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政府委員(磯野太郎君) 今お話がございましたように、四日から八日まで、石川、福井のほうを見て回って帰りました。
結論的に申し上げますと、第一は私が東京で予想しておったよりももっとひどい、予想よりもひどいということが
一つでございます。
第二番目といたしまして、今のところ除雪作業等に非常に手を奪われておりますが、手形の問題とか、金融の問題だとか、そういう点にからみまして、むしろ問題は今後出てくるというのが第二点の印象でございます。
それから、第三番目といたしましては、そういうことでございますから、これは繊維工業だけでございますけれども、豪雪による麻痺あるいは不完全操業が正常操業に回復するまでには相当の期間がかかるという印象でございまして、その点は、大体場所によっても違いますけれども、早いところで四月ぐらい、おそいところで五月ぐらいになるのではないか、こういうふうな感じでございます。
実情を申し上げますと、これはもう
新聞にもいろいろ出ておりますし、御
承知のとおりでございますが、たとえば福井具におきましては、福井市から相当離れました機業中心の都市におきましての豪雪の降雪量は約十メートル、九メートル四十センチというふうに、これは私の参りましたときに記録されておりまして、大体百年ぶりというふうな記録でございます。雪として固まりました根雪の積雪量が約三メーターというふうなことでございまして、これをおわかりいただけるように申し上げますと、二階建の屋根の三、四尺上に雪の道があって、その三、四尺高い雪の道を電線をまたいで歩いておるというのが私の見ました二月六日ごろの状況でございます。したがいまして、こういうふうなことでございますから、幹線道路の輸送の
関係は自衛隊等によりまして比較的早く通じたわけでございますけれども、そういうふうな小さな町の積雪を全部回収しますためには約二週間かかるそうでございまして、したがって、幹線は通じたけれども、都市の中における工場から工場への輸送あるいは工員の通勤というものは非常に回復するのに時間がかかるところが出てきております。したがって今御指摘がございましたように、原糸が足らない、それから
製品の出荷がたまっている。それから工員などにつきましても、それぞれ自分の家の除雪をやらなければなりませんので、なかなか工場に通ってこないというようなことでございます。それからもちろん燃料が、石油、石炭が入らない、こういうような状況でございまして、大体一番ひどい一月の末から二月の二、三日ころまではそういうふうな
関係で、全休に近い工場がだいぶあったようでございますが、七、八日ごろからそういう点、ぼつぼつ動きかけたというような状況でございます。
そういうような状況でございまして、第二番目に、
対策と申し上げますか、あるいは問題点を申し上げますと、以上申し上げましたように、まず第一に輸送の確保が、これは絶対に必要なことでございまして、特に今申し上げたように幹線道路とともに、その幹線につながる側道の除雪、輸送の確保ということが大切であると、こういうようなことかと思います。
それから第二番目に原糸の不足と
製品の出荷難でございますが、これにつきましては、たとえばあの地区に原糸を供給しております原糸の生産メーカーにおきましても非常に協力的でございまして、それぞれ非常な困難を宿して原糸の輸送をやっております。もちろん満足のできるような状況ではございませんが、そういう点で非常に
お互いに協力をしてやっておるという状況でございます。
それから第三番目に、これは相当陳情があったわけでございますけれども、御
承知のとおり
輸出のクレームの可能性があるわけでございますが、これは
日本人絹織物工業連合会で二月早々に調べましたところでは、北陸三具につきまして、これは御
承知のとおり大体月末に出荷いたします。そういう
関係で月末から雲が降りましたので、一月の契約の納期までに納められないものが、金額にいたしまして一月は十三万ドル、それから二月は二十一万ドル、一月、二月を通じまして、約三十四万ドル
程度の品物が契約をかわしました
輸出の時期に船積みができないというような状況でございます。この
対策につきましては、御
承知かと思いますけれども、豪雪による
輸出遅延証明書を、各通産局及びあそこには繊維
製品の国営検査所がございますので、その国営検査所で
輸出遅延証明書を出しております。これはすでに相当出しました。それからこれも御
承知かと思いますけれども、外務省を通じまして、外務省のほうから出先の大使館に打電をいたしまして、
関係の
政府機関及び
関係の買手の業界にPRをいたしております。そういうようなことで、ただいまのところクレームがついたところはございませんが、これは将来必ずしもないという保証はできないものだと考えております。
それから第四番目に、今、金の話でございますけれども、福井、石川、富山を通じまして、私が参りましたときには、たとえば福井県下は、これは繊維だけでございますけれども、四十七、八億、それから石川県は四十五、六億、嵐山のほうは多少少なさそうでございますが、四、五億というふうに、大体三県を通じまして、繊維工業だけで約百億の被害がある。こういうふうな数字がそれぞれ
関係の県から報告がございました。この金額につきましては、工場がいたんだような直接損害と、それから今申し上げました、
製品の出荷難によるところの操短による被害が入っております。それから、また除雪費等が入っておりますから、必ずしもこの全部の、約百億を、いわゆる豪雪の被害と見るかどうか、その点はいろいろ議論、意見があると思いますけれども、ただ私の聞きました範囲、あるいは調べましたところでは、御
承知のとおり、一月の生産と出荷が大体予定の半分くらいでございますので、そういう点から、一月の企業収入が約半減いたしますので、二月、三月にその資金繰りの悪化が出てくるというふうになろうかと思います。豪雪に対する被害の金融の応急
対策といたしましては、
政府関係金融機関を通じまして、今のところ、百二十億を豪雪による被害に優先するというようなことに相なっております。たとえば、福井県におきましては、一月の終わりに、すでに商工中金におきまして相当の貸し出しが出ておりまして、そういう点でも、
関係の県、あるいは
政府金融機関としては非常な協力体制をとっている。こういうふうな印象を持って帰ったわけでございます。大体そういうことでございますが、今申し上げましたように、まあ二月はそういうような
関係で、大体五〇%
程度の操短、それから三月、四月とそれが回復いたしまして、まあ早いところで四月、非常にへんぴなところは今の側道等いろいろな状況がございますので、五月ごろからでなければ、完全な、とても、正常操業には返れないのじゃないかというようでございます。