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政府委員(村山達雄君) この問題は実は執行問題に属している問題でありまして、国税庁が中心になって今研究を進めております。われわれも酒類行政懇談会の席上に出ておりますので、そのときにおける模様をかいつまんで申し上げますと、マル公制度から基準価格制度になりましたのは、当時いわば非常な乱売が行なわれて較差が非常に出てきた、そのために酒類
業界が非常に不安定な状態に陥った。もともとあの当時マル公がありましたのは、米と酒類だけくらいになってしまった。このマル公というのは戦時中の遺物でございますので、新しい時代に応じたものにしなくちゃならない。その
意味では、従来のような最高価格制度ではなくて、目安価格としての、一種の安定帯価格としての基準価格制度を打ち出していく。そのねらいは、
一つには、当分の間、急に自由価格制度に移行いたしますと非常な過当競争が起きて、そのために消費者の利益になるかどうかという問題ももちろんございますけれ
ども、数多くの中小のメーカーが非常な過当競争のために余分な乱売をするとなると、そのことはひいては酒税の保全にも影響を及ぼす。そこで、
一つの暫定的な、自由価格への移行の
一つの階梯としての基準価格制度を打ち出したわけであります。
しかし、御案内のように、あの基準価格制度ができまして、移行して、昨年の減税の際に減税額だけ下げたわけでございますが、その後の基準価格の
状況を見ておりますと、合成清酒、しょうちゅうにつきましては、最近における運賃あるいはびん代その他の価格の高騰に伴いまして、若干の基準価格の引き上げを見ましたが、清酒、ビールその他につきましては、同じ事情にありながら、全然それがなされていない。こういう問題と、それから基本的にそれを、一体基準価格制度というものをいつまでも置くことがいいのかどうか。かえってフリーにしたほうが、いい
意味の、過当競争でないいい
意味の競争が行なわれれば、消費者の利益になるのではないか。もともと基準価格制度はそこへ至る階梯として作ったということが酒類行政懇談会で論議されまして、将来の方向としては基準価格を撤廃すべきである、こういう方向が打ち出されております。ただ、清酒二級とビール、これは現在大衆酒であるということ、特に清酒二級につきましてはメーカーの数が非常に多いということ、これで一挙に基準価格を撤廃するということにいたしますと非常に混乱が起きるから、将来その方向をにらみ合わせながらも、一挙にそこを今直ちにはずすというわけにはいかないであろう。しかし、酒税確保という面だけをいうのであれば生産者の基準価格だけをきめておけば足りるのであって、卸、小売についてははずしてもいいのじゃないか、こういうような議論が出ているわけでございます。ただ、
あとの点につきましては、なお技術的に生産者価格だけについて基準価格を残して、それから卸、小売を撤廃することについては、やや疑念を持っている向きもあるようでございますが、方向としてはその方向が打ち出されているというような現況でございます。