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1963-06-06 第43回国会 参議院 商工委員会 第29号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十八年六月六日(木曜日) 午前十時三十二分開会
—————————————
委員
の
異動
六月五日
辞任
補欠選任
二木
謙吾
君
豊田
雅孝
君
—————————————
出席者
は左の通り。
委員長
赤間
文三
君
理事
川上 為治君 岸田 幸雄君 近藤 信一君 向井 長年君
委員
上原 正吉君 剱木
亨弘
君
豊田
雅孝
君 武藤 常介君 吉武 恵市君 久保 等君 椿 繁夫君
中田
吉雄
君 奥 むめお君 国務
大臣
通商産業大臣
福田 一君
政府委員
通商産業政務次
官 上林 忠次君 通商産業省軽工
業局長
倉八 正君
事務局側
常任委員会専門
員
小田橋貞壽
君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
輸出硫安売掛金経理臨時措置法案
(
内閣提出
、
衆議院送付
)
—————————————
赤間文三
1
○
委員長
(
赤間文三
君) ただいまから、
商工委員会
を開会いたします。 まず、
委員長
及び
理事打合会
の
協議事項
について
報告
をいたします。 本日は、
輸出硫安売掛金経理臨時措置法案
について、
補足説明
を聴取した後に、
質疑
を行なうことになりましたから、御了承を願います。
—————————————
赤間文三
2
○
委員長
(
赤間文三
君) 次に、
委員
の
異動
について御
報告
をいたします。 昨日、
二木謙吾
君が
辞任
をされ、その
補欠
として
豊田雅孝
君が選任されました。
—————————————
赤間文三
3
○
委員長
(
赤間文三
君) それでは、これより議事に入ります。
輸出硫安売掛金経理臨時措置法案
を議題に供します。 本案につきましては、すでに
提案理由
の
説明
を聴取いたしておりまするので、本日は、まず、
政府委員
から
補足説明
を聴取いたします。倉八
軽工業局長
。
倉八正
4
○
政府委員
(倉八正君) 本
法案
を出しました
趣旨
ないしは
硫安工業基本対策
につきましては、先般、
大臣
が
提案理由
で申し上げましたとおりでございますので、私は、この
法案
の
内容
につきまして御
説明
申し上げたいと思います。 お
手元
に差し上げました要綱をごらんいただきたいと思います。この順序に従いまして
説明
を申し上げます。 まず、一、とありますのは、
法律案
の第一条に該当するものでございます。
輸出硫安売掛金
というのは、いわゆる
回収不能見込み
の
売掛金
でありますが、これにつきましては、
商法
第二百八十五条の四、第二項に、「金銭債権ニ付取立不能ノ
虞アルトキハ取立ツルコト能ハザル見込額
ヲ
控除スルコトヲ
要ス」、こういう
規定
がある。
商法
上の
一般原則
に対する
特別措置
といたしまして、特に、
貸借対照表
の
資産
の部に計上することができるようにすると同時に、これを計上した場合には、十年以内に、毎
決算期
に、
均等額
以上の
償却
をする。したがいまして、年二期
決算
の
会社
につきましては、毎
決算期
二十分の一以上の
償却
をしなければならない、こらいたしたわけでございます。なお、
輸出売掛金
は、
実質
的には
貸し倒れ損失
でございますので、
債権者保護
という見地から、
貸借対照表
上に計上する場合には、「
輸出硫安繰延損失
」という名称で表示しなければならないということも合わせて
規定
した次第でございます。 次に、二、とありますのは、
法律案
の第二条に該当するものでございまして、この
要旨
は、ただいま御
説明
申し上げたところによりまして、
取り立て不能見込み
の
輸出硫安売掛金
を
貸借対照表
の
資産
の部に計上したものの
配当
につきましては、
商法
上の
配当可能限度額
から
輸出硫安売掛金
の未
償却残高
を差し引きましたその
残り
の額を
限度
として行なわせるということにいたしまして、
債権者
の
保護
をはかりますとともに、
硫安生産業者
の
経理
の
適正化
を期することにした次第でございます。
商法
の
一般原則
に従いますと、同法第二百九十条第一項の
規定
によりまして、
配当
可能の
限度
は、純
資産
から
資本命
と
法定準備金——法定準備金
と申しますのは、
資本準備金
と
利益準備金
でありますが、この
法定準備金
の
合計額
を控除した額、つまり
任意準備金
と
利益金
の額を、
配当可能限度
と定めているのでございますが、本
法案
におきましては、このような
商法
上の
配当可能限度
から、
輸出硫安売掛金
の
残額
を差し引きまして、その
残額
を
配当限度
とする、こういう
規定
を設けた次第でございます。このような
規定
をこの
法案
の中に設けましたのは、
輸出硫安売掛金
が、実体的には
貸し倒れ損失
であるということにかんがみまして、
貸借対照表
上は、
資産
の部に計上することを認めておりますものの、
配当限度
の算定にあたりましては、これを
資産
から差し引いて計算するということにしまして、いわゆる
タコ配
にならぬよう、配慮したものでございます。なお、これは
商法
上の
配当
可能の
限度
につきまして、
特則
を定めたものでございまして、
個々
の
生産業者
の
配当率
を、直接規制しているものではございません。
最後
に、三、とございますのは、
法律案
の附則に当たるものでありまして、この
法律
は、ことの性質上、最長十年の限時法でございますから、
償却
がすべて完了し次第、別途
廃止法
をもって廃止するとの
趣旨
でございます。 以上がこの
法案
の
内容
でございまして、
経理
上のいわゆる手続を定めた
規定
の
商法
の例外でございますが、なお、ちょっと時間を拝借いたしまして、このお配りしました
資料
につきまして、簡単に御
説明
を申し上げまして、各
先生方
の御
審議
の参考に資したいと思います。 今、お
手元
に配りました中に、一枚刷りの「
輸出硫安売掛金各社別一覧表
」というのがございまして、
日東化学
以下
最後
の旭化成に至る十九社の
売掛金
というのが、ここに上っておりまして、その総計が二百十五億四千一百万円ということになっております。 この
輸出売掛金
と申しますのは、
昭和
二十九年現在の
肥料
二法というのを施行しました、その仕組みとしまして、
国内
の
マル公
とそれから実際に
輸出
した金額との
差額
を、いわゆる
輸出赤字
