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1963-03-28 第43回国会 参議院 商工委員会 第18号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十八年三月二十八日(木曜日) 午前十時四十一分開会
—————————————
委員
の異動 三月二十八日 辞任
補欠選任
丸茂 重貞君 小林 英三君
—————————————
出席者
は左の通り。
委員長
赤間
文三
君
理事
上原 正吉君 岸田 幸雄君 近藤 信一君 向井 長年君
委員
川上 為治君 豊田
雅孝
君 吉武 恵市君
阿部
竹松
君 久保 等君 奥 むめお君
衆議院議員
商工委員長
逢澤 寛君 国務
大臣
通商産業大臣
福田 一君
政府委員
通商産業政務次
官 上林 忠次君
中小企業庁長官
樋詰
誠明君
中小企業庁振興
部長
加藤 悌次君
中小企業庁指導
部長
影山
衛司
君
事務局側
常任委員会専門
員
小田橋貞寿
君
説明員
大蔵省銀行局検
査
部長
佐々木庸一
君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
中小企業振興資金等助成法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院
送付
) ○
中小企業近代化促進法案
(
内閣提
出、
衆議院送付
)
—————————————
赤間文三
1
○
委員長
(
赤間文三
君) ただいまから
商工委員会
を開会いたします。 まず、
委員長
及び
理事打ち合わせ会
の
協議事項
について
報告
を申し上げます。 本日は、
中小企業振興資金等助成法
の一部を
改正
する
法律案
及び
中小企業近代化促進法案
について、
衆議院
における
修正点
の
説明
を聞き、
補足説明
を聴取いたしましたのち
質疑
を行なうことになりましたので、御了承を願います。
—————————————
赤間文三
2
○
委員長
(
赤間文三
君) それではこれから議事に入ります。
中小企業振興資金等助成法
の一部を
改正
する
法律案
及び
中小企業近代化促進法案
を一括して
議題
といたします。まず、
衆議院
における
修正点
の
説明
を聴取いたします。
逢澤衆議院商工委員長
。
逢澤寛
3
○
衆議院議員
(
逢澤寛
君)
中小企業振興資金等助成法
の一部を
改正
する
法律案
及び
中小企業近代化促進法案
に対する
衆議院修正
の
趣旨
を御
説明
申し上げます。 ただいま
議題
となっております
中小企業振興資金等助成法
の一部を
改正
する
法律案
及び
中小企業近代化促進法案
は、両案とも
衆議院
において
修正
を行ないましたが、その
趣旨
を私から簡単に御
説明
申し上げます。
修正
の要旨は、第一に、
中小企業者
の
定義
に関する
規定
あるいは
改正規定
を改め、「これらの
法律
において「
中小企業者
」とは、工業、鉱業、
運送業
、
商業
、
サービス業
その他」を「営む
中小規模
の
事業者
であって
政令
で定めるものをいう。」ものとしたこと、第二に、
中小企業者
の
定義
について定める
政令
の
内容
は、国の
中小企業政策
の
基本方策
を定める
法律
が
制定
実施
されるまでの間は、それまでの
暫定措置
として定められたものとしたことであります。
中小企業者
の
定義
について、このような
修正
を行なった
理由
を次に申し上げます。 すなわち、
政府
、
日本社会党
及び
民主社会党
は、それぞれ
中小企業基本法案
を
提出
し、現在、
両院
の
商工委員会
に付託されておりますが、三案とも、
中小企業者
の
定義
については、その考え方を異にしており、その調整は、
基本法案
の
本格的審議
を待つ以外にないのであります。 一方、御
審議
中の
中小企業
の
近代化
に関する両
法案
は、その
内容
から見て、また
昭和
三十八
年度
予算
との
関係
から見て、
中小企業者
を初め、
国民
多数がその
早期制定
を期待しているのであります。 したがって、これらの
法案
は、
基本法案
に先立ってその
成立
をはかるべきものと存じますが、このためには、
法案
中の
中小企業者
の
定義
の
規定
を一応切り離して処理する必要があると考えたのであります。 以上の
理由
に基づきまして、
定義
は暫定的に
政令
に譲り、
基本法制定
後にあらためて確定する
趣旨
の
修正
を行なった次第であります。 以上御
説明
申し上げます。
赤間文三
4
○
委員長
(
赤間文三
君) 以上で
修正点
の
説明
を終了いたしました。次に
政府委員
から
補足説明
を聴取いたします。
樋詰中小企業庁長官
。
樋詰誠明
5
○
政府委員
(
樋詰誠明君
)
中小企業振興資金等助成法
の一部を
改正
する
法律案
の
補足説明
を申し上げます。 まず、第一条の
目的
に関する
規定
の
改正
でございますが、
中小企業者
の
事業
の
共同化
、
工場
及び店舗の
共同化
その他
中小企業構造
の
高度化
に必要な
資金
または
中小企業者
の
設備
の
近代化
に必要な
資金
の
貸付
を行なう
都道府県
に対しまして、国が
助成
を行なうことにより、
中小企業
の
近代化
の
促進
に寄与することが、この
法律
の
目的
であることを明らかにしたものでございます。 第二条は、この
法律
で使用する用語の
定義
に関する
規定
であります。まず、
中小企業者
の
定義
でございますが、
政府
の
原案
では別途
国会
に
提出
中の
中小企業基本法案
に定める
中小企業者
の
範囲
と同
趣旨
のものを定めることとなっておりましたが、
衆議院
における
審議
の結果、ただいま
逢澤委員長
から御
説明
ございましたように、
中小企業者
の
範囲
は具体的には
政令
で定めることと
修正
をいただいております。なお、これに伴いまして、
本条
の
規定
により定められる
中小企業者
の
範囲
は、国の
中小企業
に関する
施策
について
基本
となるべき
方策
を定める
法律
が
制定
実施
されるまでの
暫定措置
として定められたものとする旨の
附則
第二条の
規定
が新たに設けれらております。 次に、
中小企業高度化資金
及び
中小企業設備近代化資金
でございますが、簡単に申しますと、
中小企業
の
近代化
を二以上の
中小企業者
が相
協力
して行なう場合に貸し付けられるのが
中小企業高度化資金
で、
個々
の
中小企
、
業者
が行なう場合に貸し付けられるのが
中小企業設備近代化資金
でございます。この
二つ
の
資金
の
内容
につきましては、後に御
説明
いたします。第三条及び第三条の二で
規定
をいたしております。 第三条及び第三条の二は、国の
助成対象
となる
資金
の
範囲
及び国の
助成
の
内容
を定めた
規定
でございますが、第三条の
改正
は、
中小企業高度化資金貸付制度
の創設に関するものでございまして、今回の
改正
中最も重要なものであります。すなわち、二以上の
中小企業者
が相
協力
して
近代化
をはかることを
促進
するため、従来から
助成対象
としております
中小企業等協同組合等
の
共同施設
、
工場団地
のほかに、新たに
卸商業団地
、
中小商業者
の協業によるスーパー・マーケット、
寄合百貨店等
、
中小企業者
の
合併
、
共同出資
により設立された
法人
の
施設等
を加えまして、これらを
貸付対象
とする新しい
資金貸付制度
を設け、そのために必要な
資金
の一部を、国が
都道府県
に貸し付けることとするものであります。 なお、国の
助成方法
を
都道府県
に対する
資金
の貸し付けとし、
補助金交付
の
方法
をとりませんでしたのは、後に御
説明
申し上げますように、国の
資金
の
効率的使用
をはかるためであります。これに伴いまして、従来
都道府県
に対する
補助金交付
の
方法
で
助成
しておりました
工場団地
、
中小企業等協同組合等
の
共同施設
につきましては、国の
助成方法
が
都道府県
に対する
資金
の
貸付
に改められることとなります。 第三条の二に
規定
しております
中小企業設備近代化資金
につきましては、
条文整理
の
関係
から
全文改正
の形をとっておりますが、
実体的改正点
はございません。国の
助成方法
も、従来
どおり
、
都道府県
に対する
補助金交付
の
方法
で行なうこととしております。 したがいまして、国の
助成方法
が、
中小企業高度化資金
の場合と
中小企業設備近代化資金
の場合とで異なることとなったわけでございます。いずれの場合におきましても、
中小企業者等
に対する
資金
の供給は、
都道府県
からの無
利子資金
の
貸付
という形になっております。どこが両者の
相違点
であるかと申しますと、
都道府県
へ
中小企業者等
から
償還
された
資金
が、
中小企業設備近代化資金
の場合にはそのままその
都道府県
の新規の
貸付
の財源となるのに対し、
中小企業高度化資金
の場合にはそれが
都道府県
から国に
償還
され再配分されることとなっているのであります。
中小企業高度化資金
につきましては一件当たりの
貸付規模
が大きいものが含まれておりますため、
中小企業者等
から
償還
を受けた
都道府県
に、新しい
貸付対象
がない場合、または
貸付対象
があっても
貸付金額
が
償還金額
より少ない場合を免ずる
可能性
がありますので、
中小企業者等
からの
償還金
を国に集中し、再配分を行なうため、
資金
の
貸付
という
方法
をとることといたしましたが、
中小企業設備近代化資金
につきましては、このような問題がありませんので、従来
どおり
の
方法
をとることとしたのであります。 なお、
都道府県
に対する
貸付
の円滑な
運用
をはかるため国に
特別会計
を設ける必要がありますので、別途
中小企業高度化資金融通
時
別会計法案
が
国会
に
提出
されております。 また、
昭和
三十八
年度
におきましては、
中小企業高度化資金貸付
のため、国から
都道府県
への
貸付金額
約二十三億円を予定し、
中小企業設備近代化資金
のため
都道府県
への
補助金交付額
四十一億円を予定しております。これによりまして、
都道府県
が貸し付けます
中小企業高度化資金
の額は約五十億円、
中小企業設備近代化資金
の額は約百十六億円となる予定であります。 第四条以下の
改正
は、国から
都道府県
に対する
貸付
が行なわれることとなったことに伴う
所要
の
改正等
であります。 以上が本
法案
によります
中小企業振興資金等助成法
の
内容
についての
改正
でありますが、このような
内容
の
改正
とあわせまして、
法律
の題名を
中小企業近代化資金助成法
と改めることとしておりますが、これは別に御
審議
願っております
中小企業近代化促進法案等
と表現をあわせるためでございます。 以上をもって本
法案
の御
説明
を終わります。
—————————————
次に、
中小企業近代化促進法案
の
主要点
について御
説明
申し上げます。 まず、第一条は、
目的
に関する
規定
でありますが、この
法律
は
業種別
に
中小企業
の
近代化
を
促進
し、これを通じて
国民経済
の健全な
発展
に寄与することをそのねらいとしております。その
方策
としては、
業種別
に
中小企業
の
実態
を調査し、その
実態
に即した
中小企業近代化計画
を
策定
し、その
計画
を円滑に
実施
するために必要な
助成措置
を講じまして、
近代化
が
計画
的、効率的に行なわれるよう
措置
いたしますとともに、
需給構造
の
変化等
に即応して
事業
の
転換
を行なおうとする
中小企業者
に対しては、
指導
、
助成等
を通じてその
転換
の
円滑化
をはかることとしております。 第二条は、
本法
における
中小企業者
の
定義
を定めたものであります。
政府
の
原案
では、別途
国会
に
提出
中の
中小企業基本法案
に定める
中小企業者
の
範囲
と同
趣旨
のものを
定義
しておりますが、先ほど申し上げましたように、
衆議院
におきまして、御
審議
の結果、
政令
にゆだねることと
修正
をいただいております。 第三条は、
中小企業近代化基本計画
について定めた
規定
であり、いわば
本法
の中核となるべき
規定
であります。この
中小企業近代化基本計画
の
策定
の
対象
となる
業種
は、次の
二つ
の要件を満たすものでなければならないことといたしております。すなわち、その第一は、その
業種
における
事業活動
の
相当部分
が
中小企業者
によって行なわれていること。第二は、その
業種
に属する
中小企業
の
生産性
の
向上
をはかることが
産業構造
の
高度化
、または
国際競争力
の強化を
促進
し、
国民経済
の健全な
発展
に資するため、特に必要であると認められることであります。 次に、
中小企業近代化基本計画
についてでありますが、この
計画
に定められる
事項
は、大別して
近代化
の
目標
と、その
目標
を達成するために必要な
事項
とに分かれております。
近代化
の
目標
は、
製造業
を例にとりますと、
目標年度
における製品の性能または品質、
生産費
、適正な
生産
の
規模
または方式といったものが
目標
となるわけであります。この
目標
の達成のために必要な
事項
としては、
設備
の
近代化
、
経営管理
の
合理化
、
技術
、
技能
の
向上
、
事業
の
共同化
、その他の
中小企業構造
の
高度化
、
競争
の
正常化
、
取引関係
の
改善
、需要の
開拓等
の
事項
があげられておりまして、
業種
の
実態
に応じ、その全部または一部を
計画事項
として盛り込むこととなります。このように
中小企業
の
近代化
のための
体質改善
、あるいは
環境整備
といった一連の
施策
を
相互
に有機的に関連きせ総合的に遂行していくことにより、効率的に
近代化
を
促進
しようというのがこの
計画
のねらいとなっております。 なお、この
計画
を定める場合には、あらかじめ
中小企業近代化審議会
の
意見
を聞くことといたしまして、広く
学識経験者
の
意見
を取り入れ、いろいろな角度から慎重に
審議
し、適切なものを作り上げていくことといたしますとともに、
基本計画
が定められたときはこれを公表し、その
周知徹底
をはかることとしております。 第四条は、
中小企業近代化実施計画
について定めたものであります。
基本計画
は長期的な観点に立って
策定
されるものであるので、その年々の
実施
にあたっては、その
年度
の一般的な
経済情勢
その他の
事情
を勘案して
実効
を期する必要がございます。したがいまして、
本法
では、
基本計画
の
実施
をはかるため必要な
実施細目
としての
実施計画
を年々定めることとし、
基本計画
と同様これを公表するほか、さらにその
実施
の
促進
をはかるため、
中小企業者
またはその
団体
に対し、必要な
指導
を行なうこととしております。 第五条は、
基本計画
または
実施計画
の変更について定めたものでありまして、
経済事情
の著しい変動があった場合において、特に必要があると認められるときは、
主務大臣
はこれらの
計画
を変更しなければならないこととしたものであります。 第六条は、
実施計画
に定める
中小企業
の近仕化のための
設備
の
設置
に必要な
資金
の
確保等
について定めたものであります。
計画
に定められた
目標
を達成するためには、
相当
の
設備投資
を行なう必要があると考えられますが、これに必要な
資金
については、
個々
の
企業
が当然その
調達
に
努力
すべきものではあるにいたしましても、
中小企業
の
資金調達力
の現状から見て、
所要額
の
調達
を行なうことは非常に困難であると考えられますので、
政府
が積極的に
財政資金
を確保し、あるいは融資をあっせんすることに努める旨を明らかにしたものであります。 第七条は、
中小企業者
もしくはその
団体
、または
関連事業者
もしくはその
団体
に対する
主務大臣
の
勧告
について定めたものであります。
基本計画
に定める
近代化
の
目標
を達成するために必要な
事項
のうち、
設備
の
近代化
、
管理
の
合理化
、
技術技能
の
向上等
の
事項
は、
個々
の
中小企業者
の
経営内部
の問題として
個々
の
中小企業者
の
努力
に期待すべきものであり、国は必要な場合に
指導
、
助成等
の
側面的措置
をとることで足りると考えられますが、
事業
の
共同化
とか
競争
の
正常化
、
取引関係
の
改善
といった
事項
は、
個々
の
中小企業者
の
努力
だけでは解決されない問題であります。そこで、このような
事項
に関し、
中小企業者
が
相互
に
協力
して
事業活動
を行なうことが特に必要であると認められるときは、まず第一項でこれらの
中小企業者
に対し必要な
勧告
ができるように
措置
するとともに、さらに
関連事業
の
協力
をも必要とし、その
協力
が得られないために
勧告
にかかる
事項
の
実施
が著しく困難であるときには、第二項によって
勧告
することができるように
措置
することとした次第であります。 なお、
関連事業者
とは、
当該中小企業者
の
事業
と競合し、もしくは関連する
事業
を行なう者でありまして、たとえば同業の大
企業
、
競合品
の
生産者
は前者に属し、親
事業者
、
問屋等中小企業者
と
取引関係
にある
事業者
は後者に属することとなります。第三項におきましては、
勧告
の
重要性
にかんがみ、これを
中小企業近代化審議会
の
諮問事項
としまして、その発動の慎重を期しますとともに、各
業種
に関する
勧告措置
の
運用
に
統一性
を持たせることとしております。 第八条は、
企業
の
合併
または
共同出資
による新
法人
の
設立等
の場合の
課税
の
特例
について定めたものであります。
中小企業
の
近代化
の
促進
のためには、
個々
の
中小企業者
の
設備
の
近代化
、
技術水準
の
向上等
を通じてその
生産性
の
向上
をはかることも、もちろん大いに推進されなければならないのでありますが、
中小企業
、特に
小規模企業
が適正
規模
化していくためには
個々
の
企業
が相集まって一体化し、あるいは有機的に結合してその
規模
を拡大していく方向へ誘導し、
助成
することがきわめて有効な
方策
であると考えられます。したがいまして、
本条
におきましては、
中小企業者
が
合併
あるいは
共同出資
による新会社の
設立等
を行なうことにより、
基本計画
に定める
近代化
の
目標
に達することとなると認められる場合には、
主務大臣
がその旨を承認し、その承認を受けた
合併
、
共同出資等
については、税制上の
特例
を認めることとして、その推進をはかることとしたものであります。 第九条は、
減価償却
の
特例
について定めたものであります。
中小企業者
が健全な
経営
を維持しながら急速な
体質
の
改善
を行ないますためには、金融上の
措置
と並行して
自己資本
の充実を
促進
することが重要でありますので、
指定業種
に属する
事業
を営む
中小企業者
に対しましては、その有する
固定資産
について
特別償却
を認めることとしたものであります。なお、
本条
及び前条の
課税
の
特例
の具体的な
措置
については、別途
租税特別措置法
によって定められることとなっております。 第十条は、
事業
の
転換
の
指導
及び
助成
について定めたものであります。
需給構造
その他の
経済的事情
の
変化
に即応して
事業
の
転換
を行なおうとする
中小企業者
の
転換
の
円滑化
をはかりますことは、その
企業主
及び
従業員
のためのみならず、
国民経済
上もきわめて大切なことであります。したがいましてその
事業
の
転換
が
中小企業
の
近代化
の
促進
に資するようなものである場合には、
中小企業者
の自主的な申し出に基づき、
政府
が積極的に
指導
をし、必要がある場合には
転換
のために必要な
資金
の
融通
のあっせん、
従事者
の就職を容易にするための必要な援助に努めることとしたものであります。 第十一条から第十六条までは
中小企業近代化審議会
の
組織運営
について定めたものであります。
中小企業近代化審議会
は、前にも述べましたように、
本法
ではきわめて重要な地位を占めておりまして、
近代化計画
の
策定
、
勧告
、
報告
の
徴収事項
については必ず本
審議会
の
意見
を聞くこととされております。 第十七条は、
報告
の
徴収
について
規定
しております。すなわち
実効性
のある
近代化計画
を定め、またはその円滑な
実施
をはかるためには、
実態
を十分に把握することが不可欠でありますので、その
実態
を明らかにする必要がある場合には、
中小企業者
のみならず
関連事業者
からも
報告
を求めることができることといたしました。 第十八条は、
主務大臣
の
定義
の
規定
でありまして、
主務大臣
は
当該指定業種
に属する
事業
を所管する
大臣
とする旨を
規定
しております。ただし、
事業者
に対する
勧告
または
報告徴収
の場合は例外でありまして、
対象
となる
関連事業者
の行なう
事業
を所管する
大臣
ということになっております。 第十九条は、第十七条の
報告
の
徴収
を担保する意味での罰則に関する
規定
でありまして、
報告
をしない者または虚偽の
報告
をした者に科せられるものであります。 最後に、
附則関係
の
規定
でありますが、第一項は
本法
の
施行期日
の
規定
でありまして、本年四月一日から施行することとしております。 第二項は前にも述べましたように、
衆議院
による御
修正
の結果新たに追加となりました
規定
であります。 第三項は、現行の
中小企業業種別振興臨時措置法
の一部
改正
の
規定
であります。
中小企業近代化促進法
は、いわばこの
業種別振興法
を
発展
的に解消するものとして
制定
されるものでありますが、現在なお一部
業種
につきまして
業種別振興法
の
指定
を準備中のものもあり、また
相当数
の
業種
について
実態調査
を行ない、あるいは
改善事項
の
作成作業
を行なっている段階でありますとともに、同法は
昭和
四十年三月三十一日限りで失効する限時法でもありますので、特に同法を廃止する
措置
はとらず、
本法制定
に伴う
経過措置
としてその一部を
改正
することとしたのであります。 第四項は
本法制定
に伴い、
中小企業庁設置法
の一部を
改正
するものであります。 以上をもってこの
法律案
の御
説明
を終わります。
赤間文三
6
○
委員長
(
赤間文三
君) 以上で
補足説明
は終了をいたしました。それではこれより
質疑
に入ります。 御
質疑
