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1963-02-19 第43回国会 参議院 運輸委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年二月十九日(火曜日)    午前十時四十九分開会     ————————————— 委員の異動  二月十九日   辞任      補欠選任    前田佳都男君  三木與吉郎君     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     金丸 冨夫君    理事            天埜 良吉君            谷口 慶吉君            天坊 裕彦君            岡  三郎君    委員            木暮武太夫君            三木與吉郎君            相澤 重明君            小酒井義男君            浅井  亨君            中村 正雄君   国務大臣    運 輸 大 臣 綾部健太郎君   政府委員    運輸大臣官房長 広瀬 眞一君    運輸省船舶局長 藤野  淳君    運輸省港湾局長 比田  正君    運輸省鉄道監督    局長      岡本  悟君    運輸省自動車局    長       木村 睦男君   事務局側    常任委員会専門    員       吉田善次郎君   説明員    日本国有鉄道常    務理事     大石 重成君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査日本国有  鉄道の運営に関する件)(北陸、上  信越線の雪害に関する件) ○港湾整備促進法の一部を改正する法  律案内閣提出) ○道路運送車両法の一部を改正する法  律案内閣提出) ○船舶安全法の一部を改正する法律案  (内閣提出)     —————————————
  2. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  運輸事情等に関する調査を議題といたします。
  3. 岡三郎

    岡三郎君 国鉄幹線工事に伴う住民被害について、先週神奈川県の川崎上丸子周辺調査して参ったわけですが、三カ月程度工事が行なわれて、その間周辺住民が非常に困っている。困っている内訳については、国鉄当局のほうにもすでに陳情その他出ておると思うのですが、国鉄当局として、工事に伴う住民被害についてどういうふうな基本方針をとっておられるのか、この点についてお伺いしたい。
  4. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) その問題につきましては、大石常務理事担当者でございまして、大石常務理事から御説明申し上げます。
  5. 大石重成

    説明員大石重成君) 国鉄といたしましては、これは新幹線だけの問題ではございませんで、すべて、工事をやりましてその被害沿線方々に及びましたときには、これを調査いたしまして、適正に補償——現物補償いたしましたりお金で補償するということによりましてお話し合いをつけておる習慣でございます。
  6. 岡三郎

    岡三郎君 工事が行なわれてから被害調査をする、これも一つ方法だと思うのですが、当然予見される諸問題について、この工事を行なえばこういうふうな状況に大体なるのじゃないか、これは詳しい事情は別にして、そういった場合に、その地域人々を集めて、工事をする場合に、十分納得がいくような、そういう話というものはせられておられないのですか。
  7. 大石重成

    説明員大石重成君) この被害につきましても、われわれの設計上と申しますか、先生お話のように、当然技術上起き得るということが予見されます被害につきましては、当初からお話をいたしまして施工することにしております。また、設計上と申しますより、施工上の、工事をやりましてからのやり方の方法によって被害が起きるというような場合につきましては、工事を施行いたしましてからこのお話し合いをする、こういうような方法をとっておる次第でございます。
  8. 岡三郎

    岡三郎君 上丸子工事現場は、これはもう施工する前に直接線路わき住宅があるわけですからね。国鉄用地工事をするんだからかまわぬということでやられておるように見受けられるわけです。至近の距離に住宅がずっとある。そこへくい打ちをする。ものすごい音でどかんどかんやるんで、当然これは地域住民被害が及ぼされるということは明瞭だと思うのです。そういう工事の状態、そういうものが明確に予見されるときに、やはりいかに国の仕事といっても、その周辺住民に、精神的にも、物質的にも、両面にわたって甚大なる被害を及ぼすということが、これははっきりわかっていなければならぬと思うのですがね。国鉄ではこの現場調査してございますか。
  9. 大石重成

    説明員大石重成君) 今御指摘上丸子付近につきましては、工事を直接やっております東京幹線工事局というのがございますが、そこの担当技師並びに局長現地確認しております。
  10. 岡三郎

    岡三郎君 そうするというと、私は文句を言いたくなるんです。三月間、家がかしがって雨漏りがする、病人はいられない、土台はくずれてくる、水道はこわれる、そういうふうな事態があるので、みんながもう頭へきているわけです。しかし、工事中だから、工事が終わってから何とかしたい、こういうふうないいかげんのあなた考え方では、とても、工事をしていく人はそれは自分の仕事として能率を早く上げていきたいという気持でやられておるんだろうと思うけれどもまわりの人はだまったものじゃない。だから、それを現場の人が知っているはずだということで、それが当局に来て、具体的にその処置をどうするのかということを考えないで、ただ聞いているというだけでは、私はまことにお粗末過ぎると思う。大石常務であろうと、仁杉幹線工事局長であろうと、やっぱり現場へ行って見るという精神ですね。あまりにもそういうことが多過ぎるから、慢性症状になっているのかもわからないけれども、しかし、土地の買収という問題よりも、住民生活被害というもののほうが私はたいへん大きいと思っておるわけです。おととい再び現地へ私は行きましたが、一日も早く何とかしてもらいたい、即刻やってもらいたい、そういうふうな強い意見が、これは住んでいる直接の人から声が出ている。一体、今まで国鉄当局に行くと、清水組に行ってくれ。清水組に行くというと、わけがわからないことを言って、工事が済むまで待ってくれ。こういう問題についての責任をとるというところは、施工者清水組なのか、国鉄なのか、一体これはどっちなんです。
  11. 大石重成

    説明員大石重成君) 先ほど申し上げましたように、被害の性質によりますけれども、私たちといたしましては、地元方々お話をいたしますのは、国鉄窓口になってお話をしておる。今御指摘現地場所につきましても、国鉄責任を持ちましてお話し合いをただいましておる次第でございます。
  12. 岡三郎

    岡三郎君 今大石さんの言われた言葉によると、現地の人と国鉄の人と話し合いをしておる、こういうお言葉なんですが、具体的にどういう折衝をだれがしているわけですか。
  13. 大石重成

    説明員大石重成君) この経過を申し上げますと、一月の十日に、地元対策協議会、また丸子地区町内会会長さん、それから東京幹線工事局責任者であります技師、それから清水組、この四者が会合を持ちまして、被害程度を申していただいて、私たちもできるだけいろいろと調査をいたしますけれども、家屋の内部というような問題につきましては直接の方々からお申し出をいただきまして、これは東京幹線工事局あてにそういうものをお出しいただきまして、その調査に基づきまして適正な処置をいたしますということをお話を申し上げましたのが、  一月の十日でございます。
  14. 岡三郎

    岡三郎君 一月の十日からすでにもう四十日たっているわけですが、何ら手が打たれておらない。これは一体どこの怠慢なんですか。
  15. 大石重成

    説明員大石重成君) その結果に基づきまして、二月十二日に国鉄といたしましては調書をちょうだいいたしまして、すぐに被害の大きいお宅につきましては修理をいたしまして、また水道がとまったというような件につきましても直ちに修理をいたしましたところが、地元対策協議会から一時ちょっと待ってくれというようなお話がございまして、二月の十六日からそういうような修理作業を中止しておる次第でございます。
  16. 岡三郎

    岡三郎君 この二月十二日というのは、いみじくも私が小酒井さんと一緒現地を見に行った日です。その日に調書が出てきたと、こうおっしゃられますが、現地に行くと、はるかに前に調書を出しておる。だから、国鉄に着いたのが十二日とすると、現地対策協議会の方がおくれておったのかもしれません。したがって、現地の方は、対策協議会ではちょっとなまぬるい、これでは実際に被害を受けている人々がいても立ってもいられない、こういうことで、十七日の日曜日に、被害を直接受けた人々が、被害者協議会というのですか、そういったものを作って、これで直接やる、こういうことになって、この話を聞いて参りました。実際に歩いてみるというと、とにかく毎日々々現在でもどかんどかんやられておるようですが、実際雨が降ってきたらどうしようもないという意見も非常に強いわけですね。したがって、窓口は、直接被害者まとまり、これを代表を選んできちっと正規なものを作って交渉するということになったようですが、これは今まで直接国鉄のほうへ来ておらないかもわからぬけれども、そういうふうに現地はもう焦眉の急の問題としてこれを取り上げてもらいたいというふうに考えておるわけです。一月十日の四者会談というものによって話が進んで、二月の十二日に調書が出てきた、こういうべらぼうにおくれている、こういうことについては、現地も、国鉄も、相当考えなければいかぬと思うのですけれども現実の問題として、今ちょっと待ってくれ、こう言っておるそうですが、この地元対策協議会というものと交渉することではなくて、これは現実被害を受けた人々代表とやはり話をしなければらちがあかぬと私はこう思っていた、その点のわれわれの考え方について当局はどう考えますか。
  17. 大石重成

    説明員大石重成君) 私たちといたしましては、ただいままで、対策協議会が、この地区も含めまして、そういうような一切のものを個々ばらばらではいろいろの問題が起きるから、まとめて国鉄話し合いをする、窓口を一本にしてくれというようなお話がございましたので、そういうような手段をとって参ったのでございますけれども、ただいま先生お話のような事態が生じまして、地元に他の補償協力会といったようなものが発足いたしまして、こういうものが、正式と言っては少し言葉が過ぎるかも存じませんが、地元の方のよくお話し合いの上、そういうものができて参りますれば、私たちといたしましては、そういう方々窓口といたしましてお話をいたしますことにやぶさかではございません。
  18. 岡三郎

