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1963-06-27 第43回国会 参議院 建設委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年六月二十七日(木曜日)    午後零時九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     北村  暢君    理事            石井  桂君            稲浦 鹿藏君            増原 恵吉君            武内 五郎君    委員            岩沢 忠恭君            小山邦太郎君            田中 清一君            三木與吉郎君            米田 正文君            瀬谷 英行君            田中  一君            藤田  進君            中尾 辰義君            村上 義一君            田上 松衞君   国務大臣    国 務 大 臣 宮澤 喜一君   政府委員    総理府総務長官 徳安 實藏君    内閣総理大臣    官房審議室長  松永  勇君    経済企画庁総    合開発局長   大来佐武郎君    建設政務次官  松澤 雄藏君    建設省住宅局長 前田 光嘉君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○近畿圏整備法案内閣提出衆議院  送付) ○新住宅市街地開発法案内閣提出、  衆議院送付) ○連合審査会開会に関する件   —————————————
  2. 北村暢

    委員長北村暢君) ただいまから建設委員会開会いたします。  まず、委員長及び理事打合会の結果について御報告いたします。  本日は、近畿圏整備法質疑の後、討論採決を行なう予定であります。   —————————————
  3. 北村暢

    委員長北村暢君) それでは、本日の審議に入ります。前回に引き続き近畿圏整備法案を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  4. 田中一

    田中一君 経済企画庁長官はお急ぎのようですから、あなたのほうから先に質問しますが、この近畿圏整備計画の中には、開発という要素が非常に多く出ているわけです。で、できるならばその前に、これは大来君でもいいから、開発整備というものの具体的な現象というものを説明してほしいと思うのです。まず最初に、開発という言葉の持っておる内容、それから整備という言葉内容、それが現在この法律に現われておる具体的な姿というものをひとつ先に説明して下さい。
  5. 大来佐武郎

    政府委員(大来佐武郎君) 開発整備という問題は、全国計画作成の際に、日本の全地域を過密、整備開発と三地域に分けたのでございます。これは地域政策内容性格に対応した地域区分ということになっておるわけでございます。開発と申します場合には、この地域経済発展に対してかなり政府の積極的な手段を必要とする、工場を誘致し、立地条件整備等について特に積極的な開発政策を必要と認められるような地域であり、整備地域というのは、従来の既成工業地帯がだんだん過密化するにつれて、企業のほうもこれから新しい立地を求めて、土地、水等のより豊富に得られるところに出て参る希望が強まっておるわけでありますが、その場合に、工場等の出ていきそうな可能性が強い地域、その地域については、受け入れ態勢を十分整備しておく必要があるという意味整備地域考える、そういうふうな観念になっておるわけであります。
  6. 田中一

    田中一君 そうすると、この近畿圏法律内容というものは、具体的にどういうものをねらっておるか、今の説明のような、開発の具体的な内容、それから整備の具体的な内容というものをどういう形で持っていこうというつもりなのか。
  7. 大来佐武郎

    政府委員(大来佐武郎君) ただいま私のほうからは全国計画における考え方を申し上げましたので、近畿圏内部開発整備につきましては、総理府のほうから御答弁願ったほうがよろしいかと思うのであります。
  8. 田中一

    田中一君 国土総合開発計画、同時に、近畿圏地域開発計画というものと、どういう工合に乗っけていこうかということを伺っているわけなんですよ。
  9. 大来佐武郎

    政府委員(大来佐武郎君) そういたしますと、全国計画につきましては、国土開発考え方の大筋が示されて偽りますので、さらにその内容を具体的にする一つの行き方といたしまして、主要なブロックにつきまして、その地方開発促進計画を作成する、これには九州とか中国四国北陸東北と、それぞれのブロックに対する開発促進法がございますので、それに基づいた開発計画改定ないし策定を現在やっておるわけでございますが、近畿圏ができて参りますと、全国計画立場から見れば、全国ブロックといいますか、全国ブロック一環としての地方開発計画ができて参るものと考えるわけでございまして、私どものほうの全国計画一環として近畿圏開発整備計画を御準備願うという格好になるかと思うのでございます。
  10. 田中一

    田中一君 地域計画では、いわゆる地方計画ですね、地方計画に先行して現在あります近畿の各府県のその地方計画に乗っかっていくということなんですか。それとも独自の近畿圏という一つブロック計画が別に策定されるということなんですか。
  11. 大来佐武郎

    政府委員(大来佐武郎君) 私ども考え方といたしましては、全国計画と、まあ地方計画と申しますのは、一応、九州地方とか中国地方という法律の名前になっておりまして、普通に申しますブロック考えていただいてよろしいかと思うのであります。それと都府県計画とが考えられるわけでございますが、都府県計画というものが、ブロックと結び合わせれば下から積み上げるブロック計画になって参りますし、全国計画ブロック計画におろしてくれば、上からおりてくる計画になるのでありまして、この地方計画、つまりブロック計画というのは、そういう県の計画の積み上げと、国の全国計画からの導き出される考え方、その結び目になるというふうに私ども考えている次第であります。
  12. 田中一

    田中一君 国土総合開発法では、計画とは、国土総合開発都府県総合開発地方総合開発、こういう三つに分かれております。従来、都道府県開発計画——これは北海道は別になっておりますが、府県開発計画もとになって地方計画ができる、地方計画もとになって全国計画というものができ上がるように、われわれは今まで通念として考えておったのであります。そうすると、まず疑問に思うのは、開発面から見て、府県総合開発計画とそれから地方総合開発計画というものが近畿圏にそのまま乗るかどうかということです。乗らないと思うのです。そのまま地域として乗っておらぬわけです。その場合に、開発計画というものは何を言おうとしているのか、具体的に。たとえば近畿圏という定義が、今度の場合には、地方計画よりも区域が延びているのですよ。それと全く同一の地域近畿圏ということで言っているのですか。
  13. 大来佐武郎

    政府委員(大来佐武郎君) 国土総合開発法には、御指摘のように、全国総合開発計画都府県総合開発計画地方総合開発計画、それから特定地域総合開発計画と四つ指定してございますが、地方総合開発計画につきましては、今まで作られた例はございませんで、地方総合開発計画は、二つ以上の都府県区域にまたがるものを協議によって作成することになっておりまして、先ほど申し上げましたブロック計画とは別の体系になっているように思うのであります。国総法ができました後に、御承知のように、東北中国四国九州北陸等にそれぞれの独立の開発促進法ができまして、このほうは政府がそのブロック計画を作る建前になっているわけであります。国総法にいう地方総合開発計画は従来行なわれた例がございませんし、さしあたりといいますか、ブロック計画のほうは国総法ではございませんで、それぞれのブロックについて単独法律のほうで計画を作るということを今までやってきているわけでございます。
  14. 田中一

    田中一君 そうすると、たくさんできましたね、地方計画ですか、単行法で。それとこれとは関連はどうなんですか。
  15. 大来佐武郎

    政府委員(大来佐武郎君) 国総法と単独地方開発促進法と重複するのじゃないかという議論が当時もいろいろ立法当時あったようでございます。国総法は昭和二十五年にできまして、地方開発促進法は三十二年以降次々に出て参りましたという事情がございますが、それは総理大臣調整するということで調整をはかろうという建前になっておりまして、実は国総法ではブロック計画観念がどうも私ども解釈いたします限りでは、あまりはっきりしておらなかったという点が、単独のそれぞれの地方開発促進法が出て参った一つの理由ではなかろうかと思うのでございます。
  16. 田中一

    田中一君 そこで、計画は立つけれども、実際の実施面では摩擦というか、競合というか、そういう点は全然ないというように考えられておるのですか。それとも、従来あるところのあらゆる形の縦割り横割り、いろいろなものがあるでしょう、その計画もとになって考えられるものであると、これはむろん企画庁だって、宮澤さんは閣議で、あるいはまた、その以前に事務的に打ち合わせがあったと思うのです。それはどういう形の了解を与えてできたかということを聞きたいのですが。
  17. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 従来地方開発計画国土総合開発計画との関係が不分明でありましたのは、一つには、国土総合開発計画が、法律が制定されましてから十年余り計画ができなかった。それに対して各地方開発計画がその間に先行した。先行したと申しますよりは、全国総合開発計画がおくれたところに問題があるわけであると思います。そういう点で両者関連が、全国総合開発計画ができますまではっきりいたしませんでしたし、できましたあとでも、実はいろいろな計画が先行しておるというのが現状であると思います。その間の調整をはかりながら全国総合開発計画を実際に行ない得るものに作っていく今過程にあると思うわけであります。そこで、この近畿圏についてのいろいろな計画でありますが、やはり考え方としては、これが全国総合開発計画一つの部分になる、そういうふうに認識すべきものだと思います。その間の調整につきましては、この法律案の附則の第四項に書いてあるような考え方をしていこう、こういうことだと思います。
  18. 田中一

