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1963-06-25 第43回国会 参議院 運輸委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年六月二十五日(火曜日)    午後二時三十二分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     金丸 冨夫君    理事            天埜 良吉君            谷口 慶吉君            天坊 裕彦君    委員            江藤  智君            野上  進君            平島 敏夫君            村松 久義君            相澤 重明君            大倉 精一君            小酒井義男君            吉田忠三郎君            浅井  亨君            加賀山之雄君   国務大臣    運 輸 大 臣 綾部健太郎君   政府委員    運輸大臣官房長 今井 栄文君    運輸省海運局長 若狭 得治君    運輸省船舶局長 藤野  淳君    運輸省船員局長 山崎  城君    運輸省港湾局長 比田  正君    運輸省鉄道監督    局長      広瀬 真一君    海上保安庁長官 辻  章男君   事務局側    常任委員会専門    員       吉田善次郎君   説明員    運輸省海運局次    長       亀山 信郎君    海上保安庁警備    救難監     樋野 忠樹君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○港則法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  港則法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。
  3. 浅井亨

    浅井亨君 この間現地のところを見せてもいただきましたし、いろいろな面からずいぶんと現地の者が困っているようなところがありました。第一番目にお聞きいたしたいのは、信号符字がじゃまになりまして、バース信号と混同して非常に不明だと、こういうのですが、こういうことに関して、長年の間上申もされているそうですが、これに対してはどんなふうにおきめになっておるのでしょうか。
  4. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) ただいま船舶信号符字が明確を欠いているために非常に不便を感じているという御質問でございますが、港則法におきましては、第三十条に「雑種船以外の船舶信号符字を有するものは、入港しようとするときは、港の境界附近でこれを掲げなければならない。」という規定があるわけでございます。これに従って船舶信号符字を掲げるわけであります。この具体的な内容につきましては、船舶法施行細則の十七条の三に詳細な規定がございまして、これによって信号符字の具体的な内容をきめておるわけであります。これが明確を欠くというような点については、状況は明らかでございませんけれども、なおわれわれのほうで検討いたしまして——おそらく天候の関係なりあるいはその信号の種類その他によって不明確な場合があるのではないかと思いますけれども、そういう点を検討さしていただき、できるだけ明確にわかりますようにいたしたいと考えております。
  5. 浅井亨

    浅井亨君 現地の方にお聞きしましたら、長年の間陳情申し上げているということですが、一番最初に陳情を受けたのはいつごろでしょうか。
  6. 亀山信郎

    説明員亀山信郎君) お答えいたします。  ただいまの御質問の御趣旨は、港の水先の方々等から、船舶が港の特定の錨地あるいはバースに着く場合には行先信号旗というもものを掲げるような規定港則法施行規則に出ておりますし、そのほかに、今お答え申し上げましたように、百トン以上の船は、それぞれ船に信号符字というものがきまっておって、その旗を掲げさせておるので、その両方が見分けにくいということでございますが、信号符字のほうはいつごろといって、ずいぶん古くからでございまして、私もちょっと……、もちろん戦前からの規定でございます。それとまぎらわしいというバース信号、行先信号旗、これらはたしか二年ぐらい前から非常に混雑する港で行先信号旗を掲げさせるように港則法施行規則が改められたというふうに記憶いたしております。
  7. 浅井亨

    浅井亨君 こういうまぎらわしいようなことがありまして、おまけに前から、こういうふうに陳情もせられておりますが、今日までそれに対して考えておく程度であったのでしょうか。そうであるならば、外国においての例はどういうふうになっているのでしょうか、これをお聞きしておきたいと思います。
  8. 亀山信郎

    説明員亀山信郎君) 現在、法律的に必ず信号符字を、入港に際して、あるいは港内を通行するときに、掲げることを強制されておりますのは、私ども調べでは——全部世界中調べたわけではございませんが、私ども承知しておるところでは、シンガポールだけのようになっております。しかし、現在、会社によりまして、いろいろの外国の港に入港する際に、自分の船の何と申しますか船名を明らかにするために、会社によっては、どの港に行くときも、入るときには信号符字を掲げて入る会社もございますし、それから会社によっては掲げないで入っておるところもございます。今の御質問の法制的には一応シンガポール港だけというような現在のところ調べになっております。
  9. 浅井亨

    浅井亨君 今お聞きしますと、そのような状態でありますし、なおかつ、船というのは陸上と違いまして、急速に船の方向転換とか、そういうことが非常にむずかしいとしろうと考えで思われるわけですが、こういうまぎらわしい問題は、一日も早く解決するのがほんとうじゃないかと思いますし、またそれを一日も早く解決せんと進めていかれるのが皆さん方の御精神じゃないかと思うのですが、これに対して今後どうあるべきかということについてひとつ御返答願いたいと思います。
  10. 亀山信郎

    説明員亀山信郎君) 仰せのとおり、港の関係者からは、行き先信号旗信号符字とがまぎらわしいという御意見がございます。港内の交通安全上も、これを明確に区分できるように、区別できるようにいたしたいと考えております。そのためにその信号符字を全然取ってしまうことがいいかどうかという点につきましては、ただいま申し上げたように、信号符字によりまして船名あるいは船舶国籍等港湾取り締まり当局が確認し得るわけでございまして、そのほかもちろん無線電信等によって確認もできるわけでございます。無線等施設がまだわが国では十分に各港について普及いたしておりません実情では、今直ちに信号符字を撤廃してしまうということについては、なお検討を要するのではないかと考えます。ただ、両方信号がまぎらわしいということについては、たいへん港内の交通上、安全上困りますので、それぞれの信号符字バース信号とを見分けやすいように、掲げる場所を、たとえば行き先信号旗を高いところに上げさせて、信号符字はそれより下のほうにさせるというふうな、区別の仕方がしやすい信号掲揚方法考えまして、それによって御迷惑をかけないようにいたしたい、かようにいたしたいと思っておる次第でございます。
  11. 浅井亨

    浅井亨君 そのお考えになっているんですが、二年前からだということですが、二年間お考えになったのですが、これから何年間お考えになるのですか。
  12. 亀山信郎

    説明員亀山信郎君) 実は私ども予定では、施行規則で、信号符字を掲げる場所を、一番見えやすい場所、たとえばマストの一番高いところ等に掲げることとすることを考えております。今までは行き先信号旗を一番高いところに掲げておりました——今まではその逆でございましたので、その仰せもございますし、各方面からの御意見も前から承っておりますので、今言ったやり方に八月一日の予定で変えたいというふうに考えております。
  13. 浅井亨

    浅井亨君 今通信の問題が出ましたが、非常にそれが不完全であるがゆえにと、こういうお話がありましたが、設備のないような巡視艇がほとんどと聞いております。これに対する設備はいつごろおやりになるんでしょうか。
  14. 樋野忠樹

    説明員樋野忠樹君) 予算的には、大体毎年十隻ないし十五隻が無線施設の整備をやっておるわけでございます。現在約五十五、六隻残っておるわけでありますが、大体主要港につきましては、そういう無線機の持てるようなものを配置するように部内操作をやっております。
  15. 浅井亨

    浅井亨君 その方法も、だんだんとやるというのじゃなくて、やはりはっきりした目標を持って、これぐらいをやるというふうに、予算関係もそれはあるでしょうけれども、ないそでは振れないと言ったら、それっきりのことでございまして、やはり人命にかかわるところの問題でございますから、これは一日も早く企画を立てて、それ進行していただきたい、こういうふうに私は思うわけでございます。  続いて申し上げたいのは、ああいう事故がありまして火災が起こります、そういう場合の消防艇が、日本のは、昔からの翌慣ございまして、生れつきかもしれませんけれども木造だそうでございます。われわれの家も木造ですから、船も木造でいいんですけれども、だけれども、ああいう火災の場合であり、海の上であります。もしそういう場合には、燃えないようなものがあるそうでございますので、やはり鉄鋼の船にしていただきたい、こういうふうに思うのですが、これはおやりになるお気持があると思うのですがいつごろそれを企画を立てておやりになるのでしょうか、またそれに対する予算の面についても、ほんとうやる気がおありになれば、次々とその手を打っておられると思うのですが、そういうことについてお聞かせを願いたいと思います。
  16. 樋野忠樹

    説明員樋野忠樹君) 確かに、先生の御指摘のとおり、火災の際には、私どものほうの消防艇木造でございまして、スピードも、先生方承知のように、六馬力半から、せいぜい七馬力でございます。木造で燃えやすい、しかもおそいという御指摘でございます。大体現在日本消防艇で一番大きいと申しますのは、大阪港で持っているものが一番有力でございますが、しかしそれでも、この前の宗像丸のような大火災につきましては、とうてい中まで入っていくことはむずかしいと在ずるわけでございますが、しかし、気密の操舵、あるいはエンジンを扱いますリモコンの部屋を作りまして、この前から私ども船技部のほうでもいろいろスピードの非常に早いやつ、しかも船に近寄りましても、ずっと伸ばしていきまして、上のほうから消火液を注水するような船の考案をしたいということで、目下研究中でございますが、大体予算的に参りますと、一億二、三千万円は少なくともかかるだろうと存ずるのでございますが、こういう事件を控えましては、当庁の船艇巡視艇の中の一つの有力なエレメントといたしまして予算要求をして参りたいと思っております。
  17. 浅井亨

