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政府委員(松沢雄蔵君) ただいま大臣より
建設行政施策全体にわたり
基本方針を申し述べましたが、これに基きまして
建設省関係の昭和三十八年度
歳入歳出予算につきまして、その概略を御説明いたします。
まず、総額について申しますと、
建設省所管の
一般会計歳入歳出予算といたしましては、歳入は十三億四千五百余万円、歳出は三千三百六十一億三千四百余万円であります。歳出におきましては、このほかに、総理府及び労働省の
所管予算として計上されますが、実質上
建設省所管の事業として実施される予定の経費等がありますので、これらを合わせますと、昭和三十八年度の
建設省関係予算は、三千八百七十一億九千五百余万円となり、前年度の当初予算に比べ四百三十六億九千四百余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ、三百二十二億五千余万円の増加となっております。なお、このほかに
国庫債務負担行為として、
国立国際会館建設に八億五千万円を予定いたしております。
次に
特別会計予算の概要を御説明いたします。
治水特別会計の昭和三十八年度の
予算総額は、
歳入歳出とも八百七十六億七千百余万円で、前年度の当初予算に比べ百八億七百余万円、また前年度の補正後の予算に比べ百五億六千八百余万円の増となっております。これを勘定別にいたしますと、まず、
治水勘定につきましては、総額六百九十億八千二百余万円で、前年度の当初予算に比べ八十一億五千八百余万円の増でありまして、
うち一般会計より
受け入れとして五百三十八億千五百余万円、
地方公共団体工事費負担金収入として百億六千百万円を予定いたしております。
また、
特定多目的ダム建設工事勘定につきましては、総額百八十五億八千九百余万円で、前年度の当初予算に比べ二十六億四千八百余万円の増でありまして、
うち一般会計より
受け入れとして、九十七億八千六百余万円、
地方公共団体工事費負担金収入として三十億四千五百万円、
電気事業者等工事費負担金収入として三十九億千四百余万円を予定しております。
なお、このほかに
国庫債務負担行為として、
直轄河川改修事業に二十三億円、
直轄砂防事業に一億八千万円、
多目的ダム建設事業に四十九億五千万円を予定いたしております。
次に、
道路整備特別会計でありますが、本
特別会計の昭和三十八年度
予算総額は、
歳入歳出とも二千五百五億七千二百余万円で、前年度の当初予算に比べ四百三十四億二千二百余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ四百三十一億四千五百余万円の増でありまして、
うち一般会計より
受け入れとして二千二百四十四億七千百万円、
地方公共団体工事費負担金収入として百八十九億七百万円、前年度剰余金の
受け入れとして十億四千万円を予定いたしております。
なお、このほかに、
国庫債務負担行為として、
直轄道路改策事業に百七十億円、道都
圏街路事業費補助に四十五億円を予定いたしております。
次に、個々の
事業予算の重点について御説明いたします。
第一に、
治水事業につきましては、国土の保全と民生の安定を期する見地から、事業の格段の促進に努めてきたところでありますが、近年の災害の発生の状況及び
水資源開発の急務にかんがみ、昭和三十八年度におきましては
治水事業前期五カ年計画の第四年度として、緊急を要する事業に重点を置いて、大幅繰り上げ実施をはかることとしております。昭和三十八年度の
治水事業関係予算のおもなものとしては、
治水特別会計において、
河川事業に四百四十七億円、
多目的ダム建設事業に二百三億三千五百余万円、
砂防事業に百四十五億五千九百万円、
水資源開発公団交付金に十八億四千百万円、
一般会計において、
海岸事業に二十二億六千余万円、
チリ地震津波災害地域津波対策事業に二億七千六百万円、
伊勢湾高潮対策事業補助事業分に四十四億七千二百万円を予定しております。
次に、そのおもな内容について申し上げます。
まず、
河川事業につきましては、
経済効果の大きい重要な河川、最近水害の著しい河川、放水路、
捷水路工事及び大規模な引堤工事を施行している河川、大阪湾及び
東京湾地域における
高潮対策並びに
低地地域における
排水ポンプの整備等に重点を置いて、事業の促進をはかる方針であります。すなわち、
直轄河川については、
継続施行中の
利根川等百河川及び北海道の
特殊河川として十六河川の事業を実施する予定であります。
補助事業におきましては、
中小河川改修事業として
継続施行中の三百七十四河川のほか、緊急に改修を要する三十河川を新規に採択するとともに、
小規模河川改修事業として
継続施行中の二百四十九河川のほか、新規に七十二河川の着工を予定し事業の促進をはかることとしております。
