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1963-05-23 第43回国会 参議院 運輸委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年五月二十三日(木曜日)    午前十時三十八分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     金丸 冨夫君    理事            天埜 良吉君            谷口 慶吉君            天坊 裕彦君    委員            江藤  智君            河野 謙三君            平島 敏夫君            村松 久義君            相澤 重明君            大倉 精一君            小酒井義男君            吉田忠三郎君            浅井  亨君   国務大臣    運 輸 大 臣 綾部健太郎君   政府委員    運輸大臣官房長 広瀬 眞一君    運輸省鉄道監督    局国有鉄道部長 向井 重郷君   事務局側    常任委員会専門    員       吉田善次郎君   説明員    日本国有鉄道総    裁       石田 礼助君    日本国有鉄道常    務理事     山田 明吉君    日本国有鉄道新    幹線総局総務局    長       中畑 三郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査日本国有  鉄道運営に関する件)     —————————————
  2. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  まず、運輸事情等に関する調査を議題といたします。
  3. 相澤重明

    相澤重明君 先ほどの理事会では、新総裁がこの間はごあいさつしただけで、きょうは新幹線等の問題を中心に報告をしてもらうことになっておる。したがって、運輸大臣並びに総裁から最初報告してもらって、手元資料が出ておりますから、それから質疑を行なっていきたいと思います。
  4. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) それでは、国鉄より新幹線に対する報告書も出ておりますようですから、これに対する御説明を求めます。
  5. 石田礼助

    説明員石田礼助君) 私が説明すべきなんですが、御承知のとおり、就任早々、今一生懸命で試験勉強をしている最中でございます。したがって、まだほんとうに確信を持って説明する自信がありませんので、間違ったことを御説明いたしましても、まことに恐縮に存じますので、山田理事から詳細を説明させていただきます。よろしく御了承願います。
  6. 相澤重明

    相澤重明君 それでは、私のほうから運輸大臣に先に聞いておきたいと思うのですが、前回の本委員会で、この国鉄新幹線予算が足りない、赤字になった、こういうことで、それを国鉄から運輸大臣報告を求めて、監査委員会監査をさせるということにあなたは答弁をされているわけです。したがって、もし間違ってはいけないし、また国鉄から二度うそをつかれては困るから、そこで、この資料提出を求めたものを、本委員会でならば資料として提出できる、こういうことをあなたは言われておったですね。そこで、今私ども手元に出されたものが、これが運輸大臣報告をされて、あなたは監査委員会にこれを監査をせしめておるものかどうか、そのことを先に大臣から御説明いただきたい。
  7. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 東海道新幹線工事費についての報告は、お手元へ差し上げてあるものと同様の報告を私は受けまして、国鉄運輸省関係者によりまして一応の調査をいたしまして、直ちに同日夕刻監査委員長を招致いたしまして、監査を命じているのが現状でございます。
  8. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、運輸大臣は、この国鉄から提出されたこの内容については御説明を受け、また運輸大臣自身も納得をして、監査委員会監査を命じている、こう受け取ってよろしいですな。
  9. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) そのとおりでございます。
  10. 相澤重明

    相澤重明君 そういたしますと、私どもは、今これから山田常務から説明を受けるにしても、説明を受けてからのほうがいいと思うのですが、この中の数字等を見ると、たいへんやはり問題があるように思う。したがって、先ほど石田新総裁から、まだ勉強中であるという御答弁であったので、これはもっともな話だと思うけれども、そういう点について、運輸大臣としては、今総裁と同じようにかわったわけではないのだから、この点についての当初の計画に対する資料というものをあなたは持っているはずなんですがね。そういう点については、当初の資料と対照されて、そして、これがもっともである、こう理解をされて、いわゆる国鉄説明をお聞きになったと、こういうふうに受け取ってよろしいですか。
  11. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 私が申し上げましたのは、国鉄からの報告につきまして、詳細を調査する以前に、その報告そのものについての監査を求めまして、その結果を見まして、さらに詳細に検討いたそうと考えております。
  12. 相澤重明

    相澤重明君 それからいま一つ。運輸大臣は、この東海道新幹線の問題を初めとして、国鉄の事故問題、あるいはそういう経営上の責任の問題について、十河総裁の再選を思いとどまって、石田総裁を選任することを了承されたと思うんですね。そこで、今回のこういう事態を惹起した国鉄首脳部責任について、いわゆる総裁だけの考えなのか、それとも他にそういうふうなことをお考えになっているのか。この点は、新聞紙上でとやかく言われるだけで、実際に国鉄のこれらの問題について、当委員会で種々議論をされている立場があるわけですから、やはりその点は、運輸大臣として、新総裁相談をされたならばされたと、あるいは今後のあり方というものはどうなのかということは、私はこの委員会でやはり所信を披瀝されてしかるべきだと思う。そういう点についてどういうようになっているのか、この点を伺っておきたいと思う。
  13. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) ごもっともと存じまして、お説のようなふうに国鉄石田総裁と話をしております。まだ結論に達しませんが、そういう話し合いをしているということだけ御報告申します。
  14. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、あれですか、総裁相談をされているという段階であって、新聞記事というものはすべて憶測の問題である、こういうふうにわれわれ受け取るのですが、そういうことでよろしいんですか。
  15. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 憶測とお考えになれば憶測であるし、事人事に関する問題でございますから、慎重に考えまして善処いたしたいと考え相澤先生のお示しのような方向に向かって相談をいたしておるということで御了承願いたいと思います。
  16. 相澤重明

    相澤重明君 その見通しというものはいつごろになるのですか。
  17. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) これは、何月何日というわけにも、相手方があることですし、わからぬと思いますが、そんなに十日も二十日もかからぬと思います。
  18. 相澤重明

    相澤重明君 私は、少なくとも、運輸大臣総裁任期切れの五月十九日の前に新総裁の選任について総理を初め関係者相談をされておるんですから、石田新総裁が二十日にここに新たな総裁としての決意を述べられて、そうして事故対策を初め国民の負託にこたえるということを声明されておる以上、人事の問題だからといって長く私は放任すべきではないと思う。そのことを長くするというのは、一体どういう原因があるのか。私はそういうところに今日の国鉄運営に対する疑惑というものを国民が持っておるんじゃないかと思う。すみやかにそういう疑惑を払拭して、そうして、この新幹線のことを初めとして、国民国鉄に対する正しい認識を得るように、あなたがやはりそういう立場をとらなかったら、だれがとるんです。
  19. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 私はお説のとおりの立場をとりまして促進いたしておるのが現状でございます。
  20. 相澤重明

    相澤重明君 見通しを聞いておるのだ。
  21. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 見通しは、相手があることですから、今日ただいま何月何日というわけに私は申しかねます。
  22. 相澤重明

    相澤重明君 ですから、私は、繰り返すようですが、そういうところに問題があると、こう言うんですよ。だから、内部の事情はどうか知りませんが、少なくともやはり、決意を新たにして、国民にそういう迷惑をかげない、心配をさせない、こういうふうならば、そういうふうに思い切ってやるべきなんですよ。のろのろやるんだかやらぬのかわからぬようなことを言っておるところに、問題の焦点がぼけてくるわけです。こういう点を、私はやはり、新総裁がきまったならば、新総裁相談をしてすみやかにそういうことはやる、今週中なら今週中にやる、来週なら来週までかかってやる、それくらいのことをなぜ運輸大臣答弁ができない。そういう運輸大臣がもたもたしているところに、いわゆる国鉄の問題がなかなか解決しない。私はこの交通新聞を見ると、石田総裁の抱負というものを載せておる。これを今読んでみても、とにかく単に石田総裁一人で仕事をやるわけではない。やはり補佐する者、あるいはそういう陣容を整えて、経営あり方というものをはっきりつかんでいかなければならぬと私は思う。そういう点で、確かに、あなたが言葉の上では、人事の問題だから何月何日という日を切るわけにはいかぬという、それはあたりまえの話であって、少なくとも今週中にそういうふうにやるとか、あるいは今月いっぱいにはきまるとか、それくらいの見通しを、本委員会でそれくらい議論をされておるものを述べられない運輸大臣では困ると思う。あなたの再度の決意を聞いておきたいと思う。
  23. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) なるべくすみやかに、相澤先生のお説でもっともでございますから、そのとおり実現いたしたいと考えております。何と申しましても人事でございますから、さようひとつ御了承願います。
  24. 相澤重明

