運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1963-06-05 第43回国会 参議院 災害対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年六月五日(水曜日)    午後一時二十五分開会   —————————————    委員の異動  六月五日   辞任       補欠選任    重政 庸徳君  坪山 徳弥君    館  哲二君  久保 勘一君   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     辻  武寿君    理事      藤野 繁雄君            永岡 光治君            村尾 重雄君    委員            天埜 良吉君            井川 伊平君            稲浦 鹿藏君            久保 勘一君            熊谷太三郎君            小柳 牧衞君            坪山 徳弥君            林田 正治君            森部 隆輔君            武内 五郎君            小林 篤一君            岩間 正男君   政府委員    総理府総理長官 徳安 實藏君    文部省管理局長 杉江  清君    厚生省社会局長 大山  正君    農林省大臣官房    長       桧垣徳太郎君    農林省農地局長 丹羽雅次郎君    農林省園芸局長 酒折 武弘君    林野庁長官   田中 重五君    建設省河川局長 山内 一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       鈴木  武君   説明員    警察庁警備局警    備第二課長   後藤 信義君    食糧庁業務第一    部長      田中  勉君    気象庁予報部長 日下部文雄君    建設省住宅局住    宅計画課長   石川 邦夫君    日本国有鉄道施    設局長     山口 和雄君   —————————————災害対策樹立に関する調査  (地すべり対策に関する件)  (群馬栃木埼玉県下突風及び  降ひょう被害に関する件)  (長雨による麦、なたね、たね甘し  ょ等被害に関する件)  (雪害対策等に関する件) ○委員派遣承認要求に関する件   —————————————
  2. 辻武寿

    委員長辻武寿君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員の変更について報告いたします。  本日、重政庸徳君、館哲二君が辞任され、坪山徳弥君、久保勘一君が選任されました。   —————————————
  3. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 災害対策樹立に関する調査として、地すべり対策に関する件、群馬栃木埼玉県下突風及び降ひょう被害に関する件、長雨による麦、菜種、種カンショ等被害に関する件を議題といたします。  まず、これらの点について、政府からそれぞれ御説明願うことといたします。後藤警察庁警備第二課長
  4. 後藤信義

    説明員後藤信義君) 今月の二十二日午後四時三十分ごろから約三十分の間でございましたが、栃木県、群馬県、埼玉県、この三県下におきまして、ひょうを伴います雷雨及び瞬間最大風速五十メートルに及びます突風が起こりまして、それぞれの県に被害があったわけでございます。この被害中心地は、群馬県の太田市、新田郡及び邑楽郡でございます。また埼玉県につきましては、深谷市及び大里郡でございます。  で、被害概況は、死者が群馬県におきまして五名、埼玉県におきまして三名、合計八名出ております。その内訳は、群馬県の五名のうち、四名は倒壊家屋による圧死でございます。それから一名は落雷による感電死でございます。埼玉の三名はいずれも倒壊家屋による圧死でございます。負傷者でございますが、これは群馬県におきまして二百二十四名、埼玉県におきまして四十六名、合計二百七十名の負傷者が出ております。  建物の面につきましては、全壊家屋群馬県で二十七戸、埼玉県が九十四戸、合計百二十一戸でございます。半壊は、群馬県、埼玉県合わせまして六百五十六戸でございます。さらに、このほか一部の損壊というのがございます。これは、両県下合わせまして六千十五戸でございます。それから納屋等のいわゆる非住家でございますが、人の住んでいない納屋等被害は、両県下合わせまして千八百五戸でございます。  罹災世帯数は、両県下合わせまして七百八十二戸、罹災者総数は四千八十三名でございます。  これらに対しまして、警察といたしましては、各県下とも、それぞれ各所轄の警察署災害警備本部を設けまして、警察官合計約四百名を出動させまして、人命の救助、死体の検分、交通確保に当たって災害警備をいたしたわけでございます。  以上でございます。
  5. 辻武寿

  6. 日下部文雄

    説明員日下部文雄君) 二十二日のただいまお話のありました突風状況につきまして、気象庁観測いたしましたところを御報告いたします。  当日の気圧配置は、寒冷前線がございまして、これがこの長雨をもたらした前線と関連のあるものでございますが、それが南北に振動しておった状態で、ちょうど二十二日におきましては、関東の北部に一つ中心を持つ弱い低気圧ができた、それが前線の上に乗っておる、それが急速に東のほうに移動する場合に、その前線の上に積乱雲を生じ、雷の雲を作ったということが、まず天気図の上から考えられる現象でございます。同時に、気象庁レーダー観測をいたしました結果によりますと、十六時の観測によりますと、秩父の付近に、頂上が一万四千五百メートルに達するはっきりした映像が見えておりました。十七時には、それが熊谷のすぐ北に移っておって、雲頂は一万四千八百メートルというような高さになっておりますが、この状態は、積乱雲としては非常に強いものであったということは明瞭にこれで推定することができたわけでございますが、十七時以後、急速にそのレーダー映像は消失して、現象は消えてしまったものと考えられます。  なお、それと同時に、気象庁で行なっております雷雨観測で、雷鳴による観測実施しておりますが、当日やはりこの寒冷前線に沿いまして十数個の雷鳴観測しております。すなわち、十数個の雷雲がほとんど時を同じくして前線上にあったと推定されますが、レーダーによる観測ですと、これらはみな、ただいまの直接の原因になりました雷雲に比べますと、かなり程度の弱いものであったというふうに観測されております。しかし、このレーダー観測をいたしました結果を、気象庁の測候所あるいは地方気象台というようなところの地上の観測記録と合わせて調べてみますと、非常に範囲は狭かったものと思われまして、前橋あるいは熊谷というような気象台記録には全然現われてない、ほとんど影響を受けておらないというような状況でございます。したがいまして、この現象が非常に激しいものであったということと、発生時刻等ははっきりいたしておりますが、ただいまお話にありました原因になります風速の強さ等においては、現地観測所がありませんので、正確にどの程度の風であったかということははっきりいたしておらない状態でございます。しかし、非常に激しい雷あるいはたつまきに類したようなたぐいの突風ではなかったかということは、気圧配置その他から推定される状態でございます。以上でございます。
  7. 辻武寿

  8. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 五月二十二日の関東地方におきます降ひょう及び突風等による農作物等被害概況について御報告申し上げます。  降ひょう突風豪雨等現象につきましては、警察庁気象庁等から御報告がありましたとおりでございまして、この天候、気象の異変によりまして農作物等について、局地的ではございますが、非常に甚大な被害をもたらしたのでございます。で、五月二十八日現在県の報告、これが私どもの入手いたしました県報告といたしましては最終のものでございますが、それによって被害状況を御説明申し上げますと、農作物関係では、合計約三十億円の被害を生じておるのであります。  そのうち、おもだった被害を申し上げますと、麦類についておおむね十一億六千万円、蔬菜について十億九千万円、桑、これは繭換算で四億四千万円、大麻について二億一千万円、その他水陸稲、果樹、バレイショ、タバコ、飼料作物等について若干の被害が生じておるのであります。この農作物被害のほかに、家畜等被害が約一億円、主として鶏でございます。そのほか、施設被害が約一億円ということになっております。  で、ただいま農林省といたしましては、とりあえず、現地実情調査のために職員を派遣いたしまして、被害実情概況的な把握に努めますと同時に、出先の統計調査部を動員いたしまして、被害状況農林省としての確認に努めつつあるところでございます。  五月二十二日の降ひょう等による農作物等被害概況は以上のとおりでございます。
  9. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 次に、建設省山内河川局長、御説明願います。
  10. 山内一郎

    政府委員山内一郎君) 地すべりの現況とその対策につきまして、お手元に資料がお配りしてございますので、これによって御説明いたします。  全国的なことを簡単に書いた資料でございますが、地すべり地帯といたしましては、大体次のような三種類の地帯に分類できるわけでございます。ここに書いてございますような第三紀層破砕帯火山温泉関係のもの、こういうふうに分けられますが、この原因が重なって起こっている地帯もございます。一応分類をいたしますと、こういうふうになる、こういうことでございます。  第三紀層関係では、ここに地すべり発生いたしております著明な県が書いてございますが、新潟長野富山石川、山形、福島、佐賀、長崎、態本破砕帯といたしましては、徳島、愛媛、高知、和歌山。火山温泉関係といたしまして、神奈川、鹿児島、大分。全国で十六県、これが地すべりの主要な発生県でございます。これらの県のうち、地すべりを起こしている、あるいは起こしそうだ、こういう地区がおよそ五千五百八十地区でございます。  これらの地区対象として対策を立てるのでございますが、本格的に公共事業として積極的に実施されるようになりましたのは、昭和三十三年三月、地すべり等防止法が制定されて以来のことでございます。この法律によりまして、建設農林両省全国地域を担当いたしまして対策を立てておりますが、建設省関係では、この五千五百八十地区のうち三千五百地区、これを対象といたしております。このうち、地すべり防止区域の指定をやっておりますのは千三百六十三、残りの地区につきましては、現在指定するための調査をやっている、こういう状況でございます。  これらの地区対策といたしましては、昭和三十五年度治山治水五カ年計画、十カ年計画のうちの前期五カ年でございますが、この長期計画によりまして現在実施をしている段階でございます。この五カ年計画に取り上げておりますのは、千二百五地区事業費で三十八億二千万円。これで、三十五年、六年、三十七年、この三カ年に四百地区について約十七億円で事業実施をいたしまして、百地区を完成いたしております。引き続きまして、三十八年度におきましては、継続の三百地区、それから新しく六十五地区合計して三百六十五地区につきまして、事業費として十億五千万円、これで現在、対策工事実施中でございます。  簡単でございますが、以上で御説明を終わります。
  11. 辻武寿

    委員長辻武寿君) ただいまの説明に対し、御質疑のおありの方は御発言願います。
  12. 武内五郎

    武内五郎君 きょうの政府側出席はどうなっておりますか。
  13. 辻武寿

  14. 武内五郎

    武内五郎君 総務長官はどうですか。
  15. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 総務長官は、羽田へタイ国国王をお見送りに行っておりまして、三時ごろお見えになるそうでございます。
  16. 武内五郎

