府県にも公共施設部分の何パーセントかを見るというようなことがあります。そのほかに災害なんかあった場合には特別な需要も出てくる。そういうことで特交で見てやっておりますね、私はそれはそれでいいと思うのです。私はそれを否定するのではないのですから、特交という三十七年度のワクの中で今言ったようなことなり、あるいは特に豪雪によっていろいろ響きますが、それを見てやりますことはけっこうだし、ぜひやってもらいたいと思う。それをいかにもよそから金を持ってきたようなことをして、実際はどこから持ってきたかというと、特交から持ってきたというようなことになると、私はおかしいと思う。しかも国が黙っているならいい、市町村にも十分手当をするようなことを言っているでしょう。じゃ何で手当をしたかというと、自分の金を自分で使わせて市町村に手当をしてやった、そんなばかな話はないと思う。だから二十二億をもっと必要だった、今回今まできまった中の特交では配分が不足になるし、二十二億をもっとプラスしなければならぬ、二十二億をどこからか国が別途措置して持ってくるなら何とも言いません。それを交付税がたまたま補正のために増額する増額分の二十二億を持ってきてやって、国が見てやったという考えはおかしいのだ、こういうことなんです。間違っていますか、私の言うのは。
  77. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 先ほど申し上げましたように、国が見てやったという考え方を少なくとも私は持っておりません。いずれは地方団体に交付ざれる財源の中で、相互にこれだけのものを災害地に優先的に配られたものというふうに考えております。今御指摘の二十二億を別ワクで云々という問題がございますが、現在の交付税法――御審議をいただいております特例法案を出さなければ、現在の交付税法のもとにおいては百二十二億全部が特別交付税に繰り入れられる性質のものでございます。そのうちのいわば二十二億というふうに考えますならば、必ずしもそれだけを、何といいますか特に私取り上げたのだということにはならないのではなかろうかと、こういうふうにも考えられます。
  78. 鈴木壽

    鈴木壽君 当初から、私あなたとやるつもりはなかったけれども、今まで政府はこういうことを言わなければ私何もこんなに問題にしません。雪害対策を十分やる、政府も金を出してやるし、市町村にもめんどう――めんどうという言葉そのままではなかったけれども、市町村にも十分やるということを言っておいて、それならば何かと思ったら二十二億をこういう格好でやるというからおかしいじゃないか、こういうこと、端的に言えばそうなんです。私は二十二億を国が別途に出してやるなら何も文句は言いません。
  79. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) かぜを引いておりますので、お聞きとりにくいかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。今の話を聞いておりますと、今度のような豪雪の場合に国の負担に属する部分が少な過ぎるのではないかという懸念を持っておられるのではないかと、私思うのでございます。事実私どももいろいろ検討いたして参りました。この間激甚災害の場合の援助の法律が成立いたしたわけでありますが、あの法律の規定によりますと、激甚災として指定された場合には、水がたまる、たまった水を排除する場合に国が援助することになる。しかしながら大きな雪が降った、この雪を町の中から放り出さなければならない。その場合にどうするかという規定が入っておりません。要するに、地方の負担に属する部分について金が要る場合には、足りない団体に地方交付税で補てんをしていく。これが現在の建前であります。国費の負担に属する部分につきましては国が直接金を出すなり、あるいは地方団体に補助をしていくわけであります。豪雪の場合にどの部分が地方の負担に属し、どの部分が国庫の負担に属するか。ほとんど大部分、現在のままでは地方の負担に属してしまっているわけでございます。先ほど松島君がお答え申し上げましたように、積寒地帯における交通を確保するために、道路の除雪について特別の援助措置をきめているだけのことでございます。その部分につきましても指定道路について国が三分の二を補助するわけでございます。その部分についての国の補助が先ほど話にございましたように、わずかに数億円にとどまっているわけでございます。ほかの道路にいたしましても、あるいは屋根からの雪おろしの問題にいたしましても、現在みな地方の負担になっておりまして、未曽有の豪雪と言われる場合におきましても、特別に国がどうするという規定がないわけでございます。かりに今度の豪雪につきまして、激甚災として指定されましたところで、天災融資などの融資面についての特別措置が国から講ぜられるだけでございまして、現在の地方の負担が軽くなるという規定が一つもないわけでございます。これはやはり私は今後大いに検討ざれなければならない問題だと思います。国費と地方負担区分から検討していかなければならない問題でございます。現在のところ、それができませんので、ほとんど現在地方の負担になっております。地方の負担になっておりますから、これを財源の足りない団体に補いますためには、地方交付税を用いるよりほかないわけでございます。したがいまして、国といたしましては、特に特別交付税を増額しようという措置をとったわけでございます。根本的に問題がないわけではありませんので、われわれ今後大いに検討しなければならない問題だと考えております。せっかく激甚災害に際しましての国の特別援助の法律ができましたので、今度のような未曽有の豪雪について、激甚災として指定ざれたものについて、ほとんど国からの援助をもらえないという格好になっております。したがって、こういう際におきましてはどういう措置をとるか、われわれとしては、今後さらに検討していきたい。ただ、今の法律の建前からいいますと、もっぱら地方費の負担になっておりますために、特別交付税を増額するというような措置をとったのだ、こういうようなことでございます。
  80. 鈴木壽

    鈴木壽君 建前は局長が今おっしゃいましたように、大体私もわかりました。それで当然の地方負担分、負担区分からいって、いろいろ問題があるけれども、ともかく現在はみな地方の団体の負担にさせられている。こういうようなことから、やはり私の言っている気持があるのであります。ですから国が豪雪対策をやるといっても、そういう格好の、いわば不合理な、一例を言えば除雪費の問題も、国道なりを、いろいろそういうような地方費の負担においてどんどんやらざるを得ない。こういう問題も一つの問題として私は提起されなければならないと思いますが、ともかく、そういうものを市町村のそれだけの負担にまかせておいて、しかもその場合の手当は交付税からやるということは、私はどうもこういう場合の対策としてはおかしいじゃないか。こういうことを私は実は結論としてあなたと同じように言いたいわけなんですよ。だから市町村なり地方団体に対し、国が十分の措置をとるなんと言わなければいいものを、いかにもこういう金を出すことが国がやったんだ。国が財政援助をしたんだ。財政措置をしたんだというようなことでやっておるものだから、私はそれじゃ少しおかしいじゃないか。こういうことなんであります。  その問題は一応これでやめますが、実は大臣に今回のこの繰り越し措置について、私自身としては大事な問題だと思いますので、大臣からぜひひとつ答弁していただきたいと思っておりましたが、いかがでございますか。大臣はしばらくおいでになりませんか。
  81. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) あと五、六分で本会議が終わるそうです。本会議が終わったら。
  82. 秋山長造

    ○秋山長造君 これは字句のことですけれども大臣の読み上げられた提案説明の二ページ目に「明年度への繰越額は百億円程度にとどめる」ということが書いてあるんですが、この法案のほうは「百億円以内の額」と書いてあるんですが、これは「程度」と「以内」というのは同じことですか。
  83. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 同じ趣旨で書いてございます。
  84. 秋山長造

    ○秋山長造君 「程度」というと、百億円を多少こえても「百億円程度」になる。「百億円以内」といったら絶対百億円をこさぬ。「百億円程度」といったら大体百億円くらいの見当で多少前後するという意味が含まれておる言葉じゃないですか。そうじゃないですか。
  85. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 法律のほうが「百億円以内」と書いてございますが、実際上の措置といたしましては、ただいまのところ百億円にいたしたいと考えております。
  86. 秋山長造

    ○秋山長造君 そうすると、実際には百億円を多少はみ出すということもあり得るということが含まれておるんですか。
  87. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 法律上は「百億円以内」でございますから、しいて言えば九十五億円でも八十億円でもいいということになるわけでございます。法律のほうは「以内」でございますので、こえることはできません。
  88. 鈴木壽

    鈴木壽君 それじゃ大臣が来るまで多少確かめておきたいのですが、給与改定に要する費用の見込み、全体としてこれは幾らでございます。交付税の算定をした場合の。
  89. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 交付団体、非交付団体、府県市町村を通じまして三百十七億円でございます。
  90. 鈴木壽