    相澤重明君 次に、先ほど石田総裁の言うように、説明をさして下さい。
  25. 山田明吉

    説明員山田明吉君) きょうお手元に配付いたしました資料がその内容でございますので、その資料につきまして御説明をさせていただきたいと思います。  最初千九百七十二億円で仕上げる予定で発足いたしまして、その途中九百五十四億円の不足地価賃金等値上がりあるいは地元との設計協議その他の原因でふえることになりまして、二千九百二十六億円に増額することを前提として昭和三十八年度の予算の御承認をいただいた次第でございますが、この二千九百二十六億円という見込みは、昨年春に三十六度の経済的な諸条件基礎にして編成したものでございまして、その後三十七年度まる一年を経過いたしました今日から振り返ってみますると、工事の進捗に伴い、用地買収費、それから用地買収に伴う補償費の増、賃金値上がり、あるいは地元との設計協議、それから設計自体変更、またモデル線区で従来から、また現在、将来についても試験をいろいろ行なっておりますが、その今までに判明した結果による計画変更等のために、二千九百二十六億円では完成までになお不足するということが最近判明したのでございまして、どれくらい要るかというのは、従来検討中と申し上げておりましたが、約八百七十四億円程度増額を必要とするということが判明いたしまして、先ほど総裁からも申しましたように、これを政府にお願いをいたした段階でございます。  それで、その不足を生じました事由とそのおもな内訳を申し上げますと、第一に、用地買収とそれに伴う補償のための増でございまして、これが八十八億円増加を必要とすると考えられるのでございます。その内容は、当初用地買収につきまして、大体この程度土地が必要だろうと考えて交渉いたしました結果、その増し用地を買ってくれというような要請に基づく増、あるいは市街地の地価値上がりが当時の予測よりもさらにふえたということ、あるいは工場住宅進出等によりまして宅地的な地価になっておるというようなもの、また補償につきましては、土地買収に伴います条件として、側道の新設、あるいは道路水路のつけかえ等によります支障家屋移転件数の増、あるいは工場、ビルディング、病院等全面移転件数増等がございまして、八十八億円さらに完成時までに必要であろうかと判断されるのでございます。  次に、賃金値上がりでございますが、二千九百二十六億円に増額をお願いいたしましたその計算の時点が三十六年度でございまして、三十七年度以降の新規契約につきましては、その後の賃金値上がりの要素が加わりましたので、契約額増額せざるを得なくなりました。その金額が百三十六億円と考えられるのでございます。  次に、設計協議でございますが、これは、地元との設計協議による橋梁高架橋及び半高架延長キロがこの前の予測よりもさらにふえたこと、立体交差個所の増、道路及び水路のつけかえの増、並びに架空送電線地中ケーブルにしなければならなくなったというようなための工事費の増が全部で二百七十六億円に達しました。  次に、設計変更でございますが、地質不良による橋梁擁壁等基礎工事の増、トンネル延長キロの延伸、それからトンネルの中の巻厚増加路盤沈下対策工事増加、及び計画確定に伴いまして支障物移転改築工事増等がございまして、そのためのトータルが二百二十五億円に達しました。  次に、工事によります補償工事負担金の増でございますが、たとえば隧道工事によります渇水補償のように、工事による損害に対する補償額を当初のこちらの見込みよりも増額せざるを得なかった、また支障物移転のために電力会社等に支払う工事負担金増額せざるを得なくなったというのが、三十一億円ございます。  次に、モデル線区における試験結果の採用でございまして、モデル線区におきましては、過去約一年間、路盤、軌道、電気、それから車両のすべてについて試験を実施して参りまして、先ほども申しましたように、この試験は今後も続けるわけでございますが、今までのところ、当初予測されなかった事実が明らかになってきたので、設計変更したりあるいは新たに防止対策をとったというようなものの総額が八十二億円と相なりまして、それに総係費の増と、以上の増額を借入金でまかなうことによります利子の増加が三十六億円を見込まれておりますので、総額で約八百七十四億円程度増額を現時点においてどうしてもしなければ来年の十月一日の完成ができないという判断に立ちました次第でございます。  それで、これだけの増額をお願いいたしまして、鋭意工事を進めることにいたしますと、十月一日に開業の運びになるわけでございまして、そのときの姿がどういう姿になるかと申しますと、別紙新幹線設備状況の概要」というプリントをお配りしてございますが、十二両運転列車を三十往復程度運転いたします。運転時間は三時間ないし四時間の計画でございまして、それは運転速度最高計画速度二百キロが出せる線路を作っておりますので、大体この三時間ないし四時間で走れることになるわけでございます。運転方式といたしましては、安全という点を非常に重要視いたしまして、自動列車制御装置列車集中制御装置、いわゆるA・T・C及びC・T・Cという装置を採用いたしまして、これはもうすでに御承知のように、自動列車制御装置は、これは自動的に列車を停車する装置でございます。列車集中制御装置と申しますのは、中央で全線にわたる列車の運行をコントロールできる制度でございます。  それから、旅客営業開業に必要なおもな設備は全部いたしまして、逆に申しますと、当初計画いたしましたときには、貨物輸送も必要になるであろうと考えておったわけでございますが、この新幹線開業時には当然現在線の列車新幹線に移しかえますので、現在線がそれだけ線路容量があくわけでございます。それで、現在線と新幹線との両方の線路容量を最も効果的に使えば、ただいまの見込みでは、来年の十月一日直ちに新幹線貨物営業を開始しなくてもしのげるという見込みでございますので、後ほど申し上げますが、貨物営業開業後の計画といたしておるわけでございます。  それから、運転関係のある工事開業前に完成することは申し上げるまでもないことでございまして、そのめどを七月末と考えておりまして、運転に直接関係のないものは開業日までに竣工させる工程で組んだわけでございます。それで、別紙に「東海道新幹線設備及び資金計画について」とございまして、ただいま申しましたような姿の新幹線を十月一日に開業させるわけでございますが、この今申しました別紙の「資金計画について」の4のところに述べてございますが、開業時には旅客営業設備のうち主要なるものを整備いたしますが、残余の設備につきましては、引き続き開業後もこれを完成することにいたしまして、たとえば車両等につきましても、最初は十二両運転の三十往復程度計画でございますから、三百六十両の車両で足りるわけでございますが、今までのいろいろな経験からいたしまして、こういう線を開業いたしますと、一年か二年のうちに必ず誘発なりあるいは旅客の増がございますので、引き続き増車を必要とするであろうというようなことが予想されます。今の時点において大体予測し得る開業後の近い将来に全部それらをやるとすればどれくらいかかるであろうという試算をいたしますと、八百七十四億でなくて、それに百七十億円程度を加えました千五十億円程度のものは要るであろうという予測を立てておるわけでございます。これの中には、先ほど申しました貨物営業も、東京大阪、具体的には品川駅、それから大阪では鳥飼駅で貨物営業もできるという設備も加えて考えておるわけでございますが、これらはまあ資金の性質から申しますと、現在線のいわゆる改良費に相当するものであろうかとも思いますが、少なくとも新幹線自体に要する金といたしましては、開業後の今から大体予見される総額が千五十億円程度となるという試算をいたしておる次第でございまして、そのこまかい内訳が次の長い表にございますけれども、長くなりますので、これは省略させていただきます。  以上でございます。
  26. 河野謙三

    河野謙三君 私は新総裁基本方針として伺いたいのですが、従来、十河総裁なり、またここにおいでの運輸大臣、もしくは政府当局は、この工事は来年のオリンピックまでに間に合わせるとしばしば言明されて、それを目途にやってこられた。ところが、今度の八百何億の不足額につきましては、私が考えますのに、どうしてもオリンピックに間に合わせる、言葉をかえれば、非常に急ぐ、急ぐためにむだな出費が私は出ておるのじゃないかと思う。たとえば用地買収補償その他の問題は、急ぐところに、私はむだとは申しませんけれども予算以上の支出がそこに生まれてくる、その他の点につきましても、来年の十月に間に合わせるという前提に立ちましていろいろなことを運ぶところに、そこに無理が出てくる、そこに私は思わざる出費が生まれてきた、こういうふうに思うのです。で、新総裁経済人でございますから、二千数百億の資本を投下して、これを一日も早く稼働して、そうしてやることによっての利益ということもお考えになっておるのでありましょうが、逆に、たとえ三カ月や半年おくれても、資本の回転がおくれても、それによって二百億なり二百五十億なり不足額が少なくて済むという結果になれば、これはあながち十月一日に必ずしも従来の言明であるから間に合わせなければならないということは、新しく総裁がかわられたこの機会に、もう少し不足額をいかにして節約するかという場面に立って考える場合に、開業日時をおくらせることによって幾ら不足額が救われるか、それとも、開業日時を従来どおりといたしましても、それは依然として不足額不足額であると、こうおっしゃるのか。私はそうでないと思います。たとえば、用地の問題にいたしましても強制的措置等もありますが、こういうものも急ぐからできないのであって、急がなければ私はまだできる問題がたくさんあると思う。そこで、新しく就任された石田総裁は従来のいきさつを一切捨てて白紙で臨まれて差しつかえないから、これはあくまでも十月一日を目途にしておやりになるのか、そこにどういうふうな大きな不足額が出ても、不足額の多寡の問題ではない、これはそういう経済問題を離れて、政治上の問題として、どうしても、どんなに金がかかっても十月一日は改めることはできないとおっしゃるのか。これについてももちろん十分検討日時は要ると思う。これは、その点につきまして御検討をなすって、完成日時については、あらためて十分調査研究の結果、国民に新しい総裁として約束されるだけの心がまえでおられるか、それとも、経済問題を離れて、政治問題として、どんなに金がかかってもこの不足額だけはどうしても補給してやるというのか、そこらの心がまえについて私は伺いたい。
  27. 石田礼助

    説明員石田礼助君) ごもっともな御質問だと思います。ですが、新幹線につきましては、初めからもう十月一日に開業するということで進みまして、大体もう手配はすっかり済んでいる。これからさらにスピードをスロー・ダウンするということによってどのくらい節約できるか、これはもうたいしたものじゃないと思う。ほとんど金のかかることというのは、やることはやっちゃっている。たとえば土地買収のごときにいたしましても、これはもう手は打って、今さらこれをあとに下がってやるということの利益は出ない。もうすっかりコミットしちゃった。これは、この数字というのはにっちもさっちもできないもので、ぜひこれだけのものは御協力を願わなければ工合が悪いというふうに御了承を願います。
  28. 河野謙三

    河野謙三君 まあ新総裁事務当局からいろいろと報告を受けておられると思いますが、私たちは末端におりまして、鉄道用地買収がいかに困難であるか、その間にいわゆる地主側からいろいろ無理難題が持ち込まれるか、よく知っております。そういう場合に、急ぐことによって必要でない金までも出さなければならぬというものだ。私は現実にいろいろ見ている。でありますから、長い東京大阪間におきましては、これはそういう問題が非常に数々ありますから、前段申し上げましたように、急ぐことによって起こるところの予算不足というのは相当多額になっておるのじゃないかと思うのですが、これは私はしいて申しませんが、十月一日に開業しようが、それをおくらそうが、その不足額に何も影響しないのだという点は、もう少し私はよく事情をお調べいただいたらいいと思うのです。  それからもう一つ。今、三時間とか四時間ということにきめておられますが、これもなるほどそれは速いほうがけっこうです。しかし、これも、三時間のものを三時間半に三十分おくらすことによって予算にどういう影響があるのか、四時間におくらすことによって予算にどういう影響があるのか、それは三時間より二時間五十分と速いほうがいいと思いますけれども、これは経済問題ですよ。国民負担においてやるのですから、それが三時間のものを三時間半にスピード・ダウンすることによって節約額が十億や二十億のものなら別だけれども、そこに三百億という金が出てくるならば、従来の言明がどうあろうとも、技術的に見まして安全だということを御考慮の上でありましても、こういう点を十分勘案しまして、今までのことに一切とらわれないで、もう少し経済性を加味して御考慮願いたい。あくまでも三時間は三時間、これがどんなに金がかかろうが、どんなに技術的に困難があろうが、これは三時間は三時間でやるのだ、こういうことでしょうか。三時間の問題と私は予算の問題と関係があると思うのですが、どうですか。
  29. 石田礼助

    説明員石田礼助君) もしも河野先生のようなことがずっとその前にあるなら、私は考える余地はあると思いますが、すでに国鉄はそういうことですべての陣立てがきておるので、これを今さら変えるということは私はできない状態になっていると思う。そうしてまた、変えることによってどういう経済的効果があるか、私はきわめてわずかなものだと思う。今のような、河野先生の言われた、来年の十月一日に完成する、時限——時を限られたということは、確かに私は、国鉄としては用地買収その他について非常な犠牲になっている。これはどうも、初めのつまり計画が悪かったとか、悪くなかったとかいう問題に帰すると思いますが、現在の段階においては、ずっとそういうことに進んできまして、今やいかんともこの陣営を変えることはできない、やはりこのまま進むことがかえって国鉄としては経済的であるということに考えておりますので、これはさらに私としては考えますが、現在の段階では、やはりこのままで進むということにする以外には方法はないと存じております。
  30. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、大体今の御答弁でわかりましたけれども、新総裁、並びに大臣はもちろんですが、依然として、いかなる難関も突破して、予算上これ以上節約もできない、予算上の措置については工事をおくらしたからといってたいしたことはないから、依然として十月一日を目途として完成させるという従来の方針には、大臣はもちろん、新総裁も、それは変わりはない、こういうことを国民に約束されるわけですね。
  31. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) ただいま国鉄総裁が申しましたように、現在の段階におきましては、政治的な意味はもちろんのこと、経済的に考えましても、それを延ばすことによって節約し得る金よりも、予定どおり動かすことによって得る利益のほうが多いと考えまして、私どもはこの八百七十四億というものを大体認めたような次第でございます。
  32. 河野謙三