として、
輸出硫安会社
に積み立てておった額の総額でございます。一番大きいこの
東洋高圧
とか、
日東化学
の二十四億、こういうのを積み重ねた
数字
が、二百十五億四千一百万円、それで
商法
上どうなるかといいますと、これは一気に引き落とさなければいけないというのが、
商法
上の
規定
でございます。そうしますと、こういう
会社
が、一気に二百十五億というのを引き落とすということは、実際上不可能でございまして、またそれを
商法
の
規定どおり
に強行させますと、
会社
によっては、もう金も借りられず、まして
配当
なんか思いもよらぬことだということになりまして、
硫安工業
、いわゆる大きい
意味
の
肥料工業
の
再建
、あるいは
合理化
ということができないことになるのは理の当然でございますが、したがいまして、これを十年間に均等
償却
させるということでございます。ある
会社
によっては、それをたとえば五年でやることもできますし、八年でやることもできますが、最高が十年ということにした次第でございます。 それで次の
資料
、
硫安工業対策
、
閣議決定
という折った表がございましょう。それから次の約五枚くらいの折りたたみの
硫安工業
の
体質改善計面
というのがございます。 この
要旨
を簡単に
説明
さしていただきますと、今申し上げましたように、
硫安工業
というのが、バルク・
ライン方式
という
価格決定
でありまして、
輸出
が、世界の
競争
が激化しました結果、今申し上げましたように二面十五億の
赤字
を出しております。実際上の
赤字
は百二十五億でございますが、
帳簿
上の
赤字
は今御
説明
しました二百十五億出した。それでこういうことをほおっておいたならば、
硫安工業
の
再建
はできないし、
肥料工業
が
化学工業
の中で二六%という大きいウエートを占めておりまして、したがって、
硫安工業
が不況のどん底へ陥れば、ほかの
化学工業
の振興もできないということで、これを何とかしなければいけないということの
対策
として決定されたのが、この
硫安
の
工業対策
でございます。この
内容
というのは、いわゆる従来出ました
赤字
を解消してやろうというのが
一つ
と、それから第二が、今後は、
肥料
というのは
農民
の
基本資材
であるから、できるだけ安い
肥料
を
農民
に供給する、そのためにはどうすればいいかということが第二でございまして、その
対策
としましては、
肥料形態
がだんだん変わっておる。今は
硫安
から、
尿素
、
高度化成
というのがすごい勢いで伸びております。したがって、そういう
肥料形態
の
転換
をはかっていく、それから大きい
意味
の
肥料合理化
は一
硫安
というようなことでは行き詰まるであろうから、
アンモニア
というのを
多角利用
しまして、フルに
生産
させて、安い
アンモニア
を供給して、安い
窒素系
の
肥料
を作らせるというのが、二にうたっている
趣旨
でございます。 それから第三が、
政府
が今までの
赤字
をいわゆるしりぬぐいするならば、今後
硫安業界
というのは、今後の
赤字
というのを償うことができる、ということは、FOBで売ったという
帳簿
の
つけ方
をしなさいというのが第三でございます。 それから第四が、こういうことをしましても、二百十五億円というのは一挙には落とせないから、新しい
法律
を出しまして国会の御
審議
をいただきたいというのが第四でございます。 こういう
内容
の
閣議決定
に基づきまして、ここに次の四枚つづりくらいの表の「
硫安工業
の
体質改善計画
について」という具体的な案を取り上げた次第でございます。 それでこの要点は、今私が申し上げました
基本対策
のいわゆる細目でございまして、具体的にどうするかということをここに書いた次第でございますが、
硫安
の今後の
肥料工業
の推移というのをごらんいただきたいと思いますが、第四ページをごらんいただきたいと思います。これは今後の
肥料政策
として趨勢をはっきり書いておるつもりでございますが、四ページをごらんいただきますと、
硫安
、
尿素
、
高度化成
、
塩安
、計と書いてございますが、この
硫安
のほろを見ていただきますと、三十六
肥料年度
には、
生産
の
合計
が二百三十二万トンでございます。四十二年がその
生産
の計が百八十万トンでございまして、
硫安
全体が相当減っていっている、相当というが、大幅に減っているわけであります。ところが、その
内容
をみますと、三十六年では、
合成硫安
、これは
硫安
を作るための
硫安
でございますが、これが百八十二万トン、ところが四十二
肥料年度
ではその半分以下の八十四万トンに下がっちゃう。ところが
合成硫安
の下の
回収硫安
、これはいわゆるナイロンなんか作るときの
原料
であるラクタムの製造の際、自動的に出てくる
硫安
でございますが、これが三十六年は二十八万トンであったのが、四十二
肥料年度
は六十四万トン、倍以上にふえる。それから、副産
硫安
というのは、これは
鉄鋼会社
、あるいは
ガス会社
から出る色のついた
硫安
でございまして、性能は全く同じでございますが、これは三十六
肥料年度
は二十二万トンであったのが、四十二
肥料年度
は三十二万トンになっているということで、
硫安そのもの
が相当減る上に、中身といたしまして
硫安
を
生産
するための、
生産
をしている
合成硫安
というものが減りまして、それよりも安い
回収
とか副産
硫安
というものが大幅にふえているということがこの表によってもわかると思いますし、この表の将来の見通しにつきましては、農林省の
資料
でございまして、それから
生産能力
については通産省のいわゆる
政府
の
資料
でございますが、こういう傾向になっております。 その下の
尿素
につきましては、御
説明
する必要がないと思いますが、…十六
肥料年度
は百六十五万トンの
尿素
というものが、四十二
肥料年度
は二百万トンをこすということでございますし、その下の
高度化成肥料
になりますと、
高度化成
というのは、
肥料
の三要素というのが混った
肥料
でございますが、この
高度化成
がわずか三十六
肥料年度
は四十八万トンであったのが、四十二年は倍以上の百八万トンに伸びている、こういう非常に
肥料
の
形態
の
転換
が今後行なわれるのでありまして、特に
高度化成
というものは、非常に伸びが著しいということになるわけであります。 こういう
肥料形態
の
転換
が行なわれるのであるのでありまして、それで、
肥料自体
にもそういう問題が、革命的な問題がありますが、それではこの
基本原料
である
アンモニア
というものにつきまして、どう考えるかということが、