のおありの方は順次御発言をお願いいたします。
阿部竹松
7
○
阿部竹松
君 本
法案
に
修正
提案されました
衆議院
の
逢澤委員長
にお尋ねいたしますが、
政府
は
法律
によって
中小企業
とは何ぞやという
定義
を下されておる。ところが今
修正個所
の御
説明
を承ると暫定的であるようですが、
政令
でもって
中小企業
とはという
修正
をされておるわけですがね。何で法的に
政府
が明確に第二条で
中小企業
とは何ぞやというきめつけをしておるのに、
衆議院
では
政令
でもってきめるということをおきめになったか、その
理由
をお尋ねいたします。
逢澤寛
8
○
衆議院議員
(
逢澤寛
君) 今お尋ねの点は、
さき
に
説明
申し上げましたように、この第一は
中小企業
の
定義
の問題であります。それは、この
法律
が
中小企業者
また
関係業者
とすれば、非常に
成立
を期待しておる。期待しておりまするが、
予算
が伴っておる。そこで、これは
早期
に
審議
してやらぬと四月一日から
実施
することができない。そこで、この
定義
をはっきりすることによって、
審議
が非常に長引くということになる。その長引くということは、
さき
に申し上げましたように、
社会党
さんのほうも、その他のほうからも、
中小企業
の
定義
については御
意見
がある。その御
意見
を
衆議院
において
審議
しておりますると、
年度
内にこの
法律
を出すことができない。出すことができなきゃ、
予算
に
関係
のあることで
実施
することができない。こういうような
関係
がありまするので、そこで、この
定義
は御承知のようにいろいろある。また、その
内容
についてもいろいろ
内容
がある。千万であるとか、三千万であるとか、五千万であるとかいうようなことがある。そこで、そうなると、いずれ
十分審議
をしていただいて、いずれにか決定をする時期が出てくる。決定したおりに、その決定したところに譲りたい。こういう
趣旨
でありますことを御了承いただきたいと思います。
阿部竹松
9
○
阿部竹松
君 ただいまの
逢澤委員長
の御
説明
で一応は了としますが、
予算
がついておりまして四月一日から
実施
するといっても、明確な
法律
でない限りはこれは議決することは、できません。と同時に、最前の御
説明
をお伺いすると、暫定的に
政令
でやって、後に論議される
中小企業基本法
において
中小企業
の
定義
をきめなさると。それによって、その
政令
がどういうことになるかわかりませんけれども、
基本法
の定めによって、これが右へならえということになるわけですがね。何で
基本法
を先にやらなかったんですか。
基本法
の
きまり方
によってこの
法律
が根本的に違ってきますよ。まず、
基本法
を先にきめて、
中小企業
というものは何ぞやということを明確にして、しかしてこの二
法案
が当然論議されるべきであって、これから
本家本元
の
基本法
を論議するのに、
枝葉末節
の
法案
のほうを先にきめて、そして今度はそれを
政令
で定めておいてこれは
暫定措置
にしょう。あとどうなるか、二カ月後になるか一カ月後になるかわかりませんけれども、そのときによって左右されるという
法律
を、単に、
予算
がついておりますから、四月一日
実施
だから、
社会党
が云々ということは、どうも
法律
を立法化する院としては軽はずみじゃないかと思うんですが、いかがですか。
逢澤寛
10
○
衆議院議員
(
逢澤寛
君) お答え申し上げます。それは、
さき
にも申し上げたように、やはり時間を要するものである。しかし、
法律
を
制定
するのでありますから、これは
両院
とも慎重に
審議
しなきゃいかぬ。そこで、一方には、
関係者大衆
からいくと、
法律
の
制定
を非常に期待しておる。そこで、一応これは通過しておいて、それで
定義
の問題については、
さき
に申し上げたように
慎重審議
をして、その帰結したところにそれを決定すると、こういうことでありまするから、
衆議院
でやったのが、これはきわめて正当なことだとわれわれは信じておる。これは何べん言っても、それはあなたの議論からいえば水かけ論になる。あなたのほうは、
定義
を先にきめて、なんぼ時間がかかってもかまわぬからゆっくりやったらいいじゃないか、こういう御
意見
。それは
国民
大衆、
関係者大衆
の期待に反することをやることになるから、一応この
法律
はこういうような条件で
制定
して、そして、いろいろ御
意見
があるんだから、御
意見
がきまったら、きまったところにやったらいいじゃないかというのが
衆議院
の
意見
であります。
阿部竹松
11
○
阿部竹松
君 あなたと議論しておっても水かけ論だというような論争であれば、これはとってもあなたにお尋ねしてもどうにもならないんですが、私は
法律
論争としてやっているわけですよ、
法律
論争として。ですから、たとえば
政令
でお定めになられるようですが、
政令
で定めて
中小企業
とは何ぞやということがきまるわけですから、特にこの九条なぞは
相当
影響があるようですが、そういうことで、一応通産省の
政令
によってこの
法律
の庇護を受ける。しかし、
基本法
の
きまり方
によっては、君のところはこの法の適用を受けますよということで、一ヵ月ぐらいたって、法の定めが
政令
で違ってくると、これは実は
政令
できめたことが法的に違って参りましたら、今度は
中小企業
のこの
本法
の適用は受けませんということになる危険性が多分にありますよ。
政令
即
法律
になるという前提条件であれば別問題ですがね。しかも、
中小企業基本法
がまだ
国会
に提案されておらんということであれば別問題です。しかし、すでにもう
中小企業基本法
は一カ月も一カ月半以前にも
国会
に提案されておる。したがって、私の言い分は、出されておるのですから、そのほうを先にやって、そしてこれもともども論議すべきであって、出されておらんで、二年後あるいは三年後というのだったら別問題ですよ。もうすでに一カ月も一カ月半も前に出されておって、それを、
本法
のほうを先に論議せんで、
枝葉末節
のほうを、
国民
が要望しておるから急いだということについては、
法律
的に見ても、将来に禍根を残すのじゃないかというような心配もある。どうですか。
逢澤寛
12
○
衆議院議員
(
逢澤寛
君) その点は私どもも同感な点であります。したがって、このことについては、
衆議院
において野党の諸君とも話し合いをして、野党の諸君のほうでも、この
法律案
の
早期
通過を要望しておる。そういうような話し合いによって、この
定義
の解釈についてはあとの
政令
に譲る、こういうことに了解の上で、これはできていると御了承いただきたいと思います。
阿部竹松
13
○
阿部竹松
君 いや、私はその野党がどう言いなさったか、
社会党
、民社党がどう言いなさったか、そういうことについては私どもは知らない。ですから、私の言うのは、まあ了解したからこう上がってきたのでしょうが、そういうことでなしに、
政令
が暫定処置として今度お出しになられて、一カ月か、一カ月半後に
基本法
ができるのですから、そうすると、
中小企業
は何ぞやということは、
政令
即同じものが
法律
に盛られるならば別問題ですよ。しかし、違ってくると、四月一日から発足すると、四月中は
中小企業
であるということで、この
二つ
の
法律
の適用を受けた
企業
が、
法律
ができることによって、君のところは違います、今度は君のところは適用だというような、朝令暮改的なことになりはせんか、こういう心配ですね、それがある。しかし、それがまあどういうことか、その点が一つと、それからもう一つ、
政令
で定める場合にはどういうものが
政令
として出されますかという中身について、与野党と当局と打ち合わせでもあるのですか。もしあれば、
政令
で定める場合には大体こういうような方針でいきたいというようなことになっておるものかどうか、その点をお尋ねいたします。
逢澤寛
14
○
衆議院議員
(
逢澤寛
君) あとのほうから申し上げますが、その当局との打ち合わせばありません。それから前者につきましては、先にも申し上げたように、大体においてこれはいろいろ
意見
はあるでしょう。けれども、これは
政令
で定めるということにしておきますれば、最悪の場合にあなたの仰せのようなことがあるかもしらんけれども、それは大体ないという——大体においてこの
原案
の
趣旨
のようなことに
成立
するのではないかというような考え方が非常に多かった。そういうようなことで、こういうような、
政令
で定めるということにしておけば大体大過はなかろうがという見解で、
政令
に定めるということにやっていることを御了承いただきたい。
向井長年
15
○向井長年君
政府委員
に聞きたいのですがね、これは、こういうようにして
衆議院
で
修正
されて参議院に回らされた。参議院においてこれが通過する。そうすると、四月一日から
実施
だと、こういうことを言われるわけなんですが、その
政令
は、いわゆる今後
基本法
が検討されますが、この検討、一カ月あるいは一カ月半向こうに決定されると思いますが、それまでにやはり
政令
を作ろうということなんですか。その点はいかがです。
樋詰誠明
16
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) われわれとしましては、
国会
再開されましたならば
相当
早く、できるだけ早く、
基本法
のほうの御
審議
を願っておきめいただけるものと、そういうふうに思っております。したがいまして、それまでの期間は、まずこの
法律
を通していただけたということによりまして、この
法律
だけは一応できたということになりますと、各県等もそれぞれ準備ができるわけでございます。そこで、いろいろの準備はひとつするように、
法律
もできたから、ということでやっていただきまして、
基本法
が与野党のいろいろ御
審議
の結果きまったということになれば、その段階に
政令
を出すということにしたいと。ただこういうふうになりますと、もし非常にそれがおくれて困ると、その場合に、どうしても
予算
の執行も急がなければならないということになれば、たとえば今すぐでも出さにゃいかぬということになりますならば、これはさしあたりといたしましては、現在も
法律
があるわけでございますから、そこで、現在の
法律
をとりあえず
政令
にそのまま移すというのが一番無難な道ではなかろうか。ただ、現在の
法律
もそれから
政府
の
原案
もそれから
社会党
の案も、これはそれぞれ若干ずつ
範囲
が違っておりますので、いずれをとるにしましても、若干ずつ違いがございますので、今すぐ出さなければならないということになれば、現行の
法律
をそのまましなければいかない。しかし実際問題といたしましては、再開
国会
後すみやかに
基本法
が
制定
されるというふうに確信いたしておりますので、それまでいろいろな舞台裏の準備を、
法律
が通ったんだからということでやっていただくということによりまして、
基本法
の御
審議
の結果を待つということにしたいと思っております。
向井長年
17
○向井長年君 そうなると、結局四月一日から
実施
々々とこう言われるけれども、今の答弁を聞いておりますと、各
都道府県
等の準備段階に入ると、こういうことが主眼であって、事実上の直接の
実施
ですね、税制の問題とか、あるいは金融問題、あるいはその他
近代化
問題、こういう問題については、実際問題としては無理である。こういろ考え方であるわけなんですね。
樋詰誠明
18
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) この点につきましては、たとえば現在のままの
定義
で参りますと、
中小企業
というのは三百二十八万七千八十九とあるわけでございます。これをかりに
政府
案ということにいたしましても、三千五百十五ふえるだけで、〇・一%ということになるわけであります。それから
社会党
の案ということになりますと、約一万三千ばかり減ることになりますが、これも一%に満たないまだ数字でございますので、大勢には、準備段階としては差しつかえないのじゃなかろうかと考えております。
阿部竹松
19
○
阿部竹松
君
逢澤委員長
ね、私どもが数
国会
以前から、
中小企業
とは何ぞやという
定義
を明確にしようということで、常に論争しているわけです。特に
中小企業
団体
法ができた当時、この適用
範囲
は一体どういうことかということで論争いたしました。御承知のとおり、
衆議院
と参議院と
両院
で三
国会
ぐらい継続
審議
になって、まあ最終的結論出たわけですが、しかしそのときから、
中小企業
とは何ぞやということで論争いたしました。あるいはまた、
国会
に
中小企業
の代表者の御
意見
を聞きたいというところで、
中小企業
の代表を呼んだところが、その
中小企業
の代表の中に三菱鉛筆の社長がおいでになった。私も三菱ですからよく知っておりますが、そこの会社は確かに
定義
に当てはまる。鉛筆会社で膨大な六億も七億も利潤を上げていますが、オートメ化しているから人数が少ない。こういうことで、単に人数と金額だけで割り切れない問題がありますけれども、しかし、いずれかに割り切らなければならぬ。したがって、法文化して明確にしておきなさいということが常に私どもの主張であったんです。これはもう与野党一致した
意見
です。ところが、あなたのほうで、いろいろ
意見
があったために、この問題を
政令
に委ねて後刻
基本法
の中で論議するとおっしゃっておるけれども、しかし
政令
でやると、さいぜん私が申し上げたとおり、問題が起きやせぬかという心配。しかしあなたは、まあそういうこともあるかもしれぬけれども、大丈夫だと、
原案
にひとしいものが
政令
として盛り込まれるだろう。
原案
というのは
政府
原案
をさしておるのだろうと思うのですが、
政府
原案
をさして、それが、
政府
原案
がそのまま盛り込まれるというのだったら、何のためにこれを
修正
したかわからぬということになる。そのほんとうの
理由
はですね、それと同時に、
政令
に
政府
が任かせたのですから、
政府
の出した
原案
を
修正
しなければならぬほど強い御
意見
をお持ちの
衆議院
の
商工委員会
がだね、それほどの大問題をなぜ
政令
に任かせたかということをお尋ねしたいわけなんです。
逢澤寛
20
○
衆議院議員
(
逢澤寛
君) いろいろ御
意見
はあると思うのです。いろいろ御
意見
はあると思いまするが、
さき
に申し上げたようなことで、一応は
基本
的にはまず
関係
者の要望にこたえるということが一番の問題である。したがって、論議は残しておきませんと、論議が今お話しのような重要な論議になってくると、それを無視するということは、これはできないことなんです。したがって、それは論議は十分尽くして、その帰趨に問わねばならぬというようなことは、これは
両院
とも同じ感覚であろうと思うのです。決定するのじゃないのだ、したがって、その論議を通じて結論を得たいというのでやっておりますと、こういうことを御了承いただきたいと思います。
阿部竹松
21
○
阿部竹松
君 まあそういう意味はわからぬでもないのですが、論議を残しておいてもですね、
法律
は生き物ですから、これはもう四月一日から実行されるわけですよ。論議が残ったままで
法律
が実行されるということは、これはきわめて危険です。特に
樋詰
長官のお話を承ると、準備させなきゃならぬ。しかし
中小企業
というのははっきりわかっておらぬ。何を
対象
にしてとにかく準備させるかというふうな——これは結婚式場はこれはもう混むから早く結婚式場予約しなければならぬけれども、嫁さん婿さんきまらぬというのと一緒で、何を準備するか。
中小企業
の該当
企業
なり該当商社なり該当するものがきまらぬのですから、何を
対象
として各そのそれぞれ下部機関に準備させるのですか。
樋詰誠明
22
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) 先ほども申し上げましたように、
中小企業
というのは大体三百二十八万七千ばかり現在あるわけでございます。現行法の一千万かつ三百人。それで、今度われわれのほうが
国会
に出しまして御
修正
いただいたわけでございますが、五千万かつ三百人ということにしましても三千五百しか全体でふえないということで、まあ大勢としてはほとんど大差がない。九九%以上の——三百二十八万のうちの三千五百でございますので、〇・一%程度というものの差しかないわけでございますので、準備といたしましては、さしあたり従来の
中小企業
というものを一応の
対象
にしていろいろな準備を進めましても行政上さしたる支障はないと、そういうふうに考えております。
阿部竹松
23
○
阿部竹松
君 世界で一番
中小企業
が多いのが御承知のとおりスペインで、二番目が日本ですから、世界で第二の
中小企業
国です。しかし、三百二十八万とおっしゃるのはどこから出てきたか。もうすでに、何だね、三百二十八万というのは
定義
がきまったと同じじゃないか。その三百二十八万が三百十八万になるか三百三十八万になるかわからぬというところに問題がある。あなたが三百二十八万何千といって正確に言うのだったら、あなたのほうではっきりきまっておるのじゃないか。何をものさしにするか、それにもかかわらず、
政令
でどうするかということは、
衆議院
の
商工委員会
で一ぺんも話し合っておらぬということ、別にあなたのほうから進んで言う必要もないから言わなかったかもしれぬけれども、
政令
でどういうものを出すかということが
法律
の
改正
によって問題になるわけです。
政令
がどういうものを出されるか、したがって、まあまだ論議しておらないかもしれませんけれども、あなたの答えが出ておる。式がなくて答えが出っこない。三百二十八万というのは、どういう公式で出てきたのかということです。
樋詰誠明
24
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) 私がむしろ三百二十八万七千と申しますのは、
法人
企業
統計並びに
事業
所統計によりまして、総理府で調べました統計、その中から現在の
定義
、すなわち資本金一千万または三百人以下に該当するものが三百二十八万七千余りあるということを申し上げたわけでございまして、それでは五千万にかりに引き上げられた場合に幾らふえるかということを同じ総理府の統計で調べますと、三千五百十五ふえるということを申し上げたわけでございます。
阿部竹松
25
○
阿部竹松
君
衆議院
の
逢澤委員長
に申し上げますが、私ども、
政府
が提案する、内閣が出す
法律
についてもそうですが、
衆議院
の
修正
された点についても、院議で決定してきたことですから、十分尊重して論議して結論を出したいと思います。私ども、これ以上お尋ねしませんし、これでお引き取り願いたいわけですが、ほかの諸先生方がお尋ねされる点があれば別ですが、私はこれでけっこうです。ただ、お願いしておきたいことは、
基本法
に一切ゆだねるわけですから、
政令
は
暫定措置
ですから、私どもも今までいろいろと長い間、
中小企業
とは何ぞやという
定義
について論議をして参りました。したがって、まあ
衆議院
のほうと同じように真剣にこの
定義
について今後論議をして参りたいと思います。ですから、そういう点もお含みになって、今後
中小企業
の
基本法
を論議されるときに、この
定義
については、まあ
政令
がどういうふうに出されるかは別として、その
政令
を前提条件とせぬようにひとつ御論議を、
委員長
特段の配慮をいただきたいということを御要望申し上げまして、きょうはどうもたいへんありがとうございました。
赤間文三
26
○
委員長
(
赤間文三
君) 逢澤
商工委員長
に
阿部
さん以外の方で御質問のある方はいい機会ですから、よろしゅうございますか。——じゃ、ないようですから、どうも御苦労様でした。
阿部竹松
27
○
阿部竹松
君
樋詰
長官にお尋ねしますが、これは
中小企業
ばかりでない、あらゆる産業、大
企業
においても、
合理化
とか
近代化
という名称の
法律
なり、いろいろ会社が一つの
企業
をもり立てるとか、あるいはまた
企業
を興こすとか、あるいは現在の
企業
の
内容
を切りかえるというときは、常に
近代化
とか
合理化
、こういうことをいうわけです。まあこの
法律
の中にもありますが、
近代化
、
合理化
、これはどういう意味に私どもは解釈すればよろしいのですか。
合理化
とか近代の差ですね。
樋詰誠明
28
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) これは、
近代化
という言葉を特にわれわれがとりましたのは、
中小企業
で一番問題になるのは、これは申し上げるまでもなく
生産性
が低いということでございますが、この
生産性
が低いということをどうしてかと、その原因を考えてみますと、多分に前近代的ないろいろな要素を持っておるというふうに考えられるわけでございます。そこで、われわれといたしましては、この前近代的な要素を払拭いたしまして、できるだけ近代的な要素というものを多く身につけるようにして
中小企業
というもの全体の底上げをするというようなことが必要じゃなかろうかということで、
近代化
という言葉を使ったわけでございます。で、今御指摘の
合理化
ということが片方にございますけれども、
合理化
も結局ねらうことは同じかもわかりませんが、
合理化
のほうにはえてしてどちらかというと非能率切り捨てといったようなニュアンスと申しますか、そういったような響きを持っているような面等もございますので、われわれといたしましては、
中小企業
が全体的にレベル・アップしていくのだと、そして前近代性を払拭して近代的な要素を身につけてよりたくましくやっていくということのためには、一番ふさわしい言葉はこの
近代化
じゃなかろうかということで使ったわけでございまして、
近代化
といい、あるいは
中小企業
の振興といい、あるいは
合理化
といい、これは人によって一つことをさしているといったこともあるかもわかりませんが、一種の歴史的と申しますか、歴史の流れに沿いまして、経済的、社会的な条件が
変化
しつつある現在において、新しいあすに力強く出発するというためには、
中小企業
にとって
近代化
という言葉をもって表現する一切の
努力
が一番効果的じゃなかろうかというふうに考えているわけでございます。
阿部竹松
29
○
阿部竹松
君
二つ
の
法案
をお尋ねすることになっていますが、まあおもに
促進
法のほうから先にお尋ねしたいと思いますが、なお、関連がございますから、飛び飛びになった場合にはごかんべん願いたいわけですが、またそこでお尋ねするのは、皆さん方のほうで
中小企業
の構造の
高度化
という言葉をお使いになっておるようですがね、それはまた今のと全然違うわけですか。
樋詰誠明
30
○
政府委員
(
樋詰誠明君
)
中小企業
の