    河野謙三君 来年の十月一日に開業完成させるという方針は、依然として新総裁のもとにおいても変わりはない。運輸大臣は、もちろん、しばしば言明されておりますから、そのとおりである。そこに予算上問題は起こらぬとおっしゃいますけれども、私は起こると思うのですよ。急いで——よく言うじゃないですか、アワを食って出世したのはホホジロばかりだと、あわてるこじきはもらいが少ないというじゃないですか、急いで得をする人はないですよ。そうして、それが少額であるならば差しつかえないけれども、多額の場合には、そこに考慮する余地があるのじゃないかと言っておるのだけれども、それは、あなたのそういう希望であるし、すべての手配をしておるからもうこれを今さら変更できない——私はそれを了承するのです。了承するから、了承したということは、十月の一日に多少の問題はあっても開業することに変更はさせないのだ、こういうことをお二人がお約束なさっておられると思うが、そのとおりですか、こういうことを聞いておる。
  33. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) お説のとおりでございます。
  34. 石田礼助

    説明員石田礼助君) 運輸大臣と同様に、国鉄側としては相当の自信を持っておりますので、その点は御心配ないと思っております。
  35. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 若干、総裁なり、あるいは運輸大臣、あるいは関係理事の諸君に、この際質問をしたいと思うわけです。  今までの説明並びに新総裁答弁を聞いておりますと、たいへん自信ありげに御答弁されました。その限りでは、私は非常に満足するわけですけれども、どうも先ほど来の山田理事説明を聞いておりますと、私は詭弁のような説明にしか受け取れないわけです。なぜかというと、本年の三月の三十一日に三十八年度の予算があがったわけですけれども、そのときに、国鉄のこの新幹線にかかわる予算については、当委員会、並びに査定の段階でも、それぞれの関係省庁と国鉄側が折衝をしたはずなんです。そのときには、この七百二十億で完全に、今新総裁答弁したように、自信を持ってこの新幹線というものは完工できる、こういうそれぞれの答弁をしておったはずなんであります。それが予算執行の段階になって、わずか一カ月足らずで唐突的にこの八百七十四億円のさらに不足を来たした理由はかくかくしかじかということで、ただいま答弁されたわけですけれども、当初今あなたが申された理由というものは、三十八年度予算編成のときにすでに明らかであった。ですから、その後一カ月足らずにして、さらに八百七十四億が不足をしたということが判明したというこのことは、一体どこに原因があるかということについて、もう少し具体的にその原因国民の前に明らかに私はしていただきたいことが一つであります。  さらにまた、この八百七十四億については、新総裁も含めて近々の理事会でいろいろ精査されて国会にこういう資料として私は出てきたものとして理解するわけですけれども、この八百七十四億円、実際問題として、ただいま同僚の河野委員からも申されましたけれども国民に対しすでに国鉄はこの新幹線の施工にあたって約束をしておるはずです。国際的にも相当この問題についてはPRをしておるはずです。ですから、あの線に沿うて国民に約束をしたことがこの八百七十四億で完全にできるかどうかということは、先ほど来、新聞には何とかかんとかというようなことを運輸大臣も申されましたけれども、新聞では、八百七十四億どころじゃなくして、駅庁舎あるいは付帯工事などの経費を含めますると千億をこえる、こういう記事がたびたび載っておりまして、国民の関心事になっているはずなんです。ですから、こういう関係はどうなるのかということも、この際私は明らかにしてもらわなければならぬと思うわけであります。これが二つ目。  それから三つ目には、新総裁は、すでに用地買収についても、その他についても、ほぼ完了されて、がんじがらめになっているわけだから、これを施工しなければならぬ、こういうことなんです。そういうことであるならば、私は、あえて今ここで唐突的に八百三十八億などということは出てきやせぬのではないか、あなたの言葉を信ずると。なぜ私はこれを言うかというと、新総裁国鉄監査委員長をやっておって、監査報告というものが国会になされております。これはまぎれもない事実ですが、昭和三十六年度に、日本国有鉄道監査委員会委員長石田礼助以下かくかくしかじかとこれは出ている。間違いないでしょう、これは。
  36. 石田礼助

    説明員石田礼助君) 間違いないです。
  37. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ここでざっと拾ってみますと、用地買収についても、イの項として、「用地買収は、昭和三十七年六月末日までに総延長五百十五キロのうち四百八十キロ(九三%)」、カッコをわざわざつけて、「その支出額は三百十七億円に達している。」、これについては、そのほかの残地買収の要求等に基づく増加額まで含まれている、こういう報告をされておる。ですから、かなりその残地の用地についても、このものは含まれているということにわれわれは理解しなければならぬと思う。こういうことが、すでに監査委員会報告であなたがしているんです。これは政府が承認しているんだ。さらに、工事の状況などについても、路盤工事の着工区間は、昭和三十七年六月末日までに、総延長五百十五キロに対し、契約延長は四百九十キロ、これもカッコして、九五%に及んでおり、その工事契約金額は九百七十九億円となっている。こうなっているわけですから、この監査報告は、運輸大臣、あなた方が承認しているんですよ。しているとするならば、この当時九五%工事の進捗状況——これは路盤面、用地買収昭和三十六年度で残地買収の面も含めて九三%取得ができたとするならば、一体、昭和三十八年度の予算がこういう面を含めてすでに七百二十億足らない、不足だということで、国会でいろいろ議論して承認をしたあと、なおかつ一カ月後には八百七十四億というものが、今そういう不足額が判明したなどということは、私はまさにナンセンスだと思う。国民が納得しませんよ、これでは。信用しません。ですから、こういう問題については、あなた方は、総裁としてどうこれを解明して、国民の理解を深めて、あなたの自信あるという、その自信でこの新幹線を完工していくかという今後の考え方について、私はこの機会に明らかにしていただきたいと思う。  以上三つをとりあえず聞いておきます。
  38. 石田礼助

    説明員石田礼助君) 昨年九百五十四億の増額をお願いしたときには、国鉄といたしましては、それでもう必ず満足にやってみせる、こういうことを保証したのにかかわらず、一年たつかたたぬうちにそれをまたぞろ八百七十四億というような追加予算をお願いしなければならぬということは、これはまことに申しわけない話であります。これは私は、前総裁その他の責任者にかわって、平身低頭してあなた方にあやまらにゃならぬ、国民にあやまらにゃならぬ。  それで、その事例にかんがみまして、今度この予算を作成するにつきましては、慎重に私としてはやったのであります。今度こそ、またぞろ大きなしっぽを出した日には、これは問題にならぬ。だからして、もうほんとうに確かな数字をひとつ出してくれということを事務当局にお願いいたしまして、いろいろ検討した結果、まずこれでだいじょうぶだ——まずではない、これならばだいじょうぶだ、こういう確信を得ました結果が、今度の数字になった次第でございます。だからして、もしもこれでまたぞろ出したら、腹を切る、いさぎよく切る。しかし、私は腹を切るのは何でもないんだが、絶対に信を失うようなことはしたくないということの確信を得て出した数字なんでございますから、どうかその点は、過去は過去として御了承を願いたいと思います。それが第二点。  第三点の監査報告書の問題だ。これは吉田先生から言われた、これも私は一言の弁解の辞なしだ。これは、前監査委員長立場においてこれはもうあやまらにゃならぬ。ただ、われわれ監査委員立場といたしましては、国鉄の出した数字というものに対して全幅の信頼を置いた。その点についてどうも調査が足らなかったといえば、何をかいわんや。全く調査が足らぬ。絶対に私ども国鉄数字というものを信頼した結果、間違っておるという疑いを持って出した数字じゃない、間違いないということを信じた結果出した数字なんでありまして、それが今日こういうことになったということは、私は全く遺憾の意を表せざるを得ない。それで、たとえば土地買収問題にいたしましても、国鉄国鉄なりに、いわゆるその当時買収として報告したその意義が、ほんとうに私どもにはわかっていなかったんだ、そこに非常な間違いがあった。買収すれば、何でもかんでも交渉する余地もないとか、金を払う余地もないとか、そういう意味の買収じゃなくて、一種独特の定義があるんです。これはどうも私のようなしろうとの監査委員長にはわからなかった。これはひとつ吉田先生御了承願いたい。真実を私吐露しているのだ。どうぞよろしくお願いいたします。  それから、工事の契約高が九五%だ、こういう点でありますが、これも同じようなことなんです。どうもやはりしろうとが監査委員長をやった結果、事ここに至った。まことにこれは前委員長の資格において私は陳謝いたします。
  39. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 総裁は、どうもしろうとでわからぬので、国鉄側の事務当局の計数をそのままうのみにして信用したところにこういう問題があった、こういうことで、非常にすなおに、この機会に、この運輸委員会を通して国民に率直におわびしている気持は、私はわかるんです。了としますけれども、私は先輩の石田さんにどうこう言うのじゃないけれども新聞紙上では、あなたは新総裁になるにあたって、少なくとも国鉄監査委員長を六年でしたか勤めまして非常にくろうとだというふうに書かれておる。だから、僕は、そういう意味で、あなたの今言っている気持はわかりますけれども、全くのしろうとだというふうには見ていないんですよ。そこで、今の監査報告の問題を中心として、これからやはり私は問題が残ると思う。運輸大臣、これまた新聞を見ますと、あなたは特別監査報告を請求した模様ですね。ですから、これと関連して、今の、たとえば九三%、九五%、金額にして、前段の用地買収については二百三十三億、工事関係では九百七十九億、こういう問題については、それぞれの一切の、何といいますか、経理を行なっていった経過であるとか、一切がっさいの書類というようなものが私はあると思うのです。ですから、今新総裁答弁したように、これは当時の計数だけ信用したということですから、中身は私は監査していないと思うのです。ですから、運輸大臣は、特別監査を請求するにあたって、こういう内容を具体的に監査をして、この内容を私は国民の前に明らかにしなければならない責任があろうというふうに思いますが、この点運輸大臣はどう考えるかということが一つ。  それから、新総裁も当時は監査委員長としてこれは政府に承認を求めたわけで、これが全くの間違いであった、相申しわけないということなんだ、今の委員会でのあなたの答弁は。ですから、今度は立場をかえて、あなたは今度その経営責任者たる総裁に就任されたのですから、その立場で、そのあやまちをこれから、この内容についてどう解明されて、具体的に国民にこの問題で——きょうは計数的に誤っておったということですなおにここでおわびをしたけれども、今度は角度を変えて、新総裁ということで、このことでどういう態度であなたは国民におわびを申し上げようとしているかということが、新総裁に対する私の質問。  それからもう一つは、あなたは監査委員長として六年間やって、こういうふうに計数的に信頼し切ってこういうミスが生じたということなんだけれども、裏を返していくと、あなたはごまかされておったということなんです。国鉄の官僚どもにごまかされておったということになるのです。ですから、そういう諸君に対して、どういうあなたはこれから責任をとろうとするかということ、当然私はそういう連中というものは責任をとるべきだと思うのです。この際、総裁だけの私は責任じゃないと思うのです。数多く理事会を招集してこの問題を逐一検討されてなされてきたわけだから、そういう結果、しかも、いやしくもそれらの問題をある意味においては監督、指導、監査しなければならぬ監査委員長をこういう結果でごまかしたということになると、これはたいへんな問題だと思うのです。ですから、そういう諸君に対する責任をどうあなたはこれから始末をつけようとするか、この点を私はお尋ねをしておきたいと思う。
  40. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 私も全く監督上の責任の重大さを痛感いたしておりますが、さきに国鉄総裁が言われたように、全くもう申しわけないという以外に言葉もないのでございます。  それからあとの、その責任の追及とその処置につきましては、先ほど相澤先生のお尋ねのように、早くひとつ究明をして、その責任者に対して責任をとらすということについて、せっかく新総裁相談中でございますから、御了承願います。
  41. 石田礼助

