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1963-02-13 第43回国会 参議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年二月十三日(水曜日)    午後一時十五分開会   —————————————    委員異動  二月七日   辞任      補欠選任    武内 五郎君  亀田 得治君  二月八日   辞任      補欠選任    久保 勘一君  野上  進君   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     鈴木  壽君    理事            佐藤 芳男君            山崎  斉君            相澤 重明君            鈴木  強君    委員            田中 清一君            仲原 善一君            野知 浩之君            二木 謙吾君            前田 久吉君            大森 創造君            加藤シヅエ君            亀田 得治君            和泉  覚君            中尾 辰義君   国務大臣    大 蔵 大 臣 田中 角榮君    運 輸 大 臣 綾部健太郎君    国 務 大 臣 志賀健次郎君   政府委員    内閣官房長官  黒金 泰美君    総理府総務長官 徳安 實藏君    総理府恩給局長 八巻淳之輔君    総理府特別地域    連絡局長    大竹 民陟君    行政管理政務次    官       宇田 国栄君    行政管理庁長官    官房会計課長  森山 岩治君    行政管理庁行政    監察局長    山口  酉君    北海道開発庁総    務監理官    小島要太郎君    北海道開発庁主    幹       角  政也君    防衛庁経理局長 上田 克郎君    防衛庁装備局長 伊藤 三郎君    防衛施設庁総務    部会計課長   大浜 用正君    経済企画政務次    官       舘林三喜男君    経済企画庁長官    官房会計課長  佐藤 二郎君    経済企画庁総合    計画局長    向坂 正男君    科学技術政務次    官       内田 常雄君    科学技術庁長官    官房会計課長  松田 寿郎君    法務政務次官  野本 品吉君    法務大臣官房経    理部長     新谷 正夫君    外務政務次官  飯塚 定輔君    外務大臣官房長 湯川 盛夫君    外務大臣官房会    計課長     佐藤 正二君    大蔵政務次官  池田 清志君    大蔵省主計局司    計課長     佐々木達夫君    大蔵省主計局法    規課長     上林 英男君    大蔵省管財局長 白石 正男君    文部大臣官房会    計課長     安嶋  弥君    厚生政務次官  渡海元三郎君    厚生大臣官房会    計課長     今村  譲君    農林政務次官  大谷 贇雄君    農林省農政局長 斎藤  誠君    通商産業政務次    官       上林 忠次君    通商産業大臣官    房会計課長   赤沢 璋一君    運輸大臣官房会    計課長     黒住 忠行君    郵政政務次官  保岡 武久君    労働政務次官  田村  元君    労働大臣官房会    計課長     住  栄作君    建設政務次官  松沢 雄蔵君    建設省河川局長 山内 一郎君    建設省道路局長 平井  学君    建設省住宅局長 前田 光嘉君    自治政務次官  藤田 義光君    自治大臣官房長 大村 襄治君    自治大臣官房会    計課長     山本  明君         —————    会計検査院長  芥川  治君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    外務省アジア局    外務参事官   番  徹夫君    食糧庁経理部長 筒井 敬一君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選の件 ○昭和三十六年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和三十六年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和三十六年度国税収納金整理資金  受払計算書内閣提出) ○昭和三十六年度政府関係機関決算書  (内閣提出) ○昭和三十六年度物品増減及び現在額  総計算書内閣提出) ○昭和三十六年度国有財産増減及び現  在額総計算書内閣提出) ○昭和三十六年度国有財産無償貸付状  況総計算書内閣提出)   —————————————
  2. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動につき御報告いたします。  去る二月七日、武内五郎君が委員辞任され、その補欠として亀田得治君が委員に選任されました。  また、二月八日久保勘一君が委員辞任され、その補欠として野上進君が委員に選任されました。  以上でございます。   —————————————
  3. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 次に、理事辞任につきお諮りいたします。  大森創造君より本日都合により理事辞任いたしたい旨申し出がございましたが、これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 御異議ないと認めます。よって辞任を許可いたします。   —————————————
  5. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 次に、理事補欠互選の件につきお諮りいたします。  ただいまの理事辞任に伴いまして、本委員会理事が一名欠員となっておりますので、これより直ちにその補欠互選を行ないます。互選の方法は、慣例によりその指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 御異議ないと認めます。  それでは、私より鈴木強君を理事に指名いたします。   —————————————
  7. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) これより、昭和三十六年度一般会計歳入歳出決算外三件について、その概要説明を求めます。  まず、昭和三十六年度決算を議題といたします。政府委員より昭和三十六年度決算及び昭和三十六年度日本専売公社決算につき説明を求めます。池田大蔵政務次官
  8. 池田清志

    政府委員池田清志君) 昭和三十六年度一般会計歳入歳出決算、同特別会計歳入歳出決算同国税収納金整理資金受払計算書及び同政府関係機関決算書会計検査院検査報告とともに本国会に提出し、また、昭和三十六年度末における国の債権の現在額について本国会報告いたしましたので、その大要を御説明申し上げます。  昭和三十六年度予算は、昭和三十六年四月一日に成立いたしました本予算昭和三十六年五月三十一日及び昭和三十六年十月二十一日並びに昭和三十七年二月十六日に成立いたしました補正予算とからなるものであります。  昭和三十六年度予算は、国際経済の動向に即応しつつ、通貨価値の安定と国際収支均衡を確保し、経済の適正な成長に資することを目途とし、財政健全性を保持する方針のもとに、国民所得の倍増を達成するため、緊要とされる施策の推進をはかることを基本としたものであります。この基本方針に基づき、一般会計予算の規模は、租税その他の普通歳入をもって支弁し得る範囲にとどめるとともに、収支均衡を十分考慮しつつ、所得税及び法人税を中心とする租税負担軽減合理化をはかり、社会保障の拡充、公共投資拡大、文教の刷新充実科学技術振興、貿易の振興及び対外経済協力推進農林漁業振興中小企業対策の強化及び地方財政健全合理化等重要施策推進することを重点として編成されたものであります。  なお、本予算成立後、公共企業体等の職員の給与改善に必要な経費食糧管理特別会計繰り入れに必要な経費公務員給与改善に必要な経費及び災害対策に必要な経費等について、予算補正を行なったのであります。  昭和三十六年度におけるわが国の経済は、予期以上に高い成長を遂げたのであります。すなわち、国民総生産は、十七兆七千十五億円に達し、前年度に対して二〇・七%一実質一四・〇%の拡大となり、鉱工業生産では、同じく一八・五%の増加を示したものであります。このような経済の予想以上の拡大の結果、輸入が急激に増加した反面、輸出が旺盛な内需海外環境の悪化とから伸び悩んだため、国際収支は大幅な赤字を示し、また経済の各分野における不均衡が目立ち始めたのでありますが、これに対処するため、政府としては、総合的な国際収支改善対策の実施をはかり、その一環として、内需の抑制と輸出振興に努め、財政面においても公共事業費等支出繰り延べ等措置を講じました結果、年度末には国内経済は漸次鎮静化の方向に向かうに至ったのであります。  以下、決算内容数字を上げて、御説明申し上げます。  まず、一般会計におきましては、歳入決算額は二兆五千百五十九億円余、歳出決算額は二兆六百三十四億円余でありまして、歳入歳出を差し引きますと四千五百二十四億円余の剰余を生ずる計算であります。  この剰余金から昭和三十七年度に繰り越しました歳出財源に充てなければならない金額六百四十六億円余及び前年度までの剰余金使用残額千二百五十一億円余を差し引きますと、二千六百二十六億円余が昭和三十六年度に新たに生じた純剰余金となるのであります。  なお、右の剰余金四千五百二十四億円余は、財政法第四十一条の規定によりまして、翌年度、すなわち昭和三十七年度歳入繰り入れ済みであります。しかして、そのうち、昭和三十六年度に新たに生じました純剰余金二千六百二十六億円余から予算及び会計令等の一部を改正する政令の規定によって地方交付税及び道路整備事業費財源に充てられることとなる額四百九十二億円余を控除した残額二千百三十四億円余の二分の一を下らない額に相当する金額につきましては、財政法第六条の規定によりまして、公債または借入金償還財源に充てられるものであります。  以上の決算額予算額と比較いたしますと、歳入につきましては予算額二兆一千七十三億円余に比べて四千八十五億円余の増加となるのではありますが、このうちには、昭和三十五年度剰余金受け入れ予算額に比べて千六百六十六億円余を増加しておりますので、これを差し引きますと、昭和三十六年度歳入増加額は二千四百十八億円余となるのであります。そのおもな内訳は、租税及び印紙収入における増加額一千九百八十一億円余、専売納付金における増加額百五十一億円余、官業益金及び官業収入における増加額十億円余、政府資産整理収入における増加額五十七億円余、雑収入における増加額二百十八億円余となっております。  一方、歳出につきましては、予算額二兆一千七十二億円余に昭和三十五年度からの繰越額四百十五億円余を加えました予算現額二兆一千四百八十九億円余から支出済額二兆六百三十四億円余を差し引きますと、その差額は八百五十四億円余でありまして、そのうち、翌年度に繰り越しました額は、前述のとおり六百四十六億円余、不用額は二百七億円余となっております。  右の翌年度への繰越額のうち、財政法第十四条の三第一項の規定により、あらかじめ国会の議決を経、これに基づいて翌年度へ繰り越しました金額は六百十億円余でありまして、その内訳のおもなものは、旧軍人遺族等恩給費につきまして、支給事務の処理にあたり、軍歴及び死亡事実の調査確認等不測日数を要したため年度内支出を終わらなかったもの七十一億円余、道路整備事業費治水特別会計繰り入れにつきまして気象の関係補償額の決定の遅延等により工事の施行に不測日数を要したため年度内支出を終わらなかったもの百二十七億円余、防衛本庁施設整備費等につきまして、調達計画の調整、アメリカ合衆国からの供与品引き渡し等不測日数を要したため年度内支出を終わらなかったもの四十億円余であります。  財政法第四十二条ただし書の規定により避けがたい事故のため翌年度へ繰り越しました金額は十八億円余でありまして、その内訳のおもなものは、大学附置研究所で機械及び部品の製作等不測日数を要したため年度内支出を終わらなかったものであります。  財政法第四十三条の二第一項の規定により継続費年割額を繰り越しました金額は十七億円余でありまして、これは昭和三十四年度潜水艦建造費昭和三十五年度甲型警備艦建造費昭和三十五年度潜水艦建造費及び昭和三十六年度潜水艦建造費でありまして、建造工程等が遅延したため年度内支出を終わらなかったものであります。  次に、不用額でありますが、その内訳のおもなものは、総理本府の旧軍人遺族等恩給費につきまして、前年度繰り越し分裁定事務が、請求書提出遅延等により当初の予定を下回ったため不用となったもの五十三億円余、農林本省麦作転換奨励金につきまして、大麦及びはだか麦の生産及び政府買い入れに関する特別措置法案が第三十八回及び第三十九回国会審議未了となったため不用となったもの三十億円、大蔵本省国債費につきまして、国債利子支払いが少なかったこと及び大蔵省証券の発行がなかったので割引差額を要しなかったこと等のため国債整理基金特別会計繰り入れを要することが少なかったことにより不要となったもの十億円余であります。  次に、予備費でありますが、昭和三十六年度一般会計における予備費予算額は二百二十億円でありますが、その使用総額は二百十六億円余であります。そのうち、昭和三十六年十二月までの使用額百三十八億円余につきましては、すでに第四十回国会におきまして御承認をいただいております。  また、昭和三十七年一月から同年三月までの使用額七十七億円余は、本国会に別途提出いたします予備費使用承認案について御審議をいただきますので、その費途及び金額につきましては、説明を省略させていただきます。  次に、一般会計国庫債務負担行為について申し上げます。  財政法第十五条第一項の規定に基づく国庫債務負担行為権能額は四百五十六億円余でありますが、このうち実際に負担いたしました債務額は四百六億円余でありますので、これに既往年度からの繰越債務額一千百四十二億円余を加え、昭和三十六年度中に支出その他の理由によって債務が消滅いたしました額四百二十七億円余を差し引きました金額一千百二十一億円余が、翌年度以降に繰り越されたことになります。  財政法第十五条第二項の規定に基づく国庫債務負担行為権能額は三十億円でありますが、本年度実際に負担いたしました債務額はございません。  次に、昭和三十六年度特別会計決算でありますが、これにつきましては、特別会計歳入歳出決算によって御了承願いたいと思います。  なお、同年度における特別会計の数は、四十一でありまして、これら特別会計歳入決算総額は四兆四千三百十七億円余、歳出決算総額は三兆九千五百九十二億円余であります。  次に、昭和三十六年度における国税収納金整理資金受け入れ及び支払いでありますが、この資金への収納済額は二兆四百三十五億円余でありまして、この資金からの支払命令済額及び歳入への組入額は二兆四百三億円余でありますので、三十一億円余が昭和三十六年度末の資金残額となるのであります。これは、主として国税にかかる還付金支払決定済支払命令未済のものであります。  次に、昭和三十六年度政府関係機関決算でありますが、日本専売公社日本国有鉄道及び日本電信電話公社決算内容につきましては、別途それぞれの主務大臣から御説明申し上げる予定であります。  また、その他の政府関係機関決算内容につきましては、それぞれの決算書によって御了承願いたいと存じます。  次に、国の債権の現在額についてでありますが、昭和三十六年度末における国の債権総額は二兆九千九百七十億円余でありまして、その内訳の詳細につきましては、昭和三十六年度国の債権の現在額総報告によって御了承願いたいと存じます。  以上、昭和三十六年度一般会計特別会計国税収納金整理資金及び政府関係機関決算等につきまして、その概略を御説明申し上げた次第であります。  なお、昭和三十六年度予算の執行につきましては、予算の効率的な使用経理の適正な運営に極力意を用いて参ったのでありますが、なお、会計検査院から不当事項につきましては、五百七十九件に上る御指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。  これにつきましては、今後一そう経理改善に努力を傾注いたしたい所存であります。   —————————————  次に、日本専売公社昭和三十六年度決算について、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和三十六年度事業概況を御説明申し上げますと、   一、たばこ事業におきましては、葉たばこ購入は、数量十四万トン余、金額五百三十二億円余でありまして、予定に比べますと、数量では、内地葉たばこ耕作面積の減少により減収したため七千トン余減少しておりますが、金額では、内地葉たばこ収納価格引き上げ外国葉たばこ輸入増加のため三十四億円余増加しております。   たばこ製造数量は一千三百四十九億本余で、予定に比べますと十億本余減少しておりまして、その販売数量は一千三百八十三億本余、金額三千二百六十二億円余で、予定に比べますと、数量で四十五億本余、金額二百二十一億円余増加しております。   二、塩事業におきましては、塩の購入数量は、国内塩八十三万トン余、輸入塩二百五十五万トン余、うちソーダ用塩二百三十四万トン余、計三百三十九万トン余、金額百八十四億円余でありまして、予定に比べますと、数量で十四万トン余、金額で十一億円余減少しております。   塩の販売数量は三百五十五万トン余、うちソーダ用塩二百四十五万トン余、金額二百五十三億円余でありまして、予定に比べますと、数量で九万トン余、金額で七億円余減少しております。   三、シヨウノウ事業におきましては、シヨウノウ購入数量は二千百八トン余、金額四億円余でありまして、予定に比べますと、数量で千四百九十一トン余、金額で二億円余減少しております。また、その販売数量は三千七百三十八トン余、金額八億円余でありまして、予定に比べますと、数量で百三十八トン余、金額で五千万円余増加しております。  以下、決算内容数字を上げて御説明申し上げます。  まず、収入支出決算について御説明申し上げます。  昭和三十六年における収入済額は三千五百五十四億円余、支出済額は一千九百六十億円余でありまして、収入支出を超過すること一千五百九十四億円余であります。  また、昭和三十六年度の総収益三千五百五十九億円余から総損失一千八百八十一億円余を控除した純利益は千六百七十七億円余でありまして、日本専売公社法第四十三条の十三第二項の規定により積み立てる固定資産及び無形資産増加額三十八億円余を控除して算出した。  専売納付金は一千六百三十九億円余でありますが、これは、その予定額一千四百八十九億円余と比べますと、百五十億円余の増加となっております。  以下、これを収入支出の部に分けて御説明いたします。  まず、収入の部におきましては、収入済額は三千五百五十四億円余でありますが、これは、収入予算額三千三百三十八億円余に対して、二百十五億円余の増加となっております。なお、この増加は、たばこ事業におきまして、製造たばこ売払代予定以上に達したこと等のため二百二十四億円余、シヨウノウ事業におきまして、シヨウノウ売払代予定以上に達したこと等のため三千万円余を増加した反面、塩事業におきましては、塩の売払代予定に達しなかったこと等のため八億円余を減少したことによるものであります。  一方、支出の部におきましては、支出予算現額は、支出予算額千八百七十九億円余に前年度繰越額五十六億円余、予算総則第五条の規定による使用額八十二億円余、日本専売公社法第四十三条の二十二第二項の規定による使用額七億円余を加えた二千二十五億円余でありますが、支出済額は一千九百六十億円余でありますので、差引六十五億円余の差額を生じました。この差額のうち、翌年度に繰り越した額は六十三億円余、不用となった額は、一億円余であります。  なお、昭和三十六年度において、日本専売公社法第四十三条の二の規定により予備費使用した額は、役員給支払いのため一千万円余、塩田等災害復旧事業費補助金支払いのため一億円余、合計二億円であります。  また、昭和三十六年度において、予算総則第五条の規定により使用した額は、たばこ消費税支払いのため三十八億円余、固定資産取得費支払いのため二十一億円余、外国葉たばこ購入費支払いのため十八億円余、外国製造たばこ購入費支払いのため三億円余、合計八十二億円余、日本専売公社法第四十三条の二十二第二項の規定により使用した額は、業績賞与支払いのため七億円余であります。  次に、債務に関する計算について御説明申し上げます。  日本専売公社法第三十五条第一項の規定に基づく昭和三十六年度債務負担行為限度額は、塩事業費において四十億円でありますが、実際に負担した債務額は五億円余であります。  次に、日本専売公社法第三十五条第二項の規定に基づく昭和三十六年度債務負担行為限度額は一億円でありますが、実際に負担した債務額はありません。  また、日本専売公社法第四十三条の十四第二項の規定に基づく昭和三十六年度短期借入金最高限度額は九百四十億円でありますが、実際に借り入れた額は六百六十億円であり、これは昭和三十六年度内に償還し、翌年度に繰り越した債務額はありません。  なお、昭和三十六年度日本専売公社決算につきまして、会計検査院から不当事項として指摘を受けたものはありません。  以上が昭和三十六年度日本専売公社決算概要であります。  何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。   —————————————
  9. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 次に、綾部運輸大臣より、昭和三十六年度日本国有鉄道決算説明を求めます。
  10. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 昭和三十六年度日本国有鉄道決算書会計検査院検査報告とともに本国会に提出いたしましたので、その大要を御説明申し上げます。  昭和三十六年度における日本国有鉄道収入は、年度当初より実施した運賃改定経済界の好況とを反映して好調に推移し、旅客、貨物収入とも予算を上回り、運輸成績は向上いたしました。  他方支出面におきまして、日本国有鉄道は、極力支出の節約に努め、経営の合理化をはかりましたが、輸送量増加に伴う経費増加のほか、人件費減価償却費等固定的費用増加が大きく響き、営業経費は前年度より増大いたしましたが、損益計算上は約四百六十四億円の純利益を生じ、前年度に引き続いて黒字決算となっております。  以下決算内容勘定別に御説明申し上げます。  損益勘定におきましては、収入済額は五千七十億円余、支出済額は四千九百十七億円余でありまして、収入支出を超過する額は百五十三億円余であります。これに収入支出決算に含まれていない営業外損益等金額を加減いたしますと、本年度利益は、前述のように約四百六十四億円となります。  この決算額予算と比較いたしますと、収入におきましては、予算額四千七百十七億円余に対しまして、三百五十三億円余の増収となりました。その内容は、運輸収入におきまして三百四十七億円余、雑収入等におきまして約六億円の増収となっております。  他方支出におきましては、予算現額五千三十二億円余から支出済額を差し引きますと、その差額は百十五億円余でありまして、そのうち翌年度への繰越額は百三億円余で、残りの約十二億円は不用額となっております。  次に、資本勘定におきましては、収入済額は二千百四十五億円余、支出済額は二千百四十五億円余であります。  この決算額予算と比較いたしますと、収入におきましては、予算額二千百二十四億円余に対しまして二十億円余の収入増加となっております。これは、損益勘定からの受け入れと資産充当による収入増加が二百三十億円余あったことと、鉄道債券の発行における収入増加が十五億円余あったのに対し、借入金における収入減が二百二十五億円余あったことによるものであります。  他方支出におきましては、予算現額二千四百四十億円余から支出済額を差し引きますと、その差額は約二百九十五億円でありまして、そのうち二百九十二億円余は鉄道債券の発行繰り越しと借入金繰り越し分で、残りは不用額となっております。  最後に、工事勘定におきましては、収入済額は一千九百四十四億円余、支出済額は二千七十億円余であります。  この決算額予算と比較いたしますと、収入におきましては、資本勘定からの受け入れが多かったため、予算額一千九百二十四億円余に対しまして約二十億円の収入増加となっております。  他方支出におきましては、予算現額二千四百十二億円余に対しまして三百四十一億円余の差額を生じておりますが、そのうち三百三十六億円余は翌年度への繰越額であり、残りの約五億円は不用額となっております。  以上が勘定別決算概要でありますが、次に、工事勘定の決算内容に関連して、昭和三十六年度における日本国有鉄道の主要施策の実績について申し上げます。  日本国有鉄道では、政府の所得倍増計画に即応して、輸送力を飛躍的に増強する必要から、東海道新幹線の建設を初めといたしまして、主要幹線の複線化、輸送方式の近代化、車両増価等をはかるために、総投資額九千七百五十億円をもつて昭和三十六年度を初年度とする新五カ年計画を策定し、諸工事を実施いたしておりますが、初年度未における決算額は約二千七十一億円であります。これを事項別に予算と対比してみますと、  新線建設につきましては、七十五億円余の予算を計上いたしましたのに対し、五十九億円余を決算いたしました。これにより昭和三十六年度中に部分開業したものは国分線古江、海潟間十七・一キロであり、三十一線区一千百八十九・八キロは引き続き工事中であります。  東海道幹線増設工事につきましては、昭和三十四年度から工事に着手いたしまして、昭和三十六年度はその第三年目に当たり、前年度に引き続き用地の確保に努めるとともに、順次工事を進めました結果、約四百三十八億円の予算に対しまして約五百二十四億円を決算いたしました。  通勤輸送につきましては、東京付近五十六億円余、大阪付近約十八億円、電車増備百九十両約三十九億円、計百十三億円余の予算を計上いたしましたが、決算額では、東京付近四十三億円余、大阪付近約十九億円、電車増備三百八両約五十六億円、計約百十八億円となりました。  幹線輸送力増強につきましては、北海道、東北・常磐線、裏縦貫、上信越線、中央線、北陸線、東海道・山陽線、九州等の複線化及び車両の増備で約四百六十九億円の予算を計上いたしましたのに対し、決算額では約四百八十億円となりました。  電化、電車化につきましては、東北本線、常磐線、信越本線、北陸本線、山陽本線、鹿児島本線等の電化工事費として九十二億円余、車両−電気機関車五十八両、電車四百十九両として百三十二億円余、計二百二十四億円余の予算を計上いたしましたが、決算額では、工事費約百億円、車両−電気機関車四十四両、電車四百六十一両百三十三億円余、計約二百三十三億円となりました。  ディーゼル化につきましては、工事費九億円、車両−ディーゼル機関車六十両、気動車四百三十両百十四億円余、計百二十三億円余の予算を計上いたしましたが、決算額では、工事費八億円余、車両−ディーゼル機関車五十二両、気動車五百六十四両約百五十一億円、計百五十九億円余となりました。  取りかえ、諸改良につきましては、四百億円余の予算を計上いたしましたが、決算額では、施設の取りかえ三百三十五億円余、車両の取りかえ七十五億円余、計四百十億円余となりました。  以上のほか、総係費として約八十二億円の予算を計上いたしましたのに対して、約八十八億円を決算いたしましたので、工事費全体としては約一千九百二十五億円の予算に対しまして、約二千七十一億円の決算額となっております。  最後に、昭和三十六年度予算の執行につきまして、会計検査院から七件の不当事項指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところでありまして、今後さらに綱紀の粛正と予算の効率的運用に一段の努力をいたすよう指導監督して参りたいと考えております。  以上、昭和三十六年度日本国有鉄道決算につきまして、その概要を御説明申し上げましたが、詳細につきましては、さらに御質問のつど御説明申し上げたいと存じます。  何とぞ御審議のほどお願いいたします。   —————————————
  11. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 次に、政府委員より昭和三十六年度日本電信電話公社決算説明を求めます。保岡郵政政務次官
  12. 保岡武久

