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藤田藤太郎君 私はちょっと基本的なことを、大臣がおいでですから聞いておきたいと思います。
この
法律案による
団体、
災害防止団体というものが、まあ外国の例が、三つ、四つ出ていますけれ
ども、カナダのスタイルと大体同じようなスタイルだと私は理解をいたします。
そこで少し
原則にかえって、私は形式の上では、今
労働省から
説明がありました、
労働省は
災害に対する
監督をやる、そしてこの
団体はそれを
指導−むしろ
災害防止のための促進をする。私は、その形式的な流れについてはわからぬでもないのです。しかし私の懸念するのは、人を雇うという心がまえだと、使用者の心から私は始まると思うのです。この前も少し議論をしたことがあるのですけれ
ども、人を雇うのには、この人が社会人としてりっぱに生活もでき、そういうだけの待遇、
労働条件をしなければ、持たなければ、人を雇う資格がないというところから、労使
関係が始まっているのが、私は近代国家の姿だと思う。日本のように安ければよかろうという格好ですべてだと私は申しませんけれ
ども、そういう
関係で、労使
関係が大筋としては行なわれていく。そこに私はあらゆる面の、資本に対する利潤追求というものが中心になって、
災害がなかなか減らないのだ。だから、こういうPR
団体ができてくるという筋道は、こういう運動を起こさなければいかぬという筋道はわかる。しかしむしろカナダの労使
関係の事態と、日本の労使
関係の事態というものを、どう分析されているか。私はどうも結論から先に言って悪いようでありますけれ
ども、この
事業団体というものが、ここで
労働大臣以下が御
答弁なさるような格好で、最も有効な役割を果たすのだということであったら、
事業者から、そっぽを向かれるという答えになると私は思うのです。そうでない。この
事業者が、
事業団仲が持つ、協会というものが持つというならば、そこには、われわれが懸念するような問題がたくさん出てくるというのが私たちの不安なんです。
たとえば
労働災害に対する
安全衛生の
監督行政をやると、こうおっしゃるわけです。私は、
労働監督官が二千三百人だから、足るとか足らぬとかいう議論をしているわけじゃない。違反行為が起こらないという——
産業、生産の公器をになう経営者が、それに応じての意識があったら、四十万件や五十万件の私は違反行為は出てこないと思う。私はそこに根本の問題があると思うのです。それからもう一つは、そういうことであれば、
労働大臣以下がおっしゃるように、より
効果を上げたいということであれば、私は、
予算上を見ると一億五千万円ずつ出てくるわけでありますけれ
ども、そんならなんなぜこの
団体に最も有効な宣伝、要するに促進
団体として、使用者ばかりでなしに、
労働者だとか学識経験者が入って、より有効な
団体をなぜお作りにならぬか。それが作れないということであれば、そういう議論が進んでくると、何か隠れみのにこの
団体がなるのではないかという不安が出てくるのが私は普通の人情の流れだと、こう思うわけであります。そこらあたりの問題が私は根本だと思う。労災保険から金を出す。しかし労災は、使用者だけが金を出しているのだから、この金を主として使うのだから使用者だけなのだ。私は
災害防止という概念は、そんなものではないと思うのです。むしろ使用者の認識が、私はみんなとは言いませんけれ
ども、改めてもらいたいことは、より
労働力を有効に生産に使って、
経済が
発展していく、国民の生活が
向上していくというところに問題の焦点があるのではないか。そういう立場から、私は、
労働省はなぜこのような
団体をお作りになるときにお
考えをいたされなかったか。
労働省の
監督行政を補強するために作るのだ。それなら、それで流れとしてはりっぱな運営を——要するに、何ですか、
効果を上げるのだという、この筋だけを聞いておったら、そのようでありますけれ
ども、受け入れ態勢はどうなんだという問題になってきたら、私が今申し上げたような議論にならざるを得ないのじゃないかという気がいたすのです。
だから、私は、そういう点を
労働省として、なぜもっと大きく、たとえば生産と消費のバランスをとる、
経済が全体に繁栄していく、それには、せっかくの
労働力というものを、
設備が悪かったり一または、不注意といいましょうか、もう過度の
労働によって
災害が起きたりするようなところの意識を、なぜ変えるという問題もおやりにならないか、そこらあたりが第二点。
第三番目は、私は、今のような状態であるから、二千三百人の
監督官では、どうにもならないという、だからそういう業者、経営者、生
産業者や人を使う方々の意識が高かったら、二千三百人でも
監督官は余るかもしれません。私はそう思う。違反行為が出ない。その中で
安全衛生の
設備を拡大していくというところに、大いに
労働省がおやりになって、そうして、こういう
団体をお作りになって、より促進していくということになれば、幾らかわからぬことでもない。ところが、受け入れ態勢というものに、肝心の基本問題にメスを入れないで、こういう
団体をお作りになったら、結局答えは私が前提に申し上げましたように、これがシビアーにあなた方がおっしゃるとおりにやるなら、これは
事業者からそっぽを向かれる
団体になります。適当なことを
事業者が入ってやるようなことになればこれは隠れみのになる心配がある。そこらあたりが、私たちの心配になってきておるところです。だから、そこらあたりの概念を、私も先日から
労働省の方々から、いろいろと
説明を受けて、方向だけはわかりましたから、その根本の問題をひとつ大臣からお聞かせを願いたいと思うんです。そうでないと、前へ進まないんです。