運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1963-06-11 第43回国会 参議院 運輸委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年六月十一日(火曜日)    午後一時二十五分開会     ————————————— 委員異動  六月五日   辞任      補欠選任    川野 三暁君  前田佳都男君     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     金丸 冨夫君    理事            天埜 良吉君            天坊 裕彦君            岡  三郎君    委員            江藤  智君            河野 謙三君            野上  進君            平島 敏夫君            村松 久義君            相澤 重明君            大倉 精一君            小酒井義男君            吉田忠三郎君            浅井  亨君            加賀山之雄君            中村 正雄君   衆議院議員    発  議  者 福家 俊一君    発  議  者 勝澤 芳雄君    発  議  者 内海  清君   国務大臣    運 輸 大 臣 綾部健太郎君   政府委員    運輸政務次官  大石 武一君    運輸省船舶局長 藤野  淳君    運輸省自動車局    長       木村 睦男君    運輸省観光局長 梶本 保邦君    海上保安庁長官 辻  章男君   事務局側    常任委員会専門    員       吉田善次郎君   説明員    内閣総理大臣    官房参事官   有田 輝夫君    日本国有鉄道    営業局長    今村 義夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査海運に関  する件) ○観光基本法案衆議院提出)     —————————————
  2. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  初めに、委員異動を報告いたします。六月五日付をもって委員川野三暁君が辞任し、その補欠として前田佳都男君が委員に選任せられました。     —————————————
  3. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 次に運輸事情等に関する調査議題といたします。
  4. 相澤重明

    相澤重明君 この際、運輸大臣並びに海上保安庁長官海運局長に、洞南丸の問題についてお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、今海上保安庁から汽船洞南丸消息不明事件についての資料をちょうだいをしたわけでありますが、このことはすでに、フィリピンからラワン材満載をして名古屋に向かう途中に、本月六日にそういう事故が起きておるというのでありますが、いまだに消息が不明である。しかし、今朝の新聞ニュース等によりますというと、運輸省海上保安庁に対して、空前の大捜索網を展開をした、こういうまあビッグ・ニュースが出ておるわけでありますが、私はまあもちろん政府のそういうとった態度は了承するのでありますが、しかし、あまりにも期間の経過が長過ぎる。こういうものについては、一体どういうふうにこれまで長く放置をしなければならなかったのか、これが第一点。  それから二つ目には、今回のこの遭難をされたと思われる船が戦標船ではないかという点であります。これが戦標船であるのかないのか。戦標船をするならば、その戦操船におけるところの施設等の問題について一体どうなっておるのか。私はここに、昨年の——昭和三十七年五月三十一日以前において船舶施設してあるウインチブレーキのないものはブレーキを備えつけなくてもよいという運輸省船舶局検査官の通達が出ておる、こういうことをきょう知ったわけであります。一体これはどういうことなのか。航海の安全、航行の安全ということを、われわれは、海運法案を初め、今日まですべてまあ審議をしてきたわけでありますが、こういうこのウインチなりブレーキ等の不備でも差しつかえがないというようなことを政府通達を出したということは、一体何なのか。いろいろ情報によりますというと、ラワン材満載をし、しかもその積み荷の仕方によって船は遭難をしたのではないかというようなことまで言われておる今日、私はこういう点についてはきわめて重大だと思う。したがって、本日のこの運輸委員会の冒頭において、運輸大臣に、そういうことについての調査というものがどうなっているか、あるいは運輸省通達というものはどうなっておったのか、こういう点については率直にあなたのほうから御答弁をいただかなければならぬ、関係者説明を求めたいと思うのであります。
  5. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) たびたび遭難事故が起こりますことは、まことに遺憾でございまして、この点深くおわび申します。  洞南丸事故につきましては、海上保安庁その他当局より詳細説明いたさせますから、御了承願います。
  6. 辻章男

    政府委員辻章男君) 今御質問がございました、なぜ六日の事故が九日まで巡視船等の出動がなかったかという点でございますが、大体私どものほうでは、巡視船を配置し、また遭難等通信を受けましてから、巡視船あるいは航空機を出動さすという建前を、とっているわけでございます。この本件につきましては、船から遭難とか、あるいはSOSという何らの通信がなかったわけでございます。それで、資料にも書いてございますように、実は船主のほうから、三日間余りも消息がないので、遭難ではないかと思われるという、いわば捜索願いが出て、それから活動したという経過に相なっているわけでございます。
  7. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) ただいまの、洞南丸戦標船であるかどうかという第一の御質問でございますが、これは戦時標準船でございます。したがいまして、戦時標準船に対する特別の強化検査の適用を受けておる船でございます。  それからもう一つの問題でございますが、昨年の五月にウインチブレーキを強制することを戦時標準船に対しては緩和したという問題でございまするが、これは正確な日付等につきましてはただいま調べておりまするけれども、この問題につきましては、私どもは従来それで参っておって何の事故もなくやっておりますし、特に危険と考えられるものは当然つけなければならぬわけでございまするけれども事柄の性質上、技術的に申しましても、その通達は何ら不当な通達ではないというふうに私どもは今でも信じておる次第でございまするが、この問題につきましては、現場従事職員に不安を起こすようなことがありましては問題でございまするので、いささかでも不安がありますものは、これは進んでつけることをわれわれはむしろ慫慂しておるわけでございまして、つけるなということは決して言ってないのでございます。  以上でございます。
  8. 相澤重明

    相澤重明君 今の局長答弁大臣聞いておったか、あなた聞いておったね。船舶航行安全について、少なくともあらゆる施設をし、また努力をして安全をはかるということは、当委員会において今まで何回も言われたことなんです。そうですね。そこで、私が今心配しておるのは、荷物の積み方とか、積載量の過大であるとか、いろいろなことを言われておるけれども、もしそういうことが原因であったら、これはたいへんである。一部の業者の中では、すでにこれは積載数があまりにも過量ではなかったか、それがための、いわゆる台風等によって進路を誤って、そういう事故を起こしたのじゃないかというようなことも言われておる。どっちがどうだかわからない。今ここに持ってきておればすぐにそれはわかるんだけれども、結局はどこへ行ったかわからないから捜索をしておるということになるわけです。ところが、今の局長答弁を聞いておるというと、三十七年五月三十一日以前において、運輸省船舶局が下部に通達を出したのは、船舶施設してあるウインチブレーキのないものはブレーキを備えつけなくてもいいということを出したというのだ。それは差しつかえがないという局長答弁をした。一体積荷なんかをする場合に、そういうウインチブレーキがなくても差しつかえないのかどうか。これは私は、こういうようなことをのめのめと答弁するような運輸省態度が気に食わない。何だ、一体。少なくとも船にはできるだけの設備をし、施設をするというのが、当然なことではないか。それを、そういう施設をしてあるものでも、ウインチブレーキは備えつけなくてもよいというような指示をするということは、一体どういうことなんだ。これは運輸大臣として、昨年内閣改造でもって運輸大臣に就任をしたので、それ以前の問題ではあるけれども、そういうことを少なくとも運輸省通達を出したということは、一体何だ。しかも、今の局長答弁を聞いておると、それはそういうふうに無理にあるものは取れとは言っていないというような答弁の仕方だけれども、差しつかえがないということはどういうことだ。少なくとも航行安全と、あるいは積荷等の問題については、船舶に支障のないように、そういう事故が起きないように、しかも船員についても、人命財産を守るための航行安全ということは、今日まで叫んできたのじゃないか。しかも、その新聞が伝えるところによれば、海上保安庁がせっかくそういうふうな、今までにない、かってないほどの空前の大捜索網をもって今日この問題に、多くの船員の諸君はどうなっておるだろうか、あるいはフィリピンから輸入するところのラワン材はどうなんだろうか、こういう心配をしておるときに、そういう船舶機械設備についてはなくてもいいというような考え方を持つということ自体が、私はどうもわからない。したがって、これは運輸大臣が少なくともそういう通達を出されたことについては、今の局長答弁であなた方わかったと思う。それがわかって、それでもいいというようなことが言えるかどうか。そんなことは許されませんよ。少なくとも、今日まで当委員会は何回開いたかわからない、そういう問題で。私はそういうような答弁をするような局長は気に食わない。なぜそういうことを、機械設備なんかをどうでもいいというような発言をするのか。私の聞きようが悪かったならば、それはそうではない、こういうことだという説明をして下さい。
  9. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) ただいま私の御答弁を申し上げましたのが、非常に誤解を招きましたようでございますけれども、私は、戦時標準船の搭載しておりますウインチブレーキをつけなくてもよろしいという通達は、これはただいま全文を持っておりませんので、全文をお読みいたしませんと、全体の空気が御了解いただけぬと思いますんですけれども、当時そのことにつきまして、現場方々あるいは乗組員方々とも十分誤解のないように協議をいたしまして、関係方々は十分御納得がいった問題でございます。われわれといたしましては、戦時標準船であるがために不安全でよろしいという考えは全然持っていないのでございます。この問題につきましては、戦時標準船に対する検査を強化するという精神で、われわれは普通の船よりもむしろ十分な検査をいたしまして現在きているわけでございまして、戦時標準船も、強化検査によりまして、必要な強度の補修をやらない船はもう当然これは解撤しなければならぬという非常に強い態度安全管理をいたしているわけでございます。先ほどお答えいたしましたのが、非常に誤解をお招きしたようでございますので、お許しをいただきたいと思います。
  10. 相澤重明

    相澤重明君 局長がそういうふうに、昨年の出した通達内容についてもあとで説明があろうと思いますから、それはその時期に譲りますが、私は、少なくとも航海の安全ということは、われわれ運輸委員会で常に主張しておったことであるし、しかも、今回のこの洞南丸遭難——遭難だろうと思うんですが、今捜索しているのだから。そういうことから考えて、もしも今私が言ったようなことであれば、これはやはり運輸省の責任もあるんですよ。だから、そういうことで、はたして積荷が多過ぎたのか、それが傾き過ぎたのか、いわゆる積荷の仕方が悪かったのか、こういう点については、現地の事情も聞いてみなければこれはわからぬ。現に遭難した後はどうなっているのか。船員人たちも、三十三人という多くの人命を失ったかもしれぬ、場合によれば。いまだにわからぬのだから。こういうことから考えれば、人命財産を尊ぶことは、われわれがどうしてもなし遂げなければならぬことなんです。少しでもそういう不幸なことが起きないように努力していくのが、私どもの立場だと思う。そういう問題について、いま一度この点については、きょうは緊急質問してございますから、大臣よく詳細に調べて、後到報告してもらいたい。  以上で私の緊急質問を終わります。
  11. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 了承いたしました。
  12. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 別にございませんようでしたら次に移ります。     —————————————
  13. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 観光基本法案議題といたします。御質疑のあります方は、順次御発言を願います。
  14. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 私は、先般本委員会に提案されました観光基本法案について、二、三の点をこの際提案者並び関係政府側委員質問をいたしたいと考えるものでございます。  その第一は、運輸省観光局資料を見て参りますと、これは十九、二十ページでございますけれども観光あっせん業者認可登録をされておりますものは、大臣登録として四十七、海運局において認可したものが五、陸運局関係が九十一、都道府県が認可登録をいたしておりますものが千九百四十二、こういう具体的な数字が載っておりますけれども、第一に、この数字に誤りがあるかないか、この点を確認をいたしておきたいと考えますので、観光局長のこの際お答えをお願いしておきたいと思うのでございます。
  15. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) ただいま御指摘の、資料十九ページ以下にございます数字は、本年一月一日現在の数字でございまして、そのとおりでございます。
  16. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そこで、この件数が間違いない、こういうことになったので、この数字ではかなりあっせん業者があるということだけがわかったわけであります。そこで、約二千に近い国内におけるあっせん業者が、それぞれの企業として存在して、それぞれの従業員をかかえておるというふうに思うのですが、一体これらの従業員賃金水準というものはどういうことになっておるか、観光局として調査しておるかどうか、この点をお尋ねをしておきたいと思います。
  17. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) 御承知のとおり、旅行あっせん業者登録制になっておりますので、まだそこまで、先生のおっしゃった点まで詳細な調査は十分いたしておりません。
  18. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 登録制になっておるから調査は十分してない、こういうことなんだけれども、今度の基本法ができたら、しからばそういうところまでできるかどうかということを加えて私から聞いておきたいと思います。
  19. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) あっせん業者につきまして、いろいろの点が私どもの耳にも入って参りますし、やはり外国でもそのようなことが問題になったことがあるようでございます。現に、最近フランスでは、今まで登録制でありましたものを免許制に切りかえたというふうなことも見受けられるわけでございます。その点私ども検討をただいまいたしておる段階でございます。
  20. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうしますと、外国の例をとって申されましたが、具体的に局長に私は聞きますけれども、今申された二千何がしのこのあっせん業者の中には、歩合制度が非常に多くとられておるように私どもは見受けるわけです。それで、これがために非常に従業員は不安定な待遇を受けておる。特に私どもは風潮として聞くわけですけれども、中には旅館やあるいはバス会社などから料金の不払いや持ち逃げをしたというようなケースなども、時おり地方紙を通してわれわれは見たり聞いたりしているのですが、こういう事柄について、それを監督指導いたす観光局として承知しているかどうか。
  21. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) お説のような問題が、残念ながら過去においても起ったことがあるわけでございまして、そういうふうなことは運輸省としてもまことに申しわけないことでございますので、あっせん業者組合協会等を通じまして平素から行政指導もいたしまして、そのようなことの起こらないようにというので、十分行政指導はいたしておるつもりでございます。しかし、極端な言い方をいたしますと、いわゆる私鉄、海運会社のような大企業が兼営でやっておられますようなあっせん業形態もございますれば、極端な場合には机一つ電話一つというふうな形態でやっておりますあっせん業も中にはあるわけでございます。そういったものを今後どのようにして行政の軌道に乗せていくかということが、私どもの大きな問題だと考えておるわけでございます。
  22. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そこで、局長もやや認めているように、非常に今の場合はある一種の過当競争の中における混乱が生じているのではないか、こう見るわけです。そこで、さっきの話に戻るわけですけれども運輸省観光局としては、この基本法ができるできないにかかわらず、もう少しこの問題に重きを置いて、あっせん業者の実態並びに従業員賃金などについても調査をして参らなければならぬじゃないか、こういう気がするのです。ここまでくると、もとよりこの基本法は除いて、現行法にも若干の私は問題があろうから、当然法改正ということにもなろうと思うけれども、そのこととあわせて、この基本法との、どの条項に関連するか、この点をお聞かせ願いたいと思います。
  23. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) 第二章「国際観光の振興」というところに、第七条に、「外国人観光旅客に対する接遇向上」ということがございますが、この中に、三行目に、「通訳案内旅行あっせんその他国際観光に関する」云々というふうな言葉がございます。ここで国際観光の面におけるいわゆる一般登録旅行あっせん業について規制が行なわれているようでございます。それから「観光旅行者の保護及び観光に関する施設整備等」という第三章に参りますと、第九条、第十条というところ、特に第十条に、「国は、観光旅行者の利便の増進を図るため」、「観光に関する事業を営む者のサービスの向上観光に関する事業の健全な育成旅行知識の普及」、こういうふうな文言がございますけれども、これがただいまおっしゃったような内容のものに当たると、かように解釈をいたしております。
  24. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 国際観光についてはそれでいいけれども、今日現存する二千何がしかの大半は、私は国内観光あっせんを主とした企業あるいは組織だと思うのです。この二千何がしをずっと分類して分析してみますと、企業的に行なわれているもの、たとえば交通公社のようなところはこの例に当てはまると思う。それからもう一つは、こうした観光事業を主として協同組合組織のような組織的なもの、あるいは全くの零細な資本といいますか、資金で、机一つカバン一つでやっているようなものがある、こういうふうに見ていいと思う。だから、今申された後段のほうの関係になってくると、非常にセールスマンとしても不適当なようなものがあるし、場合によっては悪質なあっせん業者も出ていることについては、運輸省当局も知っておられると思うのです。ですから、こういう関係を今度の基本法と結びつけてどうあなた方が対処されていくかということをこの際聞かせていただかないと、私どもはこの法律についても、とやかくこれからいろいろ意見を申し述べてみたりあるいは考え方を申し述べるということにはならないと思うので、この点をもう少し具体的に御答弁願いたいと思うわけです。
  25. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) ただいまのお説でございますが、現在のあっ旋業法によりますと、いわゆる一般旅行あっせん業者につきましては、主たる営業所につきましては二十万円、主たる営業所以外の営業所ごとに五万円という保証金を供託することになっております。全体で五十万円が限度、このようになっております。それから、数多くございます邦人対象旅行あっせん業者のほうは、主たる営業所が五万円、主たる営業所以外の営業所ごとに二万円で、全体としましては二十万円が限度と、このようなことになっているわけでございますが、この金額そのものも、すでにずいぶん以前に作られました法律そのままになっておりますので、現在の経済情勢に照らしまして、はたして妥当なものであるかどうかということにつきましても、私ども検討いたしております。と申しますのは、この程度の金額を供託すれば、登録でございますから——免許制ではございませんので、一定の要件を整えれば、いわば自動的に登録になるというような現在法のシステムになっておるわけでございます。したがいまして、こういった保証金額そのものについても、現在の経済情勢に合わした面から検討をすべきではなかろうかというふうにも考えておりますし、それから、少なくとも一般旅行あっせん業、つまり、邦人はもちろんでございますが、外客に対してもあっせんし得るというふうな旅行あっせん業者につきましては、お説のような不届きなことがありましては、事国際信用にもかかわって参る問題でございますので、もう少し、過当競争を是正するという見地からも、登録制検討して、免許制というふうな問題を加味していってはどうかというふうな気持をもちまして、ただいまいろいろ諸外国法制等検討いたしておるような状況でございます。
  26. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 局長、あなたも認めておるように——僕は、ここは委員会ですから、国会答弁のような格好でなく、具体的にこういう事例があるから私ども今聞いているわけだ。幸い今度の場合、基本法が出てきて、しかも提案理由説明にもありまするように、国際観光はもとより、国内観光開発地域格差を是正するというような意味のことをいっておって、きわめてすばらしい理想的なことになっているんだから、僕はあえて今までの事象を聞いているわけなんだ。そこで、あなたも認めておるように、かなりのこの種問題についての苦情が出ているはずなんです。そいつに対して、運輸省当局一体具体的にどう措置したかということ。それから、今の答弁では、これらの問題については今後研究したい、検討したいという意味答弁だけれども、この基本法との関係でどうなるかということが答弁漏れになっているし、この法律が、これはこういう基本法ですから、ばく然たる一つのバック・ボーンのような、理想のような法律だから、現行法をどう活用するかということになると、現行法が至らないから、こういう今あなたとやりとりしておるような問題が発生しておるわけだ。だから、現行法についても体どう考えているか。改正するものならするように、あなた方としてはより積極的にやらなきゃならぬはずなんだ。そういうものを持っているかどうかということなんだ。
  27. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) お説のとおり、この基本法は非常に大きなビジョンが描かれたものだと解釈いたしております。したがいまして、観光についての憲法のようなものでございますから、この憲法理想に照らして、現在ございます観光関係の諸法規をあらためて新しい角度から再検討をする、このようなつもりでおるわけでございます。したがいまして、現在既存の法律としございます旅行あっ旋業法も、この法の精神に照らして新しい観点から再検討して、そして必要とあらばそれに対して改正を加える、このような方向で当然運輸省としては進むべきである、かように考えております。
  28. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 では、さらに具体的に、その問題をあなたも改正すべきであるという方向ですから、私もたいへんけっこうな考え方だと思うから聞くわけですけれども、このままでは国民大衆健全旅行育成などということはできないと思うんですね。したがって、現行法の、これは主として国内問題を扱っておるのはあっ旋業法がありますね。この改正が私はやはり急務中の急務なような気がするんですがね。この点どうですか。
  29. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) あつ旋業法については、非常にいろいろ問題がございますので、十分検討をさしていただきたいと考えております。
  30. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 たまたま提案者がおりますから、この際、こまかな問題は別にして、だれが御答弁に立つかわかりませんが、今言ったように、この基本法一つ観光についてのビジョンのようなものですね。理想像のようなものですから、あえて大きなところから聞くんですけれども、私は何としても国内では観光行政の一元化をはかってやらなきやならない、こういうふうに思いますが、この点について一体この基本法を提案されました皆さんはどう考えておられるか、聞かしていただきたいと思います。
  31. 福家俊一

