○
政府委員(村山達雄君) これは結局、その
条約の内容によって非常に違うわけでございます。現在
条約を締結している国は、すでにこの
提案している三カ国を除きまして七カ国でございます。それはアメリカ、スエーデン、パキスタン、ノルウェー、デンマーク、インド、シンガポール、これが締結された順序でございますが、今回新たに三カ国を
提案いたしておるわけでございます。
一般的にどういうあれがあるかと申しますと、ごく概括的に申しますと、配当
利子あるいはロイアリティ等につきまして、それぞれ協定によりまして、国内法よりも安い税率を使っておるというのが大体共通しております。
日本の場合ですと、いずれも二〇ということになっておりますが、これが一〇ないし一五で規定されておる。ですから、受け取る場合においても大体同じことが考えられます。それから船舶、これは国内では
関係ございませんが、船舶につきましては、先進国は大体ネット
課税でございますので、特に問題はございませんが、後進国は運賃に対して何%、こういうやり方をしておるわけであります。これに対してわれわれは、
租税条約ではその点を、それはいかにも両方の
経済の交流のために思わしくないということで、交渉いたしまして、グロス
課税を認めるにいたしましても、大体半分ないしゼロぐらいに切り下げているということ、こういうことが相互の
利益であります。航空機については、今まで聞いたところでは、全部相互免除をやっております。こちらも失うかわりに、向こうも失う。こちらの航空会社も、その負担のみならず、手数が非常に省けるという問題があります。
それから、一般の事業につきましては、大体先進国相互間では国内法で
特例を認めることはいたしません。ただ、その事業
所得の範囲というものを明確にいたしまして、それで不当な
課税が及ばないように手当をいたしておるということでございます。型といたしましては、もし恒久的施設がある場合には、そこの国で発生したものを全部
課税するというアメリカと
日本のようなやり方と、それからその事業に帰属するものだけ
課税するというたとえば英国とか、この三国もそうでございますが、そういう型とか、いずれにいたしましても、
課税範囲を明確にするということでございます。
それから、通じて申し
上げられますことは、先進国、後進国を問わず、
課税関係がこの
条約の存続期間は安定するということでございます。これ以上の
課税——かりに相手国の税法が
改正がございまして、一般的にはそれ以上の税率を
課税することになりましても、この
条約の存続する期間はそれでもって安定するわけでございます。その意味で、
企業は
相当長期にわたって見通しをもって取引ができるということ。それからなお、心理的な問題として、私現地に参りまして一番感じたのでございますが、これを締結いたしますと、その地の税務
当局と
日本側の進出している
企業あるいは
日本人の間で、税務に関しては非常に協力的になる。これがまあ私は心理的には最大のプラスであろうという感じがしております。もちろん、
条約でも相互の
課税について、あるいは徴収についての相互援助の規定は設けられておりますけれども、この条文に盛られた以上に両方の融和がはかられている。まあこういったことにございます。その程度につきましては、それぞれ
経済関係の濃密の
関係あるいはその盛られた
条約の内容によって違いますが、全般的に申しますれば、ただいま言ったようなことが言い得ると思います。