    鈴木壽君 第一次補正で百十六億の補正がありましたが、そのうち普通交付税のほうでは百四十七億ということになると思いますが、そうしますと百四十七億をやってなお不足なのは、あとで見ると、今度第二次が出てきましたから当然第二次のそれでいいと思いますが、三百十七億のうち交付団体分幾らでございましたか。
  91. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 交付団体分の需要の増加が二百三十億円でございます。そのほかに法人の、分割法人といわれますものにつきまして再算定をその後やっておりますので、その分の収入増が十六億円ございます。したがいまして再算定の結果、交付基準額が二百十四億円の増となっております。二百十四億円のほかに八月の算定をいたしました際に、交付税が不足をいたしましたために調整をいたしまして減額いたしておりますものが四十一億円ございます。この分を戻しますと合計で二百五十五億円の普通交付税が必要になる。こういうことになりますので、この額を追加交付いたしたい。かように考えておるわけでございます。
  92. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうしますと、交付団体分が二百三十億、そのうち第一次補正で百四十七億ですね。八十三億不足だ。それから法人税関係のやつの再算定の結果十七億減ったというのですか。
  93. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 十六億円でございます。
  94. 鈴木壽

    鈴木壽君 十六億円、そうすると、これは十六億差っ引いていいわけですね。六十七億、それに四十一、億加えますと百八億。百八億あれば交付団体に関する分は間に合う、こういう格好になりますか。第二次分のほうです。
  95. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 百八億円でございます。
  96. 鈴木壽

    鈴木壽君 百八億円でございますね。そうすると、百八億円必要で、さらにいわゆる豪雪対策分として二十二億特交のほうへ繰り入れしたと、その差額、今回の第二次補正で出た差額を次の来年度に繰り越し措置をする、数字的に迫っていくとそういう格好になりますね。
  97. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) そのとおりでございます。
  98. 鈴木壽

    鈴木壽君 ちょっと数字が合わなくなってきたな、そうすると。
  99. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 百八億円に対応する特別交付税を九四対六の割合で一応引きまして、その上で二十二億を加えていただきますと数字が合います。
  100. 鈴木壽

    鈴木壽君 あなた方百八億なり、それからそれに対応する特交分というものを合わしたものを差っ引いてと、こういう計算をしたわけですね。
  101. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 全体について申し上げますと、昭和三十七年度の当初の交付税の額が四千五百七十九億円でございます。第一次補正で百五十六億円、第二次補正で二百三十七億円追加になりましたので、合計いたしまして四千九百七十二億円と相なります。これに対しまして、先ほど御説明申し上げましたように、再算定をいたしました結果、普通交付税が二百五十五億増加いたしますので、八月算定分と合計いたしますと、普通交付税の額が四千五百五十九億となります。これを九四%とおきますと、これに対応します六%の額が二百九十一億円でございます。特別交付税と普通交付税をこの点で合計いたしますと四千八百五十億円となりますので、四千九百七十二億円から差し引きますと百二十二億円ということになります。そのうちの二十二億円を本年度内に特別交付税に加算して交付することといたしたいと考えますので、再差し引き百億円と、こういうことになるわけでございます。
  102. 鈴木壽

    鈴木壽君 いただいた最後のこれは今のお話の数字でございますね。そこで、そういう計算の仕方とことしの当初並びに第一次、第二次の合計が四千九百七十二億円、この総額から九四対六、こういうふうにはじき出すのが普通やるやり方じゃございませんか。そうすればあとはじき出ざれた普通交付税と特交の間でどう使うかということが、普通の特交のほうの計算ではそういうふうになるのじゃないのですか。頭からこれだけ余りそうだからこれだけ残すというところにひとつ私は問題があるのじゃないかと思うのですがね。私の計算によれば四千九百七十二億円の九四%というのは四千六百七十四億円ある。特交が二百九十八億円ある、六%にしましてですね。このたとえば給与改定に必要な額とか、こういうものは当然これは基準財政需要額の中に入ってくる金でございますから、普通交付税の中で、四千六百七十四億円の中であれこれ操作すべき金であって、何か総額、必要な額、これに対応する特交はこれだと、したがって百二十二億は余るのだと、こういう計算の仕方というのはちょっと工合が悪いのじゃないかと思うのですが、どうです。その年の交付税の総額の九四%が普通交付税であり、六%が特別交付税であると、こういうふうな規定がありますね。そうしますと今私の言ったような分け方で、その範囲の普通交付税あるいは特別交付税の中で、種々いろいろな操作をやるべきじゃないかと思う。結果的に大した額は違いません。違いませんが、そういうようなことがあたりまえじゃないだろうかと思うのですがね、そこら辺、私の言うのは間違っていますか。
  103. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 大体同じようなことだと思うのですけれども調整率をかけないようにしようと思いますと、財源の不足額をまず出します。財源不足額の合算が、これが九四%に当たる普通交付税の分でありますので、これの九十四分の六が特別交付税だ、こうやりまして所要の交付税の総額をまずはじき出してしまう。これを越える分が百二十二億円だというふうな計算の仕方をしたわけでございます。調整率をゼロにするという方法は、さしあたり普通交付税相当分をまず算出する。そうしてそれの九十四分の六%、これが特別交付税の額、合算した額が所要の地方交付税だ、こういたしますことが一番計算が的確にできるのじゃないか、こう思うわけでございまして、そういう方法をとったのでございます。
  104. 鈴木壽

    鈴木壽君 昭和三十七年度普通交付税の配分で、さっきもお話がありましたが、四十一億の調整がありましたね。補正の場合にはここ二、三年調整は戻しておりますからね、金があるときには戻しておりますから、それを補正の額の総額からまず一たん調整額として戻す、こういうやり方が一つあると思うのです。あるいはその調整の戻しを普通交付税と特交と総額において九四対六に分けたあとに、これはどうせ普通交付税のほうの調整減額分ですから、戻しは普通交付税のワクの中で戻すということもこれは理屈としてはあるのじゃないかと思うのですが、そういうふうなことを、私が今、あとで申し上げたようなことをするのがこの交付税の、普通交付税、特交の扱いとしてはそれのほうがいいんじゃないか。大した額は違いませんね、これは。私は額は違わぬと思いますけれども、何かそういうようにすることがいいんじゃないかと、こういうふうに感ずるのですが、その点どうですか。
  105. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 先ほどもちょっと申し上げましたように、調整率をゼロにしようと思いますと、四十一億円ふえただけは完全に戻せないわけでございます。四十一億円プラス四十一億円、掛ける九十四分の六という特別交付税分もそれに加算されませんと、それに見合います従来の財源不足額を完全に消していくということができないわけでございます。四十一億円はあくまでも普通交付税分でございますので、四十一億円とこれに対応する特別交付税の額とがふえていきませんと、完全に従来の財源不足額を解消するということはできなくなるわけでございます。といいますのは、まず総額を九四%と六%とに分けまして、その九四%が普通交付税分ということになるわけでございます。したがいまして総額四十一億円がかりにふえましても、九四対六で割って普通交付税を出すわけですから、四十一億円分から九四対六で振り分けられますので、普通交付税に回わります分は四十一億円まるまるは回わらないわけでございます。四十一億円の分が普通交付税にいく分と特別交付税にいく分とに分かれてしまう。したがいまして財源不足額を完全に解消しようと思いますならば、四十一億円プラス・アルファの地方交付税がふえなければならない。もっと正確に言いますと、四十一億円掛ける一プラス九十四分の六という額がふえなければならないということでございます。
  106. 鈴木壽

    鈴木壽君 なるほど、あれですか、こういうふうに、間違いでしたね、そうしますと。調整というものは、いわゆる普通交付税の配分の際に、これは当然九四と六との比率に分けた九十四での普通交付税の配分の際に、総額においてかりに四十億なら四十億不足になった。だから、ある一定調整率を――調整率の出し方もありますが、掛けてそれだけ減額してやっているんだ。そうして、もし補正等の機会があって、埋めるだけの金がそこに生じた場合には当然それをまた戻してやるんだ。こういう普通交付税のワクの中の操作だと、こう思っておったんですが、そうじゃないんですか。
  107. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) そうじゃございませんで、まず九四%、六%、普通交付税と特別交付税に分けるわけでございます。九四%分の普通交付税が足りなかったから、結局調整して四十一億円だけ削らなければならなかったわけでございます。したがいまして、四十一億円に見合う特別交付税分というものはその際にはないわけでございます。したがって、完全に消そうとすると、四十一億円プラス・アルファ、特別交付税分がないと完全に調整率ゼロという姿にはならないと、こういうことでございます。
  108. 鈴木壽

