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政府委員(村上茂利君) ただいまの御
質問に対しまして、まず第一に、職業訓練の分野におきまして、
政府なり地方公共
団体がどのような役割を持ち、そして、その役割を果たすために予算的にどう考えておるかという点をまず
お答えさせていただきたいと思います。すでに先生御承知のように、昨年二月の
労働省の
調査によりましても、技能
労働者の不足は約百二十六万という数字が出ておるわけでございます。ところで、従来、職業訓練を担当する分野でどのような訓練を行なっておるかということを申し上げますと、御承知のように、公共職業訓練がその
一つであり、いま
一つの大きな柱は
事業内訓練であるわけでございます。
事業内訓練は、
昭和三十六年度の実績を見ますと、約七万二千人
程度の認定職業訓練を
実施しております。しかしながら、各会社、工場におきまして、それぞれの必要性に基づきまして、それぞれ独自の訓練を行なっているわけでございまして、たとえば初任者訓練であるとか、再訓練であるとか、追加訓練をやっておるわけであります。実はそれがすこぶる膨大な数に達しておるはずでございますけれ
ども、
労働省としましては、
労働大臣が認可いたします認定職業訓練だけを把握しておりまして、そのような任意に
実施しております
事業内訓練につきましては、その数を把握していないわけでございます。そこで、百二十六万の技能
労働者が不足しておるのに、公共職業訓練で、たとえば来年度の予算で考えております数字は約七万六千でありますが、その七万六千と、それから認定職業訓練として
事業内で行なっておりますものの数が約七万二、三千、両者合わせても十五万に達しないじゃないか、それじゃはなはだ不足じゃないかという御
指摘をいただくわけでありますが、いわばそれは正規に定型化された訓練が十五、六万と、こういうことでございまして、
事業内で任意に行なっております数は相当に達しておるわけでございます。それから別に、御承知のような工業高等学校で訓練をやっておるわけでございます。この点につきましては、私
ども技能
労働者の訓練につきましては、それを除外いたしております。なぜかと申しますと、大学の工学部とか理工学部、あるいは工業高校などをエンジニアのカテゴリーに入れまして、いわゆる半熟練工の技能者というワクの中に入れて考えておりおりません。これは所得倍増計画を三十五年に策定いたしました際に、一応所得倍増計画に見合ったところの職業訓練長期計画というものを考えてみようじゃないかということで推算をいたしまして、
昭和四十五年度までに技能
労働者がどれくらい必要であるかという推定をいたしまして長期の計画を立てたわけでございます。そうして
昭和三十五年度までに熟練工を六十一万人、半熟練工を九十四万人、合わせて百五十五万人を訓練する。それ以外に、すでに働いております中堅技能工に対します再訓練を百三十九万人について
実施をする。それから、職長に対しまして、監督者訓練を四十二万人について
実施をするという計画を三十五年に作りまして、その長期見通しのもとに訓練を進めておるわけでございます。で、ただいま申しました熟練工六十一万人、これを
事業内訓練及び公共職業訓練によって
実施しょう、また、半熟練工の九十四万人も、同様に公共訓練等によって訓練しようというものであります。で、これは
事業内で任意に
実施する訓練じゃございませんので、職業訓練法に基づいて、定型化された訓練を
実施しようとする計画でございます。その長期計画のもとに、できるだけ計画的に職業訓練を拡大していきたい、かように考えておりますわけでございまして、しからば三十八年度においてはどうかと申しますと、公共職業訓練におきましては、訓練人員を七万六千六百九十人、その内訳は、転職訓練として三万一千三百二十五人、それから一般の熟練工養成のための養成訓練としては四万三千八百六十五名の訓練定員を予定いたしております。三十八年度におきましては、それ以外に施設拡大をいたしまして、約一万七千人
程度の訓練を三十九年度に開始できますように、三十八年度中に施設を建設いたしたい。その建設費を見込んでいるわけでございます。そのような
関係で、予算規模といたしましては、三十七年度におきましては、職業訓練の予算が三十九億三千万円でございましたが、三十八年度におきましては、六十二億四千万円、かなりの増額をいたして、六〇%以上の予算増をみているわけでありますが、これをもってしてもまだ不十分ではないかという御
指摘をいろいろいただいているわけでございます。まことにわが国の産業界の現状から見ますれば、まだまだ拡大の必要があると存じます。ただ、本年度増額いたしました予算を消化し、そうして訓練に必要な指導員を十分に確保して、本格的な訓練を
実施いたしますためには、そういった指導員の確保、その他いろいろの
条件がございまするので、私
どもとしましては、極力この訓練規模の拡大をはかっているところでございますけれ
ども、そのような諸
条件とにらみ合わせまして、三十八年度におきましては、ただいま申しました六十二億という予算の規模で準備を進めていきたい、かように考えている次第でございます。