    田中一君 いろいろな計画ができても実行されないでいるのが、実行されないというのは、どこか着手しているけれども、着手というか、実施はされているけれども、総合的な実施はないですよ。そのためには、それに今までの法律というか、計画にあきたらず新しい計画が生まれてきているのです。常にそうなんですね。全国計画を生み出す場合にも、総合開発法が通って六年か七年たってようやく、それも特定地区開発経済効果その他を全部集約した数字をそのまま全国的に集めて、そうしてできたのが第一次の全国計画であったのです。そのあとそれを経済発展とともにいろいろな意味の修正も加えながら、二年ほど前ですか、全国計画が一応出ておりますが、私は計画というものは常に変わっていいと思うのです。変わるべきであると思うのです。たとえどういうことであろうとも、先見の明があろうとも、なかなかその計画どおりに乗ってくるものではない。計画以上に伸びるものもあるし、また、幾ら計画してもそれが前進しないものもある。変更されていいと思うのです。しかしながら、大づかみに一つ計画というものを一応持って、それはわれわれの生活に密着する一つ利益になっているわけですから……、けれども、その計画が見通しも立たないうちにまた新しい計画が生み出される。御承知のように、この地域国会議員は反対できません、選挙というものがある以上。その地域要求というもの、地域要求は、かつてあった、現在あるところの計画が不十分であるから新しいことを考えようとするのです。私はもう少し、こういう計画が出る場合には、経済企画庁としては十分に——地元の意見ということはむろん尊重しながらも、われわれの民族の消長とどういう基本的なプラス、マイナスがあるかということを検討しなければならぬと思うのです。ただ、社会、民社、自民という衆議院における政党が地域要求にこたえて一つの立案をした——今度のやつは政府提案でありますけれどももとになっているものは、これは各地域要求にこたえて議員提案で出そうとした法案なわけですから、経済企画庁としては、国土総合開発法という法律があり、かつまた、それによって十分に改定をしながらいわゆる前進に合わしたいろいろな、形のおくれたものもあるし、特別に進んでいるものもあるという状態ですから、合わしたものを常に指導的な立場改定しながらいくべきであるのです。ところが、そういうことを、これは大来君が来てから非常に前進したかもしれないけれども、従来開発局長というのは、農林省から来た開発局長が一年、次の地位を得るためのステップとして開発局長になり、そうしてまた出ていく。今の農林の伊東君にしても、一年か一年半ちょっといる。今度は建設省から来てちょっと一年か一年半いて、また、その次のジャンプの踏み台にしているのです。そういうことでは、実際新しい計画要求がどの地域でも出てくるのです。これが一つ首都圏の場合には、おのずから性格が違うと私は思っております。これは、先ほど局長が言っているように、後段の整備というものの中に入っているのであって、今回の場合には、開発というものが織り込まれている。それだけに、経済企画庁としては、計画は単なる計画であって、何ら前進してない、常に改定されていいと思います。この次は、この法律の成立によって、また異なった地域の議員立法なり、あるいは政府提案なりの法律が生まれる可能性が多分にあると思うのです。この点は、経済企画庁は基本的にどういう態度をもって臨もうとしているのか。これは、たとえば河野さんが経済企画庁長官を一年か一年半かやりましたが、国土総合開発なんというものには全然出たことがない。耳をかさなかったです。経済審議会のほうには常にやっているけれども藤山経済企画庁長官時代にも熱心に触れようとしない。宮澤さんは若くて熱意がある人だから、どういう考え方であなたの担当している面の国土開発に対しているのか、将来こういうものが他の地域で出た場合には、どう対処しようとするのか。出て調整すればいいじゃないかということだけじゃ済まないのですよ。大体日本法律が多過ぎるんですよ、わが国は。基本法がないから、どうしてもその一つ現象々々を追っかけて法律を作っておさめていこう、おそらく日本の現在国土開発という、日本の大綱ですよ、これは。もとになると思っておるのですよ、あらゆる面から。関連するいろいろな法律、たとえば、今度衆議院でおとといかきのうか可決された河川法にしても、そういうどの面から見ても、日本国土計画というものがどういう形になっているか、なろうとしているかということに対する政治的な配慮が歴代の長官にはなさ過ぎた。宮澤長官は、将来これらの類似の計画要求として地元から来た場合に、選挙も近いというから取り上げてくると思うのですがね、その場合どう対処しますか。
  19. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 御質疑の点は非常によく私にはわかります。確かにそこに問題があるわけであります。で、総合開発計画法律制定後十何年できなかったということであったわけでございますが、これは本来全国総合開発計画基本法ができましたときには、御記憶のように、いわゆる食糧増産でありますとか、電源開発でありますとか、そういう考え方時代昭和二十四、五年の時代であったわけでございます。で、当時の国の経済要請と今日の要請とはかなり質が違っておると思うわけでございますが、昨年立てました全国総合開発計画は、したがって、母法考えておりましたのとはかなり違った要請を盛り込んで考え方を立てたわけでございます。ところで、その間にいろいろな地方計画一つ々々作られて先行した。さしずめ、したがってその間をどうやって調整するのか。あとからキー・プランができたわけでありますから、それを現実に進んでおる時代とどう調整するかということをしなければならなかったわけであると思うのであります。そこで、ただいま御指摘の点がよくわかりますと申し上げる意味は、わが国——これはあるいはどこの国でもそうであるかもしれませんけれども、全体として、片方に、地域間の格差をどういうふうに是正していくかという問題がございます。これは経済にいたしましても、文化にいたしましても、国内の数カ所の地点に過度に集中するということは本来よくないことでありますし、また、政治の目的としても、地域格差を是正するということは大切なことであると思うわけでございますが、そのことは、現実にはしばしば、短期間の投資効果ということから判断をすれば、地域格差是正ということは、短時間の投資効果考えれば、この両者は必ずしも常に一緒の方向を差し示してはいないわけでございます。そこで、全国総合開発計画は作りましたけれども、国全体としてのバランスシートと申しますか、そういうことを常に地域の住民が頭に置いておるかといえば、私は正直を申してそれは必ずしもそうでないと考えます。何といっても、地域社会がよくなるということは当然なことながら考えやすいわけでございまして、それが国全体の効率からいってどういうものになるであろうかということは、国民の間の認識の問題としてはともすれば第二義的に扱われやすい。これも、地域格差がこれほどございます限りは、ある程度は私はやむを得ないことだと思いますけれども、しかし、そこをやはり全国的な視野の中で処理していこうという試みはなされなければならないと思うわけでございます。それが、全国総合開発計画がねらっておりますところの考え方だと思いますが、現実には、しばしばいろいろな妥協をせざるを得ないということが事実であろうと思います。しかしながら、この近畿圏整備法案は、多少私はそういう意味での——まああちこちから出て参ります地方開発あるいは整備考え方とは性質を異にしておると思います。と申しますのは、やはり阪神という、経済あるいは文化の相当長い歴史を持った一つ中心は、これはやはり東京首都圏と並ぶ性格のものであると考えましても、そんなに私は普通の常識ではずれておる考え方ではないというふうに考えます。したがって、そういういわば日本の二大拠点一つであるところの阪神地域中心にして、そうして、まあこの法案にはこれは整備ばかりでなく、開発という観念もありますし、既成都市区域という観念もございますし、保全という考えもございますから、いわば日本全体の縮図みたいなものがこの法律案では考えられておるわけでございますが、まず阪神というような二大拠点一つ中心にして、そういう考え方を作ってみるということは、これは意味のあることであろうというふうに私ども考えます。ただ、それが先刻申しましたように、全国的な視野と無関係に、あるいは場合によっては相反して進んでいってもらうということは困る。そこは調整の問題でございますけれども、本来はもうそういうふうに考えるべきものではないか。したがって、私ども全国総合開発の観点からこの法律案に反対であるというふうには考えておりません。むしろ、全国総合開発計画と調和のとれた形でこの法律案法律として実施されることを望んでおるわけでございます。そこで、おそらく御質問の中に含まれておった点は、たとえば同じような問題が中京について起こってきたらどうするかというようなことは考えられそうな点でございますけれども、どうも私どもは、この首都圏整備に関する現在の行政が、臨時行政調査会などで検討をされておる段階でありますし、また、近畿圏のこの法案は、もう少しそれよりは弾力性のある、したがって提出の仕方をしておるわけでございますから、そういう段階でさらに中京をまた考えるということは、にわかにはいかがなものであろうかという感じが、実は私いたします。それは先刻申しましたような地域社会利益ということが、しばしば国全体の総合的な見地を飛び越えて議論せられることがわからないわけではございませんが、さて、中京についてそういう問題が起こりましたときに、再び同じようなことを考えるかどうか、どうも私自身はその点は消極的に考えざるを得ない。ただいまのところは、そういうふうに思うわけでございます。
  20. 田中一

    田中一君 究極首都圏整備とか近畿圏整備とかという考え方が生まれるのは、総合開発計画の弱体からくるのです。何も、整備開発も、究極同じことなんです、結局。計画がないから整備をしなきゃならない、計画実施されないから整備をしなきゃならなくなってくるのです。もう法律が制定されてから十五年もたっています。今、長官のお話のように、戦後の混乱から生み出そうという目的も、いろいろ変わってくることはこれは当然であって、だから、経済企画庁としては、毎年々々の推移を見詰めながら計画というものを改定すべきである、それを考えるというような余地すら、今の経済企画庁国土開発局には力がないということです。私はそういう計画が、地域のものは、やはり国土総合開発計画の中に地域計画としての存在が、これはあろうと思うのです。しかし、それと調整すればいいではないかということではなくして、もと計画がなければならぬと思うのです。もと計画一環だと、現在あるところの全国的な総合開発一環であるという答弁を受ければ、それでけっこうです。それだけ答えればいいのです。十分それとマッチしたその計画に載っているところの計画でございますと。そこで、近畿地区特異性で多少、地域等は地勢は変わっているけれども目的は同じです、という答弁ならばそれでいいわけなんです。しかし、そういう検討を年々国土開発局はしておるかどうか、私はしてないと思うのですよ。するようなスタッフはおらぬですよ。現象を追っかけてそれをプラスしたりマイナスしたりして計画を立てるということじゃなくして、少なくとも相当たくさんなスタッフを置いて、ほんとうもと計画というものを作り上げて、そこから出発する地域社会利益考えられるべきだと思うのです。あなたの所管する総合計画局ですから、このままでいいとお考えですか。もう少しほんとうに、ソビエトなんかがやっている産業計画というものは、実行して次の段階計画に移っているわけですね。その点はどう考えられますか。私は、二年に一ぺん、三年に一ぺん、やはり各省が実施官庁として行なっている計画実施状態あるいは地方都道府県に生まれている効果等が常に国民の前に説明され、報告されておるならば、もう少し地域社会人たちも関心を持とうと思うのですが、ただもう単なる絵にかいた計画でございますというような認識しかないという現在の総合開発に対しては、これは相当お考えにならなければならぬと思うのです。年々の予算にしても足りませんよ。実施官庁にまかして、実施官庁計画どおりやっておるであろうということではいかぬ、やはり経済企画庁企画庁なんですから、プランというものはほんとうに実現し得る意思決定というものが、実施官庁要求でそれを取りまとめるのでなくして、経済企画庁からはっきりした指針が出るようなことが望ましいのです。それがないところにこうした数々の地方計画というものが生まれてくるのだと思うのです。私は首都圏という整備計画すら賛成しかねたのです。それには、根本の国土計画というものができておらぬからそうなってくるのであって、今あなたは地域格差ということを言っておりますけれども地域格差を低めようとするのでなく、高めようとする、結局それが均霑されないです、ますます。いろいろな形の法律案が今回この国会にも出ておりますけれども、それがほんとうに総合的に、それらを全国的視野から見てかくかくであるというような指針国民の前に、経済企画庁から出ておらぬです。作文だという印象しかないわけですね、国民の目から見れば。先ほど言っているように、現在あるところの全国的な総合開発一環であると、それに延長されたもう少し地域を広げた近畿圏としての計画でございます、という答弁ならば、それはもう疑うことがなくてそれでけっこうだと思うのです。それくらいまで自信をお持ちの全国総合開発計画が立っておるならば、それでけっこうです。しかし、これから調整するということになりますと、どういうところで調整するのか、その点もう少し……。大体総理府内のことなんですけれども近畿圏のこれを徳安さんのところから取り上げてあなたのほうで持ったらどうですか、経済企画庁に持っていったら。どこにだれが国務大臣として兼務するか、徳安さんが国務大臣になってこれを主管するのかわかりませんけれども、ばらばらではいかぬです。どういう考えを持っておりますか。
  21. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) この法律案の意図しておりますことに関する限り、先ほど申し上げましたように、これは全国総合開発計画でも、近畿圏ということを考えているわけでございますから、多少地域的なズレはございますけれども、これは全国総合開発計画との関連において十分考えるべきことでございます。この点は、先ほど多少詳しく近畿圏の持っている特色について申し上げましたところでございますが、それについては、私ども全国総合開発計画一環として、これについては少しも困ることはない、積極的に推進をしたいという考えでございます。  で、次に、ただその後に田中委員が一般論的に全国総合開発計画と多数の地域計画との関係についてお尋ねがございまして、また、御意見の御披瀝があったわけでございますが、それは、残念ながら私はそのとおりだと思うわけでございます。その点は地域計画のほうが悪いと申しますよりは、全国総合開発計画が非常に弱いと、一種の机上のプランであると、こういう御批評でございましたが、その点は、遺憾ながら私どもはそういうふうに認めなければならない問題点が数多くあると思います。実にそう思います。それはなぜかというと、そのスタッフや予算の問題もございますけれども、それより前に、国全体の総合的な計画地域について立てなければならないという一般的な広く国民的な認識が、私はそこまで成熟していないというのが現状ではないかと思います。したがって、もし私どもが実際に行ない得る総合開発計画を持ち、そうしてそれを実際に行ない得るという場合と比較いたしますと、たくさんの地域計画の間に、国家的には相当なロスがあったり重複があったりしているのが現状だと思います。これは非常に残念なことでありますけれども、事実であるということを認めてかからなければ問題の解決にはならないと思いますから、私どもは、それはどうしても認めなければならないと、地域格差の是正は大事でありますけれども国民経済全体として、国全体として重複だの、ロスだのあることは好ましいことではないわけでございますから、やはり国全体の総合的な利益という観点を、こういう議論を通じて国民全体に持ってもらう、そういう成熟した認識の上に立たなければ、私どもはどんなものを書きましても、それはやはり机上プランに終わるであろうという心配がございますので、そういう認識を育てるというためには、これからも大いに経済企画庁としては努力をしなければならないと考えます。ただそれは、この会議題となっております法律案につきましては、幸いにして、これは総合開発計画一環として十分に擁護し得る、説明し得るものであるというふうに考えております。
  22. 田中一

