○
政府委員(
辻章男君)
前回の
委員会で
提出の
要望がございました
資料をお
手元に
提出いたしてございます。これにつきまして、私から簡単に
資料の
説明をさしていただきます。
まず第一が、
業態別の
外航船舶保有状況でございます。一番左の欄に、
運航業者、
タンカー業者、貸
船業者という三分類をいたしております。その次に、
貨物船、
油送船という
おのおのの
グループが、
貨物船、
油送船ごとにどういうふうな
隻数を持っているかということを示しているわけでございます。この
運航業者と申しますのは、
定期航路事業あるいは
不定期航路事業を主としてやっておりまする
業者でございまして、いわゆるオペレーターと呼ばれるものでございます。中にはやはり
油送船を持ちまして油の
輸送をやっているものもございますので、
運航業者も
油送船を一部持っているわけでございます。それから
タンカー業者は、
文字どおりタンカーを主力といたしまする
会社でございまして、この中には一部
定期航路あるいは
不定期を営んでいるものもございますので、
タンカー業者のところにも
貨物船がある
程度保有されているわけでございます。それから貸
船業者と申しますのは、いわゆる
定期用船契約——船員を乗せまして、
運航業者に船を用船いたしまして、その
用船料によって
収入を得ているという
業者でございます。
で、一番右の欄をごらん願いますと、
備考欄に、
比率といたしまして、この三
グループが、現在
——これは三十七年十月現在でございますが、
外航船をどういうふうな
比率で持っておるかというのが出ておるわけでございます。
隻数で申しますと、
運航業者が五一%、
タンカー業者が二〇%、貸
船業者が二九%、それから
総トン数で申しますと、
運航業者が四三%、
タンカー業者が三五%、貸
船業者が二二%でございまして、この前の
委員会におきまして、貸
船業者が現在どのような
比率であり、将来どうなるかということで、こういう
資料の御要求があったように記憶しておるのでございますが、二二%貸
船業者が
総トン数では持っておるわけでございます。
その際に、いわゆる
所得倍増計画の四十五
年度あたりには貸
船業者の
海運界に占める
比率がどうなるかというふうな御
質問があったわけでございます。これは将来のことにわたりますので、
推定になるわけでございますが、今後増加して参りまする船の一割ないし一割五分が貸
船業者にいくのじゃないかという
推定を立てたわけでございます。そういたしますると、四十五
年度末千三百三十五万総
トン外航船舶を持つということにいたしまして、二百十七万総
トンないし二百五十五万総
トンがオーナーの、いわゆる貸
船業者の
保有であろう、そのパーセンテージは一六ないし一九%になるものと
推定されるというのが、この
備考の要旨でございます。
それから、その次に参りまして、
海運の
外貨の
手取率でございますが、
海運の
外貨の
手取率は、三十六
年度についていろいろ
計算いたしますと、七一%ということになるわけでございます。で、この三十六年に非常に
外貨の
手取率のいい
輸出産業を見ますと、
一般機械が九五%、
食料品が九三・一%でございますが、
鉄鋼は七一、四%、それから
綿織物が七〇・八%ということでございまして、
海運の
外貨手取率は
鉄鋼あるいは
綿織物と同じような
程度であるということでございます。
外貨手取額におきましては、
海運は三億九千七百万ドルでございまして、
主要輸出商品では最高の額を占めておるわけでございます。これに次ぎますものが、
一般機械の二億九千七百万ドルでございます。
海運によります
外貨をかせぐ点につきましては、
一般貿易輸出に比べて容易ではないかというわれわれ考えを持っているわけでございますが、と申しますのは、
一般商品輸出におきましては、海外の
経済動向、
相手輸出国の
輸入制限措置とか、あるいは
関税措置等がございまして、これらのいろいろの問題が多いわけでございますが、これに対しまして、
海運の場合は、シップ・
アメリカンでありますとか、あるいは非常に民族的な
傾向のところも一部ございますけれども、
海運自由の原則というものがなお広く
世界に行なわれておりまして、先ほどのような
商品貿易のような制約がございませんので、
比較的進出しやすい、かように考えておるわけでございます。
先ほど申し上げました、三十六年で七一%の
外貨手取率という
計算の方式が、この
計算式というところに出ておるわけでございます。こういうやり方によりまして試算をいたしたわけでございまして、二ページほどめくっていただきますと、
海運の
外貨手取率という図式がございます。これについて簡単に申し上げますと、一番上に
運賃収入という欄がございます。
貨物運賃、これが
輸出と