高度化
と申しますのは、先ほども若干触れたんでございますが、
中小企業
にとって一番大きな問題は、
中小企業
が数が多過ぎて
規模
が小き過ぎるということでなかろうかと思っております。それでこの
企業
規模
の過小性というものに着目いたしまして、
企業
規模
の適正化、あるいは
事業
の
共同化
、集団化というようなことによりまして、このよろな
中小企業
の構造を是正して、
生産性
を最も効率的に
向上
させていくようにするということをわれわれは
中小企業構造
の
高度化
と、こう言っているわけでございまして、これはたとえば
合併
でありますとか、あるいは協業化でありますとか、あるいは
商業
における
経営
形態の
近代化
でありますとか、あるいは非能率的なと申しますか、行き詰まった部門から将来明るい部門への
転換
でありますとか、そういったものをひっくるめまして
中小企業構造
の
高度化
と言っておるわけでございます。
阿部竹松
31
○
阿部竹松
君 そうすると、長官、
合併
とか協業ということになってくると、これは
合理化
と同じじゃないですかね。無理にこじつけて、三つあるもんですから、長官が無理して答弁しているような気がするのですが、
高度化
ということと
合併
あるいは協業、こういうことになるとちょっと私は納得いかぬのですが、その点と、もう一つ
衆議院
で、今、逢津
委員長
にお尋ねしたように
修正
になったわけですが、この
政府
の見解はどうなんですか。この
修正
された中身についてですね。
樋詰誠明
32
○
政府委員
(
樋詰誠明君
)
中小企業
の
高度化
と
近代化
でございますが、
中小企業構造
の
高度化
と申しますのは、
中小企業
の
近代化
を進めるために必要な前提であり、またその態様でございまして、
中小企業
の
近代化
のためには
設備
、
経営
、
技術
等のいろいろな要素の
改善
、
向上
ということが必要でございますが、
中小企業構造
の
高度化
はこれらの諸要素の
改善
、
向上
を効率的に進める
方策
である、こういうふうに考えております。したがいまして、
高度化
は、
近代化
よりも狭い概念でございまして、
近代化
を
促進
するための手段的な概念というふうに御理解いただきたいと思っております。 それから先ほどの
定義
の
修正
の点でございますが、私どもといたしましては、現在の一千万円または三百人、これは工業の場合においては千人とか例外はございますが、一応
製造業
等につきました場合に一千万円または三百人というもの、それはその後各方面で
設備投資
等が行なわれまして、大体三百人の
従業員
を持っているところの資本金はむしろこの
法律
では、現行法が定められた当時は、大体千万円でちょうどバランスしておったわけでありますが、その後調べてみますと、
従業員
三百人のところはおおむね資本金が五千万になっている。それからまたそういうことで実情にたまたま合わせたということでございます。
阿部竹松
33
○
阿部竹松
君 そうしますと、今
修正個所
についてお尋ねしたお答えとして、どういう
内容
を
政令
に盛り込みますかというお尋ねに対しては、
原案
どおり
にいくでしょうという
逢澤委員長
の答弁、この
原案
というのは
政府
がお出しになっていることをさしているかどうかお尋ねしませんでしたが、そういうことでないかというように判断しましたし、その次に
政令
の
内容
について
政府
当局と話し合いがなされましたかというお尋ねに対しては、やっておりませんという御答弁でしたが、
衆議院
段階はそれといたしまして、今、長官の答弁の中でも若干うかがえるわけですが、
政令
はどういう基準で盛り込むものかまだきまっておるかどうかわかりません。しかし、きまっておらないならば、長官の御見解でもけっこうですからお示し願いたい。
樋詰誠明
34
○
政府委員
(
樋詰誠明君
)
政令
をかりに四月一日に出さざるを得ない、そうでないならば一さいの準備が進まないということになりますれば、これはわれわれといたしましては、こういう一番
基本
的なことを
政府
限りでやるわけには参りませんので、現在の
法律
による一千万円または三百人というものを
政令
としては出さざるを得ない、もしすぐ出すとすれば。ただこれは先ほど申し上げましたように、現行でいくかあるいは
政府
の
原案
でいくかということにつきましても、実際問題としてはほとんど
企業
の数からすると大差ないわけでございますので、準備自体としてはどっちにころんでも支障がないという程度の事前準備が進められるものと、こう思っておりますので、
基本法
の御
審議
を待ちたいと思っておりますが、今すぐ出さざるを得ない、どうしてもいけないということになれば、これは
政府
としてとるべき道は、現行法一千万円ということにせざるを得ないかと考えております。
阿部竹松
35
○
阿部竹松
君 現行法でいった場合には、長官から御
説明
があった三百二十八万、こういうことになるのですね。そうするとこのほうでいくと依然として三百二十八万ということにならぬじゃないですかな。
樋詰誠明
36
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) そこで、現在の一千万円または三百人ということになると、三百二十八万七千でございます。それが五千万円または三百人、かりに上がった場合に幾らになるというと、三百二十八万七千から三百二十九万三千五百ふえるだけでございます。三百二十八万七千を一応
対象
に準備を進めまして、それがその結果三百二十九万となったからといって、急にあわてなければならないことはまずない、一番上のところを
中小企業
に入れるかどうかというだけの問題でございますので、現行法
どおり
にいきましても、実際の支障はほとんどないのじゃないかということを申し上げておるわけであります。
阿部竹松
37
○
阿部竹松
君 次に、さいぜんも若干逢澤
衆議院
の
委員長
にお尋ねしたわけですが、
基本法
がいずれ本
国会
でできることとして、当然
基本法
が先でなければならぬという私は見解を持っておるわけです。ですから、なぜ
政府
当局は
基本法
のほうを先に論議して決定するようにお努めにならなかったかということが、私きわめて疑問に思っておるわけです。一番根本方針の
基本法
を来
国会
か次々の
国会
で論議するなら別ですが、同じ
国会
で論議するのですから、そうすると
基本法
を、やはりどうしても当然
基本法
が先にならなければならぬのだし、
政府
としてもそうだと思うのですが、これはあなたのほうで
基本法
をおそくお出しになったから、
基本法
がおくれて
枝葉末節
の
二つ
の
法案
が先になったからということと、それから
近代化
促進
法というものを作らなければならなかったとその根本原因、それをお尋ねします。
樋詰誠明
38
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) これは筋から申しますと、これは先生のおっしゃるとおり、まず
基本法
を作って、それの関連法というものを御
審議
いただく、またそれで御決定いただくというのがこれは一番筋だろうと、こう存じます。ただ、先ほど
逢澤委員長
も申し上げましたように、
基本法
はこれはいわば憲法でございまして、それ自体では大きな方向を示すということにとどまりまして、
個々
の具体的な
施策
につきましては、それぞれの実定法にゆだねておるわけでございます。そこで大きな方向というものにつきまして、これは御
審議
願って、それをおきめいただくということは、十分時間があればもちろんそうすべきだと思いますが、われわれといたしましては、具体的な
内容
を持った実定法、これが非常におくれるということになると具体的な御迷惑を
中小企業
にかける。
基本
的な方向の憲法そのものについては考え方がどうだこうだという非常な大きな問題でございますが、これはいわば憲法で、直接権利を付与したり、利害
関係
が比較的薄いものが多うございますので、順序としてある程度おくれるということもやむを得ないということで、これは順序から申せば先生のおっしゃるように、まず憲法を作って、そして大きな
範囲
内において一連の体系の
法律
を次々に
審議
していただくということが、これは一番望ましいこととは思いますが、しかし、
逢澤委員長
も申し上げましたように、いろいろな
助成
の面その他で、待っている
中小企業者
の実情等を考えますと、実定法のほうをまず先に上げていただいて、そして
基本
的な論議のほうは若干おくれるということも便法と申しますか、やむを得なかったのじゃないかと、こう存じております。 なお、
近代化
促進
法をなぜ作らなければならないかということでございますが、これは御承知のように、最近
中小企業
を今までささえておりました経済基盤、これが自由化の推進でございますとか、あるいは高度経済成長による労働力の不足でありますとか、いろいろな面で大きく変わってきております。これからの
中小企業
というものは、これはひとり
中小企業
だけではございませんが、日本経済全体が国際
競争
に直面せざるを得ない、またそれを乗り切って初めて真にたくましい
発展
ができる、そういうふうに考えるわけでございますが、そういう経済の新らしい段階に入り、しかも外からの脅威というようなものを考えざるを得ないということになったわけでございますので、たくさんございます
中小企業
の中で、今特に
中小企業
の占めるウェートの高いものであって、しかもその産業のその部門に属する
中小企業
が振興するかどらかということが、
国民経済
全体の
産業構造
を
高度化
することに非常に大きな影響を持ち、また
国際競争力
の点から申しましても至大な関心を持たざるを得ないといったものでございますので、逐次これを取り上げまして、今まで以上の手厚い保護
助成
の
措置
を講ずることによりまして、一日も早く一本立ちできるようなふうに持っていきたいということで、そういうことで
法律
を御
審議
願っておるわけでございます。
向井長年
39
○向井長年君 ちょっと関連で、特に政務次官に聞きたいのであります。今長官からいろいろお話ありましたが、
基本法
があとになって、関連法が先に出る、こういう形ですが、確かにこういう問題は
促進
しなければならぬ
法案
であると思うのですが、結局
中小企業
法案
そのものが先ほどから
阿部
委員
も言われたように、いわゆる大
企業
に対して
中小企業
の底上げという問題が大きな問題だろうと思う。そうすると、最近、最近というよりも現在特定産業振興
措置
法案
、これが
国会
に提案されておりまして、まだ
趣旨
説明
は聞いておりませんが、こういう案が大
企業
の今後の国除
競争
力を増大するという立場からああいう
法案
が出されておりますが、そういう
法案
を今後通過さし、
促進
さすために、こういう
中小企業
の当面する問題を早急にこれは早くしなければならぬというこういう立場に立っていうならば、政治的にそういうふうに考えられたのか、その点どうなんですか。
上林忠次
40
○
政府委員
(上林忠次君) 当面しております自由化の問題に即応しまして、何とかして第一線になくてはならぬ、立つためには一番風当たりの強い大
企業
を安全の位置に持っていかなければならぬ。これを持っていかないとこれに従う
中小企業
もやっぱり弱体化する。大
企業
ばかりでなくて、これに従っている
中小企業
が
相当
あるのだ。その問題で先ほどから
阿部
氏から問題が出ていると思いますが、いずれにしましても、
中小企業
を育てるためには、中心になる
基本
的なああいうような
基本
産業の拡充をはからなくちゃならぬ。その問題で先ほどから論議されておるわけでありますが、大
企業
ばかりを生存させるという意味じゃないのでありまして、まず大
企業
が倒れたらしまいじゃないか、日本の産業はしまいじゃないか、これに従う
中小企業
がしたがって没落する、没落するかどうかという時期にきているのじゃないか、そのどこをつかむか、
中小企業
合理化
等から引っ張り上げるかという問題で、先ほどから論議されておりますことは、大
企業
のほんとうの目ぼしい産業をまず外国の産業と対抗できるような位置に持っていきまして、これを安泰に置いて、これから関連した
中小企業
の
発展
を期したい、そして日本の産業の拡充
発展
を期していきたいと私は考えております。
樋詰誠明
41
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) ちょっと今の政務次官の御
説明
に補足さしていただきますが、現在御
審議
願っております
中小企業
関係
の
法律
は、これは特定産業振興法とは全然
関係
なしに、むしろ大
企業
に対する
中小企業
の格差を是正するという、そして
中小企業
全体の底上げをするということを
目的
として出したわけでございます。ただこれを出しましたあとで、今、政務次官がおっしゃいましたように、大
企業
自体のほうに立ってこれでいいのかというと、
相当
問題があるのじゃないかということで、特定産業振興
法案
が大
企業
も
中小企業
も全部ひっくるめた当該産業自体として、いかにも外国から攻勢を受けたらひとたまりもないという懸念のあるものについては、大
企業
、
中小企業
の差別なしに、全部ひっくるめた当該産業として何らかの格好で国際
競争
をしなければならない、そのためにある程度いろいろな
設備
も要るじゃないかということで出されたわけでございまして、われわれがここで御
審議
願っておりますのは、国内においてまず大
企業
との格差を是正するということを
目標
に出されたものでございます。
向井長年
42
○向井長年君 それで大体わかりました。そういうものには
関係
なしに早くしなければならぬ、こういうことですが、政務次官の今の答弁はちょっとどうも私納得できないのですが、これは今、日本のあらゆる
生産
ですね、これは大
企業
と
中小企業
を比較した場合どのくらいの割合にあるか、
中小企業
は大体七割じゃないですか。それから輸出問題にいたしましても、やはり五割強は
中小企業
が担当しておるのじゃないか、こういうことだと思うのですが、そういう中で、今の政務次官の意向を聞いておると、
中小企業
が中心で、そうして
中小企業
も若干底上げしなければならぬと、こういうような意向になるのですが、これは私たちこれを論議する立場から考えるとちょっとおかしいのじゃないかと思うのですよ。その点は明確にしていただきたいと思うのですが、今、長官に聞きますが、先ほど申しましたように
生産
の問題ですね、やはり大
企業
はどういう範疇に入れるかは別にしましても、やはり七割近くの
中小企業
でこれがあらゆるものが
生産
されておる、輸出の場合においても五割強ではないかとこう思うのですが、その点いかがでしょうか。
樋詰誠明
43
○
政府委員
(
樋詰誠明君
)
中小企業
の
範囲
をどこにおくかという点、若干問題があると思うのであります。先ほど申しましたようにどっちにころんでも大差はない、ネグリジブルの差であります。そこで一番新しい総理府の統計は
昭和
三十五
年度
までになっておりますが、だんだん
中小企業
のウエートは減りつつあるわけでございまして、三十五
年度
には付加額におきまして大体四九%、付加価値におきましては一応四六%ということになっております。確かにもう少し前には六割あるいはそれ以上になったこともございますが、最近非常に大
企業
のほうの伸び方がより大きかったというようなことが出ておりますので、半分を今、割っているという格好になっています。それから輸出につきましては、これはどうもはたしてどれが一体
中小企業
のものかということは非常にむずかしいわけでございますが、たとえばある試算によりますと五二%程度が
中小企業
の手に成るというふうにいわれております。
向井長年
44
○向井長年君 そういう割合が出ておりますけれども、大
企業
とてもすべて大
企業
で
生産
しておるということじゃなくて、ほとんどは大
企業
は下請というか、こういう
中小企業
に委託した問題が非常に多いのじゃないか。したがって、当初申しましたように、大
企業
も国際
競争
を、これは対等の立場でやらなければならぬというようなこともわかりますけれども、ここにやはり
中小企業
の大きな先ほどからいわれる
高度化
あるいはまた底上げ、これが必要になってくると思うわけなんです。そういう意味でこういう関連
法案
も出ておると思いますので、先ほどちょっと振興法、いわゆる特定産業振興法、これに比較して政務次官に聞いたのですが、この点はひとつ政務次官として明確に
中小企業
の問題を理解してもらっていなければいかぬと思います。
上林忠次
45
○
政府委員
(上林忠次君) 特定産業に重点を置いたとおっしゃいますけれども、まず特定産業が一人前になってくれなくちゃ困る、日本の産業としてこれが中核になるのだと思っております。とにかくわれわれとしましては、ああいうような大産業に比べて
中小企業
はやっぱり格差がひどい、これを是正するのがわれわれの
目標
でありまして、先ほど申しますように
中小企業
の付加価値が減ってくるということも最近の情勢でありまして、かような
変化
が起きている。特にそういうような点から考えますと、
中小企業
には手厚い処置を講じて、
高度化
とかあるいは
設備
の改良を
促進
いたしまして、何とか付加価値を多くしまして、差額を少なくしなくちゃならぬ、差等を減していくというようなことが必要である。それで特にわれわれはこういうふうな
審議
をしていただきまして
法律
を出そうと考えておる次第であります。
阿部竹松
46
○
阿部竹松
君
法律
を見ましても、長官の御答弁を承っても、大
企業
と
中小企業
の格差をなくす、二重構造をなくす、
生産性
を同じようにするように
努力
する、こういうことなんですから、次官のさいぜんの御答弁のように、まず大
企業
、その次は中小だというようなことは、心の中でお持ちになっても、この
法案
を
審議
するときにはおっしゃらないほうがよろしい。 なお、
樋詰
長官にお願いしておきますが、今の次官の答弁に関連して、次官のおっしゃったとおりであるが、もちろん大
企業
も手当をせんければならぬ、それには向井
委員
の質問したように特定産業云々という
法律
ができます、こういうことなんですが、あなたは
中小企業庁長官
であるし、有能な通産官僚の最高幹部なんですから、あの特定産業振興
法案
などというものは、これは私ども
社会党
は全く反対なんですが、
社会党
内だけじゃなく、自民党さんの中にも反対の方がたくさんいるのですよ。昔の戦国時代の終末どきに、豊臣家と徳川家が戦って、まず関が原でやられて、大阪冬の陣でやられて、大阪夏の陣に近いああいうふうな
法案
とあなたは心中なんかせぬほうがいいですよ。あなたは
中小企業
を一生懸命にやっておれば、将来あなたは通商産業省を背追って立つのだから、ああいうつまらない
法案
と心中なんかせぬように、これはよけいなことですが注意しておきます。 そこでお伺いしたいことは、さいぜんも御
説明
がございましたが、何とかして四月一日から発足させ得る
予算
措置
も講じておるということなんですが、三百二十八万も、約三百三十万もございまして、それを全部てこ入れするというのですが、
予算
はどのくらい盛り込んでおりますか。
樋詰誠明
47
○
政府委員
(
樋詰誠明君
)
予算
といたしましては、通産省
関係
では八十五億、労働省その他入れまして百十八億ということでございます。これは
予算
額そのものは非常に小さな額になっております。ただ、
中小企業
の
関係
は今さら申し上げるまでもありませんが、三百二十八万からの方々のすみずみまで行き渡るようにするということは、結局金融と税制と両方でできるだけ配慮をするというのが、一番すみずみまで浸透する
施策
であろうと考えておりますので、それにつきましては、
政府
関係
の金融機関等におきましても、昨
年度
より一五%貸し出し
規模
をふやしまして、本年は三千億あまり、一応の予定では三千五億ということになっておりますが、それだけの貸し出しを
政府
財政金融機関だけでも出そうということを考えております。そういう直接な
政府
の
予算
以外に、財政投融資といったような面から
中小企業
を大いにバック・アップする。それから税制の面から専従者控除でありますとか、あるいは同族会社の留保金を軽減するというようなことで、いろいろ配慮を払うということによりまして、国の
予算
、税制、金融、この三本建てを通じてできるだけすみずみまで
施策
が行き渡るように
努力
したいと考えております。
阿部竹松
48
○
阿部竹松
君 確かに長官の御答弁にありましたように、三百三十万
中小企業
がありましても、それは私も全部該当するとは思いませんし、そういう必要のないところもたくさんあるだろう、しかし、あまりにも額が少ないのですね。私もしろうとですが、しろうと目で見ても額が少ない。これはイギリスの
国会
では野党と与党がここでやり合うのですが、与党の豊田先生あたりはその道の権威者ですから、うんと論戦を今やってみたいと思うのですが、今おっしゃったような金額で、この法文の示すような
産業構造
の改革から大手、
中小企業
の問題等解決できるかどうかということをまず申し上げたいわけです。なお、そういう点について詳しく御
説明
願いたいのと、
租税特別措置法
で適用を受けているのは一部分じゃないかということを主張して参りましたが、その点も見ているようですが、大蔵省と話し合いがついた大体の額はどのくらい見ているのですか。おそらく大蔵省との話しい合いをしているだろうと思いますが、大体の話し合いなされた額はどのくらいですか。
樋詰誠明
49
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) 先ほど申し上げましたように
予算
の金額としては、これは確かに多い額ではございません。直接この
対象
になるという
中小企業
は全体から見たら非常に微々たるものであるということは御指摘のとおりだと思いますが、先ほど申し上げましたように、
中小企業政策
は、こういう国から直接無利子の
貸付
金を出すとかいったような、そういうことのほかにいろいろ金融のめんどうをみるというようなことで、お世話していくということがむしろ行政の本筋であろうかというふうに考えておりますので、その点を重ねて申し上げさしていただきます。 第二番目の御質問の税の
関係
で、それでは一体どの程度まで
中小企業
がめぐまれることになるかということでございますが、これは三十七
年度
に比べまして大体同族会社の留保金
関係
で三十億円、
近代化
促進
法の第九条の
関係
の割り増し償却というのがございます。それで十五億、団地、
合併
、協業化の
促進
というようなことに伴います清算所得に対する
課税
減免というようなことで三十億円、それから専従者の控除引き上げということに伴いますもが六億円ということで、合計して減税
関係
