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1963-06-06 第43回国会 参議院 外務委員会 第22号 公式Web版

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  1. 日本国政府とニュー・ジーランド政 (会議録情報)

    昭和三十八年六月六日(木曜日)    午前十時三十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    理事            井上 清一君            草葉 隆圓君            長谷川 仁君            森 元治郎君    委員            青柳 秀夫君           大野木秀次郎君            杉原 荒太君            山本 利壽君            岡田 宗司君            加藤シヅエ君            佐多 忠隆君            羽生 三七君            佐藤 尚武君            曾祢  益君            野坂 参三君   国務大臣    外 務 大 臣 大平 正芳君   政府委員    外務政務次官  飯塚 定輔君    外務省アメリカ    局長      安藤 吉光君   事務局側    常任委員専会門    員       結城司郎次君   説明員    外務省アメリカ    局安全保障課長 高橋正太郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本国政府ニュー・ジーランド政  府との間の小包郵便約定締結につ  いて承認を求めるの件(内閣提出) ○日本国南アフリカ共和国との間の  小包郵便約定締結について承認を  求めるの件(内閣提出) ○国際情勢等に関する調査(国際情勢  に関する件)   —————————————   〔理事井上清一委員長席に着く〕
  2. 理事(井上清一君)(井上清一)

    理事井上清一君) ただいまより外務委員会を開会いたします。  本日は、まず、日本国政府ニュー・ジーランド政府との間の小包郵便約定締結について承認を求めるの件、日本国南アフリカ共和国との間の小包郵便約定締結について承認を求めるの件、以上二件を一括して議題といたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 理事(井上清一君)(井上清一)

    理事井上清一君) ほかに御質疑はございませんか。——なければ、両件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございまんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 理事(井上清一君)(井上清一)

    理事井上清一君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございまんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 理事(井上清一君)(井上清一)

    理事井上清一君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  日本国政府ニュー・ジーランド政府との間の小包郵便約定締結について承認を求めるの件、日本国南アフリカ共和国との間の小包郵便約定締結について承認を求めるの件、以上二件を問題に供します。  両件を承認することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  6. 理事(井上清一君)(井上清一)

    理事井上清一君) 全会一致でございます。よって両件は、全会一致をもって、承認すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 理事(井上清一君)(井上清一)

    理事井上清一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。   —————————————
  8. 理事(井上清一君)(井上清一)

    理事井上清一君) 次に、国際情勢等に関する件を議題といたします。  昨日、アメリカ原子力潜水艦についての政府より中間発表がございましたので、この点につきまして大平外務大臣説明をお願いいたしたいと存じます。大平外務大臣
  9. 国務大臣(大平正芳君)(大平正芳)

    国務大臣大平正芳君) 問題になっておりまするノーチラス型の潜水艦寄港問題につきましては、従来より機会あるごとに国会を通じ政府考え方を御説明いたして参りましたが、国会要請もございまするし、また、院外からも日米間の照会のこれまでの結果を発表してはどうかという御勧告もございましたので、昨日中間報告をさしていただきました。これは、私どもといたしましては、日米間のトーキング・ペーパーで確認いたしましたことに何ら主観を交えずに客観的な資料として御提出いたしたわけでございます。しかし、それだけでは政府見解が明らかでございませんので、きのう、私の談話の形で一応の考え方を発表さしていただいたわけでございます。  私ども考え方といたしましては、すでにたびたび申し上げておりますように、ノーチラス型潜水艦寄港問題は、米国核戦略の一環としての寄港でないということ、ましてや、将来において核兵器日本持ち込みにつながるものでは絶対にないということをたびたび申し上げたわけでございます。いうところの米国核戦略でございまするが、他国の戦略について云々するのはいかがかと存ずるのでございますが、私ども理解しておるところでは、アメリカが有効な核報復力を維持することによりまして核戦争の発生を抑制する、抑止するということが基本になっておると理解いたしておりますし、また、このようなことが事実今日の世界の平和がともかくも維持されておるという事実に照らして、このアメリカ戦略というものが平和のためであるというように理解できると思っておるのでございます。ジュネーヴにおきまして、核兵器実験問題はかりでなく、軍縮全体につきましての討議が行なわれておりますが、核兵器実験、生産、運搬、使用というものの全面的な禁止というようなことができ上がるまでは、アメリカはこのような政策を続けていくものと考えております。しかしながら、このアメリカ核戦略というものが、日本核兵器基地を置くことを当然の前提としておるかというと、私どもはそのように考えておりませんし、アメリカもそのようには考えていないのでございまして、たびたび申し上げておりますように、核兵器持ち込みはこれを認めないということは、かねてより内外に鮮明にいたしました政府の一貫した立場でございます。アメリカもこれを十分承知いたしておるからこそ、安保条約におきまして、核兵器持ち込みにつきましては日本政府との間の事前協議を確約されたものでございますが、さらに進みまして、岸・アイゼンハワー間におきましても、米国日本政府の意思に反して、事前協議において、行動しないという確約が行なわれておるわけでございまして、日本政府核兵器持ち込みは認めない、アメリカ核兵器持ち込みを求める意図がないということでございますので、したがって、アメリカ戦略核戦略というものが日本核兵器基地を置くということを前提として考えておるというように御理解いただくならば、それは間違いであると存じます。いうところのノーチラス潜水艦は、原子力推進力とすることによりまして、長時間の航続力を持たせるように相なっておりますが、それ以外の軍事的な用途におきまして何ら普通の潜水艦と違いがないわけでございまして、関連して問題になっておりまするポラリス潜水艦は、中距離ミサイルを搭載しておるのでありまして、この潜水艦とわれわれが今問題にいたしておりまする潜水艦とは、軍事上の目的は全く異にいたしておるということは、たびたび申し上げたとおりでございます。このノーチラス型の潜水艦寄港でございまするが、私が今申し上げましたように、これが核兵器持ち込みでないという以上、アメリカとしては本来その寄港につきまして日本と協議する義務はないわけでございますが、しかし、史上唯一被爆国としての日本国民の特殊な感情を考慮いたしまして、日本政府の了解を求めてきたものと了解いたしておるわけでございます。政府といたしましても、安保条約によりまして、日米協同してわが国の安全を守るという基本方針からいたしますならば、日本防衛に従事する米国の他の一般艦船、航空機の場合と同じように、ノーチラス型の潜水艦につきましても、その寄港異議を唱える立場にはございません。しかしながら、国民の間に原子力潜水艦安全性等について不安や疑問が存するような場合には、政府として最大限努力を傾けてこれを解消する手順を踏むのは当然と思うのでございまして、政治の責任として、私どもはその義務を感ずるわけでございまして、アメリカにただすべきものはただしまして、最大限努力を傾けておるのが現状でございます。きのう発表いたしましたものは全部でございませんで、今まで確認し得たことを、中間的に整理して本委員会に御提出申し上げました次第でございます。これは、この資料によって御点検いただきますならば、判然すると思うのでございますが、このノーチラス型潜水艦は、実用に供せられて以来すでに七年有余を経過いたしております。米国本土はもとより、大西洋、太平洋関係十数カ国の港に百回以上も寄港いたしておりまするし、今日までの実績にかんがみまして、原子炉に関係した事故や放射能による被害は一回も起こっていないということでございます。この事実それ自体が安全性を物語っておると申し上げて差しつかえがなかろうと思います。悲劇的なスレッシャー号の沈没でございますが、これは長期間にわたる改装工事あとで、深度の潜航実験を行なう実験の過程において起こった不幸な事故でございまして、これはアメリカ原子力潜水艦は建造直後、また改装後にも必ず厳重な実験を行ない、その安全性が確認されて初めて就航を許されるものでございますから、スレッシャー号事故を、直ちに通常の航海に従事している原子力潜水艦安全性と直結して御論議されることは、当を得ていないのではないかと考えております。もとより、私ども最大限努力をいたしておりまするけれども、この潜水艦軍艦でございますので、事の性質上、当然軍事機密に属する部面があるわけでございまして、この分野におきましては、私ども照会にかかわらず、これを解明する手順を持つことはできません。このことは一つの確立した国際慣行でございまして、わが国としてもこれを尊重して参らなければならぬと思いまするが、御承知のように、海上における人命の安全に関する条約におきましても、原子力商船につきましては、寄港を求める政府に対し安全性保障する資料提出することが義務づけられているのでございまするが、軍艦はその適用から除外されておることも明らかでございます。したがって、軍事関係に属する資料まで要求することは不可能でございます。そこで、私どもが的確な資料を入手できない分野につきましては、私がたびたび申し上げておりますように、アメリカ政府保障信頼するというよりほかに道はないと思うのでございます。事実、アメリカ原子力開発に先べんをつけた先進国でございますし、最先端を歩んでおりますきわめて高い科学水準を誇っておる国でございますので、私どもアメリカ原子力科学水準技術水準、またこの安全性保障する措置そのもの信頼をおくべきものと考えておるわけでございます。事実、アメリカ政府原子力潜水艦就航当時、その安全性につきまして、アメリカ国会を初め国内各方面で真剣な論議がかわされた事実がございまして、このことは、米国自身原子力潜水艦安全性につきましていかに強い関心を持っているかを示していると思うのでございます。また、事実その乗組員にいたしましても、その寄港する地域の住民の安全に対しましてもアメリカ政府は無関心でおるはずはないのでございまして、万全の考慮が払われておるものと私どもは確信するものでございまして、今まで西欧諸国太平洋沿岸諸国寄港いたしておりますが、そのいずれの政府からも、何らアメリカに対する信頼にゆるぎがないということは、アメリカ科学水準に対する信頼の度合いを示すものと思うのでございます。このことは科学的な問題でございまして、信頼に二つあるはずはないと思うのでございまして、ひとり日本だけにこのことが通用しないという筋合いのものではなかろうと感じておるわけでございます。  なお、きのう発表いたしましたのは、今までの照会の結果を発表したわけでございます。若干まだ照会中のものもございますので、そういうものを入手いたしましたならば、またおりを見て公表いたしたいと考えているわけでございます。要するに、政府といたしましては、おおむねこういう見解を持っておりますが、なお最善を尽くしまして、国民により一そうの御理解をいただき、今後とも努力して参る所存でございます。
  10. 理事(井上清一君)(井上清一)