    政府委員(保岡武久君) 昭和三十六年度日本電信電話公社決算書類を会計検査院検査報告とともに第四十三回通常国会に提出いたしましたが、その大要を御説明申し上げます。  昭和三十六年度は、電信電話拡充第二次五カ年計画の四年目に当たりますが、一般経済界の好況を反映しまして収入は順調に伸び、予定収入をかなり上回ったのであります。これは、経済の好況もさることながら、施設の拡充、サービス向上の面における企業努力も大いに貢献しているものと考えられます。  一方支出の面におきましては、業務の能率的運営、経費の効率的使用に努めました結果、損益計算上六百七十五億円余の利益を生じ、前年度に引き続き良好な経営状態を示したのであります。  また、建設勘定の支出額は、予算現額の九三・一%を消化し、設備の拡充を強力に推進いたしております。  決算内容につきまして概略御説明申し上げますと、  損益勘定における事業収入決算額は二千八百七億円弱に対し、資本勘定繰り入れたものを除いた事業支出決算額は二千百十六億円弱でありまして、差引六百九十一億円弱の収支差額を生じたのであります。  このうち、六百十三億円余が資本勘定繰り入れられまして、債務の償還及び建設工事の財源に充当されております。  以上の決算額のうち、事業収入及び事業支出予算と比較いたしますと、収入におきましては、予算額二千六百五十五億円弱に対して百五十二億円弱の増収となるのでありますが、その内訳は、電話収入において百二十億円弱、その他の収入において三十二億円弱となっております。  一方支出におきましては、資本勘定繰り入れたものを除いた予算現額二千百三十三億円弱に対し、支出済額は二千百十六億円弱でありまして、差額十七億円弱のうち十億円弱を翌年度へ繰り越したほかは、不用額となっております。  次に、建設勘定について決算額予算と比較いたしますと、収入におきましては、予算額一千七百四十二億円余に対し、決算額は一千八百三十四億円弱で、九十二億円弱の増加となるのでありますが、これは資本勘定からの受け入れが多くなったためであります。  支出の面におきましては、予算額一千七百四十二億円余に前年度から繰越額百二十五億円余、予算総則第二二条および第二六条に基づく弾力発動による使用額二十八億円弱、流用増額六十四億円余を加えまして予算現額は一千九百五十九億円余となりますが、これに対し支出済額は一千八百二十四億円余で、その差額百三十五億円弱は建設工程の未完成等によりまして翌年度へ繰り越すこととなっております。  実施した建設工程のおもな内容について申し上げますと、加入者増設五十万四千五百加入の予定に対し五十一万九千八百二十四加入、公衆電話の増設二万四千五百個の予定に対し二万四千九十一個、市外回線増設百七十一万七千キロメートルの予定に対し二百八万四千百四十八キロメートルとなっており、予定を上回る設備の拡充がなされております。その他の点につきましては、三十六年度公社の決算書によって御了承願いたいと存じます。  なお、会計検査院から、不当事項として四件、改善意見を表示された事項として一件の御指摘を受けましたが、まことに遺憾なことでございますので、公社を監督する立場にあります郵政大臣といたしましては、綱紀の粛正、経理事務の適正化、経費経済使用につきまして一そうの努力をいたすよう指導監督して参りたいと考えております。  以上公社決算の概略を御説明申し上げましたが、詳細につきましては、さらに御質問をいただきましてお答え申し上げたいと存じます。   —————————————
  13. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 次に、芥川会計検査院長より昭和三十六年度決算検査報告概要について説明を求めます。芥川会計検査院長
  14. 芥川治