アンモニア
の
多角利用
でございまして、
アンモニア
の七割というものが
肥料
に向けられておりますが、今後は
アンモニア
の六割が
肥料
に向けられる。
残り
が
最後
の七ページというところに書いてございますが、たとえば
硫安工業
の
体質改善
のためにどういうものを作って、
アンモニア
の
総合利用
をはかって、
アンモニア
の
フル操業
をやって、ほかの製品を作ると同時に、
肥料
の
合理化
をはかっていくというものの一例でございますが、たとえば、いろいろ各
会社
も非常に思い切った
合理化
をやっております。この表をごらんいただきますと、たとえばAという
会社
のごときは、これをアクリルニトリル、これは
カシミロンあたり
の
繊維原料
でございまして、これを作るときに自動的に
回収硫安
が出る。それからカンロン、農薬、いろいろの
計画
を持っておりまして、総合的に今後は
合理化
をはかっていく、こういうことでございます。 以上簡単でございますが、
説明
を終わります。
赤間文三
5
○
委員長
(
赤間文三
君) 以上で
補足説明
は終了いたしました。 それではこれから
質疑
に入ります。御
質疑
のおありの方は順次御発言を願います。
中田吉雄
6
○
中田吉雄
君
硫安
の
輸出赤字
の
累積
が二百十五億にも達しまして、従来これが
赤字対策
についていろいろ検討が行なわれていましたが、今回の
立法措置
になりまして、十年間の
繰り延べ償却
をするということになったのであります。この
赤字
の
累積
は、
肥料
二法を実施しまして十年間、いわば
肥料
二法並びに
政府
の
肥料政策
がこの二百十五億の
赤字
に集中的に表現されておると思うわけであります。 そこでこの
審議
にあたりまして、多額の
輸出赤字
の
累積
しましたそれを余儀なくしたわが
硫安工業
の将来、現状あるいは
肥料
二法をどうするかというようなことをお伺いしてみたいと思うのですが、まず、その前にただいま御
説明
になったんですが、この
輸出赤字
の二百士五億円というものの内訳について、この
貸借対照表
には
取り立て不能見込み
額として
輸出硫安損失繰り延べ金
として二百十五億を計上するようになっていますが、実際は百二十五億である。それを
開銀
の
融資
、
租税特別措置
で埋めていくというふうになっていますが、その
数字
の
関係
をもう少し、
輸出硫安繰り延べ損失
としては
貸借対照表
に
資産
として二百十五億と計上するが、実際の実損ですか、実損といいますか、それは百二十五億ですか。それに対する手当を
融資
なり、
租税特別措置
でやる。その
関係
でた
いぶ衆議院
の
速記録
を見ても、
局長
と久保田さんの
質疑
のやりとりがあるが、まあわからぬがということで次に移っていますが、その
関係
を少しはっきりしていただきたい。
倉八正
7
○
政府委員
(倉八正君) 二百十五億と百二十五億の
関係
、それと
経理
上の
関係
について御
説明
いたします。二百十五億というのは
国内
の
マル公
とそれから
輸出
した額の差でございます。たとえば具体的な例を申し上げますと、現存の
マル公
が五十一ドル八十一セントくらい。ところが実際は
輸出
は三十六ドルくらいでございます。したがいまして、引いた
数字
が十五ドルくらいなんでございますが、これが
輸出赤字
でございます。これがいわゆる今御
審議
を願う
法案
の中の
輸出赤字
でございます。ところが
会社
によりますと、ある
会社
は
生産費
というのが五十ドルでたとえばできるという
会社
があるとしますと、そのある
会社
については十五ドルの差損ではなくて、五十ドル引くの三十六ドルということで、実際の差が、
実質
上の損は十四ドルということでございまして、この十五ドルに相当するものが二百十五億円でありまして、その十四ドルに
——
今私の上げました
数字
で申し上げますと、十四ドルに相当するのが百二十五億で歩あります。ところがこれを
帳簿
上どう
経理
するかと申しますと、
輸出硫安売掛金
ということで
資産
の部の
流動資産
の部に十五ドルなら十五ドルということを掲げるわけでありまして、それが中心になりまして
会社
の
貸借対照表
ができておるわけであります。したがいまして、この
数字
が
二つ
、
先生
の御
指摘
のようにありますし、この
実質
上の
赤字
につきましては、御
指摘
のとおりに、
開銀
の
融資
とかあるいは
政府
のいろいろの
政策
によって、それを穴埋めしていく。ところがその売
掛代金
につきましては
帳簿
上はあくまで十五ドルとしての
売掛金
、二百十五億としての
売掛金
が載っておりまして、これはことによっては返ってくるかも知れぬということでちゃんと
会社
はそれで
経理
しておるわけであります。ところが去年の
閣議決定
によりまして、
政府
はその分については
実質
上の
赤字
を埋めてやったので、
帳簿
上の
赤字
は
各社
が持って帰って自分で
償却
しなさいという
方式
をきめた次第でございます。したがって、それを消すための
法律
がこれでございまして、これは非常に
技術
的な問題でございまして、ちょっと私、口べたですから、
先生
に御了解いただいたかどうか知りませんが、
帳簿
上の問題と実際上の問題がそこにちょっとその返りがあるということを御了承いただければよかろうと思います。
中田吉雄
8
○
中田吉雄
君 その
関係
はわかるのですが、もう少しこの二百十五億のうちで
コスト割れ
のものが百二十五億、そうして
租税特別措置
で五十二億ですか、そうして七十三億を
開銀
の
融資
で六分五厘の
特利
で、
市中銀行
との借りたやつの
差額
で見るというふうになっておるのですが、そうしますと、この
租税特別措置
の
種類別
の五十二億のそれはわかっておりますか。
倉八正
9
○
政府委員
(倉八正君) わかっております。では御
説明
申し上げます。これは大体今までとられた方策が五つございまして、大きく言えば
二つ
と言えるかと思いますが、今
先生
の御
指摘
のように、
租税特別措置法
の改正によりまして、
損金算入
を認め、
減税額——減税
といいますか、従来払い過ぎの税をそこで返してやるという
メリット
が二十三億円、それから
輸出所得控除
の
関係
でここで
減税メリット
をやったわけでございますが、これが九億円、それから
開銀融資
を御
承知
のように今から二年前に八十億つけまして、
硫安合理化計画
をやっておるのでありますが、その
開銀融資
の八十億の
メリット
が十七億円、それから
尿素
の
設備
の
特別償却
も
租税特別措置法
に基づきまして実施しておるのでありますが、これが約三億円、以上で