    理事井上清一君) 以上で説明は終了いたしました。ただいまの外務大臣説明に対して御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  11. 岡田宗司君(岡田宗司)

    岡田宗司君 昨日外務省は、アメリカとの間に取りかわした文書につきまして中間報告をされた。この中間報告をされたということは、これによって国民を納得させて、そうして政府はこれだけでアメリカに対して原子力潜水艦寄港を認めるということを回答する準備ができたと、したがって、近く回答するのだ、そういう含みでこの中間報告をされたのか、まず、それをお伺いしたい。
  12. 国務大臣(大平正芳君)(大平正芳)

    国務大臣大平正芳君) 先ほども申し上げましたように、これまで入手いたしましたものをまとめて御報告いだしたわけでございます。先ほど申し上げましたように、まだ照会中のものもございますし、この段階におきまして国民理解を深める一助にいたしたいということで、国会その他の御要請もございましたので、やりました次第でございまして、これで受け入れ準備が万端整ったというふうには私は考えておりません。
  13. 岡田宗司君(岡田宗司)

    岡田宗司君 けさテレビで、この中間発表が行なわれてから、おそらく外務大臣とライシャワ駐日米大使との間に文書を取りかわして、そうして入港を認めるということになるだろうということが言われたんでございますが、そういうことがすでにテレビで発表されるということは、私ども外務省が近く何らかの形でアメリカに回答するということを推測されてのことだと思うのですけれども、ただいま外務大臣は、まだ回答すべき段階に来ておらない、お幾多のアメリカ側からの資料提出なり回答を求めるべきものがあるということですが、近く回答されるということはないわけでございますか。
  14. 国務大臣(大平正芳君)(大平正芳)

    国務大臣大平正芳君) テレビがどのように報道したか私は関知いたしておりません。先ほどお答えしたとおりでございまして、なお私ども努力を続けておる段階でございます。
  15. 岡田宗司君(岡田宗司)

    岡田宗司君 ただいま外務大臣からの御報告最初のことは、アメリカ核戦略を進めていく上に、日本アメリカ核戦略基地とするということはない、したがって、アメリカから核兵器持ち込みということはない、こういうふうに言われておったわけであります。今回の潜水艦寄港の問題につきましても、ポラリス型ではなくてノーチラス型であって、これは核兵器を積んでおらないんだということを再三言われておるのであります。確かに、今回アメリカ寄港を求めておりますのは、第七艦隊に配属されております原子力潜水艦であって、ポラリスでないかもしれません。しかし、はたしてこの潜水艦核装備をしてないということは断言できるか、私はこれは疑問だと思う。むしろ私どもの得ております資料等からいたしますならば、これは核装備をしておる、あるいはまたすべきものであるというふうに考えられる。したがいまして、単に核装備はないんだということは私どもとしては信じられないのでありますけれども政府は、今回日本寄港することを求められておる原子力潜水艦核装備をしてないということの、あるいはこれからもしないということの保障を取りつけてあるんですか、それをお伺いしたい。
  16. 国務大臣(大平正芳君)(大平正芳)

    国務大臣大平正芳君) 私ども日本語を巧妙に駆使いたしまして国民をごまかすというようなたいそれた気持は毛頭ございません。われわれも多数の支持を得て政権をあずかっておるものでございますから、国民大衆に真実でなければなりませんし、忠実でなければならぬわけでございまして、日本政府といたしまして核装備をみずからするつもりは毛頭ないし、核兵器米軍による持ち込みということに対しても、日本政府はこれを認めるわけに参りませんということを、アメリカばかりでなく、日本国内政府責任におきまして明らかにいたしておるわけでございまするし、また、私がたびたび本委員会でも申し上げましたとおり、アメリカ側日本核兵器を持ち込むつもりは毛頭ないということを言明されておるわけでございまして、これをさらに御理解いただくほか私はないと思うものでございます。どこかごまかしがあるんじゃなかろうかというような御疑念は、私どもを御信頼いただきまして御一掃賜わりたいものだと思います。
  17. 羽生三七君(羽生三七)

    羽生三七君 関連して、先ほど岡田君の質問に対する御答弁の中に、今すぐ寄港を認めるわけではないが、今後、残された問題について努力を続けると、こういう御答弁でありましにが、まだ政府として疑点が残っておる点はどういうことでありますか。
  18. 国務大臣(大平正芳君)(大平正芳)

    国務大臣大平正芳君) 政府科学技術庁等と連絡いたしまして先方に照会しておる若干の事項がございます。これは今照会中でございますので、公表するわけに参らぬと思いまするが、しかし、先ほど私が申しましたとおり、結果が出て参りますならば、公表するにやぶさかでございません。
  19. 岡田宗司君(岡田宗司)

    岡田宗司君 ただいま私がお尋ねしたのは、あなたが国民をごまかすとかごまかさないとか、そういうことをお伺いしたのじゃない。私はアメリカが第七艦隊に配属している原子力潜水艦ポラリス型ではない、しかし、核兵器を、たとえばサブロックを積んでいるとかおらないとか、その点をお確かめになったかどうかということをお伺いしているのです。
  20. 国務大臣(大平正芳君)(大平正芳)

    国務大臣大平正芳君) これは外務省からも、防衛庁からも、たびたび委員会で御報告を申し上げているように、いろいろ確かめまして、いうところのサブロックというものは開発中でありまして、まだ実用段階に入っていないということを御説明申し上げたわけでございます。しかし、サブロックがかり開発段階を終えまして、実用化された段階におきましても、先ほど私が申しました基本の線に、別に何ら変わりはございません。
  21. 岡田宗司君(岡田宗司)

    岡田宗司君 基本の線に変わりがないということは、サブロックを積んだ潜水艦入港は認めないということでございますか。
  22. 国務大臣(大平正芳君)(大平正芳)

    国務大臣大平正芳君) 核弾頭をつけているものでございますれば、これは当然認めないということに御了解願います。
  23. 岡田宗司君(岡田宗司)

    岡田宗司君 それではお伺いいたしますが、第七艦隊には今何隻の潜水艦が配属され、そのうち何隻が原子力潜水艦でございますか。
  24. 政府委員(安藤吉光君)(安藤吉光)

    政府委員安藤吉光君) 私具体的な数字を持ち合わしておりませんが、原子力潜水艦は十数隻と聞いております。
  25. 岡田宗司君(岡田宗司)

    岡田宗司君 第七艦隊に所属している原子力潜水艦が十数隻でございますか。
  26. 政府委員(安藤吉光君)(安藤吉光)

    政府委員安藤吉光君) 失礼いたしました。七隻前後でございます。
  27. 岡田宗司君(岡田宗司)

    岡田宗司君 その七隻の原子力潜水艦は、いかなる型の潜水艦ですか。
  28. 政府委員(安藤吉光君)(安藤吉光)

    政府委員安藤吉光君) 現在太平洋におります原子力潜水艦は、ポラリス型ではない、いわゆる通常原子力潜水艦でございます。
  29. 岡田宗司君(岡田宗司)

    岡田宗司君 先ほどから盛んにノーチラス型ということを言われているのでありますけれどもノーチラス型は、これは最初にできたノーチラス号、その後非常に改良を重ねられておりまして、いわゆるアタック・サブマリン——攻撃用潜水艦につきましても非常に進歩を見ているのであります。したがって、第七艦隊に配属をされております原子力潜水艦攻撃用潜水艦というものは、いわゆるノーチラス型ではないのだ、私どもの聞いているところではスレッシャ一型が主である、こういうことでありますが、そのとおりでしょうか。
  30. 政府委員(安藤吉光君)(安藤吉光)

    政府委員安藤吉光君) 普通ノーチラス型と言います場合には、いわゆるポラリス型と区別するために一応ノーチラス型と通常に言われているのでございます。お説のいわゆるスレッシャ一型というのは、これはやはりポラリスではない普通の原子力潜水艦でございますが、太平洋には一、二隻だと承知しております。
  31. 岡田宗司君(岡田宗司)

    岡田宗司君 そういたしますと、第七艦隊に所属している七隻というのは、スレッシャー型は一、二隻だとすれば、他はどういう型の潜水艦ですか。
  32. 説明員(高橋正太郎君)(高橋正太郎)

    説明員高橋正太郎君) お答え申し上げます。私防衛の専門でございませんので、詳細なことはわかりませんけれども、従来公表されております資料その他から判断をいたしますと、先生重々承知のとおり、潜水艦の型はこまかく分ければ十一あるけれども、それを大きく分ければ二つないしは三つになるということでございます。それで、太平洋に現在おりますのは、先ほどアメリカ局長から答弁がありましたように、七隻前後ということになっておりますが、それはしょっちゅう入れかわっているわけでございまして、どの船が今おるかということは、私どもにはわからないわけでございますが、その型といたしましては、スレッシャー型は、現在これも公表されておるところによりますれば、スレッシャー級というのは現在三隻一隻沈みましたから、二隻でございます。二隻就役しているわけでございます。御案内のとおりに、今後アメリカで作ろうと言っているのはこの型でございますけれども、そのほかの型といたしましては、ノーチラス型から始まりましていろいろございますけれども、そのどの型が現在おるかということは、わからないわけでございます。ただ申せますことは、十一クラスがございますけれども、そのうちの、いわゆるノーチラス級以降にできましたものをこまかく分ければいろいろございます。たとえばシーウルフ級スケート級スキャップジャック級トライトン級テュビリー級とかがあり、そのあとスレッシャー級というのができておるわけでございますので、そういうことで御了解いたできたいと思います。
  33. 岡田宗司君(岡田宗司)