は、これは数字はもう少し多いと思うのでございますが、大蔵省が、非常に正確にと申しますか、固くしぼってみたところで、大体八十一億円ばかりの減税が今までの上に加えられるということになっております。
向井長年
50
○向井長年君 その減税の問題で特に
近代化
の八条の中にもありますが、
租税特別措置法
の
改正等
も加わっているのですが、ひとつこの点について早急に具体的に詳細な資料を出していただきたいと思うのですが、出ますか、あすまでに資料。
赤間文三
51
○
委員長
(
赤間文三
君) 速記ストップ。 〔速記中止〕
赤間文三
52
○
委員長
(
赤間文三
君) 速記を始めて。
樋詰誠明
53
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) この中で
合併
関係
は大
企業
と込みになっているそうでございますので、はっきりした数字がわかりませんが、この
法律
の中の第九条の割り増し償却、あるいは同族会社の留保金というような問題、あるいは専従者控除というものは、これは資料として
提出
いたします。
赤間文三
54
○
委員長
(
赤間文三
君) 速記を止めて。 〔速記中止〕
赤間文三
55
○
委員長
(
赤間文三
君) 速記を始めて。 それでは午前はこの程度で暫時休憩をいたします。 午後零時八分休憩 —————・————— 午後一時三十八分開会
赤間文三
56
○
委員長
(
赤間文三
君) ただいまから
商工委員会
を再開いたします。 まず、
委員
の異動について御
報告
をいたします。 本日丸茂重貞君が辞任をされ、その補欠として小林英三君が選任されました。
—————————————
赤間文三
57
○
委員長
(
赤間文三
君) 午前中に引き続き、
中小企業振興資金等助成法
の一部を
改正
する
法律案
及び
中小企業近代化促進法案
を
議題
として
質疑
を続行することにいたします。 御
質疑
のおありの方は順次御発言を願います。
阿部竹松
58
○
阿部竹松
君 通産
大臣
にお尋ねいたしますが、午前中
樋詰中小企業庁長官
から、いろいろと
二つ
の
法案
の
説明
を受けいろいろお尋ねしたわけですが、特に
中小企業近代化促進法案
の施行にあたって、
予算
の額をお尋ねしましたところが、百幾らという、億単位の金なんですが、百億ぐらいの金をもってしては、三百二十八万あるというのですから、もちろんこれは全部が
対象
になるわけでございませんけれども、八幡製鉄一つみてもまあ資本金が百億円、日本全国の
中小企業
に対する
近代化
の
措置
とか、あるいはまた
高度化
、
合理化
の中身についても承りましたが、これだけのお仕事をされるのに八幡製鉄一つの会社ぐらいの金では、はたしてねらっておるところの
近代化
促進
ができるかどうかということなんですが、もちろん
中小企業
といえども、全部国にたよって
近代化
するとか、
合理化
するというものではなかろうと思いますが、それにしても、あまりにもわずかな額であるというようなことからして、ねらっておる
趣旨
のようなことができ得るかどうかということをお尋ねします。
福田一
59
○国務
大臣
(福田一君) これは
阿部
さんもすでにおわかりのことでありますが、確かに直接
予算
は少ないのでありますが、
中小企業
というものは、何も独立して存在しているのじゃなくて、経済の中で大
企業
との
関係
も持ち、また横との
関係
を持ったりして、そうして仕事をしておるわけであります。そこで、経済全体が動いてくるようになれば、
中小企業
もその意味で動きやすいというような面もあるのでありまして、
中小企業
に一応振り向けておる
財政資金
とか、金融
資金
というようなものだけが、
中小企業
振興でもなければ、何でもない。もちろん今あなたのお話のことは、
近代化
ということを中心にして取り上げておっしゃっておられるのですから、その意味では確かにまだ足らないのではないかというお考えについては、われわれも十分だと思っておるわけではございません。しかし、先ほども申し上げたとおり、日本の経済の中で、どの程度に
中小企業
に
資金
を振り向けていくか、私はすべての経済に——大
企業
といわず、
中小企業
といわず、小
企業
といわず、みんなに国としては援助をして、あるいは何らかの金融
措置
その他
合理化
等の問題を考えていく必要はあると思いますけれども、まあ
中小企業
に十分それをやらなければならぬけれども、この現段階において、財政的にみれば、この程度のことをやってはどうかというのが
政府
全体としての考え方であろうと思うのであります。それが
予算
にあらわれてきておるわけであります。それでは、通産
大臣
自体として十分と思うかということになれば、これは
近代化
はまだやったほうがいいのですから、それは決して私は十分でございますとは申し上げかねるのでありますが、しかし、この限度で差しあたりやむを得ない。しかし、今後はもっともっと
努力
をして
近代化
促進
に努めて参りたい、かように考えておるわけであります。
阿部竹松
60
○
阿部竹松
君 確かに、百十数億の金ばかりでなくて、今、
大臣
のおっしゃったようなことを午前中伺いました。一例をあげると、
租税特別措置法
の問題にいたしましても、八十数億の税金をみてもらうということになるのですから、まああらゆる手を講じてやるようにできておりますけれども、それにしても、あまりにも太平洋にアワ粒というぐらいで、これは極端な例になるかもしれませんけれども、日本国中の
中小企業
に当てはめることですから、これはとても満足でないということを
大臣
もおっしゃっておるわけですが、これではとうてい
法案
の
趣旨
というものが生きてこないような気がするのですがね。ないよりはましだということになりはせぬですか。
福田一
61
○国務
大臣
(福田一君) こういうものは、見方といいますか、数字のとり方等でもいろいろ変わって参ります。われわれとしては、この日本の国力の段階において、また日本の経済の段階において、また
予算
の段階において、満足はできないけれども、まあがまんせざるを得ないということでありまして、あるいはあなたのおっしゃるように、もし大したことではないということになれば、むしろないよりはましだということになるかとも思いますが、少なくとも前向きの姿勢で
中小企業
に取り組んでいる、量は少ないけれども、前向きの姿勢におるということだけは御理解をいただきと思う、かように考えておるのであります。
阿部竹松
62
○
阿部竹松
君 次にお尋ねしますが、この
法案
の中に、三百二十八万か三百三十万ある
中小企業
の中で該当する種目をあげておりますが、「工業、鉱業、
運送業
その他」、「その他」というのはまあ窯業とか、建築とかが入るかと思うのですが、大体この「その他の
業種
」というのはどういうものが入るとお考えになっておるわけですか。
樋詰誠明
63
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) この中には運輸業でありますとか、建設業でありますとか、それから金融、保険、不動産といったようなものでございます。それからこのほかに公益
事業
でございまする電気、ガスといったようなものがございます。
阿部竹松
64
○
阿部竹松
君 そうしますと、
相当
なものが入ると同時に、
相当
な種類の産業がはずれるということになりますが、同じ
中小企業
でも、これは
企業
庁長官、あれですね、純然たる個人の
中小企業
と、大
企業
の系列会社の
中小企業
がありますね。その差等はもう全然この法の施行に当たって見ないのですか。
樋詰誠明
65
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) 私先ほど三百二十八万七千というふうに申し上げましたが、そのうちで
法人
企業
は約五十万六千程度で、あとの二百八十万ばかりはこれは個人
企業
でございます。大部分は町で一番われわれの身近にございます小売商店といったようなものが多いわけでございます。個人
企業
が大体二百八十万、それから
法人
企業
が五十万、大きく分けるとそういうようなことでございます。
阿部竹松
66
○
阿部竹松
君 それが第二条の三ですか、二条の三に書いてある会社及び個人というふうに
政令
で定めることになっておりますが、それに該当するのですか。
樋詰誠明
67
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) この二条は、先ほど申し上げましたように、一応
衆議院
で御
修正
いただいたわけでございますので、今
政令
ということになっておりますが、われわれは
原案
を出しましたときに、ここにありますのは、現在の
定義
におきましても、原則として一千万円または三百人、ただ鉱業
関係
について、石炭にいたしましても、金属鉱山にいたしましても千人、同じ工業でもゴムの
関係
あるいは陶磁器の
関係
というようなものは九百人、繊維の染色整理では六百人までを一応
中小企業
と見るというふうに、それぞれの
業種
によりまして必ずしも画一には律することができない面がございますので、われわれ
政府
原案
におきましては、特に第三項を設けまして、一律にいかないところを拾う、これは現行法でも大体こういうことをやっておるわけでございます。ですから、鉱山でありますとか、あるいは繊維の特殊の部門、あるいはゴム、陶磁器といったようなところについては、原則だけで律すると、非常にかわいそうな面が出てきわせぬかというようなものにつきましては、実情に応じて
政令
で定めていきたいというふうに考えたわけであります。ですから、今度全部
政令
になるという場合にも、原則的にはこうだけれども、例外的にはこういうことについても配慮しなければならないという
規定
を当然置かざるを得ないと考えております。
阿部竹松
68
○
阿部竹松
君 私は明日、最終的にもし疑点があれば
大臣
にお尋ねしなければならぬかもしれませんが、きょうはこの法文の中身をお尋ねするのですから、
大臣
、お引き取り願っても私はけっこうです。ただ、向井、奥両
委員
がおりますので、
委員長
からお尋ねいただきたいのですが。
赤間文三
69
○
委員長
(
赤間文三
君) ちょっと速記をやめて。 〔速記中止〕
赤間文三
70
○
委員長
(
赤間文三
君) 速記を起こして。向井
委員
。
向井長年
71
○向井長年君 非常に
中小企業
の
近代化
促進
なり、あるいは
助成
の問題については、大
企業
との対比があると思うのですよ、それを進める上において。したがって、朝からも若干長官に質問しておったのですが、特定産業振興
措置
法案
、こういう
法案
が
国会
に出されておるようですが、これにつきましては、非常に
業者
と申しますか、これの
意見
を非常に尊重して聞こう、まあこういう形にあの
趣旨
がなったと思います。この
中小企業
の
近代化
促進
助成
という問題については、これに対しては
政府
みずから力をかけて、そういう方向にもっていこうとするのか、この
近代化
促進
法は、そういう性格が、そういう意味においてニュアンスが違うのじゃないかと思うのですが、この点、
大臣
どう考えておりますか。
福田一
72
○国務
大臣
(福田一君) 確かに、特定産業振興に関する
法律
というのは、民間の意向をできるだけ尊重するという建前であります。というのは、いわゆる官僚統制になって何かいかにも官製のものにしていくというような形をなるべく避けたいという考え方でございます。それと比べますと、
中小企業
近代化
の問題になりますというと、若干
事情
が違いますけれども、しかし、やはり
審議会
を置きまして、御承知のように、
基本計画
とか
実施計画
その他必要な問題を全部これにかけてやっていくという配慮をいたしております。私たちとしては、もちろんやはり自由意思というものを十分に尊重をしていかなければならない、かように考えておるわけでございます。
向井長年
73
○向井長年君 そこで、特にこういう中で
業種
指定
等の問題があると思うのです。こういう
業種
指定
の問題については、これは民間
業者
の
意見
を十分尊重をしてやらなければいかぬのじゃないか、こういう点についてどう今後考えられるかこの点ひとつ。
福田一
74
○国務
大臣
(福田一君) もちろん
業種
指定
をやります場合におきましても、そういう
意見
を十分に考慮いたしまして、そういういわゆる官僚統制的な形にならないようにということは極力気をつけて参りたい、かように考えておるわけでございます。
向井長年
75
○向井長年君 もう一点だけ大まかな問題ですが、これは全般的に通ずる問題ですが、こういうようにして
近代化
促進
に対する
助成
とかあるいは金融の
助成等
は今後通産省としてやっていかれるわけですが、こういう中で、非常に
政府
の金のかかる、いろんな費消をするということによっての先ほど言われた非常に規制というものが、官僚規制といいますか、官僚統制というか、こういう問題が
相当
起きてくるかと思います。そうすると、
事業
の自主性という問題が
相当
阻害される面と、能率を
向上
し、あるいは
生産
を上げなければならぬという立場にありながら、そういうことによって非常に阻害されるような状態が出てくるおそれがあると思う。こういう点について通産
大臣
のお考えを伺っておきたい。
福田一
76
○国務
大臣
(福田一君) 確かに運営を誤まりますと、おっしゃるような問題も起こってくる
可能性
なしといたしません。したがいまして、通産省としては、十分その点に注意をして、そういうことのないようにひとつ
努力
をさしていただきたいと思います。
阿部竹松
77
○
阿部竹松
君 ただいまの答弁の以前に、長官から私の質問に対する御答弁をいただいたのですが、確かにおっしゃるとおり、午前中も論議になりましたとおり、二条は
修正
されておりますけれども、しかし逢澤
商工委員長
が答弁なさっておったように、大体これが生きておるものと——
法律
でなくて
政令
でいくんですが、生きておるものと解釈して論議しても差しつかえなかろうと思うのですが、ないと言われればそれまでですが、そこでお尋ねしたいのは、
業種別振興法
で四十四か四十五の
業種
を
指定
して
改善
を
勧告
しておるですね。この四十四というのは、私どもが考えたら、五十も六十も拡大しなければならぬと思うのですが、大体
勧告
しておるような種別の産業が皆当てはまるということになりますか。それとも全然別個の立場でお考えになっておられるのですか。
樋詰誠明
78
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) 今
業種別振興法
では
業種
を毎年二十ずつふやしまして六十六
指定
をいたすわけでございます。そのうち四十につきまして、この三月までに大体、
改善
の
事項
が
策定
され得る見込みでございます。あした
審議会
がございまして、そこで十一上がりますと四十になるわけでございまして、われわれといたしましては、その
業種別振興法
の中から、特に最近の内外の
事情
にかんがみまして、今まで以上に
近代化
を
促進
しなければならない、そのためには税制上のいろいろなバック・アップもしてやる、あるいは金融の問題におきましても、従来以上に力強い裏づけをするという必要があるものを、逐次取り上げていきたいと思っておりますので、現在あります
業種別振興法
の中から、
国民経済
的な観点に立って一番緊要性の高い順序でこの
法律
で
指定
するということが一番大きな方針になろうかと考えております。
阿部竹松
79
○
阿部竹松
君 そうしますと、
樋詰
さん、
業種別振興法
によって
改善
を
勧告
しておるそれぞれの
業種
、この中からももちろん該当が出てきましょうが、それと
関係
がないわけですね。
樋詰誠明
80
○
政府委員
(
樋詰誠明君
)
業種別振興法
のものを全部ここで一気に
指定
するというわけではございませんで、
指定
されるものもあり、
指定
されないものもある。
指定
されないものにつきましては、まだ
改善事項
等の
策定
されていないものが今後も引き続きまして
改善事項
を
策定
いたしまして、こういう方向に進むべしと、そういう大きな道はお示ししたいと考えております。
阿部竹松
81
○
阿部竹松
君 これは最後のほうに出てくるわけですが、今まである
審議会
が、今度改造されて新らしく
審議会
ができるのですが、そうしますと、この
業種
の
指定
というのは、
審議会
に一つ一つわけて
指定
する、こういうことになりますか、それともあなたのほうの調査によって決定するものですか。
樋詰誠明
82
○
政府委員
(
樋詰誠明君
)
業種
を
指定
いたしますのは、これは一応、役所限りで
指定
いたしまして、その
指定
された
業種
についてどういうふうに持っていくかという
改善事項
の
策定
等につきましては、これは
審議会
にお諮りいたしまして、こういう
業種
についてはどういう点で問題で、だからどうしなければならないのだということを官民の有識者に御
審議
いただきまして、国としてきめていくということでございます。
阿部竹松
83
○
阿部竹松
君 それと関連してですが、第三条に、
基本計画
を定めなければならない、ということが書いてございまして、一、二と註釈が加えられておりますが、
基本計画
というのはどういうことを意味し、どういう
計画
を立てるということなんですか。
樋詰誠明
84
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) この
基本計画
は、これは今のはやりの言葉で申しますと、いわゆるビジョンと申しますか、
中小企業
が、今後一体、
目標
を達成するためには、どういうような方向に進まなければならないか、まずその前に、
中小企業
は
近代化
のためにどのような
目標
を設定すべきであるか、それからその
目標
を達成するためにはどのような手段をとらなければならないか、といったような方針を一つの総合的な
計画
として
策定
公表したいということでございまして、その
基本計画
の
内容
は、策三条の第二項にございますように、まず
目標
といたしましては、
目標年度
、大体これは三年から五年、ものによって三年ないし五年
計画
になるのが多いと思いますが、製品の性能あるいは品質、
生産費
、それからどの程度の
規模
になるのが、一体、適正な
生産
規模
であるか、あるいはどのような
生産
方式でやるのか、一番能率的な、合理的な
生産
方法
であるか、といったようなことについての
目標
を定めまして、その
目標
を達成するために、第三号以下にございますような
設備
にはどの程度のものを準備しなければならないか。そのためには金が幾ら要るか。いわゆるその
設備
を動かす人の面におきましては、
経営
の面、あるいは
技術
の面においてどのようなことをせなければならないか。あるいは過当
競争
等を防ぐために、いろいろと
取引関係
を
正常化
する、適正にするというようなことのためには何をすべきかというようなことを、それぞれの
業種
ごとに書かせるということを考えております。
阿部竹松
85
○
阿部竹松
君 そうしますと、こう
基本計画
は、
審議会
の
意見
を聞いてやると言うから、だいぶおそくなる、こう見てもよろしいですね。
樋詰誠明
86
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) これは第一条にございますように、まず
実態
を調査する。そしてその
実態
に即してやるということでございますので、これから
実態
を調査するというものについてては、それは少なくとも一年間ぐらいの時間がかかるだろうと存じますが、先ほど先生が御指摘になりました
業種別振興法
で今まですでにいろいろ調査もされまして、そして
改善事項
の
策定
もされている。しかし、
改善事項
の
策定
だけでは
資金
的にも税制的にも何ら裏づけがないというので強力に
実施
されないために、うまくいかないというようなもの等を
指定
する場合には、大体
実態
の調査もできておりますし、ある程度どう行くべきかということにつきましても、大体の方向が出ておりますので、そういうすでに
改善事項
が
策定
されておるものを取り上げるという場合には、比較的短期間で
基本計画
というものも定め得るのではないかと考えております。
阿部竹松
87
○
阿部竹松
君 そうしますと、あれですね。短期間でできるとおっしゃるわけですから、この
法律
が直ちに動き出すことになりますが、いずれにいたしましても、さんぜん
大臣
にも申し上げましたとおり、
法律
の中身がよくても裏づけする
予算
が免税を含めても少ないわけですから、
法律
のねらい
どおり
に行くかどうかはわかりませんが、いずれにしても、今よりよくなることは間違いない。そうすると、零細
企業
との
関係
ですが、幾つかの
中小企業
がこの
法律
あるいは
政府
のてこ入れによって、今より高度な
生産
化なり、あるいはまた融資面においても幅ができてくるわけですから、当然、大手と中小とを近づけるというのですから、まさか大手を下げるわけではないでしょうから、中小が上がるということになりますと、その余波を受けて零細
企業
がどうなるかという懸念が出てくるわけです。そういう点について
中小企業
庁の御見解はどうですか。
樋詰誠明
88
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) これは今御
審議
いただいております
二つ
の
法律
、これに基づく国のいわゆる
助成
といった面、これがほんの一部の
企業
にしか及ばないではないかという点につきましては、これは先生の御指摘のとおりだと思います。しかし、従来の実績等を考えましても、この
促進
法と並行して御
審議
いただいております
資金
助成
法——今までは振興
資金
等
助成
法という名前で
近代化
補助金、あるいは団地の
貸付
金ということで出ておったわけでございますが、これらの無利子の
貸付
金は、本来
個々
の
企業
では金融ベースに乗らないという方々に対しまして、
政府
並びに府県から
所要
資金
の二分の一を無利子で貸して上げる。そうすると、それがさそい水になって残りの半分については一般民間の金融機関から金が引き出されるであろうということで、さそい水にするということをねらいにして作った制度であります。従来の実績から申しましても、大体
中小企業
は、
企業
の
規模
で申しますと、
従業員
が三百人までというのが一応入っているわけでございますが、実績からいたしますと、
企業
の数にいたしまして、四十九人以下の
企業
が七三%、金額にいたしまして六〇・五%というものは四十九人以下五十人未満の低いところにされておるわけでございます。それからまた上のほうにつきましては、若干二百人をこえているというものも一・四%ばかりございますが、原則として百人までの
