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国務大臣(
大平正芳君)
経済協力の
規模という問題でございますが、御
承知のように、現在は
輸銀、
経済協力基金等に
政府資金を出しまして、それに
市中銀行のタイ・アップを部分的にもらってやっておるわけでございますが、御
案内のように、
日本は
高金利国でございまして、しかも、
市中金融の助力を得るということになりますと、なお
高金利になることは御
承知のとおりでございます。いわゆるコマーシャル・ベースの
輸出金融等につきましては、どうにかまかないがつくのでございますけれ
ども、
経済協力という名においてやる場合には
相当弾力的な
措置を講じなければならん。そうなれば、
資金コストの安い
円資金というものを
相当豊かに
政府が確保しなければならんわけでございます。遠い将来はいざ知らず、現在の
状態におきましてはそうでございます。八年
たち、十年
たち、二十年たった暁を見ますと、
民間のほうに力がつきまして、
民間自身の
企業自体の
能力に応じて
経済協力をするという場面が考えられるわけでございますが、今、
日本のどの
企業をとってみましても、
経済協力に割愛する
自己資金力というものはきわめて乏しいものだと思います。したがって、全部
政府にかかっておるというのが
現状でございます。したがって、
現状で
判断いたしますと、どうしても
政府の
財政計画の中で
経済協力用の
円資金というものを、しかも、それは
財政で調達しないと、先ほど申しましたような
資金コストが高いわけでございますから、どうしても
財政計画の問題に問題が還元されるわけでございます。したがって、私の言うのは、今日のような
状況のもとにおきましては、
財政というものを最大の給源としなければならんということなんだから、あまり景気のいい議論はできないので、
財政の中でどれだけの
経済協力資金を確保するか、言いかえれば、
日本の
財政計画の中で
経済協力というのはどれだけの
市民権を与えられるかということが第一の問題でございますということを申し上げたわけでございます。
それから第二点として、
経済協力基金がせっかく設けられまして、一向に動きが鈍いということも森さんの御
指摘のとおりでございまして、百六十九億の
政府資金がありますにかかわらず、今日まで二十二億しか出ていないということも御
指摘のとおりでございます。これにつきましては、一体どこに原因があるのかというところを究明しておりまして、要するに、
輸銀と
経済協力基金の
業務分野といいますか、これがどうも判然といたしていない。したがって、
一つの
案件で、たとえば
輸銀に
融資申請を出す、そうすると何カ月もかかって審査をして、これはやっぱり
輸銀じゃない、
協力基金じゃないでしょうかということになる。これは非常なエネルギーのロスなんで、こういうことは困るというので、四月の下旬に
輸銀と
協力基金が話し合いまして一応の取りきめをいたしたのでございます。その取りきめの
一つは、
理事連絡会というものを設けること、そうして、
申請がある
案件を
連絡会にかけまして、そうしてこれは
輸銀、これは
経済協力基金というようにきめよう、しからば、きめる
基準は何かというと、十年以上の長期の
協力というようなものは、
経済協力のほうにやってもらう、それから
延べ払い案件などにつきまして、
外資所要分三〇%をこえるようなものは
経済協力基金のほうに回そう、こういう一応の
基準を作りまして過去四回
連絡会が開かれております。これによって
相当私は打開ができるのではないかと思っておりますが、ただ、直接
借款——政府が直接
責任をもってやって、
政府で
輸銀を通じてやっている対
印借款、パキスタンの
借款などというような
性質のものは、これは
連絡会議の
業務調整の対象にしないということになっております。一応そういうことでやらしてみまして、なお御
指摘のように
事態が改善されないということになれば、もっと進んだ
措置を考えなければならぬと思っております。
それから、第三点の
外債の問題でございますが、多少誤まって報道されておるのを遺憾とするわけでございますが、
冒頭に申しましたように、
円資金を調達する、しかも、それはもう
財政資金でなければ今の
段階ではいけないのだという
状況のもとにおいて考えられることは、第一に申しましたように、
財政計画の中で
経済協力用の
円資金というものを最大限確保する道を考えなければいかぬということでございます。一方私がサゼストしましたのは、今ニューヨーク、ロンドン、
西独等の
市場で
相当日本の
外債が応募されております。対
日信用というのは私
どもの想像以上に強いように思うわけでございまして、御
承知のように、
電力の
借款、
鉄鋼の
借款、あるいは
開銀自体の
借款、こういったものが成約されて
実行に移されておりますことは御
案内のとおりでございます。したがって、今まで
財政投融資計画におきまして、
電力であるとか、
鉄鋼であるとかいう
基幹産業に割愛いたしておりました
財政資金というようなものは、可能な限り
外債によって御調達いただいてちっとも差しつかえないのではないか。そういたしますと、今一兆円をこえておる
財政投融資計画というものの中であぐらをかいておる
基幹産業に対する
所要投資額は、そこでおなかが一部すいてきますから、そういった金は、
中小企業なり農村なりあるいは
経済協力なりに回す弾力がそこで生まれてくるのではないか、こういうことが
一つ考えるべき
方法じゃないかということを申し上げたわけでございます。しかし、森さんが御
指摘のように、これは私
個人の
意見でございまして、
政府でそのようにすることにきまったわけではございません。今からそういう
方向で
財務当局にも十分折衝いたしまして、私の念願とするところは、
財政による
経済協力用の
円資金というものを最大限取るべく努力をしていくということでございます。その
一つの
方法としてそういうことも考えられるじゃないかということを申し上げた次第でございます。