    浅井亨君 小型船員ですが、小型船員方々の再教育についてはどういうふうにお考えになっているでしょうか、お話し願いたいと思います。
  18. 山崎城

    政府委員山崎城君) ただいまの小型船員関係の再教育の問題でございますが、何分にも現在の小型船舶海難事故のいうものが、船員の質の水準の低下という点に若干起因されているというふうに考えられますので、私どもといたしましては、現在海員学校が全国に十校ばかりございますが、その三うちの四校ばかりを選択いたしまして、——短期の三カ月程度教育をいたしておるわけでございます。それからまた、民間講習会——船員免状、職員の免状を出す際、講習会というものを民間でいろいろ実施しておりますが、それに対して海難防止協会方面より補助金を出しまして、その点、私ども船員局といたしまして、それをコントロールいたしまして再教育に努めておる、こういう状況でございます。
  19. 相澤重明

    相澤重明君 私は先日横浜港の現地調査に行ったわけですが、その中で考えられたのは、先ほど浅井委員からも質疑がかわされた点もありますが、どうもやはり港の実情を見ると、もっと仕事を進めなければいけないという面がたいへん目につくわけですね。その第一は、やはり港の中が乱雑というか、船の置き場所というか、そういうようなものについて徹底した方針というものが十分とられておらない。一つの例でいうと、はしけが、どうも話を聞いてみるというと、千五百も二千もあるものが、実際にはしけだまりをもって収容できるというものはわずかもう五、六百だと、こういうようなことでは、なるほど出船、入船でにぎわうのはけっこうであるけれども、一たん事が起きるというと収拾がつかないというのが現実の問題ではないか、こういう点が、港を見た場合、また関係者からいろいろな意見を聞きながら、強く感じられた点なんです。そこで、運輸大臣にひとつやる気があるかどうか聞いてみたいのだが、横浜港の場合は、業者等意見も総合して判断をいたしますと、センター・ピアの七号バースというところがあるわけですが、これが米海軍冷蔵庫を持っておるところなんです。これについては、今までの行き方としては、米軍があまり使わない場合には日本の船もそこへ入れることもできると、こういう話になっておる。しかし反面、この間現地調査された委員の諸君はみんな異口同音に思ったことなんですが、すぐ前に端穂という大きな場所を接収されておるところがある。これには、冷蔵庫を初めとして、倉庫が一ぱい立ち並んでおる。こういうところから見るというと、むしろ陸軍と海軍との違いがあるかもしらぬし、あるいは接収の仕方にもいろいろな問題点があるかもしらぬけれども日本政府態度いかんによってはこれは解放するのにそんなにむずかしいことではないと、こういうことを言われておるわけであります。むしろ日本政府がそういう強い意見を出されたらどうでしょうか。日米合同委員会の中に提案をされたらどうであろうか。そうして、もし七号バースを解除されるということになれば、そこには少なくともはしけの百隻くらいは収容できるというのです。これはほかにも幾つかのそういう要請がありました。ありましたが、特に港の中での最も必要不可決なものとして、はしけだまりというものは作ってほしいのだ。この今接収されておるところのまわりはもうほとんど解除されておるのですから、ですからその一カ所だけ残っておる。これはもう米海軍冷蔵庫の移転の費用等の問題になると思うのですよ。そういう問題だけであって、日本政府日米合同委員会の中で話を出されて、ある程度のそういう考えを持たれれば、米軍としてはのくのにはあまり異論がないようなんです。こういう点がほぼ明らかになってきたことであり、また地元横浜市としても、港湾関係者としても、ぜひそういうことをしてほしいと、こう言っておるわけであります。そこで運輸大臣に、そういう点について日米合同委員会にあなたのほうから提案をする、こういうようなお考えを持たれるか、この点は少し運輸大臣としての態度をお聞きしておきたいと思います。
  20. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 御承知のように、日米合同委員会は、そういう返還、その他貸してあるものを返してもらうとか、そういう仕事防衛庁施設庁でやっております。また外務省日米合同委員会幹事会でやっておるはずでございますから、そういう事情をよく調査しまして、そうしてそういうことが可能であるならばもちろんやります。
  21. 相澤重明

    相澤重明君 実は、きのう本院の決算委員会を開きましたので、これはそのときに志賀防衛庁長官と林君を呼んで、そのことを話をしておいたのです。しかしこれは、事港に関する問題は、やはり運輸省所管でありますし、もちろん施設庁もだし、あるいは防衛庁としても、そのことを日米合同委員会に出すことについては差しつかえない。それは、運輸大臣のほうでそういうふうなお考えがあれば、私はできることだと思う。そこで、現状については、きのう私が申し上げたことに対して、防衛庁長官は直ちに事務当局に命じまして、そうして具体的に今作業を進めさしているそうであります。この次の——今月の二十八日に防衛庁決算をまたやるわけです、その際に防衛庁長官のほうから私のほうに説明があるはずなんです。したがって、その期間というものはきわめて短いわけだから、その間に事務当局がそういう作業を進めて、防衛庁がやるのに、もちろん今大臣の言うように外務省の問題にもなるわけですから、しかし所管運輸大臣が知らないということであってはこれはいけないわけですね。だから今日私から委員会大臣にそれは提案をしておきますから、大臣から関係者——外務省なり防衛庁と連絡をとって、できれば私はやはりその作業を進めてもらう。これは、この間現地調査に行った本委員会委員はみんな、そういうことになっているのかということを聞かされたわけです。これがそうできれば、船込み問題に対するまず第一の解決になり、港則法も十分生きるのではないか、こう私は思うのです。この点については、ひとつ大臣の特段の御苦労をいただきたいと思うのですが、よろしゅうございますか。
  22. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 了承いたしました。
  23. 相澤重明

    相澤重明君 その次に、来年のオリンピックを控えて、横浜港等に、いわゆる宿泊設備のある船、いわゆる観光船ですな、先日通った観光基本法に基づくことにもなると思うのだが、そういう観光船を停泊をさせる、こういうようなことがちらほら出ているのでありますが、運輸省として何かそういう点について話をされているのか、あるいはそういう業界のまた話が来ているのか、そういう点についてはどうなっているのか、この際承っておきたい。
  24. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) オリンピックの最盛時におきまして予想される人間が予想どおり来ますならば、約一万ベッド足りないというのが、今日の通説のようになっております。そこで、私どもといたしましては、東京近郊におけるホテルをまず充実し、それで足らぬ分につきましては、日本家屋を改造する資金を充てそうしてそれに代用し、さらに船舶宿泊のできるようなふうのものについてはそれを慫慂し、また先方も宿泊は船の中でやるというので来るという人もあるやに聞いております。そういうことを勘案いたしまして、私どもは、せっかく調査いたしまして、そうしてやるつもりをいたしております。
  25. 相澤重明

    相澤重明君 具体的にちょっと説明して下さい。
  26. 比田正

    政府委員比田正君) ただいまのオリンピックの場合の横浜に参ります船の対策につきましては、事務的には話をいろいろ伺っております。そのおもなことを要約いたしますと、山下町の桟橋のところに、ただいまでも観光船あるいは大きな外国船が着いておりますが、そこの上屋が古いわけです。これをぜひ建て直してもらいたい。ところが、これは非常に大きなものでございまして、五億円ばかりかかります。この上屋に対して現地からは国の補助がほしいということでございますけれども、ただいまのいろいろな建前からいきますと、上屋港湾管理者起債でやるということにきまっておりまして、上屋補助を与えた例はございませんし、法律的にもこれはできないわけでございます。したがいまして、起債でやるなら、五億億円まるまるでも運輸当局といたしましては起債のあっせんをしたいと考えておりますが、補助をしてくれということは、何とかひとつ補助をしないでできないだろうかというように、市の港湾当局とただいま打ち合わせ中でございます。   〔委員長退席理事天埜良吉君着席〕  それから山下町の桟橋自体も、狭いものですから、根元の部分の非常に狭隘なる部分を拡幅いたしまして、これは公共事業でできますから、面積を広くしたい、こういう措置を打つことにいたしております。その他の点につきましては、ただいまのところ、さしずめ問題になったことは私どもは聞いておりません。今の上屋補助をくれという点が一番問題になりまして、補助はわれわれとしてはできないという答えをいたしました。起債ならば幾らでもいたしましょうということを言っておるわけであります。
  27. 相澤重明

