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1963-05-30 第43回国会 参議院 商工委員会 第27号
公式Web版
会議録情報
0
昭和三十八年五月三十日(木曜日) 午前十時五十二分開会
—————————————
委員
の異動 五月三十日 辞任
補欠選任
武藤
常介君 塩見 俊二君
—————————————
出席者
は左の通り。
理事
川上 為治君
岸田
幸雄
君
近藤
信一
君 向井 長年君
委員
剱木
亨弘
君 古池 信三君 豊田
雅孝
君 前田 久吉君
武藤
常介君 吉武 恵市君 阿部 竹松君 久保 等君 棒 繁夫君 中田 吉雄君 松澤 兼人君 国務大臣
通商産業大臣
福田 一君
政府委員
通商産業政務次
官 上林 忠次君
中小企業庁長官
樋詰
誠明君
中小企業庁振興
部長 加藤 悌次君
事務局側
常任委員会専門
員
小田橋貞寿
君
—————————————
本日の
会議
に付した案件 ○
中小企業投資育成株式会社法案
(内 閣提出、
衆議院送付
)
—————————————
〔
理事岸田幸雄
君
委員長席
に着く〕
岸田幸雄
1
○
理事
(
岸田幸雄
君) ただいまから
商工委員会
を開会いたします。 まず、
委員長
及び
理事打合会
の
協議事項
について御報告いたします。本日は、
中小企業投資育成株式会社法案
の
質疑
を続行いたすことになりましたから御了承願います。
—————————————
岸田幸雄
2
○
理事
(
岸田幸雄
君) それではこれより議事に入ります。
中小企業投資育成株式会社法案
を議題といたします。 前回に引き続いて
質疑
を行ないます。御
質疑
のおありの方は順次御発言を願います。
近藤信一
3
○
近藤信一
君 過日の
委員会
におきまして、私、やはり
中小企業投資育成株式会社法案
の概要についてちょっとお尋ねしたわけでございまするが、そのときに
長官
からも御
答弁
がございましたけれ
ども
、いま一度詳しく御
説明
をお願いいたしたいと思います。それは、この
法案
と、ただいま本
委員会
にも提案されておりますところの
中小企業基本法
、この
中小企業基本法
との
係関
は一体どういうところが大きく違っておるのか、また、そう大きな違いはないということであるのか、そういう点いま少し詳しく御
説明
を願いたいと思います。
樋詰誠明
4
○
政府委員
(
樋詰誠明君
)
中小企業基本法
は、いまさら申し上げるまでもなく、
先生
よく御
承知
のとおりでございますが、最近の社会的、
経済的中小企業
の
基盤
の変化に即応いたしまして、今後
日本経済
の中でも特に重要な地位を占める
中小企業
がますますその本来の使命を発揮し得るように、内外の
経済
的、社会的ないろいろの
条件
を整え、また、
自分自身
の独立する力を発揮させることができるように、いろいろの
条件
を整えてあげるということを
目的
とし、
中小企業
の
努力
の
目標等
を掲げるということを
目的
にしております。それには
金融
、財政、
経済
、労働、
科学技術
その他あらゆる面における
施策
、配慮というものを加えるべきであるというふうに規定しておるわけでございますが、まずその中で第二十五条におきまして、「国は、
中小企業
の
企業資本
の
充実
を図るため、
中小企業
に対する
投資
の
円滑化
のための
機関
の
整備
、
祖税負担
の適正化等必要な
施策
を講ずるものとする。」という規定がございます。この「
中小企業
に対する
投資
の
円滑化
のための
機関
の
整備
、」ということをひとつ
基本法
の中でうたっておるわけでございますが、この二十五条の条文を受けまして作られたのが今御
審議
をいただいております
投資育成会社法案
でございます。
先生
の今お尋ねの件は、あるいは
基本法
にいう定義と申しますか、
中小企業
の
範囲
とこの
投資育成会社
でいう
対象企業
との
関係
ということでございますならば、
中小企業基本法
におきましては、一応今まで
中小企業
ということでいろいろな
施策
の
対象
にしておりましたもの、これは御
承知
のように、
原則
として
資本金
一千万円か
従業員
三百人、
商業
、
サービス業
におきましては
資本金
一千万円かまたは
従業員
三十人ということで扱ってきたわけでございますが、最近の
実態
を見ますと、工業におきましては、
従業員
三百人
程度
を使っている
企業
は
原則
として
資本金
が五千万円
程度
に
増資
されているという
実態
が判明したわけでございます。また逆に
資本金
一千万円
程度
の
サービス会社
、
商業会社
というのは三十人でなくて五十人
程度
の人を使っているというのが最近の
実態
でございますので、その
実態
に合わせまして、
中小企業基本法
におきましては、
原則
として五千万円か三百人、
商業
につきましては一千万円か五十人という
実態
に合わせたとらえ方をするのが適当であろうというふうに規定いたしておりますが、しかもこれは
原則
でございますが、大むねそういうことで
施策ごと
にそれぞれの
法律
で不備があれは別途定めるということを取っておるわけでございます。このただいま御
審議
いただいております
投資育成会社
におきましては、差し当たりの
対象
を
資本金
五千万円以下の
会社
が
増資
をするという場合に、普通の
方法
では
増資
ができないという場合、その
増資
の
一定割合
をこの
投資育成会社
が持つことによって、
設備投資計画
その他が円滑に遂行できるような
増資
を実現させて参りたいということでございます。この五千万円というのは、たまたま
中小企業基本法
の五千万円と一致したような
格好
になっておりますが、この五千万円ということを取り上げましたのは、現在
株式
を
公開市場
で
一般大衆
との間で
売買
が認められますのは
資本金
の最低限が五千万円ということになっておるわけでございます。この
投資育成会社
のねらいは同族だけではなかなか
所要
の
増資
ができないという場合に、国、
地方公共団体
あるいは民間、財界というようなところで中立的な性格を持った
投資機関
を設けて、そこで
増資
の一部を引き受けてやろう。しかもその引き受ける
目的
はできるだけすみやかに
公開市場
に
株式
をつなぐことができることにしようという見地からやっておりますので、そういう
意味
で
店頭売買
の
対象
として登録されるということが五千万円以上であるということから、少なくとも五千万円以上にしなければ
一般大衆
につなごうと思ってもつなげないといった事情もございますし、その間を考慮いたしまして、できるだけ早く五千万円以上にして
大衆市場
につなぐことができるようにしたいということで五千万円にしたわけでございます。
近藤信一
5
○
近藤信一
君 今の御
説明
でよくわかりましたけれ
ども
、毎年、歴代の内閣、
政府
におきましては、
中小企業対策
ということで本
委員会
でも
法案
が改正されたり、それから新しく提案されたり、もうたくさん
中小企業
の
法律案
というものが出てくるわけなんで、それらと今度の
投資育成会社法案
と重複するというふうなことはございませんか。
樋詰誠明
6
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) この
投資育成会社法
は、
中小企業
の
自己資本
の
充実
をはかるということを直接のねらいとしているわけでございますが、この
自己資本
の
充実
をはかるというのは何のためかと申しますれば、近代的な
競争
に十分耐え得るだけの
技術
あるいは
設備
というものを備えた
会社
に衣がえすると申しますか、
体質
を
改善
して強化しなければならないという点からこうやっているわけでございます。したがいまして、たとえば先般御可決いただきました
中小企業近代化促進法
といったようなもの、あるいは
中小企業高度化資金融通特別会計法
によります
高度化
のための
資金
の無
利子貸付
、あるいは
近代化設備資金
の無
利子貸付
といったようなものと、この
投資育成会社
によって
株式
を引き受けてもらうことによって
調達
した
資本金
といったものとがあわせて使われて、
近代化
の
促進
のために向けられるといったようなことがこれはあると存じます。今申し上げましたようなのを
設備そのもの
に即してとらえたのが
近代化促進法
であり、
中小企業高度化資金融通特別会計法
でございます。これは
中小企業
の
自己資本
の
充実
という観点からとらえたわけでございまして、そこで
調達
された
資本
が
近代化
に使われるという面においては、両々相待って
中小企業
の
体質改善
に役立つということになるのであります。
近藤信一
7
○
近藤信一
君 そこで、
政府
の
中小企業対策
をずっと見て参りますると、どうも
中小企業
のうちの比較的大きいほうに
