○相澤重明君 それでは、一つ例をあげたいと思うのですが、この要求書というものについては、
先ほども
お話がありましたように、今
国鉄当局が、これから検討する、
相談をするということでありますから、この例でなくて、内閣の中に爆音の対策
委員会というものがある。いわゆる閣僚の懇談会なり基地対策特別
委員会というものが設置されておるわけです。私はこの六年間神奈川県の大和の基地問題に取っ組んできたわけです。そこで、政府も今年三十八年度の予算措置の中では基地交付税を増額をしたことと、いま一つは、基地を持っておるところは、特別にこの基地問題を
解決するための、基地周辺の
住民の福祉に関すること、
生活に関すること、これを進めることを内閣でもきめておることです。
それで、具体的に私どもが今まで政府との話の中で進めてきたのには、たとえば米軍のジェット機が飛ぶ、このコースの周囲を二百キロなら二百キロ、この周囲というものは、いわゆる安眠ができないとか、
病人が治療ができないとか、妊婦がお産ができないとか、あるいは学校の
子供が教育が十分にできない、こういうことで、学校の場合、あるいは病院の場合等については、防音装置というものを行なっているわけです。これはもう政務次官もわかっていると思うのです。それから、どうしても爆音の下で
日常生活が困難な場合は、移転をさしているのです。これはもう、昭和三十六年度に神奈川県の大和でも五十戸から移転をし、三十七年度にもそれを実行し、さらに今年度も予算に組んでいるわけです。こういうことから
考えていくと、これは日米安保条約というもとにおける基地を持つ日本国民の立場で、政府もそれは特別な
考えで、予算的にも、あるいは実態的にもそういうことを進めてきたのだけれども、たまたま、話は違うけれども、
工事によるこの要求書を提出されている地域
住民、このものの
考えは、やはり
工事によるところの
被害者ということになると、その程度の差、あるいはジェット戦闘機等の問題とは若干違っても、本質的には
生活権の問題、いわゆる基地周辺の
住民の福祉を守るのにはどうするのかということと、
東海道新幹線の
工事をするためにその地域
住民が
生活環境を侵されるということになるわけです。これは、ですから、単に
国鉄ばかりでなくして、さっきも
お話があったように、
地下鉄の場合も、あるいは都心に乗り入れる国道の設置についても、どうするかといういろいろの意見があると思う。あると思うが、しかし、地域
住民には、公共の福祉のためにという名前だけで、その人だけに
損害を与えることはできないと思う。これはやはり
補償しなければならぬ――これは原則だと思う。私は、決算
委員会の中で、実は国家賠償法という問題をとらえて、池田さんが通産大臣になったり、あるいは総理になってから、ずっと今日までやっているわけです。新しい法律を今私も立法の準備をしているわけです。それで、国会図書館の村博士を中心に、各大学の教授グループの意見を聞きながら、体系論や実体論、いろいろあるけれども、そういうものに今取り組んでいるわけです。各国の先例を見ながら。そこからいけば、やはり憲法にいう国民の利益という、人権を守る、こういうことは当然なことであるから、ですから、この点は、形は違っても、これは
工事をやる、一方においては、
先ほど申し上げたのは、日米安保条約のもとにおける基地周辺の
住民の問題、こういうことであるけれども、国民にとっては変わりはない。その地域
住民にとっては変わりはない。そうすると、今特別調達庁が防衛庁に吸収合併されたけれども、今まで特別調達庁が行なっておった、いわゆる移転の
補償であるとか、あるいは耕作の
補償であるとか、
営業の
補償であるとか、また学校、病院、あるいは勤め人の問題であるとか、こういうような問題は、私は
ケース・バイ・
ケースとして十分
考えられることじゃないかと思うのですよ。ですから、これらの具体的な事例を御検討されるということでありますから、せっかく内閣の中に、基地周辺の
住民の福祉を守るということで、積極的に意欲を出そうとしている内閣が、同じような問題で地域
住民を泣かせるということであってはならないと思うのです。したがって、そういう点を、岡
委員の言うように、やはりこれらの、その
工事のために
被害を受けたものについては、
補償を行なうべきであるし、それから、
工事を行なう場合に、あらかじめそういう問題が
解決できるようにこれは進めていかなければならぬだろう。この点については、
先ほど十河総裁なり
大石常務理事から、今後の行き方としては十分そういうことのないようにする、こういう
お話であったから、私も今後のことを見守ればいいと思うのです。いいと思うのだが、すでに侵されたものについては、これはやはり、内閣の中にも特別対策
委員会を持っているくらいなんですから、ひとつ次官で作っている対策
委員会、あるいは大臣が持っている閣僚懇談会、こういうところのことも十分参考にして私はやはり進んでもらいたいと思うのです。これはとにかく、あなたが政務次官なんだから、そういう点を私は参考に申し上げておきますから、ひとつ真剣に取り組んでもらいたいと思うのだが、次官のお
考えを聞いておきたい。