    説明員石田礼助君) 吉田先生に申し上げます。私は、監査委員長をやった時分に、ある点においてはくろうとであるが、ある点においてはきわめてしろうとだ、国鉄の仕事なんというものは、私は監査委員長に入る前は何にも知らなかった。その結果、結局私はこういうことに陳謝せざるを得ないようなはなはだ変なことになったのだと、残念に思っております。だが、吉田先生の言われたお言葉の中に、国鉄の人が監査委員長をごまかしたと、これは私は不賛成だ、このお言葉は。これは国鉄四十万の人のために私は大いに弁明しなければならぬ。ごまかしたのじゃないのだ。つまり、たとえば契約がどうだとか、土地買収がどうだとかいうことに対するこの定義をもう少し詳しくわれわれに知らしてくれればよかったのです。また、われわれとしては、これをもう少し聞けばよかったのです。その十分に説明をしてくれなかったこと、また十分に質問をしなかったというところに、こういうような間違いができたのだ、こういうことにひとつ御判断願いたいと思うのです。国鉄人がごまかしたということは、私は国鉄四十万の名誉のためにひとつ弁明せざるを得ない、どうぞ御了承願いたい。  私は、ただいま吉田先生からお話のあった、どう一体総裁として、国鉄がこういう過去に犯した罪に、つまりまずいことに対しては、今度この予算を査定するにつきましては、どこまでもひとつ確実な数字を出せ、またぞろこんなことがあった日にはたいへんだということで、よほど慎重にやりました。だからして、私が国民に対し、政府に対し、それから議会に対して自分の責任を遂行するという精神からいえば、特に今度は間違いなくこれをやりますという、この一言に尽きると存じます。どうぞ御了承願いたい。
  42. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 総裁、ごまかしたというこの言葉は、僕は結果的に判断をして申し上げているわけですよ。ですから、その点、国鉄の四十二万もの職員がごまかしたということでなしに、先ほど言ったように、あなたは監査委員長、いろいろそれ以外のスタッフがおりますけれども、こういう人々が監査に当たって、今あなたが御答弁されたようなことであるならば、なおさら私はその印象を強くするわけです。国鉄の少なくとも前総裁以下理事の諸君は、一にあずかって国鉄経営を担当しているわけです。そういう諸君は当然、今あなたがおっしゃったようなことが事実だとするならば、まさに私はごまかしたということが当てはまると思うのであります。しかも、先ほど来申し上げておるように、三十八年度の予算をきめるときに、ここにも書いてありまするように、資金計画で三十八年度は七百二十億、開業のときに二百三十三億、こういうことで、これ以上はびた一文も予算はオーバーせずして、先ほど来お話しのように、オリンピックまでにはりっぱに内外に約束したとおりやります、こういうことであった。ところが、予算が通ったのは三月でしょう。四月一日施行ということで、今何月だと思いますか。この問題が何かあたかも突如として発見されたようなことで流布されておりますけれども、おそらくもっと前にこういう内容が明らかになってきたと思うのです。ですから、一体こういう関連性は何であるかということなんです。私は明らかに国鉄経営陣の怠慢だと思うのです、こういう問題については。しかも、今あなたは、これ以上はもう絶対迷惑をかけない、自信を持ってやるという言明をしておるわけですから、この限りでは私は信頼をいたしたいと思いますよ。思いますけれども、営業開始にあたっての駅庁舎あるいはその他付帯工事を含めますと、私はこの八百七十四億では足らないような気がするわけだから、あえて聞いておるわけです、あえて聞いておる。これは一体あなた方この際どう将来の経営の方向、経営あり方などを考えているかということに、私は非常にある一つの問題を持っているような気がしてならないわけであります。  それからもう一つは、今年度の予算をきめたあとに、この八百七十四億というような数字が今出ておりますから、これだけで申し上げますけれども、こうなった事実は、国鉄責任者である吾孫子副総裁は知らなかったということをテレビを通じて国民に言っているのですね。一体こんなあほうな話が経営の中に、企業の中にあってしかるべきであるかどうかということなんです。常識で考えて、私は断じてこういうことはあり得ることではないと思うのであります。いやしくも理事以上は、会社でいうなら、私は重役だと思うのであります。こういう諸君が、この段階になって、責任回避のために、私は知らなかったのだなどということをいやしくもテレビなどを使って国民に申し上げなどすること自体に、問題の本質があると思うのです。そういう意味からも、私はさいぜん言ったように、国鉄官僚の怠慢であって、しかも国鉄経営陣の内部不統一、こういう事柄がこの問題を大きくあやまちを犯した最大の原因だと私は思うのです。しかも、そういう立場から、私は監査にあたっても、いわゆる正直な監査報告を、あるいは事務当局として説明をしないから、それをまああなたの言葉をすなおに受け取って、しろうとだからということでうのみにするならば、結果的にしろうとである監査委員長をごまかしたということになりませんか、そういうことで私は申し上げておるのです。その点をあなたは、監査報告のことはすでに答えがありましたからあえて言いませんけれども、新総裁として、この八百七十四億という問題を含めて、これからあなたは、それらの当該の官僚幹部の諸君がいるわけですから、こういう諸君に対してどういう扱い、どういうふうにこの問題の原因を究明して責任をとらすつもりかということを聞いておるわけです。
  43. 石田礼助

    説明員石田礼助君) 終わりのほうからお答えいたします。副総裁がこちらで今度の問題について説明をいたしました時分に、今度のあのことについて全然知らなかったと、これは実際私は国鉄として非常な恥だと思うのです。あなたのおっしゃるとおり、内部に何かそういうようなまずいところがあるのではないかと、こう疑われるのは、ごもっとも千万だと思います。したがって、私は、今度の事件にかんがみまして、こういうことが今後とも絶対起こらないようにしようというようなことで、機構の改革その他について十分いたしたいと思いますので、ひとつ将来を御期待下さるようにお願いいたしたいと思います。  それから、今のごまかしということですが、これはひとつ私は吉田先生にお願いするが、ぜひお考え願いたいと思うな。とにかく誤解であって、ごまかしではないのだ。決して悪意があってそういうことになったのではないのだ、全く。第一には、われわれの国鉄というものに対する知識の不足、それからまた国鉄人は、われわれのような、こういう問題についてしろうとなわれわれに対して説明が十分でなかったと、こういうことに善意にひとつ御解釈願いたいと存じます。これだけは私の切なるお願いとして御考慮願いたいと思います。
  44. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 一点だけお尋ねいたしますが、当初千九百七十二億でこの東海道新幹線はできるんだと、こういうことでスタートした。そして昨年の暮れ、いろいろとやってみたけれども、なお九百五十四億円不足が見込まれる。したがって最終的には二千九百二十六億円かかりますということで予算を要求し、審議して、決定を見て今日まで参った。ところが、なおまた、その後いろいろな面から検討してみれば、新たに八百七十四億円の不足を来たし、なおまた来年の七月で工事が完了して、その後十二両の運転列車ダイヤ三十往復程度運転時間が三時間ないし四時間を要して、運転するまでに必要な経費がなお百七十六億円かかると、こういう担当理事説明であります。  そうしますと、最終的にこの東海道新幹線が完璧に近い状態で運行されるまでに必要な金額は三千九百七十六億円、こういうことに相なるようでございます。一口に言えば四千億ということでございますが、この路線について国鉄はもう海外に非常にPRされて、世界各国鉄道営業は斜陽産業である中に、日本の高度の技術によってこれは非常な成長産業であるのだということをば、この前外国のお客様をばモデル区間に乗せてやって、そして推賞されたのは、まだほど遠くないのであります。  今私がここで国鉄にお尋ね申し上げたいのは、当初、千九百七十二億で東海道新幹線ができるならば、この路線ができることによって、国鉄は相当今まで経営が困難であった面がこれでペイして黒字になって経営が楽になるということをば、われわれはしばしば聞かされている。ところが、それの二倍以上の四千億近い経費を投じて、そして今後これの運営が行なわれます場合に、たとえば非常な高度の技術は、これはけっこうでございましょうが、アメリカやソ連が採算を離れて人工衛星を打ち上げるのとこれとは私は違うと思う。あくまでも企業採算ということを考えなければならないのだが、今説明による十二両運転で三十往復を毎日々々やって、これが完成後には五千人の人員を必要とするという御説明による営業の経費と収入、つまり具体的に言えば、十二両運転して、そしてそこから三十往復運転することによる運賃収入と、反面四千億に近い金を投じて、今後どうしても固定資産として償却を何年かにしなければならない金額、なお支払い金利、経営費、こういうものを具体的に計算した場合に、初め国鉄国民にアピールされたとおりのことによってこの路線が経営されるかどうかという問題は、これは重大な問題だと私は思う。営業関係の遠藤理事もお見えでございますけれども、今日にわかに、四千億投じても決して国民の期待を裏切るような商い運賃は取りませんとは、きょうは私は答弁を言えとは言いませんけれども、少なくとも私は国民が知りたいことはここだと思う、最終的には。できたことを今さら、これをばこれだけ金を投入して、もうおよしなさいとは、だれも言えない。野党の方も言えないと思う。仕方がないのだ。何かにつけてこれは認めないわけには参らないけれども、最後にくるのは私が今申し上げることに帰一すると考えます。これでもし何かおぼろげでも、御心配要りませんというお答えが得られるなら、これにこしたことはございませんが、その辺のことはどんなものでしょうか。これは大臣、あるいは総裁、どうかひとつその辺についての御検討が行なわれておりますならば御答弁をお願い申し上げます。
  45. 石田礼助