    田中一君 これはなんですね、宮澤さん、年に一回ずつ、前年度の、あるいは前々年度でもかまいませんけれども、実績等を国土総合開発審議会あたりに、これを報告するような計画をお立てになるのですね、計画と実績を、年次ごとの。それが、特定地域の問題、その他数々の問題がありますけれども、それはどうなっているかということ、これは普通一般の国民はわからぬです。特定地域開発十九か二十ございます、そのほかに、先ほど大来君が言っているブロック計画、そういうものがどういう工合に乗っかって、同じものを別の面からこう計画としてやっているのか。それがみんなずれているのか、一緒になっているのか、その点の検討が私足りないのじゃないかと思う。そういうものを、一年に一ぺんぐらいずつ必ず報告することにしなければいかぬと思う。これは国土総合開発審議会にすら今報告されておらぬのです。これは宮澤さん、あなたがあまり熱意がなかったということになるのですよ。熱意ありましたかな。大体において経済問題はどの長官も熱心にやります、任期中は。国土開発となると、全然長官そのものが大した腰を入れないというのが、今までの実例なんですがね。これは大来さん、あなた、どうです、今の大臣は。そうしてね、あなたどこから来てどこへ行くのです、今度は。もうぼつぼつどこかへ行くことになっているのでしょう。腰かけでしょう、やっぱり。そういうところに、実にもうしゃくにさわるくらい、国民に対して失敬ですよ。どうです、ひとつ今の大臣評してごらんなさい。
  23. 大来佐武郎

    政府委員(大来佐武郎君) 前半の御質問に対して、実績の対比とそのレビューを審議会に報告すべきであるという点につきまして、確かに従来の国土総合開発審議会で十分に行なわれていないような点もあるようでございます。実は、このレビューをすべき計画がやっと昨年の十月に初めてでき上がったわけでございまして、それまでは計画がございませんでした。それから各ブロック計画につきましては、年に二回、ものによっては三回開きまして、九州とか四国中国等、まあ今度は九州東北計画を、初めて全国計画ができましたので、現在改定計画を急いでおるわけでございまして、それから中国四国につきましては、法律ができましたときにすでに全国計画が作業中でございましたので、しばらくこの全国計画ができるまでこのブロック計画の作成を待っておったわけでございますが、これも同様今作成中でございます。まあそんなことで、だんだん、今まで確かに不十分でございましたし、不十分の理由の一つには、日本経済、戦後経済が非常に急速に変転して参ったという、地域開発の目標自体も大きく動いて参ったという実情もございますかと思います。これからだんだんこの地域開発の問題が軌道に乗っていくのではなかろうかというふうに、まあやや希望的観測でもございますけれども、私ども考えておるわけでございます。
  24. 田中一

    田中一君 経済企画庁には特定地域の課長と、それから全国計画の何か、そういう工合に分かれておるのですか、機構がどうなっているのです。
  25. 大来佐武郎

    政府委員(大来佐武郎君) 私どものほうの局には、総合開発課という総括課と、開発計画課と、これは全国計画及び各ブロック計画を担当しておる課でございますが、それから特別地域開発課、これは特定地域関係、あるいは公共事業調整費関係等をやっております。まあそのほかに離島振興課とか東北開発室とか国土調査課とか、そういう機構があるわけでございます。
  26. 田中一

    田中一君 まあこれはひとつ宮澤さんね、あなたは中京地区の——中京圏か、中京圏の法律案が出ないであろうかという見通しから、先ほどのような答弁をしたのでしょうが、出たらあなたはどうしますか。出ますよ。北九州も出ますよ。これはね、出るものなんですよ。東京都は特殊性があるといって押えておれば別ですけれども近畿圏が出たら必ず出てきます。何士、何々士というさむらいは何十職業、何十職あるかわからぬですよ。おそらく所管外のことは記憶ないと思いますけれども。一ぺんとめました。とめたものだから最近出なくなりましたけれども。これはおそろしいものですよ。実効があるかないかの問題ではなくて、名前はほしいのです。特別に何か単行法が出ると、何か実際に得をしたような感じを持つものなんです、地域人たちは。それに乗っかって、あなたたちは常に政治的な配慮でもって名前だけはやっているのです。どうもこれは議員立法なり、あるいは政府提案なり、いろいろな形でもって国民をごまかすものなんですよ。一つ基本法があればですね、全体がそれでもってその法律もと地域利益というものはかなえられるものなんです、その組み合わせによって、地域のですね。それが今までない。十何年たってない。ことしから、大体去年の十月に大体できたというのだから、大来君の手腕に期待しますけれども、まあ少なくともこの法律は、国土総合開発という大きな面から見ればこれは反対すべき性質のものでありますけれども、何といっても同僚の、われわれの仲間の議員も賛成して、どうしてもというのですから、これはもう賛成せざるを得ないのですけれども経済企画庁長官、ひとつ今後とも、もとほんとう国土総合開発法計画をがっちりときめて、そうして国民が、地域利益ばかりを考えないで、全体の利益もと地域利益をはかるという考え方に立つような計画を年次々々発表したらいいと思うのです、その役所があるのですから。まああとのことは徳安さんに聞きますけれども、私があなたに伺うのは、どこまでも基本法としてある総合開発国民のものにして、国民の深い理解と、それから信頼を持たれるような計画を出してもらうことです。その中には、たとえば治山治水の十カ年計画とか、道路整備とか、あるいは港湾とかといういろいろな形の法律案が別の計画としてあるわけなんですよ。それらを全部それらが先行して、実施官庁計画が先進して、経済企画庁総合開発そのものがあとからついていっている。取りまとめ役なんですね。何の実効もないのです。やはり政治の一番の中心は、そこに、日本の四つの島によって生きるということです。これが根本的な対策は、農林大臣、建設大臣どころじゃございません。ほんとう経済企画庁でそれを樹立するような、先ほど予算の問題やスタッフの問題でないと言うけれども、それが足りないのです。そういう点を考えてやっていただきたいと思うのです。そうして、まあ近畿圏の問題は、きょうこれは採決することになっておりますけれども、今後ともこういうものが出る前には、十分に経済企画庁はそれを受けて検討するという強い態度をとっていただきたいと思うのですよ。私は徳安さん、総務長官のところから出るなんということは夢にも考えなかったですよ、実際には。徳安さんは非常に熱心だからそうなったんでしょうけれども、どうもおかしいと思うのですよ。経済企画庁がこれを出すべきである、私はこう考えております。もう答弁要りません。私の長官に対する質疑は終わります。
  27. 藤田進

    ○藤田進君 理事会の決定として、時間が非常にあとないようですから、一、二点だけ。  いろいろうわさされておりますこの本部長の予定はどういうふうになっておりますか。
  28. 徳安實藏

    政府委員徳安實藏君) これは、この法律に書いてございますように、国務大臣をもって任ずることになっておりますので、法案が通りましたら、総理のほうからいずれ御指名があるかと思います。
  29. 藤田進

    ○藤田進君 それはむろんそうでしょうが、今、非公式にはいろいろ伝えられているわけですよ。たとえば、首都圏と兼務するとか、全然別人を充てるというふうにするのかという点については、話し合いはかなり進んでいるような……。
  30. 徳安實藏

    政府委員徳安實藏君) 一応、法律建前ができますまでは私のほうで取り扱っておりますので、先日来、総理にも、本日あたりこの法案が通していただけるような見通しであることを伝えまして、お考えおきを願うように話はしております。しかし、まだ、総理のほうから、どうというお話もございませんが、いずれ、これが通りましたら、閣議があります席上で御指名があろうかと思いますから、もうその日たたずに、御検討の上で御決定になるものと、かように考えておりまして、今のところでは、まだ私のほうではだれそれというような総理の話は全然ございません。
  31. 藤田進

    ○藤田進君 本来あれですか、首部圏整備委員委員長は今、建設大臣ですが、それとは全然別個の形が考え方としていいのか、あるいは関連性等から見て、兼務すべきがこの法案の性質上好ましいのか、そういう基本的な御解釈なり、あなた方のお考えを承っておけば、それだけでもよろしい。
  32. 徳安實藏

    政府委員徳安實藏君) これは、まだほんとうの私語の程度でございまして、総理の意中によってきまることでありますから、あまりそんたくすることはできぬと思いますが、いずれ、経済企画庁、あるいは建設省、あるいは運輸省、あるいは行管、そういう方面に非常に関係の深く根ざしておる法案でもありまするししますから、おそらく総理はそちらの方面の御意見等も徴せられて、次の閣議等に御発言になるのではないか、かように考えますし、また、さように御進言を申し上げておる次第であります。
  33. 藤田進

    ○藤田進君 しかし、そのかなめになる本部長について、どういうそれは……、付帯人事はよろしい。しかし、この法案運営にあたってどうあるべきだという、あなた方にその用意がないということは、これはまことにずさんであると思う。しかし、そう基本的にまた理想的に思っても、人繰り上その他いかない場合も、それはあり得るかもわからないけれども、この法案性格上、本部長と銘打つ以上、本部長はこうあるべきだという基本的なものがないということでは、ちょっときょうすぐ私もこれを通すわけにはいかない。
  34. 徳安實藏

    政府委員徳安實藏君) 意見もないことはございませんし、おそらく総理もお考えになっておると思います。しかし、これはまだ、先ほど申し上げましたように、私語の程度でございまして、高い次元において、総理がかくあるべきだという御判定はもうすでにできておるかと思いますけれども、ただ私どもがいたずらに揣摩憶測して申し上げることも、かえって間違いが起きましたり、あるいはいろいろな誤解を生むことになりますので、この席でそういうことを申し上げることはいかがかと考えます。したがって、総理は十分この点についてお考えの上で御決定になって、なるべく近い機会に、閣議の席で御発言なさるようにという話は申し上げてございますから、十分お考えになっていると思います。私ども、意見がないわけではございません。しかし、これはあくまでも総理のお考えになります補助的な御進言でございますので、私どもはこういうことを総理に言っておるとかどうとかいうことは、こういう席で申し上げることではないと思いますから、そういう程度で御了承願いたいと存じます。
  35. 藤田進