    岡田宗司君 これらの型の潜水艦、ただ原子力で動いておる、そして従来の油で動いておる潜水艦原子力推進力とするという点だけで違っておるんだというふうないろいろ御説明でございますけれども、今、第二次世界戦争後における戦略、戦術の変化からして、潜水艦というものは非常に大きな意味重要性を持ってきておる、ある意味におきましては、最も重要なものになってきておるわけであります。したがって、いわゆるポラリス型の潜水艦でないにいたしましても、その新しい意味を持った潜水艦でございますので、私どもは、今回日本入港を求められておる潜水艦も、単なる従来の潜水艦、機関が違ったものだというふうには考えない。やはりアメリカ核戦略の発展によって引き起こされた変化に照応するところのものであるとしか考えられないと思うのであります。特にスレッシャー型の潜水艦は、攻撃用潜水艦としてアメリカが今後最も力を注いでいくものでありまして、今日第七艦隊にそれが一、二隻しか配属されてないといたしましても、将来これに置きかえられて参ることは、これはもう申し上げるまでもない。F100がF105に置きかえられますように、必ず将来これが置きかえられてくるであろうということが予想できるのであります。しかも、このスレッシャー型には、あるいは他の攻撃用潜水艦サブロックを積むということはアメリカ側がはっきり公表しているのです。サブロックが、核兵器であるとか、核弾頭をつけるものであることは、これはもう申し上げるまでもない。そういたしますと、今たとえばサブロック開発中であるとしても、これは数年後に——じゃない、もう間もなくこれをつけるであろうということは予想されるところであります。そうすると、先ほど大平外務大臣が言われた、サブロックを積んでおればこれをどうも認めるわけにいかないんだというお答えと矛盾してくるんじゃないかと思うのですが、その点はどうでございますか
  34. 国務大臣(大平正芳君)(大平正芳)

    国務大臣大平正芳君) 冒頭に私が申し上げましたように、アメリカ核戦略というものが、日本核兵器を持ち込むことを前提として仕組まれておるというふうな御理解があるとすれば、それは誤りであるということを申し上げたわけでありまして、日本政府サブロックであれ何であれ、核兵器というものの持ち込みを認めないということを申し上げておるわけでございまして、アメリカ軍自体の国内、ヨーロッパ方面の装備がどうなるかよく存じませんけれども日本に関する限り核兵器持ち込みは絶対にお断わりであるということを申し上げたわけでありますし、それに対して、十分の理解を持ってアメリカもそういう意図はないということ、つまり核戦略核兵器基地日本に持ってくることを前提としておるものではないということを申し上げたことで御理解を賜わりたいと思います。
  35. 岡田宗司君(岡田宗司)

    岡田宗司君 先ほど、ザブロックは開発中であり、それでまだこれは搭載してないようなお話でございましたけれども、この開発中という意味は、まだ全然これは実験もしていないし、あるいはまた搭載していない、こういう意味でおっしゃったのですか。それとも、すでにこれは実用に供せられているけれども、なおこれからさらに性能をよくするために開発中である、これは非常に意味が違うと思うのでありますが、それはどういうふうにお考えになっておりますか。
  36. 政府委員(安藤吉光君)(安藤吉光)

    政府委員安藤吉光君) サブロックが目下開発中であるということは、先ほど大臣も申されましたとおり、米側で発表しておりますし、その後、われわれ最近もそれを確かめております。その開発中というのは、いわゆる試験、実験開発でございまして、本年二月十八日にその実験の写真が公表されました際、米国当局が説明をいたしております。それにはっきりとイズ・ビーング・ディベロップト、要するに、実験開発中であるということを述べております。このことは、ごく最近にわたりましても再度米側に正式に照会いたしましたが、そのとおりでございました。大体サブロックというのは、御存じのとおり、水中から撃って空中を通ってまた水中に入って敵艦を攻撃するというものでございますが、このサブロックは弾頭は三種類つけ得るのでございまして、核弾頭ももちろんつけてもよければ、高性能爆薬をつける場合もある、このように承知しております。
  37. 岡田宗司君(岡田宗司)

    岡田宗司君 このサブロック開発中ということは、これは性能をよくするためにやっているので、これはまだ搭載されていないのだというふうなお答えのように承りましたけれども、すでにサブロック実験は行なわれております。しかも、先日沈没いたしましたスレッシャー号がその実験をやって成功をしているのであります。そうしてアメリカの国防省は本年の二月十八日に、すべての原子力潜水艦サブロックを実戦配備するということも言っているのでございます。このことは御承知でしょうか。
  38. 政府委員(安藤吉光君)(安藤吉光)

    政府委員安藤吉光君) 予算的措置としてそういったようなことを考えているということは、聞いております。ただしかし、先ほども申しましたように、具体的には今実験開発中であるということと、もう一つは、サブロックが実際には高性能爆薬で行なう場合と核弾頭と両方あるということも承知しております。それで、先ほどから大臣の御説明がございましたとおり、いわゆる核弾頭をつけたサブロックというものが将来開発された場合はこれは核兵器でございまして、事前協議の対象事項、すなわち日本には入ってこないようにわれわれとしては言明している種類のものでございます。
  39. 岡田宗司君(岡田宗司)

    岡田宗司君 ソ連側におきましても、原子力潜水艦かかなりたくさんできております。また、ソ連側におきましても、中距離弾道弾を積む原子力潜水艦も完成しております。これらもおそらくソ連の戦略上からいえば、太平洋に配備されていることは間違いない。そういたしますというと、アメリカ側はこれに対抗するものとして原子力潜水艦を、特に攻撃用原子力潜水艦を多数配備して参りますが、相手が原子力潜水艦であって、やはり水中に深くもぐる、そうしてまた相当三十ノットも出すような早いものであるといたしますならば、普通の爆薬の魚雷ではとうていこれはやれない。そういたしますれば、どうしてもアメリカ側としてサブロック開発してその射程を延ばし、そうして主として核弾頭をつけてやるであろうということは、これはもうだれでもわかることであります。したがって、アメリカの国防省が本年になって、すべての原子力潜水艦サブロックをつける、こういうことを言っておるということは、その準備をしておることなんです。しかも、サブロックが、今申し上げましたように、開発中というのは、現在の射程四十キロぐらいのものを三百二十キロくらいまでのものにしていこうということでありまして、その段階に何段階かあるかもしれませんけれども、とにかくそういうことであるといたしますならば、これはもう明らかに核装備であります。だからして、そういうようなものを積んだものを私は軽々に日本に入れるということを外務大臣が考えられるとすれば、これはたいへんなことだと思う。ことに、今積んでないから、今核弾頭を持ってないからと、こう申しても、すでにアメリカではその方針をきめて予算措置を講じておるのです。そういたしますれば、これはもう近くそれが行なわれるだろう。そうなってくれば、日本へ入ってくるものは一々取りはずして入ってくるわけのものでもございません。私は、取りはずして入ってくるなんて、そんな子供らしいことを考えるものはないと思う。そうすれば、もうこれから日本寄港する原子力潜水艦というものは、それを持ってくることは明らかなんです。だから、私どもはこういう原子力潜水艦寄港というものは、あなたが国民をごまかすためでないかもしれないけれどもアメリカ側日本をごまかすためにそう言っているものとも考えられる。先ほど大平外務大臣が、私は人がよくて正直だからと言われましたけれども、それをそのまま、アメリカ側日本国民をごまかすために、そういうような乗員の休養であるとかなんとかというようなことで、この原子力潜水艦をどんどん日本に入れていこうというのに片棒かつぐようなことはこの際やめてもらいたいと思うのですが、このサブロックを積んでおるということ自体だけでも、私はもう拒否するに足る理由があると思う。これが積まれるということが国防省の方針として明らかである以上、たとえ今積んでなくても、本年の予算措置として積むことが講じられるようになっておるといたしますれば、これは当然拒否していただきたいと思うのであります。その点いかがなものでしょう。
  40. 国務大臣(大平正芳君)(大平正芳)

    国務大臣大平正芳君) 岡田先生は非常に問題を一般化されてアメリカ核戦略装備というものに言及されておるのでございますが、今私どもが問題にいたしておりますのは、原子力を単なる推進力とする潜水艦寄港という問題でございまして、この問題を問題にいたしておるわけでございまするが、アメリカ核戦略と、それからこの潜水艦寄港問題とは別問題だということを私はもう大前提として申し上げておるわけでございます。しかし、お前が何ぼそう理解しておっても、アメリカ側がそうしない場合は何もならぬじゃないかという御議論でございますが、私はアメリカも、その責任において締結いたしました安保条約については百パーセント忠実であることを確信いたしまするし、またそうでなければ、アメリカという国が世界に国際信用を保つことはできないわけでございます。私がくれぐれも申し上げておりますように、日本政府核兵器持ち込みを認めないということをたびたび申し上げておりまするし、アメリカもそういう意図はないということでございますので、その点について問題をどうぞ一般化の危険から救っていただきたいと私は思います。
  41. 岡田宗司君(岡田宗司)

    岡田宗司君 私も一般的な戦略論を言っておるのじゃなくて、日本にこれから寄港を求められておる原子力潜水艦も、またアメリカの一般の核武装方針に従って、今もうすでにしておる、あるいは近くするであろうということであるから、その点を問題にしておるので、一般化した問題ではない。まあ、それはそれといたしまして、それでは、あなたはアメリカ側に対して、日本寄港する原子力潜水艦サブロックを積み込んでおらないのだということ、あるいは、これからもサブロックを武装しないのだということをアメリカに確約させ、その保障を取りつけることができるかどうか。また、アメリカ日本寄港を求めておる潜水艦にそれを積んでおらないということをあなた方は日本側として検証できるかどうか、その点お伺いしたい。それでなければ私ども安心できない。
  42. 国務大臣(大平正芳君)(大平正芳)

