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岡三郎君 私は、
日本社会党を代表して、
海運関係二
法案に対して反対の意思を表明したいと思います。
今までいろいろと両案について
審議をして参ったわけですが、基本的に、今日の
日本の
海運界の不況の
原因については、従来とられて参りました
政府の
海運政策そのものにやはり基本的な欠陥があったのではないか、こういうふうに
考えざるを得ません。特に、今回出された二
法案について、
海運の
現状から見てやむを得ない
措置であるし、また国全体から見て、国際収支の関連から見て、やはりすみやかに
海運の再建をはからなければならぬという、こういう点については、十分わかるわけでありまするが、それならば、この
海運再建についてこういうふうな施策を推進すると同時に、われわれとしては、
海運全体を振興するためには、やはり内航
海運の問題とか、あるいは港湾
関係の近代化とか、いわゆる総合的にもう少し抜本的な
解決策というものを作ってもらわなくてはいけないのではないかという、こういう感を強くするわけです。
したがいまして、参議院といたしましては、港湾
関係なりあるいは内航
関係についても、なおなお十分
審議を尽くしていきたいという気がするわけですが、今までの御答弁の中でも、せっぱ詰まった
海運の再建、これに伴う
措置として、今言ったような
海運界の
集約化、あるいは
造船の利子補給、いろいろな問題についても、われわれも
検討して参ったわけですが、どうもこれだけで
考えてみるというと、大
企業については非常に熱心ではあるけれ
ども、それに付随する中小
企業全体に対する
政府の施策というものが片手落ちではないのか、こういうふうな感を強くするわけです。この点が第二点です。
それからもう一点は、いろいろと
質疑の過程の中で、
海運の
集約化、
企業の
集約化、これが今年一ぱいになされるということでございますが、これに伴うところの、
海運事業に従事する
従業員、特に陸上
関係の
従業員についての問題について、やはりわれわれとしてはきめのこまかい
対策というものがなされる必要があるのではないか。ところが、この二
法案を見まするというと、大
企業の
集約、それに伴って
海運の再建というものを急速に推し進めるということの陰に、そういう
従業員自体の生活の問題というものが非常にラフに取り扱われておるような気がするわけです。この
質問に対して——先ほ
ども同僚の
大倉委員からもあったわけですが、やはり
海運全体が再建されるという中において、当然今まで
従業員も苦楽をともにしてきておるわけです。そういうふうな点で、まあ
運輸大臣は心配がないように極力やると申しましても、われわれはもう少し、その
配置転換なり、あるいはその吸収策なりというものを明示してもらいたい、こういうふうに申し上げても、具体的な
対応策というものが、われわれが納得するものがないわけです。こういう点について、やはり大きな国としての施策を推進する陰に多くの犠牲者が出るというこの懸念はどうしても払拭できないわけです。そういう点で、労務者
対策というものも十分に今後考慮さるべき当然な問題だろうというように
考えますが、こういう点についてまことに不安定であるし、不十分な
対応策しか聞けなかった、こういうふうに
考えまして、この点を
考えるというと、どうしてもこの
海運関係二
法案のみにおいて
海運が明瞭に再建されるというふうな
段階ではまだ十分でないのではないか。もう少し総合的に施策を進めて、そうして、どうせ国の金を使うというならば、これに伴う関連のあらゆる問題についてもきめこまかくやはり
政府としては
対応策を作って提示すべきだ。こういうふうな多くの問題点を残して、大
企業のみが国際収支のバランスをとり、
日本のいわゆる国策としての立場においてこれは擁護される、こういうことでは、片手落ちのそしりを免れないと思います。
以上のような点について、
海運二
法案自体が今後の
日本の再建に役立つということについては、認めるのにやぶさかではございませんけれ
ども、総合的なそういう配慮というものを
考えた場合に、今すみやかにこれに賛成して、今後見守るというよりも、この
法案については根本的にまだ欠けておるという観点に立って、社会党としては、反対しつつも、今後の
海運の発展について十分留意していきたい、こういうふうに
考えます。
以上申し上げて社会党としての意見の開陳を終わります。