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政府委員(
辻章男君) ただいま御議論でございますが、御
指摘ございましたように、確かに
高船価のとき、今一番
高船価船と言われていて問題になっておりますのは、いわゆるスエズ・ブームのときに作られた船でございまして、これらを各海運
会社が作りましたのは、それによって収益が成り立つという見通しのもとに作ったことは間違いないと思います。ただ、そのときの
政府としましては、私そのときたまたま
海運局におったわけでございますけれ
ども、あのときの様子では、なおあの動乱があと一、二年続くとすれば、
日本の原材料輸入というものは、もう船の面から非常な制約を受けざるを得ないということをひしひしと身に感じたわけでございます。と申しますのは、外国船は、あの当時は相当の外国船を使っておったわけでございますが、これは契約にありますとおりの違約金を払いましてどんどんとほかのほうへ行ってしまう。同時に、私
どもは造船所の船台の確保に非常に造船所にも圧力をかけたわけでございます。契約をキャンセル、いわば船台の違約程度のものでありますれば、外国船をはずして
日本船を優先的にやれというようなことをいたしまして、何とか応急の現在量の輸入に支障がないようにということで、非常に船を作ることを奨励した。で、船
会社の
経営者は、先ほ
ども申し上げましたように、この様子が一、二年続くならば、多少船価は高いけれ
ども、二年以内に半分以下にし得る、また、金融機関のほうは非常に金融緩慢でございまして、まあある
意味では貸し出し競争をやっておるというふうな、非常に金融緩慢でありまして、そういうことで、今申し上げたような考え方が強うございまして、そういうような空気のもとに、大量の非常に高い船価のものを今となってみますれば作った、これは
経営者の見誤まりでもありますし、また、今にしてみれば、われわれもまた見誤まったということの批判、そしりは免れないということを覚悟しておる次第であります。そういうことで高い船ができたわけでございまして、高いのは、極端なものは、現在の船価の倍くらいのものがあるわけでございます。それらが海運界の
一つの大きなガンになっておるわけであります。こう申し上げてもいいかと思うのであります。
御
承知のように、三十二年以来、あのブームがおさまりまして、急速に海運界は不況になった。なお、悪いことには、そういうことで、各国ともに、あるいは各海運
会社ともに、世界的に非常な船の発注をしておったものでございまして、不況になりましても、そのときに発注された船というものが三年ぐらいはどんどん進水し、竣工していくということで、海運界においては、運賃が下がったところになお過剰の船舶ができる、そういうことで非常な不況になった。まあ、これは
経営者が見通しを誤まって苦しむことは当然とはいいながら、
日本の海運界全体として見れば、このままではとうてい今後やっていくことは困難ではないかということで、これらについて何らかの
措置を講じたいということで、私
どもは、金利の猶予でありますとか、その他のことを考えまして、
政府部内でいろいろ折衝したのでありますが、ただいま岡
先生の言われましたように、見通しを誤まったものの救済的な効果を上げるようなことはまっぴらごめんだというようなことで、そのときは時期が直後のことでもありますし、そういう声が非常に強うございまして、今日まで実現を見なかったのであります。あれから相当年月もたちまして、
海運企業としてもできるだけの合理化の
努力はしておりますけれ
ども、なお、海運界の不況もございまして、健全な姿に立ち直れない、ここで何とかしなければ、今後の
国民経済上必要とする船舶の拡充も円滑にいかぬのじゃないか、そういうことで、
経営者の責任もあるけれ
ども、そういうことばかりも言っておられぬじゃないかということで今回の
措置が実現したという経緯であります。