    相澤重明君 大臣どうなんですか、今までの法律ということになれば、今局長の答弁したことが、それはそのとおりだと思うのです。ところが、このオリンピックを迎えるということは、オリンピック対策委員会まで両院に作って、国をあげての行事をやると、世界各国のお客さんをお呼びして国際競技をやると、しかも当院においても先日観光基本法というものを上げて、少なくともこういう国際的な人たち日本内容も十分見てもらうと、いわゆる観光経済とまでいわれておるわけですね。そういう中において、四角四面の、今までの通り一ぺんの形で、それでいいかというと、私はオリンピック対策というものはそれじゃ名ばかりかということになると思う。そこでやはり、そういう具体的なオリンピック関係として、どうしても取り入れなければならぬという地帯があるならば、私は特別委員会でもこの点については審議をすると思うけれども、やはり港の問題については、先ほどから申し上げるように、運輸大臣所管であるから、そういう点については、やはり運輸省意見というものがあっても私はいいのじゃないかと思うのだが、その運輸省は、オリンピック特別委員会がある、その特別委員会のほうで議論をするのであって私のほうの関係だけれどもそういうことは知らないと、まあ議論をする必要はないと、こういうことになるのかどうか、大臣オリンピックを来年に控えて今国際場裏におけるわが国の立場というものを考えた場合にどうお考えになるか、非常に大事なことだと思うので、大臣にお答えいただきたいと思います。
  28. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 申すまでもなく、オリンピックは国をあげての行事でございますから、これに対する施策万遺憾なきを期するようにするために、各省おのおの持ち分においてやっておりますが、それを総合的にちぐはぐにならぬようにするために、オリンピック関係閣僚懇談会というのがございまして、そうしてその事務当局で、おのおの、運輸省関係のもの、あるいは文部省関係のもの、あるいは建設省関係のもの、オリンピックを遺憾なくやるためにはこれこれの施設が要ると、これこれを何年何月までにやらにゃいかぬ、こういうことを特ち寄りまして、順次それついて予算措置の必要なものには予算をつけるようにいたしましてやっておりまして、大体遺憾なくいくつもりになっております。
  29. 相澤重明

    相澤重明君 いくつもりになっておりますと言ったって、今の話を聞いてみれば、港に、たとえば観光船——を、そういう船を五隻とか六隻停泊させる——それはそこで宿泊ができることなんですよ。大臣先ほどお話しになったように、外国から来る人が船の中で泊まってもいいと、そういう人たちを迎える船になるわけです。そういう船がとまるのです。ところが、ただ単に港の中に船をとめておくだけでは、これはもういろんな点で不便だから、少なくとも港における上屋等も、これはやはりできるだけ、あまりみすぼらしいことでなくて、オリンピックにふさわしいものにかえていくと、今あなたのおっしゃったように、政府としても、全努力をこのオリンピック行事にはやはりできるだけのサービスができるように国をあげての行事なんだからやるということになっているわけです。ところが、今局長の話を聞いてみれば、いやそれは地元起債があれば、五億かかろうと、四億かかろうと、その起債は認めるけれども、今のところの法律じゃそれはできないのだ——もっともだと思うのです、私は現状までの話では。ところが、オリンピックという新しい時代の要求に対して、一体それでは今までどおりでいいということでいいかどうか、こういうことになると、私は運輸省としての意見があってしかるべきではないか。そのために閣僚懇談会があるのだし、あなたが運輸大臣として、こういうふうに、たとえば港に停泊する船を置く場所においては、やはり港の付属物であるこの上屋等についても改善をする余地があるのではないか、よくする必要があるのではないか。たとえばそれが五億かかるものとして、そのうち一億前後のものは全部起債にやらせるかということについていろんな意見はあるだろう、意見はあるだろうけれども、何らかの政府が積極的なそういう前向きの施策をやらぬで、単にやれやれったって、地方自治団体そう金があるわけじゃないのだし、起債と言ったって、これは借金だから——そうでしょう、借金だから、それは返さなきゃならぬ。そういうことになれば、やはりそういったことで無理はなかなかできないということになれば、せっかく国際人を迎えるのに、十分な措置がとれないじゃないか、こう思うから、私はやはり運輸大臣がそういう点については積極的な意見を出してやっていいじゃないか。それで、オリンピック特別委員会等で十分審議もされるだろうし、また閣僚懇談会の中でも、そういう点についてはどうかということをここで出しても——今出さなきゃ出す時期はない。来年になってからはなかなかできるものじゃないのですよ。三十九年度の予算をこれから八月以降とにかく素案を政府でも作るでしょうから、この三十八年度の予算と三十九年度のそういう予算の中で、私はオリンピックがりっぱにできるようにやはり政府提案ずべきじゃないか。その持ち分はどうなるかわかりませんよ、配分はどうなるかわからぬけれども、いずれにしてもそういうふうにしなければ、ただ今までどおりではできません。これじゃ地方自治団体が借金背負うばかりでもって、そう君でるものじゃないと私は思うのです。そういう点について、大臣の所感をひとついま一度承っておきた  い。
  30. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) そういうことの具体的な問題については、私どもいまだ考えているところではありません。あなた、今の何によりまして、どこの港にどういうバースがあってどうしているというようなことを私まだつまびらかにいたしておりませんが、そういうことを国がやらねばならぬかという問題になりますというと、私は議論があると思います。たとえば、何もああいうところに着けぬでも——横浜に着けぬでも、晴海に着けてもいいじゃないか、いろいろ議論もあります。ですから、そういうことにつきましては、具体的な事実を、そうしてまたそこへ船が来るか来ないかまだわからぬのですから、そういうことがわからなければ、法律に今までないことを、ややともすれば大蔵省は、すべての何をオリンピックに便乗してやりたがっていると言って、オリンピックに関する予算は非常にきつく査定するのです。そこで、そういうことにつきまして、運輸省がやらねばならぬ施策であるというならば、もちろんやりますが、それよりもまだより重大なことを、運輸省としては、横浜港ならば横浜港についてやらねばならぬことがあるかもわかりませんから、よく調査して、実際の問題としてほんとうに必要があるならばもちろんやるにやぶさかではありません。
  31. 相澤重明

    相澤重明君 まあ大臣の答弁も、そのとおりだと思うのですよ。思うけれども、それは今の話で、オリンピックは実際にやるときになってから、お粗末なところを外国の人に見せて、それでいいということじゃなくて、先ほどからやったように、国をあげてとにかくこの盛大な行事をやろうということになっているのだから、そういう面についてはやはり今から準備をするのがあたりまえであって、そういうことをやはり検討をしてもらいたいと、私の言うのは。だから、あなたの言うとおりに、晴海に着くのか、あるいは北海道へ着くのか、それから横浜港へ着くのか、それは私もわからぬ。そういうことはむしろ政府が聞くのであって、あるいはまた業界のほうからいろんなそういう話が出るかもしらぬけれども、自治体からも出るかもしらぬけれども、しかしそのことは準備をするところはするのであって、ただ私ども港を見て、そうしてそういういろいろな話を聞いてみるというと、そういう点が考えられるのではなかろうか、こう思うの、で私はむしろ大臣を鞭撻をして、それを運輸省としてりっぱなものを作る、同じゃるのならばあまり人から批判されないようにやる準備をしてもらいたい。だから、それは大蔵省が何と言おうと、閣僚懇談会なりあるいはそれぞれの委員等できめられれば、それはやはり大蔵省だってやらざるを得ない。田中が一人で国の財布を握っているというわけにはいかぬ。だから、そういう点で、これは私はやはり所管大臣としてのあなたはそういう点をひとつやってほしい。ただ具体的な作業はどういうふうに進むかということはこれからの話ですから、そういう点をあなたに聞いたのです。その点はいいでしょう。
  32. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) 承知しました。
  33. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、私は港則法の問題で、先日も現地調査の際に水先案内人の山下君の意見も聞いてみたのです。ところが、現在の港の中で、現在のような船込みの中で、このままでいくということについては、やはり実際の作業というものが十分できない。もっと水先人をふやす必要もあるし、それから実際の給与問題についても、これはもっとやはり是正をすべきじゃないか、こういう意見が端的に出ているわけなんです。この間現地調査の際に、また同時に他の面から言われることは、水先人が近ごろやはり年寄りがだんだん多くなるということは、若い人が希望を持たない。若い人が率先してそういう仕事に入ってくるというには——労働時間てあるとか、あるいは賃金条件であるとか、そういうものについてやはり足りないから、だんだん老齢化してしまって、若い人が入ってこない、こういうことにもなりはしないかという面も言われておる。これは全部が全部ではないと思うのですよ。けれども、そういう面も一面にあるかもしれぬ。こういう点については、港湾局なりあるいは運輸省全体として、各港におけるこういう問題にやはり真剣に取り組主ない限り、私は前回にも申し上げたのですが、こまかい船がたくさん通っておって、先日の現地調査の中でも、必ず右側を通るということになっておっても、左側を通っている船もある。あるいは三隻しか接岸——岸に着けてはいけないというのに、六隻も七隻も着けておる。そういうようなことが具体的に行なわれておるということは、やはり今のこの港則法を改正して、そういう点を港長にある程度の権限を付与して、あるいはまた巡視艇等も多くして、できるだけそういう事故をなくするように努めるということについては、私も賛成なんだけれども、やはり基本的にそういう問題もあわせて考えていかなければ、私はなかなか直らないと思う。そういう点について、大臣並びに事務当局として、一体そういうことについて、水先案内人等の問題についてどう考えているか。これはやはり今までの折衝過程もあるだろうし、先日のわれわれが聞いた範囲のことからいけば、今言ったように、直さなければならないのじゃないかと思うのですが、どう考えておるか、答弁を願いたいと思います。
  34. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) 水先の制度につきましては、運輸大臣の諮問機関に航行安全審議会というものがございまして、その航行安全審議会の中の一つ部分といたしまして、水先部会というものがあるわけでございます。その水先部会で現在わが国の水先制度の根本的な改善方策というものについて審議を続けておるわけでございます。従来、ややもすれば、水先人の選定というものについても、非常に限られた狭い範囲の選考が行なわれまして、その結果なかなか水先人が広く人材を集めることができないというような弊害もございましたので、その試験制度も改めまして、広く船長の経歴を持っておる者から水先人を集めて参るというように考えておりますし、また水先人の人数をふやすという方策も同時に必要でございますので、そういう方法も検討いたしておるわけでございます。また、現在の水先人組合というようなものの性格というようなものにつきましても、この際再討検を加えるということで、水先部会におきまして水先人制度の改善について逐次今後答申というような形で出て参ると思いまするけれども、これを逐次実施いたしまして、できるだけ早くこの水先制度というものをりっぱな、かつ現在のような非常に船舶の輻湊る港湾実情に合いますように、できるだけ早急に改善して参りたいと考えております。
  35. 相澤重明

