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政府委員(
島田喜仁君) これは、低
開発国の
経済開発の発展段階に応じまして、
わが国の
輸出の
方針なり
政策的な考え方というものは、やはり変わってなければならぬ、こういうふうに考えます。できるだけ商品
輸出で出まして、後進国に同じ
産業が起こっていないほうが
貿易の商品
輸出という面から見れば、
わが国にとっては有利でございますが、後進国もだんだんと
経済開発をして参りますというと、
日本と同じ
産業が、工業が起こって参ります。そのときには商品
輸出はだんだんと少なくなって参ります。
日本がかりに同じ業種の
工場を
外国に作るのに
協力いたしまして
プラントを
輸出する場合には、ただいま
先生の
お話しのように、
日本の
輸出品と向こうで作る商品との競合が出て参りまして、いわば
輸出はそれだけ少なくなってくるという
関係にも立つと思いますが、ただ
日本が
プラントを
輸出して、相手に同じ
産業の
工場を作らないと仮定した場合に、各国がそれではその国に対して
経済開発に
協力をして
プラント輸出をしないかというと、当然
経済開発をしようという国が、
日本から入れなくてもほかの国から入れるわけでございまして、ほかの国が
工場を建てれば、
日本の
輸出品はそれだけ少なくなるという同じ結果に相なるわけでございます。したがいまして、やはり低
開発国における
経済開発の
事情とにらみ合わせながら、やはり品種によりましては商品
輸出から
プラント輸出に切りかえていくという観点に立たざるを得なくなってくると思います。同時にまた
日本の作っております商品と、それから
経済開発によって起こってくる相手国
——低
開発国の商品との競合がありましても、また相手国が
経済開発をいたしますというと、所得がふえまして、そうしていろいろな今度は他の商品の
輸入を
日本からするということも考えられるわけでございますので、やはり発展段階に応じて
プラント輸出をいたしていくという形にだんだんになるわけであります。たとえば
日本の
輸出の大宗でありました綿業につきましても、
外国に
プラントを出したり、繊維
機械を出したり、
工場を作るような格好になっておりますし、それから肥料ににつきましても、
わが国の肥料は世界一になったこともございますが、最近は国内市場から見まして、肥料の大きな
プラントを低
開発国に幾つか出しております。それから船につきましても同様でございまして、これは狭義のプランントではございませんが、むしろ最近は
輸出船が多くなっておる、海運の面から見ますというと、同じ競合した問題がございますが、こういうふうに国内の定業の状況、あるいは
外国の低
開発国における
経済開発の発展段階によりまして、それぞれ
輸出政策のあり方というものをこれに順応させていくということが必要である、こういうふうに考えます。