    説明員石田礼助君) ただいまの御質問でございますが、東海道の新線建設ということは、これはもちろん経済計算をいたしまして、十分これはもう引き合う、こういうことで始めたのはもちろんでありますが、それ以外に、東海道のとにかく輸送状況というものは、今やもう全くどうにもこうにもしようがない、国鉄はつまり日本の輸送の中軸としてその使命を果たすべく、何かここに輸送力の増強を講じなければならぬ、こういうことがこの東海道新幹線建設の一大原因だと思う。その他の経済計算につきましては、これは御質問ごもっとも千万だと思います。これはひとつ、私よりは、詳しい経理局長かだれかに説明していただきたいと思います。
  46. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 谷口先生の御質問の点でございますが、二千九百二十六億円の投資を必要とすると考えましたときに、大体先ほど御説明した規模の新幹線開業したならば現在の東海道線と比較してどうなるかという試算をした数字がございます。その際に、もちろん、新幹線の償却費、それから金利負担、それから将来の当時予想しました経営費、それから収入等を全部考慮に入れまして、現在線と合わせまして——東海道線でございますが、現在線だけで収支した場合と、新韓線が新たに加わって現在線と両々相待って効果を発揮した場合とでは、あとのほうが約二百億円の増収を期待できるという数字を当時推算いたしております。その後、ただいま御説明いたしましたように、約八百億円の投下資本が加わりますので、ごく大ざっぱに申し上げますと、八百億円に対する金利と、それから八百億円相当の固定資産に対する減価償却費がふえるわけでございます。利子は、かりに七分といたしますと、五十六億円ぐらいが年間ふえるということが申し上げられます。ただ、八百億円の固定資産額がふえるわけでございますけれども、このほとんど大部分が路盤の費用でございますので、したがって、減価償却費そのものに現われてくるものは、必ずしもこの八百億円という固定資産の減価償却——大体国鉄の償却率が三十三年に一回転ということになっております、したがって、三十分の一が当然ふえるというふうには考えられません。むしろ、内容的に見ますると、減価償却にかかる分はごくわずかな部分ではないかと考えておりまして、したがって、二百億円と想定しておりましたものから相当、今申しました利子を含めた七、八十億円程度のものが、考えていた利益が減るのではないかという想定もできるわけでございますが、これも、先ほど申しましたように、開業までに一応八百七十四億円程度を投入いたしまして、三百六十両の車両で三十往復程度開業はいたしますが、さらに開業後の旅客増等考えまして、おそらく一、二年のうちには百二十両程度の車も投入しなければいけますまい。またそれに伴って若干の設備も必要といたしますが、当然それに伴って増収がまた期待できるわけでございまして、それらは——何分この八百七十四億円という数字を算定いたしましたのが数日前でございますので、こまかい作業はいたしておりませんが、ごくあらましを申し上げますと以上のようなことになろうかと思います。したがいまして、先生も御指摘になりました、国民の皆さんが一番知りたい点、つまりよけいな金がかかったから運賃も非常に高くなるのではないかというようなことにつきましては、私ども今申し上げましたような考え方でいたしますと、最初から考えておりましたような運賃の水準でも以上のような収支の傾向になると思われますので、このために運賃をべらぼうに上げなければやっていけなくなるとは現在考えておりません。
  47. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 わからないところが一つ出てくるのですが、なるほど八百七十四億円がどこから生まれたかという基礎数字は、御説明ございますように、人件費が上がったのだ、買収費が上がったのだ、こういうふうになるのでしょうが、それは人件費が上がった、たとえば百三十六億円という——もっともこれは経費で落ちるにしましても、落ちた対象の勘定は借入金か何かでなければならないはずであります。それは金利としてはね返ってくる。それが固定資産に算入されるものは、償却費プラス金利ということにならなければならない。あなた方が、資金があれば別だけれども、そういうふうにしますと、いずれにしても、今私が申し上げるように、八百七十四億プラス百七十六億円、こういうものに対する減価償却と金利というものについては、今おっしゃるような数字ではちょっと何かわからないような気がするんですが、そうかといって今ここで数字的な議論を重ねることもどうかと思いますから、次の機会にこういうことになるんですという資料を、来年十月一日運行を始めたらこの路線からはこういう年間の収入と支払いが行なわれるんだという見通しをばひとつ数字的に出してくれませんか。それをお願い申し上げて私の質問を終わります。
  48. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 今同僚の谷口委員から、開業後の収支の関係についての見通しが質問されて、資料要求されたけれども、この際関連してお尋ねをしておきたいと思うのは、これがかりに新幹線が完工して来年の十月ごろですか開業される、こういう運びになったとすると、私は今の東海道線にかなり影響があると思うんです。その場合の国鉄経営者として、あなた方はどういう事後対策を立てておられるか。これも、きょうはここで資料がないとすれば、谷口委員同様に、次回の委員会まででけっこうですから、具体的な対策を明らかにしてもらいたいというふうに思うんです。  それからもう一つは、この新幹線開業された場合は、国鉄と別個の独立企業体になっていくのかどうか。特殊な広軌の、しかも国際的にまれに見る設備内容を持った鉄道ですから、たとえば自動車のように独算制なら独算制をしいてやるのかどうか、こういう点が二つ目にこの際聞いておきたいと思うんです。  それから、立ったついでですから、この際若干総裁に聞いておきますが、新幹線のためにこれから国鉄経営全体が相当私は圧迫をされてくることはもう言を待たないと思うんです。新幹線の今度のこういう次々と資金不足関係から借入金をどんどんどんどんふやして参りますならば、そういう結果、これからの国鉄経営全体に非常に私は大きな影響があろうと思うんです。そのことは、三十七年度の監査報告にも若干触れられております。ですから、これからの国鉄経営に対して、どうこれをあなた方は対処をしていくかということが、これは非常に国民としても大きな関心事だと思うんです。私一人だけやっておってもどうかと思いますから、こまかな数字を私は持っております、それ以外にかなり私もこの問題については調査もしておりますから、この次の委員会で具体的に私のほうからも計数をあげて質問したいと思いますから、きょうはその大綱だけでよろしいですから、お考えがあったらこの際聞かしていただきたいというふうに思うんです。  それから最後に、今度の新幹線にあたって、いろいろ、用地買収であるとか、あるいは資材の購入をめぐりまして、汚職の問題がかなり出ておるように、新聞紙上あるいは報道機関等で報ぜられて、そのつど国民のひんしゅくを買っておることは事実だと思う。しかも、近江鉄道の問題などは、まだ耳新しい問題だと思うんです。新総裁は、こういう問題について、就任の抱負として、汚職を絶対なくするというようなことを言っておったようですが、なくすると言ってみても、言葉だけではなくなりっこないと私は思う。そこで、具体的にこれからの汚職をなくする対策、具体案ですね、どうあなたはお持ちになっておるかということと、それから今日までの汚職をどう追及して、この人々に対してはどういう責任をとらしていくつもりか、この点を明確にしていただきたいというふうに思うのです。そういう点が明確にならないと、かりに八百七十四億あと不足額政府がめんどうみてくれるならば、それ以降は自信を持ってやると言ってみたって、国民は信用しないし、国鉄に対して信頼感などわくはずがない。こういう点をこの際明らかにしていただきたいと思う。
  49. 石田礼助

    説明員石田礼助君) 汚職の問題から申し上げます。汚職は、国鉄のような膨大な機関で、しかも非常な誘惑の多い仕事をしておりますので、これはぜひともひとつ追放しなければならぬ。とにかく、汚職することによって、四十五万の人間の顔に泥をつけるようなものであり、国民の信頼に対してまことに相済まぬ。これはぜひともやらなければならぬ。しかして、この汚職の問題についての、つまり根本は、やはり各人の道義心、これは、まずもって、私としては道義心に訴うるべく、この間就任のあいさつのときに申した次第でございまして、そのほかの問題につきましては、チェッキング・システムを一そう強化するというようなことを考えておりますが、まだ吉田先生に申し上げる具体案については検討しておりません。これはしかし検討いたしまして、御期待にそむかないようにいたしたいと思います。  それから新幹線完成のために、ほかの第二次五カ年計画のほうに圧迫を加えやせぬかという御心配は、ごもっとも千万です。私も考えておりますが、詳しいことにつきましては、山田理事から説明していただきたいと思います。また、この点について今後詳しく御質問があるということでございますから、どうぞひとつ御遠慮なくしてもらいたいと思います。
  50. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 総裁の御説明を補足さしていただきます。  吉田先生の第一点で、現在線があとどうなるかという御質問のようでございましたが、これは、先ほど申し上げましたように、新幹線と現在線と合わせまして総合的に運営考えております。それにつきましては、資料を用意いたしまして御説明いたしたいと存じます。  それから、将来この新幹線経営をどうするかという御質問のようでございましたが、これは、新幹線が非常に能率的であり、合理的な線路である以上には、何ら特別な線路ではございませんで、いわば、現在の東海道線の複々線の線路でございますので、特別な経営ということは考えておりませんけれども、これは新幹線を作ります際に、各方面でいろいろ御援助もいただき、御配慮もいただき、また現に資金不足で大問題になっておりますので、新幹線に関する収支がどうなるかということを科学的にチェックするようにはいたしたいと思っております。  それから五カ年計画に対する今回の新幹線資金不足による影響の点でございますが、国鉄といたしましては、ことし成立いたしました国鉄予算、そのうちの新幹線予算は、一部ではございますけれども、それが不足することによりまして、他の五カ年計画に与える支障は、絶無とは、私正直に、申し上げられないと思いますが、その影響をできるだけ少なくするように現在検討中でございます。
  51. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 その関係については、僕は僕なりに研究検討したものがありますから、次の委員会でこまかな計数をあげてお尋ねしますから、きょうのところは、その程度で了承しておきます。ただ、そこで、新幹線が独採制でなくて、一般経営と一緒にやるのだということになれば、来年からも営業開始ということになっているわけですね、ですから、そのときに、一体、運賃ですね、旅客を幾らにして貨物がどうなってどういうふうに設定するかという構想を持っていると思うのです、理事会は。この点はどうですか。それがないと、収支のバランスが出てきませんから。
  52. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 御指摘のように、新幹線開業後のいわゆる経営の姿については、かねがね研究をいたしておりまして、たとえば時刻、運転ダイヤをどうするか、それから旅客の取り扱いをどうするか、御指摘のような点は、ただいま検討をいたしております。そのごくラフなことを先ほど谷口先生にお答えいたした次第でございます。
  53. 江藤智