    岡三郎君 それで、現実被害が出ている問題と、これからさらに工事をしていくというとまた出てくる問題がうんとあるわけです。その工事場所と住んでいる場所というのは何間もないのですね、沿線ですから。したがって、この工事に携わるほうもやりにくい点があるとしても、やはりこの点については全貌を明らかにして、こういうふうにしてやるのだというふうに、あらかじめ地域住民人々に対してやはりある程度納得さして、しかしその被害については国鉄としては遅滞なくこういうふうにいたします、こういうふうにやられるのが私は常識だと思うのですよ。何か悪代官がやっているように、どかんどかんやってしまって、あとから何か文句が出てきたらそれを受けよう、これではちょっと今の民主主義政治の中において私は非常に間違っているのじゃないかという気がしてきたわけです。国の施策としてやる仕事については、何も文句を言っているわけじゃない。ただ、国の施策としてやる仕事についても、直接そこに住んでいる人々が毎日々々苦悩しつつ、苦しみつつ生活しているという強い陳情を受けなければ、これについてはどうこうしないという、こういう殿様政治では答は困ると思う。だから、私が一番言うのは、国の施策としてやる工事にしても、地域人々に迷惑を及ぼしていいという考えではないだろうと思うのですがね。ところが、現場を見るというと、施工しているほうの人はもう仕事のほうに夢中だから、まわりのことについてはかまっていられないということになるのかもわからぬけれども、これでは円滑な仕事も今後できないと思う。したがって、先ほど言ったように、あらゆる工事でもそうですが、住民被害についての国鉄基本方針としては、あらかじめ予見されることについては、率直にその地域人々に、代表なら代表に会って、そうしてこういう工事を行ないたい、したがってこれに伴ういろいろな被害が出てくるかもわからぬ——これは遅滞なく、皆さん方からおっしゃられるまでもなく、国鉄としては、常時そこに責任者監督者を置いて、そうしてその問題についての窓口となって、その地域住民苦しみをなおしていくという責任を持っておりますから、こういうふうにはっきりしてやはり工事をやってもらわぬというと、何だかとにかく力のないものが痛めつけられて、そのまま泣き寝入りという形が出てくるんじゃないかと私は思っておる。だから、基本方針について今言ったように今後ともやってもらえるかどうか。いわゆる設計上じゃなくして——設計上もそうだけれども施工するほう。いずれにしても、国鉄仕事を請け負わしてやらせるんだから、その場合において、とにかくこの仕事はその周辺人々にこれだけの被害が出てくるとわかっていたら——ごね得じゃないんですよ、あらかじめ、それを予見されるならば、そういう点について了解とか理解をさして工事を進める方向なら方向が正しいんじゃないかと思うんです。それを、あと被害が出てきたならば、それについて金なりその他の面で措置します、これではちょっと私はうなずけないんですがね。もう一ぺんその点についてはっきり大臣に伺いたいと思う、基本的なものを。
  19. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) お答えいたします。御承知のように、新幹線をやるにつきましては、個々の人と折衝すると申しましても、なかなかまとまりにくいし、また事実問題として困難でございますから、国鉄といたしましては、従来ともやっております、いわゆる団体方式と申しますか、その地方の対策委員会というものをこしらえていただいて、その団体の人によく設計その他を説明して、さらに用地必要個所その他をよく説明いたしまして、それによってやっているのが従来の例でございます。もし御指摘のようなことがあるならば、それはその団体交渉のときに相当の申し出があるべきはずだと思いますが、それが工事者といたしましては、そんな大きな住民に迷惑をかけることはなかったんだろうという観点のもとに、団体交渉話し合いの中に入っておらなかったかもわかりませんが、現実に、岡委員指摘されるような、その付近住民が住むに住まれぬ、もう病人なんかが出る、そういう事態が起こった場合には、さらに考えるべきであると私は考えております。
  20. 岡三郎

    岡三郎君 私は、いろいろと団体窓口にする場合において、直接に聞いてみると、用地買収の問題についての対策協議会が役割を果たしているわけなんです。しかし、地域周辺に住んでいる、今の工事現場周辺に住んでいる人は、どういう工事がどういうふうになされるか何もわからない。どかんどかんやられてから初めてわかったという始末で、対策協議会のほうの人は、これは用地買収の問題について専門にやっているような話ですね、われわれが聞いたところでは。ですから、その点について、町内会があるわけですから、町内会長を集めて、どういうふうになるのかということの説明もできると思う——住民個々について説明する必要もないけれども。一般の人は、どういう工事がどういうふうになされるか知らない。それでがんがんやられてくるから、たまったものでない、こういうことになるんで、私はやはり、国鉄のほうが設計をして、いろいろと工事についての指導をするということになると思うんですが、請け負わしたならば、その請け負わした人間に全部まかせて知らぬという態度じゃならぬと思う。今そうではないと言っているけれども現実はそうですね。十二日以降で現地調査しているのは、清水組です。清水組調査しているのであって、国鉄のほうで直接調査はしていない実際。これではやっぱり怠慢です。この点、大石さんどうですか。現地調査しているのは清水組で、国鉄はやっていないじゃないか。この点はどうなんです。
  21. 大石重成

    説明員大石重成君) 今の前半のお話につきましては、ごもっともでございまして、私たちといたしましては、いわゆる設計協議と申しまして、できるだけこまかくいろいろな構造物その他線路状況につきまして、また今度の新幹線につきましては、竣工いたしましてからどういう列車が走るかというようなことにつきまして、川崎地区につきましては、対策協議会方々に試運転までごらんいただきまして、こういうものが将来走るというようなことまでお話をしたというふうに私は聞いております。また、そうするように指導をいたしておったのでございまして、やみくもにやるというようなことはない。今お話しのような、沿線方々の御理解が十分でなかった、また私ども説明が十分でなかったという点につきましては、十分注意をしていきたいと、かように思っております。  それから、被害につきまして、調査清水組がやっているのではないかというお話の点につきましては、実はこれは、窓口は私どものほうがやりまして、十分私どものほうで、請負に出したならばもうおれのほうは知らないというようなことは、先生方に申し上げる気持は毛頭ございません。あくまで国鉄発注者となって仕事をしているのでございますので、国鉄窓口になりまして皆さんとお話し合いをして参ることは、昨日も工事局長話し合いをいたしまして、るる工事局長もさように申しておる次第でございます。しかし、実は、この被害原因と申しますか、これは、先ほど申しました設計上と申しますよりも、むしろ施工上の問題が主でございますので、私たちといたしましては、十分中に入りまして、直接請け負っております者に注意をし、また被害調査し、人もこれにやらせるということで清水組を督励しているのでございますが、現地に参ります者が、国鉄の者が行っていないという点については、私はもう一度確認をいたしまして、さようなことがございますれば、すぐに私たちといたしましては——責任者技師一緒に立ち会っているというふうに確認をいたしておりましたが、さようなことがないというお話でございますので、もう一度確認いたしまして、善処いたしたいと思います。
  22. 岡三郎

    岡三郎君 そこで、これは明確に聞きたいが、工事を請け負わせる場合に、それから生ずる被害補償その他のことをも含めた工事費になっているかどうか。
  23. 大石重成

    説明員大石重成君) 私たちが当然考えられますような被害は、中に含めてございます。また、施工業者一つ施工方法を選びまして、その方法によりましたために起きました被害は、請負者責任ということに相なっておるような次第でございます。
  24. 岡三郎

    岡三郎君 だから、そこで私は問題点がはっきりしてきたと思うのです。要するに、被害を含めて工事を請け負わせる、施工上について、いろいろと不注意とか、いろいろな原因があって、そこから被害を生じた、そういうものは施工者に背負わせる、それだから施工者のほうは極力これを回避していこうということになると私は思うのです、実際問題として。そうではなくして、やはり国鉄は今の建前を変えなくてもいいけれども、実質的に国鉄がこれを責任を持ってやっぱりやっていくという建前が変わらない以上、実際に国鉄の当事者が工事をしている場合に、地域住民にどういう被害がいっているのか、そういう点の思いやりがない工事なんというものは、私は絶対にやってもらいたくないと思う。全然雲の上から見ているようなことを言って、病人が出る、家がぶっこわれる、畳が盛り上がってしまう、そういうことをいつもやってほったらかされておいて、今さら今度はわれわれが見に行ったら——十二日に調査が出ました、そんなばかな話はない。工事現場を絶えず見て——大石さんだってそうでしょう、役所にいるばかりが能ではない。その現場幹線局長にまかしておいて、国会答弁は私がいたします、そんなばかなことはない。問題の現場はほったらかされている。ほったらかされて、結局われわれがそこへおもむかざるを得ない、そんなばかなことがありますかね。だから、先ほど言ったように、国鉄のほうもやっているはずです、現場の問題についても十分やっているはずです、こう言ったって、やっていることが身になってこないじゃないですか。住民を何とかして助けてやろうという気がないんじゃないですか。こんなことは、私たちが口をきくまでもない。どんなことをやるのだって、弱い者いじめするということは許されない。用地を高く買ってどうだこうだと言っている。そういうことはそれとして、直接とにかくそこで困って、病人が出たり、家がぶっこわされていることについては、追って何とかします、そんな言葉で許されるものじゃ私はないと思う。大石さん自体現場へ行って調査する意思があるかどうか伺いたいと思う。
  25. 大石重成