先生
御
指摘
の五十二億になるわけであります。 これが従来とりました
租税特別措置法
に基づくいわゆる
対策
でございますが、それから第二としましてとりましたのが、今御
指摘
の百三億も昨年十二月二十人目の
閣議決定
できまりまして、今年三月の終わりに出しました百三億というのは、
硫安
十六社が借りておる金の一部を
低利融資
の百三億を出しまして借りかえをやった、その
金利メリット
が
複利計算
をやりますと七十三億でありまして、したがいまして
合計
は御
指摘
の百二十五億、こういうことになります。
中田吉雄
10
○
中田吉雄
君 ただいまの御
説明
の
租税特別措置
その他
特別償却
などの
数字
をはっきりこの次の機会までに印刷にしてお願いしたいと思います。その点はどらですか。
倉八正
11
○
政府委員
(倉八正君) この点は、この次の
審議
までお届けいたします。
中田吉雄
12
○
中田吉雄
君 そこでお伺いしたいのですが、第一次
合理化計画
、第二次
合理化計画
で、第二次はことしで終わるのですが、そういうふうに二回も
合理化計画
を実際やりながら
——
それで
農民
には低廉な
肥料
を供給し、
十分国際競争
にもたえるというふうに、そういうことを含めて、
内需
に対してもあるいは
輸出
の
関係
からも二回の
合理化計画
をやっておきながら、こういう
赤字
が出てくる。これは一体どういうふうに理解されているか。たとえば、私の持っています
資料
からしましても、非常にいろいろな面でそごを来たしている。私はこの中に問題の解決の糸口があるんじゃないかというふうに思うのですが、たとえば、第一次
合理化計画
、第二次
合理化計画
とも、
設備資金
並びに
生産能力
では、
二つ
の
計画
とも
計画
以上に上回っているわけなんです。ところが
コスト引き下げ
が
計画どおり
にいってない。これは私は
二つ
の
合理化計画
を見て非常に重要な点だと思う。あとでも、ですから今度の三十七年十二月二十人目の
閣議決定
の
硫安工業対策
が再びそういうあやまちを犯さぬかどうかを見ますために、たとえば、
生産能力
では
昭和
二十八年から三十二年の
計画
では三百十一万九千トンであったものが、四百三十六万二千トンになり、
資金計画
では二百三億であったものが六百三億と、四百億も
投資
はよけいであり、第二次の
合理化計画
を見ましても、
生産能力
では五、百四十四であったものが六百九十七万トンになっており、
設備資金
でも四百八十億ですか、であったものが七百八士五億と三百億も
投資
がよけいになって、とにかく
生産能力
と
投資
のほらは
計画
以上にいっているが、
コスト
の
引き下げ
のほうは
計画どおり
にいっていないんじゃないかと思うのですが、ここに私は、これは
大臣
にもお尋ねしたいと思っておったのですが、
局長
のほうがよく御存じだと思うのですが、二回の
計画
とも
生産能力
、
資本投下
では
計画
以上にいっているが、
コスト
・ダウンは
計画どおり
にいっていない、こういうところに問題が伏在するんじゃないか、この点はどうですか。
倉八正
13
○
政府委員
(倉八正君) 結果的に見ますれば、確かにそういうことになろうかと思いますが、と申しますのは、第一次の五カ年
計画
というのが大体二十九
肥料年度
から三十三
肥料年度
を
目標
としたわけでございまして、御
承知
のように、当時の六十五ドルを大体五十二ドルに下げるという
目標
を立てたわけでありますが、実際の実績は御
指摘
のように五十四ドルになったわけであります。これの
原因
というのをつぶさに研究してみますと、当時の
合理化
の
目標
というのが、
石炭
と
コークス
と
電力
を下げるというのが一番の大きい
目標
であったわけであります。ところがこの当時のその
目標
が、
石炭
は上がりますし、したがって
コークス
も上がる、
電力
というのも予定しておったよりもはるかに上がったということで、とうとう遺憾ながら五十二ドルにまでは達しなかったわけであります。それから第二次をその後始めておりますが、これはいわゆる
アンモニア
の
固体原料
から
流体原料
への
転換
ということでやっておりますが、これもいろいろ当時予測できないようないわゆるアンノウン・ファクターというのが出まして、
利潤抜き
の四十三ドル、四十八には達しないで、まことにその点はわれわれとしても遺憾に存ずるわけでありますが、今
先生
の御
指摘
になりましたように、
設備
が増大して
投下資本
も
計画
よりもはるかにふえたが、
価格
が下がらぬじゃないかということの
関係
でございますが、この
設備
が結果的に見ますと伸びたという点につきましては、当時
内需
も
輸出
ももっと大幅に伸びるだろうと思っておった
硫安
というのが、意外に伸びなかったというのも
一つ
の
原因
でありますし、それからもう
一つ
の
原因
というのは、当時は
アンモニア
の、全体から見ますと、なるほど相当の
過剰設備
かもしれませんが、
個々
の
会社
から見ますと、あまり
合理化
を達成する
単位
に達していなかった、ある場合には
アンモニア
一基しか持たなかった、
アンモニア
の
合成塔
を常識的に言えば二基三基持つのが一番合理的でございます。したがいまして、そういういわゆる
経済単位
にできるだけ近づけるようにするために増設をしたということも
一つ
の
原因
でありますし、もう
一つ
言えますことは、世界的に
アンモニア
の外国のいい
技術
が入り出したのは、実際は
昭和
三十三年からであります。御
承知
のように、
ハウザー法
なんか代表的な
アンモニア
の
生産
の
技術
だろうと思いますが、それを
ヨーロッパ諸国
が開放したのが
昭和
三十二年であります。したがって、日本が入れ始めたのが
昭和
三十三年からでございますから、したがってそれを切りかえたということは大きな
意味
の
合理化
ということで、
政府
も取り上げをはかったと同時に、同じ従来百トンといった
アンモニア
が、
ハウザー法
によって百四十万トンもできるようになったというようなことでございまして、確かに
生産
と
設備
から見れば相当アンバランスがあるじゃないかというのは全く
先生
の御
指摘
のとおりですが、事実上はそういう
関係
になったということを申し上げたいと思います。
中田吉雄
14
○
中田吉雄
君 第一次
合理化計画
では、トン当たりただいま六十五ドルを五十二ドルに
引き下げ
ると言われたのですが、五十ドルとは違いますか、その点。
倉八正
15
○
政府委員
(倉八正君) おっしゃるとおりでございます。取り消します。五十ドルでございます。
中田吉雄
16