    鈴木壽君 ただ、その場合、あなたのおっしゃることはわかりましたが、私の考えておったこともそんなに間違いじゃないと思います。そこで、今回のような場合、相当多く繰り上がっていくわけです。普通交付税そのものを九四と六に分けた場合、交付税のことを考えなくても、普通交付税のふえたワクの中で、四十億なり四十一億なりというものは十分操作できますわね。それに対応して――対応してじゃなくて、総額としては特交のほうももちろんふえておる、こういう中でやるんですから、いわゆるプラス・アルファというような問題は、今回は考える必要ないじゃないですか。もう一度申し上げますよ。これは、こまかいようなことではなはだ恐縮でございますけれども、私さっきも申し上げましたように、私の今まで考えておったことがもし間違いであれば、この機会にはっきりさしたいと思って申し上げるんですが、四十一億ことし不足でいわゆる調整をした。これは普通交付税の配分の際に、それだけ足りなかったからそういう措置を講じた。ここまではいいわけですね。それから今度補正になった。四十一億どころじゃない、たくさんの補正のために出た額がありますから、そしてそういうものを普通交付税、特別交付税として分けた場合に、普通交付税のそれもしたがってうんとふえておる。四十一億は特交がどうのこうのというふうに言わなくとも、ふえた普通交付税のワクの中でまかなえる額だ。だから、当然その中でまかなっていいんじゃないか。その場合、今回のような場合、それに対応する特交令も百分の六あるから、それがなければどうのこうのということは、今回そんなことは考えなくてもいいんじゃないか。
  109. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) お話のとおりであります。御承知のように、総額の九四%が普通交付税ですから、今度の普通交付税だけでもって財源不足額を完全に補てんして、なお百億以上のものが余るわけでございます。余りましたものは自動的に特別交付税に加算されるという現在の建前になっているわけでございます。加算されるものは全部送りたいという建前で考えましたのが百二十二億円の翌年分への送りの残、しかし、いろいろな事情からみて、二十二億円だけはことし使って、特別交付税の額を変えようと、こうしているわけでございます。
  110. 鈴木壽

    鈴木壽君 今の問題はそのくらいにしますが、私もわかったと思うのでやめます。  そこで交付税の総額を普通交付税分、特別交付税分とに分ける。その分ける率は、先ほどから何べんも出ておる率のとおりであります。それで勘定しますと、四千六百七十四億円の普通交付税と二百九十八億円の特別交付税になる。この場合に、余るとか余らないとかいう問題は、これは普通交付税の場合ですね。特交も従来のような分け方をし、そうすればこれは若干余るかもしれませんが、とにかくそれは法律によらなくてもやれる道があるんですから、法律できめられたそれは四千六百七十四億円の普通交付税の中できまったルールで配分をすべきなんです。全部私はそういうことで処理していけばいいと思うんです。
  111. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 先生のおっしゃることも一つ考え方かと存じますが、繰り越しました、たとえば今年度で申しますと、百億円につきましては来年度交付税の総額に合算いたしますために、来年度になりますとさらに百億を九四対六の割合で分けていくわけでございます。そういたしますと、普通交付税で残額が出たという形をとって、それを全部繰り越すと、本来普通交付税を繰り越した、交付税全体を繰り越ししたんじゃなくて、普通交付税のみを繰り越ししたということになりますので、来年度九四対六の割でさらに分けるということも法律的にも多少問題が起きてくるんではなかろうかという事情も勘案いたしまして、ただいま提案をいたしましたような措置にいたしておるわけでございます。
  112. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうだろうと思うんですよ。あなた方は最初から繰り越すことを予定しておりますから、私はそれはけしからぬという気持がまずそこにあるわけです。だから、もしどうしても繰り越しをしなければならぬ場合には、これは特別の措置ですから、今あなたのおっしゃるような、その中に普通交付税もあり特別交付税もあるというような繰り越し方をしなくて別途の措置をとるべきじゃないか。まず、きめられた特別交付税のワクの中での操作をやって、普通交付税がかりに百億なら百億余った、一体これをどうするか、繰り越すとすればいかなる方法で繰り越すか、こう考えていかなければいけないんじゃないですか。あなたのおっしゃることはわかりますよ。しかし、それは繰り越しを前提にして来年度の配分のことを考えると、九四と六ということを予想しながらこれはやらなければいけない。だから、それをいつも繰り越しを前提にした考え方じゃいけないんじゃないか。まず、普通交付税の中で配分をどうするか。今言ったように、どうしても余ったと、配分のしようがないと、そこで今言ったように百億なら百億という普通交付税で余ったとするならば、一体これをどうするかと、場合によっては繰り越ししていいでしょう。しかし、繰り越しの場合は、普通の例の特交として入っておる。総額として繰り越すのじゃなくて、普通交付税の余った分の繰り越し措置として別途に考えないといけない。これは精算分じゃないんですから。普通交付税の配分において余ったから、今配分しちゃ困るだろう、配分する手はないだろう、こういうことでしょう、結局は。私はそこに考え方が少しあなた方と違うんですがね。
  113. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 先生のおっしゃるようにいたしますと、特別交付税の額が若干ただいま申し上げました二百九十一億を前提にいたしますと、それより若干ふえて参ることになります。その分だけ普通交付税から現在交付予定をしています分を差し引いた額が減るわけでございます。計算いたしますと、結局百十五億ということになります。したがいまして、今回は、しかしそのうちのさらに百億以内ということにいたしておりますので、かりに百億ということを前提にいたしますと、この場合は十五億だけことし特別交付税にさらに加算するというような格好になっているわけでございます。もちろん百億を繰り越すことを前提として考えること自体については、また御意見があろうかと思いますけれども、かりにそういう前提をとりますならば、十五億だけ特別交付税に加算する、こういうことになろうと思います。結果といたしましては本年に関する限りはそういうふうにいたしますれば同じになるのじゃないか、こういうふうに考えます。
  114. 鈴木壽

    鈴木壽君 私も、今の問題は繰り越しすることを前提にして考えていった場合には、あなたのおっしゃるようなことは、私はうそだとか何だとか、間違っているのだということを申し上げるのじゃないのです。少なくとも繰り越すことを前提にして考えていくべきものじゃないのじゃなかろうか。繰り越しは最後になると、余った金をどうするかというときに、場合によっては繰り越すということもあるとすれば、それはそのときによって特別な一つの事情によって出てきたものをどうするかということは、その点において考えればいい。何べんも申し上げましたが、普通交付税の配分が余った、財源不足額を満たしてなおかつ余った。もう年度末だから、今から分けようもないじゃないか、分けてもらっても自治体も困るじゃないか。これはいろいろな考え方があると思いますから、そのときに一体どうするのか。しかも余ったものは普通交付税としては余っているのですから、これを繰り越す場合には、普通交付税として使うような一つの特別措置、特別立法でも私はやらなければいけないのじゃないか、こういうことなんです。それをはなっから繰り越すことを前提にして考えて、その総額からその額を差し引いてあとに普通交付税は何%、特別交付税は何%と、こう逆に持っていくことはおかしいのじゃないか、こういうことなんです。交付税の建前からするとおかしい。その点どうです。
  115. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 鈴木さんのようなお考え方もあり、政府が従来とっているような考え方もあるということだと私は思います。繰り越す場合には、普通交付税分だけ繰り越すという考え方が立つのだというようなわけのものじゃなくて、特別交付税だ、普通交付税だと分ける前の額を繰り越すのだという考え方も私はあると思います。でありますから、どちらでなければならないということじゃないと私は考えるわけであります。
  116. 鈴木壽

    鈴木壽君 どちらの考え方もあるのだというふうなことでは、私はないと思うのですがね。何べんも申し上げますが、これは私はあなたに法律的に何だのかんだの、こういうことを専門家に言う必要ないのですけれども、総額をとにかく普通交付税と特別交付税と、これこれに分けろ、その普通交付税の使い方はこうだとあるのですね。たまたま普通交付税の配分において余った、それだけの話でしょう、それ以上のものじゃないわけですよ。だから普通交付税が余ったからこれをどうするかということで、特別交付税を考えたらいいのじゃないか、こういうことなんです、私が言うのは。それを普通交付税が余るからそれに対応する特別交付税も余さなければいかぬ、対応するものが必ずなければいかぬというような考え方は私はおかしいと思うのです。基準財政需要額と基準財政収入額との差額を交付税で埋める建前でやって――その不足額を埋めるという建前でやって配分したけれども余る。それはあくまでも普通交付税のワクの中での操作として余ったと思うのです。余ったものをどうするかということ。私どもはこういう繰り越し措置を従来から、三十五年のあの措置からずいぶん奥野さんには食ってかかった記憶がありますけれども、初めから反対ですけれども、かりにそういうふうに配分するならば、あの配分じゃない、繰り越さなければならないというのなら、普通交付税が余ったからそれを繰り越すだけの話であって、その中からどうのこうのという問題じゃない。
  117. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 御承知のように、普通交付税が余ったということでなしに、財源不足額をカバーしてなお財源がございます場合には、これは当然特別交付税に入るわけでございます。特別交付税として配分することになるわけでございます。たまたま年度の終わりになってふえてきた場合には、その年の末になってから配分するよりはやはり翌年度へ回して計画的に配分したほうが使う側においても合理的、計画的に使ってもらえるのじゃなかろうか、こういう考え方に立って繰り越しの問題が起こってきているわけでございます。財源不足額をこえて残余があったから、これを翌年度へ繰り越すということでお考えいただきませんで、年度の終わりになってから地方交付税の総額が非常にふえてきた。ふえてきた場合にはむしろ翌年度へ計画的に配分をし、また合理的に使ってもらったほうがいいじゃないかという考え方に立っているわけでございまして、その場合にどれだけ送るかということを考えます場合に、財源不足額を完全にカバーできればいいじゃないか。そうするとカバーできるために所要の普通交付税の額は幾らであり、それに対応する特別交付税の額は幾らであるかという算定ができるわけでございますから、これらをこえる額は、普通交付税といわず特別交付税といわず、これらをこえる額は翌年度へ繰り越すのだ、これが従来から政府のとっておる考え方でございます。こういう考え方もあるし、鈴木さんのおっしゃるような考え方もある、こう私は申し上げているわけでございます。
  118. 鈴木壽

