○阿
具根登君 それでわかりました。おっしゃったように、
けい肺はなおらないのです。今の医学ではなおらないのです。ただ、体力をつけ、これを進行させないだけで、これは非常な努力をされておる。しかし、一ぺんこの珪酸粉塵が吸い込まれて、そして肺の中で凝結したやつは取り除くことはできないのです。また、四、五年前までは手術することは不可能でしたが、ここで基準局長は、手術したら死んでしまうとまでいわれたんだけれ
ども、医学の進歩で手術もできるようになりましたが、まあこれは御
承知のことだからいいますまい。しかし、
けい肺そのものはなおらないのですね。そういう悲惨なものが今日再三再四陳情されておる。その中の第一点は、今まで議論して参りましたが、
平均賃金の
算定、これは今、
大野部長は五年なら五年、私
どものやったそのまま賛成はできないけれ
ども、何かの方法を
考えて、適当ないいところで
算定しなければならんだろう、こういうことをおっしゃっておりますし、
大臣も聞いておりますから、これはまた
あとで御相談申し上げるといたしまして、かりにそうしても、大
企業と
中小企業、零細
企業、こういうところの
賃金の差というものはおおうべく危ないのです。まあ労働省の
資料でも非常に少ないのですけれ
ども、十五万円以下の人が四〇%おりますね。
年間十五万円以下の人が四〇%おる。そういうことになって参りますと、どこかにここに最低の線を引かなければならぬ、こう思うのですよ。これは人間、幸不幸はありますが、大
企業に行った人と、あるいは中小、零細、そういうところで同じような仕事をして、同じような
病気になって、同じ
病院におって、一方は一万五千円なら一万五千円、二万円なら二万円の金をもらっておって、一方は五千円である、こういうことは一体いいのかどうか。ただ
労災法の規定する姿によって今のままでほうっておいていいだろうかということを
考えなければならぬと思うのです。そうしますと、どこかに線を引かにゃいかぬ。どこかに線を引くというのはどこか、労働省の
考え方は十五万円以上としてありますから、十五万円以上と私は常識的に
考えますね。十五万円以下と十五万円以上と書いておる。そうして十五万円以上には
援護金も出ないのですからね。そうすると、一応十五万円にして一万二千円ですか、労働省の
考え方がそうかどうか知りませんけれ
ども、この
資料から見て
考えますとそうだ。そうすると、最低の人も一万二千円くらいの月々の収入があるようにしてやらねばいかぬじゃないか、こういうことになってくる。これは多い少ないは僕はまた意見はありますよ。ただ、この
資料で常識的に
考えておる今の問題で私はいっておる。そうすると、一応四〇%、しかも、最低の人は〇・九%、だとするなら、その
金額はきわめて微々たるものだ、一万二千円にしてやってもわずかなんですね、そうなってくると思うのです。十五万円以下を全部やっても三百九十八名です、
せき損が。そうすると、
じん肺が千九百三十四名、こうなるわけです。そうすると、これだって全部やっても、十五万円以下の人を全部あげても二千数百名です。二千四、五百名です。そうすると、
金額から見てもわあわあいうものじゃないと私は思うのです。そうしますと、これは
金額じゃなくて、他の法案とか、あるいは社会保障とか何とかの問題にからんでくると、こうおっしゃると思うし、私もそれはわかります。わかりますけれ
ども、一番悲惨な人で、そう
金額もかからないという人に最低の線を引いてやるということがまず第一だと思うのです。それから矛盾の出てくるやつは直していかなければ、矛盾があるから直しませんということでは、いつまでもこの
人たちは泣かなければならぬ。
金額じゃありませんと、こうなってくるのですね。この
考え方ほどうでしょう。