    ○藤田進君 これは、本部長がどういう基準なりによって選任されるということは、この法案の後に影響すると思う。なるほど総理がおきめになるようになっております、とすれば、総理のお気持を長官にお聞きするということは、これは無理な話で、総理に来ていただいて聞かなくちゃならなくなりますが、そこまでいかないで、この問題は一応保留いたしますが、ひとつ今後の運営にあたって、川島さんがおやりになって途中で河野さんがかわるというようなことで、必ずしも首都圏についても私は一貫性がなかったように思うといったようなことで、まあこの法律自体が両院の院議できまったことだし、何か出さなければ仕方がないだろうというようなにおいもするわけですが、そういうことでなしに、きまった以上は、十分推進をはかられるという意味で慎重に、しかも適切な処理をしていただきたいと思うのです。  それから、田中委員から質疑がどうあったか、私会合に出ておりまして恐縮ですが、企画庁長官にお伺いするのですが、実は、私はおととい出席を求めたのですが、都合でということで、同郷のことでもあるし、まあがまんいたしたわけで、きょうせっかくお見えいただいたのでお伺いするわけですが、確かに企画庁も広範多岐にわたるけれども、これは臨時行政調査会のほうでも、全般について検討していることは承知しておりますけれども、しかし、その答申を政府は尊重されるという総理のこれは決意表明もあるしするならば、十分企画庁も、過去運営してこられて幾多の問題点が、国家行政組織内における問題としてもあろうかと思います。ことに近時、各地における総合開発、そして国土総合開発といったような輻湊している状態の中で、こうして近畿圏整備法案が出てくる、これが、確かにこのかなめになるところというものが必ずしも実体的に明確でない。これは人の問題もあるかもしれないが、大来局長のように経済問題には詳しい人もあろうけれども、結局実施官庁の発言なり計画なりが優先するというきらいもなしとしない。これは組織自体にも問題もあるかもしれないけれども企画庁とされて、単なる議会その他にアピールをする、物価がどうなったというような、いわば時の内閣の政策を補強していく、補てんしていくといういわば広報局みたいな感じも受けるわけで、そうでなしに、もっと根本的なものを考えられるときがもう来ていると思う。今のままでいいのか悪いのか、改善すべきところがあろうと思うけれども、しかし、実際に担務されている国務大臣としてどういうふうにお考えなのか。また、どうしようとされるのか。国土総合開発審議委員にも私なって行きましたが、どうも貴重な時間をさいて出席するのが、そのほうがもったいないぐらいなことで、実際体をなしていないですよ、審議会の……。といったような事例はたくさんありますけれども、少しそれらについて機構上、あるいはその他の運営についてこの際お伺いしておきたいと思います。
  36. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 経済企画庁長官といたしましてしばらく仕事をいたしておりまして感じることは幾つかございます。一つは、いわゆる経済企画という、そういう観念が、必ずしもそのものが明白でありませんし、また、実際行政としてはなおさら、必ずしも明確でないと思う場合が多うございます。それは一つは、たとえばわが国経済計画をするということでございますけれども、そういう場合の経済を業種別にと申しますか、経済そのものを積み上げて考えて、こういう倍増計画でありますとか、あるいはその年度の経済の見通しでありますとかという仕事をいたしますけれども、このことは、その計画に従って国民経済が運営されると、そういう建前になっておるわけではございませんから、一種の誘導と申しますか、そういうことを現実にはいたしておるわけでございまして、実施のところへ手を出すということにはなっておりません。それから地域的に考えましても、これは先ほど田中委員から非常に示唆に富んだ、かつ、辛らつな御質問があったわけで、私は御質問の意味は重々身に浸みてわかるわけでございますけれども、この全国的な地域計画あるいは総合開発計画を立てて全国の、わが国全体の総合的な開発なり整備なりをするということが現実に行なわれておるかと申せば、まことに残念でありますけれども、必ずしもそうではない。それはそういう計画そのものを、地域利益より国民的な全部の利益がより上であるから、それとの関連において常に地域利益というものを考えていかなければならないという一般的な認識が必ずしも確立をされておらない。それは地域格差現実に相当あるゆえんでもあろうと思いますけれども、やはりそういう地域的に考えましても、一つプランなりプログラムで事が進むというような実態になっておりません。そういうところで全国的に見れば、いろいろなロスがあったりしておるわけでございますから、これはそのような観念国民の中に育て、また、私ども現実に行ない得るようなプログラムを作らなければならない。これは経済を業種と申しますか、産業別に積み上げて考えましたときも、あるいは地域別に考えましたときも、同じ性格の問題があるように思うわけでございます。ただ田中委員に申し上げましたように、この法律案そのものが、しかし、何分にも近畿圏というものがわが国の二つの大きな中心一つでございますから、全国総合開発計画でも近畿地方というものは考えておりますので、多少地域的なズレはございますけれども、こういう近畿圏を作って、そこにわが国経済文化の二大拠点一つを作り上げていこうということは、この全国総合開発でも考えておることでございますから、これはそのキー・プランに沿ったものであると、こういうふうに先ほどもお答えを申し上げました。次に、一般論としては、各地方地域計画というものは、なかなか国民的な利益そのものにロスがないような形で必ず充足しておるかといえば、実態は遺憾ながらなかなかそうなって参りませんということを申し上げておったわけでございます。
  37. 北村暢

    委員長北村暢君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  38. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記を起こして。
  39. 田中一

    田中一君 衆議院の附帯決議の第五項に、「事業計画に基づく事業の実施に当って、必要の場合、国は、国有財産の譲渡につき優遇措置を講ずるよう特別の配慮を行うこと。」、これはどういうことなんでしょうね。これは附帯決議なんですから、附帯決議として出ておりますけれども、先ほど経済企画庁長官も、今藤田君の質問にもあるように、こういう措置というものが特定なる地域に優遇されるということになると、格差はまずます激しくなるのです。ですから、この受け取り方はどういう工合に理解しておるのか伺いたいのですよ。国有財産が、それはいろいろな形のものがあります。やっぱり適地適所、適当な国有財産が譲渡されるのであって、特別にそれがこうだというような考え方は私はとりたくないのです。もうこの法律は、その地域だけがいいんだというような濃厚な体臭がにじみ出ているのです。こういうことが今経済企画長官が言っている格差を増大させるもとになるのです。そこには根本的な国土計画がないというところに問題があるのです。これはまあ衆議院での附帯決議にありますけれども、こういう希望に対してはどういうお考えを持っておるのですか。
  40. 徳安實藏

    政府委員徳安實藏君) この第五項に対しましても、衆議院で御説明を出る前に承ったわけでございますが、事務的なこともございましたので、私が特別に携わっておりませんでしたから、室長からひとつお答えするようにいたします。
  41. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 国有財産の処分につきましては、国有財産法、国有財産特別措置法、その他予算決算会計令等が中心になって法令上の処理がなされております。しかし、これは国有財産というものは、それを何に使う、その国有財産を最も国民経済的に効率のある使い方に使っていきたいというのが基本的な考え方でございます。したがって、衆議院でつけられましたこの附帯決議の意味も、そういう国有財産というもの、主としてこれは土地を中心考えられていることであろうと思っておりますが、土地というものはその地域から移動性がない。その地域のある土地をそのところで処分する際に、こういう近畿圏整備計画に最もマッチするように、最も国有財産としての利用価値の高い目的のために使うように心がけたい。その際に特にこの条項では、「優遇措置を講ずるよう特別の配慮を行なうこと」ということになっております。したがって、国有財産を随契で処分する場合、競争入札で処分する場合、いろんな処分の仕方がございます。その場合に優遇措置ということは価格を負けるという、価格を減額するということは、それぞれの法律にあることに従ってやっておりますので、法律がなければそういうことはできないわけです。この優遇というのは、そういう既定の法律によって、減額することができる場合になっておるときは減額をする。それから処分をする場合に、処分の相手方につきましていずれを選ぶかという場合に、この近畿圏整備計画にふさわしい事業を優先的に選べ、こういう御趣旨であろうというふうに考えております。
  42. 田中一

    田中一君 そうすると、現在国有財産の払い下げに関する法規があるから、その手続によってやるのだ、国民全部同等に特別な優遇をしないということなんですか。どういうことなんですか。言いにくければ言いにくいでかまいませんよ。
  43. 松永勇

    政府委員(松永勇君) いや、優遇というのは、先ほど触れましたように、売り払いをする場合に、この土地をだれにどういう目的のために売り払わなければならないということは、制約は法律上はないわけでございます。したがいまして、随意契約を適当とする相手方が数人現われてくるという場合が予想されるわけです。そういう場合に、その相手方の用途が、この近畿圏整備計画に最もふさわしい事業であるというものを優先して随意契約の対象として選ぶ。いずれにしろ、五つのその全部が随意契約の資格があるが、その資格のある五人の中でいずれを選ぶかという場合に、そういう選び方をしたい、こういうわけでございます。
  44. 田中一

    田中一君 そうすると、国有財産の払い下げは、常にそういう手心を加えて払い下げをしているのですか、今まで。
  45. 松永勇

    政府委員(松永勇君) それは手心ということではございませんで、随意契約の資格はいずれもあるわけでございます。法文上から申し上げますれば、だれとでも契約をして差しつかえない、違法ではない、合法でございます。そういう事態のときに、五人のうちいずれを選ぶかという場合に、その国が国有財産の利用として最もふさわしいもの、あるいは近畿圏整備計画の達成上最もふさわしいものを選ぶということでございます。
  46. 田中一

    田中一君 どうも行政面にまかされているものを、私はやはり手心という感じ方をするのですがね。法律の定めるとおり行ないます、ということくらいでいいのじゃないかな、答弁は。法律の定めたとおり譲渡します、ということくらいの答弁でいいのじゃないかな。どうも今の言葉を一般国民にいうと、何かだれかに特別に有利に譲渡するのじゃないかというような印象を受けますよ。事実また適格者は五人おっても、この法律ができる以上、この近畿圏整備に資する、要するものならば優先的に払い下げましょう、なんということになると、やはりあっちでも、こっちでもこういう法律を無理に作って、特段の手心を加えてもらおうということになりますよ。そういう感じを受けますよ。そういう答弁はほしくなかったのだな。
  47. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  48. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記始めて。
  49. 田中一

    田中一君 そこで、今当委員会でも附帯決議をつけることになっているのですが、この近畿圏の定義の中にある「政令で定める区域を除く」ということになると、一行政区域、自治体のうちどこかが除外されるということになると、まあ当然だというものは別として、地域要求がどうしても強かったら、どうしてもそれはやはり相当くみ入れようという考え方なんでしょうね。この衆議院の附帯決議も、第一項にありますが、こういう点は、あなた方が今まで考えられているものだけで押し切るのだというのじゃなくて、相当地域の人の希望も入れようという考え方を持っているのでしょうね、これは。
  50. 徳安實藏

    政府委員徳安實藏君) そのとおりでございます。
  51. 田中一

    田中一君 時間もなんだというから、じゃ、やめます。
  52. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  53. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記を起こして。  他に御質疑はございませんか。——他に御質疑もなければ、これにて質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 北村暢

    委員長北村暢君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これより討論に入ります。  御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  55. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 提案の理由ですでに述べられておりますけれども阪神地区は、京浜地区と並ぶ日本の商工業の中心地区であって、当地が、特に最近過大都市的な様相を呈してきており、無秩序な拡大の様相をわれわれは看過することができないということは、何人といえども異論のないところであろうと思います。われわれといたしましても、近畿圏内の雇用の安定を主眼にいたしまして、経済格差の是正、大都市の集中排除が必要であるということを痛感をいたしております。そこで、生活基盤の改善と産業基盤の整備を二本の柱として、社会経済文化の均衡、かつ、一体的な近畿圏の実現を期するという意味で、本法案に賛意を表したいと思います。  しかし、せっかくの法律ができ上がりましても、その目的を達成することなく、いたずらに歳月を浪費をして、法律そのものがたなざらしのようなことになっても遺憾でありますので、この法律の効果を十分に発揮し得るように附帯決議を付して、賛成をしたいと思います。    近畿圏整備法案に対する附帯決議案   政府は、本法の運営に当って、左の諸点について特段の留意を払うべきである。  一、近畿圏区域の決定に際して、政令で区域を除く場合には福井県など当該地方自治体の意見を尊重すること。  一、本法による計画策定に当つては、国土総合開発および地域開発計画との調整を十分はかること。  一、計画策定並びに実施に当っては、広範囲にわたる地域格差の是正に努めること。  右決議する。 以上のような附帯決議を付して、本法案に賛成するということを述べたいと思います。
  56. 北村暢

    委員長北村暢君) 他に御意見のおありの方はございませんか。——他に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 北村暢

    委員長北村暢君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それではこれより採決に入ります。  近畿整備法案を問題に供します。本案を衆議院送付案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  58. 北村暢

    委員長北村暢君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって衆議院送付案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられました瀬谷君提出の附帯決議案を議題といたします。瀬谷君提出の附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  59. 北村暢

    委員長北村暢君) 全会一致でございます。よって瀬谷君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、本案の報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 北村暢

    委員長北村暢君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  暫時休憩いたします。午後二時四十分より再開いたします。    午後一時三十五分休憩   —————————————    午後三時八分開会
  61. 北村暢

    委員長北村暢君) ただいまより建設委員会開会いたします。  新住宅市街地開発法案を議題といたします。  御質疑のある方は、順次御発言願います。
  62. 藤田進