    衆議院議員(福家俊一君) 勝津君より御答弁願いたいと思います。
  32. 勝澤芳雄

    衆議院議員勝澤芳雄君) ただいまの吉田委員質問に御答弁させていただきますけれども、この観光業法を作るにあたりまして、特に行政組織の面につきまして、できるだけ一元化したいという希望は持っておりましたけれども、なかなか、各省間のセクトがありまして、調整をすることが困難でございますので、特にこの基本法の十六条に、「観光行政に関する組織の整備及び運営の改善」ということで、具体的な事象を取り上げてそれを実行していく中で、行政組織の整備、それから行政運営の改善、こういうことに努力していこうではないかという点で一致いたしまして、そうして、今行なわれている、各省にわたっている諸問題につきましては、運営をしていく中で行ない、そして不十分な点については、ひとつまた三党で話し合いをして調整をしようじゃないか、こういうことになっているわけでございます。
  33. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうしますと、具体的にお尋ねしますが、たとえば国立公園の場合は、これは厚生省が主管しておりますね。森林関係は農林省、道路その他は建設省、あるいは文化面については文部省、交通、旅館などについては運輸省、こういうように今ばらばらになっているわけです。ですから、今の勝澤議員のお答えは、これらの、つまり将来この法律が通ったあとの段階の整備も含めて、そういうこと等についてはさらに検討を加えていくということですか。
  34. 勝澤芳雄

    衆議院議員勝澤芳雄君) まあ検討を加えていきながら、そして不十分な点については、ここに言われております、改善に政府も努めなきゃならぬ、こういうことを明確に基本法でしているわけで、いろいろ問題が不十分な点については、各党とも意見が一致いたしまして、やはり何とか調整をしなきゃならぬ。しかし、今日の段階においては、困難だから、一応今の運用をしていく中でやっていこうじゃないか。特に、今まで観光事業審議会というのを、今度は観光政策審議会にして、そしてしかもこの十九条におきましては、この審議会の諮問の事項、あるいは意見を述べる事項は、ただ単に総理大臣だけでなくて、関係の各大臣の諮問にも応じよう、関係大臣にも積極的に意見を具申をしよう、こういうふうに観光政策審議会も作られたわけでございます。
  35. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 後段の第五章のこの政策審議会という項がありますから、私は勝澤議員の答弁で了承するわけですが、要は運用ですから、運用するということになると、との法律が成立をすると、結果的には運輸省観光局がその行政の指導に当たると思うのですね。で、私が指摘したような問題は、もうすでにこれは十分運輸省、特に観光局としても認識しておる問題ですから、この法律というものをながめておるであろうから、これがこのままこの法案が通ったとすると、観光局長は具体的に今指摘したような問題をどう処理していくかということについて聞かしていただきたいと思うのです。あなたのほうが執行するのだからね。これを運用でやると言っておるのだ、提案者は。
  36. 勝澤芳雄

    衆議院議員勝澤芳雄君) この法律そのものは、これは内閣総理大臣官房において事務的には行なうということにはなっておるわけでありまして、したがいまして、今言われております観光行政それ自体が、具体的な問題になりますと、運輸省なり、あるいは厚生省、文部省、建設省、農林省、あるいはまた地方自治体という形でばらばらに行なわれておるわけでありまして、一応観光局観光の面についての行政を一元化して行なっておるわけでありまして、そういう観点から言うならば、観光基本法の中心的な役所といえば、やはり観光局が中心になって推進していくということにならざるを得ないと思うのでありまして、そういうところからいきまして、まあわれわれ三党の作りましたものといたしましては、観光局をせめて観光庁ぐらいにしてという意見も実は持ったわけでありますけれども、なかなか行政上の問題で話し合いがまとまりませんし、困難でありますので、一応とにかくこの基本法の運営を行なって、そしてその中で今いろいろの問題が起きている点については改善をし、あるいは整備すべき点については法案をまた準備をしよう、こういうことになったわけであります。
  37. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうしますと、今までのつまりばらばらな各省庁のセクトから発生した矛盾といいますか、欠陥というものは、この法律ができると、十八条のつまり審議会の中で、十分そういったこと等をも、話し合いといいますか、審議するといいますか、そういうところで一つの答えを出して、行政庁である観光局一つのセンター的な役割をさして、調整をとりつつ、そういう欠陥をなくするということですか。
  38. 福家俊一

    衆議院議員(福家俊一君) お答えいたします。実は、この基本法を三党で協議いたしましたときには、お説のごとく、観光行政を一本化したい、願わくば観光省に昇格をする、あるいは現在の運輸省に所属する観光局観光庁に格上げするという議論も相当あったわけでございます。ですが、何分オリンピックを来年に控えまして、今日の日本の状態として、観光に対する何らの憲章と申しますかございません。そこで、御指摘のとおり、各省のセクト主義、官僚の繩張り根性から、なかなか、七省にわたっておりまして、早急に解決することは非常に困難です。特に、この問題は行政機構の根本に触れる問題で、内閣総理大臣が相当の決意をされるか、あるいは三党において強力にバックアップする必要がある。そこで、これを二段階に分けまして、まず観光立国の宣言というような憲章をまず第一段階に出す、その後に、三党共同提案でございますから、三党の政調会においても十二分にこの基本法が通過執行された上の状態を見まして、三党のなお共同責任によってこれが第二段的な行政機構にも助長させなければならぬ、こういうふうに話し合いができている次第でございます。
  39. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そこで、そういう高邁な、高いところの精神といいますか、そういうものはようわかりました。そこで、今の福家さんのお答えの中にもちょっと出てきたのですが、とりあえずは、もう明年秋にはオリンピックがある、これに何とかかんとか、今のばらばらな機構ではいかぬから、とりあえずの対策ということもわかるのですが、そこでひとつ、私もこの中で非常にまだまだ理解点に達していないというのは、国際的なもの、さらにはオリンピックというような国際行政的なものもさることながら、国内の大衆旅行に対してどういう考え方を起案者として持っておられるか、これは衆議院の運輸委員会などでも多少の質疑やりとりがあったことを私どもは会議録を見て承知しておりますけれども、あれだけでは私はまだまだ理解点に達しないので、どなたさんでもけっこうですから、この点について大方針だと思うけれども聞かしていただきたいと思うのです。
  40. 福家俊一

    衆議院議員(福家俊一君) 御承知と思いますが、基本法が通過いたしましたならば、この子供の法案を次々考えなければならない。そこで、特に三党で一致して早急に起案しようと話し合いがされておりますのは、たとえば修学旅行の問題、こういう点につきましては、修学旅行法といいますか、万全の措置を講じて、親ごさんが安心して子供を旅行に出せるようにするというような子供の法律を、現に四、五ございますけれども、おそらくこの法案の通過に従いまして、そういう具体的な問題を十分基本法に即応するように立法したい、こう考えております。
  41. 小酒井義男

    小酒井義男君 関連ですから、ちょっと考え方お尋ねしておきたいのですが、この法律の目的を達成するために、政府は必要な法制上、財政上、金融上の措置を緊急に講ずることになるわけですが、この基本法が通ったあとの今お話のあったような具体的な法律が、これはやはり議員立法で出されるという建前ですか、政府がそういうことをやることになるのですか、どうなんですか。
  42. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) すでに観光関係についての法律、いわゆる基本法に対して子供の法律である、子法に当たるものといたしましては、たとえば日本観光協会法とか、国際観光ホテル整備法、先ほど問題になっております旅行あっ旋業法通訳案内業法とか、国際観光事業助成に関する法律というような、もろもろの一連の法律があるわけでございます。いわば、子供が先に生まれ出て、あとから親が生まれ出んとしている、観光についてはこのような状況ではないかと思うわけであります。したがいまして、基本法精神にのっとって、すでにあります法律を再検討すると同時に、新しい法律を生んでいかなければならないわけでございます。  しかし、この基本法は三党共同の提案として議員立法でお作りいただきますわけでございますが、私ども運輸省といたしましては、この議員立法の趣旨を体しまして、政府提案として今後の子供の法律というものは作っていきたいと、また作っていくべきではなかろうか、このように考えているわけでございます。その法律といたしましては、たとえば国際観光ルートの整備に関する法律とか、あるいはまた観光関係企業財団抵当法のようなもの、こういったものがまだほかの企業に対しいささか立ちおくれの感がございますが、そういったものを作っていくべきではなかろうか、こういうふうなことを考えております。あるいはまた、諸外国においてはっとに法制化されております旅行金庫法、このような法律をやはり子供の法律として検討していくべきではないか、そのような法律は全部運輸省といたしましては、政府提案として検討し考えていきたいと、かように考えております。
  43. 相澤重明

    相澤重明君 実は、この基本法を見て、私も今観光局長答弁をされたようなことを今後は進められるというふうに理解しておったが、提案者の先ほどの説明ですと、三党で今後相談して何か法律を出していくのだというような説明に受け取ったものですから、その点をお尋ねしたわけですが、提案者のほうも今の政府答弁のような考え方でいいわけですか。
  44. 福家俊一

    衆議院議員(福家俊一君) お答えいたします。  今の観光局長答弁でけっこうでございますが、何分この問題に対して最も抵抗のはなはだしいのは大蔵省で、現在の基本法を出すまででも、最後まで反対された。これが通りまして、政府提案でいろいろの子供の法案ができるでありましょうけれども、実際に目的を達する上においては、三党の共同の責任がございますので、場合によっては、私の言わんとした趣旨がそれで足らない場合、たとえば行政機構の改革が政府当局もやり切れない場合は、三党において議員立法においてこれを促進せしめるという、こういう趣旨を申し上げた次第でございます。
  45. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そこで、大衆旅行についてさっき聞いたんですが、その中から修学旅行の問題が出ていますが、私はこの問題はあとでも若干聞いてみたいというふうに思いますけれども、大衆旅行についてなぜ私が聞いておるかというと、この提案理由のこの理想の中にも書いておりますけれども、「観光は、国民生活における緊張の緩和と見聞の拡充等を通じて、国民の保健の増進、国民の教養の向上及び国民の勤労意欲の向上にも寄与するものであります。」と、こう書いてあります。ですから、この意味する具体的なものは何かと、こういうことを聞いているのです。たとえばヨーロッパあたりは、これらについてちゃんとしたものを持っておりますわね。スウェーデンでも、スイスでも、あるいは英国でも、持っておりますよ。ちゃんとしたものとは何かというと、労働者あるいは勤労者に対して、休暇制度というものもきちんと法律できめておったり、あるいは旅行金庫などというものもちゃんと作ってやっておりますが、日本の場合は、最近非常にレジャーブームというブームが一つ起きてきて、かなりの大衆旅行というものが今日の国内における観光の質的にも量的にも私はウエイトを占めているというふうに思うのだけれども、そういうものはちっともないわけです。ないから、ここにりっぱな理想のようなものがすばらしい文章で書かれているから、具体的には、あなた方起案者としてどういうふうにこの内容というものを考えたかということを問いている。
  46. 勝澤芳雄