高潮対策事業につきましては、その緊要性にかんがみ、
東京地区について
既定計画を再検討の上、昭和三十八年度以降緊急三カ年計画を策定し、事業の推進をはかることとし、
大阪地区についても、前年度に引き続き、緊急三カ年計画に基づき事業の促進をはかることといたしております。
多目的ダム建設事業につきましては、
治水効果及び用水需要の増大を考慮して、事業の促進をはかることといたしております、すなわち、
直轄事業では十一ダムを継続して施行するほか、新規に天竜川の小渋ダムに着工することとし、また、
実施計画調査としては、三ダムの調査を継続するほか、新規に吉野川の早明浦ダム及び天塩川の
岩尾内ダムの調査に着手することといたしております。
補助事業としては、二十のダムを継続して施行するほか、新規に沼田川の
椋梨ダム等六ダムを着手することとし、また、
実施計画調査としては、三つのダムの調査を継続するほか、新規に養老川の
養老ダム等七ダムの調査を実施する予定にいたしております。また、
水資源開発公団において行なう
利根川矢木沢ダム等三ダムの
建設事業に対し、建設費の
治水負担分として交付金を交付し、その促進をはかることといたしております。
次に
砂防事業につきましては、
直轄事業として
継続施行中の二十六水について実施するとともに、
地すべり対策事業として
継続施行中の四水系について実施することとしております。
補助事業としては、近年
災害発生の著しい河川及び土砂による被害の著しい河川に重点を置いて施行するとともに、
都市周辺及び
重要地域における
予防砂防を実施することとしております。
次に、
海岸事業につきましては、近年頻発する
海岸災害の
被害状況及び
海岸災害の
被害状況及び
海岸事業の進捗の状況にかんがみ、重要な地域における
海岸保全施設の整備に重点を置き、
直轄事業としては、
継続施行中の八海岸のほか、新規に
岡山海岸に着手し、事業の促進をはかることとしております。
補助事業についても、同様の方針に基づいて実施することとし、
高潮対策事業、
海岸浸食対策事業として
継続施行中の七十七海岸のほか、新規に三十三海岸を予定し、重点的に事業を促進する方針であります。
また、
チリ地震津波災害地域津波対策事業につきましては、昭和三十八年度以降おおむね四カ年で完成することを目途に、事業の促進をはかることとしております。
伊勢湾高潮対策事業につまきしては、
直轄事業は昭和三十七年度に完了しましたが、
補助事業についても昭和三十八年度中に完了する予定であります。
第二に、
災害復旧対策関係予算について御説明いたします。
災害復旧対策関係の
予算総額は、
一般会計よりの歳出として四百億六千百余万円でありまして、その内訳は、
災害復旧事業費三百五十七億一千百余万円、
災害関連事業費四十二億百余万円、
鉱害復旧事業費一億四千八百余万円であります。そのおもな内容を申し上げますと、まず、
災害復旧事業費につきましては、
直轄災害は、内地二カ年、北海道三カ年復旧の方針に基づき、三十六年災は完了し、三十七年災は内地分は完了し、
北海道分は八〇%の進捗をはかることといたしております、
補助災害につきましては、
緊要事業は三カ年、全体として四カ年で復旧する方針のもとに、事業の進捗をはかることとしております。
また
災害関連事業につきましては、
災害復旧事業にあわせて、適切な実施をはかり、再度の災害を防止するため効果を上げることといたしております。
第三に、
道路整備事業について御説明いたします。
政府におきましては、経済の高度成長に伴う
自動車輸送の需要増大の趨勢に即応して、
道路整備五カ年計画に基づく
道路整備を積極的に推進することといたしておりますが、昭和三十八年度におきましては、
一級国道の一次改築、大都市及びその
周辺地域の道路の再改築並びに
オリンピック関連道路一
大都市地域の道路、
産業開発及び観光上重要な
地方道路の整備に重点を置いて、積極的に事業の推進をはかることとしております。
昭和三十八年度における
一般道路事業予算のおもなものといたしましては、
一級国道に一千六十二億八百余万円、二級国道に三百六十一億三千二百余万円、
主要地方道に三百六十九億九千八百余万円、
一般地方道に二百七十七億五千八百余万円、
市町村道に二百十二億三千七百余万円を予定し、これにより国道及び地方道を含めて約二千七百三十キロメドトルの改良及び橋梁の工事と約二千三百キロメートルの
舗装工事を実施し、五カ年計画に対して改良及び橋梁の工事については事業費でおおむね五三%、
舗装工事についてはおおむね四五%を達成することといたしております。また、特に踏切道の
立体交差化、待避所及び共同溝の設置等につきましても、積極的に推進をはかる考えであります。なお、従来に引き続き、内地の
一級国道のうち、交通量の特に多い区間を、国が直轄で