    説明員大石重成君) それは私別に現場へ行くことを拒否しておるんじゃございません。工事局長とよく連絡をとりまして、直ちに行くことにやぶさかでございません。
  26. 岡三郎

    岡三郎君 それで、また調査するとか何とかという問題よりも、直接これにやはり、思いやりというか、困っているこういう者に対して、とにかく工事を進めていく場合についていろいろと苦しんでいる人、こういう人に対して、物心両面の見舞とか、被害補償をしなければならぬと思うのですが、端的に言って、すみやかにこれをやってもらいたいと思うのです。これは、どんな偉い人間が何を言ったって、その問題を直接すぐ解決してくれなければ意味がないことなんです。だから、この点については、緊急に国鉄当局としては、清水組を督励するなんということじゃなくて、国鉄みずから解決する、こういう態度でやってもらいたいと思うが、この点どうですか。
  27. 大石重成

    説明員大石重成君) これは、先ほど申し上げましたように、もちろん、地元方々につきましては、国鉄窓口になり、国鉄責任を持ってお話し合いをいたす覚悟でおります。  ただ、その内部と申しますか、こちらのほうの扱いとしましては、業者責任である、業者責任を持たせるということでありますから、そういうことで、私たちが当然責任を持って解決いたす覚悟でおります。また、先ほど申しましたように、地元協議会が二つに——今までの対策協議会窓口になっておるというのが、もう一つ協議会が今できたというふうに聞いておりますが、この辺のところも調整をいたしまして、私たちとしましては、補償協議会ができましたならば、それとお話し合いをすることにやぶさかではありません。
  28. 岡三郎

    岡三郎君 調整ということではなくて、地元対策協議会というのは主として用地買収の問題についてやっておられるのです。だから、被害が出てきてからみんなが騒いできても、直接この問題について取り上げていないのだと思わざるを得ない。というのは、われわれが二月十二日に行って、初めて現地被害程度を見て回った。その前に一月十日にそういう協議会があったというが、これは工事が終わってから何とかする、こういう話だった。だから、今ここに生まれてきておるものは、直接被害を受けておるたまりかねた人々の、何と言うか、損害を受けておる人のまとまりなんですね、団体なんですね。だから、調整とか何とかいうことじゃなくて、具体的にこの被害を立ちどころに直す、こういう根本精神に立って国鉄がやるということになれば、当然その話を聞いて私はやらねばならぬと思う。これはむずかしいことでも何でもない、国鉄に誠意があるならばいつでもできる問題だと思う。それで、今清水組話し合いをしておると言うけれども清水組にやらしておいて国鉄うしろにおるということじゃだめなんですよ。だから、国鉄が直接行って、直接責任ある者——工事現場監督とか技師ではだめですよ、もっと責任を持って処理できる人が行って、そうしてそこへ行って、どういうふうにするのだと判断をして処理を急速にする、こういうことでなかったならば、大雨が降ってきたり何とかしたら、これはとてもいられない。だから、そういうふうなことで、天気が続いておるからいいようなものの、いつ何どきどういう被害になってくるかわからぬということで、みんながとにかく激高しておりますので、この問題についてはいろいろな手続があろうと思うけれども責任ある者が行って裁断をしなければだめですよ。だから、私は、大石常務が行って、そうして現場の監督、国鉄関係者、そういった者を全部そこへ集めて、地域人々と十分話し合いをして、そうしてとにかく納得いくようにこれを処理してもらう、これを緊急にやってもらわなくては困るということを私は言っておる。何も無理を言っておるとは私は思いませんよ。三カ月もほったらかしてほんとうに苦しめてきておるのですから、これはほんとうに火急にやってもらわなければ——一時間でも二時間でも早くやってもらわぬと困るのです。この点、何か今の答弁はまだるっこいと思う。あなた直接行ってやってもらいたいと思う。
  29. 小酒井義男

    小酒井義男君 今の問題に関連して。国鉄側では結局事情はおわかりになっておると思うのですが、今の協議会は、あの地点を通過することを反対をする、つまり反対同盟というものがそのまま残っておるのです。ですから、この中には、もうすでに用地買収問題の解決のついた者、何もかも一緒になって入っておる。そういう協議会があることがこの問題の解決がおくれてきた一つ原因じゃなかったかというふうに私見てきたのです。それでやはり、この地域の人たちが、町内会等で交渉に行っても、協議会があるのだから交渉相手はあれだ、こういうことで、相手にされなかったというふうなことを言っておりますから、それで、今大石さんがおっしゃっておりますように、現地に行って調整するということになると、おそらくその連中は、私らが引き続いてやるのだと言いますよ。そういう危険性があると私は思う。そういうことがあるから、これはやはりはっきりと、直接被害を受けた者の団体を相手にして話し合いをつけるのだ、こういう方針を確認をしてもらわぬと、また問題が現地に行かれたら起こると思う。その点を岡委員も心配して質問しておると思うのです。これははっきりしておかれたらどうなんです。
  30. 大石重成

    説明員大石重成君) この点につきまして、私もはっきりしたことを申し上げませんで、非常に申しわけないのでございますけれども、先ほど申し上げましたように、一つ対策協議会の中に、今度幸い補償協力会といったようなものができたというふうに承っておりますが、そうなりまして、これがはっきりいたしますと、私たちといたしましても、別の窓口と申しますか、そういう窓口とお話し合いができるということになると思っておりますが、今までは、一つ対策協議会のほうは、おれたちがやるから窓口一つにせいということで、川崎地区全体のお話し合いをしておったのでございますが、確かに、お話のように、用地買収から引き続き対策協議会がやっておりまして、そのときには、やはり、施工上の問題、その他被害の問題、完成してからの問題、いろいろな問題を含めてお話をしておりましたが、私たち今まで、弁解じみたことを申し上げますが、こちらのほうはおれのほうがまとめるから待てと言っておられますし、いやこちらのほうはおれのほうがやるから、こういうようなお話であったものですから、多少措置がおくれた。また、家屋にいたしましても、直接修理工事をやるということにいたしましたけれども、一部やりましたところが、ちょっと待てというようなお話もございましたものですから、少し話が遠回りをしてきたようなこともございますけれども、十七日に補償協力会というものがしっかりできたというお話を聞いておりますので、これがしっかりできますれば、私たちといたしましては、そことお話をいたしまして、あるいは現物補償でなくて金銭補償にしろとか、いろいろ具体的なお話が出て参ると思いますので、その点につきましては、誤解がないように繰り返し申し上げますけれども、あくまで国鉄が、そういう方とは直接責任を持ってお話をいたしたい、かように思っております。
  31. 相澤重明