    衆議院議員勝澤芳雄君) この大衆旅行の問題につきましては、だいぶ三党の間でいろいろ話し合ったわけで、ありますが、そうして最終的には今吉田委員の指摘された事項が十一条の中に組み入れられたわけであります。この十一条の中には、「国は、家族旅行その他健全な国民大衆観光旅行の容易化を図るため、」と、「観光旅行の容易化」とは何か、言うならば、だれもが手軽に旅行できるようにしなければならぬ。そのためには、一つはヨーロッパで行なわれておるような旅行の休暇制度の確立も必要であろう。あるいは旅行金庫の設置なども必要であろう。あるいは今以上に国民宿舎の増設もしなければならないだろうし、あるいはユースホステル、あるいは国民休暇村、こういうものにも発展しなければならぬ。そのために、この十一条の中で「観光旅行の容易化」、そうして容易化とは何だという点につきましては、今私が言いましたような点をこれから具体的に検討をして、そうして行政の中でひとつ進めてもらおうじゃないか、こういうことになったわけでありまして、今この前文の中に、あるいは提案理由の中に言われておる大衆旅行というものに対しては、ここに取り入れられて、これを具体的に、これから敷衍していく、こういう形で、特に積極的な基本法ができたと同時に、大衆旅行というものについてもっと大きな立場から、国民の生活水準を上げるということも大切であるけれども、勤労意欲を増進する、あるいはあすの勤労のためのいこいの場所というような点で、今までの観光がただ単なる物見遊山というものの考え方から一歩前進をした考え方をして、ここにこういう形で取り上げていただいて、三党でこれに一致したわけでございます。
  47. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 たいへん具体的に説明されましたから、その趣旨はわかりました。大いにその面は私どもも期待しておったところですから、賛意を表しておきたいと思いますが、それと関連するわけですが、修学旅行の問題ですね。これは福家さんからもちょっと触れられたのだが、修学旅行の問題について、この間の衆議院の運輸委員会では、観光局長は、ただこの施設などを増設するとかなんとかいうことについて、そういう意味答弁がなされていたのです。私は、そのことは、基本的に、原則的にはどうこう申し上げるものではない、当然そうあるべきだと思うけれども、今この法案の、たとえば大衆旅行に対しての答弁でも、今言ったような施設の面とか、何かきわめて貧弱であるということはうかがえるわけだから、ああいう内容の私は答弁がなされたと思うのだ。だから、この間の衆議院の運輸委員会のあなたのこの施設を拡充していくということなどは、今の現段階では、私は、単なる夢に終わる、理想程度ではないか、こういうふうに思うのです。そこで考えられるのは、この修学旅行という問題は教育上の問題ですから、たいへんな問題だと私は思うからあえて言っているのですけれども、現在のこの施設の改善保護をしていくということ、そしてまた育成を加えていくというようなことがより私は当面の課題でないか、こう思うのです。具体的には、その意味は何かというと、財政的な裏づけを考えてやるということです。具体的には、たとえば施設を建てる場合においても、減免税の措置等もあるわけですから、そういう点がより先決ではないか。そうなってくると、さきにも触れられましたように、とりあえずはあっ旋業法改正が必要であろうし、そしてまた、改正してまでも、やはり何としても私は、修学旅行については何らかの措置を早急にとらなければ、りっぱにこういう基本法ができたとしても、事修学旅行に関する限りは意味がないんじゃないかと、こう思うんですが、観光局長どう思いますか。
  48. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) お説のとおりでございまして、最近の国鉄での団体旅行が年間、三十六年の統計によりますと、三千四百四十万人ということで、いわゆる定期外の旅客の二・二%を占めております。これは大体戦前の倍近い数字になっておりますが、つまり、いわば国民が三人に一人は団体旅行をしておるといえるわけでございまして、団体旅行というものがおそるべき趨勢で伸びつつあるということを如実に物語っておるものだと考えるわけでございます。この団体旅行の中の六割五分がただいま御指摘の修学旅行ということでございまして、全体としますと、大体二千万人以上は修学旅行——二千二百万人が修学旅行の学生さんで、収入も約五十億というふうな状況でございまして、国鉄としては、あるいはまた国全体の面から考えましても、決しておろそかにできない数字を示しておるわけでございます。  それで、なお修学旅行、今の日本の観光の状況を見ますと、非常におこがましい言い方ですけれども、旅行の目的、性質、量というようなものがごちゃごちゃになって観光地が形成されておるというのが日本の欠陥ではなかろうかと思うわけでございます。つまり、おとなが団体旅行で行くのにふさわしい観光地、あるいは修学旅行の学生が団体旅行として行くのにふさわしい観光地、こういったものが区別なく一しょこたになってごたとしておるというところに、日本の観光のいろいろ御批判を受けなければならぬ問題があるのではなかろうかと思うわけでございます。そのような意味から、修学旅行の学生が泊まっておる上でおとなががやがや騒ぐというふうなことでは、これまた非常に教育上もおもしろくないわけでございまして、やはり修学旅行の学生にふさわしいそういった宿泊施設というものが全国的に整備されていくというのが、私は終局の理想だと、かように考えております。ところが、一挙に年間二千二百万人もの修学旅行の学生さんを一ぺんにとめるというような——ピークのときはもちろん、年間を通じての数字でございますから、はるかに少なくなるわけでございますけれども、一挙に解決することはなかなかできない。そこで、このいわゆる施設の改善ということが改善の策としてそこで出てくるのではなかろうか、かように考えるわけでございます。ところが、それも勝手に金融ベースでおやりなさいと言っておったのでは、やはり国としては、せっかくの基本法の趣旨にもとるわけでございますので、こういった面はやはり財政的な措置というものが当然将来にわたって考えていかなければならない問題だというふうに考えておるわけでございます。この条文の中にもそういった財政的な措置をするようにというふうなことが国及び地方公共団体に対して課せられておるわけでございますし、かつまた運輸省としましても、そういった心がまえで、従来とも旅館に対する融資——旅館と申しますか、いわゆる宿泊施設についての融資あるいは国からの補助、たとえば公営ユースホステルに対する運輸省としての補助というふうなものを考えて参った次第でございます。これとてもなかなか追っつかないわけでございますが、この基本法の制定を機にし一段とさらに努力を続けていきたいと、かように考えております。
  49. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そこで、観光局長、あなたの今いろいろ、目的であるとか、旅行の種別などについても、過去のたいへん困難な面を申されたわけですね。そこで私は、やや意見のようになるけれども、これだけのりっぱな基本法ができると、即あなた方がこれを具体的に実行していかなきゃならぬわけです。で、先ほど来あなたも答弁しているように、これから現存の法律の再検討ないしは新しい法律を作らなきゃならぬと、こういうことを言っているわけなんで、あえて私は言うけれども、そういう場合に、第一にやっぱり考えられなきやならぬのは旅行目的だと思うんです。そして、この種別ごとに厳密な規制を設けて参らなきゃならぬ。その上にこの資力信用の裏づけをはかるようにあなた方としては適切に指導していくと、こういうことにならなければ、最初の質問のように、悪質な、悪徳な業者ができてきたり、あるいはきわめて不適当なセールスマンができてくる、こういうようなことになると思う。第二にやっぱり考えなきゃならぬのは、そのことも含めて、やはり従業員の質的な向上をはからなければこれは意味がないじゃないかと、こういうふうに私は考える。それから第三には、そう言ってみても、やはり業者というものは企業採算をとって参らなきゃならぬから、これはかなりむずかしい面があろうが、今何といっても企業の採算が合わないとかなんとか言っているのは、この種業者に限ってシーズン・オフというものがあるわけで、その格差が非常に激しいんですね。こういう問題から前に申し上げたようないろいろな事例というものは困難なりあるいは矛盾として出てくるわけですから、こういう点こそ、あなた方が今二つ申し上げた目的と種別ごとに厳正な規制をしていくという中で規制をしていって、しかも修学旅行などというものは何としても学習活動の一環であるわけだから、手数料などについてもあなた方として適正に物事をある意味においてはきめてやる、こういう考え方に立たなきゃならぬじゃないかというふうに思いますが、この点あなたはどうお考えになりますか。
  50. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) 旅行目的を種別的に規制し、かつまた資力信用をおのおのはかって運輸省として指導していけというお説に対しましては、これはもうまことにお説のとおりだと私考えております。で、結局、現在の旅行の需要に対して、供給と申しますか、施設、まあいろいろの点を含めまして供給がアンバランスになっているところに、いわば先ほど来御指摘のあっせん業者の不当なる跳梁ばっこを許す素因になっておるんじゃなかろうかというふうな、まあ端的に申しますと、先生お説じゃないかと思うんですが、私どももやはり、この供給と需要とのアンバランスにつけ込むというような面も確かにあると、かように考えるわけでございまして、その点については将来とも十分心がけていきたいと考えております。  それから、この従業員の素質の向上の問題を第二にお取り上げになったんでございますが、これはあえて観光の問題と言わず、すべてこういったサービス業については通有の問題でございますので、私ども十分この点のお説を心がけて意に体して、お説に沿うように将来ともやっていきたい、かように考えております。  それから、この観光事業者も、やはり一つ企業として民間企業でやっておりますような場合には、いわゆる採算という問題が出てくるわけでございます。しかし、そこは当然、シーズンとシーズン・オフとの間の波があまりにもひどいというふうなことでございますと、とにかくたとえば夏の間三カ月の間に冬の分までもうけてしまえというふうな悪らつな商売のやり方というものがあっては、非常にこれは観光客に御迷惑をかけるわけでございまして、そういった面から、やはりシーズン・オフについての対策というものも同時に国全体として考えていかなければならぬ問題じゃないかというふうに私どもはつとに考えているわけでございます。これが、たとえば夏は夏山シーズンでそこへお客さんが来る、冬は冬でまたスキーなりスケートなりでお客が来るというふうなわけで、年間を通じて観光資源に恵まれると申しますか、観光地として適するような地域ならば、努力のしようによっては非常にいいわけでございますが、海岸のような場合でございますと、夏と冬では、必ずしもお客を夏と同じように冬場連れてくる、誘致するというわけにも参らないいろいろの問題が現実の問題としてはあるのじゃないかというふうに考えるわけでございますが、しかしやはり原則的にはこのシーズン・オフ対策というものもやはり観光事業として考えていかなければ、そこに企業の採算という問題、それから悪らつなる営利をむさぼるというふうなことをいかにして防止するかという問題と真正面から取り組むのには、その問題とやはり取っ組んでいかなければならぬと、かように考えております。したがって、一つ法律改正だけでただいまおっしゃったようなことが決して目的を達するとは思いませんので、いろいろの既存の法律、あるいはこれから作っていかなければならない法律、一連の法体系の上で先生のお説の線に沿いまして運輸省としましては努力を重ねていきたいとかように考えております。
  51. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ただいまの御答弁で、国内的なものは、ややその線に沿うて考えて努力していくということですから、私はこれでよろしいと思いますけれども、ただ一つ従業員の質的な問題として、国際的な問題があるんです。で、今提案者のほうも衆議院の本会議の時間が来ておりますから、あとでもう一つほど基本となるものを聞きますけれども、その前に観光局長、この一体ガイド試験を取得した者が現在専業としてどの程度日本で実際に実務しているかということなんですね。これはたまたま福家さんもおっしゃったように、直ちに来年の秋オリンピックですから、そういう点で今お伺いしたいと思うのです。
  52. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) 昭和二十四年からガイド試験を国家試験として始めたのでございますが、昭和三十七年までにガイド試験の合格者は全体で二千百八十六名に達しております。しかし、このガイド試験を合格した者の中で、現実には都道府県知事が免許を与えなければなりませんが、その免許を受けました者が八百七十八名でございます。しかし、そのうちで現実に日本観光通訳協会に加盟をいたしております者が六百五十九名、このような数字になっているわけでございまして、現実にガイド試験に合格した者の三分の一に満たない者しか実際には稼働をしていないというのがガイドの実情でございます。いろいろ原因が考えられるわけでございまして、一つにはこの収入が年間を通じて一定していないというふうなことで、やはり他の職業のほうに魅力を感じがちになるというふうなこともございますし、それからまた、受験いたして合格されました方が、おれはガイド試験に通ったんだぞということをいわば一つの資格として民間の商社等へ就職をしていかれるというふうなことで、まあ国家試験が民間の会社等への就職の資格要件になっているような面もないわけではございませんので、いろいろの面で私どもどのようにすればいいだろうかということを目下検討いたしているところでございます。
  53. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 この資料を見ますと、かなりのガイドの合格者も出ているし、それぞれの国語の通訳官もいるようになっている。これは、この数だけでは、来年のオリンピックというものはそれで運営をまかなえるということになろうと思いますが、今局長あなたの申されたように、実際の専業している者というのは、この半数にも満たないと思うのです。端的に言って、これは収入の面です。これは収入の面ですから、アルバイト的にやっている者とか、あるいはこれはどの程度になっているか知りませんが、私の知っている範囲内では、おみやげの店屋さんからリベートをもらってやっているなどというやつがたくさんあるんです。こういうものが来年のオリンピックになされたら、この観光基本法には、国際何とかかんとかということでえらい書いておりますが、それとは逆行して、国際信用を失墜する以外の何ものでもないと思うのだ。ですから、この際、ガイド法という法律もあるわけですから、これにやはり手を加え、それから試験の程度も、私は私なりに認識している点では、やや非常にむずかしいのじゃないかという気がするのです。ですから、こういう点等、あわせて処遇の問題も含めて、あなた方がこれをどう考えるか、当面の問題として。
  54. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) まず第一の、試験問題が不当にむずかしいんじゃなかろうかという……。
  55. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 僕は不当とは言ってないのだ。
  56. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) むずかし過ぎるのではなかろうかというお説でございますが、この点については、そういうふうな御意見を今までも伺ったことがございますので、実は今年度は、出題者の先生に対しまして、そういうふうな要望が各方面から出ているから、ひとつ試験の程度について考慮していただきたい、実情に合うような試験を頼むというふうなことで、今年度は少しお説のような方向に進んだのではなかろうかというふうに考えているわけでございます。それで今年度は、昨年の受験者を約五割程度上回る受験者がございまして、五月十二日に第一次の試験が行なわれたわけでございまして、やがて近く第一次の合格発表もあるわけでございます。その辺どのくらいの合格率になっておりますか、十分私どもそれを検討しまして、さらにガイド試験全体としてそのあり方というものをあわせて考えていきたい、かように考えております。  第二の御指摘の収入の問題でございますが、この面につきましては、やはり一定の収入を、年間を通じて固定化すると申しますか、保証するという方向に持っていく以外に方法がない。まさか国のほうで給料を出すというわけにも参りませんので、結局あっせん業者には一定数のガイドを雇用しておかなければならないというふうな方向にでも問題の解決の糸口を見出せないものだろうかということで、ただいま検討をいたしている段階でございます。
  57. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そこで、ただいま検討ということですが、とにかく差し迫った問題ですから、国際関係になって参りますと、来年の国際事業がありますから、そういう点で、十二分検討を加えられて、いやしくもこの面からの国際信用が失墜されることのないように私は配慮していただきたい、これを強く要望しておきます。  そこで、提案者に、先ほどのお約束どおり、あなたのほうに協力する意味で僕は聞くのですが、この基本法の要綱にも書いておりますように、四の観光関係の団体の整備が必要だ、これを考えているのだという意味のことがここに書かれておりますので聞くわけですが、日本の観光協会というのは、この種団体に僕は入ると思うのです。このあり方の問題なんですが、法律にも書いてあります、提案理由説明にも書いてありますが、かなり国際的には、観光を通して外国との経済文化の交流、あるいは、国際親善のみならず、日本の国際収支の改善にも貢献するのだと、こう書かれておりますから、これを主として行なう団体というのは、私は日本観光協会だと思うのです。ところが、今の日本観光協会のあり方、やり方を見ていると、必ずしもこの基本法に合致するような方向のものではないのではないか。たとえばこの国際観光宣伝についても、最近、御承知のように、非常に各国とも国際観光宣伝というものは激しく行なわれておりますね。ある点においては巧妙に行なわれておるわけでしょう。そのときに、日本の今の観光協会のやり方、あり方などというものは、まことに私はちゃちなものだと思うのです。ですから、たとえばサービスの面についても、これからどうあらねばならぬかということについて、具体的にあなた方これを作る場合に、起案者としてこの種問題をどうお考えになったかということをお聞かせ願いたいと思います。
  58. 福家俊一