    武内五郎君 私は、主として地すべり対策について、それぞれ関係当局に質問したいのであります。  実は私は、この地すべりの問題につきまして、雪害対策の一環として重要に考えておったのであります。ことに積雪地帯において、融雪期に入りますると、地すべり発生が非常に多くなる。このことについては、今まで雪害の問題を審議する際に、融雪期における災害の頻発のおそれのあることを、しばしば当委員会においても取り上げて、問題になっておったはずでありますが、雪が積もっておりまする間は、地表の変化というようなものは、容易に把握できない。また、人家の破損されておるところ、その他道路護岸等の決壊されておる個所も、雪におおわれまして容易に把握できない実情にあるのでありますが、それが、雪が解け出しますると、護岸決壊個所道路決壊個所人家の破損されている個所等が露呈されて参ります。ことに、融雪期における災害の最もおそろしい、そうして最も急激に参りまするのは、何といっても地すべりであります。私は、この問題を、当委員会において御審議を、皆さんにお願い申し上げたいと考えておったのでありまするが、今、私は、過去十三年間において地すべり発生して参りました年度並びに年間の各月別地すべり発生状況を調べてみますると、やはり何といっても、雪の多い年が地すべり発生度が激しいのであります。  たとえば、昭和二十四年以降三十六年までの間を調べてみましても、二十六年、二十八年、三十一年、三十二年、三十三年、三十六年というような、積雪量の非常に多かった年は、地すべり発生も非常に多い。ことに三十六年のような近年まれであった豪雪の年には前年等に例のないほど発生しておるのであります。ことに、これが、月別に見ますると、融雪期発生するのが、実に五五%、しかもこれが三月、四月になって参りますると、四〇%になるのであります。年間発生の四〇%は、三月、四月に発生しておる。こういうふうに過去の年度の数字を調べてみても、私は、雪と地すべりというものが、きわめて密接な関係にあることを知らねばならないのじゃないかと考えるわけです。ことに、今年の三月十六日に発生して社会の人心をそばだてた、あの新潟西頸城郡能生小泊地区における地すべりの際には、雪解けの最中に、三月の十五日前にもう雨が降っておる。雨が降って、融雪を促進させると同時に、その雨の水が地表にしみ込んで、地表と岩盤との離脱が行なわれ、あのような大きな災害が起きたものだと考える。これは過去しばしば行なわれた事態でありまするが、たとえば十ミリ程度の雨が五日間もかりに続いて降ったとすれば、地すべり地帯においてはもう地すべりとなって起きてくるということは、しばしば私どもが耳にしておったところであります。しかも、十ミリの雨が降るということは、雪が平均一日四センチ解けてそれがじくじくと地表の中にしみ込んでいくのと同じ状態になっておる。しかも、それが同町に行なわれて参りまするので、地すべりが非常に数多く至るところに起きてくるとい現象が見られるということであります。そういうふうなことでございまするが、ことにこの豪雪地帯新潟県、今河川局長説明されたように新潟県、富山県、石川県、福井県、長野県というような豪雪地帯においては非常に多い。しかも新潟県は、全国地すべり発生件数のうちでも非常に多い数の地すべり地帯危険地帯を持っておるのであります。  こういうこの地帯に対する政府当局対策のまことに重大であることを考えなければならぬ。ことに、こういう地すべりについての対策というものは、今河川局長お話しになっておりまするように、昭和三十三年ようやく地すべり防止法が施行された。その前というものは、地すべりに対してはほとんどまず対策がないと言っても私は過言でないのじゃないかと考える。ことに、なぜそういうふうに地すべり対策がきわめて今まで関心を受けなかったか、また地すべり等防止法が施行された後においても、今予算等対策費に見まするごとく、きわめて零細な予算よりとられていません。なぜとられないか。  まず、私はこれで指摘しなければならぬことは、地すべり発生地というのは、おおむね山間僻地、しかもこれに対する対策費というものは、方法においても非常にむずかしい。したがって、その費用も割合に多くかかるわけなんであります。もしこれが都会の周辺あるいは都会の中央に発生するようなことがあったならば、おそらく大問題になって、多額の対策費もとられ、復旧も促進されて、地すべりなんというものはもう永久になくなるというようなことになると考えるのであります。幸か不幸か、これは山間僻陬の地にある。多くそういう地域発生しておる。したがって、そこに復旧または防止施設を講じても、たくさんの金がかかるから、それが経済効果として直接出てこない、きわめて不幸な状態にある。したがって、ほとんどこれは顧みられなかったのではないかと考えざるを得ない。ところが私は、だからこそ、これを政治によって救済する道を講じなければならぬじゃないか、一人の国民も不幸にならぬようにするのが私は政治だと思う。しかも、それをこういう地帯人々忍苦をしいておるような忍苦主義状態対策を盛っておるということであれば、まことに遺憾な状態になると考えざるを得ない。  そこで、私はなかなかこれはむずかしいと思う。防止工事あるいは復旧工事等もなかなかむずかしいらしい。私は、技術屋でないのでわかりませんが、非常にむずかしいようであります。むずかしいようでありまするが、やはりやらなければならぬじゃないかと考える。ことに、今この地すべり発生原因等についての説明がありました。大きく分けて三つ状態があるようであります。三つ状態があるようでありまするが、したがって、その原因はそういうような状態で、なかなか対策というものは困難なようであります。そこで、これらの問題について、この対策樹立の点について、やはりいろいろな点で基本的な調査が必要になっておるのではないかと考えるのであります。いろいろ聞きますると、その調査費等もきわめて零細だ。  ことに、今回の能生町の地すべり国鉄にきわめて密接な関係がある。能生町の自由トンネルの出口に汽車がかかったときに、突然大地すべりが襲って参りました。機関車機関車の次の第一両車が脱線して、なだれとともに百五十メーターから二百メーター押し流されて、しかも横転して、機関車は海に落ち、客車は人家の上にのしかかって人家を破壊し、火災を発生しておる。ところが、この能生町、糸魚川を中心にして西頚城一帯がまことに危険な地すべり地帯であります。過去におきましても、かなりたくさんの地すべり発生して、汽車運行に大きな障害を与えた歴史がございます。ずっと古い記録は別といたしまして、大正十一年以降のものの、しかも大きなものを考えてみても、大正十一年に筒石駅で地すべりがあって、その際九十五日間も汽車運行がとまっている。昭和二年には崩山地区地すべりがあって、この際も貨車が海岸に押し出されている。昭和九年には藤崎地区鉄道が四百二十メーターにわたって海中に押し出されている。昭和十三年には鱗崎地区で、しかも軍用列車海中に押し流されている。昭和二十一年には筒石付近地すべりが起きて、やはり鉄道運行障害を与えている。昭和三十八年、ことしはあのとおりな状態だ。その後においても、やはり今年の五月二十一日に徳合地区筒石付近地すべりが起きているというように、まことにあの地区国鉄運転はきわめて危険だ。  ところが、過去にやはりこの危険に対する先覚者があって、昭和二十四年に国鉄能生駅の構内に国鉄地すべり研究所というのを設けて、あの付近一帯地すべり調査をやっておるわけであります。これが八年間、しかもその研究所職員は全く辛酸をなめる思いで八年間研究した。私はその成果がいったい今度の能生町の地すべりにおいてどこに使われたか、どういうふうに使われて地すべり防止対策国鉄が持っているかということを実は伺いたい。昭和三十年に、国鉄労働組合安全操業確保を目ざして安全闘争を組んだことがある。その際ようやくできたのが、今度の災害地でありまする自由トンネルの入口に二、三十メートルの防止壁ができております。また、青海地区に堰堤ができた。ところが、この研究所が八年間研究を続けておりながら、今日廃止されておる。多くの土地人々は、いったい八年間苦心の研究成果国鉄は使っているのかどうか、こういうような疑問を持っているわけなんであります。  私がまず国鉄に、あの能生地すべりのやはり中心でありまする国鉄当局に伺いたいのは、そういう研究所を持って八年間研究した結果、それをどういうふうに使っているか。今日廃止されておるのでありまするが、研究がもう完了したというので廃止して、しかもそういうのであるとするならば、完了したというならば、その成果を有効に生かして交通運輸障害にならないような対策が立てられなければならぬと思うのでありますけれども、いったい国鉄当局は、その点についてどういうふうに考え、しかもあの地帯一帯に対して鉄道運輸安全性確保するためにどういう対策を持っておるか、それをまず承っておきたいと思うのであります。
  17. 山口和雄

    説明員山口和雄君) ただいまお話がございましたように、去る三月、北陸本線におきまして地すべりのために幹線を三週間近くとめざるを得なかったということにつきまして、非常に輸送を阻害いたしまして申しわけなく存じておるわけであります。  国鉄におきまする地すべり対策でございますが、全国で過去におきまして地すべりを起こし、また、そのおそれがあると考えられておりますのは約百カ所ほどあるわけでございまして、そのおもな佃町におきましては、新潟県の北陸線、それから羽越線、四国におきましては高松から高知のほうへ至ります土讃線、それから九州のほうにおきまして、北のほうになりますが松浦線、こういう地区が非常に地質地すべりが起こりやすい地帯になっておるわけでございます。私のほうといたしましても、かような地すべり地帯を通っております線路の安全確保ということにつきましては、できる限りの措置を現在までやって参ったわけでございますが、残念ながら、私どもの予期せざる時期に地すべりが起きまして、たまたま列車がそれにぶつかるというふうな事態が起こっておるわけでございます。  ただいまお話のございました能生地区におきまするあるいは筒石付近地質でございますが、非常に地すべりが起こりやすい地質でございまして、過去に筒石付近地すべりがございましたので、今お話のございました研究所の出張所を置きまして、あの地帯地下水調査というものを井戸を掘りまして、その水位を調べておったように聞いております。これは、地すべり対策といたしましては、やはり地下水の動向を確かめるというのが基本の方法でございまして、この地下水動きによってあるいは地すべり予知できはしないかということもわれわれの中で実は考えておったわけでございます。それからもう一つ、残念ながら今まで地すべりを予知するような機械というものはないわけでございまして、これを何とかして地すべりが起こりそうだという徴候をつかむ何か機械が作れないものかということで、少しでも土地が動いたらその動きがわかる、ちょっと専門的になりますが、私のほうでひずみ計と申しておりますが、そういう機械などを据えまして、そういうものが地すべりとどういう関係を持ってくるかというふうなことも実はあの地帯調査いたしておったわけでございます。その後、だんだん成果もある程度わかって参りました。昨年、土讃線地すべりが起きましたときに、やはりその意味で、それらの機械を実は使いまして、さらに場所を土讃線に移したわけでございますが、目下研究を継続いたしておる次第でございます。  能生におきましては、地すべりが起きまして、すぐそれらの機械を据えつけまして、そして、その徴候が出ましたならば機械がすぐ動きを表わすということで、もし土が動いた場合にはそれがすぐにわかる、あるいはそれを駅までベルを持っていっておりまして、そのベルが鳴った場合には一応列車の安全を確保するというふうな措置をとってございます。将来ともそういう起こりそうな地区にはそういう方法でいきたいと考えておるわけでございます。ただ抜本的な問題といたしましては、特に能生筒石付近、あるいは親不知付近と申しますと、なかなか海岸線のところでは地すべり地帯をどうしても通らざるを得ないということで、将来線路の複線化の問題もございますので、本年度から、地元に部外の学識経験者を交えまして対策委員会を持ちたいと考えております。そして根本的にあの地帯の将来の路線をどうしたらいいか、あるいは防護をどうすべきかという点について至急対策を立てていきたい、かように考えておる次第でございます。  簡単でございますが、御説明を終わります。
  18. 武内五郎

    武内五郎君 私は最近、能生、小泊の災害地を見て参りました。なるほどひずみ計を据えて、地表の活動の変化を調査しておるようであります。第一断層、これは先ほど、すべり落ちたその上の第一断層、それから第二断層、第三断層、この間には十センチぐらいの亀裂が走っております。土地の人は、非常な不安を持ってまだこれをながめているわけなんです。ことに、これから雨期に入ると、その断層に雨水が流れ込んで崩壊する危険が考えられる。今日、まだ案はそれに対する何ら手当がされていないようであります。糸魚川の保線区で聞いたところによりますると、まあひずみ計の罫線を見ますると、大して今後心配はないようだ、こう言っておるのであります。しかし、また同時に、最近、何か三月の十六日面後らしいのでありまするが、これは建設省の技官でありますか、安藤技官が空中査察をやり、やはり上層地帯に亀裂のあるのを発見しておる。東京農大の教授でありまする小出博士が、まあ心配はないだろうとは言うておるようであります。しかし、地元の人々は非常にまだおそれている。おそれるのがこれはあたりまえです。大きなショックを受けたあとであり、しかも現に地すべり、亀裂を見ておる。今日、まだその亀裂に対する対策というものがとられていないのだが、一体あれでまだだいじょうぶだ、しかもこれから雨期を迎えて、雨水が多量に亀裂を通じて流れ込む際に、ほんとうに安全なのか、手当をしないでだいじょうぶなのか、その点はどうなんですか。
  19. 山口和雄

    説明員山口和雄君) 実は、あの地すべり地帯におきまして、大学の先生方、あるいは建設省の専門の方々に現地を御視察願いまして、そして将来どういうふうに対策をやったらいいかという御意見をお伺いしました。今のところ、あの奥の大きい崩壊はないだろうというお話でございました。ただ、水の問題がございますので、将来やはり排水溝について水抜きを考えたらどうだという御意見がございましたので、目下その方法対策を進めておる次第でございます。
  20. 武内五郎

    武内五郎君 あの地すべりに向かって左側に谷がある。あの谷が、水が流れておった谷に違いないです。しかも、それが土砂で埋まっておるので、水はその土砂の低い個所や下をくぐって流れ出した。で、今日では亜丹板で仮水路みたいなのを作って下へ流しておりまするが、これらについても、地すべりを促進する状態というものは、その地下水地表下の水、実はその水抜きの施設というものがまだないのであります。その谷川の水を亜丹板で作った仮といで下へ流しているだけである。私は、上の亀裂の状態を見、その排水の状態なんかを考えると、非常に心配である。地元の人々も、やはり同じような心配をしている。確信を持った、地元の人々を安心させる御答弁をひとつ願いたい。だいじょうぶですか。
  21. 山口和雄

    説明員山口和雄君) ただいまお話のございました水につきましては、専門家の御意見によりまして、私のほうも対策をぜひ実行に移したい、かように考えております。その設計その他現在現地でやっておるところでございまして、上の表土の落ちて参りますものについては、シガラと申しまして、二段に途中で受けまして、そして小さな押えはそれでやりまして、大きな水抜きを、これは地中深く入れなければいけないんじゃないかと思いますが、それを有効にやるために水の流れをぜひ調査してもらいたい、こういうふうに現地のほうに言っておる次第でございます。
  22. 武内五郎

    武内五郎君 その今考えておりまする対策は、いつごろ実行されますか。
  23. 山口和雄

    説明員山口和雄君) 設計のでき次第すぐ実行に移したいと考えております。
  24. 武内五郎

    武内五郎君 いつごろになります。
  25. 山口和雄

    説明員山口和雄君) これは実は現地のほうに設計をまかしておりますので、ちょっと今私いつということを申し上げかねますが、早急に実行に移すようにいたしております。前からその予定でおります。
  26. 武内五郎

    武内五郎君 それでその次へ移りますが、崩壊した土砂が十五万立米ともいわれております。これは建設省の中村技官が計算したようでありまするが、三十万立米または五十万立米といういろいろな話を聞いております。いずれにしましても、これは推計でありますようですが、おそるべき土量であることは間違いない。ことに鉄道の敷地の上には、崩壊した当時、一万三千立米からの土砂が、七メートルから八メートルの高さをもって、約四百メートル幅で積もっておった。この土砂を排除するために地元の人々がたいへん協力しておる。五千立米はこれは貨車で運んだ。ブルドーザーや何かを使って貨車に積んで五千立米運んだ。あとは、これはその付近人家の宅地の中に捨てておいて、   〔委員長退席、理事藤野繁雄君着席〕 ただでさえ地すべりの土砂によって人家が埋まっておる、その上に線路上の土砂を宅地の中に押し出した。それも、早く鉄道運行が開通できるように、われわれはこの際非常な災難を受けたが、鉄道運行が長くとまるようでは世の中の人々に大きな迷惑をかけるのだから、せめて鉄道だけは早く開通させようという地元の人々の考え方で、宅地内に土砂を捨てることを甘んじて承諾した。今日なお山のように、宅地の上にはおそるべき土砂の山が築かれている。この排除の対策はどうなっていますか。
  27. 山口和雄

    説明員山口和雄君) 実はただいまお話のありました件につきましては、現地で地元にこの地すべり復旧対策協議会を作られましたので、国鉄側もそれにぜひ参画させていただきたいということで、その関係各省の中に国鉄も入れさせていただきまして、そこで、当初国鉄は貨車でもって両側に土を捨てておったわけでございますが、非常に時間がかかりますので、地元の対策協議会の御了解によりまして、宅地に捨てさせていただいたわけでございます。で、そのあとの処理の問題につきましては、関係各省でいろいろと御協議があるというふうに聞いておりますので、その御協議によりましてその運用方を考えていきたい、かように存じておる次第でございます。
  28. 武内五郎