    国務大臣大平正芳君) そういう保障もすでにできておるわけでございまして、厳粛に締約いたしておるわけでございますから、この締約は大丈夫かどうか、もう一ぺんひとつ確かめる必要があるなんていうことこそ、自信のなさを示すものでございまして、私はそういうことをすべきじゃないと思います。すでにそれは成立した厳粛な約束なんでございますから、私どもはそれに百パーセント信頼をおいていくべきものと思います。
  43. 杉原荒太君(杉原荒太)

    ○杉原荒太君 ちょっと関連。私お尋ねしたいのは、今、岡田さんが問題にしておられることと非常な関連があるからお尋ねするのですが、核兵器、ことに核弾頭の配置、保管、使用等、要するに核兵器の管理については、アメリカで厳格な規則が法律で定められておると思うのです。そこで、いつも核兵器持ち込み問題のとき、その辺のところを外務省のほうではっきりと御説明になれば、その答えになるのじゃないかという感想をかねてから私は持っておるのです。今の場合でも、現行の、今申しました核兵器の管理に関するアメリカの規則、これはアメリカの軍をも拘束しておる。その規則の内容をひとつ御説明願ったらいいと思うのです。それを私はお尋ねいたします。
  44. 政府委員(安藤吉光君)(安藤吉光)

    政府委員安藤吉光君) 私どもアメリカのそういう軍内部の規則というものについて具体的資料を持ち合わせておりませんけれども、この問題に関連いたしまして非常に日本にとって重要な点は、従来るる御説明いたしております条約第六条の実施に関する交換公文のいわゆる「合衆国軍隊の装備における重要なる変更」というものについては、事前協議を行なうという例の交換公文がございます。その交換公文に関連いたします条約審議の間におきまして、日米間に了解ができており、御存じのとおり、核兵器持ち込みがこれに該当する。また中長距離ミサイルも同様であって、これらは事前協議の対象になるということが厳粛に了解されておるわけでございます。
  45. 杉原荒太君(杉原荒太)

    ○杉原荒太君 そんな、アメリカの軍の内部の小さな規則でなく、これは法律できまっておることだと思うのです。そうして、初めにできて、あとに一九五四年だったかに改正になっておると思うが、現行の規則の内容、これは決して秘密で調べられないとかいうものでなく、外務省では当然その点はわかっておることだと今まで思っておったのですが、今まで一向にそういう点に言及されぬので、非常にこの問題をもやもやさしている点がある、私はそう思っております。
  46. 国務大臣(大平正芳君)(大平正芳)

    国務大臣大平正芳君) せっかくの御注意でございますので、それじゃあ私のほうで急いで検討させていただきます。
  47. 岡田宗司君(岡田宗司)

    岡田宗司君 ただいま局長のほうから核兵器核装備持ち込みの問題は交換公文によって事前協議の対象になる、こういうことでございましたけれども、この核兵器というのは範囲はどのくらいですか。たとえば、中距離弾道弾の基地日本に置く、これはもう明らかにこの事前協議の対象とさるべきものだと思います。あるいはまた、先ほどからお話しになっておられるポラリス潜水艦もそうであります。しかしながら、最近では核兵器というものは漸次小型化されている。いわゆる戦略的な核兵器から戦術的な核兵器になってきている。そしてまた両用のものが非常に多くなってきている。その両用のものも、これは普通であっても直ちに核弾頭を使うときには核兵器になるのです。そこらの点はどうお考えになっておりますか。ただ、両用でも、ふだん使わなければこれは核兵器じゃないのだ、だから認めてもいいんだ、こういうお考えですか。これは危険だと思うのです。
  48. 政府委員(安藤吉光君)(安藤吉光)

    政府委員安藤吉光君) この核兵器というものをどういうふうに限定しておるかということに関しましては、すでに昭和三十三年の四月十五日に防衛庁から参議院の内閣委員会提出した資料がございます。それで日米間にも大体そういうふうに理解されておるわけでございますが、核兵器というのは、原子核の分裂または核融合反応から生ずる放射能エネルギーを核破壊力または殺傷力として使用する兵器ということでございます。要するに、核弾頭を装着できないものはもちろん核兵器でございませんけれども、たとえばオネストジョンのように、核、非核両弾頭を装着できるものは、核弾頭を装着した場合は核兵器である。しかし、核弾頭を装着しない場合は、これは核兵器と言えない。今お話しになっておりましたICBM、IRBM、中長距離ミサイルというものは、本来的に核弾頭が装着されているものでございますからこれは核兵器、そういうような標準を持っております。それで、この資料はすでに前に当参議院に提出してございます。
  49. 岡田宗司君(岡田宗司)

    岡田宗司君 当時はまだサブロックはできていない。サブロックはどっちに入りますか。
  50. 政府委員(安藤吉光君)(安藤吉光)

    政府委員安藤吉光君) 私は軍事専門家でございませんけれども、私の承知しております範囲におきまして、現在試験開発中のサブロックというものは、核弾頭もつけられるし、高性能爆薬弾頭もつけられる、そういう両用の道があるというふうに聞いております。
  51. 岡田宗司君(岡田宗司)

    岡田宗司君 それで、今まあ両用であるということですが、先ほど私が指摘しましたように、相手が原子力潜水艦になって参りますというと、普通の高性能爆薬ではこれは用をなさない。したがって、傾向として急速に核弾頭専用になるだろうということを予想さる。あるいは専用にならぬでも、それが主になるだろうということが予想されて参ります。そうすると、これはもう核兵器ということが言えることになるのじゃないですか。
  52. 政府委員(安藤吉光君)(安藤吉光)

    政府委員安藤吉光君) 現在、アメリカは相当多数の普通の潜水艦、それから通常原子力潜水艦を持っておりまして、これらはそれぞれ高性能の爆薬を弾頭とする魚雷を持っておるわけでございます。今度の原子力潜水艦の一番のねらいというものは航続距離を長くする、いわゆる原子力を動力とした潜水艦でございます。ただいま御指摘のサブロックというものにつきましては、先ほど私が承知しておるところを御説明いたしましたとおり、なおまだ実験開発中であるということと、それからもう一つは、承知しておるところでは、これは高性能爆薬というものと核弾頭と、両方いずれをも使えるというふうに聞いております。これが核弾頭をつけた場合は、核兵器であることは申すまでもございません。その場合は、当然事前協議の対象ということになるわけでございます。
  53. 岡田宗司君(岡田宗司)

    岡田宗司君 両方使えるものが、将来どっちが重くなるかということでお伺いしたんです。先ほど申し上げましたように、おそらく近い将来において、どんどんとこれは高性能のものも核弾頭にかえられていくであろうというふうに私どもには予想されるんですが、あなたはそう予想しませんか。
  54. 政府委員(安藤吉光君)(安藤吉光)

    政府委員安藤吉光君) 私は軍事専門家でございませんので、そういうことは予測する資格はないと思います。ただしかし言えますことは、私、しろうととして言えますことは、たとえばオネストジョン、これはたしかこれの持ち込みのときに、当国会におきまして、私ちょうど、たまたま来ておりましたが、大騒動がございました。これは当時核弾頭を持ってくるんだというような話でございましたけれども、これは依然として通常の弾頭でやっておるわけでございます。それからもう一つは、これも私、しろうと考えでございまするが、核というものはなかなか経済的に、高いものだということのようでございます。そういったいろいろな点がございますので、私は専門家でもございませんし、どちらが主であるかというようなことはちょっと申し上げる立場にないように考えます。
  55. 岡田宗司君(岡田宗司)

    岡田宗司君 今のお話ですというと、オネストジョンが引き合いに出された。オネストジョンは、あのときに両用だというのでやはり騒いだ。ところが、オネストジョン自体がもう旧式化してしまって、アメリカでもこれはあまりいい兵器だと思っておらぬ。ところが原子力潜水艦の場合、これは違うんですね。アメリカはこれに主力を置き出しておる。そうして、しかも相手方の潜水艦原子力潜水艦になり、しかも、中距離弾道弾を積める潜水艦になってきておるので、攻撃用潜水艦というものは、オネストジョンなどとはまるで違った重要性を持っているんですね。だから、オネストジョンとの比較なんということは問題になりませんよ。  それから、あなたは軍事専門家ではないということですけれども、しかし、少なくともこの問題を取り扱っていられる以上、こまかい技術的な、あるいは非常に精密な軍事的なことは知らぬでも、大体の傾向というものは、これはおわかりだろうと思うのです。アメリカ核戦略に基づいて日本に核基地を求めておるんでないということまでちゃんと言われるぐらいならば、それはやはり核戦略が何ものであるかということを御存じの上で言っているんですから、したがって、今言ったような兵器の発達が何を意味するかぐらい御存じないはずはないんで、ただ、オネストジョンと比べて、何とかして、このサブロックは兵器でございませんという印象を与えようと努めておられる答弁のように思うんで、私どもはそういう答弁はいただきかねるのであります。はっきり申し上げて、アメリカでもこれは核兵器だというふうに、アメリカの雑誌なんかみんなそう言っているんですよ。たとえば、アメリカのミサイル・アンド・ロケット誌、これは一九六二年の七月三十一日号に出ておる。また英フライト誌の一九六一年十一月二日号、あるいはイギリスのジェーン航空年鑑の一九六一年版にも紹介されているんですね。とにかくもうロケット兵器であって両用であっても、主がそっちのほうへ移っていっておる。アメリカの国防省でもそれをはっきり言っている。だから、これは核兵器なることは明白なんです。したがって、私はこの点について交換公文の事前協議の対象にならぬとか、あるいはこれは両用で核弾頭を積んでおりませんからこれは核兵器でございませんなどと言うのは、全くごまかしです。私は、先ほど大平外務大臣が、決して国民をごまかすつもりはないと言われておられるならば、この点について国民をひとつごまかさないようにはっきりした御見解を示していただきたい。そうしてまた、アメリカ側がそれを持ち込まないと言うならば、この今後日本寄港する原子力潜水艦サブロックを積んでおらないということをはっきり言明してもらいたい。また同時に日本側でも、それはなるほどアメリカを頭から信用しておられるようでありますけれども日本国民の不安というものを解消するためには、政府としてもそのくらいの保障を取りつけるなり、あるいはその点について政府自身が何とか確める方法をとるなりしていただきたいと思う。ただ向こうさんが積んでいないからとか、あるいはまた、乗員の休養のためであって日本核戦略基地にするものではないということだけでは、この大きく問題になりましたものを私どもは納得するわけには参らないのです。その点いかがですか。
  56. 国務大臣(大平正芳君)(大平正芳)