輸入と三国間とに分かれておりまして、その横に
旅客運賃と
接続船の
運賃、
用船料、こういうふうなものがあるわけでございます。この六億五千五百万ドルの中から、
荷物費、これは
荷役費でございますが、
運賃の立て方としまして、
運賃の中に
荷役費を含んでいるものと含んでいない
運賃と両建になっておりまして、全体的には
荷物費が入っておりますので、この
荷物費のものを除きまして、純
運賃収入というものが五億五千九百万ドルになっているということでございます。その一番下の
外貨手取額というところがございますが、そのいわゆる純
運賃収入をかせぎますために、
海運としましては
外貨支出を要するものが相当あるわけでございまして、これを差し引くわけでございますが、この
外貨支払い分としまして一億六千二百万ドル、その内訳は、
用船料と申しますのは、
外国から船を借りて動かしておるものがあります、その
外貨払いになる
用船料であります。それから
代理店手数料とか、
修繕費とか、あるいは
船用品を
外国で求めるとか、港の
港費を払うとか、そういうふうなものがあるわけでございますが、この中で一番大きなのが、ここに
船用油と書いてございまする七千万ドルでございまして、これが
外国と
国内とに分かれておりますが、これは現在船の動力は
重油がおもでございます、この
重油の分を差し引くわけでございます。この中で、
外国が六千八百万ドルとございますのは、これは
外国で油を買った金額でございます。それから
国内で二百万ドルというのがございますが、これは
日本で
外航船が油を買います際には、いわゆる
ポンド油という
保税油を買っておるわけでございます。これも為替の
計算上
外貨払いという立て方に相なっておりまして、それも
外貨として払うというふうに
計算いたしまして、結局
外貨の
手取額としましては三億九千七百万ドル、
カッコにございますように、それが七一%になるということでございます。
それから次のページでございますが、
主要商品の
外貨手取額という欄がございますが、これは上の
海運について申しますと、その次の欄に
手取額という七一%がございまして、これが絶対数でどうなっておるかというのが一億ドル単位の表に相なっております。それで、
カッコの二重になっておりますものがいわゆる
外貨手取額でございまして、その白い一重の欄が、これが
外貨払いでございます。したがいまして、五億六千万ドルと申しますのは、二重
ワクと一重
ワクとの合計でございまして、この中で一重のものが
外貨払いになって、二重
ワクのものが
手取額三億九千七百万ドル、先ほど申し上げた
数字になるわけでございます。以下
一般機械、
鉄鋼、
綿織物等、その
手取額と絶対額というものを対比のために示したものでございます。
それから、その次に参りまして、
運賃指数の
推移の表がございます。これは一九六〇年から六二年まで、三カ年の各月のもの及びその
年間の
平均のものが出ておるわけでございまして、英国の
海運会議所で、一九六〇年を二〇〇にいたしましたものが、
不定期船運賃と、それから
モーター船の
定期用船料の二欄に相なっております。
不定期船運賃につきましては、下の
年間欄にございますように、六〇年が一〇〇で、六一年は一〇六・八と少し上がりましたが、六二年は八九・二というふうにまた非常に下がってきておるということでございます。それから
モーター船の
定期用船料も、やはり
傾向といたしましては、六一年に上がりまして、六二年には六〇年よりも下がったということに相なっております。この
モーター船の
定期用船料と申しますのは、大体
ディーゼル船の
定期用船料でございまして、これは先ほど申し上げましたように、いわゆる貸
船業者は
定期用船の形で
運航業者に船を貸すわけでございます。ロンドンの
市場におきましては、貸
船業者がみなブローカーを通じましてその
市場に、自分の船はこの
程度で
定期用船に出したいというものを出しまして、また
運航業者は、こういう船をこのくらいの
程度ならば
定期用船として雇いたいというオファーを出すわけでございます。そこに
一つの
市場が形成されるわけでございます。大体そういうふうな船は
不定期船に使われることが多いのでございますから、
不定期船の
傾向と大体合致するというのが
通例でございますが、
定期用船の場合には一年なりあるいは半年なり先のことになりますので、何と申しますか、やや投機的な要素が入ってぐるわけでございまして、そういう
意味で、
不定期船の
運賃の
指数よりも
定期船の
運賃の
指数のほうが、先ばしると申しますか、ある
程度投機性があるというふうにいわれておるわけでございます。それから一番右の欄の、ノールウェイ・シッピング・ニュースの
タンカーUSMCレートという欄がございますが、これも