    武内五郎君 先ほど指摘いたしました谷川の水の排除、これは亜丹板で仮水路を作って、雨どいみたいにして下のほうへ流している。その水は、宅地に、その土砂の隣りの宅地のほうへ流れ落ちております。で、流れおちている家の人々はたいへん迷惑だ。しかし、これもふたたび地すべりが起きないように、早く国鉄運行が再開されるようにという地元の人々の考え方で、それも甘んじてやっている。これらの施設もやはりその対策の中に入るのか。この排水路の設置等についての対策もやはりその中に入るのか、どうですか。
  29. 山口和雄

    説明員山口和雄君) ちょっと私の説明が悪かったのかも存じませんが、排水あるいは土の始末ということにつきましては、実は、国鉄の上のほうからの問題もございます。私のほうの用地以外の問題が上部のほうにもございまして、私どものほうの一存でやれないところもございますので、関係各省と御協議しておるわけでございます。土の始末につきましても、聞くところによりますと、その捨て方で、海のほうに捨てるという問題もあるやに聞いておりますので、その対策をぜひ御協議願いたいということで、その御協議の結果によって私どもがどういうふうにするかということをきめたいと申し上げたわけでございます。
  30. 武内五郎

    武内五郎君 客車が人家のほうにのしかかって、レールが土砂と一緒に人家を押し倒した。その上に、線路上の土砂を宅地に捨てさした。あの災害のあとにまたそういうような苦難を背負わされた。国鉄は、地元に対して、やはり何か礼を尽くしたあいさつがあったか。いろいろ地元では、早く客車を排除してくれ、土砂を排除するようにしてくれというような陳情を金沢管理局ですか、そこへいろいろやっておるが、色よい返事は、実は今日まで受けておらぬ。このことについて、実は、昭和三十六年の四月十七日に、飯山線の小千谷市川井地区地すべりがあった際に、土砂で田畑が埋まった。土地の人は、やはり鉄道の開通を希望するために、まずそれに協力して、しかもその後において、早く土砂を排除してくれというような、いろいろな申し入れを、その当時のあれは長野管理局ですか、そこへ再々言っている。その際にも誠意ある返答は容易に得られなかったことがある。国鉄は一体、そういう災害はこれは天災だと、そこで天災であるから、土地の者が苦難を耐え忍んでもらうのは当然だというふうに考えているのか、まことに実はそういうふうに疑わざるを得ないことがある。一体国鉄は、まず宅地上の土砂を排除する作業を開始するとか、その他のいろいろな地元に対して安全感を与える対策を立てる必要があるのだが、それらについて、いつごろ一体それを実施するのか、土地の人が首を長くして待っている。日夜心配で眠れない。その上にそういうような不安、生活権を脅かすような状態で投げ出されている。まことにもって、これは見るにたえない話である。国鉄のお考えはどうですか。
  31. 山口和雄

    説明員山口和雄君) 私どものほうの現場のやり方が非常に悪くて、不安な感じを地元の方にお与えしたという点について、非常に申しわけなく存ずるわけでございます。ただ、全部のあの地区対策というものにつきましては、いかんせん、私ども国鉄だけではできない面がございますので、何とか、県御当局なり、あるいは関係の各省なり、ひとつぜひ御協力をお願いしまして、そうして方針をきめていきたい、かように考えているわけでございます。地元の局長も、その意味で県にも言っているわけでございます。その後、一回、県御当局によりまして、その打合会が開かれたのでございますが、まだ最後の方針はきまってないように実は聞いているわけでございます。  国鉄は、運転保安という面で、常に列車運行につきましては自分自身で防護するという建前で、実は先ほど申し上げました、ひずみ計その他を、よそ様の土地につけさしていただいているわけでございますが、これを将来どうするという問題になりましても、私どものほうだけでできない場合もございます。将来、上が畑になりますのか、あるいはまた水田になりますのか、いろいろな問題もあるやに聞いておりますので、地元の対策協議会というものの御意見をぜひ尊重していきたい、かように実は指導しておったわけでございます。
  32. 武内五郎

    武内五郎君 できるだけ早く誠意をもって復旧対策実施にあたってもらいたい。  それで、実はあまりこの点に触れたくない問題なんですが、一応御注意申し上げたいことは、あの地すべりが事前に予知できたのじゃないかという考え方が地元民の間に非常に強い。それから三月十九日の新潟日報の紙上にも、その点に触れた記事が出ております。しかも、この日報の記事は、東北電力の能生町電力営業所の従業員が、ショートして電灯が消えたので、故障発見のために小泊地区に入った。その際に亀裂を発見し、石がごろごろ落ちてきて、危険が予知された。しかも、それを国鉄のほうへ連絡したが、何ら対策を立て得なかったという話であります。少しこの記事が長くなりますので、読まないで要約するとそのとおり。それから小泊地区人々の中に、国鉄職員が三月十六日の三、四日前、線路の見回りの際に、決壊個所の上のほうに十五センチぐらいの亀裂を見つけた。このことを上司に報告したが、その対策はとられない。——ことに私は、これはしばしば前にも、特に国鉄に、豪雪によって鉄道運行が非常に困難に陥った際に、国会、この委員会であったと思うが、気象現象に対して非常に敏感でなければならないのじゃないか、しかも運輸の担当者が気象現象に対して鈍感である、何ら関心を持たなかったりするようなことは、災害をかえりて大きくするのだということを言ったことがある。その際、いやごもっともでございます、今後十分注意いたします、そう言っておりながら、能生町の今度の災害には、十五日の朝に、先ほど申し上げたように、二十ミリの雨が隆った。これが雪解け水と一緒になって地盤が軟弱になるのは考えられなければならぬ。およそ常に注意深くそういう点まで考えておれば、私はあの災害も、災害をきわめて小さくとどめることができたのではないかと考えるのです。まことに残念だと思う。国鉄当局の一体お考えはどうですか。
  33. 山口和雄

    説明員山口和雄君) 実は、今お話がございましたのですが、前の日の夕方停電したということを通告を受けております。当時の係員が、二名夜にかけましてあの地区を実は蹈査したわけでございますが、残念ながら、私どもが前にあぶないといっておりましたトンネルのもう一つトンネルがございますが、小泊トンネルのほうの調査に参ったわけでございます。徴候がないということを上司に報告しておるわけでございますが、翌日また確かめまして、手前のトンネルという話もわかりまして、また出かけて行ったわけでございますが、その出かけていきまして、トンネルの入口で実は脱線しました列車に追い越されております。調査の範囲が非常に広かったものですから、調査した範囲内で御供を発見することができなかったということは、まことに残念でございますが、事実はそういうふうに聞いております。で、今後も、こういう問題につきまして、どういう調査方法がいいかという問題で私どももいろいろと電力会社その他と御相談申し上げたわけでございますが、なかなか地区を限定するのがむずかしいというお話も出まして、私どもといたしましては、そういう外からの通報があり次第、もっと綿密に調査するということをお互いに戒めとして注意方をしておるわけでございます。もう一歩というところで実は徴候があるいは発見できたのじゃなかったかというふうに考えております。  〔理事藤野繁雄君退席、委員長着席〕
  34. 武内五郎

    武内五郎君 とにかく、いろいろな点で十分注意して、しかも、あの地帯は全体にわたって地すべりの危険な地帯であります。しかも、あの北陸線は一日に八十数本の列車運行しておる。しかもその中で非常に地盤に対する震動の強い貨車の運行が多い。よほど注意して対策を立ててもらわぬと、同じ災害を何べんも何べんも繰り返すことになるのじゃないかと考えます。私は、国鉄だけの対策ではもちろんだめだと思う。十分ひとつ注意していただきたい。  次に建設省にお伺いしますが、この地すべりというのは、国土を破壊することまことにおびただしく、しかも急激に起きて、その宵をいろいろな方面に及ぼす。先ほども説明がありましたように、まことに対策というものが、むしろ貧弱である。この大規模な地すべりの起きておるところなんだが、全国でもわずかな対策より立てていない。新潟県なんかほとんど対策ができていない。今後この地すべり対策十カ年計画、これに伴う地すべり対策の基本的な対策が立てられなければならぬと思うのでありますけれども、一体、ほんとうにこの程度のものであるのか。なお、これから対策を立てて、地すべりがもうなくなるのだという状態まで持っていけるような対策が考えられないか、河川局長いかがですか。
  35. 山内一郎

    政府委員山内一郎君) 先ほど全国状況につきまして、全般的にお話をいたしましたが、現在の地すべり対策は、昭和三十五年度の治山流水十カ年計画、これに基づきまして、現在極力実施をしておる段階でございます。この計画に沿ってどういうふうにやっておるかということは、先ほど御説明いたしましたように、計画以上にやや進んでおる、こういう状況でございます。しかし、ただいま御指摘がございましたように、われわれとしても、これで十分だというふうには考えておりません。何とかしてもっと積極的に、地すべりを含めまして治水事業をやって参りたい、こういうふうに考えております。ちょうど来年度治山治水五カ年計画の最終年度に当たりますので、その状況から考えてみましても、三十九年度の残りの金額というものは、ことしの予算額よりももうすでに少ない、こういう状況ではとてもやっていけませんので、三十九年度以降新しい五カ年計画を作りたい、こういうことで現在作業しておる段階でございます。その計画の中にも、この地すべり対策につきましては今後一そう重点的にやって参りたい、こういうふうに考えております。
  36. 武内五郎

    武内五郎君 地すべり対策については、これはまず精密な、現地に基づいた調査が必要でありましょう。特に、その予防対策として監視施設の監視対策が必要じゃないか。特に、それから今のようなきわめて対策がのろのろとしておるような状態では、さしあたって危険を回避する態勢が必要である。逃げ出す。それより今日全く対策がないというふうに考えられます。そのまず第一の監視の対策でありまするが、やはり危険区域に監視所を設けるとか、あるいはパトロールをする、あるいは、それにしかもポータブルの無電機を装置した携帯通信機を持つとか、さらにまたひずみ測定器というふうなものを、これはまだ不完全だといっておりまするが、今日の状態では、それ以上のものがあればいいのですが、それらの施設をやる必要があると思うのですが、それはどうですか。
  37. 山内一郎

    政府委員山内一郎君) 地すべり対策というものは、御指摘のありましたように、非常に工法的にもむずかしく、建設省といたしましても、土木研究所で極力その工法を研究し、実施に移しておりますが、それとあわせまして、やはり地すべりを予知するといいますか、これも非常に重要なことだと思われます。したがって、建設省といたしましても、その点にも配意をしておりますが、新潟県の松之山の地区地すべりは非常に大規模なものでございますので、警報器等を設置させると、こういうようなことで県の指導をやって参っている。こういうことにつきましても、今後土木研究所等を大いに活用いたしましてその対策を講じて参りたい、こういうふうに考えております。
  38. 武内五郎

    武内五郎君 ぜひこの監視の体制というものが私は必要だ、予知対策というものが必要だと考えます。しかも、これに伴う警報施設が重要だと考えます。  私は、去年オランダへ行ったときに、一九五三年、今から十年前にオランダに大水害があった。一千八百名の死者、五十万に及ぶ罹災者を出した大水害があった。その際に、オランダの当局の、自己批判でありまするが、監視と警報、通信の施設が欠けておったために大きな災害になったんだと、こう言っておる。特に、急激に起きて参りまするこういう地すべり地域にはどうしても必要だ、これはもうぜひ政府に努力してもらいたい。  その次に災害回避の点であります。災害回避は、どうしてもやはり逃げ出すこと、家をたたんで安全な地域へ逃げ出す、能生町はそれはもう間に合わなかった。松之山は非常に大きな、今河川局長お話しになりましたように、大きなスケールで地すべりが起きておりますが、きわめてゆるやかな活動を続けながら絶え間ない動き方を続けておって、災害は非常に大きい。そこで松之山では、まず逃げ出すことを考える。今日まで立ちのき勧告を受けたものが二十何戸、あと被害の激甚家屋、あるいは強度家屋で逃げ出す必要のあるものは約二百戸。ところが、これもいつ逃げ出さなければならぬかわからぬ状態なのでありますが、心配なのは、せっかく勧告やあるいは立ちのきの指示を受けたとしても、移転の費用なんというものは、まず、あの山間の、しかも奥地の零細な農民にはたえられない。新潟県では、県出費として十五戸に対して二万五千円の移転助成費を出した。これではとてもたえられない。できないのであります。何かそれらに対する対策は考えられますか。
  39. 石川邦夫

    説明員石川邦夫君) 現在立ちのき勧告を受けているというふうな危険な地帯にあります住宅において、その後、地域外に移転しようとします場合におきましては、住宅金融公庫の災害の特別融資というものをいたしまして、これは現在住宅がまだこわれておらないわけでございますが、移転してそこで新しく住宅を建設するという場合におきまして、特別融資をいたすということに今回いたしまして、その措置を現在とっております。
  40. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  41. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 速記を始めて。
  42. 武内五郎

