○
相澤重明君 私がなぜそれを言うかというと、
大臣、
運輸省の中でもこのように書かれておるように、これは単に
日本の船舶だけじゃないんですよ。ILO国際条約の勧告の趣旨に基づいて、どこの世界の国の船舶でも、そういう安全装置がないのはいけないということをいっているのですよ。これは
日本の法律だけでないのですよ。だから、もし私
ども日本でこういうことをやって、これでいいのだということになれば、外国の不良船舶が来たら、これはどうなりますか。そうでしょう。そういう外国の船舶も早く直させるようにするのが、ILO三十二号条約の勧告の趣旨なんですよ。
日本だけじゃないのです。
日本は、幸いにして、
運輸省も、労働省も、積極的にこのILO三十二号条約に
賛成をされて、省令を改正したのじゃないですか。だから、その趣旨からいけば、さか立ちしているのじゃないですか、あなたの言うのは。なるほど、昨年の十一月二日にそれを出されて、その後二月の業界の陳情や労働組合の荷役拒否という問題が出て、そうして四月九日、十日に船舶局でまたそういう配慮をするようにという通牒を出された。だから、話し合いがついたからいいのだと言うのだけれ
ども、それは単に国内の取り扱いの問題で、私は国際的に見た場合に、ILO三十二号条約の勧告の趣旨ということを生かさなければいかぬ。何のために省令を改正したのだ。労働省と
運輸省がこれだけ一生懸命にやったものを、そういうものを国際的に信用を得るようにすることが趣旨であろう、こういう点を私は主張をしているわけであります。この点については、当時のいきさつは私も了解していますよ。いきさつもよくわかるけれ
ども、せっかくこのILO三十二号条約の勧告の趣旨に従って作ったものを、あまり逆戻りさせないように私はいくべきじゃないか。こういう点で、実は
政府に特に、昨年十一月の問題については、話し合いができたというだけでなくて、公文書ですからね
——これは公文書ですよ、公文書を出されて、そのままのほほんとおくということ自体が私はよくない、こういう
考え方に立っているわけなんです。この点は、これは
大臣も私も意見が違わないと思うのです。今ただ取り扱い上の問題として、役所から出した公文書ですから、それもまだたとえ四隻でも五隻でも残っている。それでしかも、三十八年十一月三十日までこの猶予期間をおくという船舶局の通達なんです。それがあるからこだわっているだけなんですよ。しかし、本来の趣旨からいけば、ILOの三十二号条約の勧告の趣旨に従ってこの省令を出したことからいけば、私はこれは少なくとも誤りである。こういう点について、やはり私は善処されることを望みたい。今すぐどうするかということには、
大臣も船舶
局長も
相談をしなければいかぬだろうと思うし、私は善処されることを望みたい。
そこで、二つ目の問題は、そういって四月この船舶局の首席検査官が
日本船主協会長と
日本港運協会長に出されたものについて配慮したと私は思うのです。思うけれ
ども、それから二月たった六月十一日の当
委員会で私が
緊急質問をしたところの戦標船洞南丸のいわゆる事故というものはどうなった、こういうことを私は申し上げたい。わずか二月きりたっていない。その原因はどうなったんですか、結果は。この間横浜港を私
どもが現地
調査に行ったときに、あの洞南丸のボートと思われるものが拾われて、そうして横浜港に海上保安庁で持ってきてあった。こういうことから見れば、これは荷物も船もなくなったし、人間もついに帰ってこないでしょう。私はこの船舶の安全ということからいって、私が当時
質問をした中にも、ラワン材のいわゆる積み過ぎではないか、片積みではないか、そういうことも申し上げたけれ
ども、そういうことは依然としていまだに解明されないでしょう。そういうことからして、この戦標船に関する限り、そういう問題が出てくるわけですよ。もちろん、悪い不経済船だとか、あるいは古い船だとかいうものについては、なお
関係はありますけれ
ども、とにかく
政府が出された戦標船の問題についても、そういう問題が二カ月後に起きておる。こういうことからすれば、今この六月二十六日の「
経緯」という文書はもらったけれ
ども、私は、ことしの十一月三十日までそのままのほほんでおくなんということは、これは誤りではないか。そういうことで、洞南丸の事故の
経緯については、一体
運輸省はどうその後報告を受けて把握しておるのか、人命財産というものはどうなったのか、こういう経過も報告を聞かなければいけないわけです。
それからいま
一つは、このままの形でいいのか。おそらく私も
大臣も
考え方については違いはないのだけれ
ども、ただ、役所のことだから、いろいろな手続上の問題やあるいは取り扱い上の問題があるだろうから、私は直ちにここでどうこうということは求めなくてもいいと思うのです。いいと思うけれ
ども、
考え方は、私は、どうもさか立ちをしたことでは困る、こう思うのですが、
大臣いかがですか。