    衆議院議員(福家俊一君) その問題につきましては、御指摘のとおり、外国観光団体関係は非常に莫大な資本をもって攻勢に出ておるわけで、日本におきましては政府の補助金というような制度にまだたよっておる。民間資本というものが非常に微々たるものですから、とうてい外国の攻勢に対等的競争にたえられないという率直な現状でございます。  そこで、観光協会なり観光局だけを責めても、この問題は、今の日本の国情がそういう状態でございますので、何分政府並びに大蔵省などに、観光に対する啓蒙といいますか、目を開いて、将来日本が観光立国として、世界の観光客誘致の上に非常な天然資源を持っておるということに理解をせしめることがまず第一だと思うのでございます。その点につきまして、現在まで基本法が、教育、原子力、農業、災害、この四つしか通っておりませんが、この観光基本法が、国会始まって初めてといいますか、議員立法で三党共同提案になったわけでございます。そこで、私ども提案者とおっしゃいますが、皆さんも共同の責任があるわけでございまして、何とぞそういう点お力をいただきまして、大蔵省の啓蒙に協力をいただきたいと思います。
  59. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 まあ協力を要請されたから、その辺は、われわれも当然これからこの法律を議論して参加した者として責任がありますから、それは当然なんだ。そこで、それに関連して、ぼくはアメリカの例をひとつ申し上げてみたいというふうに思うのですね。私はかなり長い間、二、三年前アメリカに滞在しておりましたが、アメリカでもやはり観光の問題が、ここにも書かれてありますように、貿易外収入として非常に観光収入に力を入れておるということは、最近とみに出てきた傾向ですよ。私は国務省でこの種問題をいろいろ調べてみたり意見を聞いてみますと、向こうの国会に対する国務省の調査報告をしたものを見て参りますと、向こうのほうとしては、具体的に観光の振興施策として、領事館であるとか、あるいは通商関係であるとか、調達関係旅行あっせん業者であるとか、こういうもの等が非常に今までは協力関係が不十分であったということから、より積極的に国が力を入れてその協力関係を結ぶように具体的な施策として出しているのです。こういう点からこの法律をわれわれがかりにこれを通す立場に立って見ます場合に、日本の場合はどうかというと、とてもじゃないけれども、そこまで行っていないでしょう。だけれども、今言ったこの観光協会がおそらく中心になるかならぬかは別として、それぞれの今日の、先ほど言われた二千何がしかの特に企業として成り立っておるところであるとか、あるいはそれぞれの企業が今言ったように外貨を獲得をするという立場もあって、かなりその部面からは積極的に海外へ働きかけておるようなものが見受けられるのですよ。  一つの例を見ますと、国鉄の場合だって、ニューヨークのほうに海外事務所を設けるというようなこと、あるいは交通公社などすでにありますし、日本航空もあるし、あるいは観光協会もございますよ、あそこに。あるけれども、バラバラなんだな、日本の場合は。さっき言った、アメリカの例をとって悪いけれども、一丸となって強力にやるというようなことになっていませんよ。ですから、非常にむだな経費を使っているような気がするのですよ、せっかくの外貨を。だから、こういう点はこれから統一してやらねばならぬし、それから端的に言っておくけれども、国鉄などがニューヨークあたりに新しい海外事務所を設けて、観光開発などをやるということはナンセンスだと思う、端的に言って。なぜかというと、今日国鉄の経営事情を見ると、八百七十四億の跡始末でアップアップしている中で、一体国内の、つまり何といいますか、観光旅客を確保していくということさえ満足にできないものが、ニュヨークあたりに行って何ができるかと言うのだ、僕に言わせれば。だけれども、これは国鉄の悪口じゃなくて、さっきのほうに戻るけれども、国がこういう問題をきちんと統一的に一貫性を持たしてむだな外貨を使わせないという立場をとりつつ、せっかく今日ありまする観光協会なりあるいは交通公社というものを十分そこで生かしていくように私は施策としてやることが、この基本法から見ると正しいのではないかというように思うので、この点どうお考えになっていますか。
  60. 福家俊一

    衆議院議員(福家俊一君) 吉田委員から非常に御高説をいただきました。国鉄に関しましては、私関係がございませんので、答弁の限りでございません。  幸いに、先ほど申し上げましたように、この基本法は議員立法でございます。しかも三党共同提案。従来ならば、観光に関しましては、運輸省法案を国会に提出し、われわれは協賛する立場でございますが、今度の場合はこういう形で基本法ができるわけでございますから、各党の政調におきまして十分これから生まれてくる子供の法律については検討し、政府提案として法文を出す運輸省に対して、指導といいますか、協力して、今お説を賜わりましたような御指摘の点について、十分盛り込んだ政府法律として出すことができるのではないか。そこに十分私ども希望と期待を持っておるわけでございまするので、願わくは、吉田先生のようなりっぱな御意見は、社会党の政審を通してひとつお願いいたします。
  61. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 今の最後は、社会党の政審というけれども、われわれは社会党の立場で今議論をしているのじゃないので、その点はひとつ、他意がなくて申されたというふうに思うので、私は善意に理解しておりますけれども、国鉄の営業局長が来ているので伺いますが、ニューヨークのこの事務所を作る計画が今出てきておるな。これは具体的に何をやろうとしているのだ。
  62. 今村義夫

    説明員(今村義夫君) 国鉄といたしましては、国鉄の事業を十分宣伝すると同時に、海外で乗車券を発売したいという考え方でおります。
  63. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 人のやることはあまりけちつけたくないけれども、ニューヨークに行って日本の鉄道の切符を売るのは、新幹線の夢の超特急か何かやるのだろうけれども、そういうものは、海外に事務所を作って、この赤字だらけのときに、手も足も出ないような状態のときに、やるべきではないと僕は思う。そんなものは、ちゃんと向こうに観光協会の事務所もあるし、交通公社の事務所もあるのだから、国内だって交通公社に売らせるし、従前どおり交通公社に委託してやらせればいいのだよ。あなた方が国鉄の営業としてやるのは、国内にある。もっともっと、修学旅行をどうするかという、そういうことのほうが先決じゃないのか、このことを僕は言いたいのだよ。あなたは一局長答弁できないかもしれないけれども、そこに次官もおりますが、運輸次官こういうことを将来考えてもらわなければいかぬのですよ。現実に新幹線問題で八百七十四億というものが不足してどうこうするかというときなんだから、あなた真剣に考えて、ことしからこういうことをやりたいという計画が出ているのですが、どうですか、この問題は。
  64. 大石武一

    政府委員(大石武一君) もう一ぺん、恐縮ですが。
  65. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 国鉄が今、ニューヨークで日本の鉄道の切符を売りたいということで、こういうことで海外事務所を設けるということなんだ、今の答弁では。だから僕は、そのことよりも、そういうことは、この観光基本法の中にもありまするように、海外の事務所というのは、日本観光協会も持っているのですよ。ニューヨークに。交通公社も持っているのだよ。だから、切符の販売などというものは、国内至るところ全国、国鉄は交通公社に委託をしてやっているわけでしょう。だから、これがためには貴重な外貨を使って、さなきだに経済事情が悪い国鉄がニューヨークなどに海外事務所を持っていくということなどが、先ほどの福家さんの答弁から私は察すると、おこがましい話だ、おかしい話だと言うのです。やるなら国内における修学旅行の輸送量をどうするかということが先だと思うのですが、そういうことを聞いているが、次官はいかがですか。
  66. 大石武一

    政府委員(大石武一君) 基本的には、吉田委員の御意見に賛成でございます。私も実は、国鉄がニューヨークに切符販売所を作るということは今ここで初めて伺ったわけでございます。もっとも、運輸省は監督官庁でございまして、一々その仕事に干渉しておりませんから、私が知らないのも当然であると思いますが、今ちょっと聞いた話だけでは、あまりまあ、なるほど吉田委員がおっしゃるとおりの御意見だと私も思います。そういうような設備をするならば、交通公社、あるいは観光協会、そういうものを通して、もって大きな立場から、もっともっと効果的な仕事をすべきではないかという私のただいまの考えでございます。
  67. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 観光局長何かないかね。
  68. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) 観光協会は政府機関でございます。政府機関というのは旅行あっせん業をやってはならないというのが世界の通説になっております。各国ともその方向でございます。したがって、アメリカのように、商務省の中に観光局を置いて、観光局の直接の出張所がたとえば東京なら東京にございますけれども、そのように直営でやっておるところにおいては、なお一そうそういうふうな色彩が濃厚でございますが、日本におきましても、政府機関としての観光協会は、日本へ行こう、日本へ行ってみたいなというふうな気持を起こさすまでが観光協会の仕事でございまして、そしてそのような気持を起こした方に切符を発売するのはあっせん業者の仕事というところで、観光協会とあっせん業者との事務の分界があるわけでございます。それは世界各国そういうふうな傾向でやっておるわけでございます。したがいまして、観光協会は政府機関である。したがって、国からも、政府の出資も徳五千万円、それから補助金も今年度で申しますと、四億八千八百万円というふうな巨額の補助金を国が出しておるというふうなことになっておるわけでございまして、確かに、先生のお説のように、今までのような宣伝のあり方でいいのかということにつきましては、これはまことにごもっともでございまして、私ども自身がやはり決して満足をいたしておりません。現に、ソフト・セールスからハード・セールスというのが今の各国のスローガンになっております。日本にただいらっしゃいいらっしゃいと、フジヤマ、ゲイシャガールでございますというふうな、ムードを売るような宣伝の過去のあり方から、日本の文化に関心を持たれるならば、これだけの日数で、これだけの旅費で日本を回れます、日本の産業に関心があるならば、こういう地域をこれだけの旅費があれば、これだけの日程で回れますというような、かゆいところに手の行き届いたようなサービス、つまりハード・サービス、これが今後の宣伝のあり方だというふうに考えております、世界各国においてこのように非常に熾烈な競争が展開されておりまして、アメリカのような国ですら国際旅行法を作って誘致宣伝に乗り出したというふうなことでございますので、私ども大いにがんばっていきたいと、かように考えておるわけであります。
  69. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 他の委員も関連が次にあるようですから、これ一つで終わりますが、提案者にお尋ねします。  この説明にも、「外国との経済文化の交流」何々、「国際親善が増進」何々、最後に国際収支の改善にも大きな貢献をしていると、こう書いているのですよ。まさに私は国際観光についてはこのとおりだと思うのです。したがって、国際旅行のあっせんですね、そういう人々が今日まで貿易外貨の受け取りの面ではかなりの私は貢献をいたしたものだと思うのです。これはデータで見ますと明らかになっていますわね。そこで、ちょっと私ふに落ちないのですけれども、それでやって、なおかつ、何らこういう企業あるいは事業に対して国が財政的な援助、助成、そういった裏づけが今まではないような気がするのですよ。そこで、私は大蔵省で調べたのですけれども、国際的な関連から見た租税の特別措置法を適用されておるのがどのくらいあるかというと、僕が調べた範囲でも、十三項目にわたってそれぞれあるのです。で、この租税特別措置法を見て参りますと、五十五条に受け取り外貨に対する課税上の特別控除というものがあるんだが、あなた方は起案した場合に、この理由の中心がこれになっておりますから——国際収支の改善と、こういうことになっていますから、こういう面で、立法者として、法律にも五十五条があるが、これは一体今後この国際観光業を主としてやる企業なり事業に対してどう処置しようとするのかということを、この際最後にお尋ねしておきたいというふうに思うのです。
  70. 勝澤芳雄

    衆議院議員勝澤芳雄君) ただいま吉田委員の言われましたように、観光関係についての税法上の特例というものはないわけでありまして、そういう点から言うならば、私たちも第四条で、必要な法制上、あるいは財政上、金融上というふうな措置を政府も講じなければならぬ、こういうことでうたったわけでありますが、具体的な内容になりますと、先ほどから福家議員も言われておりますように、対大蔵省との問題がありまして、運輸委員相互では后がスムーズにきまるわけですけれども、なかなか対外的な話になりますと参りませんので、ただいまお話しになりました点につきましては、政府においてもこの条文を生かすように努力をしてもらうと同時に、われわれも三党で共同提案をした立場上、ただいま言われましたような問題についても話し合いをいたしまして、できるだけそういう措置が行なわれるように推進をいたして参りたい、こう思っておる次第でございます。
  71. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そこで、そういう答弁ですが、大体五十五条も輸出所得の面にのみうたわれておるのですが、ですから、これをつまり観光を主とした外貨獲得、国際収支に貢献させるとすれば、この法律をやや幅広くながめて定義するか、あるいはそれができないとすれば、やはり一つ法律改正というものが必要になってくるのですがね。ここらあたりが非常に私は疑問なところですよ。ですから、勝沢さんの答弁からいくと、第四条でそういう面を規制して、これから具体的な運用の中では、今言つたこういうところまで触れていくというお考えですか。
  72. 勝澤芳雄

    衆議院議員勝澤芳雄君) 現行がどうなっておるかという点につきましては、あとで観光局長のほうから御説明さしていただきまして、今あなたが質問されておる事項につきましても、私たちとしても同意見でありまして、観光がまさに観光産業といわれておりまして、国際収支の中に占める割合というものは相当大きなものになっておるわけであります。そういう点からいうならば、やはりほかのこの租税特別措置法に出ておる問題と同じような、同等な立場でやはり検討をし、そうしてやはりそういう指摘されたような措置が行なわれるのが好ましい、こう思うわけでございますが、法制上の問題もありますので、現行の問題につきましては観光局長のほうから説明さしていただきたいと思います。
  73. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) お説のとうり、外客消費額ベースで申しますと、昨年一年間で一億五千万ドル——五百四十億円、日本の貿易額の約三%に当たるものが観光客の消費した額であると、このように運輸省としては推定をいたしておるわけでございます。非常にこういった点から考えましても、将来とも観光収入を増大さすべく、いろいろの措置を国としてはとっていくべきである、かように考えるわけでございます。ところが、旅行あっせん業者ももちろん外貨獲得について非常に貢献をしてくれておりますが、同時にまた、たとえばホテル業者もその一翼をになっておるのではないか、あるいはみやげもの品の業者、あるいはまた国内の交通機関というふうな、いろいろ観光業界としては関連する面が多いのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。したがいまして、運輸省観光局としましては、全く先生と同じ立場で、大きな声で対外的にお願いもし、そういった主張をしたい気持で一ぱいでございますが、関係する業界があっせん業者以外にも観光業界としてはあることでございますので、運輸省としましては、十分御趣旨の線を検討さしていただきたい、かように考えております
  74. 相澤重明

    相澤重明君 私は二、三だけお尋ねしておきたいと思うのですが、提案者の提案理由をお聞きしたし、また条文を見ますと、たいへん前進をしておるので、私も賛成であります。  まず第一にお尋ねをいたしたいのは、国際観光を進めることでありますが、外国人の旅行者をできるだけわが国に入れる、このことについて、この法律ではそういうことをうたっておるのでありますが、一方外国人の出入国管理令との関係はどうなっておるのか、どのように提案者と法務省との調整というものが行なわれておるのか、この点をお尋ねしておきたいと思うのです。
  75. 勝澤芳雄