    鈴木壽君 いずれがいいかな、これは。そこでいよいよ、私ちょっと筋違いのところから入っていきましたけれども、繰り越しについてのやはりこの機会に考え方をもう少しお聞きしておかなければいけないと思うのです。今局長からお話がございましたけれども、またきつき大臣からはしなくも大蔵省が百二十二億をどうのこうのというような話がありましたが、これはやはり私は従来からしばしば申し上げておりますように、こういう措置はおかしなことだと思うのですね。大臣にひとつ考えてもらいたい。その年度末にこういうふうな金が出たから、今配分しないであとでやったほうがかえって地方団体のためにいいのじゃないか、計画的に使えるのじゃないか、こういうことも理屈としては一つ考えられると思います。ただ、交付税というものは、私はそういう性質のものではないと思う。これは交付税法の六条の三にもはっきり普通交付税で余った額は特別交付税にやれと、こうありますし、その中で配分しなければならぬことになっているわけですね。それから、もし地方団体に配分された結果、金が余りそうだというようなことがありましても、地方団体地方団体としてそういう場合の措置地方財政法にちゃんと規定があるのですね。地方財政法の四条の三にちゃんとあるわけですね。なぜ地方団体に対して一方的に国がこういうふうな繰り越し措置をして当然ことしじゅうに配分しなければならぬ――地方団体からすれば受け取らなければならぬ金を来年度に回すのか、どう考えても私は納得できないのですね。一体あれですか、何としても今回やれない理由は何です。それからもう一つ、今回どうしても配分できないという理由、配分したことによって地方団体がよくないのかどうか、配分すれば地方団体にどうしても不利益があるのかどうか。大臣、どう考えておりますか。
  119. 篠田弘作

    国務大臣(篠田弘作君) これは先ほど申しましたように、私はもう、こういうほうは、ほんとうは、自治大臣はしておりますけれども、しろうとなんです。したがいまして、鈴木さんの話を聞くと鈴木さんのほうがいいような気もするし、局長や参事官の話を聞くと、それもいいというような感じがしまして、今直ちにどっちに賛成しろと言われましても、どっちに賛成するというわけにはいきませんが、ただ私が繰り越しの理由を聞きましたときに、私はこういう考えもあったわけです。二十二億だけでいいだろうかという考えを私ども持ちまして、もう少し残したほうがこれは用心のためにいいんじゃないかというふうにも考えましたが、いろいろ計数と申しますか、当たってみた結果、前の関係もあって、大体二十二億残せばいいのだ、だから百億は繰り越そう、その前から申しました百二十二億繰り越そうという案もあるわけでございますから、二十二億になったということは一応成功だと――今年度中に払い出せることは一応成功だと、私はそういうふうに考えした。それからあとの百億につきましては、今事務当局が申しましたように、この年度末に迫って百億を――そういうことが適当であるかどうかはわからないけれども、あわてて食ってしまうよりは、来年度にこれを繰り越して十分に地方の情勢、その他に応じて配るということが、これが非常にいいんじゃないか、こういうことで、それがいいだろうということで賛成したわけであります。詳しいことは今申しましたように、どちらにも理屈があると思いまして、私は軍配をちょっとここで上げにくいという、まあそういうことであります。
  120. 鈴木壽

    鈴木壽君 これはしかし、大臣、あなたから率直にそうおっしゃられると、あとものの言いようがない。やはり何かこれに取っかかるという、そういう意味じゃなしに、大事な問題だと思う。それで私しつこいように、昭和三十五年度からこういうようになりました、そのときに、私はいろいろ申し上げました。三十六年度にもそういうことになり、三十七年度、今度、年中行事になっておる。そとでもちろん補正の時期がこういうふうに年度が押し迫ったときですから、やはりやむを得ないようなふうにも考えられる節も事情からするとないわけではない。しかし年度末であるからとか、配分の基準とか、財源不足を補充して余りがあってとか、それを地方団体に配分したらむだ使いされるんじゃないか、計画的な使い方じゃなしに、というようなことを心配して繰り越すと――繰り越したほうが計画的な使い方ができるというように、きつき局長から説明があったように、これは一昨年から繰り返されておる答弁なんですが、私はそういうことで安易に考えるべきじゃないと思うのですよ。何と言ったって法律としてあるんですよ。地方交付税法にも、地方財政法にもこれは明らかに触れると思う。だから特例措置をやるのじゃないかと、こう言われればそれまでですけれども、それをあえてこういう特例措置をしなければならぬというところに、私は考え方の非常におかしな点があると思うのです。地方交付税法の六条の三の趣旨というのは、やはり余ることもあるだろうし、足りないこともあるだろうということの前提に立っての規定だと私は思う。足りなければ調整をする、余った場合には国庫にそれを繰り入れ、配分をする。若干何といいますか過不足があるということを前提にした六条の三の規定だと私は思う。当然予想していることなんですね。すでから、しかももう一度申し上げますと、さっきもちょっと言いましたように、地方財政法の四条の三には、交付税がよけい配分された場合どうしたらいいか、ちゃんと地方団体に規制を加えることの法律ができておる。私は、ですからそのとおりやればいいと思うのですよ。地方団体側でこの金をいわゆる財源調整、財政調整に使うかどうか、これは地方団体のそれなんであって、何も地方団体がいい加減な使い方をするとか、無計画な使い方をするとか、ここに大きく取り出してきてやる必要は私はないと思うのですがね。
  121. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 地方財政平衡交付金制度から地方交付税制度に乗りかわったときに、今お話しになりましたように地方財政法の規定を設けたわけでございます。要するに、普通交付税相当額をこえる地方交付税が出てくる、その場合には特別交付税に合算して配られる、そのかわり地方団体のほうでは積み立てるなどして長期的な財政調整考えなさい、こういうことにしたわけでございます。したがいまして、多少の残が出たり、あるいは不足が出たりすることは、主税にリンクして総額をきめる以上はやむを得ない、こういう建前でございます。したがいまして、かりに特別交付税が年度末になりまして十億も二十億もふえたからといって、翌年度に繰り越すというような考えは毛頭持っていないわけでございます。ただここ画二年のように、百億前後という大きな額になりますと、その財源を自治省当局といたしましても、将来の地方財源を保障するような有効な使い方をしたいという考え方に立たざるを得ないわけでございます。特別交付税で配ってしまいますと、単位費用を引き上げるための財源にそれを使うことはできません。翌年度に繰り越しまして、地方財政全体として計画をする、保障する財源をどうきめるかという計画をする、単位費用を引き上げるための財源に使うということは地方団体にとりましても、どういうような地方財政計画が組まれているか、どういうふうに地方行政が予定されているかということがわかるわけでございますので、ある程度それも頭に置いた合理的な使い方をしてもらえるんじゃないかとこう思うわけでございます。たまたま繰り越すことが大蔵省からしいられているというような気持をお持ちになっているからでないかというのでございますけれども、決してそういう問題じゃございません。やはり地方財政の将来にわたることを考えて参りますと、年度末に百億前後もふえてくるというような場合に、それを単純にその年に配ってしまいますよりは、何かそれを計画的にどういうところに将来にわたって財源を使っていくのか、また将来にわたってどこまで財源が足りない場合にはその不足を補てんしていくとか、そういうような意味の財源に使いたい。そのためにはやっぱり地方交付税法を改正して、その単位費用の引き上げのため所要の財源に充てるべきだと、こういう趣旨でございます。そういうことが本心でございまして、やはり今後といえども、こういうような大きな額がふえて参りますと、計画的な使用を考えていかなければならないと思います。ただ今後も今までのように十数%というような大きな経済成長率を続けていくことができるかどうだろうか、こういうことになって参りますと非常に問題があろうと思います。しかし、こういうような事態になって参りますれば、特別交付税でぱっと配ってしまうよりは、単位費用の引き上げのために自治省としては使って参りたい。そして地方財源の保障をだんだんと厚くしていきたい、こう考えざるを得ないわけでございます。
  122. 鈴木壽

