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大森創造君
防衛庁長官にひとつお伺いしたいと思うのですが、この104の問題について、
前回の
委員会で申し上げましたように、小川二佐がやめられたという今までのいきさつは、私
ども承知のとおりでございまして、「文芸春秋」にああいうことが発表された。内部の士気の問題についてはきょうは触れませんけれ
ども、われわれが今から四年前にロッキードかグラマンかということで盛んに論議をされて、今
大阪の知事をやっている左藤義詮氏が赤城さんの前の
防衛庁長官であった。そのときの
関係の
委員会の記事を見てみましても、志賀さんの何代か前の
防衛庁長官が、ロッキード104というのは非常に
日本の風土、気象条件に合わなくて非常に安全性の点が問題だと思う、それから。パイロットを訓練するについても問題があると思うということをはっきりと——これは速記に残っておりまして、言明されております、衆議院の
予算委員会で。左藤さん個人の
考えはどうかわかりませんけれ
ども。それから
あと赤城さんが
防衛庁長官になって、源田さんが空幕長、それで問題の小川君などが一緒にアメリカに行って、そしてその後
決定をした。今度はバッジ設備の問題については、新聞などを見てみるというと、いろいろ意見が分かれていて、今度もまたアメリカに行っているようでございますが、そういういきさつにあって、われわれは104というものはどうなるんだろうかと疑問に思っていたところが、小川二佐がああいうことでやめられた。私はどうもそのふに落ちないのは、だれに聞いても、まあ「文芸春秋」にすっぱ抜いてからは、
防衛庁のほうでは、これは態度を硬化するどころか、こうなっては問題は別だということで——これは当然だと思うのですよ。まあ慰留に慰留をしていたんですよ、今までの経過を見るというと。それで、
防衛庁長官もそれぞれの場所で、彼は非常にまじめであって、そして技能的にもかけがえのない男で、二千数百時間の滞空時間を持っているのだと——これは実際そのとおりだと思うのです。あんなけんのんな飛行機に二千数百時間乗る滞空時間など持っている
現地の飛行隊長の意見は、
国民の一人として、また国会議員としては、これは信用するほかない。志賀さんがおっしゃるように、直情径行過ぎて、ワンマンだけれ
ども、
考えようによっては、あなただってワンマンだ、私だってワンマンだ、河野一郎だってワンマンだ、
佐藤榮作だってワンマンだ、それをくさしている大野伴睦だってワンマンだ。ましてああいう飛行機に乗っている飛行隊長ともなれば、一方から見ると直情径行、これはすなわち技術者的ないいところもあるんじゃないかというふうに思うのです。その人が士気の云々ということは、これは個性的な彼自身のくせもあって、今の
防衛庁に対する見方、
考え方もあるだろうと思う。これはあるけれ
ども、整備の問題についてこうだとか、あるいは部品の問題についてこうだとか、そういう具体的な事実を、実は間接的に聞いてみるというと、彼は相当膨大なものを用意していると言えるのです。ところが、「文芸春秋」にはその一部が載ったにすぎない。そういう飛行機の、
現地で飛んで、隊長であって、
防衛庁が、彼がおかしな男であるなら、今まで信用して、
F104の飛行隊長を初代から四年問続けてやっているというのは、これは
防衛庁の失態ですよ。ただ困るのは、「文芸春秋」というものに発表しちゃった、戒告になる前に発表したと、こういうことだと思うのです。このいきさつを冷静に
考えてみるというと、私は決して
防衛庁を責めるとか、ここでどうのこうのということではございませんが、この技術的な問題については、これは私もしろうとでございますが、きょうおそろいの皆さん方よりも、これは機械的にはわからない。機械的にはどだい104というやつは、ロッキード
会社も不明なところがあるだろうと思うし、新三菱重工の技術者も不明なところがあるだろうし、新たに非常な苦心をこえて
日本で開発しなければならぬという、そういう宿命的な飛行機でございますから、その場合に、今後104というやつを継続生産するなり、あるいはしないなりしても、とにかく問題の飛行機というものに、技術的に、科学的に、機械的にいろんな改良をする必要があるだろうと思うのです。
前回申し上げたとおり、風速が七・五メートルでどうだとかこうだとか、それから西三佐が事故を起こした