重点
が置かれておるように思われるわけなんです。
中小企業
の
範囲
について
政府案
がかなり大きなものを入れておりまして、過日もいろいろ質問いたしましたように、小
規模
の
対策
がなおざりになるんじゃないかということが心配されるわけなんです。この
法案
も
割合
に大きな優秀な
会社
に
重点
があるように思われまして、
小規模事業
に対する点については、あまり
考え
ていないんじゃないかというふうにも思われるわけなんですが、
基本法
と関連して、
小規模対策
についてのお
考え
についてひとつお
示し
を願いたいと思います。
樋詰誠明
8
○
政府委員
(
樋詰誠明君
)
中小企業
と申しましても、その中で
先生
の今御
指摘
の
小規模企業
というものが圧倒的な多数を占めているということはおっしゃるとおりであります。われわれも富士山のすそ野といったように、非常に幅広く広がっている
小規模企業
、その上に
中規模企業
が中空にあり、さらに大
企業
がその上にそびえているという
格好
で、
日本経済
全体が成り立っているというふうに
考え
ますので、この一番下の
小規模事業
というものが健全でないと十分な土台が作られないというふうに
考え
ております。今回、
基本法
を御
審議
願っておりますのも、この零細あるいは小
規模
というところまでひっくるめまして、
中小企業
全体が真に健全な
体質
になるということがなければ、
国際競争
その他に耐え得ないという
意味
からこれを作ったわけでありまして、もちろん今までの
施策等
では小
規模
に対して十分な
商工会
によります
経営改善普及事業
といったようなもの、あるいは
家族専従者
に対する控除の引き上げ、あるいは
小口保証料
の引き下げ、また
国民金融公庫
による零細な
企業
に対する
資金
の
貸し出し
といったようなことをやってきたわけでございまして、今後さらにこういったような
施策
を一そう拡充するということによりまして小
規模
に対しては十分な
配意
をしたい、こういうふうに
考え
ておる次第でございまして、このために
基本法
におきましても、第二十三条におきまして特に
小規模対策
という一条を設けまして、国のいろいろな
施策
が受け入れられやすいような
格好
にまで、
小規模事業
を持っていくことが必要じゃなかろうか。その具体的な
方法
と申しますればこれは結局
税制
であり、
金融
であろうかと、こう存じますが、そういうようなことをひっくるめまして、
中小企業
の中でも小
規模
の
方々
が国の
経済
政策的ないろいろな
施策
というものに十分乗り得るような、まず
受け入れ態勢
を作るというところまで持っていく必要があるのだということを
基本法
の上に明示いたしまして、それにのっとって今後
税制
なり
金融
なりという方面について
一般
の
施策
を進めていきたい。そういうふうにして数の多い小
規模
には十分な
措置
を講じますが、それと並行いたしまして、
中小企業
の中の特に
自己資本
の
充実
を急ぎ、
国際競争力
を強化し、あるいは
産業構造
の
高度化
のために緊急に必要なものに対する
資本
の
充実
ということのために、比較的上のところにこういう
措置
を講ずる。もちろんこれだけでは不十分でございますので、
小規模事業対策
をあわせ講ずることによって、
中小企業政策
全体としての体系立った
施策
を進めていきたいと思っております。
近藤信一
9
○
近藤信一
君 過日いただきました
資本金階級別
、
業種別
のこの
資料
を見ましても、圧倒的に五百万円
未満
の
資本
が多いわけですね。五十万六千七百二十一のうち四十六万八千百五、こういうふうになっておるわけです。今、
長官
から御
説明
いただきまして私よくわかるのです。わかるのだけれ
ども
、
基本法
が成立しまして、その小
規模
の
事業
に対する
対策
といいますか、そういうものは、今御
説明
の中にいろいろとございましたけれ
ども
、今、
委員会
に出ておるところの
関連法案
といいますか、
中小企業関係
の
下請代金
やら、それから
協同組合
、いろいろまあ出ておりますけれ
ども
、これだけでは私は十分な
措置
を講ずることにできないんじゃないかと、こういうふうに思うのであります。たとえ
基本法
が成立いたしてみましても、そういう
小規模事業者
の点までこの
基本法
で規制するということも私むずかしいのじゃないかと、こういうふうにも思うのですが、その点どうですか。
樋詰誠明
10
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) 過般御決定いただきました
中小企業
の
近代化補助金
、これを裏づけますための
近代化資金助成法
、あるいは
高度化資金融通特別会計法
による
高度化資金
の
貸付
といったようなものは、実績的に見まして大体百人以下のむしろ小
規模
というところに属する方に九二・三%今まで
融資
されておるわけでございます。われわれはこういう無
利子
の
貸付
といったようなものを国からあるいは県から半額お貸しするというような制度を今後さらに拡充していきたいと、こう思っておりますので、こういうこの前御
審議
いただきました
高度化資金
あるいは
近代化補助金
を含めます
資金
の
助成法
は主として
中小企業
の中でも
規模
の小さな
方々
に対する施薬ということでございます。この、今お願いいたしておりますのは、
中小企業
の中の比較的
規模
の上の方、こういうことになりますが、さらにわれわれは
高度化資金融通特別会計
の
充実等
をはかることによりまして、小さな
方々
ができるだけ早く
適正規模
にまでいき得るように、
近代化資金
の
調達
がより円滑になるように
努力
したいと
考え
ております。
近藤信一
11
○
近藤信一
君 私は過去の例から言いましても、なるほどりっぱな
法律
ができますけれ
ども
、いざというときになりますと、なかなか
運営面
でそれがうまくいっていない。たとえば
協同組合法
のときでも、あれほど騒がしい
法案
でございましたが、あの中にも
組合
のあれがあるのですね。
組織
することができる。あれなどでも私
ども
が
資料
をもらいましたあれからいきますと、わずかしかこれが
組織
されていない。こういうことで、私は実際面においては非常に行政上の指導といいますか、何といいますか、そういう点がなかなか小さいところまで及ばない、こういうことでりっぱな
法律
ができても、それがただ文字の上のことだけになってしまう、こういうきらいがあるんじゃないかとも私は思うのです。その点
長官
どういうふうに
考え
ておられますか。
樋詰誠明
12
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) 確かに小
組合
でございますとか、あるいは
企業組合
といったようなものは、
法律制定
の当時に
考え
られたほどは伸びておらないというのは、
先生
御
指摘
のとおりであります。いろいろ原因もございましょうが
規模
の小さな
方々
になればなるほど非常に協同しにくい。あるいは一国一城のあるじ的な気持を強く持っておられる方がございまして、こういう方は中には協同すること
自体
にちょっと不安を持っておられるといったような面もいろいろあって、今までだいぶおくれてきたんじゃないか。たまたま今までは
自由化等
もそう伸展もいたしておりませんために、一種の
封鎖市場
というようなことでございましたために、
規模
の過小な
方々
も何とかやっていくということもできたわけでございますが、だんだんその
市場
が
封鎖性
から解放されるというような
格好
にならざるを得ないということになって参りますと、やはり
自分自身
だけで
適正規模
に達し得ない
方々
は、何らかの
格好
で
組合
を作るなり、
共同出資
をするなりして
会社
を作るなり、合併するということによって、
適正規模
に到達されるという必要が、これは
現実
の問題として起こってくる。われわれはそういう
基盤
の
変更等
について十二分に
商工会
あるいは
商工会議所等
を通じて
啓蒙宣伝等
に努めると同時に、
組合法
の
協同組合
あるいは小
組合
といったようなものの真の精神に立脚して
組合
を
組織
されるように、今後
中小企業
の
組織化
についてはいま一段の
努力
をして、
組織
を通じて
中小企業
がよくなるという
格好
に持っていきたいと思っております。
近藤信一
13
○
近藤信一
君 そこで、
中小企業
の
自己資本
の
充実
ということが本
法案
のねらいであると私は思うのであります。
中小企業
ではどの階層で
自己資本
の
充実
に困難があるのか。もし御調査してございますならば、その点ひとつお
示し
を願いたいと思います。
樋詰誠明
14
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) お手元に差し上げました