    ○藤田進君 提案の法作成過程に議論に必ずなったことだろうと私思うのですけれども、いわゆる私有権、憲法二十九条とこの法案による土地収用権といったような関係の作用がどうもしっくり私には飲み込めない点もあるので、質疑は簡単に一言申し上げたけれども、ひとつ筋を通してこれを説明していただきたいと思います。
  63. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) お答え申し上げます。御案内のとおり、憲法二十九条におきましては、  財産権は、これを侵してはならない。  財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める。  私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。こういうふうにございまして、原則はこれは私有財産権は不可侵でございますが、「正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」というふうに書いてございます。そこで、今回の法案におきまして、土地を、私有地をこの法律の定めるところの事業を施行する場合には、収用できるということになっておりますが、この場合に土地収用法によっておりますので、正当な補償を行なうということにおきましては、土地収用法の現在の制度をそのまま使っていく、この点につきましては問題なかろうと思っております。その次に、これが公共のために用いておるかどうかという点が問題だろうと思います。これにつきましては、現行法の中で、住宅に関する土地収用に関する規定も若干ございますが、それは現行法では、都市計画として一団地の住宅経営をする場合には、これは収用法の手続がとられております。それに対しまして今回の新住宅市街地の開発の相違点を申し上げますと、まず、これは一団地の住宅経営に足らない土地を取得いたしまして、これを宅地として造成し、これを宅地として他人に譲渡するという事業を含めておりますので、そういう意味におきまして都市計画事業としての一団地の住宅経営とは若干事業の内容を異にしております。その点につきましては、いろいろ御議論も出まして、憲法の学者あるいは関係の法制局とも相談いたしましたが、最近の宅地事情、住宅事情から見まして、ある程度の限定をすれば、こういう場合においても、公共のために用いるということが言葉に該当する運用ができる、そこで、その限定といたしまして、まず、土地を選定するに際しましては、それが公共的であるということを確保するために、都市計画としてこれを決定する、しかも、都市計画の決定につきましては、この法案に書いてございますように、その場所につきまして、特に住宅宅地の払底している所であるとか、あるいはまた、その良好な住宅地として造成できる場所であるとか、そういうふうな限定をおきまして、また、その内容等におきましても、都市計画内容を規定にございますようにいろいろ限定いたしまして、その計画自体が現下の情勢から見まして、公共のためであるというにふさわしい計画であるという限定をする、同時に、こうしてできました土地が、それを譲渡する場合におきましても、単に事業施行者が自由に譲渡するのではなくて、特に住宅に困っておる人に譲渡するとか、あるいはその価格等につきましても、適正妥当であるとか、あるいはまた、その土地が分譲されたあと住宅宅地として当初目的どおり使用されているかどうかという点につきまして厳重な規制を加えることによりまして、そこで、御指摘の憲法にいう、公共のために用いるということが確保できるというふうな意見に固まりまして、この点につきましては、政府部内におきまして、宅地制度審議会の御意見も拝聴いたしました。その結論に沿いまして収用に踏み切りました。
  64. 藤田進

    ○藤田進君 憲法学者はどなたの学説を採用しましたか。
  65. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 学説ということではないと思いますけれども、われわれが特に御指導受けましたのは、東京大学の田中二郎先生、それから一橋大学の田上先生、あるいは北大の金沢先生、あるいは民法でございますけれども、東大の有泉先生その他の先生方の御意見を拝聴しております。
  66. 藤田進

    ○藤田進君 これは何か記録がありますか、諸説の。
  67. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 宅地制度審議会におきます議論につきましては、速記録がございます。
  68. 藤田進

    ○藤田進君 今例示された方々は、これは全部委員ですか。
  69. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) そのうち委員であられる先生方は有泉先生、田中先生でございますが、あとの先生は個々にお聞きしましたし、それから衆議院段階におきまして、参考人として金沢先生なり田上先生に聞いております。
  70. 藤田進

    ○藤田進君 いずれ当委員会においても参考人等でいろいろ検討を進めることになろうかと思いますが、要約すれば、その公共性の限界という点が、憲法論としては問題になると私は思うのですね。土地を抜きにすれば、都道府県あるいは日本住宅公団、こういう自治体並びに法人、特殊法人等が建設大臣の、申し出があれば認可を得て、これが事業計画を認可されるのでしょうが、しかし結果的には、各個人の住宅の用に供せられるということなので、これを援用し、拡大解釈するまでもなく敷衍すれば、先ほど指摘された都市計画あるいは宅地制度等における道路敷設にも関連して立ちのき団地、宅地を必要とするとかといったような場合は、もちろん現行法にはあるという御指摘ですが、それ以外でも、これが合憲なりということになれば、かなり広範に立法可能になってくるようにも思われる。したがって、都市計画という名を冠してやることによって、あたかも公共、公益のためであるというふうになるけれども、しかし、これは実態を見なければ論じられませんが、今予定されているのが、二千戸以上でしょうか、人口その他において、はたして新都市形成といったようなことになるのかどうか。いろいろこれは広範に問題が出てくるように思われる。公共性の限界において、そこまでやれるというこういう専門家の御意見の根本のものはどこに理由があるのか。  それから、この種問題について、すでに確定判決があるということであれば、それをお示しいただきたい。昨日ですか、報道されたように、府県の条例でため池の堤防に耕作するとかいうのは、どうもいろいろ一審、二審における事情はあったけれども、最高裁においては、合憲なりということが出ておりますが、これはまあ性格が違うけれども、しかし、あの種のような過去に係争になり、判決があるはずですから、そういうものもあわせてお示しをいただきたい。
  71. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 憲法学者の意見及び法制局の見解につきまして、今申し上げましたように、現在の社会情勢から見て、この事業は一般的に公共性があるか、特にこれを前提条件として都市計画として明確にし、しかも、あとの規制措置を整備しているから収用をするということは問題なかろうという意見でございますが、その例としまして、昨年でございましたか、首都圏整備関係に関連いたしまして、首都圏地域における工業団地の造成につきまして、大体同様の地帯的な収用につきまして法律を制定されたのでございます。その実は例にもならいまして、こういう制度を設けたのでございます。
  72. 藤田進

    ○藤田進君 判例等につきましては、どうですか。過去の判例等で……。
  73. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 判例というのはございません。新しい制度で、憲法上これはこの法律が妥当である、違憲でないという見地から新立法いたしましたので、今、お話のような判例というものはございません。
  74. 藤田進

    ○藤田進君 区画整理あるいは都市計画、今指摘された団地形成といったような場合に、この現行法で、あるものについて施行の過程に収用法をかけた事例はありますか。
  75. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 都市計画の場合には、御承知のように都市計画で決定したものについて、そのものが道路あるいは公園その他の公共施設であるものにつきましては、収用権を認められておりまして、これについては収用した例もございます。それほどございませんけれども、収用によって土地の取得をしておる例も若干ございます。
  76. 藤田進

    ○藤田進君 その場合は、今言われた団地形成とかいう場合は、所有権の移転はしない、個人に。この場合は、土地の分譲をして個人の所有になっておる。そして若干の制約はありますね、移転の場合に。相続の場合とか三つくらい出ておる。それはまあ自然発生的な無理のない移転になるものをここで規定されておる。だから、そこに私は何か割り切れないものがあるような気がする。いろいろな土地の所有者がこの法律に該当、適用される場合に、広範な土地を持った人もいるだろうし、あるいは先祖から譲り受け、わずかな土地を持っているにかかわらず、これが適用になる。あるいはまた将来に子供たちのためにやがて分家、その他で用意しておきたいというような場合もぶつかるでしょうし、そういうものがえてして譲渡したくないということになりましょう。そういう零細な地主というか、所有者が最終的には土地収用法で取り上げられるということになれば、非常に問題が起きるように思うのです。この施行の過程に、実施される上において、そういうものに対してはポケットになってそこを残してやるというわけにも参りません。自然、係争する場合は憲法論が出てきそうな気がするわけです。そういった場合、これは罰則もいろいろつけられておりますが、考えてみると、なかなか私有財産権の保護というものがその面ではみじめにこわされていくような気がするわけですね。そういったような事例にぶつかっても、なお収用するなり、収用にかける前に、いやおうなしに屈服するかということになるでしょうけれども、非常にこれは問題があるように思うのです。それらの点についてはどのように考えておりますか。
  77. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 都市計画の場合に、先ほど私は道路、公園等の例を申し上げましたが、これと若干似ておりますのが一つございます。一団地の住宅経営というのがございまして、これは都市計画法で収用を認められておりますが、これは住宅を作りまして分譲することも含めて運用されております。これにつきましても、今までの例で少しでございますけれども、土地収用手続によって土地の取得を進めた例もございますので、相当問題かと存じますけれども、最近の住宅事情から見まして、他に譲渡する目的でもってする場合におきましても、その計画自体がこうして都市計画として規制を受け、同時に、自後の処分につきましても、規制を受ける手続を厳重にしておきますならば、収用法によって土地を取得するということは、これは認められてしかるべきじゃないかというふうに考えておるのでございます。
  78. 藤田進

    ○藤田進君 それは、法はそうなっているわけでしょうが、実際にそういった零細地主等が予定していても、規定を見るとなかなかやかましくなっていて、取り上げられる運命にあるわけですね。そうすると、土地収用法という強権が発動されるというその段階で、するかしないか、そのときの事情によるでしょう、所有者の。そういったものに対しては、あたたかい法の施行なり運営なり政策なりで救済する道があるのかないのか。
  79. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 土地の所有者が、その土地を住宅事業のために提供せざるを得ないために生活の基礎を失うとか、こういう場合は非常に気の毒に存じます。その点につきましては、もちろん正当な補償はいたしますけれども、それと関連いたしまして、事前に十分な御納得をいただくような趣旨の御了解をいただく努力をいたしますが、同時に、あるいはその後生活の仕方について御援助すべき点があるならば、これはできるだけ援助すべきでございますので、法律の規定にも、生活の再建のために必要な御援助を事業主体、すなわち、公共団体及び公団で行なうように規定しておりますし、また、土地の譲渡につきましても、そういう人がやはりそこに住みたいという場合もございますので、そういう人にはこれは優先的に譲渡をする規定を設けまして、土地を提供してきた方々の生活にはできる限り御援助すべきであるというふうに考えております。
  80. 藤田進

    ○藤田進君 また具体的な事例を示してもらえば、さらに審議に身が入ると思うが、今予定されている、あるいは予想される新住宅市街地としては、全国的に何カ所ぐらいでどの辺ということが今答えられますか。
  81. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 具体的な個所については、目下調査中でございまして申し上げられません。ただ、たとえば東京、大阪等の郊外で通勤時間一時間ぐらいの所を目下検討調査しているところでございます。
  82. 藤田進

    ○藤田進君 これは一行政区画に限らないで、二または三以上の既成町村というと、村は今非常に少ないけれども、そういった所にまたがっていくわけでしょう、これは場所によってはね。それはどうなんですか。
  83. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) そういう場合もあろうかと存じます。
  84. 藤田進

    ○藤田進君 そうすると、問題が起きるのは、たまたま市街地の中におきましては、先般成立した宅地建物等の鑑定士による鑑定等がまず前置されて交渉が進む、あるいは収用委員会というようなことになって、一面土地の値上がり対策ということも含まれているように思うわけです。たまたまその境界を、川が一つ隔たるか、あるいは道路が隔たるか、場所によって違うとしても、その周辺の土地というものはかなり値上がりを来たしてくるというのが、従来の事例ですね、団地周辺を見ても。これの対策なしに当該区域だけがこういう強権を最終的に発動されてということになれば、一般社会通念としても非常に許しがたい、民生の上においてもまた問題が出るように思う。こういう隣地関係との調整というものは、現行法では手がつけられないように思うのですが、これはどういうふうに処理されるわけですか。
  85. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) ただいま御指摘の問題は、実はわれわれも一番頭を悩ましていかなければならぬ問題かと思います。しかし、われわれはこの事業の地域はできる限り広く取りたいという考えでございます。そういたしまして、そういうふうな隣地もできるだけ取り込んでいく、できればそこの土地の周囲には集団緑地と申しますか、相当規模の緑地を置くような個所を選びまして、そこは住宅としては開発されることはなかろうという程度に広く取るというふうに、区域の限定なり、あるいは設計を考えておるわけでございます。しかしながら、それだけでは十分でございませんでしょう、そのためには、さらに根本的には、都市の周辺地域の土地の利用計画をさらに詳細に確定するとか、あるいはまた、全般の土地の規制につきまして別途検討をしていくべきものと思いますが、とりあえず、この事業につきましては、相当規模の大団地を取ることによってそういう問題はある程度うまく処理できるのじゃないか、こう思って案を考えておるわけでございます。
  86. 藤田進