○
中田吉雄
君 私はたとえばただいまのような
硫安
のもっと消費が伸びるんじゃないかという見通しの狂い等もあると思うのですが、臨時
肥料
需給安定法の第三条には、「農林
大臣
及び
通商産業大臣
は、
肥料
審議
会の意見を聞いて、毎
肥料年度
の開始前に
——
需給
計画
を」云々とあって、そういうことに基づきまして、二十九年から三十三年ですか、やっておられるのですが、とにかく
生産能力
は、
計画
は三百十二万トンのものが四百三十六万トンもでき、それから
設備
投下では
合理化
資金の
計画
では二百十三億であったものが六百十三億も、これは四百億も
設備資金
がよけい投ぜられておる。第二次
合理化計画
はさきに申し上げましたように、くどいようですが五百四十四万トンが六百九十八万トン、
設備資金
では四百八十億が七百八十六億と三百億もいっているのに、
コスト
ダウンができないというのは、私はこの点は製造単価を下げるよりか量産をしてシェアの獲得を他社より急ぐというような、ある
意味
では需給
計画
にのっとらぬ、何でもとにかく
国内
あるいは
輸出
市場のシェアの拡大を
各社
が量産して急ぐということで、東京部民銀行の頭取はあの
設備
拡大の最中に、金は貸す、しかしその量を多く作るというのには貸せない、しかし、
コスト引き下げ
の、そういう
意味
の
投資
をやるのなら貸そうと言って、大体あやまちがなかったというのですが、私はやはりこの点が非常に
生産能力
、投下実績は
計画
以上にいきながら、
コスト
・ダウンができなんだというのは、製造単価を下げて
農民
に安い
肥料
を供給し、国際
競争
にたえるというよりか、内外のシェアの拡大、自社のシェアの拡大、市場の拡大を急ぐという経営者の、それも
合理化
と言えるでしょうが、そういう方針がやはりこういう結果になってきたのじゃないか。私は今度の決定で、FOBで今度もうめんどうみないといっても、やはりそういう点についての第一次
合理化計画
、第二次
合理化計画
が二百十五億も
赤字
を生んだことに対する十分な分析と反省なしにはまたやはりあやまちをおかすと思うのですが、それはどうなんですか。私はシェアの拡大、よそよりか量産して、とにかく量をふやして
コスト引き下げ
よりか、あとからも
輸出
会社
の問題は触れたいと思うのですが、あれをクッションにして、あれがあることによって量産を急いで、そういう結果になったのじゃないかと思うのですが、その点はどらですか。
倉八正
17
○
政府委員
(倉八正君) 今
先生
の御
指摘
の要因もあろうかと思いますが、
アンモニア
の能力がふえましたのは、ほかにもいろいろ
原因
があるわけでありまして、実は当時まだ起こらなかった
尿素
というのが非常に出てきた。それからたとえば
塩安
という別な
生産
面からソーダ灰との併産法ですが、そういうものが出てきて、それも結果的には大きい
設備
になったということでございますが、今の仕組上なかなか
先生
の御
指摘
のような、ある特定の
会社
のみに集中させるということは非常にむずかしい、あるいはできないわけであります。と申しますのは、今の仕組が御
承知
のように、バルク・ラインでございますから、
各社
はバルク・ラインに入れたい入れたいということで、それを目当てにしてあらゆる努力を続けているわけであります。したがいまして、ある場合には一基しか持たなかった
アンモニア
設備
を二基持ちたいという希望にも、そういう考えにもなりましょうし、それからある場合にはこれを百トンの能力で、さっき申し上げましたように、たとえば
ハウザー法
によって百三十トンも作るようなやり方をしたりということでございまして、結果的には確かに何か
設備
が非常にふえ過ぎたんじゃないかということでございますが、その動機というのは、やはり各
会社
がバルク・ライン内に人よりも一歩先に入りたいというのが、私は一番大きい動機ではなかったかと、こら考えます。
赤間文三
18
○
委員長
(
赤間文三
君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
赤間文三
19
○
委員長
(
赤間文三
君) 速記を始めて。
向井長年
20
○向井長年君 一点だけです。このたびの通常国会で通産省から出されておりますこの
法案
の中で、特に今
審議
をいたしております
硫安
の問題につきましては、三月上旬上程の予定としてこういう名称を仮称としてつけているわけなんです。
商法
の特例に関する
法律案
、これはもちろん仮称ですが、こういう形で出されておったのが、今回この
輸出硫安売掛金経理臨時措置法案
、こういう
法案
の名称に変わってきたわけです。これは何か特別なものがあったわけですか。どういう
意味
でこの予定がこのように変わられたのか。
福田一
21
○国務
大臣
(福田一君) それは全然
意味
がないといいますか、ただ単に、この同じ
内容
でございましたけれどもが、しかし、この
輸出硫安売掛金
経理
臨時措置法というと、
内容
がはっきりするんじゃないか。何か
商法
の特例ということになりますと、ちょっと法務
委員
会か何かでやるようなことになってしまうし、
実質
は今お願いをしているようなことでありますから、その
実質
のことをすっかり前へ出したほうがいいんじゃないかということになりまして、その名前に変わった、これが実相でございます。
向井長年
22
○向井長年君 そうすると、事実上は
商法
の特例であるというやつをこういう名前で提出したということですか。
商法
の特例、そういうことになりますか。
福田一
23
○国務
大臣
(福田一君) そうです。
中田吉雄
24
○
中田吉雄
君
大臣
おられぬ前にちょっとやっておったんですが、第一次
合理化計画
、第二次
合理化計画
で
生産能力
、
設備
投資
、
資本投下
ですね。その両方は
計画
以上にいっているのに、とにかく
コスト引き下げ
だけが
計画どおり
にいっていないということの
説明
を
局長
から伺ったんです。わからぬこともないんですが、この臨時
肥料
需給安定法の第三条には、やはり農林
大臣
と通産
大臣
が
肥料
審議
会の意見を聞いて、毎
肥料年度
の需給
計画
を立てられるわけなんでしょう。そういうことに
会社
が、自由
競争
ですから、自由企業ですから従わぬというようなことになるなら、あとでも申し述べたいと思うんですが、予期以上の手当だ、一部の業界あるいは評論界では、オンの字がつくほど、とにかく予期以上の手当だとも言われているんですが、そういうことをすることはどうなんでしょう。大体福田
大臣
の就任前にできたこれは
赤字
なんですが、ほんとうはやはりこの需給
計画