    衆議院議員勝澤芳雄君) 第六条の中で、「出入国に関する措置の改善等に必要な施策を講ずるもの」とこういうふうにうたったわけでありまして、今日まあ法務省におきましてもこのオリンピックを控えていろいろ検討されているようでありまして、したがいまして、それらと見合いながらこの法律に基づいてひとつ政府当局にも十分やっていただこう、不十分な点につきましてはわれわれのほうから当然これについていろいろ意見を申して、そしてもう少しの日本の出入国についての簡素化というものをしなければならぬという点が今言われておるわけでありますから、そういう点について検討をしておるというわけでありまして、この法案を作成する段階におきましては、具体的に法務省とどうしようこうしようという話は、まだ具体的なものにはなっていないわけでありまして、この条文の中にこう入れまして、そして法務省のほうでやってもらおうと、そして不十分な点についてはわれわれのほうから指摘する、こういうような考え方でおります。
  76. 相澤重明

    相澤重明君 これは、観光局長のほうでは事務を取り扱うわけでありますから、ただいまの提案者の御説明ですと、具体的に提案者なり法務省との関係の調整なり意見交換というものはまだ必ずしも万全とは私言えないと思うんです。そこで、事務上の問題として、これは非常に大きな問題なわけなんです。したがって、出入国管理令との関係をやはり調整しない限り、来年のオリンピックを控えて、私は問題が出るのではないか。まあすでに法務省ではそういう点を検討されておると私は承知をしておるんですが、観光局長のほうではどう把握されておるか、御答弁をいただきたいと思います。
  77. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) この問題につきましては、ちょうどただいま内閣にございます観光事業審議会に運輸省としましては問題をぶつけておる段階でございまして、私はその席上で数回にわたって運輸省の立場を説明をいたしております。法務省のほうも、法務省以外の関係官庁、たとえば通貨の問題になりますと大蔵省というふうになってくるわけでございますけれども、そういうふうなところも十分問題のあり方というものについては認識をしてくれておるようでございまして、関係各省とは議論もお互いに問題とする点はもう十分し尽くしておる段階でございます。出入国の問題で、単なる検査ということ以外に、たとえば一例を申し上げますと、日本へやって参ります場合にドルを円にかえる、そしてその円が余りました場合には百ドルまでしか再交換できない。つまり、よけい余った場合には、余ってもそれは知らぬと、百ドルまでしか日本を出るときにはかえませんと、こういうことでございます。したがいまして、日本へやって参りましてドルを円にかえます場合に、どうしても人間心理としまして少な日にしか交換をいたしません。そういうことでは、結局日本での外貨の消費額というものが勢い少なくなるんじゃないか。だから無制限にかえればいいじゃないかというふうな主張を運輸省としてはいたしておるような点もございまして、もう全般的に出入国の問題、あるいは設備の改善の問題については、運輸省としては、もうすべての省に対してお願い、陳情をする側に立って、一生懸命今連絡もし、かつ十分論議をしていただいておる段階でございます。
  78. 福家俊一

    衆議院議員(福家俊一君) 相澤委員に補足してお答えいたしますが、提案者として、たとえばオリンピックに備えて、外人の飲食税、それから自家用自動車——現在では持ち込む場合関税の問題が許されない、こういう問題につきまして、オリンピック委員会と話し合いをいたしまして、オリンピックに関しての特別立法でこれを通そうというような話し合いも進んで、現に十中の八、九割まで皆さんの御賛同を得ておりますので、近く国会に提出する段階になると思います。
  79. 相澤重明

    相澤重明君 今の福家君の、提案者の御説明で、私も了解したいと思うんですが、これは非常に大きな問題で、事オリンピックに際して、やはり日本としてこれだけ国をあげての事業を行なうわけでありますから、その際に外国の来訪者に対する、失礼な言い方ですが、もし不快の念を与えるようなことになると、たいへんなことだと私は思う。同時にまた、外国から自動車も持ってくるであろうし、あるいはドルの今の換算の問題も出てくるでありましょう、こんな問題がオリンピックに関しては出てくるわけであります。そういう点で、現在までの出入国管理令そのままでいけば、これはまあ非常な狭いものになってしまう。こういうことでせっかくの大きな構想というものも私は成果が上がらぬと思う。そういう面で、今の提案者の御説明をいただいて、ぜひこれは私どもとしては、全力をあげていただいて、よいものを作っていく、こういうふうにひとつ御協力をいただきたいと思うのです。  それから第二にお尋ねをしたいのは、広告も——いわゆる屋外の広告ですね、これは外国旅行者がだれでもが、どこの国でも、行ったときに一番印象に残るのはその問題だと思う。屋外広告物条例はありますけれども、国としての一貫したそうしたいわゆる宣伝効果をあげるということは、これはなかなかたいへんなことだと私は思う。したがって、そういう屋外広告物に対してどうするかというのが一つと、今度は屋内の問題としては、映画等に対する問題をどうするか、これは鑑賞が私は非常に多いと思う。ところがこれが、他面は映倫関係に関する問題があると思う。こういう点について提案者のほうとしては、そういう問題について、オリンピックを控えて、外国人を多くお迎えするについて一体わが国としての基本的な問題はどうこれを措置していかなければならぬかということについて御相談をされたならば、その点についてひとつお答えをいただきたいと思う。
  80. 福家俊一

    衆議院議員(福家俊一君) この点は、内閣とも話し合いをいたしまして、国土美化の方針に沿って、特に各府県の知事のもとにおいて、東海道沿線、あるいは観光地におきましては、劣悪なる広告の撤廃というようなことをすでに実施いたしておる府県もございます。なお、それを強力に国土美化の線から推進をするということは、オリンピック委員会とやはり話し合いをしております。
  81. 相澤重明

    相澤重明君 今の提案者の御説明は、そのとおりでありまして、私も先ほど申し上げたように、府県によって条例でこれをきめておるわけです。ところが、これはまちまちなんであります。条例でありますから、各府県によってまちまち。しかし、少なくとも観光基本法というものが提案される以上、やはりこれは観光基本法に基づいて私は措置をすべきではなかろうか、こう思うのであります。幸いにしてオリンピックがあるから、オリンピック特別委員会においても、特別立法ができればそれでしたいというお話であります。私は、基本的にはこれは観光基本法で措置をすべきではないか、こう思うのであります。したがって、そのいずれの取り扱い方かはなお今後研究を要するにしても、ぜひ、観光基本法を作って、これから子供の法律もそれぞれ検討また成立をさせなければならぬと私は思うのでありますが、そういう点について、提案者なり、運輸省としてのなお御見解をいただけるならば幸いだと思うのですが。
  82. 福家俊一

    衆議院議員(福家俊一君) 相津委員の御指摘のごとき趣旨は、第十五条に盛ってございます。具体的なことにつきましては観光局長から。
  83. 内海清

    衆議院議員(内海清君) ただいまの問題は、すでに御承知のように、屋外広告物法というものがございますので、これを改正することによりまして御趣旨に沿うような措置をとりたい、こういうふうに考えております。
  84. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) ほんとうの気持を申し上げますと、観光立国の宣言である観光基本法でございますから、当然この法律の中で日本中の屋外広告物を取り締まっていただきたいというくらいな気持を私ども事務当局としては持っておるわけです。ところが、法律の専門家の話によりますと、観光基本法の法域の問題としては、全部の屋外広告をこの観光基本法で取り締まるということは、観光基本法本来の目的ではない。したがって、「観光地における」というふうな言葉が十五条の中にございますのは、そういう意味のように専門家から私は伺ったのでございます。したがって、すでに、ただいま内海先生のお話のように、屋外広告物法という法律があることでございますので、この法律を所管しております省のほうで、観光基本法精神にのっとってこの法律に再検討を加えられ、そしてそれが同時に観光基本法との関係において完備されていくというふうなことになるのじゃなかろうかというふうに考えております。
  85. 相澤重明

    相澤重明君 今の提案者並び局長の御答弁で、今後の課題を御説明いただいたわけでありますが、私は、少くとも観光基本法でありますから、そういう点について、できればこの中に入れるべきでなかったかという点で御質問したわけでありますが、わかりました。そこでその次に第三の点で……。
  86. 大倉精一

    ○大倉精一君 ちょっと関連して。  これは愚問になるかもわかりませんが、この際考え方をお聞きしたいと思うのだが、今広告物の問題がありましたが、観光用に供するインチキな建築物、これを取り締まる、何か規制する方法がないかと思うのです。具体的に言いますと、お城ですね。これは観光用に作ったかもわかりませんが、中は鉄筋コンクリートですよ。ある外国人が、日本のお城を見て、これはインチキだと言ったということを聞いております。これは変な話かもしれませんが、そういうものを方々に作って、外人に見せて、これが日本でございますというようなことは、これはどうかと思うのですが、お考えどうですか、しかも、たいへんな費用が要るのですよ。
  87. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) お城ブームもけっこうでございますけれども、鉄筋で、何と申しますか、お城以外のものを作って、その中で料亭を営むというふうな例がないわけじゃないというふうに私どもも聞いておるわけでございますけれども、これについては、運輸省としましては、ただいまのところ別に規制をする——規制はしたくっても、規制をする根拠と申しますか、権限が運輸省には残念ながらございませんので、何ともお答え申し上げようがございません。せいぜいそういったことで、融資のあっせん申請等が出てきた場合に、運輸省としてはお断わり申し上げるということが、精一ぱいの運輸省としての態度ではなかろうかというふに考えております。
  88. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは、基本法ができるのですから、やはり観光局長として一つの担当部門に入ると私は思うのです。鉄筋コンクリートのお城を作って、据え置く分にはいいのですが、これが日本のお城でございますというて外国人に見せるというと、罪が深い。そういうものに対して、運輸省として、担当事項と違いますからといって、局長が何にも関心を持たないということについては、これは私疑問なきを得ない。きょうはこれ以上言いませんが、こういう点について、これはひとつ相澤君の質問に関連して大いに関心を持っていただきたい。この観光基本法ができる段階に、インチキなものは作らせない、外国人に見せない、それをやってもらいたいと思うのです。
  89. 相澤重明

    相澤重明君 その次に、観光政策審議会が総理府の付属機関として置かれる、こういう御提案けっこうなことだと思う。そこで、この観光政策審議会が置かれまして、三十人の委員組織をするということでありますが、現在まで、先ほど吉田委員の御指摘にもありましたように、各省間におけるこれらの一元化の問題についてはどういうふうにやろうとするのか、この点もいま一度聞かしてもらいたいと思う。提案者の御説明をいただきたい。
  90. 福家俊一

    衆議院議員(福家俊一君) もう一度、おそれいりますが。
  91. 相澤重明

    相澤重明君 総理府に観光政策審議会というものを置いて、しかもその審議会は委員三十人で組織すると、三十人以内でそういう基本的な問題の討議をするわけですね。しかし、今日までの日本の観光問題を考えてくると、各省にまたがっておるものが非常に多いということは、もう先ほど指摘されたとおりなんです。そこで、今までの行き方であっては、これは何にもならない。そこで、やはり一元化という問題が当然出てくる。その行政の一元化という問題について、先ほども説明をいただいておるようだけれども一体提案者として、その審議会でそれぞれ御討議いただいたことをそれでは一元化した場合に、どういう方法で進めるのか、こういうことについて審議をされた内容についてひとつ御説明をいただきたい。
  92. 福家俊一

    衆議院議員(福家俊一君) その点につきましては、行政機関から審議会に意見を求めることは当然あると思います。われわれといたしましては、各党の政調に観光委員会というものを持っておりますので、この基本法が通過した後も、十二分にその監視といいますか、行政機関がどういう方法をとるかということをながめつつ、お互いにも検討をして、そして鞭撻をする。なお、われわれの意図が盛り込まれないような場合は、三党共同提案で政府にこういうことをやれというような立法をしてもいいではないかというのが、今の話し合いの段階でございます。
  93. 小酒井義男

    小酒井義男君 関連して。今の観光政策審議会ですが、今まである観光事業審議会との相違点と、これからこの構成についてどういうようなことを考えられるか、この法律ができた場合に。政府のほうから、観光局長にひとつお尋ねしたいのです。
  94. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) まず変わり方でございますが、これは附則の中にございますように、従来ございます観光事業審議会は、観光事業に関する基本的計画とその他重要事項を調査審議するというふうになっておりますが、今度の観光政策審議会は、この観光基本法の規定によってその権限に属せしめられた事項、つまり第五条によりまして、毎年政府が国会に観光の状況等について御報告いたすわけでございますが、そのようなときに、観光政策審議会の意見を聞かなきゃならぬというふうになっておりますけれども、そのような法律で権限に属せしめられた事項、それから総理大臣または関係大臣の諮問に応じて調査審議する場合と、それからそれ以外に重要な事項については、総理大臣または関係大臣に意見を述べることができるというふうなことでございまして、現在までは内閣総理大臣の諮問にだけしか応じられなかったものが、今度は関係大臣まで範囲が広がったということで、性格がまあ一段と変わってきた、これが第二の問題、それから第三は、関係大臣にも意見を述べることができるというふうなことで、そのような権限が与えられたこと、こういった三つの点が従来よりも変わった点ではなかろうかというふうに考えるわけでございます。  ただ、この委員さんにつきましては、実は総理府のほうで発令をされ、内閣総理大臣の任命ということになっておりますので、運輸省のほうからはこの点についてはお答えいたしかねるわけでございます。
  95. 有田輝夫

    説明員(有田輝夫君) 御説明申し上げます。現在観光事業審議会の委員になっておられる方は、昨年の十二月に任命いたしたものでございますが、どなたも学識経験者としてりっぱな方でございます。それで、現在どのように発令するかということを検討しておりますが、まだ決定的な案は出ておりません。ただ大幅にかえるというようなことは現在総理府としては考えていないことを申し上げます。
  96. 江藤智

    ○江藤智君 関連。先ほどの相澤委員の屋外広告物の規制についての御質問に関連してなんですが、観光局長のお話で、この第十五条の立法措置の点から観光地という一つの制限を入れざるを得なかった、まあこういうお話なんです。そこでお尋ねするのですが、観光地というのは、何かデフィニションというのですか、定義があるのですか。実は私は、この観光地と入っておるけれども、この十五条で国土の美化ができるのだと、こう解釈しておったのです。ということは、現在は観光の対象として、工場も観光の対象になる、都市も観光の対象になる。だからして、観光立国を宣言するようなりっぱな基本法でございますから、この「観光地における」と入っておるけれども、広義の意味において工場も市街もみな入るのだから、これで日本の国全体の美化ができるのだというふうに十五条を解釈しておったのです。ところが、先ほどの御質問では、何か立法上やむを得ずして引っ込んだというようなお話ですから、そういうことでは困る。やはりこの十五条によって、長年の懸案であるみっともない屋外広告のようなものは、都市といわず、工場といわず、規制をしていただきたい。また、そういうふうにできるものだと、こう考えておったので、ひとつ発議者の御意見を承りたいと思います。
  97. 勝澤芳雄

    衆議院議員勝澤芳雄君) ただいま指摘されたように、観光地における美観風致の維持を図るため、屋外広告物等に関する規制」、それから「その他国土の美化に必要な施策」、まあ言うならば観光地の美観風致の維持も国土の美化も同じ次元にあるわけですから、今御指摘されたように、この十五条によりまして国土美化は全部できるよりに提案者としては考えておるわけであります。ただ、屋外広告物というような小範囲になりますと、この観光地というものがかかってきますけれども、これはまあ衆参両議院で国土美化の決議がされておるわけでして、これが十五条に入ってきた、今あなたの御指摘のとおりに考えておるわけであります。
  98. 江藤智