    会計検査院長(芥川治君) 昭和三十六年度歳入歳出決算は、三十七年十月二十五日内閣から送付を受け、その検査を了して昭和三十六年度決算検査報告とともに三十七年十二月四日内閣に回付いたしました。  昭和三十六年度一般会計決算額は、歳入二兆五千百五十九億円、歳出二兆六百三十四億余円、各特別会計決算額合計は、歳入四兆四千三百十七億余円、歳出三兆九千五百九十二億余円でありまして、一般会計及び各特別会計決算額を総計いたしますと、歳入六兆九千四百七十六億余円、歳出六兆二百二十六億余円となりますが、各会計間の重複額及び前年度剰余金受け入れなどを控除して、歳入歳出の純計額を概算いたしますと、歳入四兆三千六十六億円、歳出三兆七千三百五十億円となり、前年度に比べますと、歳入において六千七百十六億円、歳出において四千七百八億円の増加となっております。  なお、国税収納金整理資金の受払額は、収納済額二兆四百三十五億余円、支払命令済額歳入組入額合計二兆四百三億余円であります。  政府関係機関昭和三十六年度決算額の総計は、収入二兆四百八十七億余円、支出一兆八千四百七十一億余円でありまして、前年度に比べますと、収入において四千百四十一億余円、支出において四千二百二十五億余円の増加となっております。  ただいま申し上げました国の会計及び政府関係機関の会計の決算額のうち、会計検査院においてまだ確認するに至っていないものは総計二百九億五千万余円でありまして、そのおもなものは、総理府の航空機購入費の項で百十八億千六百万余円、防衛本庁の項で五十六億七千九百万余円、艦船建造費の項で八億千二百万余円などであります。  会計検査の結果、経理上不当と認めた事項として、検査報告に掲記しました件数は合計五百七十九件に上っております。  三十六年度不当事項件数が、三十五年度の三百三十八件に比べて増加いたしましたのは、主として補助金において増加したためであります。  今、この五百七十九件について、不当経理の態様別の金額を概計いたしますと、租税収入で徴収決定が漏れていたり、その決定額が正当額をこえていたものが三億四千八百万円、工事費、物品購入代金の積算にあたり処置適切を欠いたため契約額が高価に過ぎたり、または物件売渡代金等が低額に過ぎたと認めたものが四千七百万円、右のほか、工事の施行、物件の購入などにあたり計画が適切を欠いたため経費使用が不経済となっていると認めたものが四千百万円、工事の施行または物品の購入にあたり検収処置が適切でなかったなどのため支払いが過大となっているものが二千八百万円、保険金の支払いが適切を欠いたり、保険料等の徴収額が不足したりなどしているものが一億七千六百万円、補助金で交付額が適正を欠いているため返納または減額を要するものが三億千六百万円、災害復旧事業に対する早期検査の結果補助金の減額を要するものが八億千五百万円、職員の不正行為により国または政府関係機関に損害を与えたものが五千二百万円、その他が五千八百万円、総額十八億八千五百万円に上っておりまして、三十五年度の八億七千百万円に比べますと約十億千三百万円の増加となっておりますが、これは主として災害復旧事業に対する早期検査の結果補助金の減額を要するもの及び補助金で交付額が適正を欠いているため返納または減額を要するものにおいて八億九千八百万円が増加したことによるものであります。  検査の結果につきましては、租税、工事、物件、役務、保険、補助金、不正行為の各項目に分けて検査報告に記述してありますが、これらのうち、会計経理を適正に執行するについて、特に留意を要するものとして、工事、物件、役務、保険及び補助金に関してその概要説明いたします。  まず、工事、物件及び役務について説明いたします。  工事の施行、物件の調達、管理及び処分並びに役務において不経済な結果となったと認められるなどの事例については、毎年指摘して改善を求めてきたところでありますが、三十六年度におきましても、なお、防衛庁、農林省、日本国有鉄道日本電信電話公社などにおいて見受けられております。  工事の施行につきましては、工事の計画が実情に沿わないため不経済となっているもの、予定価格の積算が適切を欠いたためひいて契約額が高価となったと認められるもの、工事の出来形が設計と相違しているのにそのまま竣工検査を了しているものなどがあります。物件の調達、管理及び処分につきましては、契約にあたって仕様等に十分な検討を加えなかったため不経済な結果を来たしていたり、利用可能な物品があるのにこれを考慮することなく新規に調達したため不経済となっていたり、また、国有財産の管理が当を得なかったため土地を無断で使用されていたり、時価に比べて低廉な使用料で長期間使用させているものなど適切を欠く事例がありますほか、関係職員に物件をほしいままに搬出されたものもあります。また、役務につきましても、調査検討が十分でなかったため不経済となっていたり、料金の過払いを来たしたりしている事例が見受けられるのであります。  次に、保険について説明いたします。  国が、特別会計を設けて経営する各保険事業における保険事業の運営、保険金の支払いまたは保険料などの徴収につきましては、従来、厚生省、農林省、労働省の所管するものにつき、適正を欠いていると認められる事例を多数指摘して、注意を促してきたところでありますが、三十六年度においても、健康保険、厚生年金保険、船員保険、労働者災害補償保険または失業保険の保険料などの徴収不足を来たしているものや、健康保険、失業保険の保険金または漁船再保険の再保険金の給付が適切でないものや、農業共済再保険において農業共済組合の共済金の経理に適正を欠いたものが依然として見受けられるのであります。  次に、補助金について説明いたします。  補助金につきましては、その経理が当を得ないものを毎年多数指摘して改善を求めてきたところでありますが、三十六年度においても多数の不当な事例が認められるのは、まことに遺憾であります。  まず、農林、運輸、建設各省の公共事業関係のものにつきましては、補助の対象となる工事の施行が不良なため工事の効果を著しく減殺しているもの、設計に対して工事の出来高が不足しているものなどの事例が前年度に比べて著しく増加しているのであります。  このように不当事項増加しましたのは、工事量が漸増するなどの理由により、事業主体における実施体制が不十分となっていることにもよると考えられますので、事業主体において工事の厳正な監督及び検査を行なうよう一そう努力の要があることはもちろんでありますが、関係当局におきましても指導及び履行確認を適時適切に行なうことが肝要であると考えるのであります。  災害復旧事業の事業費査定の状況につきまして、工事の完成前に早期に検査を行ないましたところ、採択された工事のうちには、関係各省間などで重複して査定しているもの、災害に便乗して改良工事を施行しようとしているもの、現地の確認が十分でなかったため設計が過大となっているもの、計算を誤ったため工事費の積算が過大となっているものなどが多数見受けられましたので、これを指摘して工事費を減額させることといたしました。  また、その他の補助金につきましても、厚生省の簡易水道事業関係、農林省の農山漁村建設総合対策事業関係、労働省の失業対策事業関係などにおきまして、精算額を過大に報告して補助金の交付を受けているもの、補助の目的を達していないもの、補助の対象として不適当なものに補助金を交付しているものなどの不当な事例が見受けられております。  最後に、是正改善の処置を要求しまたは改善の意見を表示した事項について説明いたします。  ただいままでに申し上げました不当事項のほか、三十六年十二月から三十七年十一月までの間に、会計検査院法第三十四条または第三十六条の規定に基づき主務大臣等の責任者に対して是正改善の処置を要求し、また法令、制度、行政に関して改善の意見を表示したものが八件ありまして、これらの事項は、国及び政府関係機関の分に区分して検査報告のそれぞれの個所に記載いたしました。  これらの内訳は、国の機関については、国有財産の管理に関するもの三件、土地改良事業によって造成した埋立地等を転用する場合における造成費の回収に関するもの、国営農業水利事業とこれに付帯する都道府県営等の補助事業の施行計画に関するもの及び不正行為の防止対策に関するものがそれぞれ一件となっており、政府関係機関については、日本電信電話公社の加入者開通工事等における宅内用品の取り扱いと工事の施行に関するもの及び農林漁業金融公庫の貸付金の貸し付け後の管理に関するものがそれぞれ一件となっております。  以上をもって概要説明を終わります。会計検査院といたしましては、適正な会計経理の執行について、機会あるごとに関係各省各庁などに対し是正改善の努力を求めて参りましたが、なおこのように不当な事例が多数見受けられますので、関係各省各庁などにおいてもさらに特段の努力を払うよう望んでいる次第であります。
  15. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 以上で昭和三十六年度決算に関する概要説明の聴取は終了いたしました。   —————————————
  16. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 次に、昭和三十六年度国有財産増減及び現在額総計算書昭和三十六年度国有財産無償貸付状況総計算書昭和三十六年度物品増減及び現在額総計算書を一括して議題といたします。  まず、政府委員より説明を求めます。
  17. 池田清志

    政府委員池田清志君) ただいま議題となりました昭和三十六年度国有財産増減及び現在額総計算書並びに国有財産無償貸付状況総計算書について、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和三十六年度国有財産増減及び現在額総計算書概要について申し述べます。  昭和三十六年度中に増加しました国有財産は、行政財産千五百六十七億円余、普通財産二千五百二十一億円余、総額四千八十九億円余であり、また本年度中に減少しました国有財産は、行政財産五百七十五億円余、普通財産九百四十二億円余、総額千五百十八億円余でありまして、差引総額において二千五百七十一億円余の増加となっております。これを前年度末現在額二兆九千三百九十二億円余に加算いたしますと三兆千九百六十三億円余となり、これが昭和三十六年度末現在における国有財産の総額であります。  この総額内訳を分類別及び種類別に申し上げますと、行政財産においては、公用財産八千八百一億円余、公共財産二百三十一億円余、皇室用財産二百五十三億円余、企業用財産八千二百五十五億円余、合計一兆七千五百四十二億円余となっており、普通財産においては一兆四千四百二十一億円余となっております。なお、この普通財産のうち一兆千二百六十九億円余は政府出資となっております。  また、国有財産の総額内訳を区分別に申し上げますと、土地七千二百十八億円余、立木竹五千八百八十二億円余、建物三千五百八十三億円余、工作物二千百九十五億円余、機械器具二十二億円余、船舶八百五十六億円余、航空機九百二十九億円余、地上権等三億円余、特許権等二億円余、政府出資等一兆千二百六十九億円余、合計三兆千九百六十三億円余となっております。  次に、国有財産の増減の内容について、その概要を申し上げます。  まず、昭和三十六年度中における増加額を申し上げますと、前述のとおりその総額は四千八十九億円余でありますが、この内訳は、  第一に、本年度中に国と国以外の者との間の異動によって増加した財産は千九百十八億円余でありまして、このうち購入、新営工事、出資等歳出を伴うものは千六百五十二億円余、寄付、代物弁済、租税物納、交換等歳出を伴わないものは二百六十五億円余となっております。  第二に、国の内部における異動によって増加した財産は二千百七十一億円余でありまして、このうち各省各庁または各省各庁の部局の間における財産の移管等調整上の増加は九百四十四億円余、土地の実測、立木竹の実査等整理上の増加は千二百二十六億円余となっております。  次に、減少額について申し上げますと、その総額は千五百十八億円余でありますが、この内訳は、  第一に、国と国以外の者との間の異動によって減少した財産は四百三十六億円余でありまして、このうち売り払い、出資金回収等歳入を伴うものは二百十一億円余譲与、交換等歳入を伴わないものは二百二十五億円余となっております。  第二に、国の内部における異動によって減少した財産は千八十一億円余でありまして、このうち各省各庁または各省各庁の部局の間における財産の移管等調整上の減少は九百四十九億円余、土地の実測、立木竹の実査等整理上の減少は百三十一億円余となっております。  以上が昭和三十六年度国有財産増減及び現在額総計算書概要であります。  次に、昭和三十六年度国有財産無償貸付状況総計算書概要について、申し述べます。  国有財産法第二十二条並びに同条を準用する第十九条及び第二十六条の規定により地方公共団体等に無償で貸し付けてある国有財産の本年度中に増加した総額は三十六億円余であります。また減少した総額は二十九億円余でありますので、差引七億円余の純増加となっております。これを前年度末現在額百八十三億円余に加算しますと百九十一億円余となり、これが昭和三十六年度末現在において無償貸付をしている国有財産の総額であります。  この増減のおもなものを申し上げますと、増加したものは、公園の用に供するもの三十二億円余、生活困窮者の収容施設の用に供するもの三億円余等であります。  次に、減少したものは、公園の用に供するもの二十四億円余、生活困窮者の収容施設の用に供するもの四億円余等であります。  以上が昭和三十六年度国有財産無償貸付状況総計算書概要であります。  なお、これらの国有財産の各総計算書には、それぞれ説明書が添付してありますので、それによって細部を御了承願いたいと思います。   ————————————— 次に、昭和三十六年度物品増減及び現在額総計算書概要を御説明申し上げます。  昭和三十六年度中における物品の増加額は千三十二億円余であり、また物品の減少額は七百三十七億円余でありまして、差引二百九十五億円余の増加となっております。  また、右のほか本年度に初めて実施いたしました物品の価格改定による増加額は十一億円余でありますので、これらを前年度末現在額二千二百十億円余に加算いたしますと二千五百十七億円余となり、これが昭和三十六年度末現在における物品の総額であります。  この総額内訳をおもな品目別に申し上げますと、防衛用車両四百六十五億円余、試験及び測定機器三百十三億円余、土木機器三百十二億円余、車両及び軌条二百九十四億円余となっております。  次に、物品の増減の内容について、その概略を申し上げます。  まず、昭和三十六年度中における増加額について、その内訳のおもなものを申し上げますと、土木機器において百六十九億円余、車両及び軌条において百十八億円余、試験及び測定機器において百二億円余、防衛用車両において九十九億円余であります。  次に、減少額について、その内訳のおもなものを申し上げますと、土木機器において百四十六億円余、車両及び軌条において九十八億円余であります。  また、物品の価格改定による増加額のおもなものは、産業機器、土木機器であります。  以上が昭和三十六年度物品増減及び現在額総計算書概要であります。  何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。
  18. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 次に、芥川会計検査院長より説明を求めます。
  19. 芥川治

    会計検査院長(芥川治君) 昭和三十六年度国有財産検査報告につきまして、その概要説明いたします。  昭和三十六年度国有財産増減及び現在額総計算書並びに国有財産無償貸付状況総計算書は、三十七年十月三十一日内閣から送付を受け、その検査を了して、十二月四日内閣に回付いたしました。  三十五年度末の国有財産現在額は二兆九千三百九十二億七千二百万余円でありましたが、三十六年度中の増が四千八十九億二千八百万余円、同年度中の減が千五百十八億六百万余円、ありましたので、差し引き三十六年度末の現在額は三兆千九百六十三億九千四百万余円となり、前年度末に比べますと二千五百七十一億二千二百万余円の増加となっております。  次に、国有財産の無償貸付状況について申し上げますと、三十五年度末には百八十三億六千万余円でありましたが、三十六年度中の増が三十六億七千六百万余円、同年度中の減が二十九億三千二百万余円ありましたので、差引七億四千三百万余円の増加を見まして、同年度末の無償貸付財産の総額は百九十一億三百万余円となっております。  国有財産の管理及び処分について不当と認めましたのは、国有財産の維持及び運用に関するもの十件、同じく処分に関するもの一件、計十一件であり、また、国有財産の管理について、会計検査院法第三十四条の規定に基づき是正改善の処置を要求したものは三件でありまして、これらはいずれも昭和三十六年度決算検査報告に掲記しております。  次に、昭和三十六年度物品検査報告につきまして、その概要説明いたします。  昭和三十六年度物品増減及び現在額総計算書は、三十七年十月二十五日内閣から送付を受け、その検査を了して、十二月四日内閣に回付いたしました。  右物品増減及び現在額総計算書における三十六年度中の物品の増減等を見ますと、三十五年度末現在額は二千二百十億四千七百万余円でありましたが、三十六年度中の増が千三十二億九千九百万余円、同年度中の減が七百三十七億千九百万余円あり、また同年度中の価格改定による差引増が十一億千百万余円ありましたので、差引三十六年度末現在額は二千五百十七億三千九百万余円となり、前年度末に比べますと三百六億九千二百万余円の増加となっております。  物品増減及び現在額総計算書に掲げられております物品の管理について不当と認めましたものは物品の取得に関するもの一件でありまして、これは昭和三十六年度決算検査報告に掲記しております。
  20. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 以上で昭和三十六年度国有財産増減及び現在額総計算書外二件に対する説明聴取は終了いたしました。  それでは、これより直ちに質疑に入ります。質疑の通告がございますので、発言を許します。大森創造君。
  21. 大森創造

    大森創造君 大蔵大臣だいぶ忙しいようでございますが、能率的にやりますから。  まず、三十六年度決算検査報告に関する概要説明会計検査院のほうから承ったのでございますが、これは三十五年度の実績に比べて圧倒的に今度は指摘件数が多くなっております。三十五年度の三百三十八件に比べて、今度は五百七十九件です。所得倍増じゃなくて、これは指摘事項が倍増ということになっておりますが、金額にしますというと十八億八千五百万円に上っている。三十五年度の八億七千百万円に比べますというと、約十億千三百万円の増加、倍以上ということです。これは選挙なんかと同じようなものだと思うのです。選挙法の改正をする、そうすると一方地方においては選挙違反が倍増するという——本委員会決算委員会ですからね。「これは主として災害復旧事業に対する早期検査の結果補助金の減額を要するもの」云々ということが書いてありますが、こんなことは言いわけにならぬと思う。災害復旧があったので早期に検査をした結果が金額増加したというようなことは、これはまことに不可思議なしろうとのやり方工合じゃないかというふうに考えます。この決算委員会は、超党派的に、自民党も社会党も公明会も民社党も含めて、ひとつもっと現在よりも権威のあるような、権威あらしめるような措置を講じようじゃないかというようなことで、二、三年前からやっていることは、大蔵大臣もその他の皆さんも御承知のとおりだと思います。前の委員会は、池田総理の出席を求めて、決算の問題を、単なる報告の聞きっぱなしということでなしに、議案にしたらどうかという意見があって、これは過日の本会議においても、鈴木委員長のほうから本会議でわざわざその報告がされている。今の段階では、もっぱら予算委員会のほうでいろいろ審議をされてはなやかにやっておりますが、私は、今の日本の国情からいって、決算委員会で締めくくりをつけるということが一番大切だと思うのです。政策の是非は決算委員会でわかると思うのです。いいか悪いかを盛んに議論をして、そうしてあとは、各省の大臣以下局長、部課長は、まあこれは済んだからいいということで、あとは馬耳東風にするきらいがある。きょうはいろんな事情で、衆議院の関係もあって、関係大臣がおいでになれない事情もあると思いますけれども、決算というものをひとつ重点的に考えるという習慣を今後つけていきたいと思うのであります。大臣いかがですか、そのことについて一言。
  22. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 国の予算が大切であると同様な比重において決算が大切であることは、言うを待たないわけであります。でありますから、戦後の三権の分立の状態においても、旧憲法時代の思想でそのままの行政組織として残されたものは会計検査院だけでございます。かような意味においても、会計検査院制度がいかに必要であるかということは当然のことでありまして、決算の問題を国会においてもより重要視していただきたいということは、私もそう考えておりまして、当委員会のお考えには全面的に賛成でございます。
  23. 大森創造

