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説明委員(村田浩君) ただいまの御質問は、主としてカナダが
開発してきております重水型動力炉に関する御質問かと思いますが、御承知のとおり、カナダでは同国に豊富に産します天然ウランを燃料といたしまして、その燃料をできるだけ長く燃やす、といいますことは、天然ウランなんかに〇・七%入っております核分裂性物質でございますウラン二三五を燃やすだけでなくて、その核分裂の際にウラン二三八に中性子が当たってできて参ります他の人工核分裂性物質プルトニウムを、そのままの形において、特に取り出すということなく、前の燃料の形のままで炉の中でできるだけ燃やす、そういうことによりまして、燃料の燃焼する期間を十分長くする、そのように燃やしましたものも、
最後には取り出して廃棄するなり貯蔵するなりしなくちゃならぬわけでございますが、そういう方法をとりますと、あとに残っておりますプルトニウム二三九の量もそう多くはございませんので、これをわざわざ再処理せずに置いておいても、経済計算の上では十分
発電コストが安くできるのではないかというのがカナダの
開発している一つの
目標でご、ざいます、そう承知しております、このような、カナダが
開発しております重水型動力炉は、
わが国のような燃料事情、すなわち、国内に多量の天然ウランを産するわけでもございませず、また、非常にお金のかかります
濃縮ウランの製造工場を持っているわけでもございませんので、一つの核燃料の有効
利用の方法として
技術的にもたいへん興味があり、関心を持たれるところでございますが、と同時に、カナダと違いますことも事実でございまして、たとえばカナダでは
先ほど申しましたように、たくさんの天然ウランの鉱石を持っております。したがいまして、これを燃やしましてそのまま拾てていくといいますか、使用済み燃料を拾てていく、ワン・スルーといっておりますが、こういうことを比較的とり得るわけでございますが、
わが国のような場合には、いずれにしましても燃料の大部分を外から持ってこなくちゃならぬという事情にございますので、こういう貴重な燃料はできるだけ有効に使うということを
考えなくちゃならぬ要請もあるわけでございます。他面また、カナダ炉の場合には、使用済みの燃料はやはり非常な放射能を持っておりまして、これをそこらに勝手にほうり出すわけにも参りません。厳重な貯蔵装置を必要といたします。あるいは、廃業処分のためにいろいろと
技術的な手間をかけなくてはなりません。カナダは国土広大でございまして、聞くところによりますと、そういう貯蔵等につきましてあまり不自由もないわけでございますが、
わが国の場合は、そういった点でももっと厳重な配慮をいたさなければならぬという要請もございます。そのように、一方でいろいろな特色を持ちつつ、他方また
わが国の事情に照らしますと、また別個の問題もあるわけでございますので、それら両方合めまして、現在
原子力委員会の動力炉
開発専門部会並びにそれに協力しております
日本原子力研究所のほうで、重水型動力炉の
技術的な問題点をいろいろと検討いたしておるところでございます。