企業
というものに集中してできるだけ考慮するということを
趣旨
にして
運用
いたしておるのでございます。で、今後ともわれわれといたしましては、できるだけ自力でなかなか金を借り得ないという方々に、半分
資金
の援助をするということで、それらの小さな方々が
近代化
に向かって立ち上がることができるということをしていただきたいというふうに考えております。ただ団地その他につきましては、まとまって数十人以上の方が行って、大
規模
にと申しますか、適正
規模
に達するために
協力
はやられますので、そのときの
企業
者は比較的大きい方も入られますけれども、
個々
の
企業
にお貸しするという場合は、今申し上げましたようなむしろ
規模
の小さな方々に貸すということをねらいにしておりますし、実績も今申し上げましたように数にして七割以上、金額にして六割までは五十人未満の
企業
ということになっております。その方針をさらに拡大強化するという方向で進めていきたいと思っております。
阿部竹松
89
○
阿部竹松
君 ただいま御答弁ございました
資金
等
助成
法の一部を
改正
する
法律案
については、あとでお尋ねいたしますが、どう考えてもこの
法案
が強力に動くことはけっこうなんですが、強力に動けば動くほど、零細
企業
は、一方が保護されることによって零細
企業
のほうが切り捨てられるという懸念がある。しかし、今の御答弁を聞くと、
法律
は二本建てでこちらからこぼれたものはこちらで救うというような御答弁ですが、そういうような工合に、長官の御答弁のような
実態
になりましょうかね。
樋詰誠明
90
○
政府委員
(
樋詰誠明君
)
近代化計画
を立てますものも、
中小企業
性の多いといいますと、大部分、具体的に半分以上は、
中小企業
によって
生産
が行なわれているのだといったような
業種
について、その
業種
全体としてどうあるべきかといったような
目標
を立てるわけでございます。その中には、おのずからある程度
規模
の小さな方もあれば、中小と言いながら
相当
でき上がっているという方もいろいろあると思います。しかし、そういう非常に
規模
の小さな方々もひっくるめまして、
企業
にあって今後ますます激化する内外の
競争
にたえていくためには、少なくともこの程度までは団結されて適正
規模
になられるということでないと、非常に今後苦しくなりますよということの、将来の見通しをここでお示しするわけでございまして、そしてその将来の見通しに従って、それではひとつ同士的に集まって組合でも作ってやろうか、あるいはこの際お互いに出資して会社を作ろうか、あるいは
合併
しようかと、いろいろ問題はあるかと思いますが、いずれの
方法
にいたしましても、このままでは大へんなことになるからということを認識した方々が適正
規模
になるために組合等で寄り集まられるという際に、ひとつできるだけバック・アップしようというのが
近代化
促進
法でございます。それから
近代化
促進
法に
指定
されない
業種
というもの等につきましては、これは一般の
政府
関係
の金融機関あるいは振興
資金
等
助成
法という
個々
の
企業
に貸し付けるのは、
近代化計画
とは必ずしも直接には結びつけておりませんので、こういう
政府
が無利子で貸すという
資金
を有効に使うということによって、できるだけ非
指定業種
につきましても
近代化
を
促進
することができるようにということはお助けしていきたいと考えております。
阿部竹松
91
○
阿部竹松
君 私も今長官から御答弁をいただきましたような
促進
法についての解釈と全く同じに理解するわけです。ですからこの
方法
に反対でなくして、それによって自民党さんは協業化、
社会党
は協同化と、どっちでもけっこうですが、そういうことでいろいろな交通整理ができるわけです。したがって、その交通整理できた、気の毒な人がどうなるか、心配がある。ですから心配ございません。この法によってこうなりますよと、私どもが安心して賛成できるような御答弁をいただければけっこうで、反対でなくて、交通整理しなければならないことになると思うのです。今のままの姿で
近代化
あるいは
合理化
の
促進
ができないのですから、そうすると、いずれこぼれるものが必ず出てくるに違いない。それが一体どうなるかということで心配がありますので、その点についての御
説明
をいただきたいと思います。
樋詰誠明
92
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) 今
阿部
先生がおっしゃいました、今のままの姿で全部大きくなるということ、これは非常に私たちも無理であろう、この前も、少し余談のようでございますが、
中小企業
の、ほんとうに零細な方々の社長がお見えになりまして、自分たちはここでほんとうに一緒になればいいんだけれども、社長という名前がなくなるのはさびしいのだということを言っておられたわけでございます。ただ理屈としては、自分たち、やはりある人が社長になり、ある人が専務になり、ある人は課長になるというようなことでも、全部の持っている
設備
なり何なり出し合って、そうして一緒になり、だれも失業する人もなくて、そして能率をうんと上げ得るということになるのだけれども、どうもなかなか社長という名刺を出せなくなるというのはさびしいのだということを言って笑っておられたのですが、われわれといたしましては、今のままの
企業
、三百二十八万というもの、これは個人が二百八十万いるわけでございます。個人の
企業
はそのままにしておいて、そして全部が大きくなるといっても、これは無理じゃなかろうかと思いますので、これはやっぱり同志的結合なりやっていただきまして、数はある程度減るけれども、しかし失業する人はいなくなるということは、これは可能であろう。これは一ぺんに全部すっと行なわれるわけでもございませんし、徐々に行なわれていくわけでございますから、これが数年にわたって、ことに
基本計画
自体でも五年くらいという
目標
にいたしておりますが、その間に徐々にそういう結合が行なわれていくということになりますれば、大体その結合が行なわれることによって、
生産性
が上って、非常に物がたくさん作り出されるという、その物を消費するほうの
国民
全体の消費力というものとも、大体マッチしながら
生産性
を上げていくということもできるのじゃないかと思いますので、自主性を尊重しながら、しかも
政府
のほうで適正な援助をということを行なっていきますならば、御心配のような、非常に零細な方がそのためにあおりをくってひどい目にあうということにならなくて済むのじゃないか。またそうすべきである、こう考えております。特に
基本法
の御
審議
の際にお願いするのでございますが、零細な方々に対しまては、いきなり経済合理主義ということを要求いたしましても無理でございますので、この際にはいろいろ社会政策的な考慮というようなことも同時に並行してとりながら、かすに若干の時間をもってして、逐次経済合理主義のほうに向かう態勢をとっていただくという方向に持っていきたいと思います。
阿部竹松
93
○
阿部竹松
君 まあ御答弁はよくわかりましたが、その二百八十万の中の半分でも百四十万ですが、それが御
趣旨
のようなことで、三年か五年のうちにできるかどうかわかりませんが、いずれにいたしましても、日本の国情からいって、
国民
性からいいまして、なかなか長官のおっしゃるようなことにならぬと思いますが、もしなったとすれば、二百八十万ということになるが、とうてい百四十万も、その半分の七十万もできないというのが現実の姿となって、今後数年間に現われてくると思いますが、それにしても、こういうお世話をいただいたところと、全然
指定
されなかった
業種
との、まあ失
業者
は出ませんとおっしゃっておるけれども、失
業者
が出ないまでも、
企業
の差というものはついてきますね。それは否定できませんね。
樋詰誠明
94
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) これは税制上の恩典、あるいは金融上の特別な配慮という面につきましては、先生のおっしゃるように、一般
業種
と、この被
指定業種
との間には、ある程度の差が出るということは、これはやむを得ない事実でございますが、しかし、これは当該
業種
自体が置かれております内外の情勢にかんがみまして、特に急ぐというものについては、ほかの
業種
よりも手厚い
措置
をとりましても、必ずしも公平の原則には反しない、むしろ
国民経済
的な見地から見ると、少しほかの方々よりも手厚い
措置
をとってでも早くその業界全体に立ち直っていただくという方向をとることが、
国民
九千万全体にプラスになるのじゃないかということで
指定
をしたい。こう思っておりますので、ある程度の差ができるということは、これは先生のおっしゃるとおりでございます。
阿部竹松
95
○
阿部竹松
君 そうしますとあれですね、まあ
勧告
によるか、
勧告
を待つまでもなく、本
法案
ができたあと、自主的に交通整理をやるかは別として、
共同出資
であるとか、
合併
とかあるいは新会社の設立、こういうのが出て参りますね。それに伴って独禁法という日本国経済憲法がある、これとの
関係
はどういうことになりますか。それともう一つ、公正取引
委員
会とおそらく話をなさっていると思います。公正取引
委員長
がきのうおいでになったとき聞けばよかったのですが、きのうはほかの問題でおいでになったようでしたから聞きませんでしたが、長官からでもけっこうでございますから、公正取引
委員
会の見解を一つあわせて承っておきたい。
樋詰誠明
96
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) まず、独禁法との
関係
でございますが、これは
本法
自体に独禁法の例外
規定
といったような
措置
がございませんので、
法律
上は
合併
、
共同出資等
につきましては、当然独禁法の適用を受けるわけでございます。ただ現実問題といたしましては、ここでねらっておりますものが、
中小企業
を底上げして、大
企業
に押し負けを食わぬという、言葉はどうか……大
企業
と対等な
取引関係
でも結べるようにまで上げていくということでありますので、独禁法の一応適用は受けましても、そのためにその
合併
待ったといってストップをかけられるということは現実問題としてないであろうというふうに考えております。
阿部竹松
97
○
阿部竹松
君 公正取引。
樋詰誠明
98
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) それから公取との
関係
においては、
勧告
をしたりいろいろするという際には、あらかじめ十分公取と打ち合せした上でやるということに話がついております。
阿部竹松
99
○
阿部竹松
君 それからその次にお尋ねするのは、
実施計画
に基づいてやられるわけですが、そうすると、
業種
がきまって
実施計画
に基づいて
指定業種
の方々がやられる、午前中のお尋ねに対してそれぞれ
政府
の考えている金額についてお尋ねいたしまして、御答弁いただいているわけですが、たとえばどういう
方法
で——これは具体的になりますが、今度融資する場合にどういう
方法
でどのような窓口を通じてやられるか、この点をお尋ねいたします。
樋詰誠明
100
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) まず、
中小企業
の
近代化
を
促進
いたします際には、いわゆる
高度化
という言葉でわれわれが言っております二以上の
企業
が力を合わせまして、そうしていろいろ
近代化
を進めていくという場合も、単独の
企業
が
政府
から無利子の金を借りてやる場合と
二つ
あるわけでございますが、その単独の
企業
が借りてやる場合には、これは大体今
年度
の
予算
は一応四十一億計上しているわけでございます。それに対しまして県も同額の四十一億を出すということになっておりまして、これが一応八十二億でございますが、このほか三十七
年度
までの貸しつけたもので県に返ってくるもの、これは三十四億ございます。したがいまして全体で百十六億の金、それが
個々
の
企業
に貸しつけられる
資金
として、それぞれの県に用意されているわけでございます。それでちょうど二分の一補助する、無利子の金としてお貸しするということになっておりますので、
企業
の
事業
量といたしましては、その倍の二百三十二億の大体
設備
をまかなうことができるということになるわけでございます。それから
二つ
以上の
企業
が
協力
いたしまして、そうしていろいろ仕事をする場合、
高度化
という観点から、いろいろの
助成
をするわけでございますが、それは全体といたしまして、ことしの
資金
は二十三億百万というのが国の
予算
でございます。現在御
審議
いただいておりますこれに対しまして、県が同額出すというのと、その中には協同組合に対する施設も、それから団地に対する施設もいろいろあるわけでございます。やはり若干返って参りますので、二十三億百万円が県から貸し出される際には五十二億というものになりまして、大体五十二億の金が協業するあるいは団地を作るという方々に対して、無利子で貸し出されるということになるわけでございます。
阿部竹松
101
○
阿部竹松
君 県ということは、四十八
都道府県
全部で四十一億ですか。
樋詰誠明
102
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) そのとおりでございます。
阿部竹松
103
○
阿部竹松
君 次に、十条ですがね。第十条には、
転換
の
指導
等ということで、経済状態の
変化
に伴って、
大臣
が
転換
を円滑にできるように
指導
する云々とうたってあるわけですが、法文としてもまことにけっこうですし、中身もけっこうですが、ちょっと
樋詰
長官にお尋ねしますがね、これはいうはやすく行なうにはなかなかかたいというように考えますが、どのようなことでも——再三申し上げましたように、日本人の
国民
性もありますし、簡単にはなかなかできぬと思うのです。やはり何か力がなければ、日本人という
国民
はうんといわない
国民
性が一部分にはあるわけですから、単に
大臣
の
勧告
とか、そういうことで、それははいそうですか、それは経済状態が違ったからやむを得ませんということで、すぐいくとは考えられませんが、その点はどうですか。
樋詰誠明
104
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) 私どもといたしましては、
転換
につきましては、これは
転換
あるいは中には
事業
の廃止ということもあろうかと存じますが、これはもうあくまでも自主的な判断におまかせしたい。いわゆる
企業
の整備というような格好で、もうとてもこの
業種
はだめだから、あなたとあなたはひとつやめてくれというようなことは毛頭考えておらないわけでございます。ただ所得水準とか、あるいは生活様式の
変化
でありますとか、
技術
革新でありますとか、あるいは
生産
方式がすっかり変わったとか、いろいろな格好で
経済情勢
が変ってきております上に、自由化といったようなこともございますので、
中小企業
の立っている基盤が大きく変わっていることは申し上げるまでもございませんが、そういうことから、この
業種
の将来はこういうふうに持っていかないと非常に苦しくなりますよといったような、
近代化
の
計画
という名前のもとに、
政府
の見通しをお示しするわけでございますが、その結果、組合等で力を合わせる方もおれば、あるいは自分はもうこの
業種
はやめてほかの
業種
にひとつ持っていきたいというような方もいろいろおられるのではないか、こういうふうに、自発的にいろいろよそにいきたいということで申し出られました方には、第十条にございますように、「
中小企業者
の申出があった場合において」、こうございますので、あくまでも
中小企業者
のほうに自主的な判断はおまかせする。ただ、とても自分は今の
業種
においては将来非常にむずかしい、こう思われるので、今後伸びると思われる
業種
にひとつ
転換
したいのだというふうに出られました場合に、申出を受けまして、助言とか、あるいは情報の提供、
転換
資金
のあっせん、または
転換
するにつきましても、いろいろ
企業
診断等も必要だと思われますので、診断制度の活用だとかといったような、いろいろなことをして差し上げようということで、これはあくまでも申出を受けて受け身でやるということで、積極的にあなたはやめなさいというようなことをいう気持は全然ございません。
阿部竹松
105
○
阿部竹松
君 なるほど長官の御
説明
のように、二行目に「申出」ということが書いてございますから、申出が前提条件である。しかし、その申し出によって——申し出までは本人のあれですが、あと
政府
が
相当
やらなければならぬわけですね。私のお尋ねしておることは、どうというような
方法
でやられるか、こういうことなんです。本人が全部一切きめてきて、
政府
に単に金を貸せということだけではなかろうと思うのです。
樋詰誠明
106
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) これは
政府
のほうにお申し出があったという場合、ただ漫然と、自分はどうも業界は大へんだからどうしたらいいでしょうかというふうにおっしゃる方も、これは中にはあるかもわかりませんが、自分はこういう
業種
にひとついきたいのだけれどもどうだろうかといったようなことで
転換
を申し出られる方が多いんじゃないか。そういう際に、先ほど申し上げましたその行く先の業界の
実態
についてどういうふうになっているかといったような
実態
を御
説明
する。それから、もしおいでになるならば、こういう点を特に注意される必要がありましょうということについて、必要な情報の提供と同時に助言をする。それから当然
技術
を伴うといったような場合には、各県等の公設試験研究所等に御紹介するなりいたしまして、そこで
技術
指導
を受けなさいというようなことをアドヴァイスする。それから
企業
全体につきましては、今までのようなどんぶり勘定じゃ非常に無理だから、こういうふうに直したらどうだというような
経営
指導
をいたしますと同時に、その
企業
自体について診断をいたしまして、こういう点にあなたの
企業
は
企業
としての病根があるから、これを直してひとつ新しいところへいってももう病気にかからぬように注意しておやりなさいといったような、いろいろな
指導
をしようというわけでございます。
阿部竹松
107
○
阿部竹松
君 まあ
主務大臣
が
中小企業
の構造の
高度化
とか、あるいはまた
競争
の
正常化
とかいろいろな問題で
勧告
ですね、
改善
の
勧告
あるいはまたそういうことを今までこの
法案
がなくともやっておられるのだろうと思うのですがね。そういう場合、具体的に何か事例がございませんか。こういう
法案
がなかったから、今までやらなかったということであれば、それまでですか。
樋詰誠明
108
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) この
法律
に書いているようなことで
勧告
をしたことはございません。
阿部竹松
109
○
阿部竹松
君 しかし業別種振興法の定めに従ってやったことはありますね。
樋詰誠明
110
○
政府委員
(
樋詰誠明君
)
業種別振興法
に基づきましても、ここでいうような
勧告
という例は今までございません。ただ、いろいろ
団体
協約でありますとか、あるいは組合協約というようなことで協同組合あるいは商工組合というようなところで、いろいろ自分たちは過当
競争
にならぬようにこういう申し合わせをしてやっているのだけれども、アウトサイダーであるものがこれを乱すために、せっかく自分たちが自粛してもだめになるというようなことで、アウトサイダー規制命令を出してくれというようなことで、アウトサイダー規制命令を出したことはございます。
奥むめお
111
○奥むめお君 ちょっと——アウトサイダー規制命令って、たとえばどういうことなんですか。
樋詰誠明
112
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) たとえば、アウトサイダー規制命令でございますと、
団体
法で
生産
調整等いろいろやっておるわけでございますが、過当
競争
にならぬために。それを組合員はおのおの約束を守りまして、あまりものをよけい作らぬでとにかくやろうということでどうにかやっておる際に、アウトサイダーが組合の自粛をいいものにして、非常に大量に作っていきなりそれを組合員値段よりも安い値段で流がして結局市場を撹乱させるといったような場合に、そういう場合に、組合員と同じような
規模
で
生産
を自粛するようにということのアウトサイダー命令、これは特に繊維
関係
に今まで例が多かったということでございます。具体的にもしあれでしたら、担当の
指導
部長
、見えておりますので、
指導
部長
から申し上げます。
奥むめお
113
○奥むめお君 その資料をいただきたいですね。
樋詰誠明
114
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) これは本日は間に合いませんが、できるだけ早く資料を作りまして、今までのアウトサイダー規制命令等の
内容
を
提出
いたします。
奥むめお
115
○奥むめお君 どうぞお願いいたします。
阿部竹松
116
○
阿部竹松
君 この
法案
実施
にあたって、
企業
が
合併
するという場合に、この
課税
の問題について
特例
を設けて免税するというやに承っておりますが、どの程度やられるのか。
樋詰誠明
117
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) これは
法人
が
合併
いたしました際に、被
合併
、吸収
合併
されます際の
法人
、これは帳簿価格は百万円だけれども、実質価値は五百万円だ、あるいは千万円だといったような資産を出すわけでございますが、その際、
合併
したために今まで百万円と書いておった帳簿のものを千万円で出資した、そうすると九百万円利益が出たじゃないかということで、黙っておれば
課税
の
対象
になるわけでございます。それをやりますと、とても含み利益がみんな外に出てしまい、こわがってだれも
合併
しないということになりますので、一応
合併
する際に、非
合併
法人
の清算所得につきましては、これは今までの帳簿価格
どおり
に圧縮して記帳を認めるということにいたしまして、
課税
されるのを防ぐという点が一つと、それからもう一つ、そういう
合併
によって
法人
ができました際に、登記をしなければならないわけでございますが、この
法人
の登記に関する登録税、これを免除する、大体この
二つ