    鈴木壽君 あなたの今のお話の中には、単位費用の引き上げの問題とかいろいろ問題がありますが、いずれ私は――単位費用の引き上げという問題は、そういう金があって繰り越しするからやれるのだ、やらなければならぬだろうというような考え方は私はおかしいだろうと思うんです。あとで、その問題について私は触れたいと思いますが、この法の建前からして、一つ、もう一度あなたにお聞きすることは、地方財政法の四条の三が、これは平衡交付金制度から地方交付税制度に変わった二十九年からですか、そのときの規定だ、こういうふうなお話ですが、これは実は三十五年度に改正した――私が言う四条三の部分について三十五年に改正しているわけです。財源調整という問題から三十五年にこれは改正しているんですが……。
  123. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 再改正でしょう。
  124. 鈴木壽

    鈴木壽君 再改正、もちろんですけれども、とにかく最終的にはこの法は三十五年にこれは改正しているんです。そのときに私やはり今のようなことを聞いております。これは特別交付税とか、交付税そのものについての財源調整の問題としてでも聞いているのですが、最初から不動なものではないのですね、これは。当然交付税なり何かがある基準で配分する、それよりも多く配分になるということを予想して法律ができているのです。その場合には自治団体に対してどうすべきであるという規定なんです、これは。積立制度、あるいは積み立てした場合に積み立ての仕方とか、いろいろ出ているわけです。ですから、それを国の力で初めから国がやったほうが都合がいいとかなんとかいうよりは、むしろ自治団体にそういうことを後年度にわたり考慮をさせるべきであって、またこの法律からすれば当然しなければならぬ。こういうことを、私はやはりこの際はっきりしておかなければいけない。それからもう一つは単位費用の引き上げの問題でありますが、私は今こういうふうにして繰り越さなければならぬというそもそもの問題は、単位費用が低いからこういう問題が出てきていると思うのです。その限りにおいては、単位費用を上げるということについては、あなたのおっしゃるとおりぜひ額を上げなければならぬ。もし今の交付税できめられておる単位費用が、ほんとうに事情に合って、地方公共団体の財政需要をまかなえるだけやっておれば、こんな金は余ってきません、これは。百億という金は大きな額のようだけれども、都道府県、市町村、三千五、六百の団体、その団体に分けた場合にこれはわずかの金なんです。一県当たり、市町村、県を含めて平均二億かそこらでしょう。それを県と市町村に分けたら一億くらいずつの金になります。これはきわめて大ざっぱな言い方ですけれども、大きな金ではない。それくらいの金は、今の単位費用をもう少し高めておくことによって、当然これは必要として計算されなければならぬ額であるし、当然配分になるのですね。ただ、今のはそうなっておらぬものだから、たまたま余ってくる、こういうことなんです。私は結論は、あなたも単位費用を引き上げたいと言うが、単位費用はその限りにおいては私当然引き上げなければならぬ。しかしこれは根本的な問題としてそういうことであって、今引き上げるということはなかなかむずかしい。あなたは、この金があれば来年度において引き上げのために使いたい、こういうふうにおっしゃっておりますけれども――ですから、私はこの問題をそういうことで、国のほうの、あなた方の考え方で規制を加えて特別立法をしたり何かして繰り越ししなければならぬということについては、私はどうしても納得できませんね。
  125. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 地方財政法の四条の三の規定は、昭和二十九年に追加した規定でございます。その後若干の改正を加えているのでございます。法令にも二十九年の追加と書いているようでございます。なお今の単位費用は低過ぎるのじゃないか――これは議論のあるところだと思います。ただ収入と見合って生活程度をきめていかなければならないという、その建前から考えていきますと、地方団体が財源として確保できるものと見合って単位費用をきめていく。しかし、もとよりそれが非常に不十分なものである場合には国民にさらに増税をお願いするとかいうようなことで、思い切って単位費用の引き上げを考えざるを得ない、こう思います。しかし一応この数年は確保できる財源と見合いまして、財政需要額を定めていくという建前をとって参っておるわけでございまして、私どもといたしましては、国民経済が伸びていく、それに伴って地方税収入その他の財政収入が伸びてくる。その程度と見合いながら財政需要を高めることによって、だんだんと地方財政を合理化していきたいというふうに考えておる次第でございます。そういうふうに考えて参りますと、やはり年度の終わりになってからふえた財源をそのまま使っていくよりは、翌年度に繰り越して単位費用引き上げの財源に使ったほうが、より地方財政にとってはベターだということがいえるのじゃないか、こう考えるわけでございます。私たちはやはり年度の終わりになってから地方団体に無計画に配ってしまう、無計画にというと多少言葉が荒いですが、特別交付税的な配分の仕方をしますよりは、将来にわたってどういうように地方財源が確保されるかという見通しを、地方団体に与えた上で配分したほうがよろしいのじゃないか、こう考えているわけでございます。国の予算の運営につきましても、十二カ月予算じゃなしに、十五カ月予算ということが言われるわけでございますけれども、年度末になって地方団体に配りました場合には、それが十五カ月的な予算の運営ができないわけでございます。したがいまして、翌年度以降について地方団体の財源按配のめどというものを与えるというような筋道を立てるほうが、われわれはよろしいのじゃないか、こう考えているわけでございます。こういうような事態が将来にわたってずっと続いていくとは考えません。国民経済が大きな成長を遂げている結果、こういうことが可能になっているのだというふうに思うわけでございますけれども、しかし、同じような事態が起こりますれば、私どもはやはり計画的にこれを使用したほうが、地方財政の将来のために、よりいいのだということを考えざるを得ないわけでございます。
  126. 鈴木壽

    鈴木壽君 どうも私ばかりしゃべって済まないと思いますけれども、私もう少し、大事な問題だと思いますので。これは大したことじゃないんですが、あなたは、地方財政法の四条の三を、二十九年の追加で、それ以後なかったように話していますがね、これはほとんど全面的に書きかえられたのは三十五年ですよ。私はっきり記憶があります。今の財源調整の問題として書きかえられたのは三十五年だったと思います。そのときに、私はっきりあなたと、いろいろこういう問答等を取りかわしたことが記憶にあります。こういうことをやらせることが、はたしていいのかどうかというようなことまでやった記憶がありますからね。その問題はそれでいいです。そこで、あなたのおっしゃるように、一つ考え方としては、来年度にこれを持っていって、来年度に単位費用の引き上げのそれに使う、そのほうが合理的だという考え方もあると思いますが、だからといって、簡単にそれが合理的とかいったようなことは、法の建前からいえばおかしいんですね、何べんも言うように。だから特別の法を作るのだという反論も出てくるでしょう。出てきましょうが、私は、そんな本法にあることを曲げておいて、特別立法をしなければならぬという考え方がおかしいというんです。単位費用の引き上げの問題は、確かに、あなたの言うように、やらなければいけない。さっきも私申し上げましたが、もうちゃんとやっておれば、今年も去年もこんなことはないはずです。百億程度の金は大したことじゃないですよ。財政需要額をあなた方、昭和三十七年度どの程度に見ていますか、一兆か、もっとそれ以上に見ているでしょう。需要額というものは。それと収入額との差の計算からいえば百億なんというものはしれたものですよ。それは額の多少はともかくとして、私はそういう建前に立って単位費用引き上げというものはもちろん必要である。しかし今それをやれないから、来年にこれを持っていくなんというような考え方は、私はおかしいと思う。もう一つ申し上げますと、こういうことなんですね。こういうふうに余った、もう配りようがないのだ、こういうことを言うからには、今の交付税の配分――各団体が受けている金は、各団体において必要な、いわゆる財政需要の不足額を満たしているかということ、この問題をやはり一つ前提として考えられなければならぬと思う。私はさっきから言っているように、各団体で使う金を交付税で満たしていない。単位費用の計算なり、基準財政需要額の計算というものも不十分だ。だから、そういう問題があるから、根本的には、それを見なければならぬ、単位費用を引き上げなければならぬという問題が出てきますけれども、これは大臣からひとつ。
  127. 篠田弘作

    国務大臣(篠田弘作君) 鈴木さんのおっしゃるのは単位費用をちゃんと実情に近いように引き上げておけば何も翌年度に延ばす必要はないじゃないか、十分ことし配れるじゃないか、それを引き上げておかないから、こういうことになるのじゃないか、さっきから聞いていますと、そういうお話のように思いますが、そのとおりですか。
  128. 鈴木壽

