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説明員(村田浩君)
燃料としまして天然
ウラン、あるいは
濃縮ウランそれから重油を使いました際に、そのコストがどのようになる、だろうか、こういう御
質問と思いますが一いろいろな試算がございますけれ
ども、一例といたしまして、ただいまここで考えられております
原子力第一船、これは非常に
原子力船としては小型な船でございまして、目的も海洋観測というような、商業目的ではない船でございますので、経済性はやや二の次になっておりますが、まあこの船につきましての数字で申し上げてみますと、先ほど兼重
委員から御
説明がございましたように、第一船に使われます
燃料は、大体
濃縮度で三・七五%ぐらいの
濃縮ウランを使うことになろうかと思います。この
燃料を総量で初めに約二千六百キログラムばかり使うわけでございますが、一度装荷いたしますと、約二年ばかりその
燃料が使えます。そこで現在
アメリカで決定しております
濃縮ウランの価格がございますので、その価格から推算しまして、さらに先ほ
どもお話のございましたように、これを使用後に再処理いたします、そうした再処理の費用、こういったものも推定の中に加えまして、全部でどのくらいになるだろうかという試算をいたしました結果は、およそ年間の
濃縮ウラン、これは
燃料そのものの費用及び加工費その他を全部含めてでございますがおよそ一億六千万円見当になるだろうかと思います。他方、同じ
原子力第一船として考えております六千三百五十トンの船を重油を使いましたエンジンをつけて動かした場合にはどのくらいの
燃料費
つまり重油の費用がかかるだろう、こういうコストを、対比のためにいたしてみますと、この場合のエンジンの馬力を
原子力船の馬力と同様、一万軸馬力といたしまして、年間稼働率
——これは年間稼働率というのが経済性に影響いたすわけでございますが、
原子力船は一度
燃料を積みますと二年も
燃料を取りかえないで動けますので、非常に稼働率が高いわけでございます。重油の場合は途中何回も
燃料を積みかえなければならぬという点がございますので、稼働率はどうしても重油だきのほうが低くなるわけでございます。一般にはこういう型の船でございますと、四〇数%
程度ではなかろうかと思いますが、計算の上では六〇%というようなかなり高い稼働率を仮定いたしまして、かつまた重油の価格をA重油といたしましてトン一万三千四百円ぐういの価格で推定いたしますと、年間のこの第一船を重油だきとした場合の重油の費用は、約一億二、三千万円の見当になろうかという推定が出ております。したがいまして、先ほどの一億六千万円前後と比較いたしますと、
濃縮ウランを使いますほうが二割
程度い結果になるわけでございますが、これは先ほど来御
説明ございますように、
原子力第一船が商業目的でございますことと、それからまた、第一船という
開発途上にあるそういった目的を持っておる、こういうことから来ておるわけでございまして、さらに実用船といったものについての試算を、先ほどお話がございました専門部会あたりでやっていただきました結果を見ますと、たとえば四万三千トンぐらいの
原子力タンカーを
建造いたしました場合に、これを原子
燃料を使う
原子力船にした場合と、それから重油だきの場合の
燃料費を試算いたしました結果は、軸馬力一馬力一時間当たりの
燃料費といたしまして、在来、
つまり重油だきの場合には一円二十数銭、これに対しまして
原子力船でやりました場合には、それはいろいろ型で変わって参りますが、概略しまして安い場合には一円以下、たとえば九十三、四銭、それから高い場合でも一円二十銭ぐらいというような試算が出ております。したがいまして、ごく大ざっぱに申し上げますと、実用船の場合には
濃縮ウランを使います船のほうが重油だきの船に比べまして同型、大きさの船に比べまして一
燃料費としましては約二割ないし三割安くなるだろうという推定が出ております。