資料
の四ページに
資本金階級別
、
自己資本
の
比率
とございます。これを見ますと、むしろ小さい五百万
未満
という方のほうが千万円、五千万円といったような
方々
よりも
自己資本
の
比率
が少ないというのが
現実
でございます。ただわれわれ
資本金
の比較的小さな
方々
には思い切って
増資
をしようとすれば、比較的
増資
する余力はお
持ち
で、いろいろ
内部留保
その他には努めておられますけれ
ども
、
資本
はむしろ過小であるというような
方々
は相当あるわけでございまして、百万円あるいは二百万円といったような
増資
をこの際やろうとすれば、まあ比較的やれるといったような
方々
が多いのじゃないか。そこにいきますと、五百万あるいは一千万という
程度
の
方々
がさらに五百万、一千万
程度
調達
しようということになりますと、なかなか絶対額が大きくなることによって非常にむずかしくなる。そこで、このむずかしくなる部分の一部分をこういう中立的な
機関
で埋め合わす必要があるのじゃないかということから、本
法案
の
審議
もお願いしておるわけでございます。
規模
の小さな
方々
に対しては、
国民金融公庫
の
融資
とか、先ほど申し上げました
近代化補助金
といったようなものの活用といったようなことを通じて、
企業
の
設備
の
近代化
、
体質
の
改善
をはかると同時に、それと並行して
増資
についても、この際ひとつできるだけ
自己資本
をふやしていただきたいということを指導し、またそれに必要な
資金
の
調達等
につきましても、
政府金融機関等
からの
貸し出し
というようなことで
増資
ができるようなバック・グラウンドを作り上げるということによってやっていけば、必ずしもこの
投資育成会社
といったようなものに持ってもらわなくても
増資
ができるのじゃないか。そういうふうに
考え
まして、
自分
で
増資
したいけれ
ども
、
現実
に
増資
しようと思ったら金が少し足りなくて困るという
方々
に二割なり三割なり援助しようというのが、この
法律
でございます。
近藤信一
15
○
近藤信一
君 本
法案
におけるところの
中小企業
の
範囲
は、過日も
長官
が御
答弁
されておりましたが、五千万円以下の
会社
、そうして下のほうは五百万円
程度
、そういうことを言っておられましたが、五百万円
程度
ということになるから三百万、四百万でも
見込み
のあるところはと、こういうことでございましたが、たとえば百万円という下のほうですね。百万、二百万というところでも相当将来性があり、それからこれから将来
見込み
があって、たとえば海外との
競争
ができ得る、こういうような優秀な
会社
もあるのじゃなかろうか、私はこういうふうに思うのですが、そういうものに対してはどういうようにお
考え
ですか。
樋詰誠明
16
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) この
会社
が
株式
を引き受けるという形で援助いたしますのは、大体五年ないし七年くらいの
期間
というふうに一応
考え
ておるわけでございまして、平均いたしまして五、六年たったところで、これを
一般株式市場
に公開いたしまして、それで入ってきた
代金
をもって次の
会社
の
株式
の
増資
を引き受ける
資金
に充てるというふうにやる、そういうふうに思っておりますので、あまり小さな
規模
の
会社
を引き受けますと、十年も二十年もその
会社
の
株式
をずっと持っていなければならない。ほかの
会社
の株を取り上げるところまでなかなかいかないといったことになりかねないので、大体平均いたしまして大ざっはに申しまして五百万円以上くらいの
規模
の
会社
がこの
対象
になることが多かろうということを申し上げたわけでございます。もちろんそれ以下の
会社
でございましても、この
法律
の建前からいたしますれば
対象
にし得るわけでございまして、その
会社
が具体的な妥当な
設備投資計画等
を
持ち
、
増資
の
計画
といったようなものをお
持ち
であるということで、その
会社
も株を持つということがあまり長く
資金
を寝かすということでなくて済み得るということに、
会社
の当事者が判断いたしました場合には、必ずしも五百万円の
資本金
には拘泥しないで
持ち
得るわけでございます。
近藤信一
17
○
近藤信一
君 今
長官
からの
答弁
がございましたが、五百万円にこだわらずに、その下のほうでもというお話でございまするが、たとえば現在の
資本
は非常に低い、少ないが、しかし
事業
の
内容
というものが相当しっかりした
事業
をやっておるところを私
ども
ちょいちょい見受けるのですね。そういうものに対して、やはりあまりそれは
資本金
が少ないからだめだと、こういうことで、百万円、二百万円でも
事業内容
が、私
どもしろうと目
から見ても、これは
資本金
は少ないけれ
ども
、相当しっかりした
事業
をやっておるというふうに見受けるところもあるので、そういうところに対してはどのように
考え
ておられますか。
樋詰誠明
18
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) この
会社
が
株式
を保有いたしますのは、先ほど来申し上げたように、
一般公開市場
に株が売り出されるまでの間持ってあげようということでございまして、
一般公開市場
に出す
最低限度
が五千万円ということでありますので、できるだけ早く五千万円
規模
になっていただきたいという要望が片一方にあるわけでございます。そこで、五、六年ぐらいのところで五千万円までなり得るということから
考え
ますと、あまり現在小さいものだと十年も二十年もかかって、なかなか一つの
会社
に固定してほかに回転しない、結局効率の悪い金の使い方になる、だからある
程度
資本金
の大きいものを取り上げることになることが多いだろうということを申し上げたわけでございまして、今
先生
の御
指摘
になりましたような非常に現在の
資本金規模
は小さいけれ
ども
、
技術内容
といい
経営者
の素質といい、また将来の
計画等
も妥当なものを持っているといったような場合には、この
会社
が直接保有しなくても、まずほかの
方法
で早くある秘匿の
規模
まで
増資
していただいて、そしてその上でそれ以上はとても無理だという段階に達したときに、この
会社
に株を持ってくれぬかというふうにお話していただければ、結局ほかの
中小企業
に対しましても、あまり迷惑と申しますか、一社で
資金
を独占するという
期間
が長くなくて済みますので、今
先生
のおっしゃいましたような優秀な
会社
でございますれば、その
会社
の
所要資金
の
融資
につきましては、いろいろ別途
政府
でもできるだけの協力をいたします。そして、この
会社
の手によらないで
増費
ができるようにしむけて、そうして
一定規模
以上まできて、これ以上とても無理だ、やはりこの
会社
に持っていかなければならぬということになったところで、この
会社
が乗り出すという順序にいたしたほうがよろしいのじゃないかと思います。
近藤信一
19
○
近藤信一
君
中小企業金融公庫
で
投資育成会社
の
株式
を引き受けることにしたのは、どういう
理由
によってこのようになったのか、それからあえて
育成会社
という
特殊会社
を作らなくても、
中小公庫
で直接
投資
できるようにしてもよかったのじゃないかと思うのです。そうすれば、
中小企業
としては、
中小公庫
へ金を借りに行くか、また
投資
をお願いにいくか、仕事は比較的簡単になると私思うのです。それをあえて別の
会社
をお作りになった端的な
理由
というものがあると思うのですが、その点はどうですか。
樋詰誠明
20
○
政府委員
(
樋詰誠明君
)
中小企業金融公庫
は、これは申し上げるまでもなく、
融資
を
目的
とする
機関
でございます。この
投資育成会社
は
融資
でございませんで、
株主自体
になって、しばらくの
間株主
としてその
企業
の
めんどう
を見るということでございまして、これはむしろ普通の
方法
からいいますと、
政府
が直接出資してこう
特殊会社
を作って、そして
投資
の
めんどう
を見、その
会社
に対する長期あるいは短期の
資金等
も必要であれば、
中小企業金融公庫
をして協力させるという
方法
をするのが一番普通のやり方じゃないか、こういうふうに思ったわけでございますが、
投資育成
といったようなことがわが国では初めてのケースでございまして、しかも非常にこれは
投資
とかあるいは
投資
とかあるいは育成ということは、よほど経営の才幹のある方がおやりいただくというのでないと非常にむずかしい
事業
でもございますので、この運営はいわゆる国策
会社
といったようなものの国の関与の強い
方法
よりも、民間の創意工夫にまかせる部分の
割合