    大森創造君 理論的にもそうだし、それから国民が一番注目しているのはやっぱり税金のむだづかいということだろうと思います。その意味で、会計検査院の使命は重大と思いますけれども、国民はやっぱり、予算で政策の是非を論議することもさることながら、決算でひとつ締めくくりをつけて、国会議員はその代表として監督をするという立場から、私は、決算委員会というものはがっちりやって——各党各派が、長期間にわたって、国会閉会中でもやっているのですからね——参議院の決算委員会は。おそらく他の委員会に比べて圧倒的に開催の回数が多いだろうと思います。そんなことを言ってはなんですが、それぞれ、大臣もお忙しいでしょうが、議員も皆さんお忙しいのに、閉会中でもやっているのであります。その結論を本会議に出した。委員長のほうから読み上げておりますが、これは聞きっぱなしでは困るのであって、これはきょうを初日にして、これからずっと委員会が開催されますから、会計検査院指摘事項並びにそれを集大成した当委員会の結論については、厳重にひとつ今後私はやりたいと思いますので、きょうはその問題の個々の問題については触れませんけれども、ひとつ関係の皆さん方の慎重な御配慮をお願いしたいと思います。  そこで、大蔵大臣、時間がないようでございますから、その次に移りますが、農地補償の問題、衆議院の問答についても私拝見いたしました。どうもまだ、私頭が悪いから納得しない。農地補償、それが報償ということになった。もう一回ひとつ大蔵大臣にお伺いしますが、報償と補償とはどう違うのですか。簡単にわかりやすく言って下さい。
  24. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) お答えいたします。  私は衆議院の予算委員会でも明らかにいたしましたように、補償とは、賠償的要素を含むものに対して国が法律または法律に準拠して行なう行為でありまして、これにつきましては、この結果に対して、受ける側に異議の申し立て、権利の争いというものが生じ得るというふうに御説明を申し上げておるわけであります。  なお、報償とは、国に功績があった者等に対して、文字どおり報償を行なうということでありまして、単に金銭をもって行なうものだけではなく、物品、表彰、しいて言えば、もっとわかりやすく端的に言えば、金銭を伴わない勲章などというものは報償の中に入る、こういうふうに私なりに御答弁申し上げておるわけであります。
  25. 大森創造

    大森創造君 われわれ国民の側からすると、いろいろ自民党と政府の間にいきさつがございまして——そういう現象を言いませんよ、これは国会の舞台ですから。だけれども、われわれの感じからすると、昭和二十八年ですか、最高裁で決定になったのだし、当時は当時としての相応な値段で買い上げたということでございますから、補償でも報償でもそんなことはいいじゃないかという感じで今までおりました。自民党の一部の人が騒ぐことは騒いでもけっこうですけれども、報償か何か知らないけれども、そんなものはないだろう、農地の問題についてはこれは一段落だという感じで国民の大多数はいたと思う。これは池田総理にしても、私は、工藤調査会、あれの答申があったときは、現在報償なんという言葉を創案しましたけれども、そういう思いは全然なかったのじゃないかと思う。これは実際の話そうだと思う。何も工藤調査会が、地主が一般農家に比べて生活水準がいいのだ、村の役職員についておる人も数が多い、ただ育英資金がどうだとか云々ということがありましたので、補償とか報償なんということを事あらためて考える必要がないということに池田総理もきっと考えていただろうと思う。これは総理がきょういないからなんだけれども、おそらくそうだろう。総理大臣はどういうふうに答弁されようと、それに違いない。それから、自民党の中から巻き返した。その巻き返したるや、すさまじい巻き返しだ。私があそこを通りかかったところが、大臣以下あそこの建物が割れるような騒ぎだ。万歳、池田総理が自民党の議員総会で言明をした、今度はだいじょうぶだということで、よけい拍車をかけた。その拍車をかけられた農林省のほうは、総理大臣も、歴代の農林大臣も、大蔵大臣も、補償はいたしませんというようなことを言っているから、そのつもりでいた農林省のほうは、それほどこのことに関心を持っていない。総理大臣もそうだということでありますが、もっぱら攻撃が、圧力がかかりましたので、だんだんあったかくなったということだろうと思う。実際はそういうことだ。そこで、私がお伺いしたいのは、報償というのを、今度は一億八千九百万の調査費を出して、それに基づいて今度は報償という措置をするのですか、しないのですか。
  26. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 農地被買収者の問題につきましては——農地被買収者報償につきましては、何らかの措置を必要と思うが、なお慎重に調査を必要とするのであるということで、調査費を計上したわけでございます。  調査費の内容は、衆議院でも申し上げておりますように、世論調査、実態調査、それから基礎調査というようなものに重点を置いておりますが、特に、あなたの言われるように、世論の中で報償を行なう必要がないというような議論も多々ありますのでということもありますので、世論調査等については重点を置いて調査を行なう、こういうことであります。
  27. 大森創造

    大森創造君 大蔵大臣は頭はいいから、あなたの頭の中ではわかっていると思います。あなたの答弁の限りにおいては、私もわかっている、了解ができないことはないが、何とも納得のいかないものもあるので、もう少し詳しくお伺いしますが、総理府来ておりますか——この一億八千九百万円、これはどういうふうに使うものか、少し簡単にお聞かせ願います。
  28. 徳安實藏

    政府委員徳安実藏君) ただいま大蔵大臣の話にありましたように、実態調査を主とした調査を行ないたいと思います。
  29. 大森創造

    大森創造君 それから大蔵大臣にお伺いしますが、国民金融公庫法の改正が二十億、この前はああいう結末になりましたが、また出すのですか。
  30. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 前国会審議未了になりましたままで提案もし、御審議をわずらわしたいと考えております。
  31. 大森創造

    大森創造君 そうすると、これは地主のうちで困る者について融資をするということになりますか。
  32. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 前国会で御説明申し上げましたとおり、農地被買収者であって、育英資金貸し出し、生業資金等を対象にして貸付をするが、法律案提案の趣旨であります。
  33. 大森創造

    大森創造君 そうすると、困るのは地主ばかりじゃないのだから、これは地主という一つのワクを設けて、それ以外の者には貸さないのだから、困る者は地主ばかりじゃないから、こういう法案を引っ込ませて、一般的な社会保障を拡充したらどうですか。その中に地主の困る者も入る、こういう措置のほうが妥当じゃないですか。
  34. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 内閣に設けました工藤調査会の答申等を十分尊重して措置をしたわけでございます。
  35. 大森創造

    大森創造君 工藤調査会の答申というやつは、私が申したように、何も困るのは地主ばかりじゃない、地主の関係の調査を命ぜられたが、その中で困る者がある、これについては、育英資金とかあるいは提案されます国民金融公庫法の改正ということでワクを設けるということの措置があるかもしれませんが、今大蔵大臣が答弁されるようなことではなくて、工藤調査会の結論からいえば、これは一般的な社会保障を拡充したらいいのじゃないですか。農村はいくらでも困る人が一ぱいいます。
  36. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 育英資金、奨学生制度、困窮家庭の子弟等に対する教科書の無償交付その他あらゆる施策を行なわなければならぬことは、これは言うを待ちません。一般的な育英機構を拡充し、育英施策を行なうことによって、農地被買収者子弟という限定的なものに対して特別な恩典を与える必要はない、こういうお考えでございますが、先ほども申し上げておりますように、農地被買収者問題は、戦後の画期的な問題でありまして、まだ幾多の問題が残っております。中には政府が幾らか何かしなければならないかなあというような問題もあることは事実であります。これは端的に申し上げますが、農地解放というものはメモランダムによったものであるということは、御承知のとおりであります。これはメモランダムによるよらないということは別でありますが、戦後とられた画期的なもので、この趣旨は自作農創設であります。でありますから、自作農創設ということが国が買収をし、新しい地主を作るように、自作農を作るためにこれを国が売り渡した、利用したという形式をとったわけであります。これはどこでも、土地問題が片づかなければ革命は成功しないという世界の歴史があるとおりでありますが、戦後第一次、第二次の農地解放、昭和二十三年当時は第三次山林解放まで行なうというのが占領軍の考え方であったようでありますが、いずれにしても、第一次、第二次の農地解放をやったことが、今日、日本が短時日においてこのような経済的発展を築いた基盤の一助になったということは、これはもう間違いない事実だと思います。もう一つは、自作農を創設するために行なわれた処置でありますから、自作農創設の法律に背反するような場合には、これを売り戻すとか、買い戻すとかという問題が当然考えられたわけであります。でありますから、この法律が作られましたときには、御承知のとおり、これを他に転用してはならないということであります。小作が地主になるのだという大目的達成のために、政府は法律を用意して、このような措置が行なわれたわけであります。その際は、他に転用してはならないという原則があったわけであります。しかし、時代の変化がありますので、後には他に転用することもできることになりましたから、反七、八百円で受けたものが、かなり高い値段で売るということもあったわけであります。だから、このときに、自作農創設以外に使われるものに対しては、転用できないが、買い戻す、売り戻すというようなことが、法律的ないわゆる救済措置が必要であったという議論も識者は言っておるのですが、まあいずれにしても国会の意思は、自由に転売してもよろしい、こういうことになった。もう一つは、自作農創設ということで、法律で国が強制買収をしておりながら、この目的に沿わないで国が今現に保有しておるものがあります。買い上げて、小作にやらないで、自作農創設にも使用しないで、元のままのものがある。これは非常に高くなっておるわけであります。都市周辺等において相当な高価なものになっておる。こういうものは、当然縁故払い下げにすべきじゃないかというような議論が戦後十七年間にわたって相当な勢いで国民の間にあったことも事実であります。でありますから、行政府としては、これらの問題に対処するために、少なくとも農地被買収者というものが現在の日本を作るために貢献をしたという事実は認めなければならぬと思う。そういう意味において、一般の方々の育英は当然重点的に行ないますが、これにプラスして特別のワクを設けるとううことも、政治上、行政上の配慮であるという考えに立っておるわけであります。でありますから、この国会に戦没軍人の妻に対して交付金を出そうということも、これらの問題は、その当時別ワクで五万円ないし十万円プラスしておればこんなものは出なかったのじゃないかという学者の議論もありますが、いずれにしても、やはり特殊な立場にある者に対して、国が特殊な施策を行ない得る財政的な余裕があった場合に、かかる措置をとることは、憲法上前進的な考え方である、こういう考えに立つものであります。
  37. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 関連石今大蔵大臣のいろいろ御説明で——補償と報償の違いについての御説明で、農地の解放が国家に対して貢献があったので、それに対して国家が認めるというような意味があってごほうびを出すと、その犠牲に対して報いるというような意味があって報償だと、そういうふうにおっしゃった、そういうふうに理解してよろしいのでございますか。
  38. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 報償をまだやるとはきめておりません。補償はやらないということははっきり申し上げておりますが、報償に対しては何らかの措置をとる必要があるのではないかと、こういうふうな考えに立っておりますが、これはやはり国民の血税を財源としてやるのでありますし、先ほど決算委員会の性格に対して申し述べられたとおり、国民の血税の使用に対しては厘毛といえども政府は身を正してかからなければなりませんし、やはりこれが支出に対しては国民の大かたの意のあるところに沿って支出をすべきが当然でありますので、国会に法律案件等を提出するということを前提にしないでも、これらの実情に対して世論等に重点を置いて調査費を計上するのは、行政上の処置としては容認せられることであると思います。また、政府は前向きでこれらの問題を片づけるためにも、調査費を計上したわけでございます。
  39. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 今の御説明によりますと、この報償の問題についていろいろ調査をなさるわけでございますね。それに関連して、未亡人に対するまた報償というものでございますね。これは、今大臣御説明になったのは、未亡人に対してもある金額を与えるということを考えていらっしゃるわけですね。
  40. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) うらはらであるわけではありませんが、一般の未亡人対策を行なわなければならないということは、今育英事業を拡充しなければならないという御質問の意向と同じことでございます。でありますが、特に一般に行なわなければならない方方にプラスをして考えてあげなければならないような事態、すなわち、国に稗益をしたり、貢献したり、功績があったという前提条件がそろって、ある特別なワクを作る、特別の処置をプラス・アルファにしてやることは、政治、行政の上では正しいことだ、必要なことだと、そういう意味で、農地の被買収者に対して、報償の問題に対して、今やるとかやらないとかいう問題ではありませんが、国民世論の方向を十分調査をするため調査費を計上しました。同じようなことで、戦没軍人の未亡人に対しても、この国会で交付金法案を提出して、御審議を願いたいという態勢にありますが、このような処置も、一般未亡人と戦没軍人の未亡人との間にプラス・アルファをつける例に申し上げたにすぎないのです。
  41. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 今大蔵大臣の御説明を伺っておりますと、もとより、未亡人のような方々に交付金が与えられるものならば、それに対して私は異議を唱えるというわけではなく、大蔵大臣の今のお考え方をだんだんこれを広げて参りますと、それなら未亡人だけではなくて、年をとった親たちが自分の将来を託したいと思っておった子供が戦争のために死んだ、それに対しても交付金を出さなければならぬという理屈になるのではないですか。
  42. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) そういう思想に立っているのでございます。でありますから、占領軍がとめてしまった恩給法も、その後国会の決議によって恩給の復活を行なったわけであります。引揚者に対しては、引揚者交付金をやったわけであります。留守家族に対しては、留守家族手当を支給したわけでありますし、そういう意味で戦後あらゆる法律制度がとられておる——一般国民の一般的に政府から受ける恩恵プラス・アルファの手段は、戦後十七年間において多数とられておるわけであります。
  43. 大森創造

    大森創造君 角度を変えてお伺いしますが、報償というものがあるとすれば、これは衆議院の予算委員会であなた答弁されておりますが、金持ちにやらぬのですか、生活程度の楽な者についてはやらないということになりますか。
  44. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 報償については何らかの措置をとる必要があるのではないかと思うがということで、政府の意思はそこまでが決定しておらぬのであります。すべては、一億九千万円に近い三十八年度予算に計上されておる調査費で、国民皆さんの動向を見て、政府は、これはもう九〇%、九五%賛成であるということになれば、報償というものに対しての措置を考えますが、現在の状態においては、全く何らかの措置をとる必要があると思われるがというところで政府の意思はぴしゃっときまっているのでありますから、でありますから、衆議院の予算委員会ではそうであっても、仮定の問題としても、いずれにしても自民党の二千八百五十億というものを世に問うております。新聞に出ております。政府と自民党は無関係ではないから、もしそのようなことをやらなければならないような状態になった場合でも所得制限をするか、こういうような御質問がありましたから、昔の吉田さんなら、仮定の問題には答えませんと言うのですが、そういうわけにもいきませんので、もしそういうようなことになった場合は、国民常識からいっても、ゆうゆうとして食っていける人たちに対して、反別幾らで計算をするような処置はとり得ないものだろうと思います。私はしいて言えば、私としてはとらないということを明らかにします。こういうことに事を分けて御答弁申し上げているのです。
  45. 大森創造

