○
参考人(柴田達夫君) ただいま水資源開発公団の当面の事業内容等について
説明をせよという
お話でございますので、ごく概略を申し
上げたいと思います。
水資源開発につきましては、水資源開発促進法に基づきまして、昨年来
利根川水系と淀川水系が指定に相なっております。
利根川の水系につきましては、昨年の八月に淀川水系ととも
ども、まず第一の基本
計画を政府におきまして御決定に相なりました。この開発基本
計画によりますと、まず第一には、従来
建設省当局においてすでに御実施になっておりました
利根川水系におきましては、矢木沢ダム、下久保ダム、それから淀川水系においては、高山ダム、この三つの事業をすみやかに承継して公団が実施するようにということでございました。さらに淀川水系のほうに相なりますが、淀川の河口にございます長柄の可動堰の
かさ上げの事業、この四つが御決定になりました。九月までに、それぞれの基本
計画に基づきまして、政府のほうから実施方針を公団法に基づきましてちょうだいをいたしまして、公団といたしましては、その実施
計画を立てまして、
関係府県との協議をととのえまして、政府の認可を受けまして十月一日から、今申し
上げました三つのダムを、公団において公団の事業として引き続き実施することといたしまして、目下やっておる次第でございます。
それからもう一つの、淀川の長柄可動堰につきましては、十二月に実施方針が公団に命令が出まして、実施
計画の認可を受けまして、昨年の暮れから、直ちにこの長柄可動堰の
工事に着手しておる次第でございます。
これは引き継ぎに関するようなことでございますが、矢木沢ダムにつきましては、すでに
建設省の時代から、ある
程度ダムの基本的な
工事の基礎ができ上がっておりましたのを引き継ぎまして、いよいよ本格的な
工事に、公団の手でこれを実施するということで、昨年引き継ぎました。昨年の冬を迎える時期から、ダム本体のコンクリート打設の
段階に入っております。掘さく、コンクリート打設を今後本格的に実施をいたしまして、これは、基本
計画に示されております四十一
年度までに
完成をするということを目途に鋭意努力をいたしております。
それからいま一つの下久保ダムと淀川の高山ダムにつきましては、引き継ぎを受けましたが、なお用地の問題が片づいておりませんので、目下、下久保ダムにつきましては、すでに補償対象物件等の
調査は昨年終えておりまして、引き続き用地折衝の
段階にございまして、今、最終的な用地の折衝を当該地元の対策
委員会との間に進めております。淀川の高山ダムにつきましても、用地の折衝をただいま開始いたしつつあるわけでございまして、すみやかにこの用地の妥結を見まして、本来の
工事に入りたいと、かように考えている次第でございます。
ただいま申し
上げましたのは、引き継ぎないしすでに御
計画がきまっておった事業についてのものでございますが、公団の新規事業といたしまして、今朝来いろいろ
お話が出ております
利根川水系につきましての、利根導水路の問題が、かねてから、公団ができれば、早くこれを実施しなければならないという考えを持っていたわけでございますが、去る三月八日でございます、利根導水路についての政府部内におきますところの
関係各省の調整が完全につきまして、閣議決定に相なりました。利根導水路を政府が基本
計画として御決定になりまして、これは全体といたしましては、矢木沢、下久保のダムに貯留いたしますところの水を、つまり矢木沢につきましては、秒四トン、それから下久保につきましては、十六トンの水、合計いたしまして二十トンの水を導水路によりまして持ってくるという事業でございます。したがいまして、水の分量といたしましては、この二十トンの水を矢木沢、下久保が
完成いたします——下久保は四十二
年度完成という基本
計画の工期になっておりますので、四十二
年度までに、この二十トンの水を、利根導水路によりましてその二十トンのうちの十六・六トン、百二十万トンを日量と申しておりますが、これを
東京都のほうに原水として導水をする、こういう
計画に相なっているわけでございます。しかし同時に、今朝来
お話がございましたように、利根導水路につきましては、
東京が非常な
水不足に見舞われておるような
状況でございますので、ことしのうちには間に合いませんけれ
ども、少しでも早くこの
利根川の水を
東京に導水をいたしまして、
東京の水の
状況を解決いたさなければならないという
現実の、ただいまの情勢に基づきまして、その水利権としてのこの二十トンの導水は、四十二年——なるほどダムが貯留ができてからでなければ導水できないわけであるけれ
ども、少しでも早く一部緊急に水が通ずるようにする、
通水をするという措置をあわしてやるように、基本
計画におきまして可及的すみやかに一部の
通水ができるようにしようということがございまして、これにつきましては、公団といたしましては、四十二
年度を待ちませんで、つまり具体的に申しますと、利根導水路の中流部から合口取水せきを設けましたり、あるいは下流の農業水利の安定のための
連絡水路を設けますが、それらの本格的な事業は四十二年までかかりますけれ
ども、とにかく途中から取水をいたしまして、
利根川から荒川に水路を設けまして、水が荒川に参り、さらに荒川を三十キロばかり流下せしめまして、荒川から取水をいたしまして
東京都の
浄水場のほうに原水として導入をする、これにつきましては、三十九年中にこれができ上がるようにということを目途にいたしまして、突貫
作業のような