    鈴木壽君 それも一つあります。
  129. 篠田弘作

    国務大臣(篠田弘作君) それで片一方のほうは、来年度から単位費用でも引き上げたいのですが、今年度においては補正予算が年度末にできたために百億という――鈴木さんは膨大でないとおっしゃいますが、政府としては膨大なる金がそこへ余ってきた。そこで計画的に配ったほうがいいというので、この法律案を出しておる。そこで、私は先ほど鈴木さんのおっしゃることももっともであるし、事務当局の言うことももっともであるということを申したんでありますけれども、結局理屈としては私は両方あると思いますが、政府としては現に法案をここへ提案をして御審議をいただいておるわけでありますから、明年のことはまた明年度において考えるといたしまして、このどたんばでありますから、そういう御議論もあるかと思いますが、この法案に賛成していただきたいと思います。
  130. 鈴木壽

    鈴木壽君 結論として賛成するかもしれませんから……、くどいようでありますけれども、やっぱり法の建前からしても私は当年度内に配分するのが建前だと思いますから。じゃあ配分する手がないか、方法がないか、あるいは基準というものはないか、それは今の単位費用のそれからしますとないのです。余ってしまう。これは私認めます。だから今すぐやれということを言ってもこれは無理でしょう。全面的な単位費用の改定というものを今押し詰ったところでやれということは無理だろうとは思います。その限りにおいては来年度やりたいという局長のそれも私は否定はしませんけれども、それだけで、あとそれ以外に手がないかというと私はあると思う。特交として配る場合に私はいいかげんな配り方でなしに、あると思う。地方団体がさっきも言ったようにいろいろな面で財源不足に悩んでおる。特にその中で、単位費用が実情にそぐわないために、十分な財政需要というものを見てくれておらないという問題、これは一番大きな問題だと思う。これはしかし何度も言ったことですからこれ以上申し上げませんが、そのほかにたとえば町村がいろいろな補助金に対応する町村負担なり府県負担の問題、よくいわれている超過負担分、こういう問題でも非常に困っている。こういうものについてもある率で町村に金を配分するという方法も一つの方法じゃないかと思う。それから基準財政需要額に応じたこれの一定割合を、この際地方団体に配分をするということも私は必ずしもいいかげんな配分の仕方でなしにやれると思うのです。あるいは今これは、きょうは税務局長、税務のほうの方がおりませんが、地方税の問題だってこの前に高いとか安いとかいろいろな問題がある。ほとんどの市町村が、法律にきめたその趣旨を守らないというと、言葉は少し悪いけれども、たとえば本文方式をとるべきところを、ただし書き方式による、あるいは標準税率を示されているにもかかわらず標準税率よりはるかに高い税率で住民税を取っておる、あるいは税額控除はこのくらいという標準があるにもかかわらず、それ以上の額を取っている、こういう町村がたくさんある。たくさんどころじゃない大部分といってもいい。しかし、じゃ法律どおりやれといってもなかなか町村としては金がないですわ。法律どおりあるいは標準税率どおり戻すというために、いわゆる減税をしようとしてもなかなかその穴埋めというものはできない。こういう実情。法律違反みたいなことをやらざるを得ない実情なんですね。こういうことに対しても私は特交としてある程度見てやるということも、あるいは国の交付税の中で見てやるということも一つの方法じゃないかと思います。そうすれば住民税の問題なんかもあらかた解決ついてきますね。これは一つの例でありますが、やり方は私はあると思うのです、むしろ今いったようなことで。今いったのは一つか二つの例でありますけれども、そういうことで交付税を市町村に与えることによって繰り越しなんということの問題はなくなりますよ。来年度のそれは私は来年度として考えなければならぬ、単位費用の引き上げとかね。
  131. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) たびたび申し上げているわけでありますが、今年度で配れないなんということは一ぺんも言うたことはございません。配分することはできます。配分するよりは来年度へ送ったほろが地方財政全体を考えた場合にベターだと考える。だからこういう特例法案をお願いをしておるのだということでございます。また、ふえる額が十億、二十億程度でありますならば当然配ってしまうでしょう。百億という大きな金額でありますから、特に例外として来年度へ送って計画的に使いたいということでございます。現在の制度は、国の財政の運営で主税を予算に計上した場合に自動的に地方交付税が増額になってくるということになっているわけでございます。国は国庫の財政の都合で補正予算を組んだり、翌々年度へ繰り越したりいたしているわけであります。そのつどそれに全く右へならえしていかなければならないのかどうか、私は国庫の財政の事情と地方の財政の事情は違うじゃないかといいたいのであります。国庫の財政の都合から主税を国の予算に計上するつど地方交付税を配っていかなければならない事情は一つもない、むしい地方交付税を配分の時期を見て配ったほうがよりベターじゃないか、私はこう言いたいのであります。たまたま今回は景気刺激づけの考え方もあったでございましょう。来年度の予算にあたりましては前々年度からの剰余金の計上をたっぷりする、さらに第一次、第二次と補正予算を組んで積極的に予算化する景気刺激的な予算編成をやっているわけであります。その際に、主税の増額に伴って地方交付税がふえてきた、財源不足額を補てんをした越えた分をみんなそのまま特別交付税で配分していくのがいいのか、四月には選挙が行なわれるのだ、年度末にもなってきておるのだ、それならば三十八年度に送って計画的な財源としてこれを利用し、地方交付税の単位費用の引き上げのほうに使ったほうがベターじゃないか、こういうふうに政府考えているわけであります。私は、今の地方交付税の増額計上というものは国庫予算の編成のあり方に追随いたして参っておりますが、この追随のまにまに配っていくことがいいとは考えておりません。やはり地方財政の状況考えて配分の時期を別途考慮すべきだと思います。しかしながら、こういうような状態にあるものですから、地方交付税の制度の中に積立金の制度を設けよという一方の意見がございますが、私たちは積立金の制度を設けるくらいなら借り入れの制度を設けたい、今の地方交付税の制度はむしろ積極的に行政水準を引き上げていかなければならない、積立金の制度は必要はないと主張いたしております。しかし年度末に地方交付税がふえてきたような場合には、これは特別交付税として配分してしまいませんで、地方行政水準の引き上げのために使うべきだ、こう考えておりますから来年度に送っておるわけであります。地方交付税の配分の時期はいろいろございましょうけれども自治省としては国庫財政に追随して、そのつど配っていくのは地方財政のためにもベターだとは考えていないのでございます。地方財政の運営の立場もございましょうし、国の財政の運営の立場もあろうと思うのでございまして、やはりいろいろな状態を総合的に勘案すべきだ、特にこの三月ということになりますと、四月に多数の選挙も控えているのでございますので、やはり来年度に送って計画的に使ってもらうような配慮をすべきだ。鈴木さんが御指摘になりましたように、行政水準の引き上げに自治省としてもっと積極的に考慮すべきだという御注意は、十分配慮して参りたいと思います。
  132. 鈴木壽

    鈴木壽君 局長、ちょっとあなたのお言葉の中に、私は重大な問題があると思います。交付税が国の財政の補正等の事情によって、自動的に上がってくる。そのまにまに動かされるようなことでなしにと、こういうこと、それであったら、私は交付税法そのものの改正をやるべきだと思うのです。そういうことを予想しながら――それでないと、はなから交付税法に抵触することを今度特別立法でやろうとして、その理由として、国の補正のたびに自動的にできる金を、そのまま配分することはうまくないのじゃないかというようなことを言ったって、これはうまくない理屈だと思います。私は、もしそういうお考えであったら、交付税法そのものから手をつけて、そういう事態を予想しながらやれることを考えなければならぬと思います。
  133. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 年度末に多額の地方交付税を増額計上されるというような異例の場合には、やはり特別の措置を講ずべきではなかろうか、こう考えているわけでございます。同時にまた、将来におきましても、異例の事態が起きました場合には、やはり現在予想しております地方交付税につきまして、特別な制度を考えざるを得ない場合が起こるだろうと思います。従来異例の措置をとったのは何かといわれますと、このような繰り越しの措置、これが一つ措置でございます。もう一つは、繰り上げ償還の措置を講じたことがございます。これも異例の措置でございます。この二つぐらいが該当するのではなかろうかと思います。先ほどちょっと申し上げましたように、こういうこともあるので積立金の制度をとれという意見が、一方にあるわけでございます。それが、こういうことを予想して制度化しておけといわれるならば、一つ議論になる問題でございましょう。それにつきましては、先ほど申し上げましたような見地からは、いまだその時期ではないというような考え方自治省としてはとって参っているのでございます。
  134. 小林武治