    武内五郎君 災害地における住宅対策、今計画課長お話しになったのでは、おそらくそのとおりだと思うのですが、住宅資金の貸し出しについて、能生町で三十戸申し出た。ところが、いろいろな、これが資格がない、これが資格がないといって、九戸より対象にならない。これでは私は、一体災害地に対する住宅資金の貸し出し対策になるのかどうか、住宅金融公庫法の第十七条は、ばく然と貸し出すように書いてあるけれども、もう少しやはり実情に即した——金を貸すのだから、それは返してもらわなければならぬかもしれないが、返すような対策をこれは町村なんかに対して指導してやる。申請者は、実際家がつぶれて、能生町なんかこれが完全に家がつぶれて、今仮設住宅に入っておるのでありまするが、それも十八戸より入ってない、十八世帯ぐらい。それがたった九戸より該当してないという、借り受け資格が九戸よりないというようなことでは、これではほんとうの対策にならぬ。その点をもう少し緩和して、ゆとりのある貸付状態ができないのか、できるように行政指導ができないのか、ひとつお伺いしたい。ぜひそういうふうに努力してもらいたい。
  43. 石川邦夫

    説明員石川邦夫君) 住宅金融公庫の貸付につきましては、特にこの災害住宅等につきましては、借り受け者の実態に即するように指導しておるわけでございますが、しかし、公庫でございますので、やはり一定の資格なり償還能力というものを審査いたさなければならないわけでございます。まあこのほかに、実は災害のために公営住宅というような制度がございまして、実際に低所得でございまして、自分の家を持ち得ないような場合におきましては、公営住宅の建設等についても、当然考えなければならぬというふうに思っておりますが、御指摘のとおり、こういう場合につきましては、さらに実態に即するように指導いたしたいと思います。
  44. 武内五郎

    武内五郎君 その仮設住宅が二棟あります、能生町に。一棟に九世帯入っている。ところが、これが十六・五平方メートル、一人当たり畳が一畳とわずかのようなところが実際なのでありまして、しかもその中で、この十八世帯のうち四世帯というものは、一世帯七人以上の家族をかかえておる。十六平方メートルの家屋の中に、一家族七人以上の家族の世帯が四世帯ある。一体重なって寝起きしているんじゃないかと考えられるが、もう少しこの災害仮設住宅なんかも、せめて二十平方メートル以上の家屋にするぐらいの考えはこれから持ってもらわなければならぬ。そこで、この住宅対策というのは、私は非常に重大な問題であると思う。まず、資金の貸し出しについての条件をやはりもう少し緩和するとか、あるいはその他の方法で自分の家に住めるような対策を早く講ずることが民心を安定させ、生業に復帰することができると考えておりますが、その点はまことに重大だと思いますから、よく考えていただきたい。
  45. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 先ほどの農林省説明長雨及び寒波による農作物被害状況説明がありませんでしたので、この際御説明願います。檜垣官房長
  46. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 本年の四月下旬から降り始めました長雨が、関東以西の各地方におきまして、引き続きほとんど連日のごとく続いたのでございますが、そのために、関東以西の各県に農作物等に甚大な被害を生じているのであります。特に瀬戸内に面します中国各県、四国四県、九州七県の被害が、報告によりますと、激しい模様でございます。農林省で今回の長雨の様相をつかまえました特徴は、お手元にお配りをいたしました資料にも述べてございますが、きわめて降水日数が多かった、降雨の日数が多かったということでございまして、県によりまして、多少の異同がございますが、五月中に二十五日くらいの雨が降っているのであります。また、日照時間がその当然の結果としまして非常に少ないのでございまして、はなはだしいところは、一日に二、三時間程度の日照時間しかなかったというようなことが——これははなはだまれな例でございます。また、その間に当然のことでございますが、雨量もたいへん多かったのでございまして、平年の丁五倍ないし二倍の降雨量を記録いたしております。同時に、その長雨の期間を通じまして最高気温はそれほど高くございませんが、最低気温が非常に高かったというようなことで、いわゆる高温多湿で春先の作物に対しましてきわめて悪い気象条件を呈したのでございます。そのために麦、菜種に対する被害が最も激しいのでございますが、そのほか果樹、蔬菜等につきましても、著しい被害を生んだのでございます。  各県から農林省報告をいたして参っております県報告によります被害状況の概要を申し上げますと、農作物被害報告総金額は三百九十一億円に上っておるのでございます。そのうち麦類被害額は約二百五十二億、それから蔬菜の被害炉約五十二億、果樹の被害——これは算出の方法をどういう算出をしたか承知いたしておりませんが、これが二十七億、それから県の報告によれば、菜種の被害が約二十七億、これらのおもなものがまず被害額としては大きいところでございます。そのほかに水陸稲、お茶、桑、その他の作物に被害を生じて誇るのでございます。(「それはいつの現在ですか」と呼ぶ者あり)これは六月三日現在で、中国及び九州の地方農政局に六月三日に集まった県報告の集計でございます。被害の激甚な県をこの報告に基づいて申し上げますと、瀬戸内に面しました中国三県、すなわち、岡山、広島、山口の三県、それから四国の徳島、香川、愛媛、高知の四県、九州七県——福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島の七県が被害量が大きいようでございます。東海では、愛知がかなりの被害額という報告を出してきております。そのほか和歌山、兵庫、京都、静岡等からも被害報告が参っておりますが、これは、先ほどあげました被害のはなはだしい県の被害額に比べますと、かなり被害額は僅少に見受けられますが、なお、調査中の県の報告もございますので、最終的なものとは申しかねるのであります。先ほど農林省でひょう害につきまして被害の確認を急いでおるということを申し上げましたが、同様に、長雨による農作物被害につきましても、それぞれ出先の統計調査部におきまして被害の確認を急いでおる段階でございますが、農林省の最終的な確認の金額が、まだ私どもの手元にも集計をいたされておりません段階でございます。  以上簡単でございますが、長雨等による農作物被害概況を御報告いたします。
  47. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 寒波による農作物被害状況はどうですか。
  48. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 豪雪害及び寒波によります果樹その他の減収の被害等につきましては、すでに御説明を申し上げましたところでございますが、その後関東以西の各県におきましてカンショ、種イモが貯蔵中に異常な寒気のために腐敗をしたというようなことがございまして、急遽各県の県庁を通じまして調査をいたしたのでございますが、その報告が五月二十八日現在で取りまとめられましたので、その概要を御報告申し上げますと、茨城から鹿児島にかけての各県の種イモの貯蔵総量は二十九万三千トンでございますが、そのうち六万五千トンの腐敗量を出したという報告が参っております。腐敗数量の多かった県をあげてみますと、茨城県の約六千三百トン、埼玉県の五千トン、三重県の千七百トン、愛媛県の四千九百トン、高知県の千七百トン、長崎県の三千五百トン、熊本県の一万トン、宮崎県の四千三百トン、鹿児島県の二万三千トンというような、ただいま申し上げましたような県が被害量が多いようでございます。  私どもが県を通じまして報告をまとめましたものの取りまとめた概要を簡単に御報告申し上げた次第でございます。
  49. 辻武寿

    委員長辻武寿君) ただいまの説明に対し、質疑のおありの方は御発言願います。
  50. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 ただいま官房長から報告になった被害の金額は、あとで資料としてお願いいたします。  それから、こういうふうな被害があった場合においては、従来政府においてはそれぞれ対策をとられたのでありますから、対策を練っておられると思うのでありますが、今その対策をどういうふうな程度まで練っておられるか、まず、その概要を承りたいと思うのであります。
  51. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 農作物に対する災害に対しまして、農林省としても、できる限り早急にその対策をとる考えで省内の作業等準備をいたしておるのでありますが、基本的にはただいまも申し上げましたとおり、農林省統計調査部による最終的な被害の確認が終わっておりませんので、対策によりましては、被害の確認を待って措置せざるを得ないというようなものもございますが、応急に措置できるものから順次対策を講じて参りたいというふうに考えておるのであります。  なお、省内におきましては、それぞれ担当の部局にわたっておりますので、詳細な対策の手段につきましては、担当局長等の説明が必要かと思いますが、当面私から、農林省が現在講じようとしております施策についての概要を申し上げたいと思います。  長雨によります農作物被害状況は、県の報告ではございますけれども、ただいま申し上げたような大きな被害を生んでおりますし、また、農林省から現地に出まして実情調査をいたして参りました報告あるいは地方農政局の被害状況調査概要の報告等によりましても、今回の長雨被害は、相当といいますか、異例のはなはだしさであるというふうに考えられますので、農林省としましては、被害額の確定を待ちまして天災融資法の適用を早急にいたすべく政令等の制定の準備を進めたいというふうに考えておるのであります。また、天災融資法の適用が行なわれますれば、天災融資による資金手当の補完的な措置として自作農創設資金の追加割当ということも、財政当局とも連絡しつつ措置をいたして参りたいというふうに考えております。また、麦及び蚕繭に関しましては、農業災害補償制度の対象となっておりますので、農家に対します共済金の仮渡し、連合会からの保険金の仮払い等について、被害の減収を把握次第、すみやかにそれらの措置をとるよう指導の通牒を発する用意をいたしております。また、再保険特別会計からの再保険金の概算払いにつきましても、法令の定めるところに従って、これもできるだけすみやかに流すというようなことを考えておるのであります。  その他麦の今回の被害を見ますと、菜種もあるいは同様であろうかとも思いますが、明年度の麦、あるいは菜種の作付のための種子に困窮をいたすのではないかと見られますので、種子の確保対策について、地方農政局及び県を通じまして指導その他の連絡協議を進めております。相当に問題が多いかと思いますが、とにかく明年度の再生産のための種子対策というものをゆるがせにできないということで、技術的な方策につき、あるいは物量的な確保対策等について、県及び農業団体との連絡を保ちつつ措置を進めて参るということで話をいたしております。  そのほか、今回の被害状況から見まして、当然等外麦というものが出ると思いますが、そのうち等外上の麦については、政府において無制限に買い入れするという通達をすでに発しております。そのほか、技術的な問題等についての指導も加えて参っておる次第でございますが、被害実情の確認次第、必要な措置を取り進めて参りたいということで考えておるのであります。
  52. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 ただいまのお話のうちに、このたびの長雨による被害農産物、農家に対して天災融資法を初め、現在のある法規に照らして、できるだけの救済の処置を講じたい、こういうお話がございましたが、その話の前提として、それは五月二十二日の突風降ひょうによる群馬埼玉被害等も、その対象にお考えになっておると、こうとっていいですか。
  53. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 埼玉群馬栃木三県を襲いました降ひょう突風等による農作物被害につきましても、農林省といたしましては、天災融資法の適用対象としたいという考え方で政府部内の意見の調整に当たりたいと考えております。
  54. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 農林省は、ただいまお話を承ってみますというと、万遺憾なき措置を講じておられるようであるので敬意を表します。ただ一番問題になるのは、種の問題ですよ。これは、おそらく今年は麦であるとか、菜種であるとかの種子の確保ができるかどうかということが非常に心配であります。しこうして、これは速急に決定しなければいけない、そうしなければ種が手に入らないというようなことであるのでありますから、被害のあった児はほとんど種はないということであれば、その他の県に対して、その手配をやらなければできないというような感じがあるのであります。また、今回被害のあったところは、各地方におけるところの特産の種子を持っておるところでありますが、その特産の種子がなくなってしまうということであったならば、その地方におけるところの麦の生産奨励に重大な影響を及ぼすと思うのでありますが、そういうような点について、被害があった県はもちろんだけれども、その確保のためにはどういうような対策を応急としてとっておられるか、承りたいと思うのであります。
  55. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 農政局長が参っておりませんので、私から不十分と思いますが、農林省の考え方を申し上げてみたいと思います。御指摘のように、麦には地方別にそれぞれ奨励品種等がございまして、その土地の気象、土壌等に適合した品種があるわけでございますが、その適合品種を今回の災害の中で確保し得るかどうかという点については、私どもも危惧の念を抱いております。私も去る三日熊本へ他の所用で参りました際、被災地を視察いたしたのでございますが、被害県内におきましても、比較的山間の水はけがいい、排水がいいというようなところにつきましては、あるいは最小限種子に取り得る麦が確保できるかもしれぬという、これははなはだ希望的な観測にすぎませんが、そういう場合も考えられますので、各県内について、種子用の麦として確保できるものについては、県において調査の上、種子としての条件をできる限り整えることのできるような技術、方策を講ずる、たとえば病虫害の防除の問題でありますとか、あるいは脱穀の際における種子粒の損傷を避けるような方策をとらせる、脱穀機の回転回数を落とすというようなこと、念入りな選別等の措置、そういうようなことをまずやらせるということで連絡をいたしております。ただ、それも必ずしも確信はございません。正直に申しまして確信はございませんので、他の都道府県から種子の移入を希望する品種別の数量、そういうものを現在地方農政局に各県ごとにまとめるようにということで指示をいたしてまとめさせております。その際希望するような品種のものがはたして他の地域から確保できるかどうか、これも具体的に当たらなければなりませんので、ほぼ種子程度の麦が取れるだろうと思われる地域との県の連絡を同時に担当局からさせております。その際完全に希望と、需要と供給がマッチしない場合もございましょうから、それぞれの需要品種に最も近いと申しますか、それに代替し得るような品種は何であるかということを、専門の部局をして目下検討をいたさせております。そういう上での需給の突き合わせをいたしまして、品種及び数量との適合をいたさせたいという考えでやらせております。  それから古麦につきましては、三十七年度産麦について、三十九年度に種子として利用できるかということの検討を要しますので、ただいま試験研究機関に発芽試験をいたさせまして、古麦によって希望品種が得られる、しかも、それは種子として使用可能であるというような技術的判定が下されましたならば、それらの種子については、食糧庁の保管麦のうち払い下げをストップさせるというような措置も講じて参りたい、また、いずれにいたしましても、来年度の種子需要期には相当のごたごたが起こると思われますので、被害の少い県からの政府売り渡しの麦類につきましては、現在まではそういうことをいたしておりませんが、三十八年度は農家の協力を得て付せんに品種名を書いてもらう、特に一、二等麦について品種名を明記してもらうということについて協力を求めたいということで食糧庁から措置をするということを今考えております。
  56. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今のような方法でできるだけ、何といってでも種子の確保ということが第一の条件だから、ひとつこの点についてはさらに一そうの政府のほうの御尽力をお願いいたします。  次に問題は、さっきお話があった天災融資法の問題であります。天災融資法によるよりほか方法ないと思っておるのでありますが、一方のほうにおいては、さっきもお話があったように、天災融資法のみによっては解決ができないのだから、同時に、思い切って自作農創設資金のワクの拡大をはかってもらわなければならないと思っておるのでありますけれども、その天災融資法の点については、すでに政府においては政令案やなんや御検討中であると思うのでありますが、そういうふうな案について、今大体の見当でもできておったらばお述べ願いたいと思うのであります。
  57. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 私ども農林省といたしましては、今回の長雨被害については、当然天災融資法の発動があるべきものというふうに考えておりますので、先ほども申し上げましたように、この政令の制定につきましては、その前提として農林省自身による被害の確認ということが必要でございますので、できる限り被害確認を急ぐように指示をいたしておるのでございますが、かなり広範にわたる被害でございますために、調査当局の判断では、今月の十七日までかかるということでございますので、その数字が固まりますれば、直ちに政令の制定の措置をとりたいというふうに考えております。自作農創設資金の災害のための資金ワクの追加割当に関しましては、これは天災融資法の適用によりまして、この法律による融資総額というものの概定ができませんと、自作農資金の算出の方法がございませんために、これも概定をいたしますれば、それに引き続き自作農資金の追加割当の資金量の計算をいたしたいと思っておりますので、ただいま、いつまでどれだけの金額が見通されるかということはお答えいたしにくい段階でございます。ただ御質問外にわたると思いますが、自作農資金については、一般自作農維持資金の割当を地方農政局を通じてすでにいたしておりますが、制度的には自作農維持資金としての性質に変わりはないわけでございますので、被害が激甚でかつ他の融資方法の恩典を受けることが少ないだろうと思われるような農家について、さしあたり既配分の自作農資金の運用に適正を期するように指導いたしておるのでございます。
  58. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 さっきこれもお話があったのであるが、もう現地に行って見るというと、麦も菜種も、さっきこれも私が話したように、また、官房長もお話があったように、種子になるものがないというような状況だから、ほとんど全部が等外麦の甲か乙かにならなくちゃならない、上位か下位に。そういうふうなんであって、等外の上はすでに無制限に賢い上げるというお話になったということは、これは政府の措置について敬意を表しますが、これと同時に、一方のほうにおいては、農災法によるところの概算の仮渡しであるとか、何であるとかいうような問題もありますが、ただ農災法によるというと、その災害が圃場になくちゃならないというのが原則のように考えられる。しかし、ちょっとでも天気がよくなったあとは、それをとり入れてきて、そうして納屋の中で保管している、その間にだんだんと腐れてしまうというようなことも生ずるのでありますから、これは事実であるのでありますから、こういうふうな点について農災法の適用をどういうふうに考えるか。これは非常に微妙な点であって、お答えをされないほうがあるいは得になるようなことになるかもわかりませんが、これらの点についてお考えをひとつお伺いしたいと思うのであります。
  59. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 経済局長がお答えすべき問題でございますが、出席をいたしておりませんので、たいへんお答えしにくい御質問で、私としてもちょっと困惑をいたしておるのでございますが、農災法による減収ということの確認は、事実問題の判定でございますので、農災法本来の趣旨を生かすような事実認定が行なわれるということを期待をいたしたいと思っております。ただ、私の感じから申せば、もはや圃場で相当の被害状況になっておるのが一般であろうということで、藤野先生の御指摘のようなケースはきわめてまれであろうというふうに存じます。
  60. 永岡光治