    ○藤田進君 そうなれば、どこの場合ということでないと論じがたいのですけれども日本列島全部といえばこれは一番大きいので、これは問題がない。けれども、おのずから都市の需要というものもありましょう。先行投資をされるとしても限度があるし、こういった新住宅市街地を形成をすれば、そういう環境も整備されていくということになれば、むろん一般の社会施設も設けられる、都市に対する交通機関も整備されることに当然なるわけです。こうなってくると、お言葉ですけれども、極端にいえば、五十戸とか百戸程度のものがそこら辺にぽっとできて、安く土地が買えたという程度では、さらに周辺の応用力が大きいために逆に地価はそれほど上がらないということは言える。でなしに、かなり広範に取ることによってこれが是正できるということは逆で、新住宅市街地というものに名実ともにふさわしい、これに付随する諸般の生活基盤の整備もされるということになれば一大都市を形成するわけで、その周辺は、逆にあなたの意図されている、予期されているものよりも逆の効果を私はこれは常識上もたらすように思う。したがって、ますます、従来自動車道路のない農道程度であったものが区画整理、都市計画によって非常にりっぱなものになり、あるいは軌道がつくとかいったような整備なり、学校もできる、上下水道はむろんのことガスも入るということになりますれば、しかも、それがかなり広範であるということになれば、かえってその周辺がおびただしい地価の値上がりを招来する。むしろ、この区域指定等がきまる前に、大体その周辺というものはかなり先行投資が始まってくるものじゃないか、私はこう思うのです。広範に取れば下がっていくという理由をもっと私聞きたいのです。
  87. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) そのできました開発地区のすぐ隣接地が適当な住宅地として——まあ民間でごさいましょうけれども開発できるならば、あるいは場合によっては、その付近がこの団地の影響を受けましていい土地となり、地価がそれに左右されることがあるいはあるかもしれませんけれども、なるべくそういうことを避けたいということでございまして、そのためには、その新しい開発地域の周辺には、民地といたしましても、住宅地として開発するにふさわしくない程度にこの団地そのものを大きく取りたい。そのことによりまして大規模にたくさんの宅地を供給する、そうすれば、宅地の需給関係によりまして宅地がたくさん供給できれば、宅地のほしい方々は、この事業によって供給される宅地のほうにいきますので、そこで、一般の宅地に対する需給にもいい影響を与えるだろうと。全体として宅地の供給を増し、需給を円滑にしたい。しかし、具体的個所につきまして、あるいは先生の御心配のようなことが起こるかもしれません。これは現在でも、実は住宅公団その他の団地の周辺につきまして、同じような問題が出ております。そのために、やはり抜本的には、道路の周辺の土地が値上がりするとか、あるいは新しい施設ができますと、その付近の値上がりというふうな、一種の土地の増価に関するものでございますので、一面、これは別途宅地制度審議会におかれましても、土地の増価に関する問題は、受益者負担ということまでいかなくても、何らかの方法で吸収する方法を考えるべきであるということで検討されておりますが、われわれのほうのこの事業におきましては、なおそういう影響の少ないような設計なり、団地の設計をいたしますが、一面どうしてもできないものにつきましては、宅地制度全体としての御検討をお願いしておくということでございます。
  88. 藤田進

    ○藤田進君 いろいろ場所によってその事情は変わってくるので、たとえば富士山のふもと辺で、片や海岸線は海まで、それから東はもう箱根のまん中辺まで、それから北は富士山のもう宅地にはならないようなきわまでという格好で、自然的障害という境界線を包括していって、そういうやり方であれば、これはまあ住宅形成という余地がないですね、宅地造成のために、災害防止その他非常な経費がかかると、地下は安くても。しかし、実際問題としてはそうじゃなくして、東京周辺、関東平野、大阪であれば大阪平野周辺ということになるかと思うので、問題はやはり残るように思う。それから実際の運営の面である程度これを救う道も私はないことはないだろうと、それは当該市街地における需要というものの見込みを立て、これにさらに安全率を見てかなり広範に持つと、しかも、それはこの法がいう二カ年以内に建てなければいかぬということで分譲してしまうことは、これは問題があるので、相当な、分譲いたしますものに何倍かしたものを地元として先行投資で持っていて、自後必要に応じて安く分譲していくのだ、こういう、これはあり得るでしょう。しかし、では実際問題として、今ここに着眼されている国家財政あるいは地方財政上非常にやりやすいというのは、ある運転資金が必要だけれども非常に回収が早い、分譲いたしますしね。といったようなことで財源的に心配ないけれども、今申し上げたように、何倍かのもの、これは土地の需要との関連、伸び率等からおのずから出てくるでしょうが、そういうものを当該自治体施行者が、あるいは住宅公団ならば、これがそれだけの現状で余力があるかどうか、いわば、私はこれに付随する社会施設等を含めますと、なかなか地方自治体あるいは日本住宅公団においても、事実上そういうことがここでは言えるけれども、やっていけないのじゃないか。第一次計画で、まず法に示す最低限度、あるいはそれ以上のものを新住宅市街地として確定されて、実際に土地買収はなさると、区域内には入れられたとしても、実際の施行はだんだんおくらせていくといみことになれば、結局二次、三次買い上げというような実態になるのじゃないだろうか、予算的にですね。そういう点の運用が、今申し上げたような方法がとれるのかどうか、これが一つの解決のめどになる。
  89. 松澤雄藏

    政府委員(松澤雄藏君) ただいまの御質問、まことにごもっともだと思います。今のお話の中にございましたように、ある程度までは局長も御答弁申し上げたように、そういうふうな意味で周辺の土地の値上がりというふうなことは生まれてくる可能性はないわけではなかろうというふうなことは、われわれも想定を下してこの法案の立案に当たったわけなんですが、一応私たちのものの考え方といたしましては、財政的な面の裏づけはもちろん必要でございますが、できるだけ大きい団地、最低限度十万から二十万以上百万といったような坪数な所に、いわばベッド・タウン的なものを設置していく、したがってこれを先買い方式をもってやっていくんだと、しかも、この周辺に対する影響を極力防ぐという建前をとって、先ほどからお話がございましたように、緑地帯等の設置をするとともに、また反面、大団地的な購入でございますから、一般的な方々が売買するものとはおのずから単価的な点においても、ある程度の話し合いの余地は十分にあるものだし、また、売却する場合におきましても、この法にもございまするように、一挙にするというふうなことばかりをねらっているわけではなくて、ある程度まで年数もかからざるを得ないだろうというふうな点等を考慮して、実はこの法案を作っていったのですが、だからといって、全然ない所にこれだけのベッド・タウンをかりに作るんだとなりますれば、今のお話のように、ある程度の値段が上がってくることは、これは従来の例を見ても、また常識的な面から考えましても、道路のない所に道路を作ればその周辺は常識的な部面だけは当然に上がってくるだろう、だからといって、それによってその周辺の住民に悪影響を及ぼすまでにはいかずに、ある程度まで押えていけるのじゃなかろうか、こういうふうな見通しのもとに、この法案を作って、現在の過密状態における都市というものから安住し得られるような新しい意味においての、いわば住宅市街地的なものを作っていきたい、こういう意味でやったわけですが、今の御質問の中における、周囲に及ぼす影響というふうな部面に対しましても、今申し上げたように、これがために周辺における住民なりが非常な支障を来たすというふうなことまでは至らないであろう、また、そういうふうにならないように行政施策を講じていかなきゃならぬ、まあこういうふうに考えておるわけであります。
  90. 藤田進

    ○藤田進君 これは実際おやりになる場合は新市街地の区域を指定されるわけですか。その指定される区域内は全部買い上げる御方針なんですか、それとも、そのうちで当面の需要とにらみ合わした範囲をお買いになるのか、その一部をお買いになるのか。
  91. 松澤雄藏

    政府委員(松澤雄藏君) ごもっともな御質問ですが、これは御承知のように、現況の日本経済情勢からいたしまして、現在よく問題になっておりまする新産業都市指定のように、あらかじめこれを指定して、そして後に土地を買う、こういうふうなことになりますると、単にその土地の価値いかんにかかわらず、もう直ちに暴騰が開始される、こういうふうになる可能性が十分にございます。したがって、私たちはある程度の土地の状態を見まして、そしてその中には国有地的なものがどのくらいあるだろうか、民有地的なものがどのくらいあるだろうか、しかも、それが都市の近郊になっておって、通勤するにいたしましても一時間から一時間半以内のような所を、そしてある程度の団地がまとまるような可能性があるというような所を十分に下調べをいたしまして、そしていわば先買い方式をとり、その上に立って指定するといいますか、先ほど申し上げたように、緑地帯等の設定等をも考慮していかなければならないのですから、順序といたしましては、まず先に買い得るような状態を作り、そしてまた緑地帯の設定をし得るような余地を考慮しつつ、そしてこれ以上の所は見込みは困難だというふうな程度になって初めて、指定といった言葉になりますか、指定といったことにならざるを得ないんじゃないか。これは実際的な部面としての御質問でございますから、実際的な面としての住宅公団としての方法としてのお答えを申し上げたのですが、そのような方法が最も妥当ではなかろうかと、そのように考えておるわけですが、必ずしもさっき局長が申し上げましたように、目下検討中だから詳細な点は申し上げかねるのだといったようなことを申し上げておるのも、そういうようなところに非常な懸念をしているので、まるっきり見込みがないというのではなくて、見込みがなければ、ここにこういう法案を出せるわけではないのでございまして、かような点は御了察願いたい。
  92. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 今の政務次官のお答えでは、現状から考え、新産業都市のようにあらかじめ都市を指定してという、そういう大規模なものではないようにちょっと聞き取れるのですけれども、この第二条を読んでみますと、道路、公園、下水道等の公共施設及び学校、病院、店舗等の公益的施設が整備された健全な住宅市街地を開発すると書いてある。そうすると、単に宅地の供給だけに限定された問題ではない。都市計画として相当大規模に公園から、道路、下水道、学校、病院から屎尿処理からという一切がっさいの計画構想というものが盛られているというふうに第二条からは私は受け取れるのです。そうなると、新産業都市のように指定をしてというほどの大げさなものではないという今御答弁があったけれども、第二条に書いてあるとおりにやろうとすれば、これはあまり小規模のものではないと思う。地方公共団体なり国の負担というものは相当多くなければ私はできないことじゃないかと思う。そうすると、これは都市計画として出発していかなければならない。かなりの都市計画として出発をしていかなければならぬと思うのですね。これはどうなんですか。
  93. 松澤雄藏