を立てる責任が私はあると思うんですが、その
関係
はどうなんですか。
福田一
25
○国務
大臣
(福田一君) ただいまの私のほうの
局長
との御質問の
内容
を承っておりまして、なかなかごもっともな御質問であると私も理解しておったのでありますが、今あります
法律
というものの根本の
趣旨
は、できるだけ安い
肥料
、安くてしかも十分な
硫安
を農家に供給しようというのが根本の精神できておりまして、その
意味
でスタートをいたしました。その時分には、まだ
塩安
とかあるいは
尿素
とかいうものはそれほどウエートを持っておらなかったことは御
承知
のとおりであります。ところが、今日本の化学
肥料
といいますか、
化学工業
自体が、
硫安
といいますか、こういうような
アンモニア
系の化学
肥料
を中心にしてずいぶん伸びを示してきておりまして、
硫安
だけでなくて、そのほかの仕事に
硫安
を作っておる各
会社
が非常な意欲を燃やしたということも手伝いまして、実は今仰せになったような、供給の
関係
よりは十分にそれは実現でき、あるいはそれ以上になったにかかわらず、
価格
のほうはそれほど思ったほどまでいかなかったんじゃないかというようなこともあります。これはまあ見込み違いの面も
政府
としてもあるし、経営者としてもあったと思うのでありまして、その点はいささかわれわれとしても考えなければならないところがあったと思いますが、しかし、今
中田
さんのおっしゃったように、経済は生きものでありますから、その
会社
々々が将来発展していくためには、やはり
硫安
だけではなくて、こういうものもやらにゃいかぬ、ああいうものもやらにゃいかぬというんで、多角経営的な仕事をやり出した。それとの関連において
資金計画
というようなものを見ていくものですから、そこら辺にいろいろの事情が出て参りまして、今日のような
赤字
が出たということにも相なるわけであります。しかし、本来のこの二法の目的であった安くてそして十分な
硫安
を農家に提供するという目的は、大部分やはり達成できているのではないか。しかし、それに対してあまりにも手厚い
保護
になり過ぎはしたいかということでございますが、実際問題見ていただいてもわかりますように、今のところ、化学
肥料
の株価を見ていただくとわかりますが、一時非常に悪くて、一生懸命努力したにかかわらず、株価はみんな額面以下というようなことであったということは、必ずしもそれで非常にもうかったとか、もうけたというようなことではなくて、むしろマイナスのもののほうが多かった実情であり、中には、
日東化学
みたいに社長までかわってしまうというような悲惨な状況が起きた
会社
もあるわけでありまして、私たちといたしましては、まあまあ今回の措置はやむを得ない、まあまあこの程度は見てやってもいいじゃないか。特に今後は
輸出
による
赤字
というものは見ないということになりますと、年間やはり今の数量を
輸出
するということになれば、
硫安
でかれこれ二十億円ぐらい
実質
赤字
が出るんじゃないかという感じがするわけでありまして、そういうことはもう、それを
国内
の
硫安
価格
には決して響かせないというか、それがゆえに
国内
価格
を上げるということは認めない。また、将来も、そういうようなことで
政府
に対してどうしてくれ、こうしてくれといっても、それは認めないという、これは厳重な実は申し渡しをいたしておるのでありまして、この点については大蔵省も非常にもうシビアーである。この点がはっきりしない限りは断じてもう
合理化
資金なんかは出さぬということであったわけであり、またそういうことになっている。われわれとしても、今後
硫安
製造
会社
からこの種の陳情があっても、通産省としてはそれを受けつけるつもりはございません。でありまして、まあお説の、いわゆる実際には値段が思ったほど下がっておらんじゃないかということについては、われわれもそのとおりだと思うのでありますが、今後、これだけの措置をとったからといっても、
硫安
会社
、決してそう楽じゃない。
硫安
を作るということについては、やはり
赤字
がどうしても
輸出
価格
で出てくるということだけはわかるけれども、それほど手厚いいわゆる措置をとったとは考えておりません。まあひとつこの程度で、やはり
農民
に対して安い、しかも十分な
硫安
を供給するということに今後もさしていきたい、こういう考え方でこの
法案
を出しておると、こういうわけでございます。
中田吉雄
26
○
中田吉雄
君 きょうはただいま言われたような、
農民
には転嫁せず、FOBで引き取ると言っても、
赤字
を積み立てさせない、ああいうしりぬぐいをしないという芸当が、私はできるかできんか、これはまた質問したいと思いますが、じゃ六月十三日に来ていただいて、要約的な質問を
大臣
に私もさせていただくということできょうはけっこうです。
赤間文三
27
○
委員長
(
赤間文三
君) 関連してどなたか
大臣
に御質問がありましたら……。
中田吉雄
28
○
中田吉雄
君
局長
が、さきにこういうふうに
生産能力
もあるいは資本の投下実績もオーバーになったのは、このバルク・ラインの中に入りたい、しかし、それはまあ
設備
を拡大して量産で単価を下げて入るという方法もあると思うのです。しかし、そうでなしに、やはり当初の
計画
は、もっと質的な、やはり
生産
性を上げるというか、そういう形でバルク・ラインの中に入る
——
あれは一番
生産費
の安いものからずっと取っていって、
内需
を満たすだけの助成金ですか、そういうふうなバルク・ラインの中に入るには二通りあると思うのです。
局長
の言われたような入り方もあるでしょう、量産をやってです。しかし、それはもうそういうことが可能だというのは、内外の需給にぴったり合う見通しがついていないとこれはできないことで、やはり私は重要なことはそういう量産を拡大して単価を下げていくというよりか、そうでなしに、やはり
設備
——
いろいろな、先に言われたような
合理化計画
の多角的な実施によって、質的な
対策
によって単価を下げていくというのだったと思うのですが、そのほうを軽く見ていったためじゃないかと思うのですが、どうなんですか。
倉八正
29
○
政府委員
(倉八正君) 当時としては確かにまあ
先生
の言われたようなこともあったと思います。それで、われわれとしましては、いろいろの、今
昭和
二十九年来続いたこの
法律
による
合理化
——
合理化
というのはまあ永久的なものでございます。で、これも従来のそういうこともわれわれも深く反省しまして、今後の
対策
というのは、もっぱら
先生
の仰せのように、質的な
体質改善
をやる、こういうふうに考えております。それで、たとえば従来も質的改善を通産省としまして決してネグレクトをしておった
