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藤田藤太郎君 私は、
参考までに、少し
賃金の
実態について申し上げておきたいと思うのです。私は、
労働省になぜそういうことを言うかというと、外国の
統計というものはなかなか入りにくい。今入ってくるのは一九五九年か六〇年、最も早いので六一年というのはまれなんです。今
世界的に
生産性と
賃金と人権問題ですね、それで
経済の生産と消費のバランスの問題、
国民購買力の問題でございますが、これが
経済の発展の
基礎だ、どこでも論じられるのはこれが中心です。これは
貿易にもつながって、そういう
格好のものが一番今
日本で
議論し、
日本の
経済発展のために必要な
議論だと思う。また、それを外国がやっておるように積み上げていかなければならぬ重要な要件だと私は思う。それは
雇用の問題と、それから
賃金の問題だと私は思っている。よく
議論がされるわけですけれ
ども、たとえば一、二の例を申し上げておきますけれ
ども、実質
賃金を、
経済企画庁の
調査によっても、戦前を一〇〇として、戦後の実質
賃金はどんなに上がってきたかという例を見ても、
日本が一二五、ドイツが一四九、それからイギリスが一七五、アメリカが一八〇という工合に
統計が出ております。それから現在の実質
賃金は、
日本を一にしたら、イタリアは低い、
日本並みだとよくいわれるけれ
ども、一・三から一・五、イギリスが三・五という工合に、たとえば婦人の
賃金と男子の
賃金を比べてみても、
日本は男子の
賃金を一〇〇にして、女子の
賃金は四三です。男子一〇〇にして女子八〇以下のところはどこの国もありません。こういう問題があります。
それから、また、その付加価値の問題についてよく
議論されるけれ
ども、付加価値の問題にいたしましても、一人当たりの付加価値は、イギリス、ドイツ、フランスあたりが二千四百ドルから二千二百ドルです。
日本は二千百ドルという水準まできている。それでも
賃金は非常に安いということであって、その付加価値生産の中の配分率を見ますと、外国は大体五六、七で、
日本は三三です。それではこういうものをどう見ていくか、それからもう一つの問題を見てみて、福利厚生に金をたくさん注ぎ込んでいると言われますけれ
ども、
日本は、
賃金を一〇〇にして、福利厚生費に一一・八、それから社会保険費に六・八なんです。それから、この点外国はどれくらいやっておるかというと、例が出ておりますけれ
ども、フランスは前段が三〇・八、後段が二六・三、たとえばイタリアは四二・四に三六・二です。ユーゴは特別多いのですけれ
ども、いずれにいたしましても、
日本は高いクラスどころか、うんと低いクラスにある。それでも
日本は福利厚生にたくさんの金を使っていると言われますけれ
ども、これをいろいろ私はこういう工合に取り上げてきましても、非常にたくさん
日本の
賃金については問題を含んでいる。
経済発展の
基礎条件としても問題を含んでいると私は思う。やはりこういうものをつぶさに
賃金部はお調べになって、
資料として、的確にお出しになる。ただ机の上で向こうから
資料がくるのを寄せておるというだけでなく、外地に人を派遣されて、
実態をよく
調査して、
労働省にこうせよということは私は言っておりませんけれ
ども、
世界各国の
賃金というものは、どういうクラスにあるかということだけははっきりとやってもらいたい。そういうのを
調査するために
調査部ができたと私は思っている。
それから、最低
賃金の問題にしてもそうです。だから、ここに四千百二十二万円のお金を出して
調査されますけれ
ども、主として運営費なんです。ことしは二百五十万人の最低
賃金法適用をやろうといったって、今の最低
賃金法はILOの二十六号条約に違反していないということをいいますけれ
ども、今の
日本の最低
賃金法を見てみて、二十六号条約に違反しているとかしていないとかというこまかい
議論をするよりも先に、もっと
労使が対等の
立場でこの
賃金と取り組んで、最低
賃金法をどうこしらえていくかという、すなおな形のところに、
世界並みのところに
法律は持っていかなければなりません。業者間協定を中心にしたようなことも、ただ存続しているという
格好でなしに、やはり踏み切って改正していく、ILOの常任
理事国でありますから、そういう点は大胆に批准して、ILOとの
関係をもっと密接にして、そうして最低
賃金の問題も、現地でお調べになられたら、私は、非常な最近までの
資料を求められることだと思う。これな
ども、やはり国内の
経済の発展のための大きな課題としてお調べになる、それで
資料をお出しになるということが、これが私は
賃金部の役割ではないか。私は、きょうは問題提起に終わりますけれ
ども、こういう
格好でとにかく
賃金部ができて、
賃金問題の
調査検討及び
賃金体系等の改善、
援助ということで六百四万円しか金がないということでは、私は、意義は半減も四分の一減もしてしまった。せっかくの
基準局のお考えになったことが、全然これで抹殺されたという感じを受けているわけでありますから、そこはぜひひとつ今後の構想を次の
委員会にでもお出しを
願いたいと私は思うんです。どうですか。