    政府委員(松澤雄藏君) これは今御質問のように、私の申し上げたのは、土地を取得する立場において、土地の取得なくして、まるっきり土地を持たずして頭から都市計画を設定して、そこはこういうものを建てるのだとか、こうするのだ、どうするのだとか、あそこはこうするのだということにはならぬのは御存じのとおりでございます。したがって、土地は先にある程度の目途をつけまして、あとになってやっていくというようなことで、土地を取得する場面を今具体的な例として申し上げたのでありまして、現在やっておる一例、これは建設省じゃございませんが、いわば現在神奈川県の尼寺団地というのがございます。これは公庫が金を融資しまして、そうして相当大幅な団地を作りまして、その中には商店街はこう、そうして学校施設はこういうようなものとか、あるいはまた衛生関係の方面のものはこうだとか、病院関係はこうなるのだというふうなことで今尻寺団地にできております。間もなくでき上がるであろうと見ておりますが、これは神奈川県の住宅公社といったような名前のところが施行者になりましてやっておるわけです。  そういうふうになって参りまして、まず都市計画的なものが、土地がきまってそこに都市計画的なものを設定しまして持っていって今の法に合致するというような方向に持っていこう、こういうようなことで、私の申し上げたのは、この法の目的に相反するものでなくして、この法の目的のために土地の獲得をしていこうということを申し上げたわけであります。
  94. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 非常に御答弁は部分的な面については詳細な御答弁があるのですけれども、提案理由の内容は、第一に、人口の集中の著しい市街地の周辺の一定の区域について都市計画として決定し、これを都市計画事業として実施することができる、こういうふうに書いてある。しからば、都市計画として決定をするには、そもそもいかなる機関がいかなる方法でもって決定するのかという問題から入っていかなければならぬと思う。これは一体どういうことになるのか。いかなる機関がいかなる方法できめるのか。
  95. 松澤雄藏

    政府委員(松澤雄藏君) 私が先ほど申し上げたのは、藤田委員の御質問の部面に対してのみ申し上げたのでございまして、今あなたが御質問されたやつに対するものと違ったものですから、部分的になったんだろうと思います。事務的な点において、都市計画の設定的な面等に対しましては、総合的に局長から答弁させます。
  96. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 都市計画の手続におきまして、この市街地開発区域計画及び事業を決定しておりますが、現在の都市計画法によりますと、都市計画の決定は、まず地方公共団体の内申に基づきまして建設大臣が案を作りまして、その案を都市計画審議会、これは各関係の都道府県に置かれますが、この都道府県に置かれるところの都市計画審議会に付議いたしまして、その議を経たものによりまして建設大臣が決定をするという手続になっております。
  97. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 じゃ、そういう手続によって都市計画として決定をしたものが、この法案にあるような手順によってきめられていく、対象になるということになるわけですか。
  98. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) この都市計画で決定をする際に、あるいは前提条件としての都市計画のきめ方についての基準もございますし、あるいは、きめ方の手続のうちで若干変わったところ等をこの法律で規定をしてあるわけです。
  99. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 藤田さんが質問された際に、一体どういうところにどれだけのという、地域的な点について質問がさっきあったのですけれども、それについてはまだ検討中ということではっきりしたお返事がなかったわけです。そうすると、検討中ということは、建設省自体がある程度構想を立てて、あるいは政府自体がその責任において計画を立てていくかのように聞き取れたわけですけれども、今の御答弁でみますと、地方公共団体が都市計画審議会に付議をするという順序を経て、都市計画法によって都市計画はきめられていくのだというお話だったわけです。そうすると、都市計画自体の決定の主体は地方自治体になるというふうに聞き取れるわけです。地方自治体並びに日本住宅公団が原則として施行するということになっておりますけれども地方自治体、地方公共団体ですね、地方公共団体と日本住宅公団との関係は、どういうふうになるのですか。地方公共団体がまず地域都市計画を決定をして、しかる後に日本住宅公団に協力を要請する形になるのか、日本住宅公団そのものが全国的に、まあ一つブロック別に候補地を決定をして方針を立てていくのか、どういうことになるのですか。
  100. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 私の説明が不十分で若干誤解をされたことは申しわけございませんが、都市計画の決定は、建設大臣が決定いたします。その際に、地方に置かれた都市計画審議会というものに、これは国の機関でございますが、関係の都道府県に置いてございます。これに付議をするということを申し上げました。しかし、これは上からきまっていくだけでは具体的な地方の実情に合わないといけませんので、大臣が審議会に付議する前に、地方公共団体の内申によって案をきめる、実際上は地方公共団体と両者が意見を調整いたしまして、まとまったところで仕事を進めていくという状態でございます。  私が先ほどこの地区について目下調査中であると、検討中だと申し上げましたのは、われわれがそういう意味におきまして公共団体と、あるいは住宅公団と相談して、いろいろデータを取り寄せまして検討しておる、両者でお互いに検討し合っておるということを申し上げたわけでございます。  それから、地方公共団体と公団の関係でございますが、この両者は同じ立場で仕事をしていきます、この事業主体という意味におきましては。そこで、都市計画の決定ということにつきましては、公共団体は内申をするという意味におきまして若干公団と違った立場でございまするけれども、事業を執行する場合におきましては、たとえば具体的に申し上げますと、東京の例を申し上げますと、東京都自身がおやりになってもよろしいし、あるいは住宅公団自体がやってもよろしいと。しかし、おのずから同じ所に同じものがダブリませんで、地区を変えて両者が並行してやっていく、公共団体は、その自分の行政管轄区域内のみで事業をするのが当然でございます。住宅公団は全国的に大都市を中心に仕事をしていく、こういうような建前になっております。
  101. 藤田進

    ○藤田進君 そこで、あなた方よく研究しておられるので、私が何かを追及してという意味で何も聞いているのじゃないのですが、片や買い上げになる所は、日本住宅公団なり地方公共団体でかなり安く買うというねらいがあるように思う。高く買うならば問題はまた別なんで、そのような場合抵抗があることは当然予想される。この抵抗の理由はいろいろありましょう。最終的には土地収用法が適用されると、憲法上これは合憲であるということで筋は通りますが、しかし、一般社会の秩序等から見て、周辺地域が少なくとも地価の値上がりを来たすのじゃないか、それはそういう場合もあり得るということをお認めのようです。ところが、その値上がりを防ぐ、緩和する少なくとも方法として広く買い上げをしたいと、分譲については必ずしも一挙ではなくて、需要に応じて法文に示す基準に従って地価を計算されるでしょう、付帯設備その他について。しかし、それにしてもそれを上回る周辺の土地は、少なくとも新しく電気を引くとか、あるいはその他の交通機関等は、これは地価のうちの相当部分に入るわけです。かりに電気にしても、その市街地まで高圧で来ている、変電所もできたという場合に、隣地がその電気を引きたいという場合に、いや、これはもう市街地専用で引いているのだから、お前のところはまた一次変電所から別の線路で引っぱれと、そんなことは今の電気事業からできない、これはもう当然変圧器の容量をふやすなり何なりしまして、そして現地にも引かなければならない。同様に一般公共施設というものはそういうもんだと思うのですね。したがって、土地の値上がりというものは、いろんな面に影響を持ってくるわけです。都市計画として看板を掲げて、その区域はもちろんきまりましょう。しかし、地方公共団体ないし日本住宅公団は、そのうちの大部分か、あるいは一部分かということが当該年度においては、あるいは継続事業になるとしても、ごく限られた部分が買い上げられたものなのか、あるいは都市計画区域というものは、もう全部広範にという趣旨からいえば、お買い上げになって町村合併などで新しい市の形で行政的に発足するという場合もあり得るでしょうがね、そういうような運用をなさるのか、つまり、要約すると、都市計画というものを立てられ、都市計画として進むのだから、憲法上もさらに緩和されるという趣旨なのか。そうならば、その都市計画区域内全部買い上げるということになれば、かなりの余力もあるし、周辺の何も高い土地を買わなくても、安いものが幾らでも出てくると、くじ引きなんかじゃない、募集して、だれか買わないかということになれば、これはまた別問題ですが、将来の需要以上に宅地造成をして分譲してやる。けれども政務次官のお答えによると、別の意味でこれを私が感じたのは、従来の日本住宅公団が百合丘団地とか日野団地、分譲だ、あれのちょっと規模が大きくなったのかなという程度にすぎないというふうに感じられるので、局長の御答弁による広範に買い上げ、開発をすると言われるのとちょっとどうも合っていないように思うので、どちらがどうなのか。
  102. 松澤雄藏

    政府委員(松澤雄藏君) 私の先ほど御答弁申し上げたのは、最低限度と、それ以上の部面とを申し上げましたが、御承知かと思いますが、一口に二十万坪、三十万坪と申し上げますけれども、ちょっとわれわれでは想像がつきかねるようなことが多うございますが、一番わかりやすく申し上げますと、現在の熱海、あの熱海の駅からずっと海岸に沿いまして、そして伊東に至る所に熱海城というやつがあります。あそこまでの範囲、最も人口が周密になっている所が、図面の上で私たちは測定したのですが、約四十五万坪であります。あそこに住んでおる人口という部面等から考えましても、一応あれをお考え願うと、四十万坪、五十万坪というのは、あの程度の人口収容というものが、過密的なあのような人口にはなりませんけれども、あのような所が四、五十万坪になるわけです。そういうふうな所等を頭に描いて考えてみますと、いわばベッド・タウンというような一つの市を形成をする限りは、どんなに少なくとも十万坪以上というふうなものがなければならぬというふうなこと等を申し上げたのであって、できるならば五十万坪、百万坪あるいはまた百五十万坪坪であろうが、できるだけまとまりやすいような所を選んで、そうしてそれがしかもさっき申し上げましたように、人口周密な大都市なり、またこれに次ぐような都市の周辺であるならば、そういうふうな所を選んでいきたい。そういうふうに選んでいくのに、反面また、先ほどのように、周囲に及ぼす影響という点を考えて、一種のグリーン・ベルトのようなものを設定して、そうして周辺の住民にあまり悪影響の面を及ぼさないような方式も考えていかなければならないのじゃないか。しかし、先ほどのお話のように、せっかく高圧電気がきているのに、その周辺の者に一切分けてやらないということはできないのじゃないかという御質問等でございますが、なるほどそう言われてみると、そういう点も考えられますが、主体性はあくまでもそこに新しい市街地形成をするのが目的でございまして、その周辺に電力を供給するのが目的でございませんから、したがって、その余力的な面で、余得にその周辺があずかるのだというふうなことは当然に考えられるべきものでございますが、しかしながら、それらは、そこに町ができなかった場合とできた場合の、常識的な意味においての土地の値上がりとか、あるいはまた、便利になったがためによくあり勝ちの、道路等が新しくできたために、なかったところの土地に道路ができたばかりに、その周辺の土地の値上がりがしたというふうな程度のものは、これは考えられるであろうが、住民に悪影響を及ぼすほどの土地の値上がりというふうなものは考えられないような気がするのです。もちろん考えられないというよりも、そういうふうな方向に持っていかないように、私たちは全力を尽くして施策に当たってみたい、こういう御答弁を申し上げたわけであります。
  103. 藤田進

    ○藤田進君 簡単にいえば、今都市計画というものをまず立てるわけでしょう。当該地方自治団体、そうして建設大臣が認可する、いろいろのケースがあろうけれども、おおむね都市計画区域全部を買い上げるというよりも、一部を買い上げて宅地造成をするという場合が多いのじゃないですか。
  104. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 都市計画ということでございますが、都市計画できめておりますのは、現在こういう大都市におきましては、まずその地域の土地利用計画を、用途地域といたしまして住居地域なり、あるいは工業地域等をきめております。その中に街路計画もきめてあります。個々のものが都市計画として決定されております。その中に、新しく本法によるところの新住宅市街地開発計画というものを都市計画で決定をするという意味でございます。でございますので、この新住宅市街地開発事業を決定いたしますと、その区域は全部なるべく早い機会に買ってしまう、こういう考えでございます。
  105. 藤田進