あとに三回も事故が起こっている。そして、事故
調査委員会を設けてどうこうという
報告が私
どものほうへ出ていましたが、一体この飛行機が完全なものになるためには、やはり
関係者がみんな苦労しなければならぬと思うのです。その場合に、やっぱり実際に四年間乗っていた人が、具体的に、整備はどうだとか、地上支援機材がどうだとか、整備員の練度がどうだとかいうような問題について、これは問題を提起された以上は、まるっきりこれは信用できないという態度を一体とれるかと思うのです。まるっきり信用できないということなら、一体なぜ彼に四年間も飛行隊長をやらせたか。また、彼がたとえば準禁治産者的な男なら、なぜ二カ月間も慰留したのか。私は、このいきさつにかんがみて、どうも結論的に言うというと、これは
防衛庁は、士気の問題はきょう問わないが、士気の問題を含めてでも、相当虚心に反省を要すべき点があるのじゃないか。さっき
相澤氏からも話がありましたように、一機四億何ぼ、値上がりになると五億近いという、しかも次期戦闘機として継続生産するかもしれない。
国民は何も知りません。こういう飛行機がどうだとか、安全度合いについて、信用すべき有力な一人に違いないのです。最高の一人かもしれないと思うのです。小川君の発言、これは、そういう今までのいきさつにかんがみて、
防衛庁がこれに対して不問に付す、二カ月間慰留して——かけがえのない男だ、いい男だと慰留をして、ところが「文芸春秋」にぱっとすっぱ抜いた、これで今度は戒告して、それから首切る。これは、私も、多くの
国民も、ふに落ちないと思うのです。それは、内部的な規制措置はそれでよろしいでしょう。だけれ
ども、
防衛庁としては、これに対して何とかせなければいかぬと思うのです。私の
考えでは、小川君というのは確かにくせがある男であろうと思うから、何か士気の云々ということから言うというと、感情的なものもあるだろうというふうには想像にかたくない。たとえば、十の問題を技術的に提起された場合に、十のうち
二つか三つぐらいは小川君の行き過ぎ、誤解であるということもあるかもしれません。この間、私は若干「文芸春秋」に基づいてここで議論したけれ
ども、装備局長の
答弁があった。私はわからない。それから装備局長だって、小川君以上にこれは104について……、実際パイロットする飛行隊長のほうが、実際の場面については、私は参考にすべき意見があると思う。だから、小川君の言うことだって、五つ六つ正しい点があるだろうと思う。これをこのままの形にするということは、私は、決算
審査の立場から、
防衛庁の
関係、飛行機の
関係を調べる立場からいろと、私としてはこのまま引き下がれない。これに対して志賀
防衛庁長官は何か措置をとってくれますか。具体的に言いますと、実際提起された問題について、あの「文芸春秋」以外にありますよ。私は、さっき
委員長理事打合会で、小川君を呼んだらどうだ、
防衛庁を除いて小川君の話を聞いたらどうだ、これは大いに参考になる。五億の飛行機が再三事故を起こしている、どこが悪いかわからない、だれの話を一番聞くかということになると、
小川隊長の話などが、ちゃんと決意をして——あなた方は
防衛庁に今後ずっといるつもりだからいいけれ
ども、三十九才の年配で、女房もあり、子供もあって、そうしてこうだという問題を提起しておるからには、私はこれに対して回答しなければならぬと思う。それで、私は、いろいろな問題を提起されている「文芸春秋」以上に、本
委員会としても、もう少したってから、この夏休みあたりに
現地の千歳へ行こうという話もあったけれ
ども、それから
あと小川君を呼ぶことを相談しようということになっている。そんなことは士気の問題に関するとか、パイロットの士気に関するということで、黙っているということもない。それなら昔の軍隊に返ってしまう。
国民の税金ですから、公明にすなおに、いいことはいい、こういう立場でいかなければいかぬ。そうでないと、信頼される
防衛庁にならない。私が言うのは、
防衛庁に自信があるなら、名誉棄損的なことを言われたのだから、みずから
防衛庁が小川君を呼んで、そうしてひとつ聞くなり何なりして、対決するという言葉はおかしいが、ちゃんとあれに対する具体的な回答を与えて、「文芸春秋」なりに発表しないと、おかしいと思う。もしくはこの
委員会を通じて言うとか、何らかの措置をとってくれますかどうか、志賀長官から御
答弁願いたい。