    小林武治君 大臣にちょっと伺いますが、この繰り越しについては、衆議院の段階でやはり多少異論があるのじゃないか。したがって、附帯決議みたいなものがついておりますが、この附帯決議大臣はどんな返事をされておりますか。
  135. 篠田弘作

    国務大臣(篠田弘作君) 衆議院におきましては、附帯決議の御趣旨は十分尊重して措置をしたいと思いますという、そういうことを申し上げました。
  136. 小林武治

    小林武治君 私は、誤解かもしれませんが、この附帯決議はどちらかと申せば、最初から単位費用を上げるなり、ワクを大きくしておけ、こういうことのようにとれるのでありますが、そのことは、私はまたどうか、こう思う節もあります。こういうものが出てくるのは、政府は初めから予想しない追加予算を、一次も二次も組むから、こういうものが出てくるのですね。初めから、当初予算を組む場合に、追加予算などを予想して組む人はあるまいと思うのですが、この方式をとれば、もう初めから地方へ配る交付税のワクを広げておけ、こんなふうにとれるのではないかと思うのです。だからそれは、私はかえって変じゃないか。あとで出てくるのは、これはもう補正予算の結果出てくるので、だれも予定した交付税の増額じゃないのですね。ところが、初めから、当初予算でもう交付税のワクはきまってしまっている。そのワクに応じて単位費用をきめておるわけで、やはり結果的には、こういうことが、今のような問題がどうしても出てくるのですね。こういうふうなものがまたあとで出るから、初めから基準財政需要額なり単位費用なりを上げておくというようなことは、私はかえってすべきじゃないと思うのです。何かこういうふうにやりますというような、自治省が返事をしたとすれば、またおかしい問題じゃないかと思いますが、どういうふうに思いますか。
  137. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 先生御指摘のとおり、補正予算というようなものを、あらかじめ年度の当初において予定をし、あるいは予想をすることができるわけではございません。したがいまして、補正予算があろうという前提のもとに、あらかじめ単位費用を引き上げておいて、そうしていわゆる調整額ができるだけ多くなって、補正予算が出れば埋まるというような形にして、交付税をきめるということは、これは実際問題としてできないわけでございます。ただ、私ども実際やっております段階におきましては、その当時の状況において判断し得る限りは、できるだけ単位費用あるいは補正係数というようなものについて考慮をいたして参っております。その結果、ここ数年、いわゆる調整率というのが、八月の算定のときには出ているわけでございまして、ことしも四十一億円ばかり調整額があったわけでございます。で、それは、今回の補正予算によって全額埋めてきております。ただ、今申し上げましたように、できるだけ計画的に単位費用の引き上げを行ない、地方行政の水準の向上をはかっていくことは、もちろんわれわれも心がけておりますけれども、そうかといって、先を見越して、予想屋的な単位費用の引き上げというようなことは、もちろんできないわけでございます。
  138. 小林武治

    小林武治君 ことし四十一億円初めから不足であった、これもおかしな予算だと思いますが、あと追加予算があったから、これも埋められたわけですが、追加予算がなければ、当然これは打ち切らなければならない問題であります。こういう附帯決議をつけて、そうしてそういうふうに計らうというふうに自治省が返事をしたかどうか、私はむずかしい問題じゃないかと思うのです。これは、どうしたって当初予算の交付税額のワクの中で単位費用をきめる、こうせざるを得ないのですね。四十一億円ことし足りなかったのは、追加予算をまさか予定して、そういう不足額が出るような単位費用をきめたのじゃないと思いますが、そういう四十一億円が、もっと大きなものが出るようなふうに初めからきめるというようなことはあるべきではないし、この附帯決議が、また、そういうふうな大きな不足額が出るような単位費用でも、あるいは基準財政需要額でもきめるという趣旨附帯決議じゃないかとも思うのですが、それはそうじゃありませんか。
  139. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 附帯決議の御趣旨は、地方財源のできるだけ確保をはかって、必要な行政水準の引き上げをはかるようにという御趣旨であろうと私どもは解釈をいたしております。
  140. 鈴木壽

    鈴木壽君 今の問題ですが、地方財政の確保をはかるとすれば、今の単位費用のそれでいいとはいえないと思います。この点については、あなた方もお認めになるでしょう。もっと引き上げなければ、ほんとうの意味での地方行政水準の引き上げなり、引き上げというよりも仕事をやっていく上にはどうしても足りないのだということについては、これはあなた方もお認めになりますね。
  141. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 地方行政水準と申しましても、絶対的なものがあるわけではないのじゃないかと考えております。それは、そのときにおきます国民経済の状況なり、あるいは文化水準なりというものとの相関関係において決定されるものであって、絶対的な基準がここにあって、それが足りる、足りないというようなものではないのじゃないかと私ども考えております。したがいまして、その水準は、高ければ高いほどいいということも、一面においてはいえるわけでございまして、その意味において私どもは努力をいたして参りたいと考えておるわけでございます。
  142. 鈴木壽

    鈴木壽君 小林委員のお尋ねから、私、関連して、ちょっとお聞きしておきたいのですが、こういう附帯決議が衆議院でついたわけですけれども小林委員の御意見としては、先を見越してやるのはおかしいじゃないかと、こういう御意図からのようであります。それを、自治省が、そのまま認めて善処するというのはおかしいじゃないかと思うのですが、そこで、小林委員のお考えを、私は何のかんのと言うのじゃないけれども、今の単位費用の出し方をしさいに見ますと、たとえば、いろいろよく問題になるところの単価の問題なり、いろいろな問題で不十分ですね。そのために、単位費用が小さくなっておる。もっとこれを引き上げなければならぬ、引き上げることによって、地方団体で必要な財政需要というものを、十分みてもらえるということになるわけですから、そういう意味では、引き上げなければならぬ。引き上げるとすれば、もっと、今のものを引き上げておけばこういう大きな問題は出てこない、数字なんか、余ったようなことは出てこないと、そういう見解に立っておる。それを今までやらない。来年からまたやりましょうと、こう局長は言うのですが、そういう点に立って、この附帯決議なりというものを考えるべきじゃないか。何も、将来、このくらいというふうな幅を設けておいて、補正予算が出た場合に、繰り越ししなくてもいいように、使えるようにしようということよりは、事情に合わないものを事情に合うように引き上げておけば、こういう問題は、結果としては起こってこないだろう、こういうことを私は言いたいのです。その点、どうですか。
  143. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) たいへんむずかしい御質問でございまして、基準財政需要額なり単位費用なりをきめます場合には、やはり、そのときの状態において、どこまで引き上げることが可能なりやという判断のもとに行なうわけでございます。その場合の判断の基準は、やはり基準財政需要額を引き上げ足るにる交付税なり、あるいは基準財政収入額なりというものが、一応のめどになるわけでございます。それをこえまして、どんな姿の絵を描こうと、結局は、それについていけないという現実が、算定の結果出てしまうわけでございますので、やはり、われわれといたしましては、可能な範囲において問題を考えるということになろうかと思います。したがいまして、それをもとにして算定をいたしました後に、さらに、交付税がふえるという予想しない状態が出て参りました場合に、どういう対応の仕方をしていくかということが問題であろうと思います。その対応の仕方といたしましては、先ほど来、いろいろ御意見のありますように、年度内に配ったらいいではないかという考え方もあろうと思います。年度内に配るという場合を考えました場合には、それは、どういう方式で配るかということが問題になります。現在の法律そのままで参りますと、特別交付税で配るということになるわけでございます。しかし特別交付税で配るということが、はたして、すべての地方団体に、この段階において、適正に配分することが可能なりや否や、あるいはまた、それがより合理的なやり方なりや否やという問題が、先ほど来、局長からも大臣からも申し上げておるとおり、なお、問題があるのじゃないかというふうに、私ども判断をいたしております。それでは、単位費用をもう一度改訂をして、普通交付税として配ったらどうかという考え方もあろうと思います。しかしながら、今の段階において、普通交付税として配りますために、いろいろな単位費用を上げるという問題は、すでに決定したものとの関係を、どういうふうに調整していくかという問題が、非常に技術的にもむずかしい問題がございまして、今、直ちに、これを短期の間に改訂し直すということは、実際問題として、不可能に近い事柄ではないかというふうに考えます。そうして参りますと、結局、年度の末になって、増額をざれたものを、より合理的に配分するためには、やはり翌年度に送って、翌年度の基準財政需要額を引き上げる。基準財政需要額を引き上げるということは、単に、翌年度だけの問題ではございません。一応引き上げられた水準というものは、少なくとも、その水準は、将来にわたって保障されるわけでございますから、それだけでも、やはり地方団体にとっては、行政水準を向上させる一つの足がかりにもなってくるだろう、こういうように考えているわけでございます。
  144. 鈴木壽