維持管理を行なうこととし、昭和三十八年度におきましては、さらにこの区間を約七百キロメートル追加して合計約五千キロメートルとする予定であります。
なお、このほか
国土開発縦貫自動車道の路線について調査を促進するための調査費として一億六千万円を計上しておりますが、これにより東北、中国、九州、北陸、四国、中央の各
自動車道について調査を促進するとともに、新たに、
北海道自動車の調査に着手することとし、また、
本州四国連絡架橋調査費については、三億五千万円を計上し、
本格的調査を進めることにいたしております。
なお、
積雪寒冷特別地域における
道路交通を確保するため、これに必要な
道路事業費及び機械費として四十三億二千七百万円を計上しております。
また、
街路事業の予算につきましては、前述の
道路関係予算に五百二十二億三千六百万円が含まれておりますが、これによりまして、
社体交差を含む
道路改良、
橋梁整備及び
舗装新設等の
街路事業を実施して、
都市内交通の円滑化をはかるほか、人家の密集した地区で、
幹線街路の整備とともに市街地の
合理的利用をも必要とする地区において、
都市改造土地区画整理事業及び
市街地改造事業の実施を推進いたしたいと考えております。
次に、
有料道路について御説明いたします。
まず、
日本道路公団につきましては、
道路整備特別会計からの出質金九十五億円のほか、
借入金等を合わせて八百七億六千四百万円の質金により、事業を行なうこととしておりまして、
高速道路については、
名神高速道路小牧−西宮間のうち京都−栗東間を六月に、これを含む尼崎−栗東間約七十二キロメートルを本年度中に完成するとともに、その他の区間についても工事の促進をはかり、また、東京−富士吉田間の
国土開発縦貫自動車道中央自動車道及び
東海道幹線自動車国道の建設の促進をはかり、
一般有料道路については、第三
京浜道路等の工事を、前年度に引き続き促進するとともに、若干の新規の事業にも着手する予定であります。
次に、
首都高速道路公団の事業につきましては、
道路整備特別会計からの出資金十五億円、東京都出資金十五億円のほか、
借入金等を合わせて三百七十六億七千六百万円の資金により、事業を行なうこととしておりまして、
首都高速道路については、昭和三十七年度において実施している七路線のうち、六号線を除く、六路線を継続実施することとし、このうち、一号線について
東京日本橋本町三丁目、鈴ケ森間約一二・五キロを昭和三十八年度中に供用開始することとしており、また、駐車場については、江戸橋ほか二カ所を継続実施し、その全部を完成する予定であります。
次に、阪神
高速道路公団の事業につきましては、
道路整備特別会計からの出資金二億円、地方公共団体からの出資金二億円のほか、
借入金等を合わせて六十六億二千二百万円の資金により、事業を行なうこととしておりまして、昭和三十七年度に引き続き、大阪一号線を継続実施し、このうち難波−土佐堀間約二・八粁を年度内にほぼ完成するほか、新規に神戸一号線に着手する予定であります。
第四に、
都市計画事業について御説明いたします。
昭和三十八年度における
都市計画事業関係予算は六百七億二千五百万円であります。このうち、まず、街路関係事業の予算額は、
首都高速道路公団及び阪神
高速道路公団に対する出資金を含め五百三十九億三千六百万円でありまして、これにつきましては、すでに申し述べました
道路整備特別会計に計上されております。
次に、
一般会計に計上されております
都市計画事業の予算額は六十七億八千九百万円でありまして、これにより下水道、公園等の整備をはかることにしております。
下水道関係の予算額は六十四億七千万円で、前年度に比し十七億六千六百万円の増でありますが、事業の緊要性にかんがみ、昭和三十八年度から下水道整備五カ年計画を策定し、
都市施設中最もおくれている下水道の整備の促進に努める保存であります。
公園関係の予算額は、三億一千九百万円でありまして、国営公園、都市公園及び墓園等の整備をはかることとしております。
第五に、住宅及び
宅地対策について御説明いたします。
政府は、国民生活の向上安定と社会福祉の充実を期するため、十カ年に約一千万戸の住宅を建設する目標のもとに、昭和三十六年度以降五カ年間に約四百万戸の住宅の建設を見込み、特に低
家賃住宅の大量供給と、不良、老朽、過密居住宅の一掃をはかるため、
政府施策住宅として六百万戸の建設を予定しておりますが、昭和三十八年度におきましては、二十八万七千戸の建設を計画しております、この戸数は、前年度に比較いたしますと、二万二千戸の増となっておりますが、特に昭和三十八年度におきましては、住宅の質の向上をはかるため、不燃堅牢構造の住宅の増加に重点を置くとともに、建設単価の是正をはかることとしております。