    国務大臣大平正芳君) 重ねて、問題をあまり一般化しないようにお願いしたいと思うのでございますが、今アメリカ局長の御説明申し上げたとおり、私は核兵器というものはこういうものであるということを国会にも申し上げて、今日の段階においてもそれを弁解する必要は認めておりません。その条項に該当する限りにおきましては、当然事前協議の対象になるものでございます。ただ、アメリカ政府日本核兵器を持ち込む意図がないということを先方が言っておるわけでございまして、私は核兵器持ち込みということについて事前協議が行なわれるであろうというように予想いたしておりません。  それから、アメリカに確める問題でございますが、先ほど申しましたように、お前さんのほうは怪しいかもしれぬから、もう一ぺん一札取っておこうというようなことは、私は責任ある外交がそういうことをしておったら、これは国民に対してはなはだ申しわけないと思うのでございます。厳粛に締約いたしましたことにつきましては、相互に百パーセントの信頼をおいて、厘毫の不信がないように外交は展開すべきである、国民の利益のために私はそう思います。
  57. 岡田宗司君(岡田宗司)

    岡田宗司君 厳粛におやりになることはけっこうですけれども国民の不安を解消するという問題ももうひとつ重大な問題だと思う。それは相手国を信頼することは外交上それが行なわれなければならぬわけで、年じゅう不信ではいけないのですけれども、往々にして不信なんです。あなたが信頼しておりますアメリカ自身も、ずいぶん日本に対してもいろいろと私どもが不信と思われるようなことをやっておるのです。だから、アメリカ側でも、もしほんとうに乗員の休養だけなら、そういうサブロックのようなものは積んでいないのだということを言っていいわけですから、私はこの原子力潜水艦寄港問題について、この点は一番国民にとって重大な関心事であろうと思う、もし、この両用のものを入れることを許し、そうして国民をだんだんに不感症にならしていって、そうして、その次には、両用のものがあるのだから、核弾頭持ち込みをやるべきだということになってきて、いざというときには核弾頭を持ち込むことも認めなければならぬというような雰囲気を作っていくということは私どもとしては認められないことでございます。さらにまた、攻撃用潜水艦核弾頭を積んだもの、そこまで来たら、あとポラリスがちょいと寄るということくらいいいじゃないかということになり、休養のためだから、何もあれを振り回すわけでもないし、いつまでもいるわけでもないからいいじゃないかというようなことになりかねないのであります。だから、私は初めが大切だと思う。したがって、この問題についてはあくまでも私どもは反対の立場である、こういうような点から進めなければならぬことは非常に遺憾だと思うのであります。とにかくこの問題につきまして、私どもはどうも政府の言うことをそのまま承認できない。やはりサブロックを積み込む以上、核兵器を積み込むことである。したがって、それは日本核兵器を持ち込まれる道が開かれることになる、こう考えざるを得ないのであります。
  58. 国務大臣(大平正芳君)(大平正芳)

    国務大臣大平正芳君) 今岡田さんはサブロックに言及されておりますが、今後兵器が発達いたしまして、どういう兵器が開発されるかわかりませんが、私どもとしては立場ははっきりしておりまするし、つまり核の分裂ないし融合をはかるものによって生ずる放射能の力を破壊力あるいは殺傷力として使うというものは核兵器だ。これはサブロックに限りませんで、いかなる兵器が開発されましても、そういうところの核兵器持ち込みは認めないのだということをはっきり申し上げておるわけでありまして、ここには厘毫の疑惑もないわけでございます。したがいまして、サブロックばかりでなしに、あらゆる核兵器持ち込みは認めないのだということで国民の御納得をいただくというようにいたしておるわけでございまして、われわれといたしましても、きょうここで言いのがれしておいて、あとでこういうことがあったらということじゃ、とても政府は勤まりません。いかなる場合でも、国会要請に応じて政府の政策を解明する責任があるわけでございます。私、ちっともその点につきましては責任を回避するものじゃございません。全責任をもちまして、日本政府の一貫した方針を繰り返し繰り返し申し上げておるわけでございますので、御了解を得たいと思います。
  59. 羽生三七君(羽生三七)

    羽生三七君 たとえば兵員の休養の場合とか、あるいは演習の場合で寄港する、こういうときは別として、核弾頭をつける場合、緊急の事態が起こったときに、事前協議をやっているような余裕があるのですか。
  60. 国務大臣(大平正芳君)(大平正芳)

    国務大臣大平正芳君) 私どもは緊急の事態が起こることのないように万全の警戒をもって平和を維持していかなければならぬわけでございまして、羽生さんの言われるような事態が起こらないようにこそ万全を尽すべきものと思います。
  61. 岡田宗司君(岡田宗司)

    岡田宗司君 答弁はそれで済むかもしれませんけれども、実際緊急のことが起こったときに、事前協議が一方的通告に終わるおそれがあるということは、安保条約の改定のときに盛んに論議されたので、私どもまだそれに対してほんとうに政府見解を信じ切れる、状態にない。アメリカ側もまた日本にうそつかない、われわれ信頼しなければならぬというお話ですけれども、U2機のことを見ますというと、私はどうもあまり信頼できない。U2機のときも、政府は、あれはスパイ飛行機じゃないのだ、気象観測用だと一生懸命、あなたの時代じゃないのですけれども、盛んにアメリカ側の弁解をそのまま国会でも放送されておった。したがって、あとでもってアメリカ側がソ連で撃ち落とされてから正体が明らかになって、しょうがないものでアメリカも引き揚げましたけれども、ああいうようなことがありますので、私どもはなお政府に念を押しているわけです。その点はどうですか。
  62. 国務大臣(大平正芳君)(大平正芳)

    国務大臣大平正芳君) アメリカ側に百パーセントの信頼をおいておる、また信頼をおいてやらなければならぬ、そういうことを私はるる申し上げておるゆえんのものは、もしかするとあぶないぞというようなこと、そんなことをわれわれがかりそめにも考えて事を運ぶべきものじゃないと思うのでございます。そういうことは、私は日本国国民として耐えられないことだろうと思うのでございます。あくまでも相互の信頼に立たなければ私は国が立たぬと思うのでありまして、たびたび申し上げておるわけでございますので、私どもの真意を十分おくみ取りいただきたいと思います。
  63. 岡田宗司君(岡田宗司)

    岡田宗司君 それはもう大平外務大臣のお心がけはたいへんいいのでありますけれども、U2機の実例を見せられておりますので、したがって、私どもはなかなかアメリカの言うことも、政府の言うことも、こと軍事に関する問題については、特に信頼ができない面があるということを非常に遺憾だと思いますが、ああいう例があるということはあなたも御存じのはずであります。ひとつそこいらは私どもとしてもなかなか信用できないということを申し上げておきます。  次に、このいわゆる中間報告の内容について二、三御質問申し上げたいんですが、先ほどアメリカの第七艦隊に所属される原子力潜水艦は七隻である、こう言われております。で、この中に佐世保及び横須賀に寄港を求めるのは二カ月に一回か一カ月に一回だと、こういうことなんです。これは総体で二カ月に一回なのか、一隻について二カ月に一回、一カ月に一回なのか。もし七隻じゃなく、一隻について一回だということになりますというと、一カ月に七回、年に七十四回という、非常に多いことになります。半分としても四十二回ということになりますが、この点明らかでないんですけれども、これはどういうことなんです。世界に一年に百回寄っていると、日本にだけ八十四回あるいは四十二回寄るということになったら、これはたいへんなことですがね。どうなんでしょう。その点をお伺いしたい。
  64. 政府委員(安藤吉光君)(安藤吉光)

    政府委員安藤吉光君) 一隻がそういうふうにするわけじゃございませんで、全体として月に、あるいは二カ月に一回ということでございます。
  65. 岡田宗司君(岡田宗司)

    岡田宗司君 その点はほんとうに確かめてあるんですか。
  66. 政府委員(安藤吉光君)(安藤吉光)

    政府委員安藤吉光君) こちらからの、どの程度寄港するかという質問に対して、そういう答えがございました。
  67. 岡田宗司君(岡田宗司)

    岡田宗司君 私どもは、それにしても、百回に対して、日本に月に一回ずつ寄るとしても年に十二回ということになりますから、よその国にちょいと入港した場合と違って、たいへん多いことになる。やはりこれがしばしば寄るということは、ここは日本がだんだん乗員の休養だけでなく、横須賀及び佐世保が原子力潜水艦基地として利用されていくという道に通ずるものだと思うんです。  まあ、それはそれといたしまして、次にお伺いしたいのは、廃棄物なんかを十二海里から外はどんどんと自由に捨てるんだと、こういうことでございますけれども、これは、どうも日本にとりまして非常に不安だと思うんです。日本は島国でありまして、非常に沿岸が長い。その外へ出ていって——七隻の潜水艦が出たり入ったりするたびに、十二海里出たとたんにいろいろな物を捨てられるということになりますというと、これはたいへんであります。十二海里というと約二十四キロか二十三キロ、そこいらでしょう。日本の沿岸からすると、つい目と鼻の先です。日本の沿岸漁業の船もたくさん出ております。また、日本では今、沿岸の魚が少なくなったとはいえ、ここには魚がたくさんやって参ります。そうして、私どもはこのとれた魚を食べておるんです。こういう点で国民に不安を与えるわけでありますが、この沿岸十二海里というので、日本の沿岸から十二海里のところでぼんぼん勝手に投げ捨てられては、たまったものじゃございませんが、その点は、向こうの言うとおりに、はいよろしゅうございますということで御承認になるんですか。
  68. 政府委員(安藤吉光君)(安藤吉光)