ができるだけ多いほうがいいということを
考え
ました点と、それからできるだけ民間の
資金
というものを活用することによって産業界が
中小企業
を育て上げるのだという方向に持って行くことが、これは一番望ましい
方法
じゃなかろうか。そういうようなことから直接
投資
を避けて一応
中小公庫
を経由するという形にして
政府
の関与の度合いをある
程度
ゆるめるというような
格好
をとりました。しかも、
中小公庫
が直接その
会社
に
投資
するということでは
中小公庫
の金だけしか活用できないということになりますが、
中小公庫
が
政府
から出してもう金をこの特殊な
投資育成会社
に
投資
する。それと合わせてその倍額以上の
資金
を国以外の
地方公共団体
あるいは民間から集めるということによって
中小公庫
自体
でやるつもりもはるかに大きな
資金
量をそこに獲得して
投資
が行なえるということを
考え
まして、多量の
資金
を動員するためには、そういう
特殊会社
を作るという
方法
が非常に実行しやすい形であるということで
特殊会社
を、こういう特別の
投資育成会社
を作ったわけでございます。
近藤信一
21
○
近藤信一
君 私がなぜこういうことを言うかというと、
特殊会社
というものは、私は非常にやり方によって危険な場合もあるのじゃないかと思う。というのは、かつて私
ども
本
委員会
でもいろいろと議論をいたしました東北開発
株式
会社
ですか、という
特殊会社
がありまして、あれの
内容
を私
ども
がこの
委員会
でいろいろとお尋ねしましたときに非常にずさんなあれがあって、とにかく
政府
から金をもらってはそれを使う。赤字であろうと、
会社
が興しました工場がつぶれようと、そんなことはおかまいなくて、いつまでもいつまでも営業が続けられている。こういう状態があったわけなんです。私はそういうことで、これは
政府
が責任をもっているのだから、金がなくなれば、
政府
から何とかしてもらえばいいという安易な気持で、この
特殊会社
が運営されていくというときに非常に危険じゃないか、こういうふうに私は思うのです。その点はまあ間違いのないお見通しのもとに一応今度は
計画
されたのだろうと思うのですが、あなたの御意見をひとつ伺いたい。
樋詰誠明
22
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) この
投資育成会社
は国が出資いたします特殊の
会社
ではございますが、国が
資本金
を
持ち
ますのは三分の一以下ということにこの
法律
の中に規定してございまして、場合によりましては四分の一あるいは五分の一にもなるかもわからないのでございます。いわゆる今までの
特殊会社
というものとは多分に株主の構成要素が変わっているものでございます。われわれはこの
投資育成会社
の株主の一番大きいのは財界に求めたい、こういうふうにも思っておりますし、またその運営もできるだけ民間の練達の士にほんとうに
経済
ベースに即した運営をやっていただきたいというふうに
考え
ておりますので、社長の人選あるいはその他につきましても、こういう特殊の
機関
を設けるにあたって、これが本来の
目的
を十二分に達成し得るような人にぜひお願いしていただき、また十二分に腕をふるっていただきたい、とかく
政府
の特殊
機関
であるというのでイージー・ゴーイングに流れるといったようなことでなしに、あくまでも
経済
ベースに即して、国民の金あるいは県民の金というものをここで活用するわけでございますので、その金がほんとうに国民
経済
全体に有効に使われるという方向にぜひひとつ運用していただきたいということから、
政府
の関与その他も必要限度にとどめて、民間の
方々
が自由に腕がふるえるようにやっていきたい、ただ、変なほうにいかぬようにという監督だけは
政府
で加えるというふうに
考え
ております。
近藤信一
23
○
近藤信一
君
政府
の
投資育成会社
で負担する——この
法律
は三分の一ですね。これは
増資
された場合にも、またそれによって三分の一をずっと将来続けていくのかどうか。その点はどうですか。
樋詰誠明
24
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) これは
政府
が
持ち
得るのは三分の一以内と、こういうことになっておりますので、この
法律
上からいうと、将来
増資
をする場合に
政府
が必ずしも出さなければならないというものではございません。ただ、われわれといたしましては、こういう特殊の
会社
でございますから、民間、地方だけが出して、あともう
政府
は一回出したきり出さないのだというようなことでなく、できるだけ
政府
も今後
増資
というような場合には応分のやはり出資ということをして、この
会社
自体
の
資本
充実
というものに
努力
すべきじゃないかというふうに
考え
ております、これは今後大蔵省と予算折衝その他で
努力
していきたい。
法律
上は将来
増資
した場合に必ず国も出さなければならないというものではございません。
近藤信一
25
○
近藤信一
君 そういたしますと、私、前に質問いたしましたように、東京と大阪ですね、そして名古屋と違うのですね、
資本
が。名古屋なら一億——
政府
が出す金が一億、これをあと三分の二は地元で出して負担するわけです。将来地元がどんどんと
事業
を行なっていって
増資
した場合に、
政府
はあくまでもそこはこの一億円から動かないということですか。
樋詰誠明
26
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) これはすべての予算に共通して言えることでございますが、財政当局としては次年度以降の約束ということは、これは絶対にしないわけでございまして、この
投資育成会社
の予算が
政府
できまりましたのは、大臣折衝の段階できまったわけでございますが、その際にもお互いに、大蔵省はもちろん来年以降これで出すんだということを約束するんじゃないぞという含みを持っておりますし、こちらはこちらで三十九年度以降要求しないというのじゃないという、お互いに三十八年はこれでいこう、来年三十九年度以降はまたそのときにやりましょうということでいっておりますので、われわれといたしましては、できるだけ
政府
としても、民間あるいは
地方公共団体
が
増資
されるという際には、応分のやはり
増資
に協力すべきであると
考え
ておりますが、
政府
全体としてこうきまったというものではございません。
近藤信一
27
○
近藤信一
君 この
会社
の仕事は証券
会社
のやっている仕事でございまして、証券
会社
が
中小企業
の育成にあまり熱心でないために、こうした
特殊会社
でこれを実施しようとするのだと思うのですが、その点はどうなんですか。
樋詰誠明
28
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) 従来から証券
会社
も近い将来
株式
市場
に公開されるだろうというめどのあることがはっきりしている——半年とか一年以内にこれは大体公開されるというようなものについては、いろいろ
資金
的な援助等をやって育て上げるということもやっておりますが、証券
会社
はいずれも純粋の営利
会社
でございますので、五年、七年といった
期間
処分のできない株をじっと抱いて持っているということは、これは要求しても無理でございます。ただ、先ほど来申し上げておりますように、
中小企業
の中には、相当急いで
増資
をせなければいけない、といって現在の株主だけではなかなか
増資
はできないので、何らかの形で中立的な
機関
がその
増資
の一部を引き受けてあげる必要がある。しかも、その引き受けたときには、五年なり七年なりはどこにも売らぬで、じっと抱いておって、将来
株式
市場
に公開できる
規模
にまで大きくなったところで、それを処分して次の
会社
を取り上げるという必要があるといったものもあるわけでございますので、これは証券
会社
が短
期間
に育成ができるといったようなものについては、これは当然証券
会社
にまかしておけばいいのじゃないか。証券
会社
のいわゆる営利主義的な
考え
ではすぐ取り上げることができないといったところを、五年なり七年間保有してあげて、そうしてそれからあとは証券
会社
を通じて証券
市場
に公開するという橋渡しをしようというのでございますから、おのずから証券
会社
と性格の違った中立
機関
というのが
会社
の特質でございます。
近藤信一
29
○
近藤信一
君 今
長官
も言っておられるように、証券
会社
はまあ営利が
目的
であるから、利潤の問題を
考え
て、いろいろとこうやることは事実であって、それだから中小というのか、あまり
見込み
がなさそうなところには熱意を示さない、こういう結果に私はなってくるのじゃないかと思うのです。そこでまず私は、できればこの証券
会社