    ○江藤智君 一点だけ大臣にお尋ねいたしたいと思います。大臣も、この新幹線予算不足の問題については、責任立場報告を受けられまして、監査委員会に特別監査をお命じになったようでございますが、その際、どういうふうに監査をお命じになったか。国鉄報告のこの書類でございますね、これを、ただそのまま監査委員会監査しろとお出しになったのか、あるいは、こういう点については特に気をつけて監査をしてくれというふうに、そういう条件のようなものを、あるいは希望をつけて監査委員会にお出しになったのか、その点をちょっとお聞きしたいと思います。
  54. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) ここで私は言葉で申し上げるより、監査委員長に対する監査命令の全文をここに朗読いたして答弁にかえたいと思います。もちろん、数字を示しますと同時に、監査委員長に対しましては「東海道新幹線工事は、鉄道輸送力増強施策の一環としてきわめて重要な工事であるが、その所要工事費については、過般、大幅な改訂増額を行なったにもかかわらず、最近再び工事費不足を生ずる見込となったことは、きわめて遺憾である。よって貴委員会は、すみやかに、適確なる所要工事費額を調査報告するとともに、かかる工事費見込みちがいが生じた原因について精査し、あわせて新幹線に関する国鉄の組織及びその運営について検討のうえ意見を提出されたい。」、こういう趣旨の監査命令を出して、それに沿って監査委員長監査を正確、厳重にやってくれるものと期待いたして、この報告を私は待っているような現状でございます。
  55. 江藤智

    ○江藤智君 私、今初めてその監査命令の内容を承りましたので、よく了解いたしました。私が質問いたしました趣旨は、なるほど数字的な問題はもちろん監査の対象になると思います。しかし、やはり一番大きい問題、国民が非常に納得のいかない点は、先ほど以来、同僚議員がるる述べられましたように、つい三月三十日の予算の通過までは、この二千九百二十六億というものでできるだのだ、また、国鉄も、最高幹部の方は、そういうような確信のもとで御答弁になっておったように思うのであります。しかし、今後の資料で拝見いたしますというと、これは三十六年度の経済的な諸条件基礎にしてお出しになったということがここの資料にも出ているわけであります。しからば、その間に、一年余りの時日がたっているわけでありまして、諸物価の値上がりはもとより、その間において、用地買収工事その他は相当に進んでおるわけでございますからして、その間におきまして、そういうことについて全然知らず、唐突としてこういう問題が起こったという印象を国民に与えておるということは、国民に対して国鉄が非常に不信感を持たれておる。また、そういうような任事のやり方は、一体どこから起こっておるのだということは、これはもうだれしも疑問に思っておるところでございますから、そういう点について十分御監査を願いたい、かように考えて御質問をしたわけでございますが、ただいまの命令書によりますと、その点も明記してあるようでございますので、どうぞ、そういう点につきましても、十分に御監査を願いまして、今後再びそういうことがないように、十分に御監督をお願いいたしたい。御要望を申し上げておく次第であります。
  56. 河野謙三

    河野謙三君 次回までに、建設費についての資料を要求したいのです。というのは、今度の新幹線は約四千億ですね。そうしますと、キロ当たり八億弱になるように思います。そうすると、われわれは非常に多額の経費がかかっておるように思うけれども、一般の新幹線以外の鉄道建設費から見れば、そうたいして高くはないのじゃないかというような印象も受けるわけです。  そこで、私の資料の要求は、一般、と申しましても、いろいろケースがあるでしょうけれども、一般の鉄道建設に要するキロ当たりの経費、これと、今度の新幹線のキロ当たりの経費、これの比較です。その場合に、ただキロ当たり七億とか六億ということでなしに、一般の場合に、たとえば五億なら五億の場合、用地が幾ら、何が幾らとあるでしょう、大体。それを比較検討できるようなひとつ資料を要求いたします。できますね。その要求は、われわれが非常に疑問に思っておる点をそれによって解明すると同時に、それを通じて、やはり国民に、この新幹線というのは、われわれと同じように、むちゃくちゃなむだな経費までかけてやっているじゃないかという印象があると思いますが、そういうものを出していただくことによって、はっきりすると思いますので。いただいた結果によって、さらに疑問が深まるかもしれませんけれども、それをひとつ要求しておきます。
  57. 天坊裕彦

    ○天坊裕彦君 ちょっと、今の河野さんのと同じ資料で、追加いたします。  今、河野委員のお話の資料は、非常に参考になると思うのですが、単に鉄道建設の比較の資料だけじゃなくて、道路あるいは地下鉄、最近できた私鉄の、たとえば伊豆鉄道あたりの建設費等も、わかれば一緒に参考として出していただきたい。
  58. 石田礼助

    説明員石田礼助君) ただいまの御両人の御要求に対しては、十分御納得のいくようなひとつ材料を提出することをお約束いたします。
  59. 河野謙三

    河野謙三君 ひとつ、そういう資料を要求しますが、その資料は、一度総裁が目を通して、総裁監査委員を六年やってもわからなかったというような——われわれさらにしろうとですから、ほんとうに正真正銘のごまかしのないもの——ごまかしじゃありません、わかりやすい資料を出して下さい。特に総裁が目を通していただきたい。
  60. 石田礼助

    説明員石田礼助君) 承知いたしました。
  61. 大倉精一

    ○大倉精一君 きょうは、総裁が初めての委員会でありまするし、新幹線等については、いろいろ同僚の議員から資料も要求されておりますので、それに基づいて、また後ほどいろいろお尋ねしたいと思っておりますが、きょうはひとつ、総裁国鉄に対する所信についてお伺いしたいと思うのですけれども、この質問を申し上げるにあたって、私の今把握しておる国鉄の経理といいますか、数字が大体妥当であるかどうかということを担当の人からお答えを願いたいと思います。  大体、今、国鉄の収入が、大ざっぱにいって五千億円、それから経費が四千億円、差引一千億円のプラスになって、この一千億円に借入金一千億円足して、大体二千億円というものが毎年投資をされておる、こういう状況を承知をしておるわけです。さらに、これが昭和四十五年になりまするというと、大体新規投資が三千三百億円に増加しなければ、とても国内輸送事情に追っつかない、こういうことも聞こえるのであります。これも大体正しいかどうかということをお伺いしたい。  それから、現在の借金の残高が五千億円ある。これが、昭和四十五年になれば、二兆四千三百億円に増加せざるを得ない、こういうことも聞き及んでおりますが、これも大体合っているかどうか。  それから、現在、収入が五千億円でありますが、これが昭和四十五年になりますと、収入が八千億円にふえる、同時に、経費もおむむねそれくらいになる、収支とんとんになる、ということも聞き及んでおります。したがって、この借入金の利息というものが、昭和四十五年になりまするというと、現在二百億円のものが、千六百億円に増加する、しかも、借入金の償還が、昭和四十五年には二千五百億円くらいになる、こういうことも聞いております。したがって、新規投資が三千三百億円、これが昭和四十五年度、その当時における国内輸送事情に、皆さんとして三千三百億円を投資するとするならば、借入金の償還二千五百億円プラス三千三百億円、合計五千八百億円を新規に借り入れなければ、三千三百億円の投資ができない、というのは、昭和四十五年には、先ほど申しましたように、収支とんとんになってしまって、余剰金が上がらないという状態である、こういうことを聞いておりますが、こういう数字ははたして正しいものであるかどうか。こういう大ざっぱなことをしろうと目につかんでおりますが、この数字が大体当てはまっておるかどうかということについて、まずお伺いしたい。
  62. 石田礼助

    説明員石田礼助君) ただいまの御質問ですが、大倉さんの数字は、この間諮問委員会のときに出た数字だと存じます。これについては、その数字は間違いないかどうかということに対しては、私は委員の一人として出ておったのですが、実際それは間違いないと申し上げるだけの地位にもないのです。しかし私は、大きな国鉄の将来の姿は、大体それによって出ているのじゃないかと存じます。いずれにしましても、すでにそういう数字が出た以上には、これはもう国鉄としては一大問題でございますので、特にさらに検討を加えて、そうしてこれを解決するにはどうしたらいいかということを見定めるということが、私の総裁に就任した使命の一つだと考えているわけです。ということは、結局、そのままでおくにおいては、国鉄はたいへんなことになる。この際、できるだけ早く問題の解決の糸口をつければつけるだけ、そう非常な困難なところに陥る前に、問題がうまくいくのじゃないか。とにかく、これは国鉄四十五万の人間の運命にも関することでございますので、ひとつ徹底的にこの問題は研究したいと思いますので、そのときまで実際の数字説明はお待ち願いたいと存じます。
  63. 大倉精一

    ○大倉精一君 大体こういうような数字が、監査委員会でもおつかみになっておるようでありますけれども、たまたま東海道新幹線の問題が出てきましたので、こういう問題もあわせてクローズ・アップされてきたわけなんですけれども、これは今までこつ然として起こった問題じゃないと思うのです。長い間の国鉄の積弊がこうなってしまって、にっちもさっちもいかない、一体この責任がどこにあるかということについて私は言いたい。たまたま、こういう問題については、従来とも運輸委員会等におきましては、問題ごとに追及もしておりましたが、中身を洗ってみると、こういう工合になっておる。これは、だれがやってもどうにもにもならぬと思うのです。あなたが財界出の辣腕をふるって、そうして国鉄経営に当たってこれから御努力なされても、この状態が続く限りは、だれがやっても、国鉄はもう破産する以外にないと思う。それに加えて、国鉄の内部というものが、先ほど吉田君からもいろいろお話がありましたが、まことに奇っ怪なマンモス世帯であると私は思う。こういう点に早く政治のメスを入れないというと、この問題はなかなか、これは小手先のテクニックだけでは片がつかないと私は思っておる。  私は、こういうことはあまり言いたくないのですけれども、たとえば、総裁の更迭につきましても、はたして今度の総裁更迭に対して、どういういきさつで、何の理由かということが、まだはっきりしておらぬと思うのです。幸い、後任総裁にはまことに適任者を……。そこで、たとえば、十河さんがやめるについて、ずっと新聞で見ておりましたが、後任者がきまらぬうちに、黒金官房長官あたりが、やめるのだ、やめさせるのだ、こう言っておる。そうして、どたんばまで石田さんをおきめになることができなかった。こういうことをずっと見てみますと、国鉄というのは、何か大きな力に食われておるという、言葉は非常に激しいかもしれませんけれども、そういう点がありはしないか。ほんとうに国鉄が独立採算制でもって、自主性を持ってやっていけるというなら——今の法律ではできぬかもしれませんけれども、しかし、やはり何か派閥の食いものになったり、特定の権力の食いものになる、こういうことであれば、いかに石田総裁が御努力なさっても、なかなか及ばぬことがあると思う。この点、総裁は非常にこれから苦労なさると思うのですが、そういう点についての御感想がお伺いできれば、お伺いしておきたいと思います。
  64. 石田礼助

