○
政府委員(
桧垣徳太郎君)
長雨等による農林水産物
関係の
被害につきましては、ただいま御指摘のように、六月一日現在の
調査を基礎にいたしまして、さらにその後
被害が進行いたしましたので、六月十日現在の
現地調査による統計的手法による修正を加えたものをまとめまして、すでに発表をいたしました。また、当
委員会へも私の記憶では提出をいたしておるつもりでございますが、もう提出をして差しつかえない
状態でございます。なお、その後も私の感じでは、西のほうでは
野菜等についてはまだ
被害が進行しておるということも考えられますし、それから東海以東については、その後の
被害も進んでおると思われますので、六月二十日現在の
被害調査を始めております。これはもう大体今月末ごろまでには多分その集計ができると思いますが、だんだんと続いております気象の異常現象でございますので、いつまでも待って最後の数字で仕事をするというわけにも参りませんので、大体の金額は、私のほうで
長雨関係で把握しました
農作物の
被害額は七百二十六億という大きな数字になっておりますが、これを現時点における一応の
災害被害額の基準ということに考えまして、
措置をして参りたいというふうに思っておるのでございます。
降
ひょう、
突風による関東三県の
被害額につきましても、すでに御
報告を申し上げたつもりでおるのでございますが、降
ひょう突風による
農作物の
被害額が約十九億円、そのほかに先ほど御
報告の中にありました五月二十六日の降霜の
被害金額が約三億ございまして、合わせて二十二億の
農作物被害をわれわれは知ったのでございます。そこで、この
埼玉、
栃木、
群馬三県の降
ひょう及び
突風、それから降霜による
農作物の
被害のためには、この数字は六月の十日現在で集計が終わりまして、六月十八日の閣議で
天災融資法の
指定をいたしまして、融資の
措置をとることにいたしたのであります。そのうち
群馬と
埼玉県は、
特別被害地域に
指定し得る県ということで、政令で定めてございます。
栃木は特別
指定被害地域として
指定するだけの
条件がございませんので、これは
普通被害地域ということに相なると思います。そういうことで、あとそれ以前にも、技術指導
対策でございますとか、あるいはつなぎ融資に関する
措置でございますとか、そういう緊急、応急の
対策はそれぞれとって参ったのでございますが、続いて自作農
資金の
災害のための増ワクを
関係県にする必要がございますので、これは
天災融資法による
資金の契約
状況ともにらみ合わす必要がございますので、
農林省の中の農地局のほうで算定を急いでおるところでございます。そのほかの問題といたしましては、まだ具体的に具体化いたしておりませんが、
蔬菜等が相当にやられておるわけでございますので、代作用の
種子の
購入に関して何らか財政的な援助をしたいということで、大蔵省と折衝をいたしておりますが、まだ結論に達しておりません。そのほか、
長雨と共通の問題もございますので、今
長雨対策として申し上げるものが、
突風降
ひょう対策とダブることになりますので、
長雨に対します
農林省の考え方なり、あるいは現にとっております
措置について簡単に御説明を申し上げたいと思います。
長雨関係の
対策としまして、まず行政的な
措置でできることは、
農林省としましては、できる限り早くやる、迅速にやるということを旨として進めておるのであります。改正でありますとか、あるいは修正でございますとかいうような
措置を要するものもないわけではありませんが、そんな問題を待っておりましては時期を失するおそれがありますので、とにかくできることは順次迅速にやるという考え方で進めておりますが、まず技術の指導
対策として、これは
地方農政局、知事あてに六月の初旬に通達を出して指導をいたしております。また、県では改良普及組織等を通じて技術上種々の問題をやっておりますが、今日では、先ほ
どもちょっとお話が出ましたように、あとの
稲作の
生産の
確保という問題に技術指導の重点が移っておるのであります。
それから、第二の問題は、
種子の
確保の問題でございまして、今回の
長雨地帯ではおそらく
種子はほとんどとれないであろうということでございますので、来年の再
生産のための
種子の
確保という問題がなかなか困難な問題になるわけでございます。そこで考え方としては、県内で比較的排水等の