を督励して、もっとこういう仕事をやらせてもよかったのじゃないか、こういうふうに思うのですが、この点はどうですか。
樋詰誠明
30
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) まあ
先生
もお話になりました営利
会社
でございますので、いろいろはじいてみて、あんまりもうからぬというものには、これは直接
政府
としては強制するわけには、これはいかぬわけでございます。われわれは早くその証券
会社
が興味を持って、
一般
市場
につないでやろう、そのために大いに
努力
したいといった
規模
にまで
中小企業
を引き上げるという必要があると存じまして、その役をこの
投資育成会社
に果たしてもらおうと
考え
ておるのでございます。
近藤信一
31
○
近藤信一
君
投資育成会社
を設立することに、聞くところによると、証券業界はあまり乗り気じゃなかった、いわゆるそっぽを向いておったと、こういうふうなことを聞くわけですが、
中小企業
の
株式
について将来冷淡になるようなことはないだろうか、それから
投資
会社
と証券界との将来の
関係
、こういうものについてお聞かせ願いたい。
樋詰誠明
32
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) 一部の証券
会社
がこの構想がいろいろ練られております間に心配したような言動があったことは、これは事実でございます。しかしその心配のあれは、結局この新しい投費
育成会社
が証券
会社
の
競争
相手になりはしないか、
自分
たちのお得意さんを取られはしないかといったような誤解に基づくものが多かったのじゃないかと存じます。先ほど来申し上げておりますように、この
会社
は
自分自身
が
一般大衆
に証券
会社
と同じように売り出すのではございませんで、
公開市場
に売り出すようになるまで、これを育て上げましたならば、その株は証券
会社
に引き取ってもらって、証券
会社
の手を通じて
一般大衆
に売るということで、いわゆる証券取引法による証券
会社
ではない、
一般大衆
には直接売れないという性格のものにいたしております。そこでだんだんそういう性格がわかって参りましてからは、証券界におけるこの
会社
に対する反対というものは意見がなくなりまして、逆に今では、ぜひこの
投資育成会社
の株を
持ち
たい、その持つについて
自分
のところに持たさないなんて言ったら困るといったような御意見がいろいろあるわけでございまして、これは証券業界におまかせして、証券業界で持っていただく場合にどういう形で持っていただくのが一番いいだろうということをひとつ御検討をいただいて、げたを預けるような
格好
になっておりますが、現在の段階においては、これは証券
会社
と競合するのでなくて、証券
会社
が取り扱えるようなところにまで小さな
方々
を引き上げてやるのだという真意がわかりましてからは、
先生
御心配のような反対意見というものは影をひそめておるわけでございます。
近藤信一
33
○
近藤信一
君 そうすると、証券
会社
で将来取り扱っていけるように
投資育成会社
で育てていくわけですね、育てていって、これで一人前だというときにはどういう形になりますか。
樋詰誠明
34
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) その際には証券
会社
に対して入札という
格好
で、この
会社
の株を引き受けていただく。これはAの証券
会社
は百円で引き受けるといい、Bの証券
会社
は百五十円で引き受けるといった場合には、百五十円でBの
会社
に引き受けていただいて、Bの
会社
がそれを大衆に売り出すということで、一応
原則
としては証券業者に対する入札の
方法
で処分したいと
考え
ております。
近藤信一
35
○
近藤信一
君 証券
会社
で株を扱うということになりますと、やはり株は私はしろうとでよくわかりませんけれ
ども
、上がったり下がったりありますね。株の上がるときはいいんだけれ
ども
、下がった場合にどういう結果になりますか。
樋詰誠明
36
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) 証券
会社
が大衆に売ったという値段よりも、これは上がることもあれば、下がることもあるのじゃないかと思いますが、しかしもう
公開市場
に出されるという段階になりますれば、これはそれからあとはそのときの
経済
情勢により、あるいは
投資
家の自己の判断というものに待たざるを得ないのでございますので、われわれといたしましては、この
会社
の
株式
が
公開市場
で
売買
されても、十二分に額面以上で
売買
されると、またそれだけの実力があると見きわめのついたところで出すわけでございますので、一度証券
会社
に入札さして、引き受けてもらいましてからあとは、これは
投資育成会社
の責任はここでおしまいという
格好
で、あとは大衆
投資
家というものの責任と証券
会社
の間の問題といいますか、これは結局株を買ってもうけるものもあれば、あるいは損する人もありますので、そこは
投資
家の責任でやっていただかざるを行ないと思います。
近藤信一
37
○
近藤信一
君 それは
政府
がやられる仕事でございますから、額面を割るというふうなことは私はないと、そういう
見込み
のないところには
政府
投資
会社
としては私はやらないと思うのですけれ
ども
、やはり先ほどのように、いいときもあれば悪いときもある、額面を割ったような結果が出たときに、これはどういう……国の損害ということになるのか、この点どうですか。
樋詰誠明
38
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) これはわれわれはこの
投資育成会社
で育て上げたという
会社
、それが将来額面も維持できないということになることは、まず万々あるまいと、こう存じておりますが、しかしその間にその
会社
の
経営者
がかわったり、いろいろな不測の状況によって、そういうことにならぬとも限らない。それは一方的に断定はできないわけでございますが、そういう場合には、先ほど来申し上げておりますように、やはり
投資
家が幾らでそれを興うかということは、
投資
家自身の判断でございますすので、むしろ一番心配なのは、非常に高い値段で初めて
公開市場
に売り出して、間もなくその
会社
の株が暴落する、額面を割るわけじゃございませんが、三百円とか五百円で売り出しておいて、すぐ百円か百五十円になるといったようなことのないように、なお
努力
したいと思っておりますが、このためには、ただいま申し上げましたような、いろいろ入札その他でたくさんの証券
会社
といったものの意見というふうなものも十分そこで反映もされますので、そういう心配はまず普通の場合には起こり得ないのじゃないかというふうに
考え
ます。
近藤信一
39
○
近藤信一
君 そこで、第八条では、さらに
対象
業種を政令で指定すると、こういうことになっておるわけですが、その指定の
範囲
は「
産業構造
の
高度化
又は
国際競争力
の強化の
促進
に寄与する」としてあるので、これはさきに可決されたところの
中小企業近代化促進法
の場合と全く同一じゃないかと思うのですが、
近代化促進法
の政令指定と同じになるのかどうか。それからその選定の基準についてもひとつあわせて御
説明
を願います。
樋詰誠明
40
○
政府委員
(
樋詰誠明君
)
産業構造
の
高度化
に役立つ、あるいは
国際競争力
の強化に資するというような点では、これは御
指摘
の
近代化促進法
と同じような観点に立っておりますが、
近代化促進法
は、その上にさらに
中小企業
性の高い業種ということを要求しておるわけでございまして、たとえば
中小企業
によって生産が半分以上行なわれておるというものを取り上げていこうというふうにしておるわけでございます。それに対しまして、この
投資育成会社
のほうの取り上げる
対象
は、必ずしも
中小企業
性が高い業種でなくても、たとえば生産の六〇%
程度
が大
企業
によって行なわれており、四割
程度
が
中小企業
で行なわれておる、その四割
程度
行なわれておる
中小企業
の中で大いに
競争
力をつければ将来一人前になるであろう、しかもそれを育てることが
産業構造
の
高度化
に役立つと思われるものは取り上げていこうというように
考え
ておりますので、
近代化促進法
よりは観念的にはこのほうが
対象
は広くなり得るというふうに
考え
ております。 それからなお、具体的にどの業種がなるかということは、これは別途政令で定めるということでございますが、政令で定められるものというものは、これから各原局の意見等も聞いて決定したいと思っておりますが、
産業構造
の
高度化
とか、
国際競争力
の強化ということから当然必然的に出てくるというものといたしましては、一番代表的なものは機械工業であり、あるいは輸出に