    ○相澤重明君 今までのお話——実は神奈川新聞にでかでかと出たのですよ。この間、先週の当委員会のときに、岡君から質問があるだろうということを、この前もちょっと委員長に話したのですけれども、岡君と小酒井君と二人が現地調査に行った。そのことで、だいぶ地元の新聞では、一体国鉄は何をやっているのだという話が出ているのです。私は、今、大石常務の話を聞いておって、まことに遺憾だと思う。これは少し説明を要すると思うんですが、今の東海道新幹線、品川から綱島までぐらいは地下にしてくれという要求だった。これは、上を通るのではなくて、少なくとも隧道にして通してくれるんなら、反対はしない。しかし、それを、神奈川県知事なり、あるいは川崎市長なり、横浜市長なり、また関係の地主の協議会の人たちなり、いろんな者がずいぶん長い間かかって、前の幹線工事局長も、もうそれこそ頭を下げっぱなしでいって、やっとこれは了解がついたようで、それだけに、この工事をやるについて、契約をし、施工するについては、当然そういうことを考えて、慎重な配慮をしてやるのがあたりまえなんです。そんなことを、今ごろになってから、そういう文句を言われるというのは、一体何だ。これはもう幹線工事局の責任者がそういうものに対する配慮が足らなかったということを率直に出している。これはもう大石君にはっきり言ってもらいたいのですけれども、契約はどういう契約をしているのか、施工上の注意はどういう施工上の注意をしているのか、そういうことまで当委員会に出してもらわなければならぬということにまでなってしまう。私は、今までの二人の、現地調査に行った岡、小酒井委員の話を聞いてみると、全くもう今の清水組なんというものに工事をやらせる必要はない、そういう不届きな工事をやるものは即刻中止さすべきだ、それくらいのことがなくて、どうして新幹線工事というものが遂行できるのです。あれほど巨額な投資をして、しかも国民の皆さんに輸送力増強のためにこうなるんだということを訴えながら、反面にそういうようなことをやっていくという国鉄の首脳部の考え方自体が間違い。これは運輸大臣もそうですよ。運輸大臣も、あなたも、さっき岡君の答弁に、わかったようなわからないような答弁をしているけれども、そんなことじゃない。これは国策としてやるということになったんだから、それには国民の期待にこたえるようにやらなければいけないのだ。そんなものは理屈にならぬ。それを三年も四年もかかってようやく工事を始めることになって、その工事をやったばかりで、三カ月や四カ月のうちに百人も二百人もの被害者が要求決議をして出してくるなんて、またそれを今度は、補償要求委員会ができたから、その人たちを相手にしますなんて、そんなずさんなことをどうして今までやっているのです。私は、少なくとも運輸委員会でそういうことを何回もやっておったのだから、今さらそんなことを答弁をさせる必要もないというふうに考えておる。もっと新幹線というものはスピードを上げて目的に邁進をして、早くでき上がるということを国民は望んでいるんですよ。ところが、そういうような——逆じゃないか、新幹線なんかやめちゃえという意見が出てくるよ。そういうことになれば、むしろ、今国鉄の要求が予算で出されておっても、もっと通勤通学とか、あるいは幹線、あるいは支線に対する力を入れてくれという、この間の豪雪被害の結果論じゃないけれども、そういうような国民の声が強くなってくるというのは、やっぱりそういうところにある。そうじゃない。私どもはやはり、国鉄のこの動脈の輸送ということを考えて、新幹線というものはやらなければいけない、早く目的を達成しなければいけないということは、みんな意見一致しているんだ。いかにしてそれをうまくやって国民の皆さんの期待にこたえるかということだ。そういうことからいけば、私は先ほどからの答弁では了承できない。清水組の建設を直ちに中止させる、この契約上、施工国鉄清水組と取りかわした内容についてもし間違いがあったら仕事をやめさせる、仕事を今後やらせない、ほかの業者でもいくらでもできる、なぜそのくらいの考えを持たない。しかも、先ほどの答弁を聞いていると、これから局長と相談しまして、それからなお監督者もおるでしょうから、そういうことをよく話をする、そんなばかな話があるか。即刻自分で行け。自分で即刻行って、そういう悪いところがあったら直させるくらいの決意が国鉄になくてどうする。どうして新幹線のこの大工事ができるか。私が当委員会でもことしの当初申し上げたのは、今四・五キロぐらい残っている用地買収についても、すみやかに買収は終わって、そうしてこの新幹線工事というものが途中でやめるなんてことのないように、新幹線工事が必ず早くできるのだという答えを出すようにしなければいかぬと言っておった。まるっきりこれは逆じゃないですか。ですから、私は、岡委員小酒井委員も別に新幹線工事をやめろとは言ってないけれども、そういう言葉の裏を返せば、そのくらいの誠意がなくて、そのくらいの国鉄首脳部が一生懸命やる気がないのなら、そんなものやらなくたっていいということに通ずる。私はそう思う。大臣も、これは新幹線工事というものは、単に国鉄だけのものじゃないですよ。運輸省の所管とし、しかもこれは内閣としても、重大な輸送力増強に対する問題なんですよ。あなたの答弁でも、私はなまぬるいと思う。そんな工事をやらせるなら、おれも出かけていって、ひとつ見て、間違っていればやめさせる、かえるというぐらいの決意をもってやらせなければいかぬと思う。あなたの所信を聞きたい。これは大臣から聞いておく必要がある。いかがですか。
  32. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 仰せのごとくんば、非常に遺憾のきわみでございます。国鉄に厳重戒告をしてそういうことのないように、国民に新幹線の必要性をよく認識せしめますように努力いたしたいと思います。
  33. 相澤重明

    ○相澤重明君 大石常務、今度答弁してもらいたい。今大臣はそういうふうに、私の言ったことと同じ意見だと思う。新幹線については、何としても早くやって、国民の期待に沿いたいという答弁だ。だから、国鉄に対して監督の衝にある大臣としては、国鉄当局にそういうふうに話をする。今度あなたは、新幹線工事の最高の責任者だ。先ほどのようななまぬるい答弁ではだめだ。私は、きょう運輸委員会でこの新幹線のこういうような問題が出たら、あなたは午後にでも現地に行きなさい。行って現場を見て、なるほど岡議員や小酒井議員の言うとおり工事施行の上についてそんなにいけないことがあった、いけないなら直させるというくらいの熱意を披瀝してもらいたい。これから本社に帰ってから、関係の局長技師を呼んで、そうしてやはり、調査をするなら、清水組だなんて、そんな話があるか。あなたは国鉄責任者として、請け負わした請負の者が間違っている工事をやっておれば、当然与えたほうの責任者は、現地を見て、契約したことや施工上の注意に足りないという点があれば直すのがあたりまえじゃないですか、その責任があなたにあるんですよ。いかがですかそこは、あなたが答弁して下さい。
  34. 大石重成

    説明員大石重成君) ただいまの相澤先生からの御意見、私どもそのとおりだと思いますので、先ほど言葉が足りませんでしたが、きょうこの委員会済みまして、あるいは昼になりますか、夕方になりますかわかりませんが、現地東京幹線工事局長を伴いまして行ってみる心づもりでおったのでありますが、そこまで具体的に申し上げませんでしたので、おしかりをちょうだいいたしました。先生のおっしゃるとおり、私も今日できれば現地に行ってみたいと、かように存じておる次第でございます。
  35. 小酒井義男

    小酒井義男君 現地においでになったら、現在工事をやっていろいろ家屋などに影響を与えておるところ、これからやるところが、非常に人家の密接した地帯に工事をやる地点があるようです。そういうところは、ほとんどすれすれに国鉄用地でくいを打ってありますから、そこでやると風も日も当たらぬというようなことが若干できるのじゃないかと思います。そういうことも、出かけるのだったら、ひとつ視察をして、そういう問題についてはどうするのかということも御研究をしていただく必要があると思うのです。
  36. 大石重成

    説明員大石重成君) 小酒井先生のお説、ごもっともでございますので、できれば本日現地に行って参る考えであります。
  37. 岡三郎

    岡三郎君 ようやく、これだけみんなでどなりあげて、ここまできたというのは、まことに遺憾であって、そんなものをなぜ初めから大石さん言われなかったのかね。とにかく、何だかんだと言わなければどうも腰が動かないというこの実態が、いかぬと思う。大臣、聞いていてよくわかるでしょう。どれだけわれわれに多くの言葉を発言さしているか。全く大石さんたるものがもっと率直に初めから誠心誠意披瀝すれば、何ら——どなられたら今度もうすぐ行きます、おとなしくやっていれば行きません。行くんだか行かないんだかわからないようなそんなことだから、現地は承知しませんよ。もうちょっとあなたたちは誠意をもって物事を解決するという姿勢がなければ——それは、これから行って、また向こうで大騒ぎしたら聞く、おとなしく話したらああでもないこうでもない、その姿勢がだめですよ。わかりますか。それは今行くということになったのだから、これ以上言わぬけれども、とにかくあらかじめ自分でやはり工事をしていく場合においての配慮というか、私はやはり、国民に対して、国として施工してやるのだから、いろいろなことが起こる——起こることは、いろいろ検討して、そして十分これについてやはり配慮をしてやらないというと、ついもう必要以上な問題になってくると思う。その点についてはここでやめますが、ひとつ端的に言って、現地に行って帰って来たら、これに伴うところの措置を十分急速に検討して、この委員会にまた御報告願いたいと思います。これだけ申し上げてきょうは終わりますが、今の点よろしゅうございますか。
  38. 大石重成

    説明員大石重成君) 御趣旨よくわかりましたので、本日当委員会が終了いたしましたら、現地に参りまして、その結果を御報告申し上げます。
  39. 岡三郎

    岡三郎君 結果じゃなくて、早急に補償をどうするのかという具体的な案を出してもらいたい。
  40. 大石重成

    説明員大石重成君) 御趣旨はよくわかりました。
  41. 岡三郎

    岡三郎君 御趣旨はよくわかりましたじゃだめだよ。必ず急速に現地の意向を聞いて、向こうの意向もまるごとのめと言っておられるんじゃないんだから、解決しますと言ってくれ、意向わかったじゃだめだよ。
  42. 大石重成

    説明員大石重成君) これはもちろん、私たちがやらなければならないことでございますので、誠意をもって解決いたしますことを御報告申し上げます。
  43. 岡三郎

    岡三郎君 以上で終わります。
  44. 浅井亨

    ○浅井亨君 先日、北陸地方の雪害に対しまして、急遽公明会を代表いたしまして、現地に参っていろいろな部面を見て参りました。そのときもやはり、国鉄さんが先頭を切って現地を視察して、それに対する対策を一日も早く講じていくという気がまえがなかった。また、今お話を聞いておりますと、川崎にあった問題だと思いますが、そういう点につきましても、ほんとうに当局において先手先手を打って、真に国民のためにいかなる方策を立てていくかということについてあまりにもずさんでないか、誠意がないじゃないか、こういうお話でありましたが、もちろん、国鉄といたしますと、サービス機関でもありますし、やはりそこに積極性がなければならないと思うのでございます。しかし、今先輩の先生方がいろいろお話の上に、大臣も、またその当局者である大石新幹線の総局長さんも、御了解になられたそうで、まことに私も欣快にたえない次第でございますが、今後いかなる方策をお立てになるかは、なおかつ注視していかなければならないと思います。先日予算委員会におきまして、この点につきまして、大臣並びに国鉄のほうからの御答弁によりますと、やはり実地に当たって、それをわが身に受けた考え方をしていないためでございますだろうと思うんですが、どうもそのお答えが、私自身としては了解に苦しむ点があるのであります。そこにおきまして、今からしばらくの間時間を拝借いたしまして、そしてるるその点について明確な御返答を願いたいと、こういうふうに思うわけでございます。  まず第一番目に、先ほど申しましたように、国鉄というものはすべて国民のために引かれるものであり、またそのサービス機関である以上は、幹線並びに支線、いろいろなものを引かれていく上は、やはりそこに根拠があって、それを施工せられていくものであると思うのであります。また、駅の新設についても、同じような考え方の上に立った方法でなければならないと思いますが、私もまだ国政に関しましてそう簡単に申し述べるほどの力もありませんために、まず国鉄さんがそういうような施工並びにその運送等についていかなる根本理念をもっておやりになっておるんですか、それについて、一応はっきりした私の心がまえを持っていきたいために、お聞きいたしたいと思うのでございます。
  45. 小酒井義男

