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曾祢益君 私も、同僚羽生
委員も同じ御
意見だと思いますけれ
ども、豪州人の、オーストラリア人のいわゆる白豪主義というような事実も知っておりますし、私
自身が、
日本の貴重なる
労働力をそう外にむだに出すなというような論者なくらいですから、そう変な古くさい夢を持っているのじゃなくて、ただ、カナダだって永住ばかり
考える必要はないので、企業進出もあろうし、ただ、従来何かこう戦後の、
日本人はどうしてああいう狭い
土地で食っていくのだろうというようなところから
移住協定ができて、非常にその点明るい、何らかのうっせきの
はけ口、もっと露骨に言えば、その時分はやはり
過剰労働力の
はけ口と
考えたのだろうと思いますね。ところが、これからよく
考えなければならないのは、
日本の優秀な
国民を
向こうに送り出すのには、よほど、多少恩に着せるくらいな気持で、また、それだけ
向こうが恩に着るような支度を整えて送り出すべきじゃないか、これは。そういう
意味からいうと、それは
ブラジルに行くのはこれは自然であって、だけれ
ども、
ボリビア、
パラグァイ等に送るのに、何でもいいから手伝いによこしてくれというような
考えでもし
移住協定が作られているとするなら、これは
向こうにも
考え方があるだろうし、こっちもわれわれの
協力、したがって
移民の送出についてもう少し自信を持って、いい
意味で高売りをする。特に
向こうが喜ぶように、また喜ばすような、こっちが恩に着せて、貴重なあれをむだに送り出すのじゃないのだと、その
意味で
向こうにも条件を整えさせるように要求をする。そのかわりこっちもきれいな気持で
向こうの
経済協力に寄与する、そういう
考え方が必要なんじゃないか、こう思って申し上げたわけなんです。
そろそろ集約したいと思うのですけれ
ども、最後に、事業団のことに関連して伺いたいのですが、先ほ
ども、今後の
移住事業を進めるにあたって国際
協力の
一つの機運があると、これは非常にけっこうなんですが、ただわれわれが、私
自身が少なくともちょっとその点心配なのは、大体この
移住振興会社を作るときは少しまあ鳴りもの入りで、吉田さんが一千五百万ドルの借款を取ってきた。そこで
移住振興会社を作って、これからもかなりそういった面が明るくなるのじゃないかというようなことでやってみたわけですが、
現実にはたいした借款ができなかった。それのみならず、こっちの事業も
失敗したとか、為替差損の問題もあったでしょう。そのなぜ
失敗したかは別として、当初の
移住振興会社を作ったときの背景というものは、必ずしも期待どおりでなかったわけですね。ところが今度は、それは事業団というものになるわけですよ。
一種の公団的な
——公団よりもさらに
移住のあっせんという
意味で、幾ら実務機関だ、サービス機関だと言ったって、やはりほとんど
政府の仕事だということは、内外ともに隠すべからざる事実です。何も私はそれ
自身が悪いと言うのじゃない。それ以外に、今までの会社よりも、さらに
日本政府機関的なものにしておいて、
他方においては、かなりむずかしいと思われる国際的な公的、私的の外国の資本というものを今度の事業団のほうに相当投入できるというようなことはあまり大きく言えるのかどうか。やはり羊頭狗肉に終わりやしないか。終わってほしいのじゃありませんけれ
ども、そういう懸念を持つのであります。その点どうですか。