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政府委員(稻益繁君)
お尋ねの第一点でありますか、三十四年一月、お説のように産投国債という形で外債を発行いたしました。で、それ以後、これは一回限りでありまして、それ以後は電電債、開銀債、こういった形で、いわゆる
政府保証債の形で、ついせんだっての二月に開銀債をこめまして、五回ほど出して参っております。ところで、今回なぜ国債にまた戻ったのかという
お尋ねだと存ずるのでありますが、これはまあいろいろ理由があるわけなんでありますが、
一つは、三十七年度が実績で申しますと八千三百五十万ドル、これはマルク債も入っての話ですが、マルク債の二千五百万ドルを除きますと約五千八百五十万ドルでありますが、ニューヨーク市場で発行いたしております。今回は一応国債の形で六千万ドル、
政府保証債の形で四千万ドル、計一億ドルを出すという
計画です。
国債をとります
一つの理由は、たまたま三十八年度に、戦前に発行いたしました外貨債の満期償還が三千万ドルくらい、二つの銘柄でありますが、来るわけであります。
一つの
考えといたしまして、そういう国債の償還時期が参りますと、これを借りかえてはどうかという
一つの
考えがあったわけです。いろいろニューヨークの市場でこの点をサウンドいたしてみますると、おおむねやはり借りかえというのは最近、何と申しますか、人気が悪いといいますか、やはり満期にきたものは一応償還してもらって、その償還することによって
一つの新しい外債発行に有利な
条件がそこに出るのだと。それだけのものをまるまる引き受けるということにはならないが、非常にそういうものを出しやすい空気ができると、そういったような事情もあるので、たまたま三千万ドルという国債償還があれば、この際は国債で出すということが非常に受け入れやすくなる。これが
一つの理由と申しますか、原因になったわけであります。要するに、戦前の外貨債の満則償還が三十八年度に三千万ドルほど来る、この点が第一点であります。
それから、いま
一つの事情は、いろいろ来年の財投の原資を
考えました場合に、この際有利な
条件で借りられるものならば、市場が許す限りひとつ発行したいという
考えが基本にありまして、そういたしますると、
政府保証債よりも国債のほうがより有利な
条件で出せる、額も多くなるであろうという見通しが立ったわけであります。これが、いってみますれば第二の理由であります。
したがいまして、国債、これはまあいろいろ
考え方があります。実際は開銀にこれを貸し付け、また一部は道路公団に貸し付けるわけでありますから、開銀債なり、あるいは道路公団債というものを出すのと実態は変わらないのであります。ただいま申し上げましたような二つの理由によりまして、今回は国債で出したい、かような結論を出したわけであります。
それから、第二点の、第一回の産投外債のときにファースト・ボストンを選んだ、これとの関係でまた今度もそういった国債を出すのではないかというお話でありますが、御
指摘のように、第一回の産投外債を出します場合には、いろいろアンダーライターについて検討いたしました結果、ファースト・ボストンを選んだわけであります。いろいろ理由はあったわけでありますが今回またファースト・ボストンを一応アンダーライターとして実は選ぼうと
考えております。
考えておりますが、この点はニューヨークのいろいろ起債市場の
慣行その他を調査いたしました結果、すでに国債という形で、かつてそういった、何と申しますか、引き受け業務をやってもらったところに特別な悪い事情がない限りは、諸外国もニューヨークでいろいろ外債を発行いたしておりまするが、おおむねその当初の選びました引き受け業者に引き続き依頼いたしておるという、こういう事情が伝統的と申しますか、慣習としてあるわけでございます。そういった
意味におきまして、今回外貨国債を出すというのに、かつていろいろ世話を頼んだファースト・ボストンからほかに切りかえるということは、そういった
慣行にも反することにもなる、かえってまずいことになるというような事情がありまして、一応今回もファースト・ボストンに依頼したい、国債についてでありますが、そういうような
考えでおります。
それから、
お尋ねの第三点、今後も産投外債一本でいくのではないか、つまり、要するに
政府保証債をなくすのではないかという
お尋ねだと思うのでありますが、これはいろいろ私
どもニューヨークの起債市場を調べました結果、何と申しますか、その消化先でありますいろいろな
機関投資家その他のあれを調査いたしましても、やはりある程度銘柄には、バラエティがあったほうがいい。正直に申し上げまして、過去に発行いたしましたもので比較的人気のありますのが電電債なのであります。御
承知のように、アメリカではこの電電債というものが非常に受けがいいわけですが、そういったアメリカでの電電債の市場が反映いたしますせいもありますが、日本の外債の場合には、
政府保証債の場合に電電債の受けが一番よろしい、こういった事情があるわけであります。そういった点から、今回も、先ほど申し上げましたように、たまたま三千万ドルの満期償還が参ります機会でありまするし、新しく道路公団債といった銘柄を、なじみのないものを出しますよりも、そういった点で国債にしぼるということをやったわけでございますが、国債一本にいたしますと、また目先のいわゆる投資家に対する魅力が薄いといった事情があったわけです。そういった事情がございましたので、今回は一応年四回発行ということにいたしまして、うち二回は国債の形で出す。一回は、そういったバラエティと申しますか、目先の魅力と申しますか、そういったものを変える
意味におきまして、電電債を出す。いま
一つは、東京都債、これは戦後初めてでありますが、戦前から東京市債というものが出ておりまして、ある程度なじみもあるし、非常に受け入れやすいだろう、こういった事情もありまして、今回は国債二本、電電債一本、東京都債一本といったような銘柄の選定をいたしたわけでございます。
今後のことにつきましては、何も私
ども国債の姿一本にしぼりたいという
考えは持っておりません。できるだけ有利な
条件で、投資家にも魅力のあるような形で発行することが消化を円滑にするゆえんではないか、かような観点から今後も銘柄は選定いたしたい。もちろん、国内の資金需要との関係もございます。こういった点をにらみ合わせまして、国内、国外の事情をにらみ合わせまして、銘柄の選定を行なって参りたい、かように
考えております。
第四点の、六千万ドルという外貨国債、この国債の形で出すのか、またこれをだんだん増加さしていくのかと。ただいま申し上げました点で大体関連して
お答え申し上げたと存じますが、要するに、私
どもとしましては、国債一本でやって参るということは別に
考えておりません。国債がいい場合には国債を出しまするし、ある程度はやはり銘柄にバラエティがあったほうがいいという点は十分加味いたしまして、銘柄の選定をやって参りたい。したがいまして、国債が今回の六千万ドルから、さらに国債だけの形でどんどんふえていくといったようなことは、現在の私
どもとしては
考えておらないわけです。そのときどきの国内での資金の需要面、海外における起債市場の事情、そういったものを
考え合わせまして選定して参りたい、かように
考えております。