    ○永岡光治君 今お話を承りましたのですけれども、藤野委員の質問に補足をいたしまして若干質問いたしたいと存じます。  等外麦の中の上は買い上げ、あとは知らないということになるわけですか。
  61. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 申し上げるまでもないのでございますが、食糧庁が買い上げを法律上許されておりますのは、法律に基づきまして、米麦に関します限り、食糧用の米麦の買い上げを認められておるのでございます。したがいまして、現在の等外の麦のうち、いわゆる等外上というものは何とか食用にすることができるという意味で、市中の普通の流通の麦には商品としての難点はあるけれども、こういうような災害に際しては、無制限に買い上げるという措置をとっておるのでございまして、食用不適の麦を食糧管理法に基づいて食糧庁が買うということは法律上許されていないものでございますから、その点は政府買い上げという形ではとうてい処理ができないというように申し上げたのでございます。
  62. 永岡光治

    ○永岡光治君 それじゃ問題を二つに分けて質問いたしますが、食糧として買い上げられないものについて、何か指導して救済の方法が考えられないのかどうか、これが一つ。  もう一つは、例年のことでありますけれども、検査ですね、等外の上になるのか、下になるかというこの検査は、皆さん、私から言うまでもなく、地方の検査は相当私はうるさくなると思うんですが、上なら無制限に買い上げるということになると、上にならないような検査をすることがたくさんあるわけですよ。だから、その指導をよく、行政指導になりますかどうなるか知りませんが、指導してもらわなければなりませんが、その点はどういう御用意を持っておるか、念のために聞いておきたい。
  63. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 前段の御質問の食用不適の麦について、何らか指導の措置はないのかという御質問でございましたが、農林省では関係局で打ち合わせをいたしまして、食用に不適ではあるけれども、家畜のえさとしての利用価値はあるという程度の麦については、農業団体、端的には、全販連とも連絡をいたしまして、食糧庁と農政局、畜産局と協力いたしまして、えさ用として使用可能な麦の換金方策ということについてあっせん、販売の努力をするということに指導の方針としてきめておるのでございまして、関係者の間で今協議を進めさせております。  それから、検査規格ないし検査基準の問題でございますが、これは実は私、はなはだ不得手な分野なものでございますから、本日食糧庁から業務第一部長が見えておりますので、その点についての御質問には第一部長から答えさせていただきます。
  64. 永岡光治

    ○永岡光治君 答弁して下さい。
  65. 田中勉

    説明員田中勉君) ことしのような災害があったときにおきましては、検査ということが非常に、なかなか農家の皆さん方に関心のある問題でございまして、私のほうといたしまして検査の規格というものを、特に災害に即応いたしまして規格というものを緩和する、こういうことは検査の規格上それは適当でないと思いますが、実際の検査にあたりましては、規格には準拠はいたしますものの、やはりその年々の作柄に応じて麦の実態というものが、たとえば色の問題にいたしましても、こういうものが変わってきているわけでございますから、十分そういう実態に即したような注意深い検査をするように——まあ昨年あたりもだいぶ西日本で等外上及び下がずいぶん出たわけでございますが、そういう体験等もございますので、十分検査官を指導いたしまして、なるべく実態に即したような検査をするように、ていねいな検査をするようにという注意を事前に指導しておるような状況でございます。
  66. 永岡光治

    ○永岡光治君 ていねいな検査というけれども、あまりていねい過ぎないような——困るほどていねいな検査があるので、私の言わんとするところは、注意深くとかていねいとかということは、まあ言うなれば温情あふるるといいましょうか、農家にとってですね、そういう意味でひとつ理解をいたしたいと思いますが、そういうように理解していいわけですね。
  67. 田中勉

    説明員田中勉君) ていねいという若葉は、どうも抽象的な言葉で恐縮でございますが、例年のような場合ならば、何にも被害がなかった場合には検査も、相当最盛期になりますと時間をあまりとられることもなくてきぱきと処理しておったわけでございますが、十分ひとつそういうことについて、限界をどの辺におくかということを、みんなの検査官の目をよく統一をいたしまして、実態に即したような形で運用して参りたいという意味合いで申し上げたわけでございます。
  68. 永岡光治

    ○永岡光治君 それでは、続いてお尋ねいたしますが、被害額が、今の、本日ですか、六月三日現在でも三百九十一億、約四百億という額が出ているわけです。相当の私は額に上るのではないかと将来憂慮するわけでありますが、まあ応急措置なり、それから被害額がわかってからことしの秋には最終的に措置しなければならぬ問題があると思うのですけれども、そこでお尋ねしておきたいのでありますが、たとえば自作農創設の資金の追加割当があるとか、あるいは農業共済の関係もありましょう、それから天災融資法の資金立てもありましょうが、それらの問題について十分用意はできておるのかどうかですね。この点を私はお尋ねしたいと思うのです。つまり率直に言うならば、今自作農創設資金の例を一つとってみましても、大蔵省があまりいい返事をしないんだと、だから、その範囲内でやるのだということでは困るわけですがね。きょう、大蔵省の責任者も見えておると思うのですが、大蔵省の考え方、それから総務長官が見えておりますが、この点についてどう考えているのか、明確にしていただきたい。
  69. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 総務長官から大局的な御答弁があるかと思いますが、若干技術的な部分もございますので、私から前に一応お答えいたします。自作農資金の追加割当につきましては、天災融資法の適用政令が公布されますと、すでに被害額の確認がされておるわけでございますから、自動的に天災融資法による融資額が確定をいたします。自作農創設資金につきましても、農林省と大蔵省との間に一定の算出基準の約束がございまして、自動的に自創資金の追加割当の方策がとれるように先年来なっております。したがいまして、その限りにおきましては、大蔵省が自創資金の追加割当に対して、しぶるということはまずないものと考えております。
  70. 永岡光治

    ○永岡光治君 総務長官の答弁はいいです。それらの問題を含めまして、予算の見通し、つまり三十八年度予算でまかない得るのか。まかない得るとするならば、それはどういう項目の中に入れてあるのか。もしまかなえないとするならば、補正予算を組まなければならぬ。それはいつやるのか。そういう問題になってくるわけですね。そういうものをひとつ、総務長官も責任を持ってどういうふうに考えておるか御答弁をいただきたい。
  71. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) ただいまの点につきましても、若干技術的なお答えを申し上げまして、もし不十分でございまする分は、総務長官からお願いをいたしたいと思います。  天災融資法の発動によります場合には、これは利子補給のための国の予算を必要とするわけでございますが、利子補給は年度区切りで交付をするのでございます関係上、相当の融資をいたしましてもそれほどの予算を要しないのでございます。むしろ来年度以降の利子補給額に相当の財政措置を要するということになるわけでございます。そこで、今回の災害につきましてかりに天災融資法を発動いたしましても、おそらくは、——実はこれに関係します予算は、法律による約定償還条件に基づいた予算を毎年度要求をいたしておりまして、事実は、繰り上げ償還額が相当に大きいということのために、予算上余裕が出て参るのが常でございます。したがいまして、私の勘から申しますと、まず、利子補給のための追加予算は必要ないのではないだろうかというふうに思います。ただ、もし不足するというような事態になりますれば、たいした金額にはわたりませんので、予備費による措置で十分であろうと考えております。  それから自作農資金につきましては、全体のワクで申しますと、自作農維持資金の三十八年度の総額は七十億円でございますが、そのうち一般の維持資金として三十五億円を現在配分をいたしております。去る豪雪害のために十五億円の配分をいたしましたが、そのうち二億は前年度の余裕資金ワクを流用いたしまして、先行的に措置をいたしておりましたので、十三億円を使っておるということでございまして、なおかなりの資金ワクは災害等に備えて保留をいたしておりますので、それによって処理をいたしたい。なお将来、災害等のために自作農資金の災害に対する対応のワクが足りないというような事態が生じますれば、農林漁業金融公庫の予備金もあり、及び他の資金、農林漁業金融公庫全体の資金ワクの中で、これは毎年かなりの——年によって違いますが、余裕が出る場合がございますので、これらを考えて流用調整等の措置によって対処すれば、まずその点についても心配はないだろう。また、そういう場合を想定いたしまして、公庫資金の資金ワクは編成をいたしておりますので、御質問のような現在の段階において考えれば、特別に予算上の補正を必要とするというような事態にはならないと考えております。
  72. 林田正治

    ○林田正治君 資金の問題ですが、天災融資法の適用であるとか、あるいは自作農資金の額の拡大とか、いろいろな面で資金の関係がありましょうが、こういうことは考えておられましょうか。三十八年産米の予約の、つまり概算金を早く渡す、これはもちろん農村においては、盆は、七月は、われわれの県ではやっておりませんけれども、例年よりか繰り上げて払うというようなことの考えは持っておりませんか。そういうことに対するお考えはどうなっておりましょうか。
  73. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 米の予約金の概算払い分をなるべく早く払ったらどうかという御指摘、御質問でございますが、この点につきましても、農林省としては検討はいたしておるのでございます。ただ、米価の決定をいたしません前に予約ということは法律上あり得ないという難点から、これはいささか時期的に問題があるのではないかというふうに思っておるわけでございます。通常の年におきましては、概算金の支払いは食管特別会計からたいてい七月の中旬に交付されるのでございますが、本年の米価審議会の模様等によってその時期はあるいは若干の移動があるかもしれないというようなことで、西日本におきます盆の資金というものにはいささか難点を感じておるのでございます。まあ、特別な措置として米価決定前にそういうことができるかということについては、端的に申し上げまして、制度上、私は非常に難点があるというふうに思っておりますので、ここでは否定的に申し上げる以外にないと思うのでございます。しかしながら、農家が大体の三十八年産米の政府に売り渡す数量というのは、協同組合との関係等では早期に把握できるはずでございますので、麦等の被害農家につきまして、わずかの時間の差でございますから、系統金融の協力を得て、一種のつなぎ資金的なものでつないでおくというようなことについては農林中金、信連協会等と農政、経済局長との間で協議の上、この災害に対処するために、農協の格別の協力と申しますか、相互扶助の本来の精神からもひとつ対処していただきたいということで今協議をしてもらっておるところであります。
  74. 林田正治