    相澤重明君 その水先部会というかその上の審議会というか、とにかくそういう点で今答弁されたように逐次改善をするといったところで、その答申が出てこなければならぬ。そういうものは具体的にどういうふうに進めておるのか、またいつごろそういうことを諮問をして、答申を求めて実現させようとするのか、そういう点はどういうふうに作業は進めておるのか。
  36. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) 先ほどちょっと御説明申し上げました水先の試験制度の改善につきましては、水先部会の結論に従いましてすでに実施いたしておるわけでございます。広く人材を、船長の経歴者から一般的に公開試験によってこれを採用していくというような制度に改めつつあるわけでございます。この点はすでに実施いたしております。また、水先人の数を増加するという問題につきましては、水先料金の改定の問題とも関連する問題でございますので、現在この水先部会におきまして慎重に検討が続けられておるわけでございます。その結論が出た場合におきましては、その料金の値上げの問題は、航行料金の引き上げの問題とも関連いたしますので、関係省とも十分に協議いたしまして、その結果、運輸省としてこれを実施に移すというようなことを考えておるわけでございます。
  37. 相澤重明

    相澤重明君 ですから、その今の人員増とか、水先料金の改定等も含まれるということであるならば、そういう場合、諮問というものに対する答申というものはいつごろ出すつもりなのか、どうなっておるか。
  38. 亀山信郎

    説明員亀山信郎君) 水先制度全般にわたってすでに昨年諮問をいたしておりますので、その中で、今御説明申し上げましたように、水先人の試験制度と申しますか、採用制度については答申が出ております。これは中間答申という形で、水先制度の全般にわたって答申を待つのではなくて、結論の出たところから御答申をいただいておりまして、これはすでに今年の五月ごろ御答申をいただきましたので、それに基づきまして、省令改正で間に合う問題でございますので、省令はすでに改正をいたしまして、募集の公告もすでにいたしております。国家試験の期日は来月の末ごろに行なうように、試験官のほうの準備も着々と進めております。  それから、料金と増員の問題は密接に関連をいたしておりまして、増員と料金の審査は、今審議会の水先部会において審議中でございまして、おそらく来月中にはこれについての結論が答申の形で出て参るのではないかと、現在の進行状況から私どもは期待しておるわけであります。  そのほか、御指摘のございました定年制の問題、あるいは水先人組合というものをどう考えていくかというふうな問題は、今申しました料金及び増員の問題が一応の結論を得次第、すぐ部会において取りかかる。できれば、私どもは今年の末ごろまでに、われわれが立法の準備——法律の改正を要する点がありますれば、次の通常国会に間に合いまするように答申をいただくことをお願いいたしております。審議会のほうで、まあ大体その予定をも御了承いただきまして、鋭意御検討を続けていただいておる次第でございます。
  39. 相澤重明

    相澤重明君 なるべく早くやはりそういう点については答申をしてもらって、先ほど申し上げたように、オリンピックまでには十分そういう点、法律的にも予算的にもできるように私はしてもらいたいと思うのです。  そこで、いま一つ大臣にお伺いしておきたいのは、やはりこれも現地調査のときに出た話でありますが、御承知のように、京浜間は非常にタンカー船が多い。しかも、大きいタンカー船では上流に運ぶことができないから、小さいタンカーに移しかえをしておるわけですね。それで運んでおるわけです。そうすると、タンカーで油を入れて輸送しておるときには重みで船は沈むから、結局橋の下を通っても行かれるけれども、今度はからになってしまうと結局は浮いてしまうから橋が通れない。上がって行ったけれども、下ることができない、通せんぼを食うわけだ。通せんぼを食ったのでは船が通えないから、そこでからになったタンカー船に水を入れて、それで重みをつけて橋を通ってくる。しかしそれは、からのタンカー船に水を入れるんだから、その水を入れっぱなしにしておいたのでは油が入らない。この水は捨てなければならない。これはうまいことを言ったよ。どなたかが言うのには、共同便所だ、海の共同便所だ——というのは、実際にまあ港全体が共同便所みたいなものだ。つまり、船は、所かまわずというのは少し言い過ぎかもしれないが、とにかく荷物をおろして、それでまた帰ってくるときには水を入れて、途中で水は海へ捨てるんだ。それがために、これは直接運輸省所管ではないだろうけれども、農林省ですね——水産庁、魚族資源の確保、こういう問題について、港の近所ではハマグリだとかアサリ等の養殖がこれはできなくなる、貝類が死んでしまう、あるいはノリが全滅をしてしまう——油が流れるから。これは非常に大きいのです、京浜間の事故によるところの被害は。だから、漁民は常にそういうことを要求をしておるわけです。そういう点について、これはしかしどの船がどうだということはできないのですね、たくさんの船だから。そうすると、漁民は、おれたちの仕事、生活の糧であるところのノリがとれないとか、あるいは魚介類が全滅をしてしまう、こういうことを言っておるのだけれども、実際にだれがいわゆるそういう加害者であるということをつかまえることはできない。被害者はあっても、加害者は具体的に出てこないわけです。だから補償もとれないわけです。そこで、そういう問題について、私はやっぱり、運輸省がある程度規制をするというか、あるいはまたそういう問題について、一定の個所に、ここならここに捨てても沿岸の者には迷惑はない、あるいはそういう漁民の生活にいわゆる被害を起こさなくても済む、こういうようなことを考えてやる必要があるんじゃないか。これは一時横浜港において、京浜間で油がだいぶ流れたことがある。外国の船に流ざれたことがあったのですよ。そこで仕方がなくて網を海上に張って、それで油だけをよけるのです。そうしてノリの被害をある程度食いとめたことがある。これは数年たちますけれども、そういうようなずいぶん漁民としては苦労をしておるのですよ、実際にね。だから、そういう点について、漁民ばかりでなくて、私は、ほかの船でも、ほかの港に生活をしておる人たちも、ずいぶんこのためにはやはり影響を受けると思う。したがって、そういう問題について運輸省はどう考えておるのかね。これはもうとにかく船が走っていくのだから仕方がない、いわゆる港全体が共同便所だ、こういうことでやむを得ないのだ、こういうことになるのかね。あるいは、そういうものについてもやはり研究をして、そういう被害をなくすように努力していくという考えがあるのか。運輸大臣、そういうことを聞いたことありますか。   〔理事天埜良吉君退席、委員長着   席〕
  40. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) いや、まま聞いたことはございますが、切実にあなたが今おっしゃったような話は、今初めて聞きました。そこで、それじゃただいま申しましたように、被害者は歴然としておりますが、加害者は実際どうにも……、法律を作れったって、法難の対象をどういうふうにするか、これはなかなか問題ですから、よく研究をしてみますけれども、ここでどうするという案はちょっと立てかねます。
  41. 相澤重明

    相澤重明君 事務当局は、このスーパー・タンカーを初めとし、この前私が当委員会で申し上げたように、これからのタンカーは七万トン、十万トンというものが要請をされ、またそういう大型化しつつある。したがって、その大型船がそのまま接岸をするということはきわめて数少ないわけですね。沖合いにおいて小さいタンカーに移しかえて、それをいわゆる需要家のほうに運ぶ、こういうことになると思う。したがって、そういう移しかえをする小さいタンカーというのが京浜港においてどのくらいありますか、隻数にして、あるいはトン数にしてどのくらいあるのか、これはちょっと説明を願いたい。
  42. 亀山信郎