を考えております。
阿部竹松
118
○
阿部竹松
君
樋詰
さんね、この第九条に、「
中小企業者
」ということで、カッコして「(資本の額又は出資の総額が五千万円をこえる者及び常時使用する
従業員
の数が三百人をこえる者を除く。)」と、このカッコはどうして必要なんですか。ちょっとわかるようでもあるけれども、よく理解できないのですが。
樋詰誠明
119
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) これはわれわれが
定義
のところで、「五千万円」または「三百人」と書いたわけでございますが、そういう「五千万円」または「三百人」と申しますと、五千万円か、三百人かどちらかに引っかかれば
中小企業
だということになるわけでございます。ところが
課税
の場合に、税の
関係
で
特別償却
まで認めてやるということになると、これは普通の人には認められない、償却を特に認めて早くあなたは
自己資本
を充実して、丈夫なからだをお作りなさいというために認めるわけでございますので、できるだけこれはほかの人とのバランスをとる上から申しますと、
中小企業
という中でも、真に
中小企業
性のあるものに限定すべきじゃなかろうか、したがいまして、税に関する限りは、五千万円と、三百人と双方の要求を満たすというものをもって一応
中小企業
としたい、これは金融機関に金を借りて行くというような場合でありますれば、これは五千万円か三百人か、どっちか条件を満たしていればいいわけですが、あなたは実質大
企業
だから、あなたにはお貸ししません、あなたはむしろ大
企業
の銀行に行ってひとつお借りなさいと言ってお断りもできるわけですが、税金の場合には制度としておきますので、その中で取捨選択はできないということになると、ほかとの均衡上できるだけしぼったほうがいいんじゃないかということで、税に関してだけカッコということで特にしぼりをかけたわけでございます。
阿部竹松
120
○
阿部竹松
君 それは
固定資産
税の
範囲
は、別にお考えになっておりませんか。
樋詰誠明
121
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) これは
工場
の建屋と機械、その
二つ
でございます。
阿部竹松
122
○
阿部竹松
君
審議会
のことなんですがね、この
法案
に
審議会
を
設置
するという
理由
が、さいぜんのお話ですと、ほかの問題等もそれぞれ国でおきめになるようですから、これは
審議会
などというものは必要がないような気がするのですが、四十名もある
審議会
ですね、やっぱり必要ですか。行政
管理
庁あたりで、あらゆる
審議会
というのが、どうしても必要な
審議会
もありましょうし、必要でない、二年に一ぺんぐらいしか開かないという
審議会
もあるようですが、三百ほど
審議会
があります。ですからこれははたして
審議会
、必要ですか。
樋詰誠明
123
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) この
審議会
は、現在の
中小企業
振興
審議会
、それをこちらのほうに
発展
的に移っていただきたいと思っているのでございまして、この
近代化
促進
法による
基本計画
の
策定
あるいは
実施計画
や
勧告
、
報告
の
徴収
というようなことのほかに、
指導
法というのが別途これも御
審議
願うべく
提出
してございますが、その
指導
法の
関係
で、いろいろ
計画
を立てまして、
指導
計画
というようなことにつきましても、この
審議会
を活用しよう、それからいろいろ振興
資金
等
助成
法の
関係
におきます
事項
も
審議
するのは全部この
近代化
審議会
にやらせようということで、従来ありました
審議会
、これを名前を変えて、そして新しい事態に即応して、今まで行なわなかったような重要な
事項
で、
政府
が独断でやるというようなことを避けるために、御
意見
を伺ったらいいと思われるような
事項
は、この
審議会
に御
意見
を伺いたいというふうに考えておるわけでございます。
阿部竹松
124
○
阿部竹松
君 今御
説明
のあったように、介在してあれするということがあるのですね。そこでさいぜんの御答弁の独禁法違反ではございませんが、しかし
関係
がありますという御答弁ですが、そうしますと、この
審議会
のメンバーですが、この
法律
が
成立
しないうちからきまっているとは考えませんけれども、長官の構想としては、
中小企業
の
業者
ももちろん入りましょう、あるいはまた
学識経験者
というものも入るかどうかわかりませんが、そういう方々とか、関連産業とか、それから一般の消費者、こういうそれぞれのメンバーが任命されるわけですか。それともどういうふうな格好で
審議会
が構成されるのか、その点を御
説明
願います。
樋詰誠明
125
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) 現在の
中小企業
振興
審議会
は、いわゆる一般の
学識経験者
の方、それから金融機関の
関係
の方、それから産業界及び
中小企業
団体
の
関係
の方、それから労働界の代表の方、消費者代表という方々のほかに、
政府
、地方公共
団体
からそれぞれ二名ずつ現在は出ているわけでございますが、この数をどうするかということは、一応別といたしまして、ただいま申し上げました各方面の方々の中から選考させていただくのが一番筋じゃなかろうか、なお、
政府
関係
と申しますのは、従来は
中小企業
庁の長官と公正取引
委員
会の事務局長の二人です。
政府
関係
は大体この二人でいいじゃないか、こういうふうに考えております。それ以外の方々につきましては、現在の振興
審議会
というようなものをもう一度よく考えた上できめたいと思います。選考
範囲
は今申し上げたような方々から選らばせていただきたいと、こういうふうに考えております。
阿部竹松
126
○
阿部竹松
君 消費者代表は入るのですか。
樋詰誠明
127
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) 入ります。
赤間文三
128
○
委員長
(
赤間文三
君) ちょっと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
赤間文三
129
○
委員長
(
赤間文三
君) 速記を始めていただきます。
奥むめお
130
○奥むめお君 お話を伺っておりまして、
近代化
されるということは非常にいいし、また
高度化
するということもたいへん買物する者から言うてもいいことと思うのですが、ですけれども、つまりサラリーマンがよけいになるということじゃございませんか。店主がみんな大きなものに合流していけばサラリーマン生活になるわけでしょう。
樋詰誠明
131
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) 最も端的な表現をとれば、そういうことで、
個々
の独立
企業
者であった者があるいは他人のところに使われるという身分になるということは、これは否定できないと存じます。
奥むめお
132
○奥むめお君 不安を感じますのは、店もきれいになるだろうし、いろいろなこともあろうけれども、売ります値段が高くなりはせぬか、こういう心配を持つのです。と申しますのは、
生産
合理化
で産業が
高度化
しましても、それがコスト・ダウンになって安くなるというためしはほとんどないわけです。もし、あるとしたら電気冷蔵庫か少数の耐久資材が安くなったそうですけれども、一般にわれわれが着ます繊維だとか、あるいは日用品、食料品など高くなっているんですよ。コストダウンしていない。今度の
合理化
のこの
法案
で高くなりはせぬか。あなたは安くなるとお思いになりますか、高くなるとお思いになりますか。
樋詰誠明
133
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) それは物を作る面で
生産性
、それから売る場合における価値実現性と申しますか、あまり不当に安く買いたたかないようにということで
中小企業者
の手取りをできるだけ高くする。またそこに働いている方々の賃金というようなものもできるだけ高くさせるということに役立つと同時に少なくともこれを
近代化
することによって消費者に迷惑をかけるというようなことは、これは
近代化
しても少し筋違いの方向に走った結果にならぬとも限りませんので、われわれといたしましては、これが
中小企業者
自体の手取りも多くし、そこで働いている方々の生活も楽になると同時に、これを適正強化するということによって全体のコストを大幅に下げるということが、必ず可能であると確信いたしておりますので、消費者のほうにも、これは当然その一部はお返しして、むしろ質はよくなって値は下げるという方向に持っていくべきじゃないか、これが一つの
企業
だけで市場を独占している場合は、いろいろ
近代化
設備
をやったからコストを高くするというということはできるかもしれませんが、お互いに
競争
してやるということでありますれば、やはりいい品物をより安く売るのだ、作るのだというような態勢を確立しないと、その
企業
は長続きしないということになると存じますので、まず、お客様に安く品物を提供することができるような
企業
を作るために
近代化
という方向に持っていきたい、そういうふうに考えます。
奥むめお
134
○奥むめお君 それでは価格
指導
の面でどういう構想を——あなたは高くならない、安くしていくつもりだとおっしゃるけれども、その
指導
はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
樋詰誠明
135
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) これは先ほどの
近代化
の
目標
自体の中にも、
生産費
の
目標
を掲げるということになっているわけでございますが、われわれといたしましては、この
法律
で
指定
されますものにつきましては、これは少なくともその程度までコストそのものを下げるということでないと、近代的な
企業
ということにはほど遠いんで、経済合理主義に基づく
競争
場裏から脱落する
可能性
がありますというような
目標
を掲げるわけでございますが、この
目標
、この
生産費
にある程度若干の流通経費というものを足したものが、これは一般消費者に売られるコスト。値段、価格になるわけでございますが、これは結局消費者と労務者とそれから
企業
の
経営
者と、三者の間で
合理化
によるコストの低下というものをどういうふうに分けるかということの問題になるかと思いますが、これは全体的には国の価格水準を上げないようにという大きな線に沿って
合理化
の、
近代化
の効果の一部が必ず消費者のほうにも反映して品物が安くなるようにということを筋といたしまして
指導
していきたいと考えております。
奥むめお
136
○奥むめお君 たいへんいいことを言って下さって、私どももそれを期待しております。ただ長い間のいろいろな
法案
審議
を通しまして考えられることは、どうも役人が指さしたら必ずその
業種
の値段が上がるということは、これは間違いのないことですね。ですからそういうことがないように、これはほとんど議論されないで済む問題ですけれども、大へん不安なことでございますから、特に御注意いただきたいし、何かの機会で必ずその点に触れていただきたい、これが私のお願いでございます。
樋詰誠明
137
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) ただいまの御注意をよく守りまして、逆の方向にいかぬように細心の注意を払っていきたいと思います。
向井長年
138
○向井長年君 今長官はそう言っておられる。先ほど通産
大臣
もそう言われた。本省ではそういう形で人を監督されておると思うのですが、しかし出先では、いわゆる通産省の出先では、非常に
業者
に対しましては監督がきびしいというのか、あるいは介入がきびしいというのか、そういう事態が——今後
資金
的な問題とか税制の問題が、そういう形で
助成
をするような立場になると、これに対しては非常にきびしくなるのですよ。監督
指導
という名前になるのかもしれないが、悪く言えば介入という問題も出てくる、そういう中で、当局はそう考えておっても、出先の担当官はなかなかそういうようなサービス的な考え方になりにくいのです。これを特に出先のほうに、今奥先生が言われたことは注意をしてもらわなければいかんと思うのです。
樋詰誠明
139
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) われわれも末端まで、もちろん府県等にも今申し上げましたことはよく徹底さしたい、こう思っております。これも蛇足でございますが、最近非常に交通等が発達しまして、買物の
範囲
というものが広くなっておりますので、おのずから経済
競争
というようなことは今までよりもより行なわれるのじゃないかというふうにも考えておりますので、そういう、少しいい気になって高く売るようなことをしておると、すぐ隣に負けるのだというようなこと等につきましても、啓蒙宣伝を行ないまして、消費者あってのメーカーでありあるいは商売であるということをよく業界の方々にも徹底するように
努力
したいと思います。
奥むめお
140
○奥むめお君
業種
の
指定
が
政令
にゆだねられておりますね、これは不安でもありますけれども、たとえば
業種別
の振興
法案
ではお菓子屋、クリーニング屋などを
指定
していらっしゃいますが、私どもから言えば、なるべくきれいな店でいい品物を安く買えさえすればいいのですね。そういう場合に、あなたがたが今度パン屋さんやお菓子屋、クリーニング屋などを
指定
なさるとしますね、そうしますと、それの
指定
が生協や農協でしている同業と抵触します場合、これをどうなさいますか。
樋詰誠明
141
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) われわれさしあたりは、この
近代化
が特に急がれるということで、重点的に
資金
の援助あるいは税制上の考慮を払うというようなものは、外国との
競争
から見まして
製造業
をさしあたりは考えておるわけでございます。今、
業種別振興法
の中には、先生御指摘のようなクリーニング業といったようなものも入っておるわけでございますけれども、当面の問題といたしましては
製造業
を中心に
指定
さしていただきたい。将来だんだん
製造業
等も一巡するということになりますれば、この第二項にございます
製造業
その他の
業種
とございます
製造業
以外のものもあるわけでございますけれども、今一番の問題、特に外国との
競争
ということを考えますと、
製造業
が当面の問題でございますので、
製造業
を
指定
して、そうして物を作るほうの
体質
を
近代化
するいろいろ商売
関係
のほうのものにつきましては、これは
設備
近代化
の補助金でございますとか、あるいは協業化の無利子の
貸付
金といったような
資金
的な援助は
助成
法のほうでいたしますが、
近代化
資金
自体はさしあたりは取り上げないというつもりでございます。
奥むめお
142
○奥むめお君 お菓子製造の……
樋詰誠明
143
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) 実は三十八
年度
、この
法律
を通していただきましたら、何を
指定
するかということにつきまして、今寄り寄り協議をいたしておりまして、まだきまっておらないわけでございますが、お菓子も確かにこれは
製造業
でございますし、いろいろ外国からの
競争
の脅威もある、そういう点は私も承知いたしておりますが、はたして三十九年すぐこれで
指定
されるかどらかというところまではまだ議論が詰まっておりません。
奥むめお
144
○奥むめお君 石けんはどうですか。
樋詰誠明
145
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) 大体
業種別
振興臨時
措置
法の場合にも、一年間に二十ぐらいずつ取り上げていろいろやってきたわけでございまして、今回もこの
近代化
促進
法では二十程度の
業種
を、初
年度
と申しますか、毎年考えたい、こう思っておりますが、その際、当面一番問題になっておりますのは、綿・スフというもの、あるいは毛織物、あるいは金属、玩具、洋食器といったようなものは、
相当
緊急ないろいろな問題に直面しているのではないかというふうに考えられておりますが、それでは二十のうち、少なくとも十五ぐらいあげてみろと仰せられましても、ちょっと今のところこれこれを初
年度
取り上げますというところまではまだいっておりませんので、もう少し各業界の当面しているいろいろな問題等を原局とも十分打ち合わせをした上で、できるだけ早くいい方向に進んでいきたいというふうに考えております。
奥むめお
146
○奥むめお君 私、今外国との
関係
をおっしゃいますから、それでは石けんとか、お菓子なんかずいぶん入ってきているじゃないか、こう思ったから伺ったわけですが、国内で営利を
目的
とせずして取り扱いをしている農協、生協、こういうようなものがまたいろいろな仕事をしておりますね、それはあなた方の
合理化
対象
の
業種
と競合するために規制をなさいますか、それはどういう扱いをなさいますか。
樋詰誠明
147
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) これは
基本法
の際に、また必ずいろいろ御
審議
をいただかなければならないと思っているのでございますが、一応われわれ
基本法
に、
中小企業者
とそれ以外のものとの間に、
中小企業者
が
中小企業者
以外のものの経済活動によって適正な
事業活動
の機会を奪われるということのないようにという一条を置いているわけでございます。これは、たとえば農協というもの、あるいは生協というものは、これはそれぞれ組合員に対してできるだけいい品物を安くやろうというような
相互
扶助の組織としてこれはできているわけでございます。それが組合員に対してだけいろいろやっておられるという限りにおいては、これは末端の小売商その他が文句を言うべき筋合いのものではなかろう、こう思っております。ただそれが組合員からさらに手を広げまして、一般の市中の方々に対しましても、いろいろ手広く商売をされるというような場合には、これは農協なり、あるいは生協なりというものが、それぞれの本来の
目的
から逸脱しているかどうかというところで判断すべきじゃなかろうか、もし本来の
範囲
から逸脱しているというのであれば、これは営利を
目的
としておるのであれば、したがって、いろいろな税法においても、一般の
中小企業
とは違う、特別の税法上の扱いを受けているといったような恩典を与える必要も何もなくなって、そういうふうに一般の
商業
活動をやるなら、これに一般の
企業
として堂々とおやりなさいということを申し上げざるを得ないと思うわけでありまして、本来の農協あるいは生協の分野、活動の本来の
趣旨
にのっとって
事業活動
をやっておる限りにおいては、これは
中小企業
の側から文句を言うべき筋合いのものではございません。それがはみ出しておると思われる場合には、それぞれの組合を管轄する主管官庁ともよく相談いたしまして、適切な
措置
をとるというふうにいたしたいと思っております。
奥むめお
148
○奥むめお君
中小企業
庁の高官に私がよけいなことを言うようですけれども、一体にこの
法案
を見ておりまして、話の進め方として、消費者のほうにも向いていらっしゃるようにおっしゃるけれども、私どもどうも
中小企業
という
業種
だけが相手である、その
業種
もお客さんがあってこその
中小企業
ですから、だから買いものをする人の、使用する人の立場というものをもっとうたい込んでいただいていいのではないか、私こういうふうして読んでいるのです。ですから先ほどの質問にも出たわけですけれども、そういう意味で、これは
政府
自体の傾向ですけれども、協同組合、生協、農協というと、消費者からいえば、営利を
目的
とせざる供給
事業
ですから、
中小企業
以上に育成して下さるほうが、生活安定には役立つと私は信じております。だけど、なかなか伸びません。伸びないのは
政府
の
指導
方針が間違っていると思います。これはあなたに言う何ではございませんけれども、しかし、お聞きになってほしいと思うのです。ですから、そういう意味で、この
法案
の
審議
の過程で、ぜひ、また
法案
をいろいろ
修正
なさるまでには、われわれの
意見
を入れていただきたいと思うのですけれども、いかがですか。
樋詰誠明
149
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) 先生も御指摘になりましたように、われわれもお客さんあっての商売であり、メーカーである、また先ほど申しましたが、だんだん買いものの
範囲
が非常に広がりつつございます。また過当
競争
ということ、これは日本には、申し上げるまでもなく非常に熾烈なものがあるわけでございます。そこでわれわれ
中小企業
の
近代化
を
促進
するというのが、この
法律
のねらいではございますが、それは
中小企業
だけがよくなればいいというのではございませんで、
中小企業
の
近代化
を
促進
すると同時に、それが
国民経済
全体の健全な
発展
に寄与するんだということでなければならないということから、これは第一条の
目的
自体にも、「
国民経済
の健全な
発展
に寄与することを
目的
とすること。」と書いてあるわけでございますが、書きっぱなしで、どうもこれ以外の点については、消費者への配慮は薄いのではないかという今の御注意のようでございますけれども、その点につきましては、先ほど来申し上げておりますように、お客さんがあって初めて商売も成り立つのだということにつきましては、だんだん
中小企業者
も自覚を深めていると思いますが、ただいまの御注意の線に沿って、実際に経済が運行されるように、われわれといたしましてもできるだけの
努力
を払っていきたいと考えております。
赤間文三
150
○
委員長
(
赤間文三
君) 速記とめて。 〔速記中止〕
赤間文三
151
○
委員長
(
赤間文三
君) 速記を始めて下さい。
豊田雅孝
152
○豊田
雅孝
君
中小企業振興資金等助成法
の一部を
改正
する
法律案
に関しまして、さっき
中小企業庁長官
から
資金
計画
の一端を
説明
せられたわけですが、そのときの
説明
によりますと、
高度化
関係
が五十億、
近代化
関係
が百十六億ということでありましたが、この
高度化
関係
五十億の
資金
源の内訳、同様
近代化
関係
の百十六億の内訳、同時にそれの配分
計画