    ○林田正治君 関係方面とひとつ十分検討していただきたいと思います。
  75. 永岡光治

    ○永岡光治君 今の官房長の私の質問に対する答弁によりますと、大体予算は心配ないのだ、こういうことになるわけですが、私はしろうとですからわかりませんけれども、ことしは去年以上なんですね。そうすると、去年の予算で間に合うということは、去年よりも、長雨のなかったものに対しての補給した分ですね、その分がことしは減額されるということにはならぬですか。不利になるということにはならぬですか。予算が同じであるということになれば、余分にことしはそれに食い込むということになる。去年よりは、今まで受けたであろう昨年と同じような状態、そのものが不利になるということは当然理屈上考えられると思うのです。特にひょう害もあるだろうし、豪雪の問題についてもまだ解決は全然できていないと私は思うのですが、そういうことを考えると、どうも去年の予算で足りるということは、去年の恩恵を受けた程度のものよりも悪い恩恵を与えて、そうしてこっちのほうに向けていると考えるか、ないしはこっちのものより低いものを押しつけるということになるのじゃないかと考えるわけですが、どうか。その辺の理屈がわからないのですが、どういうふうにそれは解釈したらいいんですか。
  76. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 私の答弁が不十分であったために、少し補足的にといいますか、申し上げる必要があるようでございます。  天災融資法につきましては、発動をいたします限り、法律に基づいた資金量は、これは政府といいますか政府の法律上の義務としてこれは貸し出しの措置をとるわけでございますので、あとは先ほど申し上げました……。
  77. 永岡光治

    ○永岡光治君 その予算はどういうようにして……。
  78. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 天災融資法の原資は、御承知のように、協同組合の原資を貸付をいたしまして、それに対して都道府県及び国が利子補給をする、また、債務の保証を地方公共団体でやるという仕組みでございますから、予算上必要なのは利子補給金額の部分だけでございます。  〔委員長退席、理事藤野繁雄君着席〕 その利子補給金額は、先ほど申し上げましたように、予算上の必要金額を組んでおきましても、実は繰り上げ償還額が非常に大きいのが実情でございますために、余ってくる。そこで、予備費等の使用をしなくても、少なくとも現状の段階では必要がないんじゃないかと思いますけれども、もし利子補給金額の予算が足らなくなれば、一般会計の予備金の使用ということで十分対処できる。これはたいした金額にならないのは、初年度の期末の金額に換算いたしますと、年間の利子補給をするに比べて相当わずかの金額で済むというような事情から、そういうことに相なりますということを申し上げたのであります。  それから自作農資金につきましては、七十億のワクがあって、二十億余りの余裕があとに残っておるということであるいは御不満があり、あるいは二十億の中で、災害が大きいにもかかわらず、それをわずかあれだけじゃないのかというふうな御心配かと思いますが、これも所要の金額は機械的計算によって出すのでございまして、その金額は特に予算がないからと、七十億に差しつかえるからということで削減するつもりは農林省としては毛頭ございませんし、また、大蔵省もそれほどあこぎなことは申さないと信じております。その場合に、資金ワクが足りません場合には、あらかじめ、今回、自作農創設維持資金が農地取得資金と維持資金とに分かれましたことにもかんがみまして、農林漁業金融公庫に予備金ワクをとってあるのでございます。その予備金ワクの使用ということで対処できますし、また、年度間を通じてみますと、融資の緩急の措置によりましては、農林漁業金融公庫の他の資金ワクも必ずしも制度上流用ができないわけではございませんので、財政当局と協議の上、予備金の使用でもなおかつ不足をするという場合には、資金全体の運用の中で必要な自作農資金は貸し付けることで対処するということをお答え申し上げたのでございます。
  79. 永岡光治

    ○永岡光治君 しろうとですから、私もよくわからんで聞いておるわけですけれども、今の融資の場合でも、利子補給は今いったようなわけでしょうけれども、融資の額はどこから出るか、やっぱりふえるわけですね。それを予想しておらないわけでしょう。そういうものについては、それはもう考えているのだ。ことしはやっぱり長期雨があるだろう、だから、この程度の融資はしなければならぬだろうということで予算を組んでいるとは私思わぬのですよ。そういうことは思わない。だから、どこから持ってくるかと、こういうことになる。そっちを持ってきたところが無理が去年よりいくわけでしょう。だから、どこかで無理のいかない分を考えてやらなければいけないのじゃないか。そういう手だてをするべきじゃないかというふうに私は考えるわけです。そういうものを考えているのかというわけです。たとえば今の七十億の問題でも、これは私は七十億は少ないと思うんですね、もうちょっと要るんじゃないかという気がするわけです。また、それだけめんどう見なければだめなんだ。異常災害なら異常災害のようにやっぱり裏づけがないと異常災害のめんどう見たことにならぬじゃないかという気がするわけで、去年の金額のままでいきますということに結局なるわけで、それじゃどうもおかしいじゃないか、こういうこと私しろうとですからわかりませんが、そういう気がするわけです。
  80. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 天災融資法による原資ワクは、ただいま申しましたように、系統の資金でございますから、これは特に予算という問題はございません。また、災害を予想した予算の組み方というのは実は一般的にないわけでございまして、災害のために一般会計に予備費がとってあるわけでございます。ところが、予備費まで手を出さなくても、過年度の利子補給金額予算の余裕が毎年出てくるというのが常例で、したがってその余裕の中で多分現在の段階であるならばまかなえるであろうというのが私の勘でございますということを申し上げたわけです。不足をいたしますれば、これは一般会計の予備費から当然に支出をしてもらえる性質の金でございますので、私は特に予算補正等の措置をこの段階で考えるような必要はないのではないかというふうに申し上げたわけです。  それから、自作農資金の総ワクにつきましては、すでに成立した予算によってこれは予算上明確になっておるのでございますが、前年度は実は自作農維持資金のワクは六十億であったのでございますが、それを十億ふやしましたのと、公庫に——ちょっと私失念いたしまして金額は明確でございませんが、公庫の資金の予備金額増額措置をいたしましたのも、自作農維持資金が先ほど申しましたように独立した維持資金として法律上残ることになりましたので、それに対応する方策の用意というようなことで公庫資金にも予備金ワクを作ったというようなことで、まず現段階における雪害についての措置は終わりましたし、少なくともその天災融法及び自作農の関係雪害の措置はもう終わっております。  それからひょう害と長雨の現在の災害の模様等からは、既定の資金措置について圧縮の措置をとるようなことは毛頭考えておりませんし、またそういうことをしなくとも予算上窮屈なことはないというふうに考えておるということを申し上げたわけです。
  81. 永岡光治

    ○永岡光治君 くどいからこれでやめますが、今あなたおっしゃった、はしなくも、昨年六十億かかった、ことしは十億ふやした。それは帳簿があるから私はふやしたわけじゃないと思う。帳簿がなかったら、六十億で七十億使わずに十億余すような予算であなたは七十億組んだのじゃないか。もしそうだとしたら、国会を侮辱したことになる。であるとしたら、七十億でいくべきものが、帳簿があったために七十億でいかなくなるわけでしょう。だから、そういう意味では、やはりこの分は余分に考えなければならないんじゃないかということを私は言っている。当然のことなんです、それは。だから、くどいことは言いませんけれども、要するに私ども心配することは、こういう問題がどんどん出てきて、あとめんどう見なければならぬということについて、大蔵省と農林省、あるいはこれはどこの省に関係するか知りませんが、そういう幾つかの関連の省が出てきて、めんどう見なければなりませんよということになって、大蔵省に折衝したところが、いや予算があるないということで渋るようなことでは困りますが、ぴしゃっとその点を明確にしてもらえばよろしい。もし僕ら地方の連中から聞いて、あなた方に陳情に行って、大蔵省がだめなんだということになれば、私承知しませんからね。そういうことをひとつ明確にしておいてもらいたい。
  82. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) お話の趣旨は、私もようやくわかった次第でございますが、自創資金につきましては、自創資金の配分というものをその年において何に重点を置いて——いわゆる一般維持資金という形で出すものと、災害のような緊急に資金を必要とするというものに優先的に配分をするかという問題として従来も運用されてきたのでございます。そこで、従来から災害等のための自創資金として必要な金額につきましては、過去においても、予想されました災害用のワクということできめたものをオーバーいたしまして資金措置をいたしたことは、たとえば室戸台風の年あるいは伊勢湾台風の年等に事例がございますわけでございまして、その際に資金措置をどういう方法でとるかということの手順を先ほど申し上げたわけでございます。したがいまして、制度上所要の資金額につきましては、これは私どもとしましては必らず確保するように努力して参りたいというふうにお答えするほかはないと思います。
  83. 永岡光治

    ○永岡光治君 私のさっきの、つまりもう一回総務長官に伺いたいのだが、官房長は、大蔵省では必要なものはどんどん出すことになっているのだと、資金は、予備金だとか、補正予算を組まなくても十分あります、めんどうを見る自信があるとおっしゃるので、よろしい、そこのところについて非常に私心配しておったから、安心するわけですが、だとするならば、今後いろいろな問題について農林当局に地方から陳情されるでしょう。その際に、いや大蔵省がどうも言うことを聞いてくれないとか、予算がないとか言って。めんどうを見てくれない、そういうことで答弁をされましたら、私は承知しませんよ。めんどうは十分見ますということの私は念を押しているわけで、総務長官はそれはだいじょうぶということるお答えできますか。
  84. 徳安實藏

    政府委員徳安實藏君) ただいま農林省の官房長からお答えのあった点でございますが、私も全くしろうとの域を脱しておりませんから、御満足のいく答弁はできないと思いますが、先ほど説明しておりましたように、政府が法律によって義務づけられるものは、金額がたといいかに伸びましょうとも、あるいは予備費でまかない得ない、あるいは所要の金で操作ができないという場合には、あるいは補正の措置も講ずるときもあろうと思います。しかし、そうでない限りは、今持っておりまする予算の範囲において、あるいは補正をしなくとも、予備費等の流用によって措置できると考えるのであります。  ただいまお話しの、あるいは法律上義務を生じていないものに——義務を生じているものは大蔵省もまさかいやというようなことは言うはずはないと思いますし、また農林省もそう言われて引っ込むはずはないと思いますから、これは法律の義務のあるものは、当然農林省も強く要望するでしょうし、また大蔵省もこれを聞くと思います。法律上義務を生じないもので災害を起こしたらどうするかという問題に立ち至りましたときには、主管省であります農林省が大蔵省とも十分折衝してもらい、なおかつ両者の間で意見が一致いたしませんような場合には、私どものほうの立場において調整するように努力をいたします、こうお答えするよりいたし方ないかと思います。
  85. 永岡光治

    ○永岡光治君 総務長官の答弁は違うのですよ。官房長は、予算を組む必要があれば組む、しかし予算を組む必要がないと言うのです。やれますとおっしゃるから、よろしゅうございます、しっかりやって下さいよと言っているのです。だから、今後地方からいろいろ言ってきた場合に、それはやれ補正予算を組まなければならないの、金がないのとか何とか断わる理由にはならないのですよ、こう言っているのだから、その点についてのあなたの責任ある答弁をもらいたいと思います。
  86. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 私の表現に不十分なところがあったかと思いますが、私は現段階において補正予算の必要はないと考えておりますということを申し上げたのでございまして、それ以上の点にわたりましては、総務長官からのお答えがございましたので、私の答弁と食い違っておるというふうには理解をいたしていないのでございます。
  87. 永岡光治

    ○永岡光治君 やめようと思いましたけれども、もう一言言っておきたいんですけれども、やはり予算があるために、義務づけられたものといえどもワクがあるわけですよ。どうしても。そのワクに縛られて、今度査定する際に、予算がうんとあればもうちょっとゆるやかな査定で済んだであろうものが、苛酷になるんです、これは実際問題として。私はそのことを非常に心配しているわけです。そうなんですよ。ですから、予算というものは、これだけの災害があれば相当これは——たまたま自作農資金の問題に言及しましたけれども、去年十億返したという。その十億返したということは、やはりことし、去年よりは、長雨以外に、長雨がなくてもやろうという一つの考え方がここにあったと私は理解する。そうでなければ、ふやしている意味がないんですから。そうでしょう。そうすると、せっかく長雨なかりせば実行できたものが、長雨のためにそれができないということになるじゃないか。そうすると、あなた方はやはりこれについては、十億長雨で組むならば、八十億に増してやらなければおかしいじゃないかということを言いたかったわけです。ところが、あなた方は、それは心配要らないんだと言うから、それなら私は追及しません。追及しませんが、こういう問題については、必要なものはあなた方が考えておったものをどんどんやると同時に、長雨についても支障のないように、ぜひこれは予算があるとかないとかいうことでなしにめんどう見て下さいよと、こういうことを私は申し上げた。ちっとも無理がないと思う。それではこの次の機会に譲りますけれども、その七十億の明細書——予算要求のときの積算根拠があると思うんです。どういうものに使うんだと。おそらくそれを見ればわかるんですよ。まあそこまで言いたくなかったんで、私言わなかったけれども、七十億の根拠ありますよ、三十八年度こういうものをやるんだと。それを見てもらえば、長雨災害がその中へ入っているのか入っていないのかわかるんです。入ってないとすれば、あるいは長雨がこの中に該当するという費目があれば別ですが、そうでなければ、余分に考えなきゃならぬということになるんです。そうでしょう、理屈は。だから、その明細書を出してもらえばいいです。おそらくあなた方が予算を大蔵省と折衝するときには、積算のそれがあって、根拠があるわけですから、出してもらえばいい。
  88. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 資金ワクの設定に関しまして、全く何らの根拠なしにきまるものでないというお話で、ごもっともでございますが、実は従前から、自創資金のうちの維持資金につきましては、災害の平均的な発生というようなものに対しては少なくもこの自作農資金の中でまかなうという考え方で自創資金のワクをきめておるのでございます。で、予算書等につきましても、特に自創資金は、かくかくの計算で何の災害を予想するというふうには、これはもう災害のことでございますから想定がつきませんので、そういう長雨が入っているかいないかというようなことの御参考になるような資料は提出いたしかねるのでございますが、おおむね災害をどの程度に想定をして予算をやったかということは、原局の自創資金の考え方の中にあると考えられますので、その点は後刻担当局のほうから提出をいたしたいと思います。
  89. 永岡光治