    小酒井義男君 速記とめて下さい。
  46. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  47. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 速記をつけて。     —————————————
  48. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 港湾整備促進法の一部を改正する法律案及び道路運送車両法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出、参議院先議)の両案を便宜一括議題として、提案理由の説明を聴取いたします。綾部運輸大臣
  49. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) ただいま議題となりました港潟整備促進法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして、御説明申し上げます。  輸入木材に対する港湾の施設といたしましては、通常の航路、防波堤、泊地等の施設のほか、木材を整理するための水面とこれを保管するための貯木場とが必要であります。そのうち、航路、防波堤、泊地及び整理場に関する施設の整備につきましては、公共事業として実施しておりますが、貯木場の整備につきましては、特別の制度がないため、増大する輸入木材の処理に追随し得ない状況にあります。  このため、港湾区域内に無秩序に木材が放置され、港湾機能の維持の面からも、また、災害防止の観点からも、無視し得ない現象が発生いたしております。  このような事態を解消し、港湾における木材の処理を円滑にし、港湾の整備を促進するためには、貯木場の整備に要する資金の調達を円滑にし、貯木場の整備を積極的に推進する必要があります。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますよう、お願い申し上げます。  ただたま議題となりました道路運送車両法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして、御説明申し上げます。  最近における自動車数の激増、自動車の性能及び種類の変化並びに自動車の高速化に伴い、政府といたしましては、自動車の安全性の確保と登録検査等の制度の合理化につきまして鋭意検討を続けているのでありますが、今回の本法改正は、自動車の保安確保のために、その整備の充実強化をはかることを主眼とし、あわせて諸制度の合理化及び簡素化をはかろうとするものであります。  以下改正の概要につき御説明いたします。  改正の第一点は、自動車の使用者に定期点検及び整備の義務を課したことであります。  およそ自動車を使用する者が、その自動車を常時整備された状態に保っておくべきことは、交通事故を防ぐための社会的責務であります。  したがって、自動車の使用者に対し、一定の期間ごとに点検をし、かつ整備を行なうことを義務づけまして、使用者みずからをしてそれぞれ自動車の保安確保に努めしめようとするものであります。  改正の第二点は、三輪以上の軽自動車の分解整備事業を認証制の対象に加えたことであります。  これは、三輪以上の軽自動車がその構造及び性能において小型自動車に接近しつつある現状にかんがみ、これが整備体制を確保するため、整備工場における整備能力の充実強化をはかろうとするものであります。  改正の第三点は、軽自動車を臨時検査の対象に加えたことであります。  軽自動車につきましては、従来各種の検査の対象とされていなかったのでありますが、最近の軽自動車の増加傾向にかんがみ、車両事故を未然に防止するため、軽自動車についても臨時検査を行ないうる道を開いたものであります。  改正の第四点は、自動車の種別として小型特殊自動車を軽自動車から区分したことであります。  これは、農耕作業用軽自動車及び特殊作業用軽自動車の使用の実態が一般の運送用の軽自動車と格段の相違があることにかんがみ、これを軽自動車の種別からはずして、新たに小型特殊自動車として一種別を設け、陸運局長への使用の届出を要しないこととしたものであります。  以上のほか、変更検査の要件の追加、整備管理者の選任義務の加重及び保安基準の項目の追加により車両保安の確保をはかるとともに、登録がえ手続の簡素化、自動車登録番号標交付代行者に対する監督規定の整備、自動車整備士技能検定試験の一部免除措置その他制度の合理化及び簡素化をはかるものであります。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますよう、お願い申し上げます。
  50. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 両案の質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  51. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 次に、前回に引き続き、船舶安全法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑を続行いたします。
  52. 相澤重明

    ○相澤重明君 この船舶安全法の一部を改正する法律案の内容を見ますというと、この「国際満載吃水線条約を履行するため」ということでありますが、朝鮮、樺太沿海区域ということだけでありますが、これは沿海の定義の問題があると思うんですね。いま一つは李ラインの問題にも関係をしてくると思うんですが、政府の考えておる沿海の定義を少し御説明をいただきたい。
  53. 藤野淳

    政府委員(藤野淳君) 現行法におきましては、沿海区域は省令できめられておるのでございまするが、船舶安全法施行規則に規定しております沿海区域と申しますと、本州、四国、九州及びその付属諸島のその海岸から二十海里以内、それから奄美群島各島から二十海里以内、小笠原群島父島及び母島から同様、沖繩群島各島から二十海里以内、樺太本島——北緯五十度線以北を除きまして、樺太本島から二十海里以内、朝鮮半島の海岸から二十海里以内、以上が現在の沿海区域の定義でございます。
  54. 相澤重明

    ○相澤重明君 今まあ日韓会談を進めているのでありますが、今の朝鮮半島の水域の問題ですが、これについては、そうすると、二十海里ということになると、李ラインの関係はどうなります。運輸省が考えておる李ラインの関係はどうなります。
  55. 藤野淳

    政府委員(藤野淳君) 李ラインは、二十海里以内の沿海区域をはるかにこえた区域を李ラインといわれておるように承知いたしております。
  56. 相澤重明

    ○相澤重明君 竹島問題はどういうふうに考える。李ラインは二十海里をはるかにこえておる。竹島はどういうふうに考える。これは運輸省、大事なことだ。
  57. 藤野淳

    政府委員(藤野淳君) 付属諸島に入っておると私は承知いたしております。本州、四国、九州及び付属諸島——この付属諸島に竹島も……。  ただいまの御質問に対しましては、なお外務省とも連絡いたしまして、正確なるお答えを申し上げたいと存じます。
  58. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは、少なくとも、この船舶安全法という法案を出すのは、わが国の船舶に対してもそうでありますが、この場合やはり国際条約に基づいてわが国もこういう方向へ行くということなんでありまして、国際航行の安全ということから考えていくと、きわめて重要な問題なんです。したがって、これは、今の船舶局長の御答弁のように、一体どっからどこまでが領域である、どこまでを区域とするのだ、こういうことについては、将来の問題が起きるから、やはり委員会としては十分この審議をしておかないと、何かこの運輸委員会が、こういう重要な問題を審議しないで過ぎてしまったと、こういうことであってはいかぬと思うので、今局長の言うように、これは大臣がやはり事国際航行安全についてのわが国の同意を求める問題であります。そういう面で日韓会談も進めておるようでありますけれども、きわめて重大なことであるから、はっきりしたことを後日私はお答えをいただきたいと思うのです。おそらく大臣としては答弁できると思うのだけれども、これはしかし、少なくとも実際に仕事をする運輸省の当局者が理解をしないと困る。前の楢橋大臣のときに、実は福岡、長崎等の漁民が、漁船をあやつって、そうして操業に行ったわけであります。ところが、韓国から拿捕されまして、ついに楢橋運輸大臣は、海上保安庁の船に乗って、そうして不当なことをやめよという文句で叫んだことは、私は覚えているのであります。当時新聞にも大きく載ったし、また政府もそのことをやったのであります。このときにも、一体、公海区域、あるいは沿海区域というか、航行区域といいますか、そういう問題について、やはりわが国の方針というものをいわゆる韓国に十分知ってもらわなければいかぬ。単に李承晩がきめたから李ラインということを言っておるけれども、これはやはりあくまでも正しいものではないと、こういう理解をわれわれは持っておるわけです。その正しいか正しくないかというところの中に、竹島の問題は一体どうなるのか、こういうことがあるので、やはり運輸大臣は、こういう船舶の管掌の大臣として、ぜひこの点については、今の沿海区域という点について、十分ひとつわれわれにも納得のできるような御説明を私はしてもらいたい、こう思うのです。もし大臣が、そういうふうにきちっと、きょうできたら図面を引いて、ここからここまでということで出してもらえれば、たいへんありがたいのですが、いかがでしょう。
  59. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 沿海の定義につきましては、先ほど船舶局長が御説明申し上げたとおり、私もさように承知しております。  それから、竹島の問題については、いろいろの説がございますが、歴史的事実、あるいはわれわれの領土感から申しまして、当然わが国の領土と私は確信いたしておりますが、その道の権威と申しますか、事外交に関することが非常に多うございますから、後日外務当局とも御相談して、相澤さんの御満足のいくお答えをいたしたいと思います。
  60. 相澤重明

