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政府委員(
八谷芳裕君) ただいま、過去におきまして
廃止勧告をやりまして、
交付金が完全に
離職者の手に渡り、
鉱害者の手に渡り、さらに残額がございます場合には
鉱業権者の手に渡るという、
最終段階までに一年間ぐらいを要しているわけであります。この点が非常に
努力不足の点で申しわけございませんが、これに対しましては、かねてからいろいろ
研究をいたしておるわけでございますが、何と申しましても、
ネックになる面が、大きく分けまして、
一つは、この
鉱業権を抹消する過程においての問題でございます。
鉱業権を抹消いたしまして初めて
交付金が渡っていくという
段階のこの
法律では経過をたどるようにやっているわけでございますが、
鉱業権を抹消するということになりますと、差し押え、あるいは
抵当権というようなものが設定されているわけでございます。少なくとも、この
法律では差し押えは解除してもらわなければならない。ところが、
合理化法のような場合には、まあ
金額もありまして、
債権債務に回します
原資というものがございますが、この
法律は、
政府が
廃止勧告をするというような形で、
賃金債務にウエイトを置いた、
賃金債務と
鉱害債務の二つだけの
債務に
交付金は充当していく。しかし、四百円、六百円と、先ほど申しました
トン当たりの
金額に計算されましたものから、
賃金債務と
鉱害債務の
余剰金が出た場合に、初めて
鉱業権者に、いわゆるこの
法律で読んでおります
廃止業者に渡される。こういうふうに非常に
賃金債務、
鉱害債務というだけに、まず百パーセントを必要な場合にはとっていくというような形になっておりますので、差し押えを解除してもらう
原資というものが、
廃止業者の立場からしますと非常にむずかしくなっておるわけでございまして、こういう点に非常に時間がかかっている。これは
話し合いによりまして、また、現地の
機関等によりまして、差し押えをした
人等との
話し合いを進めまして、一日も早く差し押えが解除されまして
鉱業権の抹消に持っていく、こういう形を今後進めていかなければならないと思うわけでございます。これが問題の
一つの
解決方法でございます。
その次に、
事務面の
簡素化、この面が
一つ考えられるわけでございますが、これは非常にこまかくなって恐縮でございますけれ
ども、
生産額が過去三年間にどれだけ出ているかということで、
年産額を三で割りましてやるわけでございますが、過去三年間の
出炭量を
——私
どもがやっておりますのは
零細炭鉱が非常に多いわけでございます。そうすると、過去三年間、いろいろな統計というようなものが
政府にも出されていないところも見受けられますし、また、出されていても、これを確認するのに、
あとで
会計検査等を受けて確認しますときに、非常にいろいろ問題を後日に残してはいけないということで、
出炭額の確定をやるわけでございますが、この面が非常に時間がかかってきておるわけでございます。少なくとも、こういう
事務面におきまして時間を
短縮をするということが非常に必要なことでございますので、ある場合には、ただいま
対策として考えておりますのは、
勧告前にこういう
事務的な面を完了させておきたい、かように考えておるわけでございます。ただし、これは非常にむずかしい面がございまして、あまりいろいろ
政府におきまして、まだ相手が
廃止勧告を聞かないという
炭鉱も出てくるかもしれませんし、また、
労働組合との
話し合いも済んでもいない
段階になるわけでございまして、
廃止勧告前でございますので、そういうときにいろいろ
出炭量が
幾らあったというこまかい
事務的な
調査というもの、
事前調査をやると、非常に、
労働者に対しまして、また、
債権者に対しまして悪影響を及ぼすおそれもあるわけでございます。たとえば
生産が、そういう
事前行為によりまして
スロー・ダウンされて参りますと、過去三カ月間の
平均賃金に対して
離職金が
幾ら、あるいは
失業保険が
幾らというような、もとの
ベースになります
賃金がややもすれば
スロー・ダウンされるということが過去においていろいろあったわけでございます、
政府があまりにも
廃止勧告というような形を如実に示しまして
事務を進めますと。そういう点がいろいろ考えられますので、こういう点につきましては十分配慮しながらやらなければならない。しかし、いずれにいたしましても、
相当数の
炭鉱につきまして
年生産量の
認定を
勧告前にやることができると、こういうふうな推測もいたしておりますので、ぜひこういう面で進めて参りたい。これが第二番目の
ネックとその解消の方針でございます。
三番目は、
鉱害の
賠償計画でございまして、
鉱害の
賠償が
幾らということが決定しないと、
未払い賃金との振り合いが
幾らになるという比率が出てこないわけでございまして、ところが、
鉱害は、
基本は
被害者と
加害者の間の
協定になっておるわけでございます。
原資とします
交付金も必ずしも多いわけではない。一方におきましては、連年にわたる
累積鉱害がある、この
累積鉱害の算定をできるだけ早目にやっていかなければならぬ。ところが、これは
鉱業権者が一生懸命にやってくれないことには、両者の
話し合いで
協定をしていくわけでございますので、非常に時間がかかっておる。そのために最終的な
金額査定ができない、こういうことになっておるわけでございます。この
鉱害の面につきましても、
政府のほうにおきまして
相当査定を加えていくというような
——査定を加えるというのは少し行き過ぎでございますが、
鉱害の
賠償計画につきまして
通産局の
協力態勢を強化していく、こういう形でこの面は解決して参りたい、かように考えております。