    大森創造君 補償も報償もどっちもないだろうということで国民の多くはいたと、当時そうだろうと思います。だんだん時間の経過とともに変わってきた。報償なんという言葉が生まれたのはこの間のことですからね。これは事実そうですよ。報償物資なんという戦時中の言葉を思い出したのは、この間のことなんです。だんだん変わったのでなく、急速に変わってきたのだ。自民党の綱島調査会が圧力をかけるたびにぐんぐん変わってきた。大蔵大臣は頭がいいようだから、そういうわかったような答弁をされておりますが、急速に変わってきたことに間違いない。そこで、私は大蔵大臣にあと二時間ぐらい質問したいのですが、時間がないし、他の質問者も待っておりますから、あと一つだけ伺いたい。ほかのことはまた一週間か十日のうちに、日をあらためてお伺いすることにします。決算委員会ですから、まだずいぶんあるのですから、そのときに。  あと一つだけ伺いたいのは、そうすると、農地補償に踏み切るとなりますと、今加藤先生からもお話がありましたが、それ以外にいろいろな問題が出てくると思うのです。外地引き揚げ、在外財産補償の問題も持ち上がってくると思うのです。これは、池田首相とあなたのほうの答弁では、昭和三十二年に引揚者の交付公債をやったからいいのだと、こういうことなのですか。
  46. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 前の問題について、一つだけ解明しておきたいと思いますが、農地補償の問題は、これが解決して何らかの補償とか報償という問題が起きてきたのは、二十九年の法改正のときを契機として起きたのです。私はそういうふうに理解しております。これは農地問題についての、いわゆる農地を他に転用し、転売してもよろしいという法改正をやったときに、当然買い戻し請求権があるべきものと思っていた者に対して、時代の要請とはいいながら、農地を他に転用することを認めた法律を改正して、その次に行なわれた衆議院の選挙で政党の争いの問題点になっている。これは、そういうことになると、自作農創設ということで、当時の金で安いとか、高いとか、あるいは適正なものであったかということは別としても、いずれにしても相当高い値段で売り払ってもいいということになれば、これは政府はただでやることはない。税でもって徴収するような特別立法を作って、政府は被買収者に還付するのであろうということで、それに対して、私たちはそういうことはいたしませんと言ったのですが、いや、そんなことはないだろうということで、あの選挙のときに一つの焦点になったことでありまして、二十九年の法改正を契機として生まれた問題であって、綱島調査会の圧力を契機として出てきたものではないというふうに私は理解しております。  それから、農地の問題が取り上げられることになると、必ずこれに伴って他の問題が世論に訴えられるような状態になる、当然在外財産の問題、引揚者の問題、その他の問題が出てくるだろうという質問は、これは衆議院においてもたびたび行なわれておりますが、この引揚者の問題、在外財産の問題につきましては、これは理論の上ではむずかしい問題があります。戦いに敗れたことでありますし、いわゆるアメリカとの没収財産問題では、占領軍が没収したのだとか、軍令三十三号を承認したのは、政府が条約において放棄をしたのであるから、当然政府はそれらについて国民に対しての補償義務があるとか、いろいろな議論がありますが、これはオーソドックスな理論として申し上げますと、国際紛争によって解決されたものでなく、条約によってとられたもの、こういうことになると、これは一部の方々が言っておるように、法律的な責任ありとするならば、まさに最高裁の判例を求めたり、国際法上の判例を求めなければならない。政府はどうにもすることはできませんが、まあ現実問題として考えるときには、また日本の国内法として考えるときには、在外財産においては、一応昭和三十一年に内閣に設けられました有識者で構成された在外財産問題審議会でありますか、この答申に基づいて、三十二年国会の議決を経てこれに対する措置を行なっております。約四百九十億だったと思っておりますが、そういう措置を行なっておりますので、政府としては、法律上の責任、予算上の責任はこれをもって終わるものと、こういうふうに理解をし、答弁もいたしております。しかし、先ほどの予算委員会でも、外務大臣や私の答弁で、法律的な責任なしとは考えておりますが、しかし政治的な責任、道義的な責任というようなものは将来の問題としてやはり残るものであります。まあ西ドイツやイタリアにおいては、これらの戦災補償、その他戦争による補償に対しては、国会の議決をもとにしていろいろな措置をやっておるようでありますが、いずれにしても政府はこれらの問題に対しての補償的義務は完了しておる、こういう建前になっておるわけであります。
  47. 大森創造

    大森創造君 あと一分間で終わりますが、今のお話を聞いて、三十二年の交付公債を引揚者に対して出したというのは、見舞金です。一人当たり二万七千円。農地補償のように土地の反別を基礎とする——これは反別を基礎とするかどうかわかりませんけれども、困窮の度合いも私は引揚者と旧地主とはずいぶん違うと思うのです。これは地主のほうがいいと思うのですよ。それから戦災による被害者、それから強制疎開を受けた人、学徒動員の人、戦後追放を受けて困った人と、旧地主以外に戦争犠牲者は相当あると思う。それに対しても、報償だ、補償だということで非常に考えられて、そして、さっき加藤さんについて答弁されたような、人道的なことについても及ぼしてほしい、バランスをつけて、地主よりも重いものについては、これは今後検討してやらなければいけないと思う。あとまだ質問がございますが、時間がありませんから、ひとまず打ち切ります。
  48. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 大蔵大臣もお急ぎになりますので、質問が非常にとぎれとぎれになりまして、やや迫力を欠くような点があるのでありますが、財政問題について若干お伺いをいたしたいと思います。  その前に、先ほど大森委員からございましたように、会計検査の結果、不当事項が約五百七十九件、金額が十八億八千五百万円に達した。これは前年度の二倍以上の増加であるということは、われわれ公明会の議員といたしましても、特に非常に遺憾に思うのでありまして、これはいわゆる池田内閣の人づくり、国づくり政策がまさしく当を得ていないということをはっきりと暴露するものではないか、かように思うのであります。その細部にわたりましては、各省別の審議の際に追及をいたすことにいたしまして、まず最初に会計年度の件でありますが、地方団体より、現行会計年度は、公共事業に、予算の編成期が積雪寒冷期に当たるので、非常に支障を来たしておる。国の会計年度を暦年制に改めたらどうか、こういうような要望があるわけでありますが、これに対して大蔵大臣の御意見をお伺いいたしたいと思います。
  49. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 政府の意見として申し上げますと、現在財政金融の審議会がありますので、財政制度審議会にこれらの問題を含めて検討をお願いいたしております。これは答申を待って政府は態度を決定するということになるというふうにお答えをするわけであります。私は、御承知のとおり、会計暦年制の持論でありましたから、お答えを申し上げますが、これは私がただ持論であるということ、私が新潟県の出身であるということだけで申し上げているのではないのであります。御承知のとおり、三月年度でありますので、実際は三月三十一日に予算が成立して、四月一日から執行されるわけでありますが、地方団体との間に国の補助、それからしかも補助率等はしょっちゅう変わりますので、こういうような手続法規を周知徹底せしめたり、また直轄、地方の補助事業を問わず、実際の金が交付されるまでの間には相当長い期間が必要であります。まず第一番目に時間のかかるのは、敷地の手当とか、比較設計の作成であります。効率投資ということで比較設計を作る。しかも、本省でもって全部これを一々検討する。また、検討しなければ批難事項が多くなるので、当然これは検討しなければならないということで、比較設計をやっているうちに六月になる。ですから、地方は県会でもってどういうものをやるかというと、継続工事だけを六月県会でやって、七月ごろに入札、そして残余の問題に対しては、交付税の問題、補助金の問題その他でもって、新規工事に対しては九月県会ということであります。でありますから、日本のように三分の二も雪が降るというところは、もう入札執行事務をやっているうちに十月になります。十月になると、日が短くなります。農繁期になります。全国三分の二がこのような状態においてやられまして、しかも総体的において単年度主義をとっておりますので、一部継続費制度や繰越明許制度がございますけれども、三月三十一日までにできない。できなければ会計検査院に怒られるということで、毎度そういう悪循環を続けておるわけであります。で、地方格差の解消等を考えたり、また季節労務者の需給安定を考えたり、そういう合理的な事務の執行ということを見ますと、必ずしも四月から三月年度というものがいいのか悪いのかということに対しては、私はやはり抜本的に検討すべき段階になっておるだろうと思う。世界の各国を見ましたら、おおむね北半球の国々は、四月から三月年度というものは非常に少ない、イギリスだけでしたか、非常に少ないのであって、他の国はちょうど七月、八月の一番仕事ができるときに公共事業が行なわれるようになっておりますし、融雪災害等に対しては、雪が降ったら直ちに——何カ月間も道路や川をかまわんで置けば、ますますこわれるのでありますから、融雪期に際して直ちに新年度の工事が施行せられるというような状態で行なわれておりますので、私は、党人として、自民党の議員としてありましたときには、会計年度の改正論をぶっておったわけでありますが、まあ、いずれにいたしましても、国務大臣としての答弁は、財政制度調査会の結論を待ってやって参りたいと思います。
  50. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは、昭和三十六年度といいますと、所得倍増計画の初年度でありまして、総理は、この計画に基づいて十年間に所得を倍増すると、こういう目標にあき足らずして、また、所得倍増計画の名において、今後三年間は年率九の成長率を持続させることを鳴りもの入りで宣伝をしたのでありますが、三十六年度予算を、前年度当初予算に比して二四・四%増という超大型積極予算を組んだのであります。これに刺激されまして、民間設備投資が四兆円の巨額に上り、所得倍増計画の最終年度予定されていた三兆六千億という数字を計画の初年度において突破してしまったのでありますが、このような民間設備投資の行き過ぎによりまして、景気は過熱し、国際収支の悪化を招き、年度半ばにして、一連の金融引き締め措置を実行したために、物価は倍増して、所得倍増でなしに、所得倍増内閣でなしに、物価倍増内閣の非難を国民から浴びたのでありまして、これは、所得倍増計画の経済見通しを誤ったものであり、このような急激な経済の膨張と金融引き締め、物価上昇により、中小企業を初め、国民全体が払った犠牲は非常に大なるものがあったのであります。  ところが、本年度の三十八年度一般会計の規模は、二兆八千五百億、財政投融資が一兆一千億、さらにきょうの新聞に出ておりますが、地方財政計画によるところの地方団体の独自財源を約一兆五千億と見ました場合には、約六億円近くの金が流れることになるわけでありますが、政府におきましても、いろいろと、貿易の自由化、あるいは外国資本に対する対策等も考慮されておるのでありますが、大蔵大臣は、以上述べた、三十六年度のこの苦い経験を、三十八年度の膨大予算にどのように配慮をされたのか。その点の所見を承りたいと思います。
  51. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 三十八年度の景気見通しにつきましては、御承知のとおり、名目八%余、実質六%余の経済成長を見ておるわけでございます。で、まあ不景気か景気かというふうに分けますと、国際収支改善対策は、御承知のとおり、三行借款のうち一億五千万ドル返済をいたしまして、なお八千三百万ドルを三月までに返済するのでありますが、スタンドバイの三千五百万ドルの取りくずしも行なわないで、自己資金をもって行ない、期末外貨十八億ドルを割らない、十九億ドルを越すのではないかというような今の外貨事情でございますから、いずれにしても、国際収支均衡は回復を得たということになるわけでございます。でありますから、その意味におきましては、沈滞しておるような産業面に対しては多少景気刺激対策をとらなければならないという理論的な面はうなずけるわけでございます。同時に、少し刺激的になりますと、日本は戦後三回目の国際収支の危機を招いたわけでありますが、自由化を前にして国際社会の経済の中に一員としてはだかで飛び込まなければならない状態を考えますと、やはり国際競争力をつけるためにも、日本人自身も何とか自分の企業を維持しなければならぬという観念が先に立つと、昭和三十五年、三十六年に行なわれたと同じように、大きな輸入が行なわれ、設備投資をまた過熱に導くおそれも理論的にはあるわけでありますので、それで均衡政策をとらなければならないという相反する制約もあることは御承知のとおりであります。なお、その上に高度の経済成長を遂げましたために、国内において均衡維持をはからなければならないということもありますし、地域間、業種間の格差も拡大しておりますから、またそれと全く相反する面から考えますと、国際的にはだかになるのでありますから、何とかして合理化を進めなければいかぬ、近代化を進めなければいかぬ、こういう二律相反する問題がたくさんあるのが、三十八年度における日本の経済産業の実態だと思うわけであります。これに対処するために、インフレにならず、デフレにならず、国際競争力を培養していけるような予算のめどを、正常な税収見積りを中心にして考えましたのが二兆八千億の一般会計となり、一兆一千億余の財政投融資となり、しかも民間資金との三者調和ある活用によって危機を乗り切ることができよう、こういう考えでございます。
  52. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 政府の景気刺激のための努力はよくわかりますが、今度の財政投融資を見まするというと、日銀の買いオペを利用いたしまして、政府保証債の増発が、三百十億の増になっております。そのほか、産投外貨債の発行等の措置予定されておりまして、一般会計だけでは税金で歳出をまかなったということになっておるようでありますが、財政の面に債券依存の徴候が見受けられておると、これでは、一貫して続けられたところの均衡予算方式に変化が現われたものと見られるのであります。したがって、明年度予算均衡予算と銘打っておりますが、かなり不安定な要素があるのじゃないか、このように、これは国民ひとしく考えるところでありますので、答弁をお願いいたします。
  53. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 一般会計が、財政法の改正も行なわれず、また、国債償還に対しても、三十六年度剰余財源を全額繰り入れているようなこと、赤字公債を発行しておらない、建設公債さえ発行しておらないということを見て、均衡であるということに対してはお認めいただいたようでございますが、財政投融資に対しては、衆議院の予算委員会においても議論がございます。ございますが、政府の考え方は明らかにいたしております。その一点は、財源が非常に無理な見積りではないかというものの中に、千九百億見ております郵便貯金がございますが、郵便貯金は、三十七年度千五百五十億を予定いたしておりますが、その後の金融緩和等によって、ことしの実勢すでに千九百億を越しておるような状態でありますので、これはそのまま三十八年度に、置きかえたという程度に考えております。  外貨債の問題につきましては、一億二千五百万ドル計上しておるわけでございまして、この内容を申し上げますと、昭和三十七年度で外貨債はどの程度調達されたかというと、大体五千五百万ドルから六千万ドル程度であります。倍増しておるじゃないか、倍増以上だということでございますが、しかし、この中には、戦前債の三千万ドル償還がございます。でありますから、六千万ドルで、アメリカ市場で大体三十八年度正規に消化できるもの八千五百万ドルないし一億ドル、こういうふうにアメリカでも見ておったわけでありますが、戦前債の償還分三千万ドルございますので、合わせれば一億二千万ドルないし一億三千四、五百万ドル、一億四、五千万ドルになるかもしれませんが、いずれにしても、一億二千五百万ドル見たわけでございます。しかし、御承知の世銀からの道路借款七千五百万ドルというものも、日本が必要とし、受け入れ態勢が確保せられるならば、単年度支出してもいいという了解を得ておりますが、あえてこれを当該年度に計上しなかったということも、外貨債にたより過ぎるということに対しては、これは慎重にいかなければならない、外国市場における日本の信用に対するバロメーターでもあるという考えに立っておるわけでございます。  それからもう一つは、今申された民間債、政府保証債及び借入金でありますが、三十八年度財政投融資で千八百八十二億円の民間資金ということを考えております。その中の政府保証債千三百三十億、これに対しましては、御承知の、金融審議会等におきまして、十分民間金融機関とも話し合いをし、現在政府が三十八年度財政投融資計画で発行を予定しておりますものに対しては、全員異議なくこの引き受けを認めておるというような状態でありまして、これは、前年対比、総額で四百億ばかり対民間がふえておるわけでございますが、これは、民間の資金吸い上げというような考え方に立っておるものではなく、金融緩和その他の情勢に応じて、至当な額であるという考え方に立って計上いたしたわけでございます。
  54. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  55. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 速記を始めて。
  56. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは管理庁にお伺いをいたしますが、最近、公社、等の汚職が非常に続発いたしておりますので、まことに遺憾に思うのでありますが、政府も、おそまきながら、公社、公団、事業団等の綱紀粛正の一環といたしまして、行政管理庁を中心に、監事制度のあり方について再検討をしているように聞いておるのでありますが、そこで、行管にお伺いしたいのは、監察の対象はどこをお選びになられましたか。それと、監察の結果、どういうような欠陥が明らかになりたか、そういう点について、ひとつお伺いをいたします。
  57. 宇田國榮