    ○相澤重明君 それでは、今大臣局長も御答弁していただきましたので、この次は、いわゆる省令というだけでは、これはもう運輸省の考えだけでありますから、やっぱりわが国民がということにならないといけないわけですからね。そこで、今の航行区域の問題、定義の問題を含んで、できれば図面で書いて知らしてほしい。それを一つ出していただくことにしまして、その次の質問に入りたいと思う。  これは、御趣旨を見て参りますと、百五十トン以上の船舶で、国際航海に従事するもの、こういうことを今度の提案の第一にしておるわけであります。それでは、百五十トン以上ということと、百三十トンということと、どのくらいの差があるか。百トン、百三十トン、百五十トン——こういう百五十トンというトン数を一応の基準にしたこと。これは、いわゆる国際条約の中でもそういうことを言っているのでありますが、わが国の船腹の状況を見ると、必ずしも百五十トンというものは国際航海に基準として出さなければいけないかどうか、こういうものについて、国際条約の中で審議をした際の考え方、あるいはわが国の主張、そういうようなものがおわかりになったら御答弁いただきたい。
  61. 藤野淳

    政府委員(藤野淳君) 百五十トンは、従前から、海上人命安全条約、国際満載吃水線条約におきましては基準になっておりまして、百五十トン以上で国際航海に従事するものは云々というふうに規定せられておりまして、百五十トンを決定いたします際の論議につきましては、非常に古いことでございますので、私は現在記憶はいたしておりませんが、一九三〇年に国際満載吃水線条約が締結されました際に、百五十という基準がきめられた次第であります。
  62. 相澤重明

    ○相澤重明君 いや、一九三〇年の話をしているのではなくて、私は、一九六〇年に、国際条約として各国にこれを義務制にしてもらう、航行の安全をはかる、こういう各国の批准を求めようとするこの条約の審議の中で、当然、わが国の船舶の状況を考えた場合に、百五十トンということで規制をしてしまうというと、実は困る問題がありはしないかという点をおそれているわけなんです。ですから、百五十トンということは、確かに国際条約の中でそういうふうに定義づけられておりましょうが、その定義づけられたことが、一九六〇年に各国でこういうものをお互いに批准をしようじゃないか、よくしていこうじゃないか、こういうことを言われた際に、わが国としての主張はなかったのかと、こう聞いておるわけです。わが国の主張はなかったのかと。
  63. 藤野淳

    政府委員(藤野淳君) この船舶安全法の一部改正の一つの理由といたしましては、一九六〇年の海上人命安全条約の線に沿うということが一つございまするが、この百五十トン云々の問題につきましては、海上人命安全条約とは関係ないのでございまして、これは国際満載吃水線条約の線に合致させるということでございます。  何がゆえに一九三〇年の国際満載吃水線条約を現在云々しなければならぬかと申しますると、近海区域で国際航海と申しますると、対樺太航路、対朝鮮半島の航路がございます。戦後、平和条約によりまして朝鮮が独立いたしましたので、国際航海というのが、従来は満載吃水線を標示しないでも航行することを両方で黙示いたしておりましたが、これは法形式といたしましては不備でございますので、明確に安全法に規定することといたした次第であります。したがいまして、一九六〇年の条約の批准とは、一応関係がないという考えでございます。
  64. 相澤重明

    ○相澤重明君 答弁としては、私は決して、あなたが誤まった答弁をしているということは考えておりません。そのとおりだと思います。ただ、一九六〇年に、なぜこの人命尊重の、いわゆる航行安全について、各国に施設の整備を求めるか、こういう問題からすれば、百五十トンというこの第一の今の提案の趣旨からすれば、なるほど、国際満載吃水線の条約に基づくことでありますから、それについては確かに変わりはないが、第二に、今われわれが、一九六〇年の条約で求められている点からすれば、むしろ私は、この百五十トン以上というものよりは、この前後の問題が、最も航行については実は危険性が伴うのではないかということを思うわけなんです。  だから、そういう点で、次の第二項には、三百トンから五百トンという一つのトン数の中での提案をしておりますけれども、私は、第一の問題についても、なぜわが国の船腹を監督しておるところの運輸省の中で、そういう意見が出なかったのだろうか、こういう点実はちょっと疑問になったわけなんです。三十年も五十年もたってきて、まだ昔のままでいいということにはならぬのです。今日は一九六三年、三十二年たっておる。そういうことからいって、国際条約といえども、古いからそれはいいというわけじゃないんだ。だからそれは、国際条約を審議する際に、国際連合の中で、さきに一体そういう問題を議題にあげたときに、なぜいわゆるわが国の主張というものはなかったのか、こういうことを聞いているわけです。だから、あなたのお答えは間違っていません、一九三〇年の国際満載吃水線条約の定義、百五十トンというのは間違っていないというのです。だけれども、そうじゃなくて、今わが国は、第二項以下に批准を求められている施設を整備しなければならぬ、こういうときに、わが国の考え方というものはなかったのか。こういう点はどうですか、こうお尋ねしておるわけです。いかがですか。
  65. 藤野淳

    政府委員(藤野淳君) 国際人命安全条約の適用船舶は五百総トン以上でございまするが、六十年、条約が改正になりまして、無線電信の施設上にきましては、国際航海に従事するものは五百総トン以上から三百総トン以上に、小型のほうにまで施設が義務づけられたという点は、この安全法の改正に盛り込まれております。ただいま先生の御質問になります比較的小型の船舶につきまして、やはり安全性の向上につきまして、何らかの配慮を必要とすると思わないか、そういう点について、どういう見解を持っておるかという御質問じゃなかろうかと存じますが、この点につきましては、満載吃水線につきましては、従前から百五十総トン以上が、ただし国際航海に従事するものだけが強制船舶になっておりますが、私ども従前から、この点につきましては、条約の強制船舶とは無関係に、国内航海に従事いたしております百五十総トン以上あるいはそれ以下の船舶につきまして、満載吃水線に類似の何らか吃水を規制することが有効じゃなかろうかという世上論議もございますし、私どももその有効性につきましては考えております。ただし、小型船に吃水制限を法的に行ないますにつきましては、非常に問題が多うございまして、木船が非常に数が多いという問題と、それから海運界に及ぼす経済的な影響が非常に大きいという点から、この実施方法につきましては、なお慎重に検討中という実情でございます。ただいま、先生のおっしゃいました小型船についての安全性の向上につきまして、省令の段階におきまして、有効な措置をいろいろな点に盛り込みたい、かように考えておる次第でございます。
  66. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは、どうも私は納得できないんだ、まだ、そういう答弁では。これは大臣局長の今の答弁というのは、国際条約で百五十トンというのが一応きめられておるから、そのことだけでの話を今しているわけなんです。私の言うのは、航行安全ということからくれば、百五十トンのもの以上ということよりは、むしろ百五十トン以下でも非常に私は危険性というものが考えられるのじゃないか。したがって、その満載吃水線というものを標示することは、航行安全上はこれは大事なことじゃないか。私はむしろ、全部の船にやるべきだというぐらいの意見を持っているのですよ。そのくらいにしなければ、やはり、運輸省がこの航海に従事するものの航行の安全をほんとうにめんどうを見るということにはならぬのじゃないか。  今、局長は、船主の立場や、あるいは荷主の立場というものの考えから言っておるのでしょう。経済上という言葉で言っているのですが、その経済上なんというものは理由にならない。いいですか。一たんこの満載吃水線の標示がないからということによって、過当な積み荷等があり、あるいはいわゆるあらし等の問題のときにも、いろいろ、それはだれでも無理はしないのだけれども、そういうような思わざる事故が起きる場合がある。こういう点については、この満載吃水線というものを作っておれば、それだけ安全があるのですよ、それは。安全があるから、これを国際条約としてやらせようということなんですよ。ですから、そのことをやらないで、実はどのくらい多くの船主あるいは荷主がこの違背を国際航海の中でやっているかわからぬということで、この安全性というものを実は条約として出しておるわけです。そういうことからいけば、むしろ私は、国策としてそういう航行安全を保つ上にはやるべきだ。したがって、その経済性なんという理由で、単に荷主なり船主にそういういわゆる責任を持たせるというだけでは、私はこの問題は解決しないと思う。こういう点から、むしろ、運輸省が積極的に予算を取って、そうしてわが国の航海に従事する人たちの安全を保ってやる、このくらいの私は意気込みがなくちゃいけない、こう思うわけです。そういう意味で、実は、条約の審議の際にわが国の考え方を出さなかったのかと、こういうことを聞いておるわけです。  そういう意味で、単に、今の局長の経済性なんというような言葉を出されてしまうと、じゃ、運輸省は一体どこに予算をつけるのか、何のために予算というものは取っているのか、こういうことを私は言いたくなる。したがって、そういう点については、むしろ大臣のほうからお答えをいただくほうがいいのだけれども局長に、いま少し、そういう点について、今あなたの言うのは、省令で検討してと言うのだが、将来そういうものについて運輸省自体としての考え方を研究をされる考えなのか。検討というのは、何かその審議会でも持ってやるのか、あるいは大臣の下に学者層を集めてやるのか、とにかく、そういう専門家の知識等も参考にしながら運輸省としての方針というものを出していこうとする意欲があるのかどうか、前向きの姿勢で、意欲があるというなら私も了解しますが、単に経済性でもって、百五十トン以上は国際条約できめられておるからやっていきます、それ以下については、これは持っておる人にまかせるんです、ということでは、私は運輸省所管としての立場では、これは納得できない。こういうことで、ひとつ大臣なり、局長なり、それぞれから御答弁をいただきたい。
  67. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 私の承知しておる範囲内におきましては、百五十トン以下は、わが国においては国際場裏に出ておる船がないやに聞いております。まああるかもわかりませんが、御趣旨を体しまして、よく研究して、経済上その他の点をも考慮して、もし政令でそれを規定する必要ありとすれば、やることにやぶさかではありません。  また、百五十トン以下のことについて、国際会議で何か主張をしたかといいますが、それは何ら議題になっておらないので、わが国といたしましても、議題にならなかったというので主張いたしておりません。
  68. 藤野淳