    政府委員安藤吉光君) この十二海里以外の問題と以内の問題は、これはアメリカの内部の規則をここにしるしたものでございます。現在、日本は三海里をとっておりまして、十二海里というものは領海外ではございます。しかしながら、われわれは、やはり先生がおっしゃるように、そのほうのことについても関心があるのは当然でございますが、厳粛に申しますならば、領海は三海里でございます。したがいまして、十二海里、いわゆる公海の中の問題として、これはわれわれは関心を持つわけでございます。で、アメリカの内部におきましては、いろいろ規制措置があるようでございます。たとえば、ある廃棄物は漁場を避けろとか、あるいはそばに船がいない所にしろとか、そういったいろいろなことが規制されているわけでございます。
  69. 岡田宗司君(岡田宗司)

    岡田宗司君 たとえば船がいなくても、船はどんどん動いているので、やってくる。魚はそのときにいなくても、一時間後にやってくるかもしれない。だから、十二海里の所に——日本の目と鼻の先、見える所へぼんぼん捨てられて、そんな所でとれる魚がわれわれの食ぜんに上るのですから、こんなことを認めるなんということは、とうていできることじゃない。アメリカだっておそらく——アメリカ人はあまり魚食わないから、よそからカン詰を買って食っているのですからいいかもしれませんけれども、われわれは十二海里ぐらいの所の魚は幾らでも食っているんです。しかも、波は外へ向かっていくならいいけれども、波というやつは、内のほうへ向かってやってくるので、したがって、十二海里ぐらいすっとやってくるんですよ。そうなってくると、十二海里の所でこんなものをぽかぽか捨てられちゃたまらないじゃありませんか。
  70. 政府委員(安藤吉光君)(安藤吉光)

    政府委員安藤吉光君) 放射能あるいはその他の問題につきましては、アメリカ原子力委員会やその他のものが、相当この原子力潜水艦の建造の際、あるいはその後厳重な審査をしているわけでございます。それで先ほど申しましたアメリカの規則は、十二海里外は何でもかんでもやっていいというわけじゃございませんので、そういった諸般の影響に害がないという程度のものを捨てるようにちゃんと向こうは考えているようでございます。しかしながら、この十二海里内ということは、もう少しさらにその規制を厳格にしているというふうに了解しているわけでございます。
  71. 岡田宗司君(岡田宗司)

    岡田宗司君 十二海里内を厳にするのはよくわかるのですよ。けれども、十二海里の外でも私ども、には非常に危険がある。これじゃ納得できない。十二海里の外だからといって、とにかく潮流というものは日本の沿岸を洗うのですから、これが何千海里向こうなら別ですけれども、十二海里ぐらいの場合でしたら、これは日本に近いのですから、目と鼻の先で、釣に行く人だって十二海里ぐらい出て行きますよ、海釣に。そこで、釣った魚にだってつくおそれがあると思います。それからまた、十二海里というのは、ちょうど日本の沿岸漁業の出ていく適当な所なんです。そこらでぼかんぼかん捨てるということを原則的にも認めるということは、われわれとしてはできません。アメリカアメリカ側の基準があるかもしれません。しかし、日本側からすれば、おそらくだれだって、十二海里の外ヘアメリカのそんなものをまき散らしていいんだということを認める者はおらぬだろうと思います。それでもよろしい、それでも安全でございますということを外務省は科学的に保証できますか。
  72. 政府委員(安藤吉光君)(安藤吉光)

    政府委員安藤吉光君) 私は科学者じゃございませんので、こまかいデータでどうこう言うことは、ちょっと言いかねるのでございますけれども先ほど申しましたとおり、これはアメリカの内部規則を説明しているわけでございます。領海は三海里でございますけれども、しかしながら、アメリカは十二海里の外におきましても、やはり諸般のそういった影響はないように設計し、あるいは操作しているということは、これは十分承知している次第でございます。
  73. 岡田宗司君(岡田宗司)

    岡田宗司君 アメリカは、十二海里から外ならば差しつかえないという基準をきめた。われわれは、それを非常に不安に思う。しかし、あなたはアメリカ説明で御満足なんですか。
  74. 政府委員(安藤吉光君)(安藤吉光)

    政府委員安藤吉光君) 一番の問題は、領海内の問題であろうと思います。領海外の問題でございましても、われわれとしては関心があるわけで、アメリカの規則というものを調べてみますると、こういうようなことがちゃんと出ているわけでございます。やはりアメリカにいたしましても、人体とか、あるいはその他生物とか、そういったものに対する害というものは、十分考慮しているわけでございます。たとえば、私は名前を失念いたしましたが、アメリカ原子力潜水艦は海水を浄化して飯料水にしている。したがって、海洋が汚染するということは、アメリカ自身としても非常に問題なんだというようなことを言っている。一般公海における廃棄については十分に考慮をしている、このように承知しております。
  75. 岡田宗司君(岡田宗司)

    岡田宗司君 いよいよおかしいですね。日本に寄った潜水艦が、日本から十二海里外へ出たときに、その廃棄物等を捨てる。そこでもってすぐに海水から飲み水を作るはずはないのですよ。そのときにはちゃんと日本から積んでいくでしょう。それからおそらくよそでやるでしょう。そんな自分の廃棄物を捨てた所ですぐに水を飲むはずがない。だから、十二海里内はあまり近いから遠慮をしましょう、しかし十二海里を出たら、これはもう公海でもあるし、相当離れているんだからよろしゅうございますということで、ぼかんぼかん捨てられるおそれはあるのですよ。そういう可能性はちゃんとここに書いてある。だから、われわれにしてみれば、十二海里外でも非常に危険なんですね。アメリカへ持って帰ってもらうのが一番いいのです。十二海里の所やなんかで捨てられては困るのですが、依然としてアメリカ側説明で満足されて、それで十二海里の外なら捨ててもよろしゅうございますということを承認するつもりなのかどうか、これは大平外務大臣に伺いたい。
  76. 国務大臣(大平正芳君)(大平正芳)

    国務大臣大平正芳君) 岡田先生の言われることは、日本だけの問題じゃないのでございまして、アメリカ本国の沿岸十二海里の外、あるいはその他の国々にも、あなたが指摘されるような危険性があれば、問題になるはずだと思います。今それを有効に規制する国際条約というものはございません。したがって、アメリカといたしましては、自国の安全も守らなければいかぬわけでございますから、今アメリカがとっておる内部規則というものは、安全性を十分考慮して規制されておるものと、私ども信頼するわけでございますが、なおそれで、そういう内部の規制で魚介その他に安全かどうかというような点につきましては、それはなお検討してみます。が、私はそのように考えておるわけでございます。きのう出しました資料は、冒頭に私が申し上げましたように、われわれの主観を何ら交えてないわけでございまして、こうなっておる、こういう答えがあったということをそのまま申し上げておるわけでございます。そういう点につきまして、岡田先生の疑点が取れないというのでございますれば、なお検討してみます。
  77. 岡田宗司君(岡田宗司)

    岡田宗司君 これらは、アメリカのほうの説明なり、公表された資料なりをまとめて出されたものであって、日本側の主観を交えてないということですと、これをそのまま承認するということではないわけですね。
  78. 国務大臣(大平正芳君)(大平正芳)

    国務大臣大平正芳君) それは、国会からの御要求がございましたので、これまでに入手し得たものをそのまま出したわけでございまして、客観的な資料としてごらんいただいて、疑点がございますれば御論議いただくことはちっとも差しつかえないわけでございます。政府がファイナリーに問題を、これだからこうするんだと、そういうものではございません。
  79. 岡田宗司君(岡田宗司)

    岡田宗司君 私どもには、この資料に、この中間報告に盛られておる技術的な点について、私も技術者じゃないからよくわかりません。たとえば制御棒を少なくする問題について、まあ一般の原子力科学者は、制御棒を少なくするということはなかなか危険があるんだと言っておるが、アメリカ側はリコーバー中将が、技術の進歩によって制御棒を少なくしていいんだ、こういうようなことを言っています。私どもどちらがいいのかよくわかりませんけれども、しかし、われわれはやはり優秀な原子力科学者を日本に持っております。こういう点について、なお日本原子力科学者の検討も私は必要と思うのであります。  それから、今言ったいろいろな廃棄物がございますが、これを十二海里以内あるいは以外においてどうするかという問題がこまかく説明されておりますが、これらの問題につきましても、私はなお日本原子力科学者等の十分なる検討を要する問題を含んでおると思います。さらに他の点についてもそうでございますが、これらの点について、大平外務大臣は前々から、アメリカに回答を発する前には、原子力委員会なり原子力科学者の意向を聞くということを再三言われておりますが、この中間発表をなさるにあたって得ましたアメリカ側資料あるいはアメリカ側説明なりを、外務省は、先ほどから外務省にはまあこういう専門家がおらないというようなお話でございますから、これらについて原子力委員会なり、特に安全性の問題については原子力委員会がこれは管掌するところでありますが、それらの意見を聞く、あるいは原子力科学者の意見を聞くということをなさいますかどうか、その点をお伺いします。
  80. 国務大臣(大平正芳君)(大平正芳)

    国務大臣大平正芳君) 仰せを待つまでもなく、原子力委員会とは緊密な連絡をとりまして、照会を発するにあたりましても、お打ち合わせをいたしておりますし、結果につきましては御検討をいただいているわけでございまして、今後も、こういうことをそういうことでやっていくことは、当然、私ども専門家じゃないのでございますから、当然だと、こう思います。
  81. 理事(井上清一君)(井上清一)

