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政府委員(黒木利克君) 実は、御承知のように、
昭和三十二年以来、
保育単価制度を採用いたしておりますが、三十二年を一〇〇といたしまして、三十八年まで、この
保育の内容と申しますか、つまり
保母さんの給与なり、
子供の
保育費なり、その他
事務費、庁費、そういうものを一切含めまして、その二倍になっておるのでございます。
数字を御参考に申し上げておきますと、
昭和三十二年に三才児以上の
保育単価が八百九十六円八十九銭、これが月の単価であります。それが三十八年には千九百三円二十九銭——二一二%になっております。それから三才未満児、これが二千十四円三十五銭であったものが、
昭和三十八年には三千九百二十三円七十六銭、一九五%になっているわけであります。この間、
保育単価は何ら手を加えていない。つまり父兄の負担には影響ないようにしておったのでありますが、たまたま昨年、
地方税法、それから所得税
関係の
法律の
改正がございまして、免税点が引き上がったわけでございます。一例で申しますと、四人世帯の場合に、これは私のほうでC1階層と言っておりますが、ようやく
地方税を納める
人たち、この
人たちから
保育料をとっているわけなんですが、その
人たちの
地方税の免税点が年額十九万四千六百六十八円であったものが、昨年の税制の
改正によりまして、免税点が一躍二十五万六百六十七円に引き上げられたわけでございます。したがいまして、今まで二十四万円の所得がありましたものは、C2と申しますか、の階層と
考えられておりましたものが、今度はもう免税点になって、B階層になってしまう。B階層は、御承知のよう、
保育料も非常に低額なんでありますが、しかも、今回このB階層を、低所得
対策を重点的に取り上げるというので、
保育料を無料にすることを認めていただいたのでございます。したがいまして、従来C1なりC2階層の
人たちが
相当部分B階層になってしまって、
保育料は無料になるというようなことに相なってくるわけであります。こういうことから
保育料の問題というものの再
検討を迫られたのでございます。つまりこういうようなことをきまりをつけませんというと、例の
保母さんの処遇の
改善なり、あるいは
児童の処遇の
改善なり
事務費なり、あるいは
保育所の増設費なり建築費、こういうものにみなからんできまして、やはり合理化すべきものは合理化しなければならぬというような必要がございまして、この
保育料の徴収につきまして合理化の線を打ち出さざるを得なくなった。これは三十二年以来、低所得の所得も少しは
改善いたしましたでしょうし、かつ、先ほど申しましたように、二倍に実際の
費用はかかっているわけですから、
保母さんの給与を上げ、
子供の処遇をよくするために、父兄にもある程度
協力していただこう。中には、
政務次官のおっしゃったように、町村等におきまして幼稚園的な働きをせざるを得ない
保育所もございまして、国の負担の八割を堅持するというようなこともだんだんやはりむずかしくなるといったような事情もございました。しかし、こういう国の負担の八割というようなものをやめますというと、まだ
保育所のない町村が千町村ございます。こういうところへの
保育所の普及というものがさらに阻害されるということになりまして、こういう不合理な面をできるだけ是正する必要があるということに相なったのでございます。
そこで、
一つは、例の世帯半減の原則と申しますか、一軒の世帯から二人
子供が
保育園に通っている場合にかかる
費用は同じでございます。それを半額に割り引くというようなこともあまり合理性はないわけでございます。それから、もう
一つは、たとえば役場の雇用人の
人たちで、これは、住民税を納めている、あるいは
地方税を納めている、こういうような
人たちと比べて、地主さんで固定資産税を多額に納めている人、しかし、いろいろ供出農家で免税の特典があるというような
家庭の
子供たちと、こういう勤労所得の
子供たちの
保育料の問題で非常に不均衡がございました。そこで、できるだけ合理的にしようということで、その
一つとして実は世帯半減の原則というものを取り上げたのでございます。そうしてB階層を先ほど申し上げましたように無料にする。それからD階層と申しまして、所得税を納めておるものは、原則として全額徴収するわけでございますが、しかし、D階層の中にも、いわゆる共働きというような
人たちで、月の所得が十万円の人もおれば、あるいは月の所得が三、四万円の
人たちもおる。そこで、それにやはりもう
一つランクを設けて、
保育料のひとつ減額をやるような階層も設けたいということで、これも認めてもらいまして、D1階層というものを認めてもらいました。これは大体必要な
保育料の二割引程度でこの
保育料をきめる。
それから、もう
一つは、三才未満児につきましては、先ほど申し上げましたように、約四千円月にかかるわけでございます。しかし、月に四千円の支出というのは
相当酷であろうというので、実は限度を二千円程度にしてもらいまして、四千円かかっても、B階層から二千円程度しかとらないというような、こういうような
保育料の合理化の線を打ち出したのであります。これによって大体五億八千万円程度の財源と申しますか、の措置ができまして、これを
児童局のいろいろな
予算の
増額の
費用に幾分
協力するという
意味で、父兄において
協力してもらうという
意味で、
犠牲を払っていただくというようなことにいたしたような次第であります。したがいまして、そういう合理化の線で、世帯半減の問題を御理解願えれば幸いであります。