    政府委員(藤野淳君) ただいま、百五十トン以下の船につきましてどういうふうに考えるかという御質問でございまするが、運輸大臣の諮問機関に、造船技術審議会というのがございまして、その下部機構に、船舶安全部会というのがございます。その船舶安全部会でこの問題は前向きの姿勢で十分対策を考えたいというふうに存じております。非常にむずかしい問題でございますが、決して経済問題だけにとらわれないで、安全性の向上につきましては、有効適切な措置を講じていきたい、かように存ずる次第でございます。
  69. 相澤重明

    ○相澤重明君 まあ、今の大臣の御答弁ですが、せっかくの御答弁をいただいたんですが、私も賛成しておきたいんだが、少し違うんです。私は、議題になっておるから、おらないからということでなくて、国際会議を持つ場合には、わが国としては積極的にやはり議題を出す、こういう考え方で進んでもらいたい。しかし、百五十トン未満について議題に上せるのがいいのか悪いのかということについては、これは各界の意見も聞かなければならぬでしょう。また、大臣のおっしゃるようなこともあると思いますので、船舶局長の言うように、十分ひとつ検討していただきたい。それで、少なくとも国会の答弁の中で、単に経済性というようなものだけで御答弁されると、私は航行の安全という問題の本質からいって了承できなくなってしまいますので、ぜひそういう点は、今後ひとつ前向きの姿勢でやっていただくようにお願いしたいと思う。  次に、第二点に入るわけでありますが、この一九六〇年の人命安全のための国際条約の批准を行なうことに伴って、今までの五百トン以上のものを総トン数三百トン以上の非旅客船でも、国際航海に従事するものに対しては無線通信または無線電話の施設を義務づける、これは、今まで施設を持っておったのは何隻ぐらいですか。
  70. 藤野淳

    政府委員(藤野淳君) ただいまの御質問は、五百トン以上で無線通信の施設を強制されておるものが何隻かという御質問でございますか。
  71. 相澤重明

    ○相澤重明君 今までのもの。
  72. 藤野淳

    政府委員(藤野淳君) 旅客船で二十隻、非旅客船——旅客船でないものでございます。非旅客船で九百四十一隻ということでございます。
  73. 相澤重明

    ○相澤重明君 それで、今度はトン数を三百トン以上にする。この場合に、通信士の資格の問題ですね。資格は通常一級通信士ということだと思うのです。これを、今回の法改正に伴って政府が考えておるのはどういうふうにお考えになっておるのか、資格の問題について、ひとつ御答弁いただきたい。
  74. 藤野淳

    政府委員(藤野淳君) 五百トンが三百トンに下げられた場合、それに乗り組む船舶通信士の資格はどういう資格かという御質問だと存じますが、この無線施設は、無線電信の場合、無線電話の場合、いずれでもいい規定になっておりますが、船舶職員法では乙種船舶通信士でよろしいということになっております。
  75. 相澤重明

    ○相澤重明君 それは国際法上の考えですね、そういうことですか。
  76. 藤野淳

    政府委員(藤野淳君) これは、船舶職員法上の問題でございまするが、国際法上も何ら支障のない、資格でございます。
  77. 相澤重明

    ○相澤重明君 国際法上、資格上差しつかえないという見解は、政府は、乙種の資格のものでもよろしいということは、いわゆる甲種のものは数があまり多くないということなのか、それとも、待遇がよくなければなかなか来ないということ、それこそ経済性の問題になるから、したがって、資格を乙種まで——いわゆる国際法上認められておるからということで、その乙種という考えに立つのか、この点は、どういう考えで政府はこの今回の法改正の中での資格問題をお考えになっておるのか。その点の御答弁をいただきたい。
  78. 藤野淳

    政府委員(藤野淳君) 乙種船舶通信士でよろしいと申しまするのは、必要な資格、最低限度の資格でございまして、甲種でも一向差しつかえないのでございまするが、しかし、その種の船舶に乗り組むものは、乙種船舶通信士の資格を有するもので十分であると考えるのでございます。この国際条約の関係は、電気通信条約の線に沿いまして、電波法で無線従事者の資格をきめておるわけでございまして、この点につきましては何ら支障はないわけでございます。
  79. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは大臣に伺いたいのですが、郵政省等関係省との調整はどうなっているのですか。これは今運輸省が提案するということでOKいうこととなんですか。この資格の問題については、関係省の意見が実は運輸省の考え方にあまり積極的に賛成しておらない、こう私は見ておる。また私はそういうように聞いておる。そこで、運輸大臣は、提案する以上は、政府の考えはまとまっているということだろうと思うのですが、どうもこの電波法との問題から、あるいは船舶職員法等の運輸省と他省との関係というものから条文を考えてくると、私は少し問題がありはしないかと思うのでが、積極的に各省はこれに賛成しましたか。
  80. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 本案提出につきましては、各省、すなわち関係省、主として郵政省その他と協定いたしまして、何ら問題がありませんです。
  81. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは、政府が少なくとも提案をするということだから、そういう大臣の答弁のようなことになろうと思うのですが、海員組合等は、実は相当問題にしているだろうと思うのです。やはり、乙種でもいいのだという考え方に立つこと自体が、だんだんいわゆる質の問題が議論をされてくるのじゃないか。したがって、今まで国際航行に際しては、少なくとも無線電信あるいは無線電話については、施設をすると同時に、二人以上を乗せなければならない。しかも一等通信士あるいはそういうたとえば甲種といいますか、そういう人たちを船員組合等ではこれは主張し続けてきたものです。それだけに、今回の法改正によって、むしろ従業員そのものの航行安全に対する定義といいますか、というものを、何か政府はかえって格下げをしたようなことになりはしないか。これは、なるほど国際法上では二等通信士の資格があればよろしいという御説明をいただいておるわけですけれども、私はやはり国際法上いいからということで満足するのじゃなくて、より質を向上さして、そうしていざというときに安全を保つということに国際条約を各国が批准をする大きな意義がある、こう思うのです。そういう意味で、いま少しこの点については検討をしてもらいたいと私は思うのですが、これはいずれ、いま少し私も関係者の意見を聞いてから質問したいと思う。きょうはこの点については保留です。これは大臣のせっかく答弁をいただいたけど、保留。どうですか、そういうことになりませんか。
  82. 藤野淳

    政府委員(藤野淳君) 法改正に伴いまして、無線通信施設を施設すべき船を五百トンから三百トンに下げることによりまして、新たに無線施設を実際に施設しなきゃならぬ船は二隻ということでございます。しかし、最近の調査によりますと、これもすでに施設をしておりますので、実際上は新たに施設しなきゃならぬ船舶はきわめてわずかじゃなかろうかというふうに私どもは考えておる次第でございます。したがいまして、この乙種船舶通信士の需給の問題につきましては、全然問題がないというふうに考えておる次第でございます。
  83. 岡三郎

    岡三郎君 まあ、無線電信または無線電話で、最近の傾向は無線電信から無線電話に移りつつある、こういうことで、通信士の需給状態が非常に問題だという話も聞いておるのですが、無線電信と無線電話の施設の数、どのぐらいの比率になっておりますか、現状において。
  84. 藤野淳

    政府委員(藤野淳君) お答えをいたします。旅客船につきましては、無線電信を持っておりますのは二十二隻でございまして、無線電話を持っておりますのが八十二隻でございます。それから非旅客船につきましては、無線電信を持っておりますのが千六百三十九隻、無線電話を持っておりますのが四十一隻でございます。
  85. 岡三郎

    岡三郎君 この傾向は、私が今言ったように、無線電話のほうへ移りつつあるという現状ですか、その推移はどんなようになっておりますか。
  86. 藤野淳

    政府委員(藤野淳君) 沿岸、あるいは沿岸に近いところを航海いたします小型船につきましては、無線電話を施設される傾向が非常に強く出て参ると存じます。これは、海岸局の整備が逐次進捗いたしますにつれて、その傾向が顕著になって参ると考えております。
  87. 岡三郎

    岡三郎君 聞くところによると、今言ったように、船舶職員法の問題が前からずっと問題になってきて、結局、乙種通信士の需給関係が非常にアンバランスになった。つまり失業状態が多くなるのですが、通信士の数を職員法で減らすことになっておりますね。そういう点で、これによって何ぼかはけるのじゃないかというように考えたいのだが、二隻でははけない。こうなってくるというと、一体こんな改正は大した問題じゃなくて、国際の話においてただちょっと格好つけただけだということになってくると、がっかりしたのですがね。根本的にいって、無線電話に移行するということになると、通信士は要らなくなるわけですか。どうなんです、この点。
  88. 藤野淳

    政府委員(藤野淳君) 条約、あるいは法で強制いたします船舶につきましては、資格のある通信士が必要なわけでございます。任意に電話を施設する向きにつきましては、通信士は強制されていないのでございます。
  89. 岡三郎

