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武内五郎君 私は、主として
地すべり対策について、それぞれ
関係当局に質問したいのであります。
実は私は、この
地すべりの問題につきまして、
雪害の
対策の一環として重要に考えておったのであります。ことに
積雪地帯において、
融雪期に入りますると、
地すべりの
発生が非常に多くなる。このことについては、今まで
雪害の問題を審議する際に、
融雪期における
災害の頻発のおそれのあることを、しばしば当
委員会においても取り上げて、問題になっておったはずでありますが、雪が積もっておりまする間は、
地表の変化というようなものは、容易に把握できない。また、
人家の破損されておるところ、その他
道路、
護岸等の決壊されておる
個所も、雪におおわれまして容易に把握できない
実情にあるのでありますが、それが、雪が解け出しますると、
護岸の
決壊個所、
道路の
決壊個所、
人家の破損されている
個所等が露呈されて参ります。ことに、
融雪期における
災害の最もおそろしい、そうして最も急激に参りまするのは、何といっても
地すべりであります。私は、この問題を、当
委員会において御審議を、皆さんにお願い申し上げたいと考えておったのでありまするが、今、私は、過去十三
年間において
地すべりの
発生して参りました
年度並びに
年間の各
月別の
地すべり発生状況を調べてみますると、やはり何といっても、雪の多い年が
地すべりの
発生度が激しいのであります。
たとえば、
昭和二十四年以降三十六年までの間を調べてみましても、二十六年、二十八年、三十一年、三十二年、三十三年、三十六年というような、
積雪量の非常に多かった年は、
地すべり発生も非常に多い。ことに三十六年のような近年まれであった
豪雪の年には前年等に例のないほど
発生しておるのであります。ことに、これが、
月別に見ますると、
融雪期に
発生するのが、実に五五%、しかもこれが三月、四月になって参りますると、四〇%になるのであります。
年間発生の四〇%は、三月、四月に
発生しておる。こういうふうに過去の
年度の数字を調べてみても、私は、雪と
地すべりというものが、きわめて密接な
関係にあることを知らねばならないのじゃないかと考えるわけです。ことに、今年の三月十六日に
発生して
社会の人心をそばだてた、あの
新潟県
西頸城郡能生町
小泊地区における
地すべりの際には、雪解けの最中に、三月の十五日前にもう雨が降っておる。雨が降って、
融雪を促進させると同時に、その雨の水が
地表にしみ込んで、
地表と岩盤との離脱が行なわれ、あのような大きな
災害が起きたものだと考える。これは過去しばしば行なわれた
事態でありまするが、たとえば十ミリ
程度の雨が五日間もかりに続いて降ったとすれば、
地すべり地帯においてはもう
地すべりとなって起きてくるということは、しばしば私
どもが耳にしておったところであります。しかも、十ミリの雨が降るということは、雪が平均一日四センチ解けてそれがじくじくと
地表の中にしみ込んでいくのと同じ
状態になっておる。しかも、それが同町に行なわれて参りまするので、
地すべりが非常に数多く至るところに起きてくる
とい現象が見られるということであります。そういうふうなことでございまするが、ことにこの
豪雪地帯、
新潟県、今
河川局長が
説明されたように
新潟県、
富山県、
石川県、福井県、
長野県というような
豪雪地帯においては非常に多い。しかも
新潟県は、
全国の
地すべり発生件数のうちでも非常に多い数の
地すべり地帯、
危険地帯を持っておるのであります。
こういうこの
地帯に対する
政府当局の
対策のまことに重大であることを考えなければならぬ。ことに、こういう
地すべりについての
対策というものは、今
河川局長が
お話しになっておりまするように、
昭和三十三年ようやく
地すべり防止法が施行された。その前というものは、
地すべりに対してはほとんどまず
対策がないと言っても私は過言でないのじゃないかと考える。ことに、なぜそういうふうに
地すべり対策がきわめて今まで関心を受けなかったか、また
地すべり等防止法が施行された後においても、今
予算等の
対策費に見まするごとく、きわめて零細な
予算よりとられていません。なぜとられないか。
まず、私はこれで指摘しなければならぬことは、
地すべり発生地というのは、おおむね
山間僻地、しかもこれに対する
対策費というものは、
方法においても非常にむずかしい。したがって、その費用も割合に多くかかるわけなんであります。もしこれが
都会の周辺あるいは
都会の中央に
発生するようなことがあったならば、おそらく大問題になって、多額の
対策費もとられ、
復旧も促進されて、
地すべりなんというものはもう永久になくなるというようなことになると考えるのであります。幸か不幸か、これは