また、民間自力によって建設される住宅は、最近の実績より見て約五十万戸程度と推定されますので、これを合わせて昭和三十八年度におきましては、約七十八万七千戸の住宅の建設を見込んでおります。なお、最近における宅地の入手難及び地価の高騰に対処するため、
宅地供給量の大幅な増加をはかることとし、このため
日本住宅公団における宅地開発事業及び
住宅金融公庫における宅地の取得、造成に対する融資について、その資金量の増大をはかるとともに、地方公共団体及び
土地区画整理組合において
土地区画整理事業方式による宅地造成を推進して参る考えであります。
政府施策住宅に対する予算措置としては公営住宅に対しましては、
一般会計予算において二百二十一億百余万円を予定し、第一種住宅一一万二千三百戸、第二種住宅三万三千七百戸、計五万六千戸及び
災害復旧のための第二種住宅三十二月の建設に対し補助することとしております。
住宅地区改良事業といたしましては、
一般会計予算において二十五億三千余万円を予定し、劣悪な居住環境を改善し、あわせて市街地の
合理的利用をはかるため、不良住宅の除却及び改良住宅四千五百戸の建設に対し補助することとしております。
次に、
住宅金融公庫におきましては、産業投資
特別会計よりの出資金九十五億円のほか、
借入金等合わせて七百九億六千三百万円の資金により、十二万八千戸の住宅建設、三百万坪の宅地の取得、三百三十五万坪の宅地の造成及び被災佐宅の復興に要する資金の貸付を行なうこととし、このほか
農山漁村住宅等の改善を促進するため、新たに住宅改修資金の貸付制度を設け、約八千件の改修融資を行なうこととしております。なお、分譲宅地の供給の増大をはかるため、宅地需要者に対して計画的な資金積立を奨励することとし、このため新たに
宅地債券九億円を発行することとしております。
また、
日本住宅公団におきましては、産業投資
特別会計からの出資金八十億円のほか、
借入金等を合わせて七百五十四億円の資金により、賃貸住宅二万二千戸、分譲住宅一万一千戸の建設、市街地施設の建設を行なうとともに、宅地については、一千三百二十五万坪の住宅用地及び四百四十万坪の工業用地の取得造成事業を行なうこととしております。なお、
住宅金融公庫におけると同様に、新たに
宅地債券十億円を発行することとしております。
以上のほか、都市における火災その他の災害を防止し、あわせて土地の
合理的利用の促進及び環境の整備をはかるため、防災街区造成に対する補助金として、
一般会計予算において二億八千万円を予定しております。
第六に、官庁営繕について御説明いたします。
建設省で実施いたします官庁営繕のうち、
建設省所管予算として計上されておりますのは、六十八億七千七百余万円でありまして、前年度予算に比し十一億四千六百余万円の増額となっております。実施にあたりましては、算に中央官庁地域の早期整備と、中央、地方の合同庁舎の建設、その他一般官署の建てかえ丁国立国際会館の建設の促進等に重点を置くことといたしております。
このほかに、オリンピック東東大会実施準備費として二十五億七千二百余円を計上し、前年度に引き続き、事業を実施することといたしております。
以上のほか、昭和三十八年度予算中のおもなものについて申し上げますと、
産業開発青年隊につきましては、五千七百余万円を計上し、幹部及び中央隊の訓練を行なうともに、道府県の青年隊の運営費等を補助することとし、また、中央訓練所を拡充して技能訓練の徹底を期することとしております。
水防対策につきましては八千五百余万円を計上し、無線局の増設並びに水防施設の整備に対する補助等を行ない、水防態勢の強化充実をはかることといたしております。
次に、
土地区画整理組合貸付金について御説明いたします。この経費は、前述の
宅地対策の一環として、氏間自力による宅地造成の促進をはかるため、
土地区画整理組合に対し宅地造成
土地区画整理事業に必要な資金の貸付を行なう都道府県を対象として、国がその所要資金の一部に相当する資金を無利子で貸し付ける新たな制度でありまして、昭和三十八年度は、二億円を計上しております。
以上が昭和三十八年度の予算の概要でありますが、なお、組織関係のおもなものといたしましては、付属機関においては、建設研修所を改組して建設大学校を設置し、
地方建設局においては、昭和三十八年七月一日から実施する本省からの事務の大幅な委譲に伴い、計画管理部を新設する等所要の整備を行なうことといたしております。
定員につきましては、昭和三十八年度においては、前述の本省から
地方建設局への事務の委譲に伴う本省から
地方建設局への定員の振りかえ、また、
地方建設局においては治水・道路両
特別会計から
一般会計への定員の振りかえ等がありますが、全体としては増減はなく、したがって、昭和三十八年度における建設省の定員は三万五千七百二十人となります。
以上をもちまして、昭和三十八年度の
建設省関係の
一般会計予算及び
特別会計予算の説明を終ります。よろしく御審議のほどをお願いいたします。