関係
じゃないのでございまして、一例をあげますと、新潟にありますある
肥料
会社
、それから秋田にあるある
肥料
会社
のごときは、天然ガスからやりまして、これは現在でも最も安い
肥料
を作っております。御存じのとおりであると思いますが、そういうふうな質的な改善というのも、従来は決して等閑視しておったわけじゃないのでありますが、何といいましてもある
生産
限度
に立つまでは量産によるというのが装置工業の宿命と申しますか、そういう運命にあります
関係
上、量産が先に立ったということは、これはわれわれとしても全面的に否定はできないだろうと思います。したがいまして、今仰せのように、今後は質的な改善というものをわれわれもそれを標榜いたしまして、たとえば今後出てきますいろいろの
尿素
とか
高度化成
につきましても、むやみにあっちこっちに作るな、質のいいところを、いい
技術
でいい経営方針でやれということで、われわれはそれを第一の標語に掲げて今実施しております。
中田吉雄
30
○
中田吉雄
君
提案理由
におきましても述べておられますが、ここ数年来
硫安
の国際的な
輸出
競争
が非常に厳しく、その結果、
各社
の
合理化
の努力にもかかわらず、
赤字
が年々増大してきておるわけですが、この国際
競争
の激化の実態と、今後の見通しを的確に把握することが、
硫安工業
の将来を占うために非常に必要だと思うのですが、そこで、この激しい国際
競争
の
硫安
市場の中で、わが国の
硫安工業
は一体どういう地位に置かれているのだ、すなわち、はっきり言いますれば、各国の
輸出
価格
とわが国の
輸出
価格
、あるいは各国が
内需
に向けている
価格
というようなものを比較して特にお示しを願いたい。
倉八正
31
○
政府委員
(倉八正君) 今仰せのとおり、特に
昭和
三十一年ごろから非常に国際
競争
が激化いたしまして、当時
輸出
価格
というのはたしか五十九ドルくらいだったと思いますが、現在はさっきもちょっと触れましたように、日本は三十六ドル台になっております。それを各国の例を一、二申し上げますと、今西ドイツでは
国内
価格
が六十三ドル、これは一年前の
数字
で、最近の
資料
はちょっと取りにくいのでございますが、たとえば一年前六十三ドルの
国内
価格
に対しまして、
輸出
価格
が三十二ドル、それで
国内
については六ドル五十セントの
農民
補給金をドイツはやっております。それからイギリスが
国内
価格
が五十六ドル、それから
輸出
価格
が三十五ドル。イギリスについては御
承知
のように、大体この四割五分程度の
農民
補給金を出しております。二十四ドルという補給金を出しております。それからフランスでございますが、フランスが
国内
価格
が六十一ドル、それから
輸出
価格
が三十六ドルくらい。それからアメリカが
国内
価格
が五十五ドル、それから
輸出
価格
が三十八ドルくらい。日本は五十一ドルでございます。五十一ドル八十セントくらいの
国内
価格
で、世界に比べまして一番低いのでありますが、それから
輸出
価格
が一昨年くらいは四十ドル、現在は三十ドル四、五十セント、四十セントから五十セントでございまして、日本としましては
国内
の問題もありますから、できるだけ高く売りたい売りたいということを努力しまして、幸い、台湾だとか朝鮮というのは、日本の
輸出
硫安
の伝統ある圏内としまして非常に日本に依存しております
関係
上、割合、外国に比べれば大体高いほうの部数で売っておるということが、
数字
によってもおわかりになるかと思います。
中田吉雄
32
○
中田吉雄
君 日本を含めて
硫安
に関して国際市場に進出しておる各国は、これは
国内
の
価格
と
輸出
価格
と二重になっているようですが、さきにも御
説明
がありましたように、西ドイツとイギリスだけがこの補給金制度といいますか、をとっているような
説明
があったわけですが、他国はどうなんですか、他の国は。
倉八正
33
○
政府委員
(倉八正君) いろいろ調査をしておりますが、他国は
肥料
に対する
農民
補給金はとっていなかろうと私は思います。今御
指摘
の、有名な国としては、西ドイツとイギリスが非常に長い前からとっておりまして、ほかのイタリア、フランス、ベルギー、オランダというのがそのほかの
肥料
の大きい
生産
国でございますが、この国については、私の調査した限りにおいては、
農民
に対する
肥料
補給金はないと思います。
中田吉雄
34
○
中田吉雄
君 日本のこの
肥料
二法施行以来の
国内
価格
と
輸出
価格
の比較の一覧表を、この次でけっこうですからお願いしたいんですが、それはできますか。
倉八正
35
○
政府委員
(倉八正君) 提出いたします。
中田吉雄
36
○
中田吉雄
君 その際には、トン当たりもありますし、四十キロかますですか、普通、わかりやすいようにかます当たりのやつも、四十キロですね、それもひとつお願いしておきます。
倉八正
37
○
政府委員
(倉八正君) あわせて提出いたします。
中田吉雄
38
○
中田吉雄
君
局長
は、まあ日本の
内需
価格
が一番安いように言われている。私の聞き違いかもしれぬですが、イタリアが一番安いのじゃないですか。その点はどうなんですか。
倉八正
39
○
政府委員
(倉八正君) イタリアの
価格
というのは、非常にこれは御
承知
のように、人絹なんかもイタリアが世界を制覇して
輸出
でいろいろ問題を起こしておりますが、これはとりにくいのでございますが、モンティカティニの
数字
は御
指摘
のように、昨年が四十八ドル、四十九でございます。それから見ますれば、日本は世界で一番低いか二番に低いか知りませんが、イタリアのモンティカティニの
数字
に比べれば、確かに日本はまだ三ドル程度高いのでございますが、これはイタリア全体の
国内
の市価がなかなかわかりませんから、モンティカティニの
数字
だけお答えいたしました。
中田吉雄
40
○
中田吉雄
君
輸出
競争
の、諸外国の
輸出
価格
を見ますると、ただいまもいろいろ御
説明
がありましたが、西独が三十二ドル十九セント、イギリスが三十五ドル八十六セント、イタリアが三十二ドル五十セント、オランダが三十二ドル三十六セントですか、いずれもわが国よりかなり安いようであります。これは大規模工場による
生産
のためか、ダンピングによるものか、一体どういうふうに見ておられますか。規模別の国際的な
価格
を示していただいて御
説明
を願いたい。
倉八正
41
○
政府委員
(倉八正君) これは御
指摘
のように両方でございます。と申しますのは、普通の物資だったらば大体
輸出
価格
と
国内