    説明員亀山信郎君) お答えいたします。現在京浜港で油を運ぶ小さい船は約六百隻という調べになっております。
  43. 相澤重明

    相澤重明君 これはひとつ具体的にあとで資料を出してもらいたいと思う。どこの会社で何隻ぐらい持っておるか——京浜港て今六百隻というのだが、京浜で何隻、大阪とか、神戸とか、そういう重要港湾における隻数をひとつ私は資料として提出してもらいたいと思う。これは今すぐということもたいへんだろうから、資料で出してもらいたい、いいですね。
  44. 亀山信郎

    説明員亀山信郎君) はい。
  45. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、大臣、この京浜港を現実に私どもが視察に行ったときに、そのときの話ですが、今の共同便所は、これは困るじゃないか、当局の人も内々は承知しているわけですね、これは困ると。大臣が今、どういうふうにやるかというのは今お答えできないと言うのは、もっともであって、今あなたも初めて私が言ったのでわかったのだから、今すぐできない、できないけれども、これは何とかしなければいけないということには、別に大臣も私も変わりないと思う。そこで、たとえば京浜港の中に、鶴見でしたか、フォード会社が持っておる何万坪とかいう土地がある。港の一番近いところ、あき地なんです。ところが、これは何しろ国際的な大会社だから、金はあまりほしくないから、払い下げを申請してもなかなかいい返事をしないけれども、たとえばそういうところが有効的に使えるようになれば、これは非常に効果があるものだろう、つまりそういう問題についての処理ができるだろう、こういうことを研究してやればできないことはないという意見があるわけです。これは、事務的に運輸大臣局長や担当者を集めて、そうしてお互いに研究をすれば、私はできるのじゃないかと思う。しかし、それははたして効果があるかないかということは研究してみなければわからぬけれども一つ方法としては、私はそれはよい方法ではないかと思う、そういう点についても、事務当局はかなりよく横浜港のことは港湾局長を中心によく知っているようですから——この間あまり知らぬじゃないかと言ったけれども、聞いてみると知っているようです。そういう点をひとつ大臣あとでよく相談をして、やはり海の共同便所というものはよくない、したがって、便所というものはやはり一カ所きめて、そういうふうにして被害が起きないように、その努力をひとつやってもらいたいと思う。これについては、大臣、同じでしょう、ひとつお答えを聞かせていただきたいと思います。
  46. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 了承しました。
  47. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、今の港における、今まで私どもが視察をした中で、大体の要望事項等については、今の質疑で尽きたわけです。まだ若干あると思いますが、先ほど浅井委員からもだいぶやってもらっておりますから、お互いに見たことやなんかでは、これはいいと思う。  そこで、私はいま一つ、この際、これは少し法律関係あるいは条約関係になる問題ですから、やはり大臣からお答えを願っておきたいのですが、今全国の港の中で商いをする港——商港に、わが国船舶ばかりじゃなくて、外国船舶も出入すると思うのですね。それから同時に、外国船舶の中にも商いをする船ばかりでなくて、米軍等の、いわゆる軍艦というか、潜水艦というか、そういうものについても寄港する場合があると思うのですね。それは、たとえば商港の場合と、そういう軍艦等の寄港する場合と、どういうふうに区分けをしておるのか、この点については大臣からひとつお答えをいただきたい、全国の港でそういう区分けはどうなっておるのか。
  48. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) たいへんむずかしい問題ですから、事務当局にひとつ答弁させたいと思います。
  49. 樋野忠樹

    説明員樋野忠樹君) 軍艦のわが国の入港につきましては、外務省のほうで、入港する各国の政府から通知がございます。外務省のほうから私どものほうに正式に連絡があるわけでございますが、外国軍艦の開港への入港につきましては、実際の問題といたしましては、通知をするという程度で許可するとかせぬとかいうことは外務省のほうで決定いたしまして、それによっそ通知を受け取るわけでございます。
  50. 相澤重明

    相澤重明君 日米安保条約ではどうなっておるか。
  51. 樋野忠樹

    説明員樋野忠樹君) 港則法関係で必ず通知は受けることになっておりまするが、窓口は外務省でございます。直接私どものほうにも、横須賀の米海軍のほうから便宜上海難救助の通知を受ける建前でございまして、それによっても私ども承知しておるわけでございます。それから出先のほうのことにつきましては、一応私どものほうからそれぞれの、神戸なら神戸に入るという通告がございますれば、念のために本庁のほうからも神戸の保安部のほうに連絡しておるような次第でございます。
  52. 相澤重明

    相澤重明君 運輸大臣、今の話聞いておったでしょう。そうなっていないんだよ。日米安保条約でそうなっておるか。
  53. 樋野忠樹

    説明員樋野忠樹君) 日米安保条約によりまして提供されております横須賀、佐世保等につきましては、そういう通知は要らないことになっております。
  54. 相澤重明

    相澤重明君 日米安保条約ではきめられておる。それぐらいのことは勉強しておかなければだめだよ。港が幾つある、どことどこだ。
  55. 樋野忠樹

    説明員樋野忠樹君) 横須負と佐世保で、一つは岩国の一部がそういうふうになっております。
  56. 相澤重明

    相澤重明君 そういうことになっておる。そこで、その場合に、港長にはどういう手続が必要であるか。
  57. 樋野忠樹

    説明員樋野忠樹君) 港長のほうには、横須賀の米軍のハーバー・オーソリティのほうから、一応要らないことになっておりますが、念のために通知してくれるだけの丁寧な手続を向こうはとっておりますが、一般の港につきましては、先ほど申し上げましたように、外務省を通じての通知があるわけでございます。
  58. 相澤重明

    相澤重明君 港のことだから、やはり運輸省はそういう点を勉強してこないといかぬ。これは日米安保条約で水域を指定をして提供しておるところは、これは向こうは自由に入れるのだ。ただし、港長には通告しなければいかぬ。ただ、やかましくいうところの事前協議であるかないか。これは、ポラリス等を初めとして、いわゆる水爆とか原爆とかいわれるようなものがあると、それはいけないのだ。戦力のものについて、そういうものについては、日本政府としては認めない、普通の場合の寄港はそれでよろしい。ただし、入った場合には、事前であろうと、事後であろうと、それはやはり通告することの義務がある。  そこで、その次の問題だ。一般商港の場合——今のは水域をきめて提供をしておるところの話だが、一般商港の場合はどういう取り扱いになっているか。
  59. 樋野忠樹

    説明員樋野忠樹君) 通知がございます。
  60. 相澤重明

    相澤重明君 それは、通知は何時間前か。
  61. 樋野忠樹

    説明員樋野忠樹君) 通常二十四時間以前、はっきりした時間の制限はないように思いますが、大体そういうふうなパイロットあるいは桟橋の工合等の余裕がつきますアローアンスを持って通報して参っております。
  62. 相澤重明

    相澤重明君 その場合に、二十四時間前に通告をしてくるのは、だれに通告をしてくる、だれにまた通告しなければならぬか。
  63. 樋野忠樹

    説明員樋野忠樹君) 港長または港湾管者で、国の適宜な機関ということになっております。
  64. 相澤重明

    相澤重明君 そのとおりですね。そこで私は、その場合に、特に潜水艦であるとか、米軍の軍艦であるとか、こういうものについては、商港の場合は私はきわめてやはり問題は慎重に考えなければならぬと思う。日米安保条約で水域まで指定をして、そして寄港を認めようというところと、そうでない一般の商港——商いをする港ですね。こういうところについては、やはりこれは運輸省がそういう点について関心を持っておらぬというと、先ほどしたような答弁になってしまうのです。やはりもっと勉強しておかないといかぬですよ。今の答弁があったような、港長なり管理者に二十四時間前に通告をして承認を得なければならぬのです。これは日米安保条約を審議する際に長い間論争したことなんです。論争をして、お互いに合意に達して、このことは行なわれるということになっておるのです。そういうことで、今の場合、私は、横須賀、佐世保等の問題は別としても、横浜港については、これは一般の商港と、こういう考えでおると思ったが、その辺はどういうふうになっておりますか。
  65. 樋野忠樹

    説明員樋野忠樹君) さいぜん申しましたとおりでございます。
  66. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、やはり問題が出てくるのは、先ほどはしけだまりのセンター・ピア・七号バースの開放も、日米合同委員会でやってくれと、こう言ったことと同じように、瑞穂地帯があるわけだ。あれだけの長い区間が米軍に接収された。これについては、米軍に基地を提供しておるから、商港といえども、そこには自由自在に入っているわけだな。そうでしょう、それはどういうことになっておりますか。
  67. 樋野忠樹

    説明員樋野忠樹君) 陸岸の施設は提供しておりますが、水域は提供してないので、一応の事前通告が必要であるということが外務省の統一見解で見られます。私どももさように思っております。
  68. 相澤重明