    ○江藤智君 先ほどどなたか提案者の方で、観光産業だとおっしゃった。私もまさに観光産業だと思う。アメリカにおいてもこれは商務省で扱っておる。そういうものでございますから、修学旅行でみんな東京見物に来るというのも、何もタワーを見にくるのではなく、やはり東京の一つの首都というものを観光の対象、しかもその観光というものは物見遊山では絶対にないのであって、広く日本の真の国土を見るというので、そのすべてが観光の対象になるわけでございますから、私は当然、ただいま立案者がおっしゃいましたように、これは日本の国土を全体美化するものだということにこれを解釈いたしまして了承いたします。
  99. 相澤重明

    相澤重明君 厚生省関係の方は出ておりますか……。国立公園等この観光資源の開発、もちろん未開発の地域の開発は当然だと思いますが、特に国立公園等については重要な私は資源だと思うのです。これらについては、国においても保存の問題ももちろん関係するのでありますけれども、何といってもわが国の観光資源としては非常な大きなウエイトを持っておると思いますので、これら国立公園等についてのいわゆる開放といいますか、そういう観光に提供するという問題については、どの程度まで提案者のほうは政府とお話し合いができておるのか、この点をひとつお尋ねしておきたいと思うのです。
  100. 福家俊一

    衆議院議員(福家俊一君) 政府ととおっしゃいますと、率直に申し上げますが、厚生省から国立公園部をこの観光基本法に取り上げない限りは、全面的に協力するという私ども個人的語になっております、率直なところ。
  101. 河野謙三

    ○河野謙三君 一点だけお伺いいたしますが、もちろんこの法案は賛成でございますが、前向きに伺いたいのですが、観光施設を整備すると書いてありますが、施設の整備というのは、非常に広範にわたって、法制的にも財政的にも非常にたくさんのものがあると思う。そこで、とりあえず、この法案が通りましたら、明年度の国会におきまして、財政上、法制上、まず何から手をつけていくか、その施設の整備についての一番急ぐと思われるものを一、二例を示してもらいたいと思います。
  102. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) 法文の順序で申しますと、まず第一の国際観光の振興について、国際観光宣伝の充実強化という点を強く取り上げていきたいと、かように考えております。  それからその次は、観光旅行者の保護及び観光に関する施設の整備ということで、ただいま御指摘のとおり、この施設の面の充実という、つまりそれには、運輸省の所管で申しますと、宿泊施設の問題、それからユースホステルの問題、このような問題がございます。したがって、それにつきましては、財政投融資のワクの拡大というふうな問題、それからユースホステルの問題につきましては、国からの補助金の増額というふうな問題、こういった問題を予算的には取り上げていきたい、かように考えているわけでございます。
  103. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は率直に申しますが、そんなこと以前に一つ大きな問題があると私は思う。この間私はある席でのんき節を聞きました。そのときに、こういう意味ののんき節でした。小学校や中学校の門に国旗が立っておった、祭日でも日曜日でもない、しかもそのウィークデーに日の丸の旗が立っておった、何だと思ったところが、これは修学旅行の生徒が無事に帰ってくるといって、おめでたいといって国旗を立っておる、こういうのんき節です。私は今の日本の全体のこれは子供を持つ親として、修学旅行には子供は行きたがるけれども一体何か交通事故がありはしないか、食中毒を起こしはしないかこれだけです、子供が帰ってくるまで。実は親はあまり修学旅行には出したくないというのが、私は親の気持であると思う。これはやはり観光とつなげて、まず私は観光の基本中の基本だと思う。旅館をふやすとかふえるとかいうことは必要ですけれども、いかにして交通の安全を守るか、いかにして旅館の保健衛生の設備を完璧にするか、中毒は一切起こさないようにするか、むずかしいことでありますけれども、これは観光基本法の中に包含されるかどうか知らないけれども、包含されようとしまいが、これは一番大きな問題だと私は思う。  それから、外国の例をとりますと、福家先生特に外国事情が詳しいが、外国から日本を見た場合は、一番日本の観光で問題になるのは、交通事故です。私は現に見て参りましたが、外国の日本の地図の中に、あぶないという道路の赤線が引いてある地図が外国にあります。ここを通ったらあぶないという地図があります。それから、ここの町は危険である。風俗が非常に乱れておるというふうなことが、案外灯台もと暗しで外国ではよくわかっている。でありますから、これを要するに交通の安全、保健衛生の整備ということが、私は、日本の観光の、対内的にも、対外的にも、一番基本だと思う。この問題に入りますと、冒頭に御質問がありましたように、やはり観光行政の一元化の問題、これは実はむしろ運輸省よりも、厚生省の問題、建設省の問題、そういうまあ広くまたがってくるので、こういうことを観光基本法の中に行政を一元化することはまことにむずかしいでありましょうけれども、わが党で言えば、福家先生のような非常に政治力の旺盛な人もおられますから、こういう問題が一つ片づかなければ私はいかぬと思うのですが、まあ話がくどくなりましたけれども、やはり一番の基本は安全ということですよ、国内的には。親が喜んで修学旅行に子供を送り出し、日の丸の旗を立てて学校できょうは無事に帰って来るからといって迎えに行くというようなのんき節がはやるようじゃ私はだめだと思うのです。こういう問題につきましては、私は、希望でありますが、特段のひとつ御留意をいただいて、今後ますますこの観光基本法——討論のようになりますけれども——内容が充実するように切にお願いいたしまして、私が最後だと思いますが、ここらでそろそろひとつ採決をしていただきたいと思います。   (「まだ質問があるのだよ」と呼ぶ者あり)
  104. 福家俊一

    衆議院議員(福家俊一君) ただいまの河野先生の御意見、私ども三党提案者全く同意見でございます。今梶本局長から事務的な答弁をされたのでございますが、提案者といたしましては、先ほど吉田委員からの御質問のときにも、私からあえて修学旅行という問題に触れましたように、三党の提案者といたしましては、何が何でもこの基本法が通れば第一に修学旅行の問題を取り上げて強力に推進したい、こういう信念に燃えておる次第で、何とぞ御援助を願いたいと思います。
  105. 岡三郎

    ○岡三郎君 今力強い言葉を聞いて、ぼつぼつ観光基本法通してもいいなという気持を持ったのですがね。しかし言葉だけではどうもあれですから、まあ先ほど政治力があるという話ですが、結局今までずいぶん指摘されていて、しかも置き去りになっているのは、私はその問題だと思うのです。この基本法を見ても、家族旅行その他の観光旅行と書いてあるが、先ほど局長が言ったように、二千二百万人も年間に、往来している。この問題を抜きにして観光業務はないのじゃないかというくらい極言したいわけなんです。そこで、この問題について実際的に一体じゃ何をするのかという問題について、まず国鉄のダイヤの問題についても、私一ぺん国鉄へ行って頼んだことがあるのですが、最近においてまあ前よりもかなりよくなっておるのでありますけれども、修学旅行の指定車というものもできておりますが、しかしあれができたためにかえって逆に差別待遇のような形がまた出てきたわけですね。ある特定地域の者は乗れるけれども、それからはずれた者は乗れない、こういう形で、あるいは指定列車の増強というか、そういう点について強く言われてきたわけなんですが、そのときには、今の新東海道線、これが完成した暁においては何とかその方法があるのだが、現状においては通勤列車を何とか省かなければならないようなダイヤの組み方になってしまうのでそれはできないということのお話であったのですが、まず輸送の問題をやはり根本的にひとつ新東海道線の観点とあわせて抜本的にやってもらいたい。  それからもう一つは、旅館の問題ですがね。旅館の問題についても、まあ今東京においては、上野とか、本郷とか、適所に適当に宿泊さして、何か問題が起こるというとぐっと大きくクローズアップされてくるが、そうでないとそのまま放置されているのが現状だと思うのです。こういう点について、まず、これも少し抜本的にやるとたいへんな金になると思うのですけれども、計画的にやはり宿舎というものを中心にしてひとつ対策というものをお考え願いたい。これは泊まる場所によっては、夜間の外出ということがあります。そうするというと、高等学校程度になり、あるいは中学の三年になるというと、やはりともすると旅行によって風紀が乱れるということも多いと思う。そういうふうな点で、宿舎の位置というものも相当に考えてもらわなければならぬし、それからそれに伴う施設というものも、完全でなくとも、現状よりやはり前進したものにしてもらいたいということが次にあるわけです。  それからもう一点は、各地において、大体東京からいえば、京都、大阪あるいは奈良、こういうふうなところで、また関西から来ると東京を中心にした観光地に行くわけですが、こういう点についての指導の面についても、やはりダイヤその他の組み方についても、相当錯綜してきて、なかなか問題があると思うんですが、こういう点についてもいろいろ検討している団体もあるので、やはりそういうふうな団体の今までの検討された面についても十分参考にされて、りっぱな修学旅行計画というものが立てられるような方向に行ってもらいたいと思うんです。  それにあわせて私二つ三つ聞きたいんですが、今のは要望なんですが、先ほど、抜本的にやる場合には、この法律を作るために、大蔵省が反対した——これはやはり財政の問題があると思う。この資料を見るというと、ホテル、旅館に対する開発銀行の融資とか、あるいは国際観光協会あるいは日本観光協会に対する補助とか、こういうことになっておりますが、先ほど河野さんが言ったように、一体どの程度の金でどういうふうに考えているのか。まあ観光局長が言ったこともわかるんですが、オリンピックを控えて、やはり当面は外来客の問題について精力的にやらなければならぬという点もわかるし、それに伴うところの宿舎施設その他もわかるけれども、構想として、今の修学旅行等の大きな問題を含めて、どういうふうな程度の構想のもとに、どの程度の金が要るのか、そういうふうな点についてのもしもお話があったらば、お聞かせを願いたいし、逆に言うと、大蔵省のほうで、こういう基本法が通った場合に、農業基本法が通ったあとの農業改善事業等のように、具体的にどういう面等に金を入れてやっていくのか、こういう施策というものも当然裏表になって今後出てくるんじゃないかというふうに考えるわけです。そうでないと、これは意味はないと思うんです、単なるスローガンで。そういう点で、今まで話があった点について、どういうふうなことを構想として持っておるのか、裏づけとしての財政としてどういうふうに考えておるのか、これはなかなか今言えないと思うんですけれども、大体の構想があったならばお話を願いたいと思いますがね。
  106. 福家俊一

    衆議院議員(福家俊一君) 岡委員の御指摘のとおりに、今直ちに具体案というところまでは行っておりませんけれども、われわれ提案者三党の政審の観光委員会に所属する者の間では、この基本法案が通過した後に直ちにこの問題に取り組みたい。それについては、今御指摘になったような、各界のそういう御意見も十分聞き、一体どれくらいの予算をとって、どの程度の施設——それは全部とは言いませんが、せめて修学旅行の中心地になるような地点に対してはどういう施設をするとかいうようなことを話し合いをして、そうして三党の力をもって大蔵省に当たりたい。何分率直に申して今までの観光局は非力ですから、運輸省の予算なかなかもらえない。これは、三党が全面的にバック・アップするということは、大蔵官僚といえども子を持つ親ですから、その点のことは多少今までよりも前進というか、ある程度そういうためにもこの基本法を通すということは大きな効果を生むものだと、こう期待しておるわけでございます。
  107. 岡三郎

    ○岡三郎君 それから、各駅にいろいろと施設があるわけですが、たとえば東京駅なり、あるいは名古屋駅なり、いろいろと施設があると思う、これは一般旅客者を含めて。しかし、今まで奇異に感じておりますのは、上野駅なんです。上野の駅には、ずいぶん、東北から、裏日本のほうから、ずっとあそこへ集まってきますね。そうするというと、あそこが一番——これからだんだん電化してくるんですが、昔はまっ黒になってあそこへ着く。そういうふうなことで、まあこれは一般の修学旅行の子供も含めて、ああいう駅の中——中あたりには無理かもしらぬけれども、とにかくふろへ入れて少しあなたさっぱりして東京見物するような公共的な施設ができないものかどうか。たとえば二百人なり三百人なりが入れるようないわゆるふろならふろというものを作ってさっぱりさして、そうして一般の旅客なんかについても、まあワイシャツがまっ黒になったら、そこへ入ってれば洗たくして旅行さしてやる。最近は特に電化その他でスピード・アップされてきているから、旅館に泊まらないでも日帰りでも行けるというふうな旅行の日程もずいぶん出てくると思うんです。そうなるというと、駅を中心にした一般の大衆に対するサービスといいますかね、そういうふうな点について私はひとつ御考究願いたいと思っている。これはまあ国鉄関係だと思うんですが、観光基本法の通った場合における、各駅における——最近は大衆駅といって、ショッピング・センターは一ぱいできるわけですよ、みやげもの屋なんかは。そうして、そのすみのほうにちょっと何というか、大衆の福祉施設的なものが、まあおざなりというと変ですけれども、ちょこちょこっとある。そうでなくて、ショッピング・センター——大衆駅という名前によっていいけれども一体、大衆がどれだけああいうふうなものによって利益を受けているのかということになるというと、まあ金を落とすために作られているんだろうけれども、要するに根本は、大衆の利便にこれを供するということが根本にならなきゃいかぬと思うんです。そういう点で、安く大衆がそこで旅のあかを落として、次に旅館に泊まらなくても帰れるというふうな、そういう施設も積極的に取り上げてもらいたいと思うんですが、こういう点についてはどうですか。これはやはり観光を進めるために、国鉄はそういった点について——やはり意見を今後とも三党で申し上げていくことになると思うんで、営業局長にも聞きたいと思うんですがね。
  108. 福家俊一

    衆議院議員(福家俊一君) 提案者といたしましては、岡委員のおっしゃるとおり全面賛成でございます。ぜひともそういうことを実現したいという理想に燃えておるわけでございます。提案者からも、ひとつ国鉄に直接御答弁願いたいと思います。
  109. 今村義夫

    説明員(今村義夫君) ただいまの御質問、まことにごもっともだと思うのでございますが、ただ現在の駅設備ではなかなかそういう施設を作る余地がないところも相当あると思います。ただ、今後いろいろな施設を考えます場合には、そういう点も十分考究していきたいと、かように考えます。
  110. 岡三郎

