○山下春江君 六十例という、私これは数を争うわけじゃありません。一人でもいけないのでありますが、六十例というのは非常に少ない数で、私の
承知しております人から寄こされた手紙でも、これはちょっと公開するわけに参りませんが、これは自分の孫にこういう者ができたということは、どうぞ厳に秘密にしてくれと書いてありますので、名前は申し上げませんが、この手紙によりますと、これはもっともしろうとが、そういう人はないかないかと探したのでございますから、その
先生のところに正式に通報されたものとはその性質が違うと思いますが、少なくとも、北海道だけにでも約千人ありはしないかと、こう思うのです。そういうことでございまして、私は数の多い少ないを言うのではなくて、先ほど
局長からの推移の御報告はよくわかりましたが、そこで、問題が起こってきますのは、昨年の九月から一切の製造をやめさしたし、それで市販されておったものも引き上げたということでございますが、きょうはたまたま
薬事法の一部改正なども出ておりまして、これは非常に大切な大きな法案だと思うのですが、いかに
薬事法を改正いたしまして薬剤師の方々の素質を引き上げる、そして適正な配置をし、そして医師の指示によって適正な、それこそ的確な調剤をして投薬するとしましても、厚生省が販売を許可してしまいますと、それはなかなか一人々々の薬剤師さんは、その薬を検討するだけの研究室なんてだれも持っていないのです。そこで、今動物実験の結果をつけて出せよと言ってあると、こうおっしゃるのですけれども、それは私は厚生省の態度としては、事いやしくも
日本において売られる薬というのは、厚生省薬務局が許可したというものは、それは国民はだまって目つぶしで安心して飲むのです。それほど権威のあるものなんです。権威がなければいけないのです。けれども、今のお話を聞きますと、こういう問題がやんやん出てきて、そしていろいろ奇形児が生まれた。その
人たちがそんなもの飲まなきゃ一番よかったんですが、厚生省が許可しているということで、眠られない妊婦、おそらくこれから世の中がだんだんと、何といいましょうか、ノイローゼぎみの人がふえてくる社会情勢下にあっては、いろいろな騒音とか、家庭の建築の様式とか、いろいろなところから、私はやっぱり飲むなと言っても睡眠薬を飲むという人がふえるんではないかと思うときに、九月に厳重にこれはやめさしたと言われますけれども、そこまで許可したそのことによって起こってきた。何人かわかりません、私は、
日本全国で少なくとも数千と思いますが、それはおどかしで言うんでも何でもない。そういうふうに推計される向きがございますけれども、その生まれてしまった者に対しては、何としてもこれは厚生省が責任を持ってもらわないとどうにもならない。ほかにこういうことに責任を持つどんなクッションを置いてみても、これはやっぱり厚生省の責任だと思うのですが、それにその責任を果たせる
状況下に厚生省がなかったということも、ひとつここでこういう問題が起こったので
考えなきゃいけないので、アメリカの衛生
関係のケルシーさんというのは女史ですかどうですか、その方が非常に用心深い研究をされた結果、アメリカではその災いを未然に防ぐことができたということを
考えてみましても、こういう薬を厚生省が、ただ何か実験の裏づけが少しくっついてたとしましても、薬をお作りになります
会社では、それはもう八割が営利ということが頭にあるのでありますから、そのデータをもって厚生省が許したということはどうしてもいけないですね。これはいけないといって
局長をいじめてみたってしょうがないですけれども、これは私はおそるべきことだと思います。ですから、この
委員会でこういうことをお尋ねするということは、私は、
委員会が
協力をして、
日本の薬学、医学というものが世界にそう劣っていないとわれわれは今日まで信じてきたのでありますが、ならば、厚生省がどんなお金をかけても、こういう災いを再び起こさないように、薬務局の中でもう
一つあなた方が国民に責任の持てる、それは厚生省が許可したということ自体で何も疑わずに飲むのですから、それをまた資格のある薬剤師さんが、これは厚生省の許可した薬ですよというのであれば、何らの疑いを持つだけの知識を持たないのです、
一般のこれを飲む
人たちは。ですから、私は、この問題を解決するために
委員会の御
協力を得て、厚生省が、こういうものに対して、もう国立のあらゆる
——今薬事審議会で答申したとおっしゃるのですけれども、そんなことで安心するからいけないのです。薬事審議会で答申して、その答申に基づいてというようなこと自体は、
ほんとうにもう私はそれはそういう組織があるから御利用になってもいいんですけれども、それではいけないのであって、少なくとも、今後
外国に
日本の薬を売り出すというようなことも、私は、
日本独特のすばらしい薬もあると思うのですから、将来やはり薬ももちろん
自由化されるでありましょうから、そういう場合に
日本独特の、
日本でなければ得られないような原料によって作りましたすばらしい薬などというものは、世界のどこにも大きな顔をして私は輸出すべきだと思います。その輸出すべき薬のもとを取り締まっている厚生省には試験室も何もない。その業者
たちが何かちょっと動物実験か何かの裏づけをつけてくれば、これでよかろうといって許可するところであります。そんなものは世界の人はおっかながって買いません。だから、そういうことをあなたはこの問題と同時にお
考えになったかどうか、そういうことに対してはどうなさろうとするのか。