    相澤重明君 そういうことをきちっとしなければいけない。そこで、先日も視察の際にいろいろ話の出たことは、実は横浜とか神戸は麻薬の一番巣くつである。つまり、海外から麻薬を搬入される一番大きなところは、横浜とか神戸とかいう国際港である。ところが、この横浜港の中にある今の一地帯については、これは日本人入れないでしょう。実際問題として、船が入っておったところで、向こうの船を検査できない、なかなか。これはどういうふうにしますかね。こういうものをどうしたらいいと思いますか。そういうことを何か相談したことがありますか。
  69. 樋野忠樹

    説明員樋野忠樹君) 軍艦、公用船につきましては、それぞれ外交特権がございまして、それで、御承知のように、立ち入り検査は私どもはできないのでありますが、その他の船につきましては、随時必要と思えば立ち入り検査はやります。まだ、警察、税関等と協力をいたしまして、船そのものはできなくても、一歩外に出ます場合における、身体検査その他については、それぞれ令状その他で容疑の深い者につきましてはやっておるような次第でございます。
  70. 相澤重明

    相澤重明君 それはあなたの説明のようにできますが、アメリカの軍艦、あるいはアメリカの商船、こういうことも言えるわけでしょう。つまり、米軍の荷物を運んでくるのですからね。あそこは、瑞穂というのは、米軍の荷物を置くところなんです。ここに出入りするのは、軍艦ばかりでなくて、アメリカの船もあるわけです。民間の船もあるわけです。民間の船についてはある程度そういうことが規制をできるのじゃないかと、こういうあなたの答弁だけれども、実際問題として、あそこは治外法権みたいなものですね。瑞穂から出ていくのに、日本人と犬は中に入るべからずという金網が張っちゃってあって、そこから外に出るときには、ジープなんかで出て行ったら、だれがどう調べますか。こういう点について、やはり一つのポケットがあるのじゃないか、こういう点については私もよくわからない。この点については、米軍の人は軍人、軍属というのでしょうね。こういう点については、やはりこれは日米合同委員会あたりの問題ではないかと私は思うのですね。それはどういうふうにしたらば、一体、国際的な恥ずかしい麻薬問題の巣くつであると言われるような横浜や神戸の港の問題を、政府が管理をして日本人がそういうことの起きないようにすることができますかと、こういう点については、今国会では麻薬撲滅なんという決議を盛んにしておるけれども、具体的に一番多いといわれる、飛行機で運んでくるとか、船で船員がふところに入れてくるとか、いろいろやわれておるのだけれども、何千億という金が動いておるのだけれども、そういうなかなかつかむことができない、こういう点については、だれしもがみんなこれは感じておることじゃないかと思う。隔靴掻痒というか、とにかくかゆいところが実際にかけない、こういう悩みというものは、港の中で一番神戸や横浜があるのではないかと思う。こういう点については、政府としてはどういうふうに対策をお考えになっておるか。これは、担当者もさることながら、麻薬撲滅の問題については、これは国の施策でもあるわけだから、大臣からひとつお考えを聞かしてもらいたい。
  71. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 麻薬対策につきましては、各省おのおのの分野において最善を尽くしてやっておりますが、実際また、あなたの今おっしゃったように、商船の場合は、樋野救難監が言いましたように、実際そこに張っておって、ほんとうにつかまえておりますよ。そうして没収したりしております。しかし、普通の場合におきましても、どろぼうがなかなかつかまらぬように、いわんや海から麻薬を持ってくるやつを一々的確につかまえるということは、法律以前の問題であろうと思いまして、各人の道義心に訴え、そういうことを、まあ威嚇的捜査といいますか、そういう事前に対処する何かいい方法考える以外にないと思いますが、実際問題としてはむずかしいことですよ。それで、始終、内閣の総務長官のところに麻薬対策本部というのがありまして、法務省、運輸省、それから国家公安委員会、警察庁等で、逐次どうすればいいかということを検討して、一番いい策を順次実行しておりまして、だいぶんこのごろは麻薬の撲滅ということに一歩前進したように私は思っております。
  72. 相澤重明

    相澤重明君 日本人の麻薬患者をつかまえるとか、売買をする商売人をつかまえるということは警察ばかりでなくて、民間人も協力をして、かなりこれは今、大臣の答弁したように、進んできたと思う。ところが、第三国人というのは、なかなかこれはむずかしいわけだな、実際は。特にそれが軍という名前に隠れたら、これはもう全くの話、処置がないというのがほんとうじゃないかと思うのですね。しかし、処置がないからといって、放任するわけにはいかない、そうでしょう。だから、それはやはり、香港の出先機関を押えるとか、いろいろのことを国際的にも協力をしてやっているけれども、私はやはり横浜に住んでいると、一番どうも心配だというのはそこにあると思うんですよ。だから、むしろこの際私は、瑞穂地帯を、あすこをどいてもらったらどうだろうか。瑞穂地帯をそういうことにして、むしろ港則法の改正の時期に、港というのはこういうふうによくしていかなければいけない、われわれはもっと日本は経済的にも発展させなければいけないから、ひとつあなた方のほうでこういうところへ行ったらどうかと、むしろ先ほど申し上げた水域を提供しているようなところに集めたらいいと思うのですよ。そういうようなことを、今ばらばらに接収をされているもの、あるいは特に港湾においてそういう問題点のあるようなものは、なくすることが私は必要だと思う。そこで、七号バースの問題も合同委員会の中へ出してもらいたいと思うけれども、同時に私はそろそろもう瑞穂地帯の接収解除をしてもいいんじゃないか。そういう点で、麻薬対策も含んでひとつ政府で取り上げてもらいたいと思う。これはまあ一つ現地調査をしなければ私もよくわからなかったのだけれども現地調査をして、たまたま多くの方の意見を聞いてみて、やはりそういう地帯があるのじゃないか、こういう点が考えられるので——これはまあ事実かどうかわかりませんよ、お互いに現地でやっているところを見たわけじゃないので、そういう人がおったか、おらなかったかわからぬが、とにかくそういうポケット地帯というか、空白地帯をわれわれは少なくして、そうして麻薬禍というものを少なくするように努力しなければいけないと思う。これが、政府の中に対策委員会が持たれたり、われわれ国会で決議をしたことの実行に移ることだと思う。そういう面で、私はこの瑞穂地帯の接収解除をひとつ促進してもらうように、合同委員会提案をしてもらいたいと思うののだが、大臣のお考えを聞いておきたい。
  73. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 了承いたしました。
  74. 相澤重明

    相澤重明君 それからいま一つ。これは港のことは大体そういうことでしたが、先日船舶局長であったか、答弁をされた、昨年の五月末以前における船舶局が揚貨装置用のウインチのブレーキの取り扱いについての通達を出した、これに対してはどうするかということをこの前話をしたけれどもこれについて具体的な説明をひとつしてもらいたいと思うのですが、船舶局長に。
  75. 藤野淳