    ○岡三郎君 私は、一般の中間駅はいろいろと事情があると思うんですが、やっぱり特に欠点というか、必要というか、そういうことを聞くのは上野駅じゃないかと思うんです。これはほかにもあると思うんですが、ところがあそこは全くさっぱりし過ぎてね、ごじゃごじゃしてもう潤いも何もないという関係で、やっぱり東北方面あるいは裏日本方面から集まつてくる人々のある意味においてはあそこがやはりいこいのセンターになってもいいんじゃないかという気がするんですけれども、そうしないというと、あそこから吐き出されて、まあ何日か東京見物していく人なら旅館に集まって、そうしていろいろと命の洗たくもできるけれども、そうでないような人は、あそこへ朝早く着いたら一ふろ浴びて、そうしてさっぱりして東京見物したいという気持がかなえられると思うんですよ。安い値段でね。そうすればいいと思うんですが、そういうものについて全面的に検討しろと言ってもむずかしいけれども、やっぱり大衆が必要とするところについて検討してやってもらいたいという気がするんです。これはまあお願いです。  それからもう一つは、最近の観光事業と文化財保護の問題についてしばしば問題を起こしているわけですが、この基本法においてもその点についていろいろと述べておるわけで、観光資源の保護、育成及び開発をはかるためいろいろと書いてありますがね、それとあわせてまあ国立公園関係の尾瀬沼の天然植物ですか、ああいったいろいろなものについての保護の問題についてもしばしば言及されておりますが、それに対する対策もとられておるように聞いておりますが、実際的に観光業者のいわゆる商売上の強さというか、もうどんどん先行してしまってあれよあれよといってあとでいろいろ問題を供している。こういう点についていろいろと、財政的についても一般民間資金等についても、やはりもうかるところには集約的に金が投下されていく。こういうことで、ますますこの集約をされた、いわゆるブームというのですか、そういうところへ——われわれが見ても、箱根なんかもある意味では限界に来ているのじゃないか。しかし、ますますそこには資本が投下されているわけですね。こういう点で、一般民間資本の自由な投資ということも規制はできないけれども、やはり国としてですね、ここに書いてあるように、「地域格差の是正」とかいろいろな問題があるということを考えていく場合に、積極的にそういう面を開拓するということになるならば、やはり政府の補助とか、指導というか、やはりそういう面が相当大きなものになってくるのじゃないかと思うんです。そういう点で、先ほどしばしば言われたように、何といっても一元化しなければいかぬ。ところが、総理府に審議会を作ってやられるということで、レポートは、農業基本法のグリーン・レポートじゃないけれども一体どういう報告が出てくるか楽しみにしているんですが、実際問題として、一体基本法を作られた——われわれもその責任者だと言われるけれども、作る立場からいうと、する仕事は非常に多く、ほかの基本法においてもそうですけれども、中小企業基本法は今作られつつあるけれども、これに対しても隔靴掻痒の感を免れない。こういう点で、適当にお茶を濁して、ないよりもあるほうがいいのだという程度に終わる可能性が強いのじゃないかと思うんです。そういう点でいろいろと申し上げたいのですが、一元的に行政的なものを、まあ観光庁というものはできなくても、その方向に向かってお互いがやはり集約していく。これはまあ水の問題も非常に苦心していますが、今河川法なんかで。しかし、よほどお互いがしっかりしなければならぬと思うんですが、こういう点についてもう一ぺんひとつ決意を聞きたいと思うんです。問題の焦点は、そういう機構いじりということではなくて、抜本的に必要ならばそういうものについてやはりまとめていくというそういう方向が出てこないというと、何か総理府に設けられた審議会も、庶務関係は事務局でやるという程度のものに終わって、たまたま非常勤の審議委員が集まってきて、適当に出てきた問題を論議して終わりになってしまうのではこれはならぬという気がするのですが、その一元化の問題についてもう少し積極的な論をお聞かせ願いたいと思いますが。
  111. 福家俊一

    衆議院議員(福家俊一君) 岡委員に前もってお断わりしておきますが、私は野人でございますから、失礼な言葉がつい出るかもしれませんが、率直にはそういう点を言ってみたかった、提案者といたしましては。初めから観光省あるいは観光庁として、今の運輸省に所属する観光局というような小さい権限では、とてもこれからの世界の競争激化に耐え得ないというか、日本の大観光資源をもって観光立国的な特に外貨獲得という面に非常に認識が足らない、力が弱い。そこで、どうしてもこれに触れたいということがそもそもこれを持ち出した最初の考え方でございました。ところが、御承知のとおり、なかなか七省にまたがる機構に触れて行政改革の根本にまで達するということは、とてもオリンピックを来年に控えて間に合わない。そこで、これを残念ながら提案者としては二段階に分けたわけです。まず憲章といいますか、この基本法を通して、そうして政府を鞭撻し、覚醒を促す。いわゆる観光に対する認識が、口では観光観光とみなおっしゃいますけれども、その当面の指導的立場に立っている人すら旧態依然な考え方——最近の世界の観光の進歩した風潮というものに多少おくれているのではないか。これによると同時に、先ほども申し上げました四つの基本法と違って、三党の共同の議員立法として基本法を通した。いわゆる政府をこれによって引きずっていく。三党が強い決意をして、党首会談あるいは幹事長会談のトップ会談において党議としてこれを持っていく場合に、歴代の大蔵大臣といえども、総理大臣といえども、聞かざるを得ないのじゃないか。逆にそういうように持っていきたいという考え方が、これを推進してきた一つのパッションでございます。
  112. 岡三郎

    ○岡三郎君 そこでもう一点。今度は具体的に、先ほどいろいろと産業なんかの観光の問題と関連が出てきましたが、やはりこれからますます貿易自由化が始まって、いろいろな面においての産業取引も活発化してくる。ところが、産業の施設そのものを全面的に開放してこれを観覧に供するというわけにも参らないと思うのです。そこで、これは通産省との関連になると思うのですが、各地域における、たとえば京浜地帯、あるいは中京地帯、あるいは北九州、京阪神いろいろ工業地帯がある。その産業館のようなものですね。いわゆるこれは、そこへ行くというとその地域におけるところの産業の全体が大体看取されるようなものを作って、そうしてそれによって、日本の国の産業自体というものを、そこへ行けば、京浜工業地帯なら京浜工業地帯の大体産業その他がわかる。それに基づいて、どういうふうな施設によってそれが製造されているのかというふうな点についての見取り図というか、そういうものの手引きをするようなところが今後必要になってくるのじゃないかという気がするのですが、これは単なる観光ということよりも、日本の産業を諸外国に紹介する、こういう面において、何か全体にこれを掌握して、そしてそこへ行けば大体の全貌がわかる、日本の生産品の。そういう点についての希望を私は持っているのですが、こういう点についての関心はどうなんでしょう、観光全体として考えた場合に。
  113. 内海清

    衆議院議員(内海清君) ただいまの問題は、お話のとおりに、これは観光とあわせまして、貿易の自由化というようなこともございまして、きわめて重要な問題でございます。私寡聞で、全国におきまするおもな産業都市というものの状態を十分知りませんが、御承知のように、大阪にはこれは貿易センターというものがございまして、大体これへ参りますというと大阪のそういう状況がわかるように相なっておるわけでございます。こういうふうなものが今日まだ東京にはないと思いまするが、おもなる、特にいろいろ観光地に接続いたしましたそういう産業都市というふうなところにこういうものがだんだんできて参りますことによって、これは観光とあわせてわが国の貿易というものにたいへん寄与できるのじゃないかというふうに考えておるのでございます。将来そういうふうなものも十分進めて参る、こういうことが最も必要ではないかと考えておるようなことでございます。大阪では、おそらく商工会議所、あるいはあちらの比較的大きい企業がこれに参加いたしまして、貿易センターが、これはきわめてりっぱなものができております。将来そういう方向に行くべきじゃないかと考えております。
  114. 岡三郎

    ○岡三郎君 小さいものですが、もう一つ旅行客が来て非常に気を使う問題の中の一つに、チップ制度というものがあるのですが、これは諸外国に行ってわれわれもずいぶん悩まされてきているのです。過分に出せばあほうのように見られるということもあるし、といって地域地域によってずいぶん違うのですが、日本のチップ制度というものについては、自動車に乗っても何にしても非常によろしい。一々そういうこまかい気を使わなくていい。今のところは遊興飲食税その他で率をきめて取っているわけですが、それにしてもなお旅館内におけるところの女中の収入、そういった人々の収入は、やはりチップというものが相当重要視されているのじゃないかというようなことも言われているのですが、こういう点についてもやはり強力に指導して、そうして一切がっさいそういう気を使わなくても日本国内における旅行は全部できるのだというような方向が望ましいのじゃないか。一元的にやはりそういうサービス料というか、書きつけの中に出ていて、途中におけるそういうものについては要らざる心配はしなくてもいいように、一般のそういう旅館従業員、ホテル従業員に対する待遇というものも考えてもらったほうがいいのじゃないかというような気がするのですが、こういう点について、ちょっと局長の意見を聞いておきたいと思うのです。
  115. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) 昨年の五月一日に、ノーチップ運動ののろしを運輸省としては上げたわけでございます。同時に、ホテル協会、あるいはあっせん業者、ハイヤーその他関係観光業界に対しまして、大臣の命を受けて、いわゆる依命通達の格好で局長通達を出したわけでございます。諸外国にも、かなりこの問題は反響を呼んだと聞いております。現にホテルの予約をオリンピックを控えて外国で受け付けの開始をいたしておりますが、その予約受け付けの際にも、日本のホテル、旅館はノーチップでございますということをはっきりと料金とともに明示いたしてただいまいるわけでございまして、お説のとおり、もうノーチップが日本の観光一つの大きな魅力にしたい、かように考えて一生懸命やっているわけでございます。  ただ、この問題は、いわゆる給料と申しますか、収入の面との関連が非常に微妙な点がございます。特に日本旅館におきまして、いわばチップが女中さんの収入の大半になっているというような日本旅館のあり方、この旅館のあり方にやはり運輸省としてはメスを入れていかなければならない、かように考えております。それには、日本旅館の料金のシステムが、現在御承知のとおり一泊二食つきというようなことになっております。ホテルの場合は、宿泊と食事料とは完全に別々になっております。そういうような場合に、日本旅館の場合でございますと、夕食を抜きましても、あくる日の勘定を見た場合に、せいぜい五百円か六百円しか引かれていない。日本人の常といたしまして、心でいやであっても、大きな顔をして金払うというようなこともないじゃございません。そういうふうな日本旅館のあり方というものを、チップの問題のみならず、すべてについて私はメスを入れて解決に向かって進めたい、このように考えているわけでございまして、もうすでにこの問題については、国際観光旅館連盟の人々、それから日本観光旅館連盟の方々と十分再三再四運輸省としては話し合いをいたしているわけでございます。そうして、御指摘のとおり、いただくものは、領収書の中にきちんと書いたものを、一割なり一割五分なりをちょうだいする、それ以外のものはびた一文もいただかないということを、強く運輸省としては方針として打ち出しておりまして、今その方向に進んでおります。  ただ残念ながら、現在の税の徴収の方法としまして、料金と、それからそのサービス料と、それにいわゆる料飲税がかかるというふうな点がございまして、まことに運輸省としてはこの問題について弱っているわけでございまして、領収書にはっきりとサービス料を書いてもらえば、その書いたサービス料に料飲税が同時に合わせてかかってくるというふうなことでございまして、この点運輸省としては実に弱った問題になっているのでございますが、しかし弱った弱ったと言っているばかりでもしょうがございません。この問題については、関係方面と十分話し合いを進めているわけでございます。
  116. 岡三郎

    ○岡三郎君 今の問題は、局長の言ったような大きな問題があると私も思うのです。やはり正直にやるというと、税金という問題がすぐひっかかってくる。その点で、私も地方行政その他と連絡してその問題の解決に当たらなければならぬと思うのですが、その問題はまたあとに譲るとして、次に、諸外国を回っていろいろとわれわれは考えることが多いのですが、とにかく最近竣工しているホテルを見ると、非常にデラクッスなホテルが日本では多いのじゃないか。それで宿泊料もかなり高い。こういうふうな点で、われわれが外国を回ってみても、やはり中級程度の料金で気楽に泊まれるというふううなホテルが、今後オリンピックだけじゃなくして、日本の観光事業を進める場合において非常に大きい問題ではないかというふうな気がするのですが、それからまた、もっとホテルを建てる場合に政府が積極的に補助する場合においては、中級の、いわゆる外国でいえば十ドル未満で泊まれるようなホテルというものの建設が急務ではなかろうかというふうに感じておるものですがね。最近におけるホテル・ブームを見てみるというと、ますますデラックス化していくという形で、どうもその点がはっきり割り切れないのですが、こういう点どう考えておりますか。
  117. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) この点につきましては、諸外国の旅行者の日本ホテルの料金が高いという非難はまま私どもの耳にも入って参るわけでございます。特に世界の観光客が、いわゆる低所得者層にまで観光客の範囲が広がっていきつつある、また広げなければならないような情勢でございますので、勢いいわゆる中級のホテルの拡充ということを運輸省としても打ち出しておるわけでございます。大体現在建ちつつあるホテル、いわゆる御指摘のデラックスなホテルは、大ざっぱに申しますと一室一千万程度の費用がかかっておるわけでございます。運輸省としましては、その半分ということで、五百万円という線を勇敢に打ち出しておるわけであります。打ち出しておる場合に、具体的にどうしておるかと申しますと、たとえば融資あっせんの申請書が出て参りました場合に、たとえそれが八百万円であろうと、一千万であろうと、融資のあっせんをする場合に運輸省は五百万円と一律に査定をする、そして一室五百万円見当のホテルということで運輸省としては関係方面に融資のあっせんをするということを打ち出しておるわけであります。それ以上にデラックスなホテルを作りたければ、運輸省は融資のあっせんには応じられない、勝手に自己資金を調達しておやり下さいという方針を出しておるわけでございます。そのようにでもしなければなかなか中級のホテルというものが拡充していかないのじゃないかというふうに考えておるわけでござまして、まことに御指摘のとおり、今後の日本のホテル対策は中級ホテルの建設ということに鋭意努力をしなければならないと、私はかように考えております。
  118. 岡三郎

    ○岡三郎君 具体的に、運輸大臣がここにおるから、オリンピックだけじゃなくて、今後の日本のやはり宿泊施設というか、ホテルの建設という問題について、どうしても日本のホテルはいいけれども高いというので、なかなか気楽に泊まれないという点もあるのじゃないかというふうなことを感ずるわけですが、その点について運輸大臣にひとつ積極的にそういう面の開拓をお願いしたいということと、もう一つは、先ほど提案者のほうにも申したのですが、やはりこれだけの観光基本法というものをこれから具体的に地におろしていくということになるならば、やはり各省ばらばらではなかなか運用がうまくいかないのではないか、そういうことで、力強い回答をいただいておるわけですけれども運輸大臣としてもひとつそういう方向で当然やっていただけると思うのですが、その決意というか、そういう点についての御答弁をもらいたいと思うのです。
  119. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) ホテルの高価なことについて、私も岡さんと同感です。私自身もホテルの経営に若干参加した経験がありますので、あまりデラックスにして高いというと、どうしてもあく時間が多くて採算的にも悪いと思うのです。何ゆえにああいう高価なホテルをやるのかということは、動機は実際はわからぬのです。そこで私はそういう点についてはただいま観光局長が言いました趣旨にのっとりまして、政府で押えられるだけのことは押えていきたいと考えております。  それから、観光政策は、すべてのものが自由化、ことに資本の自由化が実施される場合におきまましては、一番手つかずに外資が取れるのは観光事業だと思います。設備と景色のいいという、日本は幸いに世界に類例のないいい景色を持っておりますから、これをもとにして外貨をかせぐということは時宜に適した政策だと思いますから、この法案が通りますならば、安易な方法によらず、イタリアのごとく、あるいはスイスのごとく、国是の一端として、こういうことを国策の一環としてやってみたいという考え方を持っております。
  120. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 簡単に。私は、衆議院の三党で共同されて観光基本法を提出されたことには、大いに敬意を表するものでございます。今までこの観光観光ということが大事だ大事だと言われながら、なかなか緒につかない。しからば今度この基本法ができたら、それがほんとうに改善されて、観光に対する国策がはっきりと立てられて、そうしてそれが実現してくるのでなければ、意味がないと思うのでございますが、私はその中で三つ重要な問題があると思います。  一つは、まず国民の心がまえというか、観光に対する観念というか、これが非常に大事だと思うのですが、前文には非常にそういうことがうたわれていると思うのですが、それが条章の中には見当たらない。たとえば、さっきお話に出た広告物の問題にしろ、私有地にならどんなものでも立てていいという観念でしょう。それは、さっき江藤君が言った、どんなみっともないものでも自分の庭ならばよいという観念は、これは日本全体が観光地になるということになると私は思うので、さような立場から、国民がまず、取り締まられなくても、そういう心がまえを持たなければいかぬということが私は基本だと思うので、そういう基本的なことが条章の中に、国民の心がまえについて——これは倫理規定になるかと思いますが、そういう点をこの条章の中にお考えになったことがあるかどうか、その点を伺いたい。お入れにならなければ、その理由。
  121. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  122. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 速記を始めて。
  123. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 前文には非常にりっぱにうたわれているわけなんですが、私は、たとえば、わが国を観光地として、若い青年——国の青年にも、外客が来た場合には、外客にもこれをがっちりと示す。観光という観は見るのじゃなくて示すのだと昔からいわれているようですが、さような意味からいうと、国民がまずその心がまえに徹することが大事だ。私ども深いことは知りませんが、スイスに行くと国民全体が自分の国を観光地として深い認識を持っている、こういうことですが、これが親切な行為になったり、建物を建てようというときにも、こういうところにこういうものを建てたら目ざわりじゃなかろうか、あるいはこの景色にマッチするかどうか、かようなことを考えて、政府の取り締まりを待たずに、そういうことを実施していく、そういうところに観光国としてのほんとうの成長がある、あるいはまた完成がある、私はさように感ずるわけです。ですから、条章の中に、第一条は「政策の目標」となっておりますが、私は、いわば第一条に、国民の心がまえというようなこととして一条設けていただきたいと思うわけなんです、私の気持は。そういうことが御論議がなかったかどうか、あるいは御論議がありながら条章に加えられなかったことには何か御理由があるかどうか、その点を伺っているわけです。
  124. 福家俊一