工事をいたしたいと、かように考えておるような次第でございます。利根導水路につきましては、今、基本
計画が三月八日にきまりまして、それぞれの主務省におかれまして実施方針を公団にお示しになる準備を整えつつある
段階でございまして、この実施方針をちょうだいいたしまして、公団が実施
計画を立てて、直ちに御認可を得て、事業に着手をする。非常に政府部内におきましても、事柄の緊要性にかんがみお急ぎになっておりますから、もはや不日お示しいただけると思いまして、公団としては、すでに準備万端整えまして、
計画の認可を受け次第、
関係府県との協議が整い次第、直ちに実地の測量、設計、
調査、これを急速にやりまして、本格的な
工事に入るという準備を整えておる次第でございます。
それから、いま一つ、三月八日の閣議におきまして、
利根川水系でございますが、印旛沼の開発事業が閣議決定になりました。これは、従来農林省が直轄事業として土地改良並びに干拓の事業をやっておられましたのに、最近の工業用水の
状況にかんがみまして、工業用水を供給するという事業を加えまして、
計画の改定をされましたわけでございます。その機会におきまして、これを公団に実施せしめることにする工業用水の事業と土地改良の事業は公団の事業として引き継ぐ、農林省が公団に引き継ぐ、干拓の事業は農林省が公団に委託をする、こういう閣議決定の内容でございまして、こうした三月八日の
利根川の基本
計画の改定追加がございまして、先ほど申しました利根導水路と印旛沼の開発事業が、実施方針がもう近日公団に示される。公団はそれを受けまして、
計画の認可を受けて、できるだけ早く
工事に着手するという
段階を迎えておるわけでございます。水資源開発公団といたしましては、ただいまようやく、その引き継ぎ事業のほかに、大事なこういう緊急を要する新規事業なり、また新しい引き継ぎの事業を公団の仕事とされたわけでございまして、これに基づきまして、基本
計画に示されたる趣旨に沿って鋭意最大の努力をいたしたいということで準備を整えておる次第でございます。
なお、三十八
年度の
予算、事業等についてごく概略を御
説明を申し
上げます。
三十八
年度の事業につきましては、大体内容的には今申し
上げましたようなことで尽きておるわけでございますが、公団の事業費といたしまして約百九億−百十億くらいになりますが——の事業
予算がきまりまして、これはなお、今回の
予算に基づいて、その後の基本
計画に基づいて、若干改定されて認可を受ける手続になると思いますが、
予算できまりました数字について申し
上げます。
先ほど申し
上げましたダムにつきましては、矢木沢ダムが十六億、下久保ダムが三十八
年度十三億、高山ダムが八億、合計三十七億六千万というダム
建設費でございます。
それから、用水路
関係といたしましては、先ほど申し
上げました淀川の長柄可動ぜきが五億、それから利根導水路が四十五億、それから群馬用水が二億、印旛沼の開発費が十六億、そのほか業務外支出、予備費を入れまして、ただいま申し
上げましたような約百九億になっておるわけでございます。
この事業費の中では、利根導水路につきまして、その後
東京都のほうと、つまり政府部内におきまして
関係各省の間で話がまとまりまして、公団の事業と
東京都の事業区分が話が調整がつきましたので、若干この事業費について変更があると思います。しかし、これは総体の事業費が変わるわけではなくて、公団の事業と
東京都の事業を足したものは変わりがないわけでございますが、その区分が変わるということでございます。
それから、群馬用水につきましては、先ほど御
説明しておりませんが、まだ基本
計画が決定いたしておりませんが、それは五月ごろには政府において御決定になると思います。これは矢木沢ダムから取水するところの十三・六トンの水を赤城、榛名山ろくに、農業用水に
給水するということでございまして、不日基本
計画が示されると思っております。
それから、資金の内容につきましては、ダムにつきましては、御
承知の治水事業から
建設省におきまして交付金が出ます。この交付金の合計は十八億、それから
補助金といたしまして、土地改良事業の国庫
補助金、これが一億八千万群馬用水と印旛沼につきまして出てくる。それから、借入金といたしましては、総計二十九億、この借入金の内容は、ダムにつきましては従来負担金がきまっております。矢木沢、下久保につきましては原則的に借入金の必要がございませんけれ
ども、高山ダムはまだきまっておりませんので、これは借入金による。それから利根導水路につきまして、この上流部につきましては二十二億、それから下流部におきまして五億ということで、借入金をいたすことに相なっております。それからあとは、農業土地改良事業の地元負担金に当たる分の借入金がございまして、二十九億という内容になっておりますが、これまた、先ほどの事業費の変更に基づいて、今後若干の調整が行なわれると思います。それから、負担金といたしましては四十九億、これはダムの負担金、それから長柄可動ぜき、これは事業が三十八
年度で終了いたしますので、これの負担金、それから利根導水路も下流についての負担金、それから印旛沼の負担金、千葉県の負担が九億六千万、こういうもので四十九億ということになっておりますが、これも先ほどの利根導水路の調整によりまして若干減額に相なる見込みでございます。
以上御
説明申し
上げましたような事業
計画で、三十八
年度からは公団としては本格的に事業を実施すべく、目下準備中の次第でございます。