    政府委員(宇田国栄君) 中尾委員の御質問は、各方面から今問題になっているきわめて重要なる問題でありまして、行政管理庁では、昨年九月から、公社、公団、公庫、事業団等の政府機関について、実は監察を実施いたしておるのであります。ところが、監事の活動状況が、質問要旨のとおり、非常にばらばらでありまして、その原因を検討した結果、監事監査の機能を高めるためには、次のような点が結論づけられたわけであります。  すなわち、現在では、公団等の設置法の中に、監事は公団の業務を監査するという一条があるほか、法令上の規定のないものもあり、職務の内容がはっきりしていないので、これを制度的に明確にする必要がある。第二点は、監査の方法や、監査結果の取り扱いが非常にばらばらになっているので、はっきりした基準を定める必要があること。第三点は、監事だけで仕事をやっているものが多いのでありますが、十分な活動ができない実情であるから、補助者をつける必要があるということでございます。  以上の点につき、昨年十二月十四日に、監督官庁に対して勧告を行なったのでありますが、監事制度の運用については、それぞれの実情に応じて考える必要があるので、監事機能の具体的な強化策については、目下関係各省と検討中でありまして、二月の下旬には、その検討結果の回答が参りますので、それによりまして、御要望に沿うような処置をいたしたいと思う。であります。
  58. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで、所管の官庁に勧告をなすったわけでございますか。
  59. 宇田國榮

    政府委員(宇田国栄君) そうでございます。
  60. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それから、勧告をされまして、その勧告を受け入れて、設置法の改正法案といったようなものを準備をいたしておる、あるいは進めておる、決定しておるような省庁はございますか。
  61. 宇田國榮

    政府委員(宇田国栄君) ただいまここに山口行政監察局長が見えておりますから、詳細答弁していただきます。
  62. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 本年度新たにできます公団、事業団につきましては、先ほど政務次官から申し上げましたような趣旨で、法律に規定すべきものは原案に織り込んでおります。その他のものにつきましては、すでに従来の制度によりまして人事も運営されておりますので、そういう現状を十分勘案しまして、なるべくすみやかに改善をしたいということで、いつごろ、どういうふうにするか、ということにつきましては、それぞれの公団の特殊事情がございますが、その方向にいきますことにつきましては、各省庁とも御異論はございませんので、目下具体的な方法について、従来からありましたものについては協議をいたしております。  結論といたしまして、先ほど勧告について申し上げましたような趣旨は、比較的早く実現するであろうという期待を持っております。
  63. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 その促進方については、さらに進めていただきたいと思うのであります。  それで、会計検査院のほうにお伺いをいたしますが、今度は、各省庁の内部監査制度について、現状はどうなっているのか。それと、これをまた強化するような具体的な対策がありましたならば、伺いたいと思います。
  64. 芥川治

    会計検査院長(芥川治君) ただいまお尋ねの内部監査機構等の強化の面につきましては、その後のこの決算検査報告に基づいて一部増強しているところも聞いておりますが、まだ調べがまとまっておりませんので、調査の上御報告申し上げます。
  65. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 三十六年度の翌年度繰越額についてお伺いいたしますが、繰り越しの額は六百四十六億七千万となっておりまして、その繰り越しの状況を見ますというと、年度内支出した金額がなくて、予算の全額を翌年度へ繰り越しておるもの、あるいはまた年度内支出額よりも翌年度への繰り越し分が多いものがありまして、予算経理がはなはだ正常でない。ですから、おもな点をここに抽出いたしまして二、三お伺いをいたしますが、まず、総務長官にお伺いをいたしたいと思います。  遭難学童あるいは戦闘協力死没者見舞金等の項目でございますが、これは支出済額がゼロになっておる。全然金が出てない。そして翌年度へ繰り越したのが二億四千万、これはどういうふうになっておりますか。その間の事情についてお伺いいたします。
  66. 徳安實藏

    政府委員徳安実藏君) まことに不思議なことでございまして、私自身も今これを拝見して、不明にしてあまりよく存じておりません。先般来、私は向こうへ参りましてからも、遭難学童及び戦闘関係の死没者に対して出します見舞金を早く取り扱うようにということで非常に急いでやらしたわけなのでありますが、書類が沖繩の琉球政府を通じましてこちらへ参るわけでございます。最近はどんどん参っておりますが、一時この予算を計上いたしました当時、三十六年度になっているかと思いますが、話を聞いてみますというと、見舞金としてやるべきか、あるいはまた援護法でやるべきか、あるいはその他でやるべきかということで、部内でも少し議論がございまして、その研究の結果、とうとうこうした支出済額がないというようなものになったのだそうでございます。これは、まことに政府部内の不統一と申しますか、見解の相違が対立してこういうことになったのだそうでございまして、その翌年からは、どんどん意見が一致いたしまして、支払いいたしておるそうでございます。ただ、総理府のほうといたしましては、できるだけめんどうをみてあげたいという気持で考えたことが、こうした問題に対して意見の相違を来たし、支出に支障を来たしたのだということでございますが、しかし、詳細なことは、特連局長が参っておりますから、そちらのほうから御説明させますのでお聞き取りいただきたいと思います。
  67. 大竹民陟

    政府委員(大竹民陟君) ただいまのお話を幾らか補足して申し上げます。  沖繩では、御案内のように、昭和二十年の三月ごろから非常に陸上戦闘が行なわれたわけでございまして、たくさんの戦死者が出ておる、これらの戦死者につきましては、内地の恩給法あるいは援護法というようなものを適用いたしまして、それぞれ救済の措置を講じておるわけであります。しかし、ほかの地域と異なりまして、陸上戦闘が行なわれましたので、これらの法律で必ずしも救済できないと申しますか、条文にうまく当てはまらないようなもので、なお、戦闘の最中に死んでおられる方がたくさんあるということでございまして、見舞金を考えたわけでございます。当初予定いたしましたのが、大体一万二千人程度のものであろう、一人頭二万円ということで二億四千万円ほど計上いたしたわけでございます。申立書が出て参ったわけでございますが、それらのものをこまかく審査いたしましたところが、はたしてこれは見舞金で処理したことが適当であるか、あるいは援護法で救済すべきかというような問題が、実際の申立書から出てきたわけでございます。それらを全般的に検討し調整するために、実は支給を延ばしたわけでございます。繰り越しを認めていただきまして、本年はその結果に基づきまして支給を行なっております。この年度末までには大体予定のとおり全部支払うことができるというふうに考えております。
  68. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そういったような意見の対立する、はっきりしないというようなものは、何も年度内予算を組む必要がないじゃないかと、このように思うわけでありますが、まあ総括的に、ほかにも質問がありますので、お伺いいたします。  次に、防衛本庁のところで艦艇の建造費については、これも支出のほうが千三百四十三万、繰り越しのほうが十一億八千万、こういうふうになっておりますが、これはどういうわけですか、お伺いいたします。
  69. 志賀健次郎

    国務大臣志賀健次郎君) お答えいたします。この艦艇の建造費は、ターター艦と申しまして、日本でも初めて作る艦艇でございまして、三十五年度予算決定いたしたのでございますが、その設計の変更を余儀なくせられまして、三十六年度、今日まで継続いたしているわけでございます。やむを得ざる設計変更のために、かような事態になっているわけであります。具体的な内容については、政府委員から説明いたさせます。
  70. 上田克郎

    政府委員(上田克郎君) 本艦の建造につきましては、三十五年で継続費として二十九億六千万円余の国会の御承認を得たのでございますが、その後、モデルにいたしましたアメリカでのターター搭載の船の調査をいたしました結果、従来考えておりましたトン数では足りない約四百トンほどでございますが、足りないということがわかりまして、その調査団が帰って参りましたのが三十五年の十月でございます。したがいまして、三十六年度予算に設計変更をいたす余裕がございませんで、帰って参りましてからさらに研究いたしました結果、三十七年度になりまして、あらためて三十五年から三十九年まで五年間で四十億一千三百万円余の継続費として国会の御承認を得たわけでございます。したがいまして、御指摘の千三百万円余の経費は、この当初の計画の際に搭載することを予定しておりましたレーダーの発注がすでにそのときに済んでおりましたので、レーダー分につきましての支払いをいたしまして、本艦の建造費としての金額は逓次繰り越しをいたした、さような次第でございます。
  71. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 次に、食糧庁長官にお伺いをいたしますが、この国産大豆等の保護対策費でございますね、これは支出済みが四億九千万、翌年度へ繰り越したのが二十五億九百万、こういうふうになっておりますが、これはどういうわけですか。
  72. 筒井敬一

    説明員(筒井敬一君) 御存じのように大豆の自由化に伴いまして、すなわち、三十六年の七月から大豆の自由化が実施されまして、それに伴いまして国内産の大豆、菜種を保護して参らなければならぬということで、国内産大豆、菜種の交付金法が三十六年の十月の終わりに成立したわけでございますが、それに伴いまして、当初かような自由化に伴ってどのような事態になるかということを心配いたしまして、三十五年産の大豆と、三十六年産の大豆、菜種、これに対する交付金を予定いたしまして三十億円の予算を計上いたしたのでございますけれども、実際にやりましたのは、三十五年産大豆だけでございました。これはどういうわけで三十六年産大豆なり、三十六年産の菜種に交付金を延ばしたかと申しますと、新しい交付金法によりますと、農業団体と申しますか、集荷団体が調整いたしまして、その結果に基づいて交付金を配るという形になっておりましたのと、新しい制度でございますので、団体のほうにおきますところの準備態勢等が整わなかった等の関係で、三十六年産大豆、三十六年産菜種の分については、三十七年度において執行することになったわけでございまして、それを支出することになったのでございます。さような事態で、法律の施行後に起きるところの準備あるいはそれに伴うところの調整販売事業、そういうものの進捗がおくれた関係がございまして、三十六年度においては、お話のように二十五億の繰り越しをいたしたという次第でございます。
  73. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 次に、旧軍人遺族等の恩給費の繰越額についてお伺いいたしますが、これも三十三、三十四、三十五、三十六年度におきましては、二十九億七千万、六十六億四千万、九十五億三千万、七十一億四千万、こういったような繰り越しが出ておりますが、これはどういうわけですか。
  74. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳之輔君) ただいまお尋ねの点でございまするが、これは、恩給費の中身で一番多くを占めますのが旧軍人遺族に対する公務扶助料でございます。大体全体の八割を占めております。この旧軍人遺族に対する恩給の裁定は、昭和三十五年度で大体百六十七万件裁定してございます。ところで、厚生省のほうでこれを進達するという見込みを大体立てまして、百七十二万件くらいはまだあるだろう、全体としては。したがいまして、三十五年計上におきましても、さらにまだ五万件くらい残っておるというような見通しを立てておったわけでございます。御存じのように軍人恩給につきましては、各府県の世話課を通りまして厚生省に参りまして、厚生省が進達庁として恩給局のほうに参りまして裁定が行なわれるという、こういう順序になっております。すなわち、厚生省が旧陸海軍省の仕事を、復員業務を引き受けて、そして旧陸海軍省の本属庁としての仕事を厚生省がやっておるという形になっております。そこで、厚生省のほうで出してくるという、進達するという見通しと、実際の実績ということでは、若干変わって参ります。したがって、その見通しによりまして、当初予算を組みますけれども、必ずしもそのとおり進達が行なわれない。もちろん進達請求というものは、本人の意思によるものでございますから、厚生省が幾ら第一線で待っておりましても、出てこないものは出てこないというような事情がございます。たとえば三十六年度におきましては、一万五千件くらい進達があるであろうと見込んだが、実績におきましては、八千六百件、その半分ちょっとこした程度のものしか裁定が行なわれなかったという事情でございます。そこで、この百七十二万という全体の数字につきましても、今後十分に検討を加えまして、それほどの数がなければそれなりに将来予算を、なるべく現実と離れないような予算を組む、あるいは地方の進達を促進すると、こういうふうな方法を講じまして、そして今後できるだけ当初計上した予算と実績が合うような方向に持って参る、そして今後はこういうふうな繰り越しが起こらないようにいたして参りたいと思っております。
  75. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 以上、私は繰り越しの問題につきましては、総括的に本日は聞いたわけでございますが、いずれにいたしましても、予算の組み方について、精密を欠いておるようでございますので、年度内に消化し得ないものは、何も年度内に組む必要はない。いろいろ継続費とか、あるいは債務負担行為とか、いろいろありますけれども、こまかい事項については、さらにまた各省別の場合にお伺いをいたします。厳重に忠告をいたしておきます。
  76. 相澤重明

    ○相澤重明君 官房長官の出席を求めたのは、官房長官は、きょう参議院で決算委員会があるというのはいつ聞いたか。
  77. 黒金泰美

    政府委員(黒金泰美君) 昨日聞いておりました。
  78. 相澤重明

    ○相澤重明君 昨日聞いたなんということは、それはほんとうか。これは少なくとも本院としては、衆議院の予算審議に歩調を合わして、できるだけ総理大臣を初め各大臣が衆議院の予算審議に応じられるように考えて、今月に入る前にも、このことは決算委員会として打ち合わせをして、各大臣に十分そのほうでは心配のないように、そしてしかも、二月十四、十五日は衆議院の公聴会であるから、したがって、この時期に参議院の、本院のいわゆる予算審議もあわせて行なう。したがって、その前後に総理を初め各大臣が出席できる日に、三十六年度決算の総括を行なう、こういうことで政府に連絡をとっておいたはずなんです。きょうの大臣の出席は、幾人来た。こういうことからいって、これは連絡をとる官房長官が職務怠慢だ。一体何のためにきょう総理を初め関係大臣が出られなかったか。その出られなかった理由を述べてもらいたい。
  79. 黒金泰美

    政府委員(黒金泰美君) 今御注意にあづかって非常に恐縮に存じますが、私自身も、実は二時まで衆議院の予算の一般質問へ出ていたのです。そこには大蔵、外務、厚生、労働、科学技術庁、郵政、まだほかにもおったかもしれませんが、そういったような大臣方がかなり御出席になっておりました。そういったいろんな関係でもってこちらに出席した者が少なかったことは、まことに恐縮に存ずる次第でございます。予算とのかね合いがございましたりいたしまして、出席できませんでしたことを恐縮に存ずる次第でございます。
  80. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の官房長官の答弁だけでは、参議院を軽視しておるという何ものでもない。それは、軽視しておるということ以外には答弁の理由はない。少なくとも本院では、総理大臣初め各関係省庁の長官、大臣は出席をして、自分たちが予算を執行したことを国民の前に明らかにする重大な決算委員会で、きょうは報告をする日なんだ。報告をして、その総括質疑を受ける日だ。それが二人や三人の大臣が出席をしておって、そして今の衆議院の予算に出ておりました、というようなことでは、理由にならない。やはりわれわれとしては、両院があるから、しかも、衆議院の予算先議権というものを認めておるから、衆議院の予算審議に支障のないようにということで、本院はこれを延ばしておった。本来一月末にやろうとか、二月初め早々にやろうという意見はあった。少なくとも昨年十二月に国会報告されておるんだから、したがって、われわれは、早くやるという考えでおったんだけれども、そういう国会の両院の立場というものを参議院としては十分尊重して、そして今日に実は延ばしておった。きょうは、今の官房長官の話だけでは、総理大臣の不出席も、一体何で出ないのか理由にならない。きょうは、本院では本会議が行なわれておったし、当然関係大臣は出席のできるはずである。したがって、私は、本日の昭和三十六年度決算報告を、田中大蔵大臣から一般報告を受けたわけでありますが、少なくとも総理に対する質問というものは、まず最初に行なわなきゃならぬ。それから、いわゆる大蔵大臣を中心に各省の問題に入る。これは本院の従来の慣行なんです。その慣行を破ったものは、少なくとも、今日連絡をとるところの官房長官が、先ほどまで知らなかったというようなずうずうしい答弁があるようなことで、どうして参議院を重視するということが言えるかと私は思う。したがって、私は、官房長官に次のよう要求する。本日各大臣の出席できなかった理由を、書面で当決算委員会に出してもらいたい。田中大蔵大臣や志賀防衛庁長官、綾部運輸大臣は出席をしておりますから、これはよろしい。たいへんまじめでよろしい。他の大臣はけしからぬ。そういうことになるから、いわゆる両院、特に参議院を軽視はしないということは、従来池田総理大臣が言っておったけれども、いわゆる参議院を尊重しておるということの証明にならない。そこで官房長官に、書面で各大臣のきょうの出席のできなかった理由を付して、次の委員会に提出をしてもらいたい。  それから、いま一つは、官房長官は閣内の取りまとめ役なんであるから、閣議のあるときとか、あるいは各常任委員会なりの連絡をとれないときは、どうするのか。一体あなたはふだんどういうふうに連絡をしておのか。そのことをいま少しく説明をしてもらわぬことには、なかなかこれは了承できない。いま一度答弁してもらいたい。
  81. 黒金泰美