条件がよくて等内に入るような麦がとれたというような場合には、できる限り適品種を県内にとどめる必要がありますから、県内調整をさせるように指導をいたしております。そういたしましても、おそらく、
中国、四国、九州等では県内で種の調整がつくところはないと思います。そこで、
地方農政局単位に需要と供給の
関係を調べまして、不足量の把握を今
調査しておるところでございます。ブロック間の調整ができないものは、農林本省において調整をするという基本的な考え方で、今そういう数字の取りまとめをやらせております。東海、関東では、種用の麦もとれないことはなかろうと思っておりますが、ただ心配なのは、西のほうの麦と東のほうの麦では品種が違うという問題がございますので、東のものを西に持っていけないというようなことも考えられるのであります。そこで、現在政府が持っております古麦——三十七年産麦を種として利用できないかということで、発芽試験をずっとやっておりまして、発芽の成績のいいものは、これを仕分けをいたしまして、種用として秋まで保存をいたしておいて、古麦によって
種子をまかなうということを考えておる。現在までの発芽試験では、かなり成績がいいようでございますので、三十七年産麦を種に使うということが可能であるというふうに考えております。
次は壊滅的な麦の
被害がございますために、
農家自身の飯用の麦がないという事態になっておりますので、そういう
農家のための飯用麦の
対策を考える必要があるわけでありますが、これについては、精麦なり、あるいは
小麦粉の製品にして、それを工場出し値で安く
農家へ届くように
系統で流す、
系統で扱うという
あっせん方式をとる場合と、それから
現地の事情によりましては、政府手持ちの麦を原麦のまま払い下げてほしい、またそうすることのほうが合理的だというようなところにつきましては、
系統の農業団体等に原麦払い下げも考慮をするということを通達をして、
食糧事務所等でそれらの仕事をさせております。
それから第四点は、
飼料が麦の
減収のためにやはり不足をしてくるということに相なりますので、今
地方農政局長に指示をいたしまして、各県の
飼料の不足
状態の
調査をいたさせておりますが、現在政府の手持ちの輸入ふすまが相当量ございまして、保有をいたしておりますし、またえさ用の
小麦も輸入したものがございまして、いわゆるふすまの専管工場、あるいは増産工場という——粉をとるよりも、むしろふすまをとるための麦というものがございますので、それを被災地に対して優先的に振り向けるということについて、
関係団体が扱うわけでございますので、
関係団体に指示をいたしております。全体としてえさについては、現時点において、非常に不足をして、あるいはそのためにえさの価格が上がっておるというふうな事情はないようでございますが、将来にわたってこの問題が起こって参りますが、早目に手を打ってございますので、えさの不足のために
農家が因るということはまずなかろうというふうに考えております。
それから第五番目は、
等外麦に対する
措置でございまして、先ほどそれぞれ御
報告にもありましたように、なかなか難問でありまして、等外でも食用に適する等外上麦については、無制限に
食糧庁で買い入れをするという通達を五月の下旬にいたしておりますが、
等外下麦というのは、これは食用不適の麦であるということでございますから、いろいろ
政府買い入れの
要望もございますが、
農林省としては、
食糧管理法自身は
食糧の買い入れの権限を与えた法律でございますから、法律的にも
等外下麦の賢い入れをすることはできないということで、
飼料用として可能な等外下交があります場合には、それらの仕分け等には
食糧事務所の検査員等に協力させて、えさ用に適するという下交の仕分け等をさせる。そして、その現物は
系統農協の共販活動によって販売
あっせんをする。それについては、
食糧事務所なり、あるいは都道府県なり、
農林省なりも指導し協力をするということにいたしまして、これも通達をいたしておるのであります。なお、私
どもの見方では、どうも
等外下麦でえさになるものはそれほどないのではないか、ことしの赤カビの発生
状況から見ると、えさにもならないというふうなものが大
部分ではないかというふうに思われるのでございます。そういうものにつきましては、これは経済的利用価値のないものということで、
農業共済制度の評価にあたっては
減収とみなして