価格
というものはプールして出すのが普通のありとあらゆるもののやり方がそうだと思いますが、この西ドイツのごときは六ドル五十セントの
農民
補給金をもらっておるということは、裏を返せば、六ドル五十セントの
輸出
補助金をもらっておるのと全く同じことであります。イギリスのごときは二十四ドル十一セントというものを一トンについて
農民
補給金をもらっておりまして、それは即
輸出
補助金といえるかと思います。 そういうのが
一つ
と、それからもう
一つ
先生
の御
指摘
になりましたように、合成
硫安そのもの
の規模は日本も決して世界的に劣ってはおりませんが、いわゆる経営
形態
と申しますか、そういうのが日本と全くといってもいいように違います。御
承知
のように日本の最も
競争
相手であるイタリアは二社でございます。アニックというのと、モンティカティニというのと、アニックというのは国策
会社
であります、二社であります。イギリスがICIというのが大部分で、そのほかに四社くらいございます。それから西ドイツは御
承知
のようにIG系の三社でございます。それからフランスもサンゴバンとか、それからあとちょっと名前を忘れましたが、たしか四社くらいだと思います。こういうふうにやって、外国としては
硫安そのもの
の農業構造に占める歩合というのは違うかと思いますが、
生産
形態
というのがそういうふうに全部集中しているということは、日本と根本的な違いだろう、こういうふうに思います。
中田吉雄
42
○
中田吉雄
君 西ドイツとイギリスが
農民
補助金を出してある
意味
ではダンピングとも言えるのですが、しかし、日本と有力な
競争
相手であります西ドイツ等見ましても、
アンモニア
工業の規模というものがけたはずれだと思うわけです。そういう点で私の持っている
資料
では、
アンモニア
工業の規模でも非常に違っておる。非常に違っているのですが、たとえば、そういうことまで含んだ
合理化計画
をやらぬと
——
わが国にはそういうようなのはない。十九社くらいあるんですが、あるやつはそのままにして、そういう工場数のワク内で
合理化
をやっていこうとするのですから、EEC等の企業等を見ましても、なかなかこれは実際めんどうじゃないかと思うのですが、その点はどうなんですか。
倉八正
43
○
政府委員
(倉八正君) 全く仰せのとおりでございまして、集中
生産
と申しますか、大きい
合理化
をやるには大体
二つ
しかなかろうと思います。
一つ
は、今十六社の二十工場のうち、たとえば半分はやめてしまって、つぶしてしまって、
残り
の十社十工場なら十工場というのでやれといういき方。しかし、これには非常なる問題があるということは御了承いただけると思います。 それからもう
一つ
のいき方は、結局各
会社
が
肥料
部門の比率を少なくするというのが
合理化
の私は主
目標
でなくてはならぬと思います。と申しますのは、たとえばある
会社
のごとき
硫安
なら
硫安
を三割もやっておったらば、それが非常に動きのにぶい
会社
になってしまう。そうじゃなくて、
肥料
部門というのがきわめてその
会社
の一部分だということになりますと、ある場合には廃ガスを隣の棟から持ってきて、それに
アンモニア
をくっつけて
硫安
を作る、あるいはカプロラクタムを作る、こういうような多角経営というのが一番の今後の
合理化
の中心
——
きわめて大きい
意味
の
合理化
の中心でなくてはいけないと思います。具体的に申しますと、たとえば八幡製鉄なんかから出る副産
硫安
なんかは年間二千億以上の売り上げを持っておる。八幡製鉄から出る副産
硫安
というのはわずか六、七万トン程度でございまして、極端に言えばそういうのは値段はどうなってもいい、こういうことにはならぬかと思いますが、相当下がりましても
会社
それ自体の経営にはたいした影響はない、こういうふうな経営体に持っていって、しかもそれを安定経営体にするというのが今後の一番大きな
合理化
じゃないかと考えております。
中田吉雄
44
○
中田吉雄
君
輸出
競争
の非常に激しい中におきまして、わが国の
硫安
産業、
硫安工業
を
内需
を満たしながら
輸出
産業として育てる上におきましては、どうしても世界各国の
硫安
の
生産能力
、需要との
関係
というようなことについて、十分な正確な見通しを持つことが大切だと思うのですが、世界の人口増加の動向、低開発神域の食糧増産の必要等から見ると、まだ有望なようにも思う。それらのところにいろいろなプラントが最近できたりするようですが、それにもかかわらず、なお可能性はあるように思うのですが、その見通しはどうなんですか。
倉八正
45
○
政府委員
(倉八正君) その見通しにつきましては、実際は両論あると思います。今御
指摘
になりましたように、未開発国がだんだん農業増産をやって国民生活の向上とともに、消費の量がふえていくという点から見れば、まだまだ日本の近隣諸地域が例外なく未開発地域ですが、伸びるという非常に楽観的な見方があると思いますし、それから悲観的な見方は、今御
指摘
にありますように、日本自体でさえも今三カ国に
硫安
ないし
尿素
施設の
設備
を出して建設中でございますし、ヨーロッパの窒素七カ国というのがたとえばナイトレックスなど作りまして、非常に高性能だということになりますと、日本の見通しは暗いじゃないか、こういう両方の見方があろうかと思いますが、われわれとしましては、しかし近隣諸地域の未開発諸国が一番近いし、それから一番安定した供給国としては日本だろうということになりまして、今後とも
——
一時的にはいろいろ高低はあるかと思いますが、われわれとしましては
輸出
というものについては決して悲観的な見方はしておりません。
赤間文三
46
○
委員長
(
赤間文三
君) ちょっと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
赤間文三
47
○
委員長
(
赤間文三
君) 速記を始めて。
中田吉雄
48
○
中田吉雄
君 先にいただきました「
輸出硫安売掛金各社別一覧表
」というのと「
開銀
肩替り
融資
各社
別一覧表」というのがあって、一方は
会社
名があり、一方はABCになっておるが、大体これは同じことじゃないかと思うのですが、これは
融資
の
関係
もあると思うのですが、それはどうなんですか、実際。
倉八正
49
○
政府委員
(倉八正君) おっしゃるとおりでありまして、
融資
の
関係
がありますから、ABCとしただけであります。
赤間文三
50
○
委員長
(
赤間文三
君) 他に御発言もなければ、本案に対する
質疑
は本日はこの程度にとどめて、これにて散会をいたします。 午前十一時五十分散会