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政府委員(大山正君) 第一点の
老人の
健康診断でございますが、年に何回ぐらい行なうかということでございますが、
法律によりまして、市町村長が六十五才以上の者に対して行なうということにいたしておるわけでございますが、本年度は初めての年でもありますので、試験的、実験的に行なうという考え方からいたしまして、六十五才の方、それから七十才の方、七十五才の方というように、五才刻みにいたしまして、年に一回
健康診断を行なう、こういう予定で予算を組んでおるわけでございます。もちろん来年度以降におきましては、六十五才、七十才ということでなしに、六十五才以上の方々全部につきまして
健康診断を行なう必要があるというように考えますので、来年度以降におきましてそのように努力をして実現して参りたい、かように考えております。
それから、病気であることが
健康診断の結果わかったならどうするかということでございますが、十条の二項にございますように、市町村長が必要な指導を行なうということにいたしておりますが、その内容といたしましては、もちろん
健康診断に当たりましたお医者さんから、療養上のことにつきましていろいろ指示をしていただく、あるいは
生活面においては指導していただくというようなこともございますし、また、さらに医療の必要がある者につきましては医師を紹介する、あるいは費用負担につきましては、社会保険の関係についていろいろお世話をする、あるいはそういう便宜のない者につきましては、
生活保護法による医療扶助によって行なうというようなことにつきまして、いろいろあっせん指導を行なうというように考えております。したがいまして、
健康診断の結果——最初は一斉
健康診断で一般検査を行ないまして、さらに精密な検査を要する方につきましては精密検査を行なうわけでございますが、その結果、なお治療の必要があるという者につきましては、現在のいろいろな医療費の負担区分に従って医療費の負担を行なうということに相なるわけでございまして、その間、社会保険なり、あるいは
生活保護による医療扶助なりによってお世話をする、こういうことでございます。
それから、二番目の適正
職業の問題でございますが、
老人の
職業、雇用の問題ということになりますれば労働省の問題になるかと存じますが、私どものほうといたしましても、いろいろ労働省関係、あるいは諸外国の例等を見まして、
老人に適した職種というようなものを一応五十種ぐらい検討したものがございます。たとえばアパートの管理でありますとか、あるいは下宿屋をやりますとか、あるいは養鶏をやりますとかいったような幾つかの職種を考えているわけでございますが、御指摘のありました児童遊園地における子供等の指導について
老人の方にお願いしてはどうかという点は、たいへん適切な御示唆であろうかと思うのでございまして、そういうことに向きました
老人の方につきましては御協力をいただくということで、ひとつ児童局のほうとも十分連絡をとりまして進めたい、かように考えます。
それから、家庭奉仕員が一万二千円の給与で、はたして適当な人が得られるか、どのような人を現在やっているかということでございますが、現在やはり三十才ないし四十才ぐらいのご婦人の方で、そのような
老人の身の回りのお世話をするのに適した方をお願いして各地方でやっております。現在のところ、この給与でお願いしているわけでございますが、お話のように、相当困難な仕事でございます。
老人の家庭に行きまして洗たくをしましたり、あるいは掃除をしましたり、身の回りのお世話をしたりする、あるいは使い走りをするというような、あるいは、また、
老人の身の上相談にもいろいろ乗るというように、相当な知識経験を要する仕事でございますので、今後ひとつこの給与をぜひ引き上げて参りたいというように考えまして、来年度予算におきましても、ぜひこの引き上げを要求したい、かように考えているところでございます。
それから、
老人福祉についての審議会の御質問でございますが、
老人福祉専門の審議会を作ることは、
老人福祉の見地からいえば望ましいことでございますが、何分にもいろいろ審議会が多数に上りまして、これを整理する等の気運もございますので、新たに審議会を設けるということは遺憾ながらできませんでしたので、現在、社会福祉審議会が中央にございますので、中央につきましては、この社会福祉審議会に
