○政務
委員(藤野淳君) お答えいたします。揚貨装置用ウインチのブレーキの取り扱いにつきまして、昨年五月に通達を出したわけでございます。その後の取り扱いを申し上げます。
昨年の十一月に、
船舶局の首席
船舶検査官から部内の先任検査官あてに、この問題の取り扱いにつきまして通達をいたしております。これは戦時標準船でありまして、解撤確約書を提出しておる船、または戦時標準船以外の在来船でございまして、近く解撤を
予定されている
船舶のウインチにつきましては、ブレーキの備付を免除してもよろしい、なおそれ以外の船につきましては、ことしの五月三十一日までの間の定期検査の際に備え付けさせることを原則とするが、やむを得ない場合にはこれこれのことということが書いてございます。その
内容は、ブレーキ・ディスクを備え付けてありましても、ブレーキ・バンドを取りはずしてあるウインチにつきましては、ことしの五月三十一日まで猶予してもよろしいというわけでございます。それからそれ以外のウインチにつきましては、ことしの十一月三十日までブレーキの備付を猶予してもよろしいという通達を出しております。それから、同じ通達の最後でございまするが、ことしの五月三十一日までの定期的検査の際にブレーキの備付のない状態でも、揚貨装置制限荷重等指定書を交付してもよろしい。この場合には、第二号と申しますか、
先ほど申しましたように、ブレーキ・ディスクを備え付けてあるにかかわらずバンドを取りはずしてある云々でございます。これらの船につきましては、ブレーキの備付について臨時検査を指定する。臨時検査は、この五月三十一日とか、十一月三十日まででございます。はなはだわかりにくい御
説明でございますが、要するに、この戦標船に対するウインチに対してブレーキの備付を免除する、しかし、戦漂船以外についてはこれこれであるというふうなことを今申し上げたわけであります。
それから、三十八年の四月十日でございます。これは
船舶局長から
日本船協会の会長あてに通達を出しております。これは「
船舶の荷役
設備に関する検査について」という通達でございまして、これは三十七年の五月四日付をもって
船舶安全法の省令の改正がございまして、
船舶の荷役
関係施設について新たに安全基準の制定をいたしましたので、荷役
設備に関してはこの安全の点を十分認識を深めて、揚貨装置、揚貨装具、
作業者の通行
設備、パッチボード及び荷役
設備記録簿等の整備、制限荷重、制限角度の順守、夜間荷役に必要とする照明の供与等十分意を用いて、規則の制定の目的が十分に達せられ、荷役災害の絶無を期するように希望してやまないので、十分その他の
船舶所有者に周知方を徹底してもらいたいという通達を出しております。これは注意を喚起する通達でございます。
それから、その一日前でございまするが、これは
船舶局長ではございませんで、首席
船舶検査から船主協会の会長あてに「ブレーキの備付けを猶予した揚貨装置の使用について」というふうな通達が出ております。これは、先般私の御答弁申し上げたのが非常に抽象的でおわかりにくかった点を、さらにこの文章で明確に、お答えしたことを通達の形で云っておるわけでございまするが、読ましていただきたいと思います。「
船舶の荷役
作業に関連する災害を防止するためには、荷役
設備の整備とこれの正しい運用とが必要要件でありますが、前記の
船舶については、その特殊事情を考慮して特にブレーキの備付けを猶予したものでありますから、その使用に際しては当然一層慎重な取扱いを要するものと認められます。つきましては、これらの
船舶の所有者が、荷役に従事する立場にある者から特に前記のような申し入れのありました事情を十分考慮の上、その積荷の種類及び荷役のための所要時間等について慎重に検討を加え、ブレーキの備付けのないことに起因する災害を起すことのないよう、その使用について十分な留意をする必要があると
考えられますのでこの旨を
関係船舶の所有者に対し周知方お願いします。」ということでございます。
なお、同日をもちまして
日本海運協会会長に対しても通達が出ております。これは「ブレーキの備付けを猶予した揚貨装置の使用について」という、あれでございますが、やはり同様の趣旨のものでございます。
なお、ことしの六月に、通達がございましたその後、船主から
日本港運協会の会長あてに念書が出ております。それも私
どものほうに届いておりますが、これはただいま読み上げました「首席検査官通達により、同規程にかかわらずウインチブレーキの
設備を免除されることとなり之が装備をしておりません。就ては同規程発効後本船ウィンチを使用して荷役する場合同ブレーキなき為によって生じた損害に対しては弊社に於て一切の責任を負い荷役業者に御迷感をかけません。」ということをいうております。
それから、その後ウィンチを自発的に装備した船が次々と出て参りまして、現在ブレーキを通達によりまして猶予いたしました船が四十四隻ございましたが、解撤しました船が九隻、それから解撤が五月末までに確定をいたしておりまして、解撤のために係船中のものが三隻、ブレーキを有する船が四隻、ブレーキを装備させた船が一隻、その他合わせて二十隻の船がございまして、その他の船が次々とブレーキを装備いたしまして、現在ブレーキを持っておりません戦時標準船は五隻でございます。通達に該当いたしますブレーキを強制しておりませんので四十四隻でございましたが、次々とブレーキを装備いたしましたり、あるいは解撤をいたしましたりしましたので、結局五隻だけがブレーキを装備しない船ということに相成っているわけであります。
なお、この問題につきましては、
先生からも先般御
指摘がございましたが、人命の安全に関する問題でございまするので、いささかでも不安がございましたら、積極的に船主はブレーキを装備するのだ、それから、通達では、装備を一応猶予とは申しましたが、現場においていつでも不安のありますものは積極的に装備することをむしろ強要しておるというようなことでありまして、逐次船主はブレーキを装備いたしまして、五隻だけ残っておるというのが
現状でございます。