、これは具体的に、あるいはきまっておらぬかもしらんけれども、大体の構想として工業にどうか、
商業
にどうか、そのうち団地
関係
が幾らか、あるいは協業化
関係
が幾らか、そういう構想を数字的裏づけによって明らかにしておいていただきたい。
樋詰誠明
153
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) まず、
個々
の
企業
に対します
設備
近代化
資金
でございます。これは国の
予算
として御
審議
を今いただいておりますものが四十一億円ございます。で、この同額が県から支出されまして、さらに今までに貸し付けておりました金が三十四億円入って参りますので、百十六億円が
個々
の
企業
に対する
設備
近代化
のための無
利子資金
として貸し出される。大体その場合の二百三十二億の
事業
規模
がここで達成可能になるわけでございます。なお、この配分につきましては、今までの実績と、それから非常に県によりましてでこぼこがございますので、後進県と申しますか、今まで県に行ってなかったというようなとところにつきますものについては、ある程度の後進性を、今まで足りなかった分を是正するというような意味で少し厚く見るというような方針でおりますが、まだ具体的にどの程度の配分をするかということについてはきまっておりません。これはいずれ県のほうから大体自分のほうでもこの程度の県費を出すということにしたいので国でこれだけの金をくれというようなことで申請が参りますので、その申請とあわせて後進県に対する配分というようなことも一緒にいたしまして、できるだけ早くきめたいと、こう思っております。 それからいわゆる
高度化
基金で
二つ
以上の
企業
が力を合わせていろいろ仕事を進めるという際には、これは二十三億百万円という
予算
がことし認められておるわけでございまして、これと同額が県から支出される。それから今までお貸ししておりましたものが返ってくるものを入れて五十二億になるわけでございますが、これを二十三億百万円というものをさらに少しわけて申しますと、工業の団地に対して十四億六千百万円でございます。それから
商業
の団地これを三十八
年度
から新設いたしますが、これが一億円、団地
関係
が合計十五億六千百万円。それから
共同施設
、いわゆる協同組合による
共同施設
、これに対しますもの、それと協業という
関係
で七億四千万円という
予算
を組んでおります。これは一応
予算
の上では七億四千万円一本にこうなっておりますが、大体
共同施設
に五億円、協業化
関係
に二億四千万円というくらいの配分がどうだろうかと、これはまだきまったわけではございませんが、そういうようなことでいろいろ今、中で検討しているところでございます。
豊田雅孝
154
○豊田
雅孝
君 その場合に、この
近代化
資金
それから
高度化
基金以外に、民間
資金
に対してどの程度の期待をこの
近代化計画
では持っておられるか、その辺を伺いたいと思います。
樋詰誠明
155
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) 大体この
高度化
基金の中では一番大きいのは団地の
関係
でございますが、団地では当面この
対象
になります土地の造成費あるいは建屋あるいは機械というもの、これを
所要
資金
の半分を無利子の金でまかなうということにいたしておりますので、各
企業
それぞれの団地等におきましては、それだけでもって不十分だということで、いずれももっと大きないろいろな
計画
を持たれ、また将来の
発展
等を考えまして、あらかじめ土地をよけい造成しておるといったようなところもございまして、実績から申しますと、大体全体の二割程度が無利子の
貸付
金でまかなわれている、こういう考え方でありますので、団地の
関係
で申しますと、十五億六千万円の大体五倍、七十五億から八十億くらいの金が団地
関係
に使われるのじゃないか、そういうふうに思っております。 それから協同組合並びに
個々
の
企業
の
設備
の
近代化
というものにつきましては、これは当面の
所要額
の二分の一ということまでやっておりまして、このほかに当然ある程度
対象
にならない機械の
設備
といったようなものもあるかと、こう思うのでございますが、それにつきましては、
政府
金融機関等からの貸し出しというようなことで、まあひとつ補っていきたい、さように考えております。
豊田雅孝
156
○豊田
雅孝
君 今の民間に期待するもの、総額で幾らになりますか。
樋詰誠明
157
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) それは結局三十八
年度
に
中小企業
が
設備投資
にどれだけの金を向けるかというようなことになるかと、こう存ずるわけでございますが、大体われわれといたしましては、三十八
年度
の
中小企業
の
設備投資
は六千億程度じゃなかろうか、そういうふうに考えております。これは今までだんだん大
企業
との投資の格差が開いて参りまして、最近数年間は二九%、二七%というふうに、だんだん全体の割りが減って参りましたけれども、少なくとも三十八
年度
からはこのおくれを取り戻すということで、全体の三分の一程度は
中小企業
のほうにぜひ確保したいということで、全体の三三%程度というふうに考えますと、一応六千億程度のものになるかと思います。六千億というものから見ますと、これは非常に微々たる金でございますが、これを各
企業
の内部留保金、それから民間からの借入金、あるいは
政府
関係
機関の借入金並びに
政府
の無利子
貸付
金といったようなものでまかなっていきたいと存じます。
豊田雅孝
158
○豊田
雅孝
君 そこでお尋ねしたいのでありますが、これは大蔵省のほうにお尋ねをしますが、今、長官の答弁によりますというと、民間
資金
に依存、期待するものというものは
相当
な額であります。それでそのうち小部分のほうのものが
中小企業
近代化
資金
ないしは
高度化
資金
、そちらのほうは無利子ということであります。ところが大部分のその民間
資金
が高金利である場合には、何としても
近代化
、
合理化
は言うべくして行ない得ないということになりますので、一面において大蔵省のほうは、われわれ前々から問題にしておりました歩積み、両建、これについては今回は今までに比べると初めてといってもいいくらい本格的に歩積み、両建規制に向かってこられて、これはまことにわれわれ共鳴するところであります。 まず伺いたいのは、どの程度それが進んでいるのか、あるいは
目標
とするところはどういう点なのか、この点を承って、実質金利というものが
相当
下がってくるという見通しがつかないと、これは
法律
まで作ってここで
近代化
、
高度化
を大いにやるとは言うもの の、ある意味において絵にかいたもちになるおそれがあるわけであります。そういう点について、最も多額を期待せられているのは、何と言っても民間金融機関である。これに対する実質金利の引き下げ、その見通し、また、すでに伝えられるところによると、ある程度もう具体化しているようでありますが、そこらについて承りたい。
佐々木庸一
159
○
説明員
(
佐々木庸一
君) 今、御質問になっておりまする
合理化
、
近代化
資金
と、最近私どもがやっております両建、歩積みの自粛の
関係
との結びつき、若干困難な点があるわけでございますが、今、私どもが業界に対しまして要望しております自粛
措置
のほうから申し上げますというと、貸し出しとともに両建を行なうようなことは、今後厳に慎しんでもらいたい、やめていただきたいということを申し入れております。そのほか両建に類しますような定期積金契約、
相互
掛金契約を、一時先掛けというようなこともやめてもらいたいということを申し入れております。なお、
貸付
金に内入れに充当し得るような金が入ってきましたときには、従来それを銀行が、債務者が使えない形で納めておりましても、内入れに扱いまして債務額を減すということをなかなかやってくれなかった例もあるのでございますが、そういうものを、債務額を減すように一部分でも相殺するように求めているわけでございます。なお、担保となっております定期預金とか掛金とかが満期ないしは支払い期日が参りました際には、なるべく相殺するように求めておるわけでございます。また手形を割り引きます際の歩積みにつきましては、過当なものをとりませんように、根担保がありますときは、その状況を考慮して歩積みを少なくするように求めておるわけでございますが、おおむねそのような筋につきまして業界と話し合いもつきまして、近日中にこれを実行に移すことができるであろうと思っておるところでございますが、この際にもう一つ金利
措置
を申し上げておかなければならぬのでございますが、そのような
措置
をやりますとともに、今ありまするものの整理を希望しておるわけでございますが何らかの
理由
におきまして、どうしても整理ができないような場合は、金利
措置
といたしまして預金が担保となっておりまする貸し出につきましては、百万円以上のものは銀行の場合においては一銭六厘、百万円以下のものについては一銭七厘という申し合わせが現存しております。これを厳に守ってもらいたいということを申し入れております。なお、割引につきましては普通の場合の約定金利よりも三厘以上引き下げておられることに申し合わせができておりますのを守ってもらいたいというのを申し上げておる次第でございます。なお、
相互
銀行、信用金庫につきましても、これに準じて
措置
をしてもらうようにしておるのでございますが、大体預金担保貸し出しにつきましては、銀行の場合よりも二厘高のところでございます。百万円以上につきましては一銭八厘、百万円以下につきましては一銭九厘ということになろうかと期待しておるのでございますが、手形割引の場合には今の約定よりも二厘ないし三厘下げてほしいということを持ちかけておるところでございます。したがいまして、この
措置
が浸透しますれば、今申し上げましたような金利
措置
もあわせ行ないますことによりまして、かなりの効果は期待できると考えておるところでございます。
豊田雅孝
160
○豊田
雅孝
君 われわれ伝え聞くところによりますと、歩積みについては一件あたり三%まで、それから残高については一〇%までという限界でもう進んでおられるようにも聞くのですが、それはどうですか。
佐々木庸一
161
○
説明員
(
佐々木庸一
君) 歩積み両建の問題は古い問題でございますので、いろいろ経緯があるのでございますが、今守られていなければならぬ基準じゃないかと思っておりますのは、三十年の申し合わせでございます。そのときには今、先生がお話しになりましたような、一件の金利額に対して三%程度、その集積限度と申しますか、集まりました限度の一割程度ということを頭の中においてやっていただきたいという申し合わせになっておるわけであります。ただし、現実の場合をみますというと、御承知のとおり手形にいろいろ種類がございます。支払人の信用度もいろいろ違いますし、また割引依頼人の信用度によってもいろいろ違う場合がございます。また景気変動によりまして同じ債務者の信用度が時点を異にしますと違ってくるという場合もございますので、これをあまり機械的に適用することは無理かと存じます。
豊田雅孝
162
○豊田
雅孝
君 ただ、申し合わせをしておると、まあ、そいつを推進しておるという程度では、今まででも何回も、この前もこの
商工委員会
で追及したのですが、もうどの程度通牒を出しておるのか、それをひとつ資料として出してもらいたいというので大いに追及して、出されたのだけでも、何か十回ぐらいすでに通牒を出しておられるのです。ですから、そういうことを今僕は伺うつもりで、せっかく忙しいのに検査
部長
にきてもらったのじゃないのです。これは新たに今度方針を確立して新しい考え方で再出発しているのだというふうにわれわれ聞くものですから、それを確かめたいと思ったので、ただ今までのように申し合わせ程度のことをどうこうというのじゃ一向、われわれが期待をかけておるところと、あまりに隔たりがあるのです。今度それは歩積み、両建、その両建のほうは全廃するのだ。そうして、歩積みのほうは一件当たり三%、そうして、残高に対して一割を限度とするというのでいく、そうしてその方針のもとに全国
相当
検査もせられておるかのように聞くのですけれども、はたしてそうなのかどうなのか、その点はどうなんですか。
佐々木庸一
163
○
説明員
(
佐々木庸一
君) 御指摘のように、はなはだ遺憾でございましたが、今まで十数回の通牒を出しましても、効果はどうもあまりあげられませんでした。今回は私ども志を新たにいたしまして、十分に過去の例を反省しまして効果のあがることを期待しておるわけでございますが、自粛申し合わせがまず根本になるわけでございますけれども、今回の業界の気持というものは、今回の
国会
の御議論その他によりまして非常に変わっております。今度こそはやらなければならぬという気持がありありとあるように思われる次第でございます。なお、われわれとしましても、これを受けまして、今気運の高まっておるときでもございますので、前回行なわれました特別検査、歩積み、両建問題だけを
対象
にいたしました特別検査を今後もまた実行いたしますように、これは
相当
長期間を要する問題だと思われますので、今までの定例検査のうちに、歩積み、両建問題を組み込みまして、今後も監視を厳重にやっていきたいと考えておるところでございます。前回三月の一日から九日まで行なわれました。特別検査の模様の
報告
を受けますというと、金融機関側でも非常に反省をしておられるということでございますから、今回は前とは違って効果があげられると考えておるところでございます。
豊田雅孝
164
○豊田
雅孝
君 今の答弁でやや明らかになりましたが、さっきの答弁の際に、いよいよ近々本格的にやられるというような答弁があったのでありますが、その近々というのは一体いつ頃を目途として本格的に再出発するのかどうか、これは今、公定歩合第三次引き下げまでやって、まことに低金利推進けっこうであります。これは国際的にも
競争
力強化のために当然なことではあるが、まことにけっこうであり、
中小企業
としてはもちろんけっこうでありますが、いかに公定歩合引き下げていっても、実質金利が下がらなければ何にもならないのですから、ことに
基本法
まで
制定
して、関連法を、今
審議
中のものだけでも、真剣に
審議
をしておるわけですけれども、その際に、今も言うごとく一部が無利子、他はもう高金利であったら何とも処置なしです。それに、ことに私の心配するのは
政府
の
計画
による
近代化
の線に乗らずしていく
中小企業
も
相当
ある、そういうものが非常に実質金利が高いということでは、大
企業
と
中小企業
の格差がつくのみならず、今度は
中小企業
で
政府
の直接
指導
のもとにいくものと、しからざるものとの間に、また格差がついてくる。その際に実質金利というのは非常な大きな問題になると思うのです。そういう点でぜひとも今答えられた線で再出発せられるその時期を承り、同時に真剣に今度こそ、お話のごとく業界も、金融業界も目ざめてきたようですから、このチャンスを逃がさず、新しい態勢を確立されるように願いたいと思いますが、御見解を承りたいと思います。
佐々木庸一
165
○
説明員
(
佐々木庸一
君) 豊田先生の御
意見
ごもっともでございます。たとえば、この際新しい
措置
を発動しますについて、業界といろいろ話し合いをして参ったわけでございます。その話し合いはおおむね先週末まででついたと考えておるところでございます。したがいまして、あと字句の
修正
と若干の手続をやりましたならば発動できると思ってるところでございます。うちの局長は、一両日中にでもという気持でおるわけでございますが、若干準備の
関係
がありますので、今週中には私どももやらなければならんと考えておるのでございます。
豊田雅孝
166
○豊田
雅孝
君 では今週中ということで、おそくともという意味ではっきりしましたが、ぜひそれを明らかにせられ、そして強力にひとつ今回は推進してもらいますように、特に検査
部長
がじかじか出られたのですから、検査部でだんだん取り締まっていかれれば、それが一番てきめんにこたえてくるのですから、その点も強く要望いたしておきます。
向井長年
167
○向井長年君 関連。豊田先生の質問に対する関連ですが、今答弁されておるところによると、大体これは行政
指導
、強力な行政
指導
、あるいは自主的な問題、こういうことで、これに対して、そういうことを歩積み、両建に対して、やっちゃいけないという立法
措置
を講じないのですか。そういう意図はないのですか。長年の問題でしょう、これは。もう幾らやっても、そういうことはないようにいたすように
努力
いたしますとか、あるいは、われわれにそういう考えでおりますということを、たびたび大蔵省のほうでは答弁されておる。ところでいつになっても、なくならないのです、現実に。したがって、これに対する強行な立法
措置
を講ずるという考え方はないのですか。
佐々木庸一
168
○
説明員
(
佐々木庸一
君) 一定の基準を示しまして、それに反するものはやめなさいと、こう言います場合に、基準が変わらないで、はっきりしたものを指示すれば、お話のようなことはできるかと思うのでございますけれども、先ほど来申し上げておりますとおりに、相手方の信用状態に基づきまして、たとえば歩積み預金などの場合は変わらなければならん筋のものでございます。それから取引が初めての人でありますときと古くからの取引先とでは商慣習上違ってるわけでございます。それから景気変動の時点でまた違うということもあるのでございます。好況のときは少なくても、金融引き締めが強くなって参りまして、取引先の資産状態にいろいろ問題が多いときには、歩積みをふやすということもやむを得ないかと思ってるわけでございますので、そういうふうな取引先ごとに違い得るものでございます。時点を異にして同じような人に対しても違い得るものでございますので、立法化はきわめて困難かと思ってるところでございます。
向井長年
169
○向井長年君 景気変動とか何とか言いますけれども、これの
貸付
に対しては、その
相当
額に対しての幾らか歩積みさす、こういう形になっているのですが、ほとんどそれ相応以上の担保を取っておるのです。保証問題は完全に
指定
しか貸さないのだ。おそらく
中小企業
はなおさらそうだろう。それ以上にまた歩積みをして利子を取るという考え方は公正取引に反するのじゃないですか。そういう立場から若干そういう意味で独禁法の問題にもからんでくると思うのですが、どうなんですか。
赤間文三
170
○
委員長
(
赤間文三
君) 要するに、担保を取っておれば歩積みをやらんでもいいじゃないか。こういう御質問なんです。
佐々木庸一
171
○
説明員
(
佐々木庸一
君) 担保が十分であります場合は、お説のような場合が出てくるかと思います。われわれも過剰な担保をとってはならないというふうに
指導
しているわけでございますが、ただ今お話のありました独禁法問題でございますが、実例といたしまして、三十一年でありますか、非常にひどいものが行なわれておりましたときに、警告が発せられておる、公取
委員
会の警告が発せられております。したがいまして、私どももひどいものは独禁法に違反することになると、考えておる次第でございます。先々日、
衆議院
の大蔵
委員
会でも春日
委員
がそれを追及いたしまして、公取
委員長
がおいでになりましていろいろ御答弁になりました。公取
委員長
も、この問題につきましては、公取
委員長
として今後特別
努力
をするというお話でございました。われわれも金融機関を
指導
いたします場合に、独禁法にかかるようなことをやってもらっては困ると思いますので、厳重に
指導
して参りたいと考えておるところでございます。
向井長年
172
○向井長年君 そうすると、今言うように、一定の基準等きめて、それの分は許す、こういう形は、これは
政令
で出すつもりですか。
佐々木庸一
173
○
説明員
(
佐々木庸一
君) 従来の形が申し合わせになっておりましたので、私どもその形を踏襲しまして、業界が自分から進んでやれるような形式をとったほうがいいと思いましたので、日銀とも相談いたしまして、われわれの考えておることを織り込んでもらいました。自粛
措置
というものをきめて、そういう形でやろうと考えておるところでございます。先ほど申し上げましたように、いろいろな場合を想定しなければいけませんので、法令の形にするのはなかなかむずかしいと考えておるところでございます。
向井長年
174
○向井長年君 そうすると、それに違反した場合ですね、自主的にきめられた場合に違反をする傾向が出てくると思いますが、違反したと、こういう形についてはどうもできないのでしょう。その基準を守らないで今まで
どおり
のような形をやった場合にはどういう
措置
もできない。こういうことならば、やっぱり、何とかその
措置
を生かすためには立法
措置
をとらざるを得ないのじゃないですか。
佐々木庸一
175
○
説明員
(
佐々木庸一
君) 自粛の申し合わせに違反した場合に法的な
措置
をとり得るかということになりますというと、御指摘のとおり法的な
措置
はとり得ないわけでございますが、しかし、行政
指導
なりいろいろな
措置
がとり得る余地があるものと考えておる次第でございます。たとえば、
政府
関係
金融機関の貸し出しに関連しまして、代理貸しなどにも関連しまして、このようなものがありました場合には、その代理貸しを担当し得る店舗のリストからはずしてしまうというようなことをいたしまして、
法律
上の罰則ということは困難でございますけれども、
指導
上きびしくすべてやっていきたいと考えておる次第でございます。
向井長年
176
○向井長年君 それは考えておるだけで、明確にこういう申し合わせなり、あるいは基準から反したいわゆる銀行に対しては、
政府
としては行政上こういうことをやると、こういうことをやっぱり公表しなければ、考えておるだけでは同じことではないですか。今までたびたび行政
指導
の中からそういうことをやっちゃいかぬということを通達なり、指示を出しておるということを答弁してきている。ところがいまだにやらない。そういうところにやられるのは
中小企業
の諸君ですね。したがって、そういう人たちはほんとうに必要な金を借りたい。そのために無理して担保も入れておる。あるいは保証人も出しておる。ところが、三千万借りれば、その中で千何百万は大体歩積みをしなければいかぬ。そして利子を払っていかなければならぬ。こういう歩積みをしたやつに対してもやっぱり担保はその値打ちで入っているわけなんで、非常に矛盾が多いと思う。だからその点は、先ほど豊田先生の質問で一週間以内にそういう一つのあれを出して厳重にやると、こう言っているけれども、やはりそれに対する裏づけというか、やはりそれに反した場合は行政上こういうことをやるのだということを銀行に通達し、公表すべきだと思いますが、この点いかがですか。
佐々木庸一