重点
を置かなければならない高級の軽工業
関係
というものにさしあたりなるという可能性が多いのじゃないか。これは各原局と十分に相談した上で指定したいと
考え
ております。
近藤信一
41
○
近藤信一
君 その、政令できめるところの業種指定というのですか、その業種指定、それから基準というものは、あなたのほうでまだ別にどの点までというふうなはっきりしたあれはお
考え
になっておりませんか。
樋詰誠明
42
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) まだ
考え
ておりませんが、今申し上げましたように、各原局のほうにこれから相談いたしまして、できるだけ本法の精神が生かされるというような業種から選んでいただきたいということで、今お願いしておるところでございます。
近藤信一
43
○
近藤信一
君 たとえば輸出品ですね。輸出品を生産しておるところの工業を優先的に指定するとか、また国内で特に重要な産業に寄与しておるところの業種を指定するとか、そういうふうなことで選定をお
考え
になっておられますか。
樋詰誠明
44
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) 今、
先生
がおっしゃいましたような点がその選定の非常に大きな要素になろうかと存じております。
近藤信一
45
○
近藤信一
君
投資育成会社
の
資本金
は、
法案
によりますと、
中小企業
公庫から出資するのが三分の一、予算による
中小公庫
から六億の出資を予定しておりますが、少なくとも
投資育成会社
は三つの総
資本金
合計十八億円以上になるわけだが、総額は幾らぐらいになりますか。
樋詰誠明
46
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) これは最低が、今、
先生
のお話の十八億円ということになるわけでございますが、われわれといたしましては、できますれば、これは多々ますます弁ずでございますが、東京、大阪といったようなところは十億
程度
にまで持っていければということで財界のほうにお願いしてございますが、まだ財界で必ずこれだけ出してやるということも確定しておりませんので、少なくとも二十数億
程度
にするところまではぜひ持っていきたいということで、今せっかく
努力
をしておるところでございます。
近藤信一
47
○
近藤信一
君 先月の
委員会
で私質問いたしまして、
長官
から御
答弁
がございまして、東京、名古屋、大阪と、こういううことになって、管内だけのあれに応ずるのか、それとも管外からの要求があった場合には、それに対してもあなたのほうはその希望に応じられるのか、この点はどうですか。
樋詰誠明
48
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) 一応三つの
会社
を作ります。そしてその三つを作りましたのが、それぞれの地元の
中小企業
に密着して
投資
といったようなものは行なわれ、育成
事業
というものが行なわれるのが一番効果を発揮しやすいのじゃないかということから、それぞれの地域に作ったわけでございますが、しかし、いろいろの
関係
がございまして、本社は東京にあって、工場が中部地方にあるというようなものもありましょうし、あるいは関西に工場を作りたいのだといったようなこともあろうかと、いろいろなことがございますので、
法律
的にも、また
事業
会社
の……
投資育成会社
の定款の面でも、
自分
の
対象
区域というものをはっきりさして、これ以外は引き受けないのだというような
方法
はとらないつもりでございます。大体
原則
として、東京の
投資育成会社
は関東以北の
会社
が主となるでありましょうし、名古屋の
投資育成会社
は中部地方のものが主たる
投資
の
対象
になろうかと思われますが、もしそれ以外の管外にぜひ
投資
したといったような場合には、これは
法律
上も、定款上もそれを禁ずるという必要はないと思いますので、その点は実情に応じて弾力的に行なえるというふうにしたいと思っております。
近藤信一
49
○
近藤信一
君 それと申しますのも、たとえば中部ということになって、東海、北陸ということになっていますね。その東海、北陸ということになると、東海というとまあ静岡も東海に入る場合があるし、ある場合によっては静岡は関東地区にも入ることがあるし、それから三重県の場合は東海に入る場合と近畿地方ということで関西のほうに入る場合、こういう行政の
関係
で何かややこしいところがあるのですね。そういうところなんかのことが私問題になるのじゃないかと思うのですが、これは一体どちらのほうに明確に所属するのかどうか。こういう点はあなたのほうでそれは管轄外というふうなことをおきめになられるのかどうか、政令でそういうことをきめるのか。
樋詰誠明
50
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) これは先ほど来申し上げておりますように明確に地域がどこだというふうにきめると、かえってぎこちなくなりはしないかと思ってりますが、おのずからそこに常識的な線がひとつ出てくるのじゃないか。その常識的な線で申し上げますと、三重県はこれはむしろ
経済
的には東海地方に属すべきである、そういうふうに
考え
ております。静岡県をどうするかという点は、たとえば
先生
も御
承知
のように、電力
会社
でも大井川の……富士川ですか、東京電力、中部電力と分けているとか、いろいろな面等もございます。これは静岡県あたりの意見等も十分聞いて、静岡県が将来出資をかりにするといった場合に、中部地方の名古屋の
投資育成会社
に出すのか、あるいは東京に出すのかというところで、ある
程度
静岡県の
企業
をどっちの
会社
が育成するかということがきまると思いますけれ
ども
、普通のあれからいえば、静岡県はやはり中部地力ではなかろうかというふうに
考え
ております。
近藤信一
51
○
近藤信一
君 たとえば北陸というのは富山、石川、福井と、こう言って、長野は北陸に入らない。ところが長野は愛知県、名古屋へ簡単に出てこれるわけなんで、そういう場合のときは、やはり名古屋でやったほうが私は便利じゃないかと、そういうことを思ってお尋ねしたわけですが。
樋詰誠明
52
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) 一番むずかしいのが今御
指摘
の長野県と静岡県ではなかろうかと思うのです。いろいろな県で
経済
的に東京につながったり、あるいは名古屋と結びついたりというようなことになっておりますが、これは結局長野県が、あるいは静岡県が、どっちの
会社
に
自分
として出資するかということで、よく県の御意見等も伺いたい、こう思っております。その上でできるだけそれぞれの県を、少なくとも国と同額以上は出して、出資育成するわけでございますので、県の御意見等を十分に伺った上で、どちらに出資するかきめていただきたいというふうに思っております。今のところ、国としてきちっときめてしまうことは、むしろ遠慮すべきじゃないかと
考え
ております。
近藤信一
53
○
近藤信一
君 そういたしますと、それははっきりと上意に諮って決するのじゃなくして、その点は機動性をもって、管外であろうとも
投資
を引き受けることが便利であれば、その点は管外であろうと引き受ける、こういうふうな建前になっているわけですね。
樋詰誠明
54
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) そのとおりでございます。
近藤信一
55
○
近藤信一
君
投資育成
社会へ地方団体と局間からの出資を期待しているわけでございますが、その出資の地方団体や、民間
会社
も、やはり今私がいろいろとお尋ねいたしましたように、管外からもこういうふうなことがこれから出てくると思うんですが、そういう点はどうですか。
樋詰誠明
56
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) 今いろいろ地方庁にあるいは財界の方面に出資についてお願いしているわけでございますが、特に財界のほうでは、一つの
機関
が三つの
投資育成会社
に出資するということも、これはあり得ると思いますし、たとえば中部地方で、名古屋の
会社
に主力を置いて、あと東京にも若干出資したいといったような意向を
示し
ておられるところもあれば、あるいは関西のほうが主力だけれ
ども
、東京のほうにある
程度
出資したいといったような希望を持っておられるとか、いろいろな方がございますので、われわれといたしましては、先ほど来申し上げていますような、
経済
圏としておのずからある
程度
の大きなアウトラインは引けるかと、こう思いますけれ
ども
、本店所在地と工場所在地その他と、いろいろな面から、一つの