    説明員石田礼助君) 大倉さんの御心配はごもっとも千万。これは、国鉄の大体今のアウトラインを見ると、そういう心配は当然出てくる。しかし、これは私は、今に始まった問題じゃないと思う。すでにこういうことはあった。しかも、これを解決するには、ちゃんと救いの神様というものがついておった。それは何かといえば、運賃の値上げですよ。内部の合理化ということもありますが、一番大きな問題は、救いの手は、運賃値上げです。もしも、過去三十二年において、また三十六年において、一割三分、一割二分のあの運賃の値上げをやらなかったならば、今日の国鉄は非常に大きな赤ですよ。この問題は、その救いの神様の御利益が少々影が薄くなりつつあるのだ。ということは、国鉄独算制の薄らぎつつあることですよ。運賃上げというものは、ある程度においては収入増になりますが、しかし、間違うと収入減になる。これをどうするか、問題ですね。これは、私は、国鉄総裁のただいまの立場において責任を持って言うわけじゃありませんが、この間、諮問委員会で私が大いに論じたことは、要するに、公共負担の問題だ。国鉄はつまり公共企業体だ。企業精神を発揮して大いに国鉄の投資効果というものを上げるべきだ。それで、その上げた力をもって公共事業に尽くすのだ。国鉄が財政上変なことにならぬ以上は、できるだけこれは公共事業に尽くすということは当然の責務で、国鉄はそういう運命のもとに置かれておる。それはよろしい。ただ、その負担が大き過ぎる。ここに問題が出てくる。そこにおいて、公共負担の是正というものをどうするか。(「公共負担法を作ればいいじゃないか」と呼ぶ者あり)ところが、公共負担といったって、国鉄というものは公共負担をなすべくちゃんと始めからきまっているのだ。ただ問題は、程度の問題で、この程度をどうするか。こういうことについては、ひとつ大倉さん、私は真剣に検討いたしまして、皆さんの御期待にそむかぬようにしたい。  ただ、こういうことは申し上げていいと思う。一体、国鉄とは斜陽産業なり、こういうのですが、これは、私は大体において世界の通論だと思うが、けれども、日本においては私はしからずだと思う。ということは、日本のいいことは、国鉄で運び切れないほどの旅客があり、運び切れないほどの貨物があるのだ。これが、イギリスだとか、その他とは非常に違うのですよ。まだ、だから私は、国鉄は斜陽産業にはあらず、こう言うのだ。斜陽産業じゃなくて、経営がまずいからだ、公共の負担が大き過ぎるのだ、こういうことを大体考えておりますが、これは私責任を持って言うわけじゃありませんよ。ただ私の……。これは、さらに今の問題を十分に検討いたしました上で、そうして私の責任ある意見を申し上げたいと思います。どうぞ御了承願います。
  65. 大倉精一

    ○大倉精一君 まあ、救いの神様は運賃だというお話がありましたが、運賃をきめること自体にも、まあ妙なものがある。一割三分の運賃の値上げがこの前ありましたけれども、あのときは、国鉄はたしか一割七分だったと思う、原案が。それで、私は総裁に質問したんですよ。一割七分でもって五カ年計画を立ててそろばんをはじいたのだが、この一割三分でもってはたしてやれるのかと、やってみせます、何とかやれますと——しかしやれません。ですから、救いの神様の運賃自体がまことに奇妙なものなんですよ、これは。それからまた、東海道新幹線にしても、いろいろ御議論がありますけれども、副総裁が知らなかった、だれだれが知らなかった、この前の私の質問でも、全然気がつかなかったという話がありましたが、気がつかないというのはおかしいのだ。これは、おそらく理事会工事の進捗状態というものは報告されているはずですが、にもかかわらず、だれも知らなかったというのはおかしなものであって、国鉄内部の、まあ奇怪千万な事情というものがどうもあると私は思うのです。と同時に、また、新幹線について、私は別にこれに今けちをつけようとは思いませんけれども、素朴な考え方として、当初私は、なぜ一体鉄道というものは飛行機と競争をしなければならぬかということを考えたんですよ。なぜ一体……。東京大阪間なんて、近距離ですからね。この近距離を、三時間なり二時間なり、そこら時間を短縮するために、何千億円というべらぼうな投資を今国鉄がしなきゃならぬか。まだ国鉄には投資をしなきゃならぬところがたくさんあると私はしろうとなり考えておった。あるいは総裁も就任のときの記者会見でもおっしゃっておりましたが、この際、東海道新幹線は、はたして広軌にしたほうがいいのか、今の軌道の幅にしたほうがいいのか、という御発言もあったようですが、私もそう考える。新幹線だけ広軌にして、あとのものをどうするか、こういう問題が起こってくる。まだまだ私は、日本の経済——総理大臣はえらい大国意識を発揮しておりますけれども、まだまだ私は、日本の経済事情というものは、東海道新幹線、夢の超特急を作るような、そう  いう状態にあるかどうかということは、非常に疑問だと思うのです。あるいは輸送力が非常に緩和するといいますけれども、十二両編成で一日三十本ですか、といわれておりますけれども、あれは定員輸送ですよ、利用する人がきまっていますよ。ある人は皮肉って、あれは、長屋住まいでもってパリ・モードにあこがれるようなものだと皮肉っておりましたが、私はそんなけちはつけたくないと思う。やりかかった以上は、恥ずかしくないものを作ってほしいと思います。思いますけれども、そういう点から考えましても、いろいろなことから考えても、なかなか石田新総裁の理想のような格好に国鉄がいくかどうかということは、非常に私は疑問だと思うのです。ですから、国鉄の体質なりあり方を、抜本的にこの際検討しないというと、同じことを繰り返すと思うのですよ。ですから、まあ十河総裁、何でやめたか私はよくわかりませんけれども十河総裁を引っ張り出すときには、一生懸命に、てんやわんやでやって引っ張り出したと思うのですよ。今度石田総裁はそういうことにならぬと思うのですけれども、そういう点、国鉄のほんとうに抜本的なものを再検討しないというと、なかなかこれは容易じゃないと私は思う。まあこういう根本的な問題は、これから逐次問題ごとにいろいろお伺いしていきたいと思う。  特に、公共企業体という表現ですね、公共性と企業性、これは、従来からこの委員会でも問題になっていたところですが、あなたは一体、公共性と企業性と、どっちが優先かと、こういう質問をたびたび私はいたしておりました。いたしておりますけれども、その御答弁はきまっている。むろん、公共性でございまするけれども、企業性も重視しなければなりません、という、どっちがほんとうかわからないような、まことにどうも性格自体があやふやなものだと思うのですね。こういう点についてもはっきりしなければいかぬのじゃないか。でなかったら、どんな人が来ても、さっき申しましたような数字、こういう数字現状だとするならば、もう国鉄は、斜陽産業という表現じゃなくて、内部経理的に財布が破れてしまう、こういう状態が出てくると思う。  そこで、運輸大臣にもお伺いするのですけれども、この際、東海道新幹線なんとかいうけれども、そういう個々の問題じゃなくて、国鉄というものを抜本的にこの際再検討する、検討を加えて、そうして国鉄あり方自体にメスを加える必要があるのではないかと思うのですが、政府としてはどういう考えを持っておられるか。表面に出ておるものの監査だけを命じて、そうしてその答申によって当面の修正だけするというのか、あるいは、今私が言ったように、抜本的にこの際国鉄というもののあり方について政府検討をして、そうして立案をする責任があると私は思うが、運輸大臣の御所見を伺いたい。
  66. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) ただいまの御質疑は、全く私も考えさせられる点がございまして、新総裁をきめるにあたりましても、従来は、大体国鉄関係者がなっておったのでございますが、この際、三公社五現業では、いまだかつて、実業家と申しますか、産業人を総裁にした例がないので、この際は、そういうような、今大倉委員の御質問になったような点を、いかにすればこれが抜本的な対案が出るかということにつきまして、新総裁の英知と過去の経験を生かしまして、何かいい案がありはせぬかということを考えまして、新総裁に御苦労を願ったような次第でございまして、就任後まだ一週間くらいでございますから、私は、新総裁の英知とセンスにひとつ期待をいたしまして、政府もまたいい案が出たならば、直ちにこれを実行に移しまして、もって国民の負託にこたえるように努力いたしたいと考えております。総理ともその点につきまして話をいたしまして、私の新総裁任命にあたりまして、意見が一致して、今日石田総裁を迎えたような次第でありますので、しばらく御猶予を願いたいと思います。
  67. 大倉精一

    ○大倉精一君 私の質問と少し違うのですが、これはきょうお答えを求めることは無理かもしれませんが、場合によっては、これは総理大臣に来てもらって、問題の発展いかんによっては。日本国有鉄道というものに対する総理大臣としての、日本の政府としての所信をはっきりしてもらいたいという、こういうつもりでお伺いしておる。そうでなかったら、このままでは、どんな人が総裁になっても、総裁を苦しめるだけです。これは、私ははっきり断言できると思うのです。そこで、一生懸命になって運輸大臣が骨を折って石田さんに来てもらっても、ある時期にまたこういうことになったのでは、まことに迷惑をするのは国鉄であり、国民なんです。だから、今度の総裁人事につきましても、巷間いろいろ伝えられております。私も新聞でも見ておりますが、国鉄の中から出すとか、佐藤派から何とかとか、ありもしないことかどうかしりませんけれども、そういうことまでうわさをされるような、ことほどさように国民から疑惑を持たれておる。そういう点につきましても格段の意を用いられて、同時に、国鉄あり方国鉄の公共企業体というものはこういう状態でいいのか、独立採算でいいのか、公共負担法さえ作ればいいとか、そんなものではないと思う。もっと抜本的なことを考えなければいけないと思いますが、将来、政府並びに新総裁その他の方々がよく御相談を願って、これからしっかりそういう方向に踏み切って検討を加えていただきたい。こういう方針でなければならないと思うが、運輸大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  68. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) ただいま申しましたように、新総裁、今度は監査委員長でない、国鉄経営の最高責任者になるのですから、その見地から、いかにすることが抜本的にいいことで、それが国家のためになり国民のためになるかということについて、新総裁の識見と、ただいま申しましたように、過去の経験によって、いい対案が出ることを期待いたし、その対案が出るならば、それを勇猛果敢に行なうということが私の考え方でございます。
  69. 相澤重明