177
○
説明員
(
佐々木庸一
君) はなはだデリケートな問題でございますので、今のところいろいろな行政
措置
をとることを考えておりますと、こう業界の方には申し上げておる次第でございます。私ども今回の場合は、今まではどうも先生御指摘のように効果が上がりませんでして、前回までの経緯を指摘されますと、まことに答えようがないのでございますけれども、今回は業界の気持が違ってきておると見ておるわけでございます。したがいまして、役所のほうでいろいろやり得る特典みたいなものを押えます手はいろいろあるわけでございますけれども、それをあまりぎらつかせないで効果をかなり上げられるんじゃないかと思っておるところでございます。もしどうもうまくいきませんでした場合には、またいろいろ御指摘のように考えなければならないと思っておる次第でございます。
豊田雅孝
178
○豊田
雅孝
君 今のに関連してまた続けるわけでありますが、
法律
できめるかどうかということ、これも一つの
方法
であり、またそれは問題のある点も今承ったわけでありますが、しかし基準を明らかにするということは、これは行政
指導
の上からも当然そうあらねばならぬと思うのでありますが、その場合に、さっきちょっと答弁されておるときに気にかかったのでありますが、相手方にもより、またその時点によっても、いろいろケースが異なるというお話でありましたが、そういう考え方であるからして、従来ある程度の基準を設け申し合わせをしても、千差万別だといういき方でいろいろ
説明
をすれば、その場は済んでいくということになるおそれがあり、そのためにいつまでたっても事は明らかにならぬ、そこに問題があるわけでありますので、むしろ、やや基準は低くても、一度きめた以上は、いかなる
事情
があっても、それに対しては行政
措置
等において
相当
制裁を加えていくということをやらぬと私は効果がないと思うのです。そういう点で、基準は
相当
高くしておいても、いろいろなことを言われれば、それで認めていくというのでは、ほんとうに百年河清を待つべきようなことなんで、そういう面から、今回は一度きめた以上は、その基準というものはあくまで守らし、また守っていくんだ。いわんやさっき向井
委員
からもお話がありましたけれども、担保もとっておるのだし、また金融機関というのは、実に精細なる審査をして、その上で貸すんですから、貸そうというようなものについては、そんなに危険はないと判断すればこそ貸すのですから、そういう場合にはまた相手によりけり、時点によりけりというので、せっかくきめた基準なり、あるいは申し合わせを破らすということでは、これは全く意味がないと思うんですね。この点業界も目がさめてきたというし、大蔵省も今度は真剣になされかかっているように思うんですが、これから、この際ぜひとも基準をきめた以上は、それを守らしていくのだ。そうして大蔵省が真剣になっていけば、私はいろいろな
方法
があると思うのです。別に
法律
によって罰則まで作らなくたって、それは場合によれば、少々の罰則以上に痛い手もあるんですから、こいう点でやりようによっては十分いける、それには基準をきめたら動かさぬということでなければ、私は意味がないと思うのですが、この点どうですか。
佐々木庸一
179
○
説明員
(
佐々木庸一
君) 御
趣旨
は豊田
委員
のお話のとおりであると思う次第でありますが、ただ一つ検査部の立場を申し上げてみたいと思いますが、検査部の第一番の仕事は、預金者保護の観点から検査をしておるということになっておるわけであります。私どもいろいろな仕事をやります場合に、預金者保護ということを土台にいたしまして、その上に金融機関が公共性を十分に発揮しますような、今の御指摘いただいておりますように扱うべきだと考えておるわけであります。あまりに弱いところに持ってきて、担保力のないところに貸すというようなことになっても、また困りますので、若干の余裕と申しますか、そういうものを持たせていただきたいという考えでございます。大幅にゆるめて言い抜けをしようというつもりでは毛頭ございません。
豊田雅孝
180
○豊田
雅孝
君 大丈夫なところへだけ貸しているのが金融機関なんですから、それに対してさらに歩積み、両建、それも
事情
によっては認めるかのようないき方では、実質金利は上がる一方になるのです。ですから、そこのところをはっきりと大蔵省では考えて、この際再出発しておられないというと、金融機関も怨府になるし、大蔵省も怨府になると思います。そういう点でよほどお考えになるように、検査
部長
だけ責めてもしようがありませんが、やがては本会議なりその他適当なところで、上のほうを詰問せんければならんようなことにならんように、ひとつ検査
部長
が内助の功を発揮せられることをこの際大いに希望しておきます。そうして一週間内にやられるその基準は、お体裁のいいものですぐくずれるというのじゃなくて、もうきめたらそれを守らせるのだということでお進みになるように特に希望いたしておきます。
中小企業
庁のほうに伺いたいのでありますが、何か伝えられるところによると、閣議で投資会社制度ができれば、
近代化
資金
、
高度化
資金
の
資金
源を投資会社の
資金
強化に一本化したほうがいいのじゃないかというようなことが出たかのように新聞で伝えられたのでございますが、そういう事実があるのかどうか。もしもそういう事実があるとすると、投資会社のほうは、資本金一千万円ないし三千万円ぐらいのものを重点において
対象
にするのだということのようでありますが、
近代化
資金
あるいは
高度化
資金
のほうはそんな資本金に必ずしもなるものばかりでもないし、いわんや団地あるいは
共同施設
あるいは協業、こういうようなものを
対象
にする必要があるわけでありまして、そういうものは投資会社の
資金
を幾ら強化してみたって筋が違うわけなんでありますから、あくまで投資会社は投資会社、そうして
近代化
資金
なり
高度化
資金
のほうはそれはそれとして強化していくという必要があると思うのでありますが、その点。
樋詰誠明
181
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) ただいまの先生のお話、閣議でどういうことが出たかというようなことにつきましては、福田
大臣
からもこういう話があったというふうには伺っておりませんし、またわれわれは今、先生御指摘のように、これは比較的上の部分もそれから下の部分も、みんながうまくいくということが一番大切だとこう思いますので、若干ねらっている層も違えばやり方もいろいろ違うということになりますと、今の段階ではむしろ分けていくほうが混淆をきたさなくていいのじゃないかというふうに考えておりますが、今の点につきまして、もし一部にいろいろそういうふうな御
意見
もあるのだというようなことでありましたならば、よく伺ってみますが、今の私の個人的な見解では、先生の御指摘と同じ考えを私も持っております。
豊田雅孝
182
○豊田
雅孝
君 閣議の
関係
でありますから、これは福田通産
大臣
に直接質問したほうがいいと思います。それで
中小企業
庁の長官からも福田通産
大臣
に、そういう質問もあったという連絡をしておいてもらいまして、適当なときにあらためて
大臣
に質問をします。同時に事務当局としては、投資会社制度の
資金
源と
近代化
ないしは
高度化
資金
の
資金
源とは明らかに区別をして進むべきだという考えでありますから、その点了承します。 次に、
近代化
促進
法の
関係
でありますが、これは従来の
法律
の
業種別振興法
で
業種
を
指定
して、これの
合理化
をしてきたことは御承知のとおりでありますが、今回
近代化
促進
法によって
業種
指定
をやる、その
業種
指定
の際に、
業種別振興法
によって
指定
せられてすでに
合理化
が進むとか、あるいは
合理化
をせられるものだという期待のもとに進んでおるにもかかわらず、次に
近代化
促進
法では
指定
せられぬということになると、そこに大きなそごを来たし、また業界としてはその点をだいぶ不安に思っておる向きもあるのであります。むしろ
基本法
ができ、
近代化
促進
法が関連法として
制定
せられるならば、今までよりも一そう広い
業種
指定
もあり、しこうしてその線での
近代化
、
合理化
があろうというふうに期待するのは、私は無理ではないと思うのでありますが、むしろ逆に狭まってくるということだと大いに問題だろうと思います。その点いかがでしょうか。
樋詰誠明
183
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) われわれといたしましては、
業種別振興法
の六十六
業種
につきましては、それぞれ既定の方針で
改善
計画
を
策定
いたしまして、その
改善
計画
に沿った
合理化
、
近代化
が行なわれることが望ましいと思っておりますし、今後ともその線に沿って
近代化
が行なわれるように、いろいろの一般的な
助成
策というものは強化して参りたい、こう思っておりますが、今回特に
近代化
促進
法を
提出
いたしまして、今までの
助成
法以上の特別の
助成措置
、すなわち
資金
の裏づけ、あるいは税法上の優遇というようなことをいたしましたのは、これは
中小企業
の中でも、最近の自由化等の現状にかんがみまして、この際早急に
体質改善
をはかるということが、
国民経済
全体的な見地からも非常に緊急に要請されておる、そういうものに限りまして、一般の人にはない税法上の恩典等を認めてまで引き上げていかざるを得ないのじゃないかというふうに、今まで以上に
中小企業
の環境が変わってきて、同じ
中小企業
の中でも、
国民経済
全体に及ぼす影響の度合いというもの等の厚薄によりまして、この際特に取り上げなければならないというものと、ある程度少し待っていただいても、
国民経済
全体としては何とかやれるものと、これはおのずからある程度の差はつけ得るのじゃないかということで、とりあえず
業種別振興法
におきましても、大体三年間で六十六の
業種
というものを
指定
して、今日逐次やってきたわけでございますが、大体新しい
促進
法におきましても、一年間二十程度というようなものを頭に置きまして、そして税の特別優遇あるいは
資金
の絶対確保というようなことについて、重点的な
施策
をやっていく、これで全部終わりということじゃございませんで、その緊要度に応じて、以下逐次ほかの品目に及ぼすというふうにやっていきたいというふうに思っておる次第であります。
豊田雅孝
184
○豊田
雅孝
君 そうすると、
近代化
にA、B
二つ
のクラスができるというようなことですか。
樋詰誠明
185
○
政府委員
(
樋詰誠明君
)
促進
法の
対象
になるものと、
助成
法の
対象
になるものと
二つ
できるわけでございます。
豊田雅孝
186
○豊田
雅孝
君
近代化
促進
法による
指定業種
の
資金
確保、これの金利は、特別金利でいき得るわけですか。
樋詰誠明
187
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) その金利の点につきましては、まだこれを必ず特別金利でいくということ等の話はついておりません。
豊田雅孝
188
○豊田
雅孝
君 償却の点は
租税特別措置法
によって
特別償却
を認める、これはどんなことになっておりますか。
樋詰誠明
189
○
政府委員
(
樋詰誠明君
)
促進
法に
指定
されました
業種
企業
が使っております
生産
用の建屋、機械というものについて、普通の償却よりも三分の一毎年よけいに償却できるということをいたしたらと思っております。
豊田雅孝
190
○豊田
雅孝
君 最後に一つ承っておきたいのでありますが、特定のものについては、同じく
近代化
するものについては非常な特典が与えられる、そうでないものについては、だいぶ格差があるということがいいか悪いか、非常に問題じゃないかと思うので、そういう点において、従来すでに
近代化
、
合理化
の線を切って進んできているようなものについては、極力高度の
近代化
、
合理化
の線でいくようなふうに
指導
していくというのが、
政府
の方針に変わりがあったかの感を与えることも、これは問題だろうと思います。そういう点について、極力今回の
近代化
促進
法の線に沿って、従来の
業種別振興法
の行き方で継続していくということがしかるべきものだろうと思うのですが、この点特に伺っておきたいと思います。
樋詰誠明
191
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) 今御指摘のように、
基本
ができるのでございまして、今までよりは薄くなるということは考えておりません。今までの方針をさらに拡充する、しかもその中で特に緊急を要するものについては、この際画期的なプラスを加えるということで、全体の方向としては拡充しながら、その中でも特に必要なものについて特段の
措置
を講ずるということでございまして、今、先生の御指摘になった骨子が十分報いられるように、
個々
の
法律
を
運用
していきたいと思っております。
向井長年
192
○向井長年君
促進
法で二、三点お聞きしますが、この三条の中で、特に
基本計画
一から二は、大体必須
事項
ですね、それからそのあと八号までは大体任意
事項
と、こういう形になるのですが、こういう必須
事項
の問題については、
目標
を何年くらいに置いてきめられるつもりでありますか。
樋詰誠明
193
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) 大体
目標
は五年程度ではなかろうか、ものによりましては、三年というものも若干あると思いますが、大体五年程度を一応目安といたしております。
向井長年
194
○向井長年君 次に、
生産
規模
の問題でございますが、
生産
規模
の適正なものはどういうものを標準として考えておられるかこの点。
樋詰誠明
195
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) 結局需要との
関係
で、これはそれぞれ変わってくると思いますが、機械の稼働率、あるいは稼働率がむずかしければ、一年間に一体どの程度のものを幾ら作るかといったようなこと、これは
業種
によって適正
規模
も変わってくるのは当然でございますので、それぞれの
業種
の
実態
に応じまして、少なくともこの程度なければ非常に将来むずかしくなるといったものを具体的にお示しするようにしたいと思っております。
向井長年
196
○向井長年君 その
規模
の問題につきましては、
生産
する品物あるいは種類、こういうものによっておのおの違うと思うのです。それと同時に、大量
生産
に向く品物と、あるいはそれ以外に需要の拡大と、こういう形に向くものと、いろいろ種類があるわけなんですが、そういう標準はどのように考えておられるのか。これは今のところ出てないのですか。
樋詰誠明
197
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) これは非常に抽象的な言い方になりますが、最近だんだん
生産
規模
が大きくなってきておる。
生産
規模
が大きくなればなるほどいいようなものもございますが、それは非常に専門化、単一の品質のものを作るという場合には、そういう
規模
を非常に大きくして作るということが、非常にコストを安くするということは確かにございますが、同時に非常に特殊の用途に充てられるもの、あるいは専門的な商品というもので、必ずしもそう量はよけい要らないといったものがたくさんあるわけでございますので、そういうものは、これはむしろ
中小企業
が非常に小回りをきかせて作ることがいいのではないかと存じております。そこでこの
促進
法自体でいろいろ
指定
いたしますものは、
中小企業
性のある産業につきまして、しかも内外の情勢から見て、一日も早く
近代化
をしなければならないというものでございますので、できるだけ早くそういう専門品といったようなものをどうやって作れば一番合理的にいくかというような点について、十分な注意を払って、それぞれ適正な
規模
をお示しするというふうにしたいと思います。
向井長年
198
○向井長年君 もちろんそういう品種なり、あるいは種類によってだいぶん変わってくると思いますが、この
生産
場所というか位置ですね。こういう問題にもやはり
相当
影響があると思います。いわゆる需要地に近いとか、あるいは輸送に便利であるとか、こういう問題があるわけでありますが、こういう点も大きくこの中に入って、その
規模
の問題として考えられていくのか伺いたい。
樋詰誠明
199
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) これは
業種
共通の問題でございますので、一応適正
規模
だと、これは一応この
業種
についてはという普遍妥当なものをお示しするわけでありますが、ただいまの市場との
関係
というようなことは、それぞれの場合に、
企業
自体が大体自分のところは非常に市場が有利な
関係
にあるから、必ずしも基準そのままではないけれども、この程度のものでもほかのところよりももっとうまくいくはずだというようなものもあるかと思いますが、これは一応標準的な場合の標準基準をお示しするということで、あとはケース・バイ・ケースで、それぞれの
企業
が判断されるということにすればいいのじゃないかと思います。
向井長年
200
○向井長年君 そういう場合に、それは地域の場合はそれでいいのですが、特に
経営
主というか
工場
主というか、この人たちの能力とか財力とか、こういう問題も大きくそれに影響するわけでありますが、こういう問題については、どういう形で考えられるのか。
樋詰誠明
201
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) これは絵にかいたもちに終わったのでは意味がございませんので、現実の姿に照らしまして、この程度まではある
努力
すれば必ず達し得るのだという現実に立脚した
目標
というものを掲げたいと考えております。
向井長年
202
○向井長年君 現実にこの程度ならという判断をどういうところに置かれるのですか。
樋詰誠明
203
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) これは大体適正
規模
というようなことが、一応の前提になるわけでございまして、適正
規模
ということになりますれば、これは一人々々でできない場合には、やはり数人が力を合わせてやらざるを得ないのじゃないか。そこで数人が力を合わせると申しましても、いきなり大
企業
のまねをせいといっても、これはとてもできない。また作っている品物の需要、それから現在の
技術水準
というようなものから見て、ある程度、一応達し得る限度じゃなかろうかというふうに思われますので、そういう点を考慮いたしまして、共同して、みんながやるとして達せられる一番近い
目標
というものは、少なくともこの程度ですよということをお示ししたいと思っておりますが、人の問題につきましては、これは別途御
審議
願います
指導
法で、今後
中小企業
の
経営
者並びに
技術
者の能力を高めるということについて、特段の
努力
をするということによって、この
法律
自体も補っていきたいと考えております。
向井長年
204
○向井長年君
規模
の問題、それでいいんですが、この
資金
確保の問題について、大体重点は
設備
費と言いますか、こういうところに重点が置かれると思うのですが、実際問題として、
中小企業
は運転
資金
にも
相当
これは苦労するわけですね。したがって、この問題としては、運転
資金
はこれは
自己資本
でやれ、こういうことであるのか、やはりそういう点は運転
資金
の場合においても、なんぼか考える、こういうことになるのですか。
樋詰誠明
205
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) これは
資金
の全体的な、量的な確保ということにつきましては、
政府
関係
金融機関からの貸出額と、それから御
審議
願っておりますこういう
近代化
あるいは
高度化
資金
としての無利子の
貸付
があるというようなものが、直接の
財政資金
として出るわけでございます。このほか、保険制度を拡充するということによりまして、公庫の保険ということに最終的につながらせることによって、民間の金融機関からも金を引っ張り出して、しやすくするというような方途を合わせ講ずることによって、少なくともこの
指定
されたものが
設備
、運転、両方面で困るというようなことのないように、いろいろ万全の注意を払っていきたいと思っております。
向井長年
206
○向井長年君 その民間からというものは、これは特に
政府
から要請するわけですか。
樋詰誠明
207
○
政府委員
(
樋詰誠明君
)
設備
近代化
の
関係
につきましては、三千万円まで公庫で保険しましょう、現在七百万円まででございますが、そういうことによりまして、三千万円までの
近代化
設備
を作るという際には、最終的には国の保険でめんどう見ますからということで、民間金融機関も、安心して金が出せるということを、新しい制度として設けたいと思っているわけです。
向井長年
208
○向井長年君 その
設備
費ですが、
設備
については、その一つの
企業
の
設備
に対するもの、どのくらいの割合で、おそらく全部じゃないでしょうが、どのくらいの割合で
政府
はこれを貸し付けるのか、無利子で……。
樋詰誠明
209
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) 無利子で貸し付けますのは、さしあたりは二分の一ということでございます。したがいまして、いろいろ機械、同じ種類の
工場
と申しましてもたくさんの機械があるわけです。どの機械でもというわけじゃございませんで、こういう
製造業
のこういう機械といって、機械も、種類を
指定
いたしますので、その機械も買うとすれば半分見てあげましょう、それに伴う一般的な汎用モーターとか、そういうものがありますが、そういうものは別途自分でひとつ考えて下さいというわけです。
向井長年
210
○向井長年君 その
事業
の特殊な機械ということになりますね、特定の機械、その
設備
に対してのいわゆる二分の一、その製品を行なうところの全部の
設備
費の二分の一というわけじゃございませんね。
樋詰誠明
211
○
政府委員
(
樋詰誠明君
) 仰せのとおりでございます。
向井長年
212
○向井長年君 これでけっこうです。
赤間文三
213
○
委員長
(
赤間文三
君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
赤間文三
214
○
委員長
(
赤間文三
君) 速記を起こして。 本日はこの程度で散会することにいたします。 午後三時五十九分散会