投資
者が二つ以上に
会社
に
投資
するということもあり得るのじゃないか。ただ、地方庁といたしましては、やはりおのずから
投資
先は一つに限られるといったようなことが多かろうかというふうに存じております。
近藤信一
57
○
近藤信一
君
長官
がこの前も言っておられましたように、まず今年度の試みとして三地区ですか、三地区になった、これが成功すれば、将来はやはりもう少し、たとえば福岡だとか、宮城県、東北のほうにも作っていってもいいという
考え
を持っているというふうなことでございましたが、その場合、やはり地方団体が、自治体の財政上の
理由
から、それはとても応ずることはできないのだ、出資することはできないのだというふうなことがあった場合には、あなたのほうが幾らここへ一つやりたいといっても、これは困難だと思うんですが、そういう場合はどのようなお
考え
を持っておられますか。
樋詰誠明
58
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) この三つの
会社
を発足さしていただきまして、その成績を見た上で、必要があればさらに三つ以外のところにも設けるというのが衆議院の附帯決議の御趣旨であり、また大臣が極力それに沿うように
努力
したいと申し上げましたことでございまして、われわれといたしましては、まずこの三つを発足さして、それがどういうふうな効果をあげるかということを見た上で、その次にどこに設とるけかいうことをやりたいと、こう思っておりますので、その際にどこの地域がまず取り上げられるか、その時期がいつになるか、そのときの
地方公共団体
と
政府
の出資といったような
関係
はどうなるかということについては、まだ今のところいずれともきまっておらないわけでございまして、とりあえずは、できるだけこの三つを健全に育てるということに全力を注ぎたいと
考え
ております。
近藤信一
59
○
近藤信一
君 なぜそれをお尋ねするかというと、民間側では、ぜひやってもらいたい、三分の一は出しましょう、
政府
で三分の一を負担する、あと地方で三分の一出す、ところが地方自治体が赤字で、とても三分の一は応じられない、三分の一にどうしても応ずることはできないから、その足りない分は民間のほうでじゃ負担するから、それで当分は三分の一の
割合
の額だけできればいいじゃないか、こういうふうな希望があるかとも私は思うのですが——民間側からですよ、それでもあくまでも
原則
は三分の一、いわゆる国とそれから地方自治体と民間と、これが三分の一のはっきりした等分した数字にならなければいけないということかどうか、この点どうですか。
樋詰誠明
60
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) この三つの
会社
でも、たとえば東京の
会社
が北海道、東北の
中小企業
を取り上げるということは、私が先ほど申しましたように、十分可能なわけでございます。ただ将来北海道あるいは東北地方で、東京のお世話にならないで
自分
たちだけで作りたいと、これもあるいはあるかと存じます。で、今この
会社
の発足にあたりましては、一応公庫が出すのが六億円であり、全体の三分の一をこえてはならない、また
政府
が出す分は地方庁が出す分をこえてはならない。ですから言いかえれば、地方庁が出さなければ
政府
は出せないというのが今のこの三つの
会社
についてはそういうことになっておりますが、しかしこれは将来そういう場合にはどうするかということについては、今は
法律
上別にはっきりきまっておるわけではございません。かりにこのままの
格好
になるといたしますれば、やはり地方庁が出さないということになれば、国としてはそれ以上は出せないということになるわけでございますが、今
先生
の例としておあげになりましたように、民間方面で非常に熾烈な要望をお
持ち
になっておるということであれば、これはまず民間を主として一われわれとしては将来はむしろだんだん民間に肩がわりしていくというのが望ましいと思っておりますので、その場合には民間を主として、そして地方庁なりあるいは国が五分の一でも出すといったようなこともあり得るんじゃないか。いずれにいたしましても、この三つの
会社
がそれぞれ成績を上げてきて、こういうのが続々できてくるということになれば、そのときの実情に一番即したような
方法
をまたあらためて講ずる必要があるならば、
方法
化の形でお願いしたいというふうに
考え
ております。
近藤信一
61
○
近藤信一
君 そうすると、ただいまの
答弁
からいきますと、民間のほうで非常に熱意があり、そして将来性があると、だが地方自治体だけが赤字で困っておるから、その希望どおりの等分の三分の一はどうしても負担ができない、その場合には五分の一になるかもわからぬ、しかし総額においてはこのきめられた額ができればよろしいとこういうことと理解しておるんですが。
樋詰誠明
62
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) まあきめられた額というのは結局……
近藤信一
63
○
近藤信一
君 三億なら三億と、こうきめるでしょう。
樋詰誠明
64
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) かりに三億という
資本金
で発足したという際に地元の財界が二億出ましょうと、あと五千万ずつなら地方庁でも出せるといったような場合、これは全体として六分の一というものを出すわけでございますが、そういうこともこれは実際にはあり得るんじゃないか。この
法律
では差しあたりこの三つについてやる場合の総額が六億円であり、三分の一をこえてはならないと、こういうことをいっておりますが、それ以外の場合にはどうするかということをまだ触れておりませんので、将来新しい
会社
を作る場合には、またそのとき
所要
の立法
措置
を講ずるということで、一番実情に合ったような
方法
を選びたいと思っております。
近藤信一
65
○
近藤信一
君 今の
長官
の御
説明
のように、やはり
法律
ではこう三分の一以内できちんときまるわけですね。だからやはりそういう議論が私は出てくるんじゃないかと思うのです。で、五千万円、五千万円で、片方が二倍、三倍ということでも、将来はひとつ
考え
て、何とか民間の熱意にこたえるようにおやりになる、まあそういうようにこれから
考え
ていくと、こういうことですね。
樋詰誠明
66
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) そのとおりでございますし、また民間がうんとたくさん出して下さるというのであれば、この三つの
会社
につきましても、かりに名古屋の場合、国が一億しか出しておりません。地方庁がまた一億五千万出すと、民間が三億出して下さるというんならそれでもいいわけでございます。われわれはできるだけ民間からたくさん出していただくということを今日におきましては、また将来においても期待するものでございます。
近藤信一
67
○
近藤信一
君 今度の六億円の
政府
出資で十八億
程度
の総
資本金
では、将来
投資育成
の
事業
にはなかなかこれは不足するのではないかというふうなことが
考え
られるわけであります。その際これを
増資
をされるのか、それとも各地方に設立することで補っていくのか、
増資
する場合には、普通の
株式
会社
であれば現在の株主に割り当てるのが普通でございますが、この
投資育成会社
もそのときの株主に割り当てられるのかどうか、そうなると、地方団体や民間
会社
の出資したものは将来負担を感ずることになるが、その間の調整をどういうふうにあなたのほうでは
考え
ておられるのか。
加藤悌次
68
○
政府委員
(加藤悌次君)
増資
の場合の旧株主の引き受け権でございますが、日本の今までの慣行からいたしますというと、これは旧株主にまず割り当てるということでございますが、
法律
的にこれは自由でございます。それから実際問題といたしまして、
投資
会社
が操業いたしましてある
程度
の
期間
はなかなかむずかしい、旧株主が割り当ててほしいということはない、もうこれくらいでかんべんしてほしいということになるのが、現在の国策
会社
にもそういうものが多々見受けられるわけでございますが、そういう状況でございますので、おそらく二年、三年と
増資
を続けていくという場合には、もちろんその旧株主でひとつ引き受けてやろうという方が出てこられればけっこうでございますが、それだけで必ずしも十分でないという場合には、さらに
範囲
を広めまして新しい方に
増資
の新株を引き受けていただく、こういうことにやっていかざるを得ないのじゃなかろうかというふうな感じでございます。
近藤信一
69
○
近藤信一
君
見込み
があり、将来性があればこの旧株主もそんなに私、
増資
に対しては今昔われたようなかんべんしてくれ、困るというようなことはないのじゃないかと思うのですが、どうですかその点は。