措置をするというふうに指導をいたしております。
それから、これは順序がちょっと狂って参りますが、自作農
資金のワクの拡大は、先ほど
ひょう害、
突風の
災害のところで申し上げたように、
長雨につきましても考えておりますが、班点三十八年度予算の場合に、
自作農維持資金の
災害ワクとしてとったものの残りは約二十億円しかないわけでございます。で、これだけ大きい
災害が出て参りますと、この
自作農維持資金の本来のワクでは足りないだろうということでございますが、
災害の場合本予想いたしまして、農林漁業金融公庫の予備金が三十億円組んでございますので、これは
財政当局と相談しなければいかぬ問題でございますが、予備金の流用等によりまして、所要の額が算定されました場合には、その所要額まではワクを拡大をして
資金需要にこたえるようにいたしたい。なお、さらに
災害が進みまして、この予備金ワクでも足りないというような事態になりますれば、公庫の全体の
資金計画の中でおのずから緩急の順序というものがありますので、できる限り必要な
自作農維持資金のワクだけは
確保するように
措置をいたしたいというふうに思っております。
それから
共済金の仮渡し、これは降
ひょう、
突風、
長雨、いずれも
共済金の仮渡しを通達をいたしておりまして、国の特別会計からの連合会に対する
概算払いも、県の連合会から請求がございますれば、いつでも
概算払いには応じるという態度で待機をいたしております。
それから、先ほ
ども申し上げましたが、つなぎ融資の問題については、農林中金に連絡をいたしまして、六月十二日に農林中金から
関係金融機関に通達が出ております。
それから、再
生産のための
助成措置で有効な方策については考えていきたいと思っておるのでありますが、まず今回の
災害の事情から見まして、
種子の
確保なりあるいは輸送なりということには特別な経費がかかるようになると思われます。そこで、これらの横手の
確保等については、何らか財政的な助成をいたしたいということで、大蔵省に折衝するつもりでおります。
それから最後に、法令の制定なり改正を要する問題で
農林省としてやりたいと思っておりますのは、一つは、先ほどの地元の
要望にございました、米の予約
代金の前払いを早期にやるという問題であります。元来は、米の予約
代金の前払いは米価がきまってからやるというのが建前でございますが、本年は、豪雪害以来、相当広い範囲に
災害が起こりまして、
農家の表作を前にしての
資金需要等も、旺盛といいますか、非常に深刻な問題があるようでございますので、これを早く——米価
決定以前といえ
ども、予約を受けつけて、そのうちの概算金を払うという
措置をとりたいということで、本日の閣議で、米の予約をすることができるという、
食糧管理法第三条に基づく政令を
決定いたしました。また、予約をした場合の概算金を払うことができるという管理法の例外規定にあります政令を
決定をいたしました。それで、予約
代金前払い金額につきましては、一般的には行当たり二千円を前払いする、
長雨のために
災害を受けて
天災融資法の
適用を受ける
地域については、さらに行当たり五百円を
増額するという
措置をとるという点について、閣議で了解が得られたというふうに、大臣からさっき聞いたばかりであります。これは地元の
要望にこたえ得たと存じます。
それから、
天災融資法に基づきます低利率の
適用に関します
措置につきましては、先ほどお答えを申し上げたことで尽きておると思いますので、項目としてだけあげまして、説明は省略いたします。
以上、
農林省がこのためにとっております
措置は大体以上のようであります。
ただ、最後に私つけ加えて御
報告申し上げたいと思いますのは、何しろ今年の気象はいろいろな面で異常な形が出ておりまし三長期予報としても決して安心すべきものではないということで、
農林省にも
災害対策本部を設置をいたしまして、
関係局長を部員にする体制をとったのでありますが、特にことしの特殊性にかんがみまして、将来の
稲作等の技術
対策をあらかじめ研究し、時期を失することのないような指導をいたしたいということで、技術
対策のための特別
委員会を設けまして、技術者である職員の知恵を出し合って、長期予報に関する見通しを
農林省一本で統一的に把握をいたしますと同時に、それに即応する技術
対策をあらかじめ検討しておきたいということを考えておるのであります。
以上でございます。