老人福祉の分科会を置くということでやっていきたい。それから、地方につきましては、現在、社会福祉審議会がございませんで、
身体障害者につきましての審議会があるだけでございますが、今回、地方に身体障者の審議会を包含した大きな社会福祉審議会というものを置くことにいたしまして、その分科会として、
身体障害者の問題と並んで、
老人福祉につきましても分科会を設けて、その審議会で審議をしていただくというような方法によりまして、中央、地方を通じて、ひとつ審議会の体制を整えていきたい、言いかえますならば、別個の審議会というものは設けることはできませんでしたが、これらの社会福祉審議会に、中央、地方が分科会を置くということで
老人福祉を推進して参りたい、かように考えております。
五番目といたしまして、民生
委員にこの
老人福祉の仕事をさらに過重することは、民生
委員の仕事をますますふやすということになりはせぬか、一体今どのような仕事をしており、また、
老人福祉
委員というようなものを新たに設けてはどうかというような御質問でございますが、現在、民生
委員の仕事といたしましては、
生活保護法の仕事、あるいは
身体障害者福祉法の仕事、精神薄弱者福祉法の仕事、それから、児童
委員といたしましては、児童福祉法の仕事、そのほかにいろいろな証明でありますとか調査でありますとか、いろいろな実は仕事を受け持っており、きわめて重要な、また、複雑な仕事をしているわけでございます。それに
老人福祉の仕事が新たに加わるわけでございますが、実は、地域の実情から見まして、これらと別個に
老人福祉委とというものを設けるといたしましても、やはり大体同じような方がなられるのではあるまいか。むしろこれらの仕事をひとつ重点的にやっていただいて、総合的にやっていただくことがよろしいというように実は考えまして、民生
委員にボランティア活動の面における
老人福祉の仕事をお願いする、こういうように考えた次第でございます。
それから、六番目に、この内容では非常に不十分ではないかというお話でございました。確かに
老人福祉につきまして、この法案は、基礎的な、あるいは理念的なことを掲げましたほかは、大体施設収容、あるいは家庭奉仕員、あるいは
健康診断といったような内容でございますが、今後ひとつこれを手がかり足がかりといたしまして、
老人福祉の仕事をさらに前進さして参りたい。とにかく一歩前進の手がかりになる法案だといいうように考えておるわけでございまして、この法案によってさらに積極的に推進されるというように考えておる次第でございます。
それから、施設に病院を付設すべきではないかという御意見でございまして、確かに
老人につきましては病気の問題が大きな問題でございますので、医療施設を付置できれば最も理想的な望ましい姿であると思います。すべての
老人施設に付置するということも、実際問題としてはなかなかむずかしいかと思いますので、近くの病院等とあらかじめ連絡しておきまして、何か事故がありました場合にはその病院にお願いする。で、現在のいわゆる事務費の建て方では、病院に参りました場合には、入院費用を別に
生活保護なり保険なりでみるという建前をとっておるわけでございますが、来年度以降におきまして、できますれば、施設から病院に入ります場合には、短期間であれば、その医療費は施設のほうでみる。したがって、なおればまた施設に帰ってくるというような方策にいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
それから最後に住宅の問題といたしまして、考人の住宅について、公営住宅のうちで何%かワクを取るべきじゃないかというお話でございますが、
老人福祉を考えます場合に、施設保護も重要でございますが、家庭にあって保護できれば、これが最も望ましい保護、福祉の姿であると、かように考えるのでございまして、
老人向けの住宅がたくさんできますことはきわめて望ましい、かように考えておりますので、建設省ともひとつ十分連絡いたしまして、はたしてワクが取れるかどうか、ぜひ努力したいと思いますが、さらにワクの問題と同時に、たとえば公営住宅のアパートの一階のようなところをひとつ
老人に向けていただく、
老人として住みやすいような形にしていただくというようなことも、ひとつぜひ建設省とさらに推進するように努力して参りたい、かように考えます。