    ○政務委員(藤野淳君) お答えいたします。揚貨装置用ウインチのブレーキの取り扱いにつきまして、昨年五月に通達を出したわけでございます。その後の取り扱いを申し上げます。  昨年の十一月に、船舶局の首席船舶検査官から部内の先任検査官あてに、この問題の取り扱いにつきまして通達をいたしております。これは戦時標準船でありまして、解撤確約書を提出しておる船、または戦時標準船以外の在来船でございまして、近く解撤を予定されている船舶のウインチにつきましては、ブレーキの備付を免除してもよろしい、なおそれ以外の船につきましては、ことしの五月三十一日までの間の定期検査の際に備え付けさせることを原則とするが、やむを得ない場合にはこれこれのことということが書いてございます。その内容は、ブレーキ・ディスクを備え付けてありましても、ブレーキ・バンドを取りはずしてあるウインチにつきましては、ことしの五月三十一日まで猶予してもよろしいというわけでございます。それからそれ以外のウインチにつきましては、ことしの十一月三十日までブレーキの備付を猶予してもよろしいという通達を出しております。それから、同じ通達の最後でございまするが、ことしの五月三十一日までの定期的検査の際にブレーキの備付のない状態でも、揚貨装置制限荷重等指定書を交付してもよろしい。この場合には、第二号と申しますか、先ほど申しましたように、ブレーキ・ディスクを備え付けてあるにかかわらずバンドを取りはずしてある云々でございます。これらの船につきましては、ブレーキの備付について臨時検査を指定する。臨時検査は、この五月三十一日とか、十一月三十日まででございます。はなはだわかりにくい御説明でございますが、要するに、この戦標船に対するウインチに対してブレーキの備付を免除する、しかし、戦漂船以外についてはこれこれであるというふうなことを今申し上げたわけであります。  それから、三十八年の四月十日でございます。これは船舶局長から日本船協会の会長あてに通達を出しております。これは「船舶の荷役設備に関する検査について」という通達でございまして、これは三十七年の五月四日付をもって船舶安全法の省令の改正がございまして、船舶の荷役関係施設について新たに安全基準の制定をいたしましたので、荷役設備に関してはこの安全の点を十分認識を深めて、揚貨装置、揚貨装具、作業者の通行設備、パッチボード及び荷役設備記録簿等の整備、制限荷重、制限角度の順守、夜間荷役に必要とする照明の供与等十分意を用いて、規則の制定の目的が十分に達せられ、荷役災害の絶無を期するように希望してやまないので、十分その他の船舶所有者に周知方を徹底してもらいたいという通達を出しております。これは注意を喚起する通達でございます。  それから、その一日前でございまするが、これは船舶局長ではございませんで、首席船舶検査から船主協会の会長あてに「ブレーキの備付けを猶予した揚貨装置の使用について」というふうな通達が出ております。これは、先般私の御答弁申し上げたのが非常に抽象的でおわかりにくかった点を、さらにこの文章で明確に、お答えしたことを通達の形で云っておるわけでございまするが、読ましていただきたいと思います。「船舶の荷役作業に関連する災害を防止するためには、荷役設備の整備とこれの正しい運用とが必要要件でありますが、前記の船舶については、その特殊事情を考慮して特にブレーキの備付けを猶予したものでありますから、その使用に際しては当然一層慎重な取扱いを要するものと認められます。つきましては、これらの船舶の所有者が、荷役に従事する立場にある者から特に前記のような申し入れのありました事情を十分考慮の上、その積荷の種類及び荷役のための所要時間等について慎重に検討を加え、ブレーキの備付けのないことに起因する災害を起すことのないよう、その使用について十分な留意をする必要があると考えられますのでこの旨を関係船舶の所有者に対し周知方お願いします。」ということでございます。  なお、同日をもちまして日本海運協会会長に対しても通達が出ております。これは「ブレーキの備付けを猶予した揚貨装置の使用について」という、あれでございますが、やはり同様の趣旨のものでございます。  なお、ことしの六月に、通達がございましたその後、船主から日本港運協会の会長あてに念書が出ております。それも私どものほうに届いておりますが、これはただいま読み上げました「首席検査官通達により、同規程にかかわらずウインチブレーキの設備を免除されることとなり之が装備をしておりません。就ては同規程発効後本船ウィンチを使用して荷役する場合同ブレーキなき為によって生じた損害に対しては弊社に於て一切の責任を負い荷役業者に御迷感をかけません。」ということをいうております。  それから、その後ウィンチを自発的に装備した船が次々と出て参りまして、現在ブレーキを通達によりまして猶予いたしました船が四十四隻ございましたが、解撤しました船が九隻、それから解撤が五月末までに確定をいたしておりまして、解撤のために係船中のものが三隻、ブレーキを有する船が四隻、ブレーキを装備させた船が一隻、その他合わせて二十隻の船がございまして、その他の船が次々とブレーキを装備いたしまして、現在ブレーキを持っておりません戦時標準船は五隻でございます。通達に該当いたしますブレーキを強制しておりませんので四十四隻でございましたが、次々とブレーキを装備いたしましたり、あるいは解撤をいたしましたりしましたので、結局五隻だけがブレーキを装備しない船ということに相成っているわけであります。  なお、この問題につきましては、先生からも先般御指摘がございましたが、人命の安全に関する問題でございまするので、いささかでも不安がございましたら、積極的に船主はブレーキを装備するのだ、それから、通達では、装備を一応猶予とは申しましたが、現場においていつでも不安のありますものは積極的に装備することをむしろ強要しておるというようなことでありまして、逐次船主はブレーキを装備いたしまして、五隻だけ残っておるというのが現状でございます。
  76. 相澤重明

    相澤重明君 今だいぶ局長からいろいろ説明を受けたのですが、会議録によって御承知いただきたいということなんだが、これではやはりわからないと思うね。そういう資料を、今の読み上げられたような資料をひとつ委員に配って下さい。そうしてもらわないというと、ずいぶん長くしゃべってもらったし、これは幾つかの通達ですからね、ずいぶんみんな覚えはあまり悪くないほうだけれども。今その通達がどれとどれがどの関係だということを委員長に聞こうと思ったのだけれども、会議録によって御承知いただきたいということでありますから……。  いま一つ私はあなたに質問するからね。今戦標船で解撤をされようとする船が四十四隻、それから装置を持っておらない、ブレーキを持っておらないのが五隻、こういうことなのかな、ざっくばらんに言って。
  77. 藤野淳

    政府委員(藤野淳君) ことしの三月十日現在におきまして、ブレーキの猶予に該当する戦時標準船が四十四隻、自発的に装備をいたしましたのがたくさんございますし、また解撤を逐次やって参りました船が相当ございますので、残りました船でなおブレーキを装備しておりませんのが五隻でございます。  なお、私の申し上げましたのを訂正いたします。なお十一隻の船がございます。これは鉄鉱石輸送船と、それから石炭専用船でございまして、これは積み荷揚げ荷すべて自然の、ウィンチを使用しない船でございまして、これは該当しないということでございますが、ウィンチを使用する船で現在ブレーキを装備していない船が五隻ということでございます。
  78. 相澤重明

    相澤重明君 それで、そのブレーキを保有しない五隻は、三十九年の三月末までに解撤をきめておる船と、こういうことですか。
  79. 藤野淳

    政府委員(藤野淳君) これは、通達によりまして、五隻全部三月三十一日までには解撤をする船になっております。
  80. 相澤重明

    相澤重明君 そうすると、いま一度繰り返すようだが、昨年十一月に首席検査官が出した通達を、ことしの四月ですか、局長なり、その次の日には首席検査官なりが、それぞれ、船主協会なり、この業界に対して通達を出した。それは、猶了をすることをこの前は通達を出したけれども、その取り扱いについては航行安全等の問題で十分配慮しなければいけない、要約すればそういう意味の通達を出したと、こういうことですか。
  81. 藤野淳

    政府委員(藤野淳君) 先ほど読み上げましたのでございますが、たとえば荷役能率に関する文言がございますが、ブレーキのございませんウィンチは、いわゆるエンジン・ブレーキと申しまして、自然にブレーキがかかるわけでございますが、やはりブレーキのある船に比べますと、やっぱりかかり方がおそいわけでございます。したがいまして、荷役能率の点におきましては、ブレーキのある船に比べますと、それだけおそくなるということでございます。安全以外の問題が一つ入って、くるわけでございます。したがいまして、ブレーキのないために、安全についてはかりに疑念はないとして、そのために荷役能率が低下したり、あるいははばまれたりということより起こる問題は、すべて船主の責任であるということが含まれておる点があると思います。二つの点があると思います。
  82. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、長々とお経を読んだけれども、その戦標船四十四隻の名前だな、それをひとつあとで資料でいいから出してもらいたい。四十四隻、あなたの言ったやつ、それから五隻のブレーキがなくてもよろしいといって猶予をした船の名前、それは資料で提出してもらいたいのです。  それから、その五隻というのは、来年の三月三十一日に解撤を予定されるものというのだけれども、これはやはり遠洋航海にも使うのか、近海だけか、どちらなのか。
  83. 藤野淳

    政府委員(藤野淳君) 四十四船の船名は、すべて御提出いたします。  なお、五隻は、遠洋は一隻もございませんで、近海のものだけでございます。
  84. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、大臣に私は聞いておきたいのだけれども、昨年——三十七年の六月に船舶安全法施行規則等の一部を改正する省令を運輸省は出しておるわけです。施行規則等の一部を改正する省令を出された、その中を見ると、第一条から、とにかく船舶安全法というものについて、昭和九年の逓信省のときにきめられたやつを今の時点に合わさなければいかぬということで、船舶安全のために改正したわけですね。ところが、そういう中には、たとえばその六十六条を見れば、「揚貨装置ニ関スル検査ヲ受ケントスルトキハ船舶検査申請書ニ左ニ掲グル書類ヲ添附スベシ」、こういうようにその揚貨装置について具体的なことをずっと書いておるわけです。そういうことをずっと条文を読めば、さっきの局長の読んだお経と同じになってしまうから、私は言わぬが、とにかくこれを昨年の六月に出したところが、労働省がやはり安全作業の問題について、安全衛生規則というものをやっぱり同時刻に出した。運輸省が今言ったところの船舶安全法の施行規則の改正を同時に出した。非常にいいわけですね。その昭和九年当時の戦争前の古い形のものを近代的に直していった。せっかく直したわけだ。せっかく直したのだけれども、それが先ほど局長説明によると、昭和三十七年十一月にその首席検査官なるものの通達で、せっかくこういう省令規則というものを出しながら、今度は一方においてそういう猶予をする、つまりそういう規則には当てはめなくてもよろしいということを出してきたわけです。運輸大臣は省令を、三十七年六月にこういうふうに今度やりなさいと改正を出した。ところが、今度は六月から過ぎた十一月に首席検査官は、今局長が長々と読んだお経のような通達を出した。一体これはどういうことだ。しかもその中には、先ほど局長が言うのを聞いておると、さらにことしの四月に、どうもそういうことでやっぱりかえって疑問があったり間違いがあってはいかぬというので、また通達を出した。その条文を全部読まれたところで、頭に全部入るわけはないんだから、わからぬが、今私が質問で聞いておれば、そういう話だ。省令を出したこと、首席検査官なるものの通達を出したことと、さらにことしになってまた十分配慮しなさいよという通達を出したことと、一貫性がないじゃないかというふうに僕は受け取れるんだな。この点は局長はどういうふうに考えるか。
  85. 藤野淳