おのおの三カ年になっております。一番下の
年間のところをごらん願いますと、これは一九六〇年が四五・四でございまして、六一年が四一・三、それから六二年が四六・一ということで、
不定期船に比べますと、六二年がやや好転しておるということに相なっております。
ここでちょっと御
説明申し上げますが、この
USMCレートと申しますのは何かと申し上げますと、これは戦争中に
アメリカが各
タンカーの
ルートごとにいわゆる
公定価格をきめまして、
船舶を統制して、それによって経理的な
収支の
計算をし、船に支払う、あるいはそういう
価格の
基準にしたものでございます。戦後、これは
世界的な
一般の
傾向としまして、この
アメリカが作りました
USMCレートというものを一〇〇にしまして、
通例AB間の
タンカー運賃は
USMCレートの三〇%
引きであろうとか、あるいは三三%
引きであろうというのが、
タンカーの
商売上
世界的にそういうことになりましたので、それを
基準にして
指数を作ったわけでございまして、したがい一まして、一九六〇年の四五・四と申しますのは、
USMCレートの一〇〇のものが四五・四、したがいまして、
商売の言葉で申しますと、四四・六%レスの
運賃の
状況であるというような言い方をするわけでございます。
指数としましては、こういう
傾向を表わしているわけでございます。
それから、その次に参りまして、
外航就航船腹の
推移という表がございまして、
左欄に
保有船腹と
就航船腹と
輸送量、
運賃収入、それが三十五年、三十六年、三十七年
——三十七年につきましては一部
推定が入っておるわけでございますが、こういう表を作ったわけでございます。これはたしか
河野先生から、船を作ってもそれが効率的に運営されなければあまり
意味がないんじゃないかと、何と申しますか、
船舶の
稼働状況を示す
資料を
提出願いたいという御発言があったわけでございます。いろいろ御
要望に沿うような
資料ということで私ども検討してみたのでございますが、いわゆる船の
稼働の
状況を的確に表わす実は調査も
資料もないものでございますので、この表をもちまして大体の
傾向を御了察願いたいというつもりで作ったわけでございます。
表の
説明を申し上げますと、
保有船腹と申しますのは、
おのおのの
年度の
年度末の
保有船腹の
重量トンでございます。その下の
就航船腹と申しますのは、三十五
年度で月に
平均どのぐらい、
幾らの船が就航しておったかという
船腹がございまして、たとえて申しますと、十二九月の間に、ある船はかりに四月に完成したと、それからある船は十二月に、またある船は三月に就航したという場合には、
保有船腹としましては、これは
年度末でございますから、いずれの一
トンも一
トンとして当たるわけでございますが、
就航船腹はそれらの就航しました月数によりまして
平均をとったものでございますので、いずれも
保有船腹よりも下回るわけでございます。
輸送量は、これは
トン・キロではございませんので、
輸送トン数でございます。
こうごらん願いますと、
保有船腹も、
就航船腹も、三十五年から三十七年まで逐次増加して参っておりまして、それから
輸送量も
おのおの増加して参っております。また
運賃収入も増加して参っておりますので、大きな
傾向としまして、船を作ったが
輸送能率もあるいは
運賃の
収入も
効果が上がらなかったということはないということは明らかでございます。
それから、これは
資料とは離れますけれども、現在
日本の船は経済的な理由によりまして係船いたしておりまする
外航船舶はございません。いずれも物を運んでおるわけでございまして、そういう
意味におきましては、すべての船は動いているのだということが言えるわけでございます。この船の
能率の問題でよく問題になりますのは、動くにしましても、
港湾の
荷役の
能率が悪くて非常にある港に滞船するとが、そういうふうな点はどうかという問題があるわけでございます。それからまた、
荷物の手配がまずくて、横浜へ入って次の
航海日時まで三日間も
荷待ちをしたというふうな問題があるわけでございます。これらの点は、
各般ごとのデータが非常に困難でございまして、遺憾ながら集計いたしましてお
手元に出すことができないことをおわび申し上げる次第でございます。
それから、その次に参りまして、
利子補給対象海運会社の
経理状況でございますが、これはこの前の当
委員会におきまして総トータルを
提出したのでございますが、これの
各社別を出せということで
提出する次第でございまして、
会社名は、いろいろ差しつかえがございますので、省かせていただきました。一応
対象会社五十四社の
各社ごとの
経理概況でございます。
以上簡単でございますが、
提出いたしました
資料の御
説明をさせていただきました。