    理事井上清一君) 岡田委員、ちょっと申し上げますが、実はきょう外務大臣は外交用務のため十二時までというお約束でございます。あと曾祢委員からも、野坂委員からも若干の質疑をいたしたいというお話でございますので、たいへん恐縮でございますが、もうしばらくでひとつお願いします。
  82. 岡田宗司君(岡田宗司)

    岡田宗司君 では、私どもとしてはこの中間発表を絶対としてどうも認めがたいし、また、われわれとしては、これを承認して原子力潜水艦寄港賛成するという態度はとれません。私どもは、どうも核戦略基地にはしないまでも、将来核装備日本に持ち込むということの可能性が、あらゆる面から検討して考えられる。その際に日本政府はそれに抗し切れるかどうかという点についても、私どもは従来の政府のとった態度、あるいはアメリカの圧力、そういうものからいいまして信用はできない。遺憾ではございますけれども、信用はできない。そこで私どもは、やはり国民の不安、国民の危惧というものを十分に検討し、そうしてこれらのいろいろな意味での危険性のある原子力潜水艦日本寄港には反対しなければならぬという立場を申し上げておきまして、そうしてここで私の質問は終わっておきます。
  83. 理事(井上清一君)(井上清一)

    理事井上清一君) 曾祢君。
  84. 曾祢益君(曾禰益)

    ○曾祢益君 簡単に二点にわたってお伺いをしたい。  第一は、問題の根本の一つは、やはりいわば原子炉が海の中にやってくるようなもので、非常に原子炉を持ったいわゆる原子力潜水艦という、その原子炉安全性の問題については、いろいろ軍事的な制約はあるにしても、これはよほど慎重でなければならぬ問題だと思うわけです。まあアメリカの言っていることは必ずしも信用できない、日本の科学者が全部実験しなければ、これは日本国民の安全を必ず脅かすというふうに断定してかかるのはちょっとどうかと思いますけれども、逆に言うならば、やはり軍事的な目的のためには安全性というものは相当犠牲にされているという可能性は当然にあり得るわけなんです。それらの点について、炉の安全性についてのほんとうの確証が得られるのかどうか。  それからもう一つは、廃棄物その他の汚染の危険ですね。それから岡田君の言われた点は、ほんとうは領海外の問題、ほんとうは公海におけるこういったような原子力船なんかの全体の汚染が沿岸国にいかなる影響を及ぼすかという、さらに広範な問題だとは思いますけれども、これがちょうど寄港問題と関連してきた以上は、やはり沿岸国の権利として、はたして十二海里以上外に出たら勝手なことをしていいんだというような印象を与えてはいかんと思うのです。そういったような領海外においても、公海における最小限度安全はどの程度を要求するか、いろいろなその安全性の問題についてやはり突きとめるべきものははっきり突きとめていただきたいと思います。そういう意味では、まあ政府中間発表を出されたのですけれども、伺うところによると、官房長官は、スレッシャー号のいろいろ沈没の原因等に関する調査が終わるまでアメリカに返事をしないように言っておりますが、これも考えてみると、ちょっと外務大臣の態度から見るとおかしいようにも思います。それほどアメリカに信用があるのならば、スレッシャー号とは特に関係はない、あるいは潜水実験をやったのであるから、日本におけるアメリカ原子力潜水艦日本寄港の安全問題とは関係ないように言っておられます。それならなぜスレッシャー号の沈没の原因、つまりそういう場合の結局原子炉としての耐久性と言うか、その問題にやはり関連を持ってお考えではないかと思うのですが、そういうことを考えてみても、まだまだ中間発表だけで、これで十分に満足すべきものとは思っておられない。そこで、これからその安全性の問題についてアメリカとどういうふうに折衝をしていかれるのか。それから、最後には軍事秘密の壁というものにぶっつかる。そういう場合には、せめて日本側として可能な限りの原子炉に関する知識を十分に使いまして、その客観的な検討の上に、ただ向こうを信頼するというだけでなくて、やはり学者の見地からいって、これはアメリカの言っていることを、ここまではアローアンスとしてそのくらいは安全度を認めていいじゃないかというような、相当科学的な根拠のある安全性の問題を日本みずからが決定されるおつもりであるか、その点について外務大臣から伺いたい。
  85. 国務大臣(大平正芳君)(大平正芳)

    国務大臣大平正芳君) 先ほどもお答えいたしましたように、原子力委員会を初めといたしまして、専門家の御意見を十分安全性の見地から聴取いたしまして、照会をし、照会の結果は御検討いただくようにいたしておりますし、今後もそのようにやっていくつもりでございまして、私どもは、最大限安全性につきまして御意見をいただくように努力いたすべきものと心得ております。
  86. 曾祢益君(曾禰益)

    ○曾祢益君 官房長官の、きのうですか、新聞に言われた、スレッシャー号の調査がまあ完了するまで、という言葉を使ったか、わかるまでですね、最終的にアメリカに返事をせぬ、これはそのとおりなんですか。その点はどういうあれなんですか。
  87. 国務大臣(大平正芳君)(大平正芳)

    国務大臣大平正芳君) スレッシャー号の沈没事故というのは、ただいま申し上げますように、アメリカ国内で調査委員会が設けられまして検討調査を始めているわけでございます。私も本委員会でも申し上げたとおり、この調査が全部完了いたしましてから、それからというようには考えていない。私どもが科学者の助けを得まして、日本寄港を認めても安全性についての危惧はないのだという目安がつきますれば、私は寄港して差しつかえないと思っておるのでございまして、黒金君がおっしゃったと称することは、打ち合わしておりませんけれども、全部の調査が終了してというふうに私は了解いたしておりません。
  88. 曾祢益君(曾禰益)

    ○曾祢益君 その点はちょっと食い違いがあるようですけれども外務大臣のお言葉を政府発言として伺うと、スレッシャー号の調査の結果を必ずしも待たずとも、アメリカとの交渉等によってその前に回答することがある。こういうことですね。
  89. 国務大臣(大平正芳君)(大平正芳)

    国務大臣大平正芳君) さようでございます。
  90. 曾祢益君(曾禰益)

    ○曾祢益君 もう一点だけ。これは岡田委員が提起されたいわゆる核戦略との関連なんですが、これは言うまでもなく、私どもは、並びに岡田委員もそうでしょうけれども、いわゆるポラリス型でないものを直ちに核兵器だとは言ってないと思うのです。ただ、一般大衆は、それはメーデーのスローガンをごらんになってもわかりますけれどもポラリス潜水艦絶対反対なんて書いてわからぬですからね。どこからポラリスで、どこからノーチラスかということは、これは外務委員会レベルにおける議論なんです。したがって、非常に核兵器、いわゆるさっき一応定義をされたような核兵器潜水艦が入ってくるのだというふうに大衆はインプレッションを与えられているわけです。そういう点は、よほどやっぱり事実問題としてこれは考慮しまして、そこでこの前も私はF105の問題で当委員会で申し上げたのは、そういったような国民政府との問の信頼感の欠除、それから国民の一部には、アメリカ即敵であるといった誤った見方の人も中にはおる。アメリカの言うことは信用できない。そういう宣伝が行なわれておる。したがって、非常に大切なことは、さっきのみならず、従来から政府の言っておられる核兵器持ち込みについては、要するに、現在の安保条約第六条に基づく事前協議があって、それで食いとめられる。しかも、その場合に拒否権があるかないかという議論があったけれども、その点については、岸・アイク共同コミュニケで、日本政府の意思を尊重するということになっている。したがって、持ち込むことはない。サブロック核兵器であるか、サブロックが装置されているか、今後されるかは別として、一般論として政府はそう答弁をされているわけです。私もその場合に、アメリカの言っていることを絶対に信用しないとか、アメリカは悪意を持ってこっそり夕べに一城と言うか、というようにして既成事実を作ろうという意図を持っているとは思いません。また、偏見を持たない日本国民は、そうは考えておらない。ただ問題は、政府の言っていることは舌らずで、法律論で逃げている。つまり三段論法をやっている。絶対大丈夫だ、何となれば、その第一に事前協議がある、第二に事前協議をやった場合に、日本政府の意向を尊重する、ゆえに、いかなるサブロックであろうが、それから今度は従来のノーチラスであろうが、ポラリスであろうが、そういう場合にお断わりする。それからさらに外務大臣は、アメリカ側もその点を承知している、アメリカ側日本核兵器を持ち込もうとは思っておらない、こう言っておられる。それならば、疑惑を一掃するために、アメリカのポリシーとして、日本にいわゆる核兵器は持ち込む意向はありませんということを、従来の安保条約なり、あるいは岸・アイク共同声明を引用しながらでいいです——新たなことを言うのではないのですから——そういう形で、今伝えられるところによれば、少なくともF105ばかりでなく、この原子力潜水艦の問題については、日本政府としてアメリカ政府との間に何らかの意味の、約束でないかもしれませんけれども、書簡交換か何かで言われることもお考えのようでありますが、そこの詳細は聞きませんけれども、もしそういうふうにおやりになるなら、なぜ、この間私が申し上げたようなハイ・レベルの立場からこの機会に誤解を一掃する意味において、すでに条約の仕組みとしては、日本政府の意思に反して核兵器を持ち込むつもりはない、それから日本政府のポリシーとしても、核兵器はお断わりすることになっているのですけれども、この点を確認した上で、アメリカ日本核兵器を持ち込むつもりはないということを言ったほうが非常にプラスだと思います。言うことを何も信用しないのではなくて、今の仕組みからいえば、そのことを相談することになっている。その場合に、日本の意思を無視しないで尊重すると言っているのですから、日本が拒否し得るという立場にあることは事実です。だけど、そんなやぼなことを言わずに、日本政府及び国民の意思を尊重するというポリシーであろうと思うのですね。だとするならば、どだいアメリカがそういうものは持ち込むつもりはないのだということをこの際言ってもらって——もらってという言葉はいけないかもしれませんが、言って、この際不安を一掃することが政治的にベターであることは変わらない。決してそのことは同盟国を疑うとか、疑惑を広げるということにはならない。むしろ疑惑の一掃になる、こう思うので、その点についてぜひひとつ御考慮をわずらわしたいと思います。
  91. 国務大臣(大平正芳君)(大平正芳)