    ○永岡光治君 ですから、重ねて言いますが、ひとつ総務長官も、農林当局も、大蔵当局もおいでになると思うんですが、今後引き続いていろいろな問題起こってくると思いますが、さしむき長雨の問題が出ている。それから群馬埼玉栃木のひょう害、突風の問題が出ておりますが、それらの問題について十分ひとつ予算上で支障のないように配慮してもらって、地方から被害状況が出た場合、予算のワクに縛られてそれが不当な査定をされるということのないように、十分ひとつ配慮してもらいたい。不当というと、私は不当じゃないと思っているということになるかもしれませんが、そういう意味の私は不当じゃないので、これにひとつ十分沿えるように、かりにも予算があるとかないとかでそれに制限を加えることのないように、十分配慮願いたい。そのことを特に切望して私の質問を終わりたいと思います。
  90. 森部隆輔

    ○森部隆輔君 私今の答弁に対してあえて重ねて同じようなことを質問なりあるいはまた希望を申し上げることもないのですが、さっき農林省のほうで、官房長が被害額の大体の数字を示されたのでありますが、これは一福岡県だけの例を私が知事名義でもらった数字でも、果樹をのけて、五月の末現在で四十億というような数字が出ているんですけれども、果樹をのけて、蔬菜、麦、菜種等、しかもその後ずっと毎日雨が降っているので、日に日に被害が拡大しております。地域もだんだん各府県に私は範囲が広くなっていると思う。被害程度も、地域全体被害が多くなっていると思います。ただいまいろいろ予算上の心配がありましたが、私全く同感でありまして、その点については、今の御質問のとおり、ひとつ。さらに、福岡なんかにおいては、測候所開設以来の雨量であります。連日日照時間はなかった。非常な減収であり、収穫皆無ということで、非常な期待を農業者は政府にかけているわけでありますから、期待に反せぬように、ひとつ今答弁のありましたように、あるいは希望のあったようなことを、あとで予算が足りなかったなんということで非常に農家を困らせることのないように、切にひとつ御配慮をいただきたいと思います。数字は私はずっとふえると思いますから、こういう点強くひとつ希望だけ申し上げておきます。
  91. 久保勘一

    久保勘一君 先ほど種イモの被害状況につきまして御説明がございましたので、このことに関連しまして簡単にお尋ねをいたしたいと思います。御説明にもございましたように、かなりの地区において相当額の被害があっているようでございます。それぞれ被害を受けました農家においては、県あるいは団体等の協力を得て種イモのあとの措置については、あるいは一時借入金等の方法をもって一時をしのいでいると承っております。したがいまして、それらの出費に対して、何らかの補助をしてもらいたい、あるいは金融の方途を講じてもらいたいという陳情がそれぞれの被害県から出ているように承るのですが、農林省としてどのように対処されようとしておられるのか、御意見を承っておきたいと思います。
  92. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) お答えいたします。種イモの被害状況につきましては、先ほど官房長から申し上げたとおりでありますが、これに関連いたしまして、いわゆる補助金の問題につきまして、私のほうで調査いたしましたところ、大体各県ともそれぞれ必要な種イモを確保しまして、特に補助金の御要求もないようでございます。ただ例外的に、長崎県から相当強い御要望がございます。なお、高知県あたりも、まあこれは言いにくい話でございますけれども、長崎がもらえるならおれのところもというふうな程度の御要望があるわけでございます。こういう補助金は、実は従前前例もないことでもありますし、それに、たとえば熊本とか鹿児島のような非常に大きな被害があるところからも必ずしもそういう御要望がないという状況でございますので、現在のところわれわれのほうでこの補助金につきまして考えておりませんけれども、長崎県等から非常に強い御要望がございましたので、いろいろ検討はいたしておるような次第でございます。   —————————————
  93. 藤野繁雄

    ○理事(藤野繁雄君) 次に、豪雪対策について、徳安総務長官から御説明をお願いします。
  94. 徳安實藏

    政府委員徳安實藏君) 今春の豪雪による最終的被害額及びこれに対して政府のとりました措置につきましては、ただいま集計をいたしておる最中でございますので、後刻本委員会に対しまして資料をもって御報告申し上げたいと存じますが、本日はきわめてその概略のみを申し上げて御了解を得たいと存じます。  政府としましては、今回の豪雪事態をきわめて重視いたしまして、直ちに数次にわたる現地調査団を派遣いたしますとともに、災害対策基本法を初めて発動いたしまして、非常災害対策本部を設置しまして、対策に遺憾なきを期するよう努力したつもりでございます。  以下、政府のとりました対策の概略を申し上げますと、まず道路鉄道交通機能の回復を最優先をいたしまして、建設省国鉄関係機関はもとより、一万数千名に及ぶ自衛隊を投入し、これが早期回復をはかることに努力をいたしました。  また、災害住民に対する救済につきましては、今回は県知事の判断で災害救助法を適宜発動できるような処置も講じましたほか、特に生活困窮の家庭、母子福祉家庭、低所得者層の救済等につきましては、意を用いて努力いたしたつもりでございます。  また、農作物被害につきましては、激甚法を発動しまして、天災融資法による融資の増ワク等の措置を講じたほか、関係諸法令に基づきまして補助融資等助成措置を講じつつある現状であります。  次に、県、市町村等地方公共団体に対しましては、災害つなぎ融資について万全を期したほか、普通交付税を繰り上げまして交付するとともに、さらに三十七億円に及ぶ特別交付税を雪害分として交付をいたしました。  また被災中小企業に対しましては、中小企業関係政府金融機関からの融資を行なう等資金の融通に遺憾のないよう措置をするとともに、取引の安全を確保するため手形の決済期限の延長、輸出クレームの防止対策等の措置につきましても特段の努力を払ったつもりであります。  以上が今次災害に際し政府のとった対策の概要でございますが、今後に残された問題といたしましては、地方公共団体の行なう特に著しい積雪の排除事業に対する財政措置、また私鉄等の除雪費に対する助成措置、雪害による農林関係被害に対する措置などをいかにするかという問題が残されております。これらの問題につきましては、政府ももちろん検討をいたしておりますが、各党におかれましてもただいま連終協議が行なわれておりまして、近くこうした問題に対しても成案を政府のほうにも御提示を願い、政府のほうでも極力御趣旨に沿うように努力する心がまえで各党とお話し合いを進めつつある状態でございます。したがって、いずれ本委員会にも御連絡を申し上げて御協議をいただくことになろうかと思います。  なお、去る五月の末日限り非常災害対策本部を廃止いたしました。この期間中委員各位にはたいへんな御協力をいただきまして、深く感謝をいたす次第でございます。どうぞ今後におきましてもそれぞれの御協力を賜わりたいと思いますが、ただいま申し上げました事柄等について、各省に関しますることは各省の長あるいはその他の責任者からそれぞれ御説明申し上げると思いますので、どうぞ御聴取をいただきたいと思います。
  95. 藤野繁雄

    ○理事(藤野繁雄君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  96. 藤野繁雄

    ○理事(藤野繁雄君) 速記をつけて。
  97. 武内五郎

    武内五郎君 総務長官一つ最後の質問をお願いしたいと思う。今まで地すべり中心にして質問をして参りました。それで、御承知のとおり、地すべり災害の中でも急激にしかも深度が深くやってくるのでありまして、ところがこれに対する対策は今まで実際において十分とられていないと考えられます。全国でも地すべり地区は五千五再八十四カ所ばかり、その地域は十四万三千ヘクタールに及んでおります。こういうような状態ですが、しかもその中でも豪雪地帯における地すべりというものは、これはもう雪と並行して進んでいると考えられます。ことに新潟富山石川長野、福井、山形というような地域は、全く危険な地域の中に含まれておる。ことに新潟は、全国の計数の個所においては二四%、これは全国第一であります。そういうような状態であり、しかも新潟県においても、三頚城と言っておりますが、西、東、中、この地域、それから信濃川流域の地域、これらにほとんど地すべり地帯が集中されておる。   〔理事藤野繁雄君退席、委員長着   席〕  ことに、この層は第三紀層で、地すべりを誘発するきわめて危険な地層でありますから、それが雪と、それに多雨地方——非常に雨の多い地方、したがって、年々これに伴う災害というものは非常に大きい。今年も、御承知のとおり、三月の十六日に、西頚城の能生町に惨たんたる状態地すべりが起きておる。その前に東頚城の松之山町のこれは全町にわたって約五百ヘクタール、これは全く行ってみると足を地獄の底に引きずられるような思いをする地すべりが起きたのです。そういうような状態で、私は地すべり対策のまことに重大なものであることを感じます。そこで、政府としても、これに対する早急な対策樹立することがきわめて重要であると考えます。  今まで、特に能生町に起きた地すべりは、国鉄にきわめて重大な関係がある。したがって、国鉄並びに建設省中心としていろいろ質問を重ねて、問題を明らかにするように努めて参かましたが、ここで私は、時間の灘係もございますので、いろいろほかにも、農地問題あるいは山林あるいはその被害者の住宅の問題等さらに詳細にわたって問題を明らかにしたいのですが、いずれまた次の機会に譲りたいと思うが、ここでお願いしたいことは、政府が積極的に地すべり対策に関心を持って当たっていくかどうか、その点をまず第一にお聞きしたいと思います。  それから、地すべりはいろいろな分野に関係があります。建設省、あるいは農林省農林省でも、農地関係の農地局、あるいは山林関係林野庁というような直接の担当官庁もあって、それに実際の被害が起きた場合には、さらに住宅の問題、あるいは学校、その他のいろいろな公共施設の問題等がからまって、非常な複雑な状態になって参ります。そこで、特に私が明らかにしておきたいことは、能生町の地すべりの際に、これは非常な混乱の際であったからやむを得なかったかもしれませんが、その町に対策本部というものが二つできました。町の対策本部と国鉄対策本部、二つできた。それから救護所も三カ所できた。日赤の救護所、町の救護所、国鉄の救護所というように三つも設けられた。おのおのほとんど希薄な連絡状態で、おのおのの分野の仕事をやっておる、こういうような状態でございますので、まず対策としては、これはやはり統一された総合対策が必要である。建設省農林省その他の関係官庁のおのおのの分野の仕事はあろうが、これが統一された対策が必要であり、その統一された機能の発揮がどうしても必要であると考えられる。それが災害現地においても、そういうおのおのの分野におけるおのおのの活動が災害現地において現われまして、災害対策本部も二カ所も設けられ、救護所も三カ所も設けられるという混乱状態である。こういうようなことのないように、特に私は災害の際の災害対策というものは統一されたものでなければならない、地すべり対策というものは統一された対策が必要であると考えるが、まずそういう点について、第一、第二の点について総務長官のお考えを伺いたい。
  98. 徳安實藏

    政府委員徳安實藏君) 今年の豪雪に伴って、雪解けに伴って地すべり等が相当あるのではなかろうかということで、本部のほうでも各府県に注意深く数回指令も出しまして、その対策に遺憾なきを期していただきたいという努力を払ったわけでございますが、二、三の避けることのできない災害は起きましたけれども、各府県ともすでにこうしたことに対して気を配っていただきまして、十二分の配慮が功を奏したといいますか、割合に予期しましたより災害が少なかったことは、まことに喜びにたえぬと思っております。しかし、今お話しのように、地すべりというものは予期しないときに突然襲いかかるものでありますし、その被害というものも非常に甚大であって、人家はもちろんのこと、人命にも大きな被害の及ぼしますことは申し上げるまでもないことでありますので、今回防災計画樹立するにあたりましては、政府のほうでもこの防災に対しまして十二分の配慮をいたすつもりでございますし、同時にこの地すべり地帯をたくさんお持ちになります各県に対しましては、特に注意を喚起いたしまして、その県その県の防災計画に、この地すべり問題に対して慎重な施策を行なわれますように注意を喚起するのみならず、政府も協力する考えでございます。  ただいまお示しになりました、一つ地すべりに対して何カ所かの対策本部ができる、あるいは救護所もできるというような不統一はいけないじゃないかというお話でございますが、あるいは統制がとれないままに、鉄道鉄道でそうした処置をとり、その他のものは自分の受け持ちのままそうした処置をとったかと思いますので、これは決して、時によりましてはやむを得ない場合もありましょうが、ほめたことではないかとも思いますけれども、こうした点につきましては、今後はできるだけその被害程度によりまして統制のとれる処置を地方庁とも話し合いしまして努力いたしたいと考えております。御承知のように、地すべり等の防止法もあるのでございますので、こうしたものを基礎にいたしまして、今後は地すべりに対しても防災計画に十分織り込んで、災害の起きざる前に万全の処置がとれますように努力する、こういう心がまえでただいま計画を立てつつある次第でございまして、近くお手元にその計画等を差し上げまして御批判を賜わりたいと思って、おります。
  99. 武内五郎