    ○藤田進君 だから、この法律でいけば、新住宅市街地の開発なんだから、いわば純住宅専用地区になるわけでしょう。それは都市計画の中には工場地域その他文教地域なるものが設けられるかもしれないけれども、したがって、心配するのは、周辺のみならず、その都市計画区域内において片や土地収用法で取られ、片や、恩恵は受けるけれども、買い上げにならない。土地値上がりして後、自由主義に基づく売買というようなことになる。それも現行法上、憲法その他違反もないことだしやむを得ないということならば、これはそれでやむを得ないと思いますけれども、実際問題としては非常に問題が起きるので、これに合わせた施策というものが御用意になっているのじゃないだろうかと思ったのですが、なかなか聞き出せなかったので……。  次に、この住宅市街地開発に伴う地方公共団体並びに日本住宅公団という場合の財源的措置については、あるいは宅地債券の発行とか、いろいろなことが言われているわけです。予約制度でおやりになる場合も、またそのような方法もありましょうけれども、一たん宅地造成をされて、その後に分譲するということになれば、かなりの財源を必要とすると思うのです。これは全体の希望がどのように大臣のところへ来るかによっても、もちろん予算は変わりましょうけれども、当面予想される財源高並びにこれが措置について、どういうお取り計らいをなさるのか、お聞きしたい。
  106. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) この法律が通りますならば、この法律によりまして市街地開発計画もとに、三十八年度におきましては、住宅公団及び住宅金融公庫の宅地関係の費用を大幅に増額をお願いをしたわけでございます。このほか、地方公共団体におかれましても、これに見合って目下公共団体の自主的な財政措置を検討されております。住宅公団におきましては、このために約百万坪程度の土地を買収する計画の予算を計上しております。
  107. 藤田進

    ○藤田進君 地方公共団体に対してはどうでしょうか。
  108. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 地方公共団体に対しましては、住宅金融公庫が資金を貸し付ける予定にしておりますが、住宅金融公庫においては、新規で約三百万坪分の予算を考えておりますので、そのうちこれは住宅公庫が現在、その他のこの法律に基づかないある程度小規模の宅地開発にも資金を融通する計画でございますので、全部をこれに充てるわけではございませんけれども、相当部分をこの事業のための融資として公共団体に貸し付けたい、こういうことを考えております。
  109. 藤田進

    ○藤田進君 住宅関係金融の従来のワクをこの新市街地向けに地方公共団体に融資をするということでなくて、新規財源によってこれをまかなっていく、また、逆にいえば、その範囲内で地方公共団体からの申請を満たしていく、そういうことになりますか。
  110. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) そういう観点から、従来のワクよりも大幅にふやしましたので、ふえた分はもちろん、従来の運用につきましても改善をして、できればこれになるべく充当したい、しかし、従来のものにつきましても意義がございますので、全部これをやめるというわけにいきませんので、方針としては、できる限りやはり従来のような程度のものも、従来とそれほど変らない程度の仕事をしていきたい、こういう事業計画になっております。
  111. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 今の地方公共団体の負担ですけれども、今の御答弁は、従来どおりのことをやっていくが、藤田さんの御質問は、新規な財源、財政措置等をどういうふうにという意味の御質問だったように思われるのですけれども、都市計画ということになって出発をすると、これは単なる宅地だけではなくて都市計画に必要なもろもろの問題が出てくると思うのですけれども、ここに第一条に書いてあるのは、あらゆる都市として必要な施設が入ってきているわけです。そうすると、予算措置の場合ですね、単なる住宅金融公庫あるいは住宅公団というだけではなくて、地方公共団体として相当な負担を覚悟しなければ、指定された地域においては都市計画としてはできないのじゃないかという気がするので、その面における地方公共団体の負担は一体どういうふうに措置するのかという点も、あわせてお聞かせ願いたいと思います。
  112. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 御指摘のとおりこの団地は、そこに街路あるいは公園その他も、都市計画的な公共施設も設けます。これにつきましては相当部分を公共団体自身の負担でお願いをしたいと思いますが、まだ具体的な計画が決定いたしておりませんので、その分量なり金額はわかりませんが、必要なものについては、国といたしましても、あるいは街路事業なり、あるいは公園事業として別途公共事業の指定をしたい、こういうことで考えております。
  113. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 その場合、先ほどの近畿圏整備法案の場合にもありましたけれども、最近のたとえば阪神地区、東京周辺でも、無秩序な膨張拡大的な様相を非常に端的に示しておるということを言われておったわけです。この新住宅市街地開発の構想が、部分的に人口集中の著しい市街地の周辺の地域に住宅市街地を開発していくという方法をとるだけだと、さっきの近畿圏整備にあったような無秩序な膨張拡大的様相を呈してくるということになりかねない。その場合の総合的な都市計画なり、ブロック的な構想というものはどのようにだれが立てていくか、いつごろその点予算措置等を含めて明らかになっていくかということもこの際明らかにしていただきたいと思うのです。
  114. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 首都圏区域におきましては、首都圏整備計画がきまっておりまして、その首都圏整備計画に従って、この市街地も適当な場所を選び、適当な施設をしていきたいと思います。近畿圏につきましては今後確定されると思いますが、そういう点を十分考慮いたしまして具体的場所を選び、これには新しくできる近畿圏整備計画の中に当然適当な住宅市街地として位置すべき所を選んで仕事をしていきたいと思っております。
  115. 藤田進

    ○藤田進君 午前中、近畿圏はあげたわけですが、あの今後の進展というものとの関連からいいますと、今、局長が言われているように、昭和三十八年度、今年度で相当の予算を消化していくような心組みのようにも思いますね。しかし、近畿圏の場合は、理由はこれと同じようなことで人口過密状況だ、これこそ新市街地の開発のこの法律を期待していると見なければならぬでしょうが、しかし、近畿圏のそういった総合計画が立つというのは、なかなか審議会を形成したり、その結論を待ったりいたしますと、相当な日時を要するように私は見ているわけです。ですから、その辺は総合開発なり地域開発という、当該自治団体もその道をそれぞれ持っておるわけです。そういうものとの調整を暫定的には発足にあたってやっていくような方法でもとらないと、それは必要があると称して、予算を各地域要求もするでしょう。しかし、意図している人口過密状況の緩和というところになれば、東京、大阪その他……。したがって、それらの実施にあたってはあまりかたくななことでなしにいかないと次元的に合わないのじゃないですか。
  116. 松澤雄藏

    政府委員(松澤雄藏君) ごもっともで、そのとおりにならざるを得ないと思います。なお、先ほどお話がございました、従来の都市計画に伴う予算というものと、今回のこの部面においての必要とする都市計画の費用というものはどうなんだといったような御質問等もあわせて御質問あったやに承ったのですが、従来のものは従来のものとして地方開発なり、あるいは都市の開発といったような部面で、これは御承知のように、取り扱いを昨年度よりは相当量ふやしていっております。したがって、これはこれでもっておのずから予算の関係におきまして別個な取り扱いのもとにきておりますが、実際的な面といたしましては、仕事の面といたしましては、現在、今の御質問の中にある近畿圏のうちの、かりに大阪だといたしますと、大阪では現在千里丘団地というものをすでに約三百五十万坪から四百五十万坪くらいの間を実施したい、こういうわけですでに準備に取りかかっております。この場合、従来やっていました都市計画事業というものとこの事業というものをあわせて審議会に諮って、それで調和をとって持っていこう、こういうようなことであって、今の御質問のとおりに、両者相待って相互に食い違いがないような方式でやらざるを得ない、また、そうしなければならぬ、かように考えております。
  117. 藤田進

    ○藤田進君 東京では、今政務次官が言われたように、一応予定している所、これは首都圏はかなり発足してからなりますから、今ここでどこと言うと、すぐ土地が値上がりするということないと思うのですけれども、それに今度はまあ土地収用法だから、そう心配することもないだろうが、東京周辺の一時間ないし一時間半、現状では東京の国会中心考えてみても、大体都内でも一時間ないし一時間半以上かかっているからなんですが、私世田谷にいますが、一時間かかります。いずれにしても時間の制約が一時間とか、それは夜中もあるから、別として、この首都圏におけるこの法律実施予定地とまでいかなくても、候補地と言っちゃきついが、大体どんな所を考えているのですか。
  118. 松澤雄藏

    政府委員(松澤雄藏君) これは、今のお話のように、距離が少々短くとも、非常に込む道路に面した所は、時間数においては多い。ただ時間だけで一時間とか一時間半といいましても、相当距離的には違ってくるのですね。現在東京の場合ですと、二、三カ所くらい候補地的な面を内々調査をしているという段階ですが、大阪の方面は、幸いにして、今申し上げたようにはっきり名前を申し上げることができるように、ほぼ確定的な部面に入ってきまして、どなたに御発表申し上げましても、土地の値上がりといったようなことで手をつける段階はすでに過ぎた、こういうふうに見て、本日ここで軽く御答弁をし得るわけなんですけれども、東京の場合ですと、現在まだほんの調査といったような、目標をきめて調査といったような段階に入っておりますけれども、本年度中に大阪のような具体的な部面に持っていきたいと思っているのは、最小限度二カ所ぐらいは持っていきたい、こういう気持で、まあ候補地はあります。候補地はありますが、率直に申し上げまして、物色中だというふうに御理解願ったほうが早いのじゃなかろうかと、かように思います。
  119. 藤田進

    ○藤田進君 そうすると、十分ぐらいしかありません、あと理事会があるそうです。包括的なものだけ聞いて、またあと条文について詳しくお尋ねいたしますけれども、土地が、やって見なければわかりますまい、付帯工事、付帯設備等も含めた地価を計算されるようですし、あるいは地方公共団体でも若干、何というか、利益と言っちゃ語弊があるでしょうが、どういうことになるか。いずれにしても、一般の民間の土地業者その他から買うものよりは安くなると見なければならぬでしょうが、法律のねらいもそうでしょうから。しかし、土地は手に入るだろうし、入るだろうが、その上屋は、建物は無理というのですか。今の生活状態から見ると、庶民階級はなかなかたいへんだと思うのです。これとても宅地自身が、宅地の面積にもよるでしょうけれども、かりに八十坪ないし百坪前後といってもかなりのこれは負担になる。それから、ましてやこれに建物を建てる、しかも、二年以内ということになれば、いわば中産階級以上というか、特定な階層ということになりそうです、今の金融の裏づけ等から見ても。したがって、従来行なわれている日本住宅公団あるいは地方公共団体の行なう住宅建設といったような、いわば借家、貸家というか、これについては、従来ないしそれ以上の計画をお進めになるということでなければならぬだろう、これは本年度はもう確定しておりますが、来年度以降も変わりはないということになりますか。
  120. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 御指摘のとおり、今後とも特に住宅難の著しい低所得者の方々のためには、公営住宅なり、あるいは公団住宅をふやしたいと考えております。この宅地の新しい制度は、それにプラスいたしまして、自方で建てたい方が、土地がないために困っておるという方が多いために、追加してこの政策にプラスして土地を供給していこう、こういうことでございますので、従来の方針は当然さらに強化をしたいと考えております。
  121. 藤田進

    ○藤田進君 宅地債券の発行、それは新聞に出てもう近く発行されるのですが、あれはこの法律との関連はどういうようになりますか。
  122. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 宅地債券は、住宅公団及び住宅金融公庫の融資を受けて宅地造成をする事業主体の、その宅地、団地について発行いたしますが、この法律によってでき上がった新住宅市街地の中の適当な宅地も、将来は宅地債券の対象の土地に加えていきたいと考えております。
  123. 藤田進

    ○藤田進君 時間の都合で私はここで質疑を中断して、また次の機会にお伺いいたします。
  124. 北村暢

    委員長北村暢君) 別に御発言もなければ、本日はこの程度にとどめます。   —————————————
  125. 北村暢

    委員長北村暢君) 次に、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  本院規則第三十六条に基づき、内閣委員会にかかわる建設省設置法の一部を改正する法律案について、同委員会と連合審査を開会することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 北村暢

    委員長北村暢君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  ただいまの決議に基づき、委員長は内閣委員会に申し入れることにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十六分散会