    国務大臣大平正芳君) 核兵器日本への持ち込みを考えていないということは、日米間、われわれの間の常識になっておるのでございまして、特に取り立てて、だから一札書くかというのもいかがと思いまして、先ほど岡田先生、羽生先生の御質問に答えたわけでございますが、しかし、今曾祢委員の言われる、国内の不安解消の手段といたしましてそういうことがあったほうがベターじゃないかというサゼスチョンが今あったわけでございます。とくとひとつ考慮さしていただきます。
  92. 野坂参三君(野坂參三)

    ○野坂参三君 きょうの説明の冒頭で外務大臣が、アメリカの新しい戦略体制の一環として、今われわれ論議している問題とは考えない、こういうことをはっきり言われたと思うのです。この問題は御存じのように、すでにこの前の委員会、もう一つ前の委員会でも、社会党の諸君や私たちのほうからも論議されて、いわば水かけ論みたいになったと思うのですが、その点がやはり一番根本で、これが日本国民が非常に不安を持っている点じゃないかと思うのです。きょうはもう時間がなくなりましたので、この問題については、別に私少しこまかくお聞きしたいと思うのです。まず常識的に考えましても、アメリカ軍事指導者などは、はっきりと、新しい原子力潜水艦のあの核武装によって今までの戦略とは違った体制をとり始めているということは言っておりますし、現実には、前にも申しましたように、また、みなよく御存じのように、ヨーロッパでも地中海でも、あるいは将来印度洋上においても、こういうふうな体制は作られていく。日本の周囲を見ましても、小笠原や沖繩でもそういうような事態になってきている。日本だけが除外されるということはわれわれはだれも考えていないし、こういう問題について私はもっと具体的に真剣に考慮する必要がありはしないかと思うのですが、そういうことから出発しますと、今度のノーチラス型といわれる潜水艦が入ることについてなぜわれわれが不安に思い、国民の多数が不安に思っているかということは、根本はそこにあると思うのですね。きょうはこれについては私はこれ以上深く入らないと思いますけれども、ひとつこうして国会の中でも繰り返し繰り返し論議され、また、国会の外でも大きな問題になっている。それにもかかわらず、なぜ政府がここの文書にありますように一、二カ月に一回とか、その寄港の場合には一週間の休養を云々と、これをあえて承諾しようとされているのかどうかという問題、なぜそんなに、科学者の千人以上のものが反対し、国民の多数が繰り返し繰り返しデモをもって反対している。それにもかかわらず、どうしてこういうことを許さなければならないのか。これは納得いかないと思うのです。そこには奥にもう一つ問題があるのじゃないだろうか、こういう疑惑をみんな持っておると思うのですが、これについて外務大臣お答え願いたいと思うのです。
  93. 国務大臣(大平正芳君)(大平正芳)

    国務大臣大平正芳君) 野坂先生も問題を一般化される傾向が見受けられますが、(笑声)私のほうといたしましては、ざっくばらんに申し上げておるわけでございまして、原子力推進力潜水艦にすぎませんということで、それをすなおに御理解いただければいいわけなんでございますが、先ほど曾祢先生からも御指摘がございましたように、国民の皆様が原子力科学に精通しているわけじゃないし、原子力船の構造について批判力があられるわけじゃないと思うのでございます。われわれ政府があらゆる頭脳を動員いたしまして、可能な限り、御心配は要らぬものだということを正直に御理解いただくように努力すれば、私は御理解いただけると思うのでございます。問題は、政府に対する信頼でございまして、初めから御反対で、政府説明のいかんによっては了承してやろうという御寛容な気持でなくて、もう初めから反対にきめておられる方、そういう方々には、私ども幾ら努力いたしましても、あるいは御了解いただけないかもしれないと私はおそれております。
  94. 野坂参三君(野坂參三)

    ○野坂参三君 これは立場が違うとかいう問題ではなくて、現実の不安、危険というものについて、あのりっぱな学者諸君もああした態度をとっておられますし、決して共産党とか社会党とかの問題じゃないと思うのですね。だから、私はきょうは時間ありませんから、これ以上お聞きしません。別の機会に譲りたいと思います。  一、二この文書に関連して、これは私たちのお願いであり要請だと思いますけれども、十一ページに、十三カ国の三十港に百回以上という事故があったが、これに対しての放射能汚染の事故もなかった、こういうようなことが書かれておりますけれども、百回以上の事故があった、この事故の性質についての資料を提供していただきたいと思います。ここでは、寄港があって汚染はなかったと言われていますけれども事故が幾らあったかということと事故の性格ですね。(「事故もなかったと書いてある」と呼ぶ者あり)しかし、この点が、百回以上寄港したけれども汚染がなかったと言うが、一般には事故があったことは発表されておりますし、スレッシャー号もありますし、そのほかたくさんあると思うのです。事故があって汚染はなかったけれども、しかし、この事故はどういう原因でどういう事態であったか、性格、これをやっぱりわれわれは知る必要があると思うのです。この点をひとつ。  それから、この文書外務省で中間的に取りまとめたもので、「概ね」云々とありますが、われわれとしては原文を見たいですね。これを発表されたときに、私たち実は意外に感じたのです、こういう形で発表されたので、一体、往復文書の原文はどういうふうになっておるか、これをわれわれは知る必要があると思うのです。これを一つお願いしたいと思います。  私はきょうはこれで、これ以上発言はしません。
  95. 岡田宗司君(岡田宗司)

    岡田宗司君 今、野坂委員のほうから事故の問題についてのお話がありました。なるほど放射能汚染の事故はなかったかもしれません。しかし他の事故はずいぶん起こっているのです。たとえば三十四年の十月五日には原子力潜水艦C・ドラゴン号が鯨と衝突して推進機を破壊されたとか、三十五年六月十四日に原潜サーゴ号がハワイ停泊中に火災を起こして核事故への拡大が懸念された。そういうこともあった。あるいは三十六年十月三十一日原潜トライトン号のボイラーのパイプが破れて火災事故に発展したとか、ほかにもたくさんあるのですね、もう読みませんけれども、したがって、全然事故がなかったということはないのです。これらの点はやはり原子炉事故がなくてもかなり不安を与えている点にもなろうかと思うので、それらをひとつあなた方のほうで十分調べて出していただきたいと思うのです。  それから第二にお願いしたいことは、私どもどうも原子力の点にはたいへん弱いのです。ところが、どうも外務省のほうもお強いようには思われないので、したがって、アメリカ側が安全だと言うから安全でございますというのでは、私どもどうも納得がいきません。そこでこの委員会原子力委員会並びに日本原子力科学者に参考人として来ていただきまして、そしてこの問題について、原子力を取り扱う専門家としての立場から、これらの点についての意見を私どもに聞かしてもらって参考にしたいと思いますので、そのお取り計らいを願いたいと思います。
  96. 理事(井上清一君)(井上清一)

    理事井上清一君) ただいま岡田委員からの御発言で、原子力の専門家を本委員会に招致してほしいというお話がございましたが、本件については理事会でとくと御相談をいたしまして、結論を得たいと、かように存じます。
  97. 森元治郎君(森元治郎)

    ○森元治郎君 締めくくりだ。(笑声)結論は、まず、原子力潜水艦寄港は認めるという方針は変えないのか。また、こうやってこのような報告を聞き、国会や学界、あるいは世論、そういうものの反応を見て、非常に反対がある。自民党の中でも、裏のほうでは、表面ではそんなことを言っちゃたいへんだから……裏のほうじゃ困ると言う人もあるだろう。そういうのを見たらやめるというのか。根本を、締めくくりとして伺いたい。  もう一つは、もうすでにオーケーをおっしゃったのだろうと思うのですが、どんなものですか。日本に補給のために寄らせたいと言ったときに、大臣は、一応考えてみようと言ったのですか。御趣旨はわかるぐらいのことは言ったと思うのだが、その問はどうなのか。もう一つ悪口言っておけば、この間の外相談話というのは、裏の人が書いたのだろうか、選挙の立会演説会でしゃべるような原稿ですね。日本だけがあぶない、あぶないと言っている。西洋を見ろ。アジアの諸国だってだれも言ってないじゃないか。西洋は、全部憲法によって軍備を持って、戦争をやる気がまえだから、手を切る刀を持っているわけです。刀を持っていなければ、手は切られんのだから、あぶなくても持つはずだ。アジアなんか、頭が弱くて、何がわかりますか。原子力は、失礼だけれども後進国ですよ、科学的には。こんなものを例に出して、これがわからない日本人かと、非常に高飛車ですよ。これは時間がないから、これで後日に譲ります。
  98. 国務大臣(大平正芳君)(大平正芳)

    国務大臣大平正芳君) 私どもは、この問題は賛成するとか反対するとかいう問題じゃないです。私どもは拒否できる立場にないということは、森委員も重々御承知のとおりでございまして、しかし、政治上の問題、事実問題といたしまして国民が不安を感じておられるから、それについて最大限努力をいたしまして、不安をできれば解消いたしたいということで努力いたしているわけでございます。  それから、第二点として、これの申し入れを受けたときに、何かお約束めいたことをしているのじゃないかというようなお言葉でございましたが、そういうことはございません。とくと考慮してみましょうということでございます。  第三点として、私の談話に対するコメントがございましたが、私どもは事実をそのまま申し上げたにすぎないわけでございます。
  99. 理事(井上清一君)(井上清一)

    理事井上清一君) ほかに御質疑もないようでございますから、本件につきましては、本日はこの程度でとどめ、これにて散会いたします。    午後雰時二十四分散会