    鈴木壽君 私のお聞きしたことより以上のこともお答えいただきましたけれども、私は自分の考えとして、今回のような、こういう措置をとることに対して、さっきから反対だと、こう言っておりますが、それは今の法律に準拠しても、当然配分できるのだという立場、それからこれからの問題としては、単位費用の引き上げ、したがって、基準財政需要額というものがもっと大きくならなければならぬから、そういう面で、来年度以降の問題を考えなければならぬ、こういう考え方を持っているわけなんであります。  そこで最初の、その単位費用なりあるいは基準財政需要額の引き上げの問題、これは確かに、あなたのおっしゃるように、どれが一体、今の時点として一番いい費用の立て方なのか、これはいろいろ問題があると思います。また、そういう理想的なことばかりやっても、現実の交付税等の問題がありますから、計算はこのくらいにしたけれども、実際の支給される額はわずかしかいかない。これでも困ると思う。ですから、私は、そういう事情もわかりますけれども、まず一つ、今問題になっている、さっきも言ったような、いろいろな単価の問題なりいろいろな問題を、もっと現実に合うように、これを、やはり早急にやらなければならぬとすれば、結果的には、私はこんなことはあまり出てこないのじゃないかと思う。これは来年度以降ということになるでしょう。ことしやれということじゃないのです。今さら一カ月かそこらのうちに、そういう大きな仕事はとうてい望まれないと思いますから、その限りにおいては、無理に私、そういうことまで作業し直せということを言っているのじゃない。ただしかし、今言ったような引き上げということは、当然やらなければならない。かりに私、例として申し上げますならば、たとえばここ二、三年、毎年のように、さっきもちょっとお話の出ました調整があるわけですね。ある程度はみているけれども、やはり金が足りないのだ。したがって調整減額をやってきていますね、毎年。たまたま補正があったから埋め合わせたが、そうでなければ、これは埋め合わせができなかったのです。そうでしょう。そういうことがあったって、これはやむを得ないと思う。今の制度からしますと、あまり好ましいことじゃないかもしれないけれども、やむを得ないと思うのです。その幅が四十億になるか百億になるか、これはいろいろあると思いますけれども。私はそういう今の制度、今の単位費用なり基準財政需要額の計算からしましても、そういう差が出てきているのですね。それを、今まで単位費用というものを合理的にやって、もっともっと上げる。もっと幅が出てくるかもしれません。これはしかし今の交付税制度、基準財政需要額のそういうものからして、残念だけれどもやむを得ないと思う。やむを得ないけれども、今言ったように補正なんか出てきた場合に、金がある場合に、これで埋め合わせていく方法がある。そうすればこういう繰り越しとか何とかいうほうで、ふえるようなことをしなくてもいいのじゃないか、こういう考え方を持っているのです、私は。
  145. 小林武治

    小林武治君 ちょっと鈴木さん、今のあなたの質問のことですけれども、私はあなたの言うことにはあまり納得できないのです。要するに、この附帯決議は、鈴木さんの言っているように、調整減額の穴を大きくしておけと、こういう趣旨じゃないかと思う、私は附帯決議を率直にいえば。だから、それがいいか悪いかの議論で、鈴木さんはそういうことを言っておられるわけですね。
  146. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) ただいまお話のございました調整減額の幅をもっと広くしろという問題でございますが、ここ二、三年来の傾向から申しますと、補正予算によって、さらに繰り越すというような事態が起きておりますので、そういうお考えが出るのも私はごもっともなことだろうと思います。ただしかし、これはいついかなる場合にも、そういうことになるという予測をすることは困難でございます。もしもその額が非常に大きいにもかかわらず、それが結果的には補てんされないような事態が発生いたしたとしますならば、やはり地方団体にとっては非常に大きな財政的な混乱を起こすもとになるのではなかろうかという気がいたすわけでございます。計算上はこれだけになるはずだということを前提として、しかも補正があるかもしらぬということを前提にして仕事を進めてみたところが、そういう結果にはならなかったということになりますと、その額がある程度の範囲にとどまりますならば作業もできますでしょうが、非常に大きな額になると、地方財政というものは混乱を起こすもとにもなりかねないと思うのでありまして、その程度がどのくらいまで許容ざれるかという問題になりますと、非常にむずかしい問題でございますけれども、やはりおのずから限界があるのではなかろうかというふうに考えております。
  147. 小林武治

    小林武治君 今の私が聞いておるのは、この附帯決議がそういう趣旨じゃないかと、したがって私はこの趣旨にあまり賛成しません、そういう趣旨には。自治省はそれに賛成しておられるのかということを大臣に聞いたわけです。
  148. 篠田弘作

    国務大臣(篠田弘作君) 私も初めから非常に大きな幅を持たしておきまして、今参事官が申しましたように、もしそれが埋まらなかったときの混乱を考えますと、実際問題として余ったときに法律で繰り越していくというそういうことよりも、もっと町村にとって大きな迷惑ではないか、また自治省としてもこれは困るのではないか、こう思います。私が衆議院の附帯決議に対して、御趣旨を尊重して善処いたしたいと思うということを申しましたことは、根本的な法律解釈あるいは理念としても、その年の交付税はその年に交付すべきものであると、やはり明年度に繰り越すということはこれは一つの便法であると、こういう考え方から、地方財政というものの確保のためにも万全を期するという附帯決議に対して、善処するということを言ったのでありまして、必ずしもその幅を初めから大きくあけておいて、繰り越しになったものがあった場合にのむという意味の善処ではないわけでございます。
  149. 鈴木壽

    鈴木壽君 私の申し上げておりますことは、初めから幅を見ておいて、こういう事態にそこに埋め合わせるように用意しておけということじゃないのです。そもそもは、実情に合わぬからもっと引き上げてやるべきだ、引き上げた結果、場合によっては減額調整ということも出てくるであろう、これはやむを得ないと、こういうことです。ただし、それが毎年こう続いていって、額がすこぶる大きいといった場合には、あなたがおっしゃるようにいろいろな混乱もあるでしょうし、せっかく残るものだと思ったら調整でがたっと落とされたというととも困ることだと思う。これはまたしかし、国と地方の全体の財政の問題として、地方仕事をやるためにはこれだけなければならぬ、それに対して今金がこれしかできないのだと、交付税としてはこれしかないのだと、これは私は率の改正の問題になる、そういう問題は別途の問題として――別途の問題というか、そのときの問題として考えなきゃいけないものが当然出てくると思うのです。  しかし私は、初めから繰り越し費をやめさせるためにずっと幅を広げて用意して待っていろ、補正した場合にはこれはその年度に使えるのだ、こういうことは私は言っておらない。根本的には、今の単位費用なり、あれというものは実情に合わない。実情に合わせるならば当然ふくれ上がってこなければならない、それをやるべきだと、その結果としてやむを得ず今言ったような調整といったことも出てくるだろう、こういうことなんであります。
  150. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 何度も御説明申し上げておりますとおり、かりに本年度これを特別交付税で配ったといたしましても、その分が来年度単位費用の引き上げというような形で保障されることになるわけではございません。むしろこれを来年度に交付することによって、単位費用の引き上げを、先生のおっしゃるとおり、今後できるだけ近づけるという操作をいたしますならば、単位費用の引き上げが将来にわたって地方財源を保障する一つの足がかりになるわけでございますので、このほうが先生のおっしゃる趣旨に合うのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  151. 鈴木壽

    鈴木壽君 単位費用の引き上げは来年度金がなくてもやれる、また補正があるかもしれない、――ないかもしれません。だから先のことを予想したようなあれでは、ちょっとお互い話はしにくくなると思いますけれども、単位費用の問題は、私は根本的に引き上げなければならない、この百億の金があろうがなかろうが、やらなければならない、でないとこの問題というものは片づきませんね。まあ悪口を言うようでありますけれども、交付税はこのくらいの範囲で、基準財政需要額もどれくらいで押えていく、四十億くらいの減額は、これはやむを得ないから、調整していく。こういうことじゃないか、試算してみて、これは無理もないと思います。さっきもあなたのおっしゃったように、引き上げはうんとやったけれども、実際に金がいかないということが続いても――しかもその額が大きくなって毎年続いたんでは困ると思いますけれども……。  私、あまりひとりでしゃべって皆さん退屈されると思いますので、きょうはこの辺でやめておきます。
  152. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) 本案についての本日の質疑は、この程度にいたしたいと存じます。  次会は、三月七日(木曜日)午前十時より三十七年度地方交付税の特別法律案、消防法の一部を改正する法律案消防組織法及び消防団員等公務災害補償責任共済基金法の一部を改正する法律案、以上三案について審査を行なう予定でございます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十七分散会    ――――・――――