山間僻陬の地にある。多くそういう
地域に
発生しておる。したがって、そこに
復旧または
防止の
施設を講じても、たくさんの金がかかるから、それが
経済効果として直接出てこない、きわめて不幸な
状態にある。したがって、ほとんどこれは顧みられなかったのではないかと考えざるを得ない。ところが私は、だからこそ、これを
政治によって救済する道を講じなければならぬじゃないか、一人の国民も不幸にならぬようにするのが私は
政治だと思う。しかも、それをこういう
地帯の
人々に
忍苦をしいておるような
忍苦主義の
状態で
対策を盛っておるということであれば、まことに遺憾な
状態になると考えざるを得ない。
そこで、私はなかなかこれはむずかしいと思う。
防止工事あるいは
復旧工事等もなかなかむずかしいらしい。私は、
技術屋でないのでわかりませんが、非常にむずかしいようであります。むずかしいようでありまするが、やはりやらなければならぬじゃないかと考える。ことに、今この
地すべりの
発生の
原因等についての
説明がありました。大きく分けて
三つの
状態があるようであります。
三つの
状態があるようでありまするが、したがって、その
原因はそういうような
状態で、なかなか
対策というものは困難なようであります。そこで、これらの問題について、この
対策の
樹立の点について、やはりいろいろな点で基本的な
調査が必要になっておるのではないかと考えるのであります。いろいろ聞きますると、その
調査費等もきわめて零細だ。
ことに、今回の
能生町の
地すべりが
国鉄にきわめて密接な
関係がある。
能生町の
自由トンネルの出口に
汽車がかかったときに、突然大
地すべりが襲って参りました。
機関車と
機関車の次の第一両車が脱線して、なだれとともに百五十
メーターから二百
メーター押し流されて、しかも横転して、
機関車は海に落ち、客車は
人家の上にのしかかって
人家を破壊し、火災を
発生しておる。ところが、この
能生町、糸魚川を
中心にして
西頚城一帯がまことに危険な
地すべり地帯であります。過去におきましても、かなりたくさんの
地すべりが
発生して、
汽車の
運行に大きな
障害を与えた歴史がございます。ずっと古い
記録は別といたしまして、
大正十一年以降のものの、しかも大きなものを考えてみても、
大正十一年に
筒石駅で
地すべりがあって、その際九十五日間も
汽車の
運行がとまっている。
昭和二年には
崩山地区に
地すべりがあって、この際も貨車が海岸に押し出されている。
昭和九年には
藤崎地区で
鉄道が四百二十
メーターにわたって
海中に押し出されている。
昭和十三年には
鱗崎地区で、しかも
軍用列車が
海中に押し流されている。
昭和二十一年には
筒石駅
付近に
地すべりが起きて、やはり
鉄道の
運行に
障害を与えている。
昭和三十八年、ことしはあのとおりな
状態だ。その後においても、やはり今年の五月二十一日に
徳合地区で
筒石駅
付近に
地すべりが起きているというように、まことにあの
地区の
国鉄運転はきわめて危険だ。
ところが、過去にやはりこの危険に対する
先覚者があって、
昭和二十四年に
国鉄が
能生駅の構内に
国鉄地すべり研究所というのを設けて、あの
付近一帯の
地すべり調査をやっておるわけであります。これが八
年間、しかもその
研究所の
職員は全く辛酸をなめる思いで八
年間研究した。私はその
成果がいったい今度の
能生町の
地すべりにおいてどこに使われたか、どういうふうに使われて
地すべり防止の
対策を
国鉄が持っているかということを実は伺いたい。
昭和三十年に、
国鉄の
労働組合が
安全操業の
確保を目ざして
安全闘争を組んだことがある。その際ようやくできたのが、今度の
災害地でありまする
自由トンネルの入口に二、三十メートルの
防止壁ができております。また、
青海地区に堰堤ができた。ところが、この
研究所が八
年間の
研究を続けておりながら、今日廃止されておる。多くの
土地の
人々は、いったい八
年間苦心の
研究の
成果を
国鉄は使っているのかどうか、こういうような疑問を持っているわけなんであります。
私がまず
国鉄に、あの
能生の
地すべりのやはり
中心でありまする
国鉄当局に伺いたいのは、そういう
研究所を持って八
年間研究した結果、それをどういうふうに使っているか。今日廃止されておるのでありまするが、
研究がもう完了したというので廃止して、しかもそういうのであるとするならば、完了したというならば、その
成果を有効に生かして
交通運輸の
障害にならないような
対策が立てられなければならぬと思うのでありますけれ
ども、いったい
国鉄当局は、その点についてどういうふうに考え、しかもあの
地帯一帯に対して
鉄道運輸の
安全性を
確保するためにどういう
対策を持っておるか、それをまず承っておきたいと思うのであります。