加藤悌次
70
○
政府委員
(加藤悌次君) これは見通しの問題で、非常にむずかしいのでございますが、われわれが一応収支計算の見通しを立てておりますが、要するに、この
会社
が益金が出るのが、大体五年目ぐらいから。ですからそれまでの間は臥薪嘗胆と申しましょうか、一文の配当ももらわずに出資者の御協力を願うということになるのでございますので、
一般
的な感じからすると、ただいま私が申し上げたようなことだと思います。ただこれを仕事をやってみたところが、実際にどうもうまくいきそうだと、
株式
を手放すときに初めてキャピタルゲイン ということで多額の剰余金というか利益が出て参るわけでございますから、そこに至るまでに見通しがはっきりしておって、五十円の
株式
が七十円にも百円にもなりそうだということで、
増資
の場合には必ず
自分
も引き受けたい、旧株主でそういうものがあれば、われわれそれにこしたことはないわけでございまして、そういう場合にはおそらく今までの
一般
原則
によって旧株主の引き受けを尊重する、したがって、旧株主に
増資
新株を割り当てるということを
考え
てしかるべきじゃなかろうかと思っております。そのいうことになれば、非常にけっこうなことだと思っております。
近藤信一
71
○
近藤信一
君 そういたしますと、旧株主に割り当てることもあるし、新しい株を出す場合もある、こういう二本建ということになるわけですね。
樋詰誠明
72
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) そうでございまして、ただわれわれ現在までに地方庁あるいは民間の団体等にお話ししていますときには、少なくとも三年ぐらいは毎年
増資
をしていただくというくらいのことで当初から踏み切って御協力願いたいというふうにはお願いしてございます。ただこれはいろいろ都道府県にございます議会の承認といったようなこともございますので、それぞれの地方自治団体の
理事
者としてもあらかじめ
自分
だけできめるというわけには参らないと思いますが、われわれとしては
原則
としてできるだけ当初引き受けた方に今後もやっていただきたい、こう思っておりますが、それが不可能な場合には、先ほど振興部長が申し上げましたように、第一回目には出していただかなかった株主を新たに財界等に見つけて、そこに協力していただくといったようなことも当然あり得ると思います。
近藤信一
73
○
近藤信一
君
中小企業金融公庫
の引き受ける
株式
を議決権のない
株式
にされましたときの
理由
は何か。どういう
理由
であるか。
樋詰誠明
74
○
政府委員
(
樋詰誠明君
)
中小公庫
が引き受ける
株式
は議決権のない
株式
である、それから利益をもって将来消却される
株式
である、それから配当において優先的に配当を受ける
株式
である、この三つの性格を持っていることということが第三条に書いてあるわけでございますが、この議決権のない
株式
というものにいたしましたのは、これは先ほど来申し上げておりますが、できるだけこういう
投資育成
といったような業務につきましては、民間の
会社
経営のほんとうに力を持っておられるといったような
方々
の創意工夫に待つということがいいので、あまり
政府
が株主としてそこでいろいろな発言をするというよりも、むしろ
政府
は民間あるいは
地方公共団体
だけでは集まらない金を援助するという形で出資するという
格好
にとどめるほうがいいのじゃないか、そういう
意味
から議決権もないということにしたわけでございますが、大体議決権のない株ということにいたします半面、これは今まで長期信用銀行あるいは不動産銀行といったようなものに対して
政府
が出費したときの先例もそうでございますが、議決権はない、しかし一応優先配当をつける、それから将来利益があった場合にはその利益をもって消却していただいて、言いかえますと、将来この
会社
は順調に育っていきますと、民間と
地方公共団体
とこの両者が株主になる、
政府
は一応株主ではなくなって、民間的な色彩の強い
会社
として運営していただくということになるわけでございますので、こういう
会社
がうまくいった場合に利益をもって返していただく、また配当もそのときにしていただくという一極の出世払いの確定利付債券といったようなものがこういう優先的
株式
、無議決権
株式
という形をとっているというふうに御理解いただきたいと思うのでございます。
近藤信一
75
○
近藤信一
君 今の御
答弁
のように優先
株式
にされた、
政府
から出資するのは他の株主への配当が済んでから配当をつけるようにすべきじゃなかったかと私はそう思うのですが、優先配当率は一体どのくらいにあなたのほうでは見ておられますか。
樋詰誠明
76
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) 大体六分五厘と
考え
ております。 それからむしろ後配株にすべきじゃないかというお話でございますが、先ほどの私の
説明
が舌足らずであったかと存じますが、あくまでも株主という地位にとどまって配当を後配株という
格好
で、あとから受けるという
格好
にするのがいいか、あるいは
政府
の援助は、これはむしろ長期の一種の債券を持った、社債を持ったというような
格好
でやって、
会社
の運営には口を出さぬほうがいいか、いろいろやり方があろうかと存じますが、この
投資育成会社
につきましては、後者の形をとりまして一種の社債的なものを持つのだから、
会社
の運営には
政府
はできるだけ口を出さない、ただ社債といいますと、これは
会社
がもうかってももうからぬでも金利を払う、元本返せ、こういうことになるわけでございますが、それではこういう新しい試みの
会社
がはたして確実にもうかるかどうか、われわれはもうかるつもりでやっておるわけでございますが、わかりませんので、将来利益が出たらその利益で消却して下さい、利益が出たら配当するでしょうが、その際にはまず六分五厘は下さいということをいっておるわけでございまして、われわれは少なくとも将来この
会社
は
自分自身
でも一割以上の配当ができるということになるだろうと、こう思いますが、そういう際には
政府
には六分五厘払い、民間あるいは地方団体には一割あるいは一割二分を払うということにしてもいいわけでございまして、一種の六分五厘は社債的な
関係
で経営にはタッチしないからひとつそれだけは返して下さい、金利を払って下さい、しかしもうからない間は払う必要はありませんから、もうかるようになってからでけっこうですというような形をとっておるわけでございます。
近藤信一
77
○
近藤信一
君 そこで優先
株式
は、商法によりますると四分の一を限度とすることになっておるはずですが、この
投資育成会社
に限って三分の一まで差しつかえないことにしたのはどういう
理由
でそういうことになったのか。それから三分の一までよいことにしたのだから、もっと
割合
を多くして
中小公庫
の出資
割合
、すなわち国庫
資金
の出資
割合
をもっと多くすることを
考え
てはどうかと思うのですが、この点はどうですか。
樋詰誠明
78
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) 一応国と
地方公共団体
と民間と三者で出すということを建前といたしておりますので、少なくとも三分の一ということを
考え
たわけでございまして、これは実際には民間からたくさん出していただけば四分の一になるかあるいは五分の一になるかということになるわけでございますが、あまり民間が出す金が少ないというようなことで、この
会社
を作った
目的
が達せられなくても困りますので、少なくとも初年度六億出すのなら全体でミニマム十八億の金は集まる、それ以上の金が集まるということを期待しておりますが、そういう
意味
から四分の一は少ない、少なくとも三者出すのなら三分の一を一応の目標にしてもいいのではないかというのでこういうふうにしたわけでございます。
近藤信一
79
○
近藤信一
君 そういたしますると、商法にのっとったということで
考え
ずに、ただ
地方公共団体
と民間と
政府
と、こういうことで三者三分の一と、こういうことであなたのほうでは
計画
をされたと、こういうことで理解してもよろしいですね。
樋詰誠明
80
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) そのとおりでございます。
岸田幸雄
81
○
理事
(
岸田幸雄
君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
岸田幸雄
82
○
理事
(
岸田幸雄
君) 速記を始めて下さい。 それでは他に御発言もなければ、本案に対する
質疑
は本日はこの
程度
にとどめまして、これにて散会いたします。 午後零時十八分散会