    政府委員(黒金泰美君) 総理の出席の件につきましては、実は私どももよく承知しておったのでございます。ただ、御承知のとおりに、予算委員会その他ございまして、国会の仕事が非常にたまっておりましたと同時に、その間に渉外事務もいろいろあと回し、あと回しになっておりました。実は、渉外関係のことできようの午後だいぶ前から約束をとっておって、まことに恐縮な次第でありますが、出席できなかったようなわけであります。今お話しございましたが、各方面と御連絡をとりながら一生懸命やっておるつもりでございますが、なかなか行き届きませんで、はなはだ恐縮に存じます。今後ともに連絡は十分に気をつけまして、特に参議院軽視と言われるようなそしりを受けないように、今後ともに一そう注意をして参りたいと考えておりますので、御了承を願いたいと思います。
  82. 相澤重明

    ○相澤重明君 官房長官の連絡上の問題がどういうふうになっておったかということについては、今の説明だけではなかなか私は了解しません。そこで、前にも当委員会に、これは四年ほど前に防衛庁長官が、ビルマの陸軍の関係でしたか、大臣が来たときに横須賀の防衛大学に行きましたので、当委員会に欠席をしたことがある。このことで当委員会では、けしからぬということで審議をしないということが、当時与野党でこれは参議院の決算委員会で全会一致で警告を発したことがあるので、志賀防衛庁長官はその点非常に出席がよいので、そういうことにはならぬが、とにかく衆参両院があってそれぞれ確かに大臣がひまなはずはない、忙しいのはあたりまえ、しかし、国会は何よりも優先をする。国の最高機関である国会において、少なくとも大臣は出席の義務がある。こういうことからいけば、今のいわゆる官房長官の答弁だけではこれは了承できない。そこで、あとで総理大臣に出席をしてもらって、その点は、私どもは総理大臣自身から聞くことにしたいと思うが、そういうことが、そもそもこの決算報告の中に現われてくる不正、不当事件、あるいは件数が毎年減っていくのが当然なのにふえていく、こういうことになる。いわゆる施政の問題になる。池田内閣の施政の問題になる。こういうことで、私どもとしては非常に重視をするわけです。私は何も衆議院をうらんでとやかく言っておるのではない。参議院として、いわゆる両院のあることを認めつつ、参議院は参議院としての審議政府は卒直に応じてもらわなければならぬ、こういうことを私どもは取り上げておるわけです。これがもう一年や二年の話ではない。いつでも、毎年この参議院の決算委員会を開くたんびに、それは政府に言われておる。こういうことからいって、先ほど申し上げたことをぜひ官房長官は、こういう強い意見が決算委員会からあったということで閣議にあなたは発言をして、各大臣に言ってもらいたい。その結果、各大臣の出席率いかんによって、これは内容審議するよりは、まず大臣の勤務評定をしなければならぬ。そこからまず審議しないとこれは始まらない。そういうふうに、いわゆる会計検査院がこれだけまとめて本院に、あるいは政府報告をされておるのに、その内容も、もう使ったことだから、おれたちは出なくてもかわりの次官を出しておればよろしい、はなはだしいのは、ちょっと忙しいからひとつ関係の局長や部長に出ていてくれ、——何が局長が責任を持てるか。こういう点を私どもとしては非常に重視をするわけです。そういう点できょうの私はあとで質問に入りたくも実は入れない。そういうところが胸につかえて入れない。参議院を軽視されて黙っておられるか、こういうことになる。そこで、そういう池田総理大臣の出席をいつできるか、あとで委員長のほうに報告をしてもらいたい。それで、その出席できるときに、われわれはこういう問題について十分審議をして、それからこの総括質疑に入っていく。こういうことでなければ決算委員会の使命なんというものは、そういういわゆる私どもが三十五年度決算の中で審査して報告の中に言っておるように、本来これはただ単に報告でなく議案として取り扱うべき大事なことである。そこまで言っておるにもかかわらず、現実には政府がそれを実行しない。大臣さえ出席しない、こういうことであっては、予算に幾ら血道を上げてみても、国民の血税がどう使われておるかという親切な答えにならぬ。こういう面で私は特に官房長官に警告を発しておきたい。  以上で私はきょうは質問をしませんが、どうかひとつ関係の大臣に本院の意思というものを伝えて、自後そういうことのないように取り運んでいただきたい。以上を、これは委員長にも、また与党の理事の諸君にもお願いしておきます。  以上で終わります。
  83. 大森創造

    大森創造君 総括質疑ということで、私が冒頭に質問を始めたのでございますが、大蔵大臣が中座をされるし、肝心の総理大臣もおられないし、大体私の質問は相互連関性があるので部分的にちょっぴりちょっぴりやったんでは、何だかわからないのでありますが、今、相澤委員からお話のありましたとおり、これはひとつまじめに考えてもらいたいと思うのです。官房長官、ひとつよろしゅうございますか。そういうことは冒頭に私が申し上げたのだ。超党的でこの決算委員会はひとつやろうじゃないか、予算の使い方の問題だから、これはしっかり押えないと困るということで、今お話のありましたように、単なる報告でなしに議案にしようという意見が出ております。過般の本会議でも鈴木委員長からそういう話があった。これを見てみますというと——もう一回繰り返しますが、何ぼ演説をやったって始まらない、委員会のほうで馬耳東風では。大臣の出席というのは、私は官房長官の言いわけを聞くというと……、都合のない人はない。私も決算委員会に出ないと、よそのほうでも出る用事が二つ三つあるのだ。きょう御在席の委員だってあるだろう。これは心がまえの問題だと思う、三十六年度の総括質疑をやる日なんですからね、政府の。しかも、その内容たるや、前段申し上げるとおり、ことしは去年の倍増ですからね、指摘件数が倍以上、五百七十九件。一方、人づくりだとかなんとか池田内閣で言うておって、今度は、これを出すというと、去年の倍ですよ。金額において何ぼかというと、十八億八千五百万円、去年度の八億七百万円に比べると、圧倒的にこれはふえているわけですね。そういうときの第一日目の総括質疑において、今のようなことでは、非常に困ると思うので、ひとつこれは官房長官、くれぐれもよろしくお願いしたいと思う。考え方の問題ですよ、大臣が出られないとか、あっちへ行くとか、こっちへ行くとかいうことは。がっちりひとつこの委員会のほうに御出席をお願いしておきます。予算の裏ですよ、裏のほうが大事ですから。そこで、そのことを警告して、内容に入っていきますが、何しろ、しり切れトンボにならざるを得ませんからごかんべん願いたいと思います。  沖繩援助の問題について、ひとつ関係の方に御質問いたします。沖繩援助の総額は何ぼになりますか。答弁はどなたですか。
  84. 飯塚定輔

    政府委員(飯塚定輔君) ちょっと委員にお伺いいたしますが、日本の援助でございますか、アメリカの……。
  85. 大森創造

    大森創造君 日本の援助です。
  86. 飯塚定輔

    政府委員(飯塚定輔君) 日本の援助は、三十八年度は十八億になって、去年の大体二倍になっております。
  87. 大森創造

    大森創造君 この援助金の問題について、問題になるところはいろいろあると思いますが、アメリカの施政権との関係、これはどういうことになっておりますか。
  88. 飯塚定輔

    政府委員(飯塚定輔君) その問題につきましては、担当の課長が参っておりまするから、担当課長からお答えさせていただきます。
  89. 大森創造

    大森創造君 こんなことがわからないということはおかしい、沖繩援助のことについて質問すると言っていたのだ。
  90. 番徹夫

    説明員(番徹夫君) 沖繩の援助に関しましては、アメリカ側と毎年協議いたしております。その協議に従って援助を供与いたしております。
  91. 大森創造

    大森創造君 そういうことでいいですかな。あとで私が、今から申し上げますが、アメリカは、日本の法律が沖繩に適用されるのは、アメリカの施政権が侵害されるとして厳に拒否している事実があるでしょう。何でしょうか。
  92. 番徹夫

    説明員(番徹夫君) 平和条約によりまして、アメリカ政府は施政権を沖繩に対して行使する権利を保有いたしておるのでございます。したがいまして、日本の法律は当然には沖繩のほうに適用されないのでございます。したがいまして、沖繩に援助を供与する場合には、アメリカ側と協議いたしまして、その協議に基づきまして援助を供与することになっております。したがいまして昨年度の援助は、アメリカ側との協議によって約十億円を供与いたしております。それから今年度、三十八年度予算につきましては、約十八億円の援助を供与する、そういう了解に達しております。
  93. 大森創造

    大森創造君 これは、今の答弁ですね、三十七年度の援助額というものは十億円ですか。
  94. 番徹夫

    説明員(番徹夫君) 約十億円でございます。
  95. 大森創造

    大森創造君 それが沖繩のほうに交付された金額ですか。
  96. 番徹夫

    説明員(番徹夫君) これは、約十億円の中には、純然たる沖繩に対する援助と、それから行政費が含まれているのでございますが、沖繩に供与された援助額は約七億円程度だと了解しております。
  97. 大森創造

    大森創造君 三十八年度はどういうことになりますか。
  98. 番徹夫

    説明員(番徹夫君) 三十八年度の琉球政府に対する予算の供与額は約十八億円程度でございますが、これに行政費を加えまして大体十九億円と了解いたしております。この点につきましては、総理府の特連局のほうが主管であると考えますので、総理府のほうから答弁させていただきたいと思います。
  99. 大森創造

    大森創造君 その主管のほうから詳しいところを答弁して下さい。今のは間違いでしょう。
  100. 大竹民陟

    政府委員(大竹民陟君) 三十七年度の沖繩関係予算が大体十億四千万円でございまして、そのうち、日本政府が直接に私どもの手を通じて支出しております金額でございます。たとえば、国内のいろいろの技術者を沖繩に送り込む旅費でございますとか、あるいは沖繩のいろいろの技術者を本土に呼びまして研修させるための旅費でございますとか、こういうものは琉球政府に渡さずに、日本政府直接が支払っているわけでございます。そういう費用を除きますと、沖繩の琉球政府に渡す分、これは十億四千万円のうちの約七億二千万円程度になっております。  それから三十八年度予算につきましては、ただいま御審議をお願いしているわけでございますが、総額が約十九億九千万円ほどになっていると思います。そのうち、沖繩の琉球政府に直接渡そうというふうに考えております分が、約十三億円程度になると、こういうふうに了解しております。
  101. 大森創造

    大森創造君 だいぶ違うですね、さっきの答弁とは。金額が相当違うですね。どうも当てにならないことをその場限りで言う傾向がありますから、本委員会決算委員会ですから、金額のことはちゃんちゃんとそろばんをはじかないと困ります。五十円、八十円違うならいいけれども、何億——十億のうちで三億も違っている。(「今のどっちがほんとうか」と呼ぶ者あり)こっちがほんとうだ。自信のないことを言いなさんなよ。  そこでお伺いしますが、義務教育教科書の無償配付について、これは日本でも問題なんだけれども、沖繩についてはどういうことになるか。
  102. 番徹夫

    説明員(番徹夫君) 教科書の問題につきましては、三十七年度予算におきましては、米側とも折衝していたのですが、その経過におきまして、アメリカ側は、三十八年度四月一日から沖繩におきましては、小学校一年生から六年生まで無償で教科書を配付をいたしたいと、こういう希望を伝えて参りました。このような次第でございましたので、これは、主管の官庁であります総理府特連局とよく協議をいたしました結果、目下政府で、この予算的な措置につきましてどういうような措置をとるかということについて検討中でございますが、その具体的な内容につきましては、特連局のほうから説明させていただきたいと思います。
  103. 大竹民陟

    政府委員(大竹民陟君) 政府側といたしましては、昭和三十九年の四月の新学期から、御案内のように、国内におきましても、一年から三年までの児童に教科書を無償配付する、こういうことでございまして、できれば沖繩にも同じことをやりたい、そのためには、政府としても援助を与えたいということをアメリカ側にも話してあったわけでございます。今日アメリカから言って参りましたのは、ことしの四月から沖繩では、一年から六年までの児童全員に対して無償配付の措置をしたい、財源といたしましては、三十万ドル程度必要でございますが、そのうち三分の一に当たります十万ドル、三千六百万円でございますが、できれば日本政府にそれを援助してもらいたいという申し込みを受けておるわけでございます。これらの取り扱いにつきましては、本土におきましては、ことしの四月からは一年生だけでございますが、来年は一年から三年まででございます。若干沖繩と取り扱いが違う点などもございますので、そういう点も含めまして関係省の間で、これに対しますことを現在検討しておるという段階でございます。
  104. 大森創造

    大森創造君 そうしますというと、まだ固まってないけれども、日本政府としては、日本の内地でやることをひとつ沖繩にもやってやろう。やってやる余裕があるということであるにかかわらず、アメリカのほうが施政権の問題があって待ったをかけて、そうしてアメリカ自身でやるが、それについてひとつその三分の一を日本で出してくれぬか、こういうことになるのですね。
  105. 大竹民陟

    政府委員(大竹民陟君) こちらから援助を申し出ておりましたのは、内地と同様な進み工合ということで申しておったわけでございますが、向こうでもこれを検討いたしまして、義務教育の児童全員に無償で教科書をやるということは非常にいい政策だと、したがって、すぐにでもこれを実行したらどうか、こういう話になったというふうに聞いております。
  106. 大森創造

    大森創造君 そうするというと、その日本政府が沖繩に日本並みにやってやるという問題はけられて——いいですか、けられて、アメリカの施政権内においてアメリカがやるから、それに対してひとつ日本政府は若干の補助をしろ、こういう話でアメリカのほうはきているということになりますね。
  107. 大竹民陟

    政府委員(大竹民陟君) 見方によりますと、けったということになるかとも思いますが、沖繩自身におきましても、教科書を無償で出したいということは、従来やはり論議されておりました問題でございまして、必ずしも新しくこの際アメリカがこういうふうに決定したといういきさつだけではないわけでございます。従来長い間、住民の間で検討されておりましたものが、今回日本政府のそういう申し出を契機といたしまして、ただいま申しましたような結果に落ちついた、こういうふうに考えております。
  108. 大森創造

    大森創造君 そうしますというと、内地でやるのだから内地並みに沖繩でも日本政府の手でやってやろうという申し出に対して、事実はそうではなくて、施政権の関係があるから、いや、沖繩自体で、アメリカ側がやるのだ、それについてひとつ補助をしてくれと、こういう形式に変わったのでしょう。
  109. 大竹民陟

    政府委員(大竹民陟君) アメリカ側と申しますか、琉球政府というのがございまして、アメリカの監督は受けておりますが、これもやはり三権分立の組織になっておりまして、政府が発案をいたしまして、沖繩の立法院が議決すると、こういうことになるわけで、やはり住民の意思、また、アメリカ側もそれに賛成をしておるということであると思います。
  110. 池田清志

    政府委員池田清志君) お尋ねのないのに発言を許されましたが、沖繩は、御承知のように、わが国の領土であり、潜在主権があり、なお国民は日本人であることは、もう御案内のとおりであります。ところが、残念なことに、平和条約によりまして、施政権をアメリカ側が持っておりますので、現在のところ沖繩の施政の主体は、何と申しましても、アメリカであるわけです。わが国といたしましては、琉球国民の方々に、それぞれ日本の貴重なお金を出しまして、補助とか援護とか、いろいろやりたいということがありますが、遺憾ながらわが国の法律が直ちに適用されませんのです。恩給等におきましては、直接やっているのもあるのでありますが、いろいろと沖繩政府を初め、アメリカともよく相談をいたしまして、毎年々々わが国の出費をアメリカに対してよけいいたすようにいたしております。三十六年度におきましては約五億四千万、三十七年度におきましては約十億、そうしてまた御審議中の三十八年度におきましては約二十億というものを持ち出して沖繩の国民を救いたいという熱意であるのであります。今お尋ねの教科書の主体がどちらになったかということは、われわれとしてはまことに残念に思いますけれども、現在の施政権の関係上、わが国といたしましては、向こうと相談をいたしましてやらざるを得ない次第でございます。
  111. 大森創造