    政府委員(藤野淳君) 安全法施行以来、荷役に関する技術的な規制の省令はなかったわけでございます。昨年省令を出しましたわけでございますが、これは日本船舶だけでなく、日本に寄港いたしますすべての外国船舶にも当然適用される省令でございますので、周知のためにある程度の期間が必要でございまするので、その期間を置きまして、その間いろいろ船の状況によりまして適用の段階を設けたわけでございます。なお、その間、趣旨を十分徹底いたしますために、しばしば通達を出しまして、真意が誤解されないように努力をいたしたわけであります。なお、この問題につきましては、事柄の性質上、先生の御質問は当然私ども予期いたしたわけでございますが、関係者としばしば協議をいたしまして、実質的に安全が阻害されないよう努力をいたしたつもりでございます。なお、体裁につきましては、相手が戦標船でございますので、戦標船を特に軽く見て、この点につきましては人命その他軽視したような印象を与えたというようなことがございましたら、私どもの扱いが非常に適当でなかったということでございますので、その点につきましてはおわび申し上げたいと存じますが、実質的には、今申し上げましたように、逐時ブレーキを装備いたしまして、幸いにして問題なく経過いたしておるわけでございます。
  86. 相澤重明

    相澤重明君 大臣聞いておってわかるでしょう。大臣が省令改正をして、いいですか、航行安全について、船舶安全について、とにかく大臣が、近代的立法にしようということで、それに基づいて省令を改正した、三十七年六月。ところが、今度は船舶局の首席検査官がそういうことは必要がないという通達を出した。それでは誤解を受けるから、ことしの四月にもっと配慮しなさいよという通達を出したという御説明なんだ。これは趣旨が一貫しない。それならなぜ、省令を出すときに、そういう特例というものがあれば、そのときに、これこれのものについてはこういう特例を認めてもよろしいということを出さなかったのか。省令が出てから半年もたってから何だ。これは、そういう取り扱いをしておるから、やっぱり役所というものはマンマンデーだと云われるんだ、そうだろう。大臣聞いていたってわかるでしょう。大臣が省令改正を出したものを、今度は半年たってからそれはしなくてもいいんだという通達を出して、それは船舶局の首席検査官というのだ。大臣の責任ですよ、率直に云って。あなたが大臣に就任してから出された通達だよ。あなたどんな相談を受けたんですか、そのときに。六月に法律を出して、あなたが七月の改造で入ったのじゃないか。それで、今度は十一月になってから、それはもういいのだという通達を出すなんというのはずいぶんおかしな話じゃないか。僕はおそらく、そういう省令改正の中のこまかい各条文について、あなたが見て、これはなるほどそうかということで僕は判を押したのじゃないと思う。それともあなたは、これを見て判を押しましたか、知らないだろう。
  87. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 知らない。
  88. 相澤重明

    相澤重明君 そういうことだから困る。しかし、これは怒ったってしようがない。(笑声)しようがないけれども、僕の云うのは、やっぱり法律を出すときとか、政令、省令を出すときには、それに関係する点については、特例なら特例でいい、僕はそれは認めるけれども、あんまりさか立ちをしたことはしてもらいたくない。今後は十分注意をしてもらいたい。大臣どうだ。
  89. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) はい、承知いたしました。
  90. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、船舶局長に、あなたばかり責めるようになっちゃったけれども、これはあなたを責めているわけじゃなく、これは全般の問題だから、体系上の問題やそういう取り扱いの問題で僕が云っておるので、今後そういうことのないようにしてもらいたいのだけれども、やはり具体的に、監督官庁としての船舶局長船舶の安全については何といったって一番責任者なんです。その責任者が、ことしの三十八年十一月三十日までは二号についてはよろしい、猶予をする、こういうようなことまで云っておるわけだな。ずいぶんいいかげんのんびりし過ぎておると思うのだ。配慮しなければいけませんよというのを四月に出しておきながら、昨年の通達はことしの十一月までまだ猶予をしますという。来年の三月三十一日までになってしまえばなくなってしまう船だから、解撤を予定している船だから、そんなことをする必要もないでしょう、五隻だから。むしろそういうものについては、安全を侵すようなおそれのある、あるいはまたそういう疑惑を受けるようなものは、むしろ同じ解撤をするなら早くしたらいい、どうせ三月末には全部戦標船はやってしまうのだから、そういうような考え方を船舶局長は持っているのかいないのか、どうですか。
  91. 藤野淳

    政府委員(藤野淳君) ウインチのブレーキにつきまして、ただいま御指摘のようなお話があったわけでございますが、先般の戦時標準船に対して、安全検査につきましては、他の一般船、在来船よりも十分念を入れ注意をして検査をさしておるのでございまして、戦時標準船であるがために検査を粗略にするということは全然私ども考えておりませんし、そのような指導も全然やっていないわけでございます。  なお、この五隻につきましては、来年三月末日を限度といたしまして逐次解撤をされるわけでございまして、その船につきましても、荷役以上いささかでも不安心の点がございましたら、これはもう即刻ブレーキをつけたいと、かように考えておる次第でございます。
  92. 相澤重明

    相澤重明君 安全が侵されるようなことになれば、即刻それは処分をするということの意味だと思うので、私も賛成だ。そういうことのないようにしてもらいたいし、むしろもうそういう船については、港湾荷役の組合の人たちは荷役を拒否をする、それまで強い意思を持っておる。だから、私は、政府がせっかく省令を改正をして安全を確保しようというのに、逆コースのような面の通達を出されたことは、この際率直に云って、今の局長の答弁のように直していく、こういうことにするのがよろしかろうと思うのです。そういうことで、この戦標船の取り扱いについては私は希望をしておきたいと思う。したがって、先ほどもいろいろこまかい資料が述べられましたが、私も要約して聞いておったわけでありますから、その資料はお出しいただきたいということと、それからいま一つは、労働の安全の問題について、これは運輸省は労働省との中でどういう打ち合わせをするのか、これは安全委員会−審議会というのか、そういうものについては日ごろどういう打ち合わせをしておるのか、運輸省の立場で一つ御返事を聞いておきたい。
  93. 山崎城

    政府委員山崎城君) 運輸省船員労働の面について所管いたしておりますので、たとえば船内の労働の安全というような面につきましては、常時労働省と密接な連絡をとってやっておる次第でございます。
  94. 相澤重明

    相澤重明君 だれが担当、どこが担当。
  95. 綾部健太郎

  96. 相澤重明

    相澤重明君 そういうところでは、それでは、港湾関係のこの前申し上げた参考人も呼んだりして、意見も聞いたりしましたが、そういう組合等の意見運輸省では聞いておるわけですか。
  97. 比田正

    政府委員比田正君) 今のお話は、少しこんがらがっているようでございますが、港湾の荷役については港湾局でございます。その際に、船との直接関係がございますから、船のでき工合がどうかとか、あるいは船員さんがどうかとかいうことになりますと、これは船員関係船員局でございますし、船舶関係船舶局ということになります。荷揚げそのものの労働作業については、港湾局で労働基準局と打ち合わせしてやっております。このことについては、たびたび御説明申し上げておりますとおりでございます。
  98. 相澤重明

    相澤重明君 つまり、関係がそれぞれの部局を通じてやっておるということでいいわけだな。船舶局だけでやっているというのではない、よろしい。そういうことで、私は、港湾荷役等の問題を初め、戦標船のこういうウインチのブレーキ関係等の問題については、労働安全の問題から御質問申し上げたわけでありますが、政府態度はたいへん前進をしておると思いますので、了承いたしました。しかし、運輸大臣は、やはり先ほど申し上げたように、法律改正を行なう際には、そういうもろもろの条件があるのですから、あまり時がたってしまって、気のきいた化けものが引っ込む時分に、おかしな規則等を出さぬように、出すときには、やはりそれとあわせてそういう関係の問題を処理してもらいたい、このことだけはきちっと守ってもらいたい。以上によって、まだ少しという話だったけれども、大体大臣も熱心に話を聞いてくれたことだから、私もこの辺できようの質問は終わります。資料がたくさん出ますから、それに基づいてまたやります。
  99. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 本案についての質疑は、本日はこの程度にいたします。  次回は、二十七日午前十時開会を予定いたしております。  本日はこれをもって散会いたします。    午後四時二十四分散会