    岡三郎君 そうするというと、無線電話でも乙種の通信士は必要ということですか。
  90. 藤野淳

    政府委員(藤野淳君) 国際航海に従事いたしますものにつきましては、無線通信士が必要なわけでございます。
  91. 岡三郎

    岡三郎君 国際と国内とに分けて、もう一ぺん数を言って下さい。
  92. 藤野淳

    政府委員(藤野淳君) 旅客船につきましては、国際航海に従事しておりますもので、無線電話を施設しておるものは一つもございません。それから電信につきましては、十一隻が国際航海に従事しておる旅客船でございまして、無線電信を施設いたしております。それから非旅客船につきましては、国際航海に従事しておりますもので無線電信を施設しておりますのは六百八十七隻でございます。それから沿海の国際航海に従事しておりますもので無線電信を施設しておりますのは九隻でございます。以上でございます。
  93. 岡三郎

    岡三郎君 次に、検査の問題になるわけですが、五トン以上二十トン未満の船、これを随時の検査に変更する、この理由としては、船腹が非常に多くなってきておると、こういうことを言っておりますが、そうなんですか。
  94. 藤野淳

    政府委員(藤野淳君) 定期的な検査を随時検査に改めました理由は、船腹の増加も一つの理由でございまするが、平水区域という限られた海域で航海をいたしておりますものは、気象、海象という条件が、船の堪航性に及ぼす影響が比較的小さいということ、それから避難が容易にできるということ、それから自主的な船の整備点検が比較的容易にできる、それから随時検査の場合に、検査官が船に臨検いたしますのも比較的容易にできるということでございまして、これによって、船舶の安全性が害されないという見通しのもとに、このようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  95. 岡三郎

    岡三郎君 安全性が害せられないと局長が言ったって、どういうふうに害せられないかということになると、問題がある。というのは、こういう心配はないですか。結局、定期的にやるということになれば、いやおうなしに、とにかくそれだけの条件をそろえてやらなければならない。ところが、随時ということになると、随時というのは、適当という言葉に置きかえられる心配はないですか。
  96. 藤野淳

    政府委員(藤野淳君) 随時と申しましても、毎年やっておりますのを二年に一回、二年ごとにやっておりますのを三年に一回というふうな程度に随時実施いたしたい、かように考えております。
  97. 岡三郎

    岡三郎君 そうするというと、随時じゃなくして繰り延べですな。(笑声)それではやはり、こういう小さい船は割合にあぶないのですね。いろいろな問題が起こってくるときに、この小さな船がよく問題になると思う。これは、定員以上のオーバーな数を乗せて、ひっくり返っているという例もずいぶんありますがね。いずれにしても、この随時の検査に変更するということによって、何か時日を延ばしていくということになってくるというと、やはり安全性ということの建前上困るのではないかということで、やはり厳格に定期的にきちっきちっと検査していくということのほうがいいのじゃないか。ただ数が足りないからこういうふうにしたというふうに受け取れるのですがね、その点、どうなんです。職員の数の問題からこうなったのですか、船がふえたから……。
  98. 藤野淳

    政府委員(藤野淳君) 現在でも、ある種の船につきましては、二年に一回という検査を実際に行なっているわけでございます。今度行ないます随時検査は、検査の日を確定いたしませんで、二年に一回というふうなピッチでやりたいと思いますが、最近、その船体はもとより、機関につきましても、相当技術が進歩いたして参りまして、従前に比べますると、性能がよくなっているということをやはり注目しているわけでございまして、なおこの検査のやり方につきましては、毎年が二年に一回になりましても、従来とちっとも変わらない程度に、検査の内容を充実させたいと、かように存じておりまして、これによって安全が害せられないように、十分配慮したいと存じている次第でございます。
  99. 岡三郎

    岡三郎君 ちょっと速記をとめて下さい。
  100. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  101. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) では速記をつけて。
  102. 相澤重明

    ○相澤重明君 先ほどの第二項の御答弁は、これからつけるのは二隻だからとか、あるいはもうすでに一隻はついたからというようなことでは、これは法律の審議にならぬのですよ。法律というものはね、確かに対象の事案としての、今の、たとえばそういう数字的なものを出せというときには、なるのだけれども、法律的な問題については、やはり、そういう点の配慮というか、先ほど申し上げたように、郵政省関係なり、船舶職員法の関係なり、こういうものから私は考えてきて、これでいいかなという実は心配をしておったわけです。しかし、政府がそういうふうに各関係者の意見調整されて、そして提案をしてきたということであるから、私もほぼその程度だろうというととなんですよ。私は本質的にそれでいいと思っていない。格下げということが適当かどうかわかりませんが、できるだけやはり技術はよいものでいくというのが、私はやはりこの法律の趣旨の建前であろう、こう思うのです。これは、そういうことでまあ政府の答弁を了といたします。  第三の問題は、今岡委員からも質問があったときに御答弁がありましたが、これは少し政府の施策の後退である、あと下がりである、決して前向きの姿勢ではない。それはなぜかというと、検査制度の合理化という名前の中に、実は事前に、船を作る前に規格のいわゆる検査というものが十分行なわれておるから、まあ小さいものについてはそう心配がないのだと、こういう説明をされておるのです。しかも、それが今まで定期的に一年で行なわれておったものを、随時ということで二年に延ばし、二年のものは三年にする、こういうことは、私ども運輸委員会の今までの議案を取り扱った者の立場、あるいは事故が起きたときの経過等を考えてみて、決して前向きの姿勢ではない。速記録をごらんいただけばいいと思うのですが、私も、四年か五年前に、当委員会で旅客船の定員外の乗船によって、ついに転覆をして大きな事故を起こしたことを申し上げたことがあります。これはもう同僚の委員も御承知のはずなんです。こういうことは、これは五トンだからいい、十トンだからいい、十二トンだからいいということにはならぬ、こういうことを当委員会ではずいぶん議論をしたところです。花見のお客さんがよけい乗ったということで、あるいは花火見物のお客さん、こういうことで事故は毎年繰り返されておるわけです。それからいま一つは、この前の当委員会で、私は京浜運河のタンカーの火災のことも申し上げました。あるいは横浜港における通船、通船といいますと、本船から港までに対する旅客の輸送、荷物の運搬という問題について、特にやみ通船、これはもう国際港としては許すべからざることだと、こういうことで、やみ通船の取り締まりをやるべきではないか、こういうことも当委員会では何回も申し上げたことであります。そういうことはどこからくるかといえば、実は検査制度というものがなおざりにされておる、こういうところに、古い船を、しかも修繕を行なった程度によって行なっておるために事故というものが実はかなり起きておる。こういうことで、私は専門委員会だけに、そういう問題を幾つか当時申し上げたわけです。それはやはりもっと言葉を返して言えば、検査制度の強化ということになることなんですよ。検査制度を期間を延ばすことによって、それがよくなるということではないかと私は思う。そういうことからいって、私は、当委員会としての立場から言えば、第三項の点は実はこれは前向きの姿勢でなくて、あと向きの姿勢だ、後退である、こういうふうに言わざるを得ないのです。ですから、その趣旨から言えば、私たちの考えておることと反対の立場をとっていこうとするのが運輸省の考えであると思う。今ここでそのことを長々とやれば、先ほど申し上げましたように、時間が相当かかるわけでございます。私は今それを長く言おうと考えてもいない。それぐらいのことは、あなた方専門家の立場でわかるのだから。  それでは、そういう二十トン未満の汽船、船について規制をする問題について、一体船の寿命というものをどうお考えになっておるか。こういうことに対する答弁は今必要としませんが、時間がかかるので。そういうことについても、ひとつ運輸省としては検討してもらいたい。それで、でき得れば資料として——そういうものについて、これのあとに数などいろいろ出てはおりますけれども、こういう現在の木船の使用状況あるいは汽船の使用状況等おわかりでありますから、少なくとも五十年、六十年なんというのは、そうたくさんあるわけではないけれども、終戦直後に作られたものでも、もう十八年、二十年になろうとしているわけです。それが比較的早くいたんでおるわけです。こういうようなことからいって、私は船の年齢というようなこと、船齢といいますか、こういうものについても、やはり一応お考えいただくのがいいんじゃないか、こういう点を御検討いただき、でき得れば資料をちょうだいしたい。これは議事進行の意味で私は申し上げているわけです。  それから第四点は、ばら積穀類貨物、含水微粉鉱石、これは今までは運航規則で規制しておったものですが、この特殊貨物の運送に対して規制を行なおう、こういう提案をされておるわけですが、一体政府が提案されている趣旨はどこにあるのか。これだけでいいのか。いわゆる従来の運航規則で規制しておったもの、それをどういうふうに今お考えになって、これからやろうとしておるのか。この点について局長の答弁を聞きたい。
  103. 藤野淳

    政府委員(藤野淳君) 特殊貨物の運送を安全法で規制することになりましたのは、条約を受けてそれを取り入れたという面もございますが、移動いたします穀類貨物でありまするとか、あるいは含水微粉鉱石でありまするとか、このようなものは、従来のような状況では安全性を確保することが非常に困難でございますので、その中でも穀類貨物につきましては、積載計画図を出させまして、それを審査