    衆議院議員(福家俊一君) 加賀山委員のお説のとおりでございまして、私、欧来を回りまして特にローマの一例をあげましても、古代からの遺跡を、ローマ市民あるいはイタリア国民がそれを守りつつ住んでいる、あるいは北欧、スカンジナビヤ諸国におきましても、街頭にちり一つ落ちていない、いわゆるその市民が落ちているちりを自分で拾ってポケットに入れる、こういうように、国民的道徳といいますか、非常に日本に比べて遺憾ながら諸外国が高いと思います。こういう点について、道徳問題にお説のごとく触れたいと考え、われわれの心の中にはそういう精神は十分持って立案にあたったのでありますが、法制局との折衝の際に、法文化する場合に、この現在御提案いたしております体制が最も好ましいというような法律家の希望によりまして、こういう体制にしたわけでございます。しかし、精神は、一貫して前文及び内容に含まれておるものと考えております。
  125. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 法律を見ますと、倫理規定という性質のものもかなりあるのでございまして、法制局が何と言ったか知りませんが、三党の強力な議員がお集まりになってせっかくできるのだから、私は、まず第一条にそういうものがほしかったように思うわけです。まあ、これはここでとやかく申しても仕方ございませんが、私としては、強い希望をこの点に持っているということを申し上げておきたいと思います。  それから、この基本法がほんとうに生きるためには、先ほどからさんざん御論議されておりますが、何としても、観光に関する政府機関が多過ぎるということで、しかも、その主管局である運輸省観光局は、いかにもこれは弱い。と言っちゃ、梶本君は非常に優秀な局長ですが、権限上私は弱いと言わざるを得なかったのです。ですから、基本法をこれだけ先生方がお持ち出しになるならば、どうしてこの際もう一歩観光省、そうして国民の保健と……。しかもの法律を見ますと、単にいわゆる国際観光だけでなしに、国民のレクリェーションも含めた非常に広範な観光ということになっておる、この二つを合わせて一つ法律体系にすることは、多少二つが食い違う場合もあってむずかしいと思うのですが、しかし、それは基本法ですから、合わせられることは非常に正しいし、いいし、根本的になっていると思いますが、それならそれに対応する部局が、国の、改府の機関が当然なければならない。それが、先ほど国立公園に触れなければ厚生省は賛成だと、この一言だけ聞いて私はがっかりした。そういうことでちょっと伺いたいのですが、そうすると、ここにございます「国際観光地及び国際観光ルートの総合的形成」というのは、これは国立公園には関係ないわけでございますか。一体、こういうものはどういうところを指定され、どういうところを考ておられるのか、それをひとつ承りたい。
  126. 福家俊一

    衆議院議員(福家俊一君) 先ほど来各委員さんから、私どもが考えておりますとおりの御質問といいますか、叱咤激励されたわけでありますが、先ほどたいへんまずい答弁で恐縮でございましたが、率直に申し上げたように、われわれといたしましても、当然行政機構の改革を前提として基本法は出すべきものでございましたけれども、オリンピックを来年に控えて、今日の政情からして、七省にわたる行政機構に触れることは、現段階においては時期尚早といいますか、見通しがつきかねたわけでございます。そこで、残念ながら二つに分けまして、まず観光立国の宣言、いわゆる憲章をまず今日提案をしておる次第で、それにつきましては、あとにつきましては、幸い基本法の三党共同提案が初めてでございますので、この通過後におきましても、三党が共同の責任を負って、党の政策審議会において十分検討をし、その趣旨に沿いたい、こう考えておるわけです。幸いこの席上に、私どもが最も尊敬し、かつ戦前から政党政治家として非常な政治的手腕のある運輸大臣綾部健太郎先生がおいででございますから、願わくば留任をされて、われわれの力添えをしていただくよう、特に御発言を願いたいと思います。
  127. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 あとで運輸大臣からもひとつ御決意を承りたいのでありますが、もう一つ、私は部局の対立というか、非常な部局に分かれているということと、もう一つの、観光の進まない、思うとおりにいかない理由は、これに優越性、優先権を与えてこなかったということにあると思うのです。たとえばダムを作る、あるいは地下資源を掘る、あるいは工場を作るといった場合に、これは観光ということは頭からない。これはありません。これはもう、どんなことがあったって、どんなに景色を害しようと、そこへ工場をべたべた作ってしまう。あるいはダムや地下を掘ってしまう。そうすれば、いかなる天然記念物であれ、いかなるものであれ、これは一たまりもなく、なくなってしまうわけです。そうなった場合に、これは通産省であると言っておってはいけないので、ここにやはり観光基本法ができる以上は、観光ということに一つの大きなあれを与えて、優越性を与えて、そうしてこれは何としてもやるのだというくらいのことがなければいけない。財政投融資等から考えていきました場合に、観光ということは順位が非常に低くなっておった。おそらく、今度の基本法ができて、この基本法のあれでもって今までの劣位は取り去られて、非常に優位を与えられるようになる、これは唯一の私ども楽しみにするわけですが、この点ひとつ、どの程度に観光ということに——今まで三党でこれだの方がそろって通った法律というのはそれほどない。共同提案です。これであるならば、よほどの優越性が持てるはずだと、かように考えますが、それらについての提案者としての御決意を承りたいと思います。
  128. 勝澤芳雄

    衆議院議員勝澤芳雄君) 先ほど御質問の中で漏れておった点でございますが、「国際観光地及び国際観光ルートの総合的形成」の問題につきましては、これは先ほど観光局長からも御説明あったと思いますが、国際観光地及び国際観光ルートの指定に関する法律、こういう法律を制定いたしまして、この法律の中でこの問題を解決をしていく、こう考えております。  それから観光に対する問題でありますけれども、今先生御指摘されましたように、実は観光そのものについての考え方というものが、やはり物見遊山的なものであって、本質的に今日の観光というものがいかなるものかという点についての理解に実は乏しいわけであります。そういう意味におきまして、一体観光とは何ぞという点を前文の中で明確にして、そうして、今日国際収支が赤字だといわれている中で、観光の占める役割というものを十分述べまして、そうして、諸外国において今日観光というものが大きな国際観光産業という立場から推進されておる、こういう点から、これをもっと強める、こういう立場でこの観光基本法というものが論議されたわけでありましで、そうして、今御指摘されましたように、この観光基本法につきましても、観光事業審議会のほうからは、今まで何回となく実は観光基本法についての答申がなされ、そうして行政の一元化の問題についても強く言われてきたわけであります。しかし、やはりこれが何かまだ片すみの問題としてしか取り上げられていなかったのでありまして、今日、来年にオリンピックを迎えた時期に、観光基本法というのを、不十分ではあるけれども制定をして、その中で観光の重要性について十分認識を求め、そして不十分な点につきましては、三党が共同の責任を持って、そしておくれている施策を推進をしていこう、こういう決意でおるわけでありまして、この法律が成立しましたあとにつきましても、三党は、この観光基本法というものが現実にいろいろ前進的なあるいは措置を講じなければならない、あるいはこうすべきだというようなことがなされておりますので、これらの施策が実行されるように、各省について、あるいは関係個所について十分激励をし、そしてこの基本法というものを完全なものにしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  129. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 たいへん力強い御答弁をいただいたわけでございますが、従来の観光事業審議会で出してきた答申あるいは建議というものは、おびただしい数に上っているはずです。これらの一つでも二つでも片づいておりましたら、日本の観光はもっと一歩も二歩も前進していただろうと思うわけですが、こういうことが、一向、答申や建議があるだけで、今まで一つも実現、日の目を見なかった。私は、この観光基本法を持ち出されるということからには、まず、今までの答申あるいは建議のうち、必ずなさなきやならぬということがあるはずなんで、これらからまず取り上げて大いに力強く政府の施策としてやっていただけるはずだと、それを私ども期待をするわけです。それらの事柄、つまり、従来の答申あるいは建議について、おそらく諸先生方ごらんになったと思うんですが、それについてどういう見解をお持ちであるか、伺いたい。
  130. 勝澤芳雄

    衆議院議員勝澤芳雄君) この観光基本法を作成する中におきましても、従来出されました観光事業審議会のいろいろの答申を見せていただいたわけであります。この答申を見てみれば、実はこの答申が完全に実施をされておるならば、今さらこの観光基本法を出す意味もないわけでありますけれども、それらの答申が出されながら、現実にはただ出されっぱなしになっておったという点から考えてみると、やはりこの際観光事業審議会という形よりも政策審議会にして、そうしてそれは、ただ単に内閣総理大臣だけでなくて、各大臣にもひとつ意見を出させよう、各大臣の諮問にも答えよう、そしてなおかつ、年次報告もさせよう、こういう形で、観光というものについての認識を国全体の中で、あるいはまた国会全体、あるいは各省全体の中でもう少し高めて、そうしてその中で、今まで言われてきたもろもろの問題についても解決をしていこう、こういうように考えているわけでございまして、むろん、観光政策審議会ができましても、観光事業審議会、今までやられてきたものについて、それ以上のものも出てくるかも存じませんけれども、今まで出ておるものについても相当りっぱな意見が出ておるわけでありますから、これらをやはり推進していくのが一番重点になろうというふうに考えておるわけでございます。
  131. 相澤重明

    相澤重明君 私が最後にお尋ねしておきたいと思いますのは、国が観光基本法を作るわけでありますが、この法律の中にも、地方公共団体、いわゆる自治体に対しても協力を求めておるのでありますが、その協力度合、また行政上における指導、こういう問題について、どの程度までお考えになっておるのか。この点は、地方自治体にとってはきわめて重要な問題だと思うんであります。しかも、先ほども委員から指摘をされましたように、日本が観光立国の宣言をすべき段階にある、こういうことでありますから、国民全体がこの観光に取り組むということでありますので、特に国会でこういう御審議をいただいておりましても、国民全般にそういう協力を求めるということは、特に地方自治団体にやはり強い関心を持っていただかなければならぬ、こう思うのでありまして、こういう点について、提案者の立場でどういうふうにお考えになり、またやろうとするのか、構想をこの際お聞かせをいただきたいと思うのです。
  132. 勝澤芳雄

    衆議院議員勝澤芳雄君) 「地方公共団体は、国の施策に準じて施策を講ずるように努めなければならない。」、こういう形で、第三条に地方公共団体の施策という点をうたったわけでございまして、この点から言いますれば、今日各地方公共団体の中に、観光に当たる部局がないというようなところもあるわけでありまして、こういう点につきましては、観光局を中心に積極的にやり、窓口を県の中に、あるいは市町村の中に作らせて、あるいはまた町全体、あるいは地方公共団体の中で観光についての認識を高め、その中から観光診断というようなものも今行なわれているようなわけでありまして、あるいはまた、いろいろと観光行政を行なっている中で、たとえばユース・ホステルを作るというような場合につきましても、国あるいは地方公共団体の積極的な負担、国との負担を進めていって、なるべくたくさん作っていく、こういうようなこととか、あるいは国民休暇村の問題、あるいは国民宿舎の問題、こういうような具体的な施策の中で地方公共団体の協力を求め、あるいはまた国のほうもそれについての補助、助成というものを進めていく、こういうことが今現に行なわれておるわけでありまして、それらをもっと積極的に進めてもらおう、こういうふうに思っておる次第であります。
  133. 相澤重明

    相澤重明君 今の御説明をいただきまして、たいへんよくわかって参りましたが、それではいま一つ。  この法律の中では、総理府にいわゆる観光政策審議会というものを持つことになるわけでありますが、地方公共団体、地方自治体にもそういう方向づけをする、こういうお考えを持っておるのかどうか。この点についていかがでしょうか。
  134. 勝澤芳雄

    衆議院議員勝澤芳雄君) この法律を相談する中では、地方にこういうものを持ったほうがいいかどうかという点については、論議をいたしておりません。しかし、現実に地方の実情を見てみますと、相当観光問題について関心を持たれて、議会の中に、あるいはまたこの付属機関的にこういうものを持っているところも多いようでありまして、これらにつきましては、提案者のほうとしては、こういうものを作るほうがいいとか悪いとかいう意見はまとまっておりません。
  135. 相澤重明

    相澤重明君 私は、衆議院の段階において少なくとも三党が共同提案をされて、しかも法律化するという場合におきましては、やはり国の基本でありますから、財政投融資等も当然それに伴うということになれば、やはり下部といいますか、地方自治団体、公共団体においても、そういう各界の意見を聞く、そうしてまた最もよい方向づけをしていくというためには、そういうことが私はやっぱり必要ではないか、こう思うのでありまして、御検討をいただきたいと思うのであります。  そこで私は、以上の御質問を通じまして、委員長一つの提案をしたいと思うのですが、今まで衆議院の段階においていろいろ御討議いただいた内容の御説明をいただいたのですが、私は、この機会に、今までの各委員の意見というものを参議院の審議の段階において取りまとめていただく、これを、委員長、理事とでひとつ打ち合わせをしていただいて、できれば、今までの中心的なものを、附帯決議なら附帯決議に取り上げてもらいたい、こういうことで私はこの質問を終わるわけでありますが、今までの強い意見というものを、ひとつぜひ、委員長、理事の間でまとめていただきたい、このことを委員長に提案をして、私の質問を終わります。
  136. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ほかに御質疑はございませんか。  それじゃ、ちょっと速記をとめて。   〔午後四時三十二分速記中止〕   〔午後五時速記開始〕
  137. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 速記をつけて。  他に御発言もなければ、これにて質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 御異議ないものと認めます。  これより討論に入ります。
  139. 天埜良吉

    天埜良吉君 私は、各派共同提案の次のような附帯決議をつけることを提案いたします。これを朗読いたします。   政府は、観光基本法制定の精神に従い、本法に基づく諸施策の実施のために鋭意必要な法制上、財政上及び金融上の措置を講ずるとともに、行改組織の整備及び行政運営の改善に努力すべきである。   以上です。
  140. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ほかに御意見もなければ、討論は終局したものと認め、直ちに採決に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 御異議ないと認め、採決に入ります。  観光基本法案を問題に供します。  本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  142. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 全会一致でございます。よって、本案は全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、ただいま天埜君の提出にかかる各派共同提出の附帯決議案を議題といたします。  本附帯決議案を当委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  143. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 全会一致でございます。よって、本附帯決議案は、全会一致をもって、当委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、諸般の手続につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 御異議ないものと認めます。さよう決定いたしました。  ただいま決定いたしました附帯決議に対し、綾部運輸大臣発言を許します。
  145. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) ただいまの各派共同の提案にかかる本法案に対する附帯決議につきましては、本案審議の過程にかんがみ、政府は極力善処することを申し上げます。
  146. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 次回は十三日午前十時開会とし、本日は、これをもって散会いたします。    午後五時五分散会