○
相澤重明君 それと同時に、
通産大臣、私の心配するのは、実は鉄鋼の量産をふやすことはもう既定の事実。それは幾ら
政府が押えようといったって、これは、能力があるものを昨年は業界が自主規制をしたのですよ。ところが、今のような時期になれば、これは困るから、あなたの言うようにどうしても伸ばしていこう、こういうことになっておるのです。今の常務会がやっておることは、必ずもう私は伸びると見ていますよ。ところが、あなたのほうで五%にするか一〇%にするかは別です。けれ
ども、業界が必ず鉄鋼の量産を上げてくることは事実です。ところが、もしあなたの
説明のとおりにいくと、一体そのしわ寄せはどこへいくかというと、
労働者に来るのですよ。だから、私が一番心配するのは、
政府の
指導いかんによっては、
労働者の低賃金政策を押しつけていこう、こういうことになりかねない心配があるから言っておるのですよ。もちろん、外国と競争をするのだから、外国に負けちゃいかぬ、そういう気持は、われわれ国会議員としては皆同じだと思う。その間で、せっかく
政府が
利子補給までして
船舶建造をさして、そして
外貨を多くとる、こういうのだが、そのもとになるところの鉄鋼業界なり造船業界のそのいわゆる建造価格、この価格がうまく輸出
船舶の費用に合わないようになると、実はそのしわ寄せというものが、働いているものに来てしまう。ボーナスも出せません。給料も分割払いです。舞鶴の、何ですか、造船所は、ついにつぶれなければならぬようになった。こういうようなことになったのでは、それはあなたの
意思にも反するでしょう。日本の国は、何も、幾ら機械をよくしてオートメにしたところで、
合理化したところで、国民の生活を守らなければ、あなた、政治じゃない。そうですね。だから、
労働者の賃金を安くして、そしてしわ寄せがすべて働くものにくるということになったら、これは心配だから、そういうときには、国策として推進する以上は、そういう点に思いをいたしておかなければならぬと、私はこう思うのです。
そこで、あなたにひとつ具体的に聞いてみてもいいですか。
——そこで具体的に聞きたいのは、先日、日立造船が英国の海運会社のコートライン社に二十二日に契約をしたわけですね。あなた御承知のとおりですよ。ところが、これについて、どうですか、英国の
労働組合は猛烈な
反対をしているじゃありませんか。海外の情報では、日本の
労働者の低賃金がいわゆる契約高を安くさして、そして英国の
労働者の生活を圧迫すると言っているじゃないですか。今これを読んでみると、この英国の海運会社コートライン社は、日立造船との間に六万七千トンの
タンカーを総工費二百二十九万ポンドで建造する契約を結んだ。この発注をめぐって英国の造船
関係労組が反発して、しかも英国の下院でもウイリアムズーこれは保守党議員ですよ。保守党議員のウイリアムズー議員が、下院でもって
政府に対して猛烈に食い下がっておるじゃないですか。なぜ
政府はこういう英国の
業者及び
労働者を圧迫するようなものを許したのだと。そして英国の船のボイラーマンの
労働組合の人は、ストライキをやると、こういうことまで今この
新聞は報道しておるじゃないですか。
こういうことか私は
——今、英国と本日の造船との契約の問題で英国で起きている問題だけれ
ども、これは単に英国だけじゃない。今、ILO総会に各国の代表が出ております。労使がお互いに出ます。これは必ず問題になります。日本はこれほど低賃金政策をとっておるのかと。だからこそ、池田内閣が幾らILO条約を批准しますと言ったところで、ただ形ばかりで、今まで何年かかっても批准をしないのだ、日本の
労働者というものの人権というものを認めないのが池田内閣じゃないか、その代表が、今度の英国のこの船を契約したことに現われてきたんじゃないかという
——私が言うのじゃなくて、向こうが言うだろうと、こう言うのです。
そこで、そういうことに対して、
通産大臣だってこれは黙って見ているわけにはいかぬ。私は何も、民間の会社が外国の
商社と契約したことだから、それに対していい悪いということを言いたくはないけれ
ども、そういうところに追い込まれておるこの業界というものの救済をしなけれ
ばいかぬ。そのことは、もし黙っておれば、私
どもがそういう点を
お話しをしなければ、日本の
労働者階級はますます低賃金政策に追い込まれる。こういう点を私は心配をするわけです。だから、
通産大臣はそういうことはないと思うのだけれ
ども、そういう点で、この英国の一つのマンモス油送船の日本の日立造船と契約したことに対するあなたの見解をひとつ聞かしておいていただきましょう。