    相澤重明君 私は、少し、大臣総裁が、この国鉄新幹線予算が足りないということを資料説明をされたわけですが、聞いておきたいことは、今度は八百七十四億を追加をすれば、これで全部今度できる、こういう御説明だと思うのですね。そこで、先ほど各委員からも質問が出ておりまして、やはり国民は心配をする、また大丈夫だろうかという心配がある。そこで、私がお尋ねしたいのは、現在五百十五キロという新幹線用地について、買収は全部終わっているのかどうか、買収は終わっているのかどうか。たとえば、前回の三十八年度の予算の編成の際には、あと四、五キロ残されているという説明を私どもはいただいておった。それが、その後数カ月たっておるわけでありますから、これが契約ができて、支払いができておる、あとの追加の分が八十八億ですか、そういうふうに理解をしてよろしいのかどうか、この点について、まず用地の問題について、どうなっておるのか、ひとつ御説明をいただきたい。
  70. 石田礼助

    説明員石田礼助君) この問題は、事務当局者から御説明をいたします。
  71. 中畑三郎

    説明員(中畑三郎君) 詳細は資料にいたしまして御説明申し上げたいと思いますが、大体のことだけ申し上げますと、最初に、結論を先に申し上げますと、ただいま御質問がございましたように、契約は大体のところ済んでいるわけです。しかし、何と申しますか、概算払いをいたしておりまして、その精算をいたさなければならないという件数がかなり残っておるのであります。それから次に、用地買収関係におきまして、なお幾らかの面積の用地買収しなければならないことになっておりますので、その用地買収費がなおかかる見込みでございます。三番目に、建物の移転補償でございますとか、いろいろな補償関係の案件処理が、これは相当たくさん残ってございまして、それを片づけますのに相当な金がかかるのでございます。四番目に、送電線の工事をこれから着工いたすのでございますが、送電線の線路の下に当たります土地建物のいわゆる線下補償と申している問題でございますが、その線下補償の問題が残ってございます。そういったような四つのケースにつきまして必要な手当をいたしますのに、総額なお八十八億円の金を必要とするという見込みでございます。細かい点は数字にいたしまして、また資料をごらんいただきまして御説明をいたしたいと思います。
  72. 相澤重明

    相澤重明君 中畑総務局長の今の説明は、ちょっと違わぬか。用地費が八十八億円で、工事補償金及び工事負担金等は三十一億別に計上されておるわけだな。だから、私の聞いておるのは、五百十五キロというこの説明をされておる用地について契約が全部できておるかと、一つは。それで、前回の予算委員会あるいは当委員会で質問をしたときにも、三十八年度の予算を通すときの話では、四・五キロ残っておると、こう言ったのですが、その四・五キロというものを契約ができ、さらに用地費のあと追加を支払うことなのか。こういうことを質問しているわけだ。だから、工事補償金というものは別に計上しておるのだから、八十八億の中には含まれていない、こう見るのが妥当だと思われるが、八十八億の中に工事補償も入る、送電線の線下補償もあるということでは、少し説明が違いはせぬか。その点はどういうことなのか。
  73. 中畑三郎

    説明員(中畑三郎君) ただいま相澤先生からお尋ねがございました点でございますが、工事による補償と申しますのは、工事そのものによって発生しました、たとえば工事によって渇水するといったような場合に、その渇水の関係補償をするというようなものを言っておるわけでございます。私がただいまお答えいたしました補償と申しますのは、工事をやるにつきまして、地上にございます建物とか工作物といったようなものを移転をする、その移転に必要な補償だと、こういう意味でございますので、そういうことで御了承いただきたいと思います。  それから残地のキロでございますが、長さにいたしまして現在二・五キロメートルぐらいの残りの用地買収が必要ということになってございます。ところが、ただいま申し上げましたように、二・五キロの長さの用地の取得も必要なんでございますけれども、それと同時に、概算払いで用地の取得をいたしましたそれに関連いたしまして、残地の取得でございますとかいろいろなものが残ってございますので、合わせまして八十八億円程度の金が不足すると、こういうことに相なったわけでございます。
  74. 相澤重明

    相澤重明君 わかりました。それでは、その契約はもうすでに全部できておると。しかし二・五キロというものはまだこれは用地を取得しておらぬと、こういうことが判明したのですね。したがって、その個所がどこであるのかということも、これは資料で提出をしてもらいたいと思う。私は、昨年の十月までに用地は取得をしなければいかぬと、こういうことは当委員会でも何回もそれは言っておった。それが今日までなおかつそういうふうな話では、これはもう全く話にならぬわけです。だから、だんだん工事がおくれていく。値段がつり上げられるということになるわけです。そこで、その用地費の中に、今のような工場とか家屋の移転というような費用も含まれるということになると、用地費の分類もこれは出してもらわないと、わからぬと思う。そういうことで、ひとつ、その資料を提出するときには、その分類をひとつ明らかにしてもらいたい。それから工事補償金及び工事分担金、あるいは設計協議設計変更、この中で特に、先ほど、上屋の問題であるとか車両の問題とか、トンネルの長さの問題であるとかいうことが出ておりますね。出ておりますが、特にこの設計協議に必要なというのは、二百七十六億を計上されておるわけですね。二百七十六億。これは決して少ない額じゃない。どういうところが、設計協議でこれだけの多額な費用を必要とするのか。これは、先ほど吉田委員からも質問があったときに、近江鉄道の話が出て、近江鉄道は景色を見るための費用というものが百五十億出されておる。こういうことを言われておる。景色料だ、こういうことを言われておる。これはまあ、石田新総裁は、少しそういうことも研究したほうがいいと思う。景色を見るのに百五十億出すのがいいのかどうか。こういうことも、これは設計協議なる名によって、どういうところにそういうものが出ておるのか。これはもう全く国民としてはわからぬ。ましてや、まあ幾分かでもわれわれが内容見ると納得のいかない点が出てくると思う。そういう点をよくわかるような、ひとつこれは資料を作ってもらいたい。資料をね。  そこで、その次に私がお尋ねしておきたいのは、この車両の問題でありますが、先ほども説明の中で、三百六十両当初まあ計画をされておるようです。続いて、運転を開始した後に、百二十両くらいの増加は必要であろうと、こういうのでありますが、これがやはり、昨年私が質問した際に世銀借款に伴う車両の発注という問題を出されたのですが、その際に、遂に外国商社からはこの車両の入札については参加がなかったと、こういうことで、国内のメーカーにこれを発注をすることにしたのです。しかし、そのときに、国鉄予算額に対するメーカーの入札価額というものはたいへん開きが多いと、こういうことが新聞紙上で伝えられておる。その後、当委員会としては説明がなかった。それは一体どうなっているのか。こういう点についても、これは明らかに私はしてもらいたいと思う。  それから次の問題は、世銀借款の当初の計画が、これは電電公社のいわゆる借款等をも含んで減額をされておるわけですね。それに対する、その後の、先ほどから各委員から指摘されたように、資金需要についてどう計画をされておるのか。このことは非常にまあ大事なことになるわけです。ですから、世銀のその後の状況を、利子を合わしてひとつ報告をしていただくと同時に、今後のこの資金需要をどういうふうに求めていくのかということを、総裁は、この次の委員会に私はやはり提示してもらいたい。これは、運輸大臣が池田総理と相談をされて石田総裁を選任をするにあたっては、これを協力をしなければ総裁も選任できないだろうというようなことを私ども聞いておったのでありますが、それがはたして、先ほど大倉委員の言うように、池田総理自身がこの予算増額についてどういう処置をとろうとするのか、これは非常に大事なことだと思う。その点をやはり次の機会には明らかにしてもらう。  それからいま一つの次の問題は、百七十六億さらに今後必要とするということですね。百七十六億を必要とする。この問題については、品川とか大阪とかの貨物のいわゆる輸送力等の問題について必要とするというように先ほどは大ざっぱに説明があったわけですが、百七十六億というものは、具体的にどういうものに使うのか。八百七十四億というものを今取りあえずこの新幹線開業するのに必要だと、こういうことになるのでありますが、その上にさらに百七十六億必要というのは、具体的にどういうものなのか。これも資料として提出を願いたい。  それから先ほど第二次五カ年計画について、総裁は、これを変えるようなことはしない、あるいは山田理事も、できるだけその心配のないようにしたいという答弁があったけれども、現実に、今日では国鉄の部内では新幹線に対するところのウエートを重くして、そうしていわゆるこの新幹線以外の個所においては非常な予算上の圧迫が行なわれておるのではないか。だからこそ、通勤通学を初めとして、ローカル線の人たちは非常な心配をしておる。これを解明しないで、ただ口で第二次五カ年計画はこれはもうやりますと言っただけでは済まない。予算的にそれではどういうふうにこれは補強をされるかと、こういうことがないと私はいけないと思う。そういう説明を、資料をもって次に行なってもらいたい。  きょうは一時までという約束でありましたから、私も長くは申し上げませんが、以上のような、資料で提出していただくと同時に、運輸大臣にこれだけはひとつ、どうしても私は聞いておかなきゃならぬのは、いわゆる鉄道建設公団の問題について、すでにその人事が決定しておるように報道されておる向きがたいへん多い。これは、私どもとしては、国鉄がこれだけの問題をかかえておって、これだけ国民に大きな関心を持たれ、あるいは批判をされておる中に、すでに国鉄の首脳部の中で、いわゆる公団に転出をするというような話を聞くということは、まことに遺憾千万だと思う。そういうようなことを、いわゆる運輸大臣は、監督官庁の責任者として、あなたは話を聞いておるのかどうか。あるいは今後そういうことは心配がないということになるのか。これは、今後法案審議の過程においても、相当私どもはかたい決意を持っているわけです。幾ら口で、国会で答弁をしても、裏からすぐしり抜けになるようなことであっては何にもならない。ましてや、石田新総裁が幾ら一生懸命やろうといったところで、あるいは国鉄四十五万の職員に協力を求めるといったところで、首脳部のあり方がはっきりしておらなければ、これはもうやっぱり首脳部の言うことを信頼できないわけだ。そういう点について、これは、どうしても運輸大臣にそういう意見というものを聞いておかなきゃならぬ、こう私は思いますので、最後の問題は、ひとつ運輸大臣から御答弁願いたいと思う。前のほうは、資料の提出を要求します。
  75. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 日本鉄道建設公団の人事につきましては、法案そのものが衆議院すら通っておらないその最中に、さような不謹慎なことが流布されるということは、まことに遺憾千万でございます。私どもは、相澤君と全く同意見でございます。  それから今度の新総裁就任にあたりましての人事につきましては、先ほど申しましたように、早急に新総裁相談してきめたいと思っております。さよう御了承願います。
  76. 相澤重明

    相澤重明君 資料の点は、委員長、いかがでしょう。
  77. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 資料、よろしゅうございますか。
  78. 石田礼助

    説明員石田礼助君) 相澤さんから御要求の資料は、この次までに作りまして提出ができるということでございますので、御了承願います。
  79. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 本件につきましては、本日はこの程度といたします。  次回は、二十八日午後一時開会として、本日は、これをもって散会いたします。    午後零時五十三分散会