    武内五郎君 大体その点は納得します。なるべく早く基本的な対策の策定が望ましいと思います。  その次に、地すべり対策に対する基本的なものの考え方、それは、御承知のとおり、地すべり発生地というものはたいてい山間僻陬の地に多い。その土地の住民は、まことに経済力においても貧困。かりに地すべり発生いたしますると、全く再起の希望を失い、再起の能力がないのでありますので、異常な状態になって参ることはどうも避けがたいのであります。ことに、そういう山間僻陬の地に発生しがちなので、往々にして政府当局なるべくこれはまあ苦痛にたえるようにがまんしてもらおう、忍苦対策、こういうようなものの考え方でおってはたいへんなのです。そういうことのないように。したがって、たとえば、 これまた、実際地すべり対策というものは、予想外の経費がかかるように聞きます。多額な経費を投じても、それに見返るような経済効果というものはないのじゃないかということで、往々にして大蔵省あたりが渋る。ところが、それが非常な大きな災害になって、国土は決壊するし、人畜の被害が拡大するしというようなことで、まことにその地方は惨たんたる状態になるわけでありますけれども経済効果が少ないのだからということで、これを看過したり何かすることがあってはならぬと思うのですが、地すべりに対する政府としての基本的なものの考え方、これはいけない、こういうことのないように、もう地すべりを日本から絶滅するのだというような対策まで進んでいける考えがあるかどうか、ひとつお伺いします。
  100. 徳安實藏

    政府委員徳安實藏君) お話のとおりでございまして、過去においては、あるいは僻陬の地等に起きましたそうした地すべり等は、等閑に付せられるような場合もあったかもしれません。都市でありますとか、交通ひんぱんの場所でございますれば、ほっとこうと思ってもほっとくわけに参りませんから、これは臨機応変の処置をとったかもしれませんが、そうでないところはそのままにあるいは放置されたような場所も過去においてはあったかもしれないと思います。しかし、法律では、別にこういう場所だけにこの法律を適用するというわけではございません。もう災害が起きましたらどの場所にでも適用することはあたりまえでございますし、これは一にかかってやはり国土保全の第一線の責任者でありまする県が十分見まして、そしてその報告等に基づいて国も出かけていくことでございますから、今のような御趣旨は十二分に私どもも体しまして、各県にもそうした点を十分に徹底するように努力いたしまして、そしてともどもに手を握って、その御報告に基づきまして、政府のほうでもできるだけの万全の措置をとるという心がまえで参りますように処置する考えでございます。まあ大体、この地すべりの大きい県は、先ほどお話がございましたように、どこどこがこういう危険地域だということもほぼわかっているようでございますし、またその県も、たくさんそういう地帯を持っている県、少ない県等も、おおよそ調査して、手もとに政府も持ち、県も所持しておられるようでありますから、今のお話のような点につきましては、特に各地方の公共団体ともよくお話し合いをいたしまして、御趣旨が徹底するように努力をいたします。
  101. 武内五郎

    武内五郎君 最後に一つ。これは多少無理なお願いかもしれんですが、しかしできないことはないと思いますが、符に地すべりがありまする現地の住民は、また地すべりがあるんじゃないか、再発するんじゃないかという心配にとらわれております。特に能生の住民なんかというものは、貨車が通るごとに目をさます。北陸線は一日八十何本汽車が通っています。特にそのうち、非常な震動を残していく貨車の数が非常に多い。したがって、汽車が通るごとにもう眠りからさめて心配するという状態になっておる。そこで、あの地方の人々が強く要求することは、もう地すべりがここにはないんだ、来ないのだ——これには、建設省調査農林省調査、また国鉄調査等に基づいて、政府として、もう安心せい、もうないのだというような措置、声明のような措置がとれるかどうか。できればもう安心せいということを明らかにしていただけるように措置をとっていただきたいんですが、どうですか。
  102. 徳安實藏

    政府委員徳安實藏君) 私も、そういう問題につきましては、ただいま即答いたしかねるかと思いますが、先ほどお話しいたしましたように、大体地すべり地帯はどの辺であって、その周辺はこうだというようなことも調査済みでございますから、そういうものを県を通じましても、あるいは県自体でも住民に知らせるというようなことは、そう不可能ではないんでなかろうかと、これは常識上考えます。これは帰りましてからよく当時者とも相談してみますが、そういうことについて、そういう地すべり地帯の諸君には常に注意を喚起し、そういう地帯でないのに無用の心配をなさるところには、その心配を避けてもらうという方法は、けっこうではないかと、かようにも考えますが、しかし、時によりますというと、あそこは地すべりがあるとは思わなかったというようなところも、地すべりということもあるかもしれないと思いますので、あまり政府がこれは安心だ安心だと、そこは絶対起きませんよと言った場合に、起きたりすると、たいへんなことになりますので、その絶対ということは、政府としても、平地なら別ですけれども、やはり山を背負いましたり傾斜の画を持っておりますと、そういうことははっきり言えないような面もあるかと思いますが、しかし、おおよそ調査しておりますものを、人心が不安にならぬように防止対策をするというようなことは必要じゃないかというようにも考えますし、それに対してどういう処置をとったら、あるいはこういう防災計画によって政府もあるいは県もこういう措置をとったので、これならだいじょうぶでしょうということは、われわれはお話ができると思います。  これは私は常識で御説明を申し上げておるわけですが、一応役所の各関係——あるいは農林省、あるいは建設省、等の関係もございますから、一ぺん相談いたしましてその上でまた御答弁をいたしたいと思います。ただ、常識的には私はそれが可能ではなかろうかと、今申し上げました程度ではそのように考えるわけでございます。
  103. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 時間も迫りましたし、ごく簡単に長官にお伺いいたし御所見を承りたいと思いますが、今回の豪雪に対しまして、その災害についての対策、非常に熱心に御検討になり、着々実施されていることについては、心から敬意を表するものでございますが、これらの対策を進める間におきまして、いつも何かわだかまっておるような共通の一貫したところの困難性があるように思うのです。と申しますることは、雪害と普通言っていることは、その内容を検討しまするというと、ずいぶんこれは多岐にわたっていると思うのです。大ざっぱに申しまするというと、一つはいわゆる平常の状況が破壊されたところの災害。これに対しましては、復旧という方法を講じなければならぬ。もう一つは、雪の降るためにいわゆる社会生活なりいろいろの点においてその地域が非常な不幸な地位にある。したがって、いわゆる後進性があると言われておる。こういうような雪のいわゆる災害というものは、むしろこれは開発という方法によって対処できるものだと思うのです。でありまするから、普通雪害といううちには、いわゆる復旧という方法によってやるものと、また開発という見地に立ってやらなければならぬ、二様の性質を持っておるのが、この雪害という、普通のいわゆる水害とか震災というものとは違う性格を持っているものじゃないかと思うのです。したがって、これに対処する機構等を考えまするというと、普通の災害に対処するようなものでは少し足りないんじゃないかと、こう思われるのです。したがって、従来この対策についていろいろ御検討されておる中間の状況を仄聞いたしまするというと、いつでもまず第一に起こるものは、所管庁がどこだという問題であるようです。はなはだしきに至っては、所管庁というものがなかなか容易でないというためにその対策樹立できないという不幸な地位にあるようにも考えられるのであります。  最近問題になっておりまする、先ほども報告になりましたような雪害に対して、地方財政が非常に出費があるというようなものについて補助するということを御検討されておるようですが、これはぜひやっていただかなければならぬ。ぜひやっていただかなければならぬが、この問題についても、第一に起こる問題は、所管庁はどこだということであったように聞いております。  こういうようなものがひしひしとしてあるようでありまするから私はこの際、こんなに広い地域にわたって雪の害を受け、しかもそれが先ほど申しましたように後進性という一つののろいのために苦しんでおるということになりまするというと、災害復旧と開発というものを二つを基本として一つの役所を作るということを考えなければうまくいかないんじゃないか。もちろんこれは、従来総理府においてもやられておりまするし、また経済企画庁においてもやっておられますけれども、もう一歩これを拡大強化いたしまして、総理府の外局というようなところにおいて、たとえば積雪地帯管理局とか、あるいは積雪地帯開発局というような外局でも置いて、雪に関する一般のことを調査研究し、また災害のあった場合には急速に対処する方法をとるとか、その他全般にわたっての問題を解決するための常時やる一つの機構を作るということが必要じゃないか。そういうことになりまするというと、この問題についていつでも難関である主務官庁はどこだという問題もおのずから解決できて、スムーズにすべり出すのじゃないかと、かように考えるのであります。現に、今度災害基本法に基づきまして、雪の試験所を設ける、中央試験所を設けるということも大体緒について参ったように思いまするか、この問題についても、やっぱりこういうような問題をだいぶ繰り返しておったように聞いております。  さように、いろいろの点にこの問題がかかると思うのでありまするから、災害復旧積雪地帯の開発というようなことを全部総括して、雪に対する諸般の問題を検討し、そうして適切なる方策を講じて、そうして、日本全体が広い意味の雪の被害からのがれるような方途を講ずる恒久的の一つの機構を作ることが適切じゃないかと、かように私は考えておるのでありまするが、これについて今直ちに長官からこれに対する可否の意見を承るということはどうかと思いまするが、もしこれらについての御所見がありましたらお漏らしをいただければ幸いと存ずるのであります。
  104. 徳安實藏

    政府委員徳安實藏君) 今度の豪雪が非常に大きい、しかも範囲が広かっただけに、いろいろな問題が投げかけられまして、私どもも、一議員といたしましては、こうもなすべきである、こうもあるべきであるという見解に燃えておるものもございますけれども、今お話しのように、さて実施機関に諮ってみますというと、法の盲点もありまするし、あるいは実際問題として不可能だというようなものにもぶつかって参りました。したがって、こうしたものの欠陥をどこかで早く補うような処置をとらねばならぬと思いまして、先ほど申し上げましたように、政府でも研究しておりまするし、各党にもお話し合いを願いまして、そうして衆知を集めてそうした盲点や欠点を補っていこうという考え方で、与野党とも御意見の一致するようなものでございまして、国民が納得する線でございますれば、もちろん政府も、これに同意をして、院議を尊重することは当然でありまするから、そういう趣旨において私どもも御協力をせねばならぬ、こう考えておるものであります。  現在の災害関係は、防災という建前からいいますというと、積極的に、そういう災害が起きないような、そういう天変地異が起きましても、これをさえぎるような措置をあらかじめとっておくということがまず第一でございますけれども、それが国の予算やその他の関係によって思うようにはかどりません関係から、思わざる災害を誘発してくる。それから、今お話しのように、開発関係も、もちろんこれは災害には関係があると思います。災害には関係があると思いますが、現在のところでは、北海道には北海道の機関がございまするし、東北には東北の開発機関等もあり、あるいは今九州でも、あるいは近畿でも、あるいは山陰、北陸等にも、それぞれ形の整った、計画を審議するような機関もできておりますので、今直ちにこれにかわるような総合的なものを、ただ雪だけの関係でということは、ちょっと今考えておりません。ですけれどもお話の点もございますから、研究はしてみます。とにかく、こうした雪のために後進性を脱却し得ない場所には、これは雪の対策ということももちろんありますが、さらに日本国内全体のバランスを考えて、水準を高めるためには、国費をもってどんどん開発するということは必要だと思いますので、その見地からは、十分検討もし、協力しなければならぬ、かように考えておりますが、今申し上げましたように、直ちに雪に関連して特別な庁をこしらえるとかいうようなことは考えておりませんけれども、お説でございますから、一応私どももそういう御趣旨のあることを研究さしていただきたいと思います。
  105. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 最後に私から一つ質問したいのですが、たしか、地方防災会議で、これの体制が整っていなかった二県だか残っておったのですが、これはもう全部完備したでしょうか。
  106. 徳安實藏

    政府委員徳安實藏君) 全部完了したそうでございます。
  107. 辻武寿

    委員長辻武寿君) いつ完備したでしょうか。
  108. 徳安實藏

    政府委員徳安實藏君) 香川県が一番日収後になりまして、三月の二十二日にようやくできたそうでございます。そうして、もうすでに活動を始めておるそうでございます。
  109. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 市町村のほうはまだ体制は整っていないわけですか。今のは県でしょう。
  110. 徳安實藏

    政府委員徳安實藏君) 今申し上げましたのは県でございまして、これは香川県がしんがりで、全部県だけはできたわけであります。  そこで、市町村でございますが、ただいま私の手元に各町村——先般御質問がございましたから、県に対しまして、市町村で防災会議の体制の整ったところをすぐ摂してほしいという通牒を出しまして、その返事が参っております。これは数が多うございますから、委員長のところに、手元に刷りものにしてございますから、資料として差し上げたいと思いますが、どうぞそれで御了承願いたいと思います。
  111. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 他に御発言もございませんようですから、本日はこの程度にとどめます。   —————————————
  112. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。  長雨による農作物等被害状況及び群馬栃木埼玉県下における突風及び降ひょう被害状況調査のため委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 御異議ないと認めます。  つきましては、本院規則第百八十条の二により、委員派遣承認要求書を議長に提出しなければならないことになっておりますので、その内容及び手続等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時一分散会