    大森創造君 その点は了解いたしますが、その点については、またあとから触れます。  そこでもう一つの問題は、沖繩自体の受け入れ態勢の問題があるだろうと思うのです。琉球政府自体の行政能力、予算消化能力に問題があるということは、これは天下周知の事実だろうと思う。このことは、アメリカの民政官すら琉球政府に警告して遺憾の意を表している。日本政府の三十七年度の沖繩援助金ですね、先ほど言われました金額、これも年度末近くになってまだ実際に供与できる運びに至っていない。現在の国会審議中の今年度補正予算の中で、来年度に繰り越しができるように明許繰り越しにするという異例の扱いをせられた、こういう事情であります。援助金というのは、もちろん必要だと思うけれども、援助の目的を達しなければ何にも役に立たない。そこで、この消化能力ということと、そのために年度内使用されないということ、この際決算委員会として問題にしたいのは、この施政権の問題とからんで今のような援助額が、日本の会計検査院の手が及ばないという事情があるだろうと思う。これは決算委員会としては看過し得ない重大問題である。国民の血税ですから、それが相当高く沖繩に行っていて、そうしてこれが会計検査院の目をのがれるということになることは重大問題だと思うので、この点については、会計検査院のほうでは、どういうふうにお考えでございますか。
  112. 芥川治

    会計検査院長(芥川治君) 会計検査院といたしましては、絶えず政府と連絡をとり、政府のほうで関係の向きと話がついて検査ができるという段階になりましたら、直ちに出向くべく予算等を計上して準備いたしております。
  113. 大森創造

    大森創造君 検査院のほうは、予算等を準備して、いつでも出動して、国民の血税だから、その効率的な運用について検査をする体制にあるということでございますが、実際は、これは会計検査は行なわれていないということになりますね。これは政府側、大蔵省のほうで答弁して下さい。
  114. 大竹民陟

    政府委員(大竹民陟君) 検査の問題を含めまして、三十七年度予算がこの際大幅に繰り越し明許をお願いを申し上げておるこの事情を一応御説明申し上げておきたいと思います。  昭和三十六年度までの沖繩援助費、これは非常に小さかったわけでございますが、額も大体小さかったわけでございますが、その使い方が、先ほど申しましたように、大体日本政府が直接金を支払うという方法でやっておりました。たとえば、先ほど申しましたように、派遣する技術者に対して旅費を支払ったり、物を買って与えるというようなやり方でございまして、したがいまして、その意味では会計検査院の検査を残らず受けておったわけでございます。昭和三十六年になりましてから、日本政府が直接支払うような形の援助だけではなかなか意が達しないということで、今後は琉球政府に金を渡しまして、琉球政府に仕事をやってもらおうということで予算を組んだわけでございます。今度繰り越し明許をお願いしております分は、実は琉球政府に金で渡して向こうでもって仕事をやってもらおうという部分の問題でございます。三十六年度まではそういう経費がなかったわけでございまして、したがいまして、琉球政府にそういう形で金を渡すということになりますと、いろいろな約束ごとをしなければならぬわけであります。たとえば、金はいつ渡すか、あるいは円で渡すかドルで渡すか、あるいは琉球政府から申請書を出させるか出させないかというような、いろいろな手続上の新しい問題が関連して参ったわけでございます。これらの問題を慎重に検討しておったわけでございます。アメリカあるいは沖繩側も、初めてのことであるから、ゆるがせにせずに、なるべくしっかりしたものを作っていきたいという希望でございまして、私どももたくさんの税金を沖繩に流すわけでございますから、日本からいきました仕事が間違いなくできる、また、あとで会計検査をやります場合にも、確かにこの金はこういうふうに使われているということがわかるような仕組みで金を流したいということで、相互に検討をいたしておったわけでございます。もちろん会計検査の問題も、こちらとしてはやらなければ困るということで話をしておったわけでございます。こういう話し合いに相当実は遺憾ながら長期間を要しまして、昨年の十二月の初めになりまして、やっと話し合いがついたという形でございます。そのために、実は三十七年度予算の執行が延び延びになってしまったということでございまして、一つのモデルができましたので、三十八年度以降の援助費につきましては、およそ円滑にいくだろうというふうに私ども期待を持っておるわけでございます。したがいまして、先ほどおっしゃいました琉球政府予算の消化能力、これも問題かもしれませんが、今回は必ずしも琉球政府予算の執行能力ということに関連して予算がずれてきたということではないという事情を申し上げたいと思います。
  115. 大森創造

    大森創造君 今の御答弁によると、これはまあ昭和三十六年度決算審査ばかりでなくて、沖繩との関係がある以上、今後ずっとこれはこういう事態になりますから、それで何ですか、今モデル的なものが、何かできたということですが、会計検査の方法についてそういう話ができたのですか。
  116. 大竹民陟

    政府委員(大竹民陟君) 政府予算に沖繩援助費がありまして、そのうちの一部を沖繩琉球政府に流すわけでございますが、どういう点をきめましたかと申しますと、たとえばこの金を流します場合に、ドルでやるか円でやるか、どこに払い込むか、あるいは琉球政府は事業計画をあらかじめ立てて、日本政府の同意を得てから仕事をしてもらいたい。あるいは金を払う時期にいたしましても、日本国内と同様に、原則として精算払いで、しかし場合によると概算払いもできる。あるいは事業に着手した後に進行状況を報告してもらいたいということ。あるいは技術者をこちらから派遣して助力もいたしましょう。仕事は完了した後には報告書をもらいたい。それから日本の会計検査もできるというふうな、そういう点につきましてのお互いの約束をきめておったわけでございます。
  117. 大森創造

    大森創造君 今のことは、いわゆる国内で行なわれる会計検査の方法とは違うのでしょう。
  118. 大竹民陟

    政府委員(大竹民陟君) 先ほど来お話がございますように、日本の国内法が当然に琉球に施行されておるというわけにいかないわけでございます。したがいまして、申しましたのは、日本の会計検査院の職員を派遣して、日本の援助事業の結果を検査をすることができると、そこをアメリカ側あるいは沖繩側にのみ込んでもらったわけでございますが、しかし、たとえば日本の国内の場合でありますと、会計検査院がいろいろ不法不当な処置なんかがございました場合、国内の公務員に対して処置をいたしますとか、あるいは各省に対していろいろな警告をお出しになりますとか、こういう処置が伴ってくるわけでございます。それと同じことを琉球政府に対してやるというわけにはこれはやはり参らない。ただしかし、検査をいたしてみまして、こちらからやった援助の目的に違って使用されたというふうな場合には、たとえば是正の措置を要求する、あるいは場合によっては、そのお金を返してもらうというふうなことも、お互いに話し合っているわけでございます。
  119. 大森創造

    大森創造君 これは、そういう説明でありますけれども、日本の予算の使い方の上において、これは会計検査院のほうは、大蔵省のほうにちゃんと報告せなければならぬという規定がございます。この例外ですね、ただ一つの。在外公館も全部やっているのだから、もっぱらアメリカの関係があって、日本の金が使われるのに、いわゆる会計検査院の正規の会計検査が行なわれていないという唯一の例外の場所ですね。会計検査院長、こんなところはほかにないでしょう。
  120. 芥川治

    会計検査院長(芥川治君) ただいま大森委員の言われたとおり、唯一の例外であります。
  121. 大森創造

    大森創造君 そこで、これはどうですか、従来、今のようなことならばいいけれども、これは簡単な話だろうと思うのだが、渡航が認められておるのだし、何千人かの人が会計検査院にいるのだから、沖繩へ行って検査をするということは、実際必要だろうと思います。そういう会計検査院の人を派遣をして、こっちは必要経費を計上して待機の姿勢でいる。これは担当のあなたのほうでもって、いわゆる国内で行なわれる会計検査と同じようなことを国外においてもやるのだ、例外的に。施政権の侵害にならないだろう、この程度のことは。こっちが金をやってこっちが検査をするのだから、こういうようなことを了解させるようなことを、アメリカ側に話しましたことがありますか。
  122. 大竹民陟

    政府委員(大竹民陟君) ただいま申しましたように、日本の会計検査そのままの効力ということはむずかしいと思いますが、会計検査院から行ってもらって会計検査をするという点につきましては、向こうの了解を得たわけでございます。
  123. 大森創造

    大森創造君 これは会計検査院から行って検査をすることは了解を得たのですか。それでは、さっき話したこととちょっと違うのじゃないですか。それでは内地並みの会計検査をするということですか、そうでないのですか。
  124. 大竹民陟

    政府委員(大竹民陟君) 内地並みの会計検査をしてもらうつもりでおりますけれども、ただ、私が先ほど申しましたのは、内地の場合でございますと、たとえば不正な事実があるときには、関係の公務員が処罰されるということになると思いますが、沖繩の公務員をそれに基づいて処罰するということは、日本の国内法ではできない、こういうことでございます。
  125. 大森創造

    大森創造君 くどいようですが、もう一点だけお伺いしますが、そうすると、会計検査報告には、これは載りませんね、来年から以降は。会計検査院からひとつ……。
  126. 芥川治

    会計検査院長(芥川治君) 政府関係の検査の実態につきましては、まだ私どもよく承知いたしておりませんが、予算も約三十万円計上し、必要があればできるだけ——大体まず一回行ってみればいいと思うのでありますが、計画を一応立てて、そうして政府部内の話がついたならば、直ちに現地に、つまり、先ほど申しましたように、私どもの書面検査と実地検査とあるわけですが、いよいよ三十七年度に入りますと、沖繩に行かなければ会計検査ができないという状態に入って参りますので、私どもとしましては、ただいま申し上げましたような準備態勢を整えておるわけであります。できるだけ内地並みにやることを私どもは希望いたしておりますが、いろいろな制約があることは、これはやむを得ないと考えております。したがって、検査いたしました点につきましては、決算検査報告に掲記をいたす考えでございます。
  127. 大森創造

    大森創造君 次の問題に移りますが、教科書のお話が出ましたが、この教科書の問題はどういうことになっておりますか。
  128. 池田清志

    政府委員池田清志君) 国連局長からお答えいたします。
  129. 大森創造

    大森創造君 いや、これは沖繩でなくて、内地の問題ですよ、だれかおりますか。
  130. 池田清志

    政府委員池田清志君) 内地でございましたら、文部省が担当でございます。
  131. 大森創造

    大森創造君 誰もいませんか。——それでは能率的にやります。次に移ります。
  132. 池田清志

    政府委員池田清志君) 総括を申し上げます。教科書の無償配付と申しましょうか、贈与と申しましょうか、すでに国会の御承認を得ました予算の中に七億円というものがございます。したがいまして、それは本年の四月一日から一年生に上がってこられまする児童全員に対しまして無償でお渡しをする、こういうことになっておる次第でございます。なお細部にわたりましては、文部省からお答えいたします。
  133. 大森創造

    大森創造君 お答えになったついでにひとつもう少し聞きますが、そうしますと、三十九年度はどうなったかおわかりですか。これはわからないですか。
  134. 池田清志

    政府委員池田清志君) 三十九年度はまだ今のところ……。三十八年度予算にございます。三十九年度の四月一日に入りまする一年生から三年生までを対象といたしまして無償でお渡しをする、こういう予算の要求をしておりまして、ただいま国会で御審議をいただいております。
  135. 大森創造

    大森創造君 そうすると、四十年度以降の分については、地方で分担をするということが本ぎまりになっているのですか。
  136. 池田清志

    政府委員池田清志君) 私の私見にわたりますが、憲法にもありまするように、義務教育は無償であるとありまするところからいたしましても、義務教育に在学しておられまする方々には、国の手で少なくとも教科書くらいは無償でやりたいという気持で私はおります。御承知のように、法制として発足して参りましたのは、ことしの四月一日からであり、三十九年度の四月一日からのことも先ほど来申し上げましたが、そういう態勢をずっと進めていきまして、四十年度におきましては、もっと高学年まで無償でお渡ししたい、こう私は考えます。
  137. 大森創造

    大森創造君 これはまあ最終決定でないから、私も、政務次官がその問題については私見ということでございますから、当委員会でもって後日あらためてこの問題については聞くことにして留保いたします。  もう一つ別な、今度はミルクの給食の問題を伺いますが、これは四十億ということを突如出して参りました。脱脂粉乳をやるということなんです。どうして内地産の牛乳をやらないのですか。これは学校の生徒に聞いたら、牛乳というものはこんなまずいものかということを言っていますよ。脱脂粉乳だと、牛乳を選択的拡大で、あとで御質問いたしますが、牛乳を伸ばそうというときに、牛乳というのはこんなまずいものかということを小学校一年に入ったときから、かような牛乳はまずいという気持を与える。しかも、消費を拡大しようというときに、一番消費の手始めの学校給食にわざわざ脱脂粉乳をやるというのは、よほどの事情がなければ私はやってはいかぬと思うのです。牛乳というものは、おいしいものだし、それから栄養になるものであるから、これはどんどん消費を拡大する施策からすると、将来のことを考えない、施策だと思うのです。よほどの犠牲を忍んでも内地の消費拡大生産拡大という面から、脱脂粉乳でなくして内地産の牛乳をやるべきだと思う。ことに施設や設備がなければ、これはとても飲めるものじゃないということでありますが、これはどうして脱脂粉乳ということにきめましたか、四十億の予算を計上して。私は、若干利用してもいいが、内地産の牛乳、このほうにやるべきだと思うのですが、どういうわけでこういう措置をとりましたか。
  138. 池田清志

    政府委員池田清志君) 給食を普及することは、なかなか大事なことでございまして、今までもやっておりますが、それでも不徹底でございますから、年々歳々国会のお許しを得て拡大強化いたしております。その内容につきましては、文部省側からお答え申しますし、給食の源材料の物資については、農林省当局からお答えしていただきます。
  139. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 ちょっと関連。大蔵政務次官にお伺いしますけれども、給食の問題について、文部当局と農林当局のほうからこれは答弁すべきだという政務次官のお答えなんでございますけれども、私どもが何か必要なことについて、このくらいの予算をどうしても組んでもらいたいというようなことを、大蔵当局に予算編成期に折衝のときには、大蔵当局は実にそれぞれの担当の方が事こまかに御研究になっていらっしゃって、これこれこういうわけでこれだけしか予算が組めないということは、微細にわたって御承知なんです。ですから、今の脱脂粉乳でいいというそういう結論に出た道筋については、やはり大蔵当局からも御答弁の材料を持っているはずであります。その四十億の金額の根拠というものは、大蔵当局がおきめになったのですから、それについてやっぱり御説明があるべきだと思います。
  140. 池田清志

    政府委員池田清志君) 予算編成の筋道まで入って参らなければなりませんが、この給食の問題につきましては、文部省、農林省、その関係両省の要求に基づきまして大蔵省と相談をいたしまして、四十億円ということをきめて、皆さんの御審議をいただいているわけでございます。私個人のことを申しちゃ申しわけございませんが、数日前任命を受けましてここにまかり出ておりますので、お答えが間違ってはいけませんので、文部省あるいは農林省の詳しい当局からお答えを申し上げます、こう申し上げておるのであります。
  141. 大森創造

    大森創造君 どうも質問がしり切れトンボになりまして恐縮でございますが、総理、大蔵大臣その他関係の大臣に対し、もう少しまとまった質問を申し上げるつもりでございましたけれども、そういうふうにいきませんので、あとの機会に譲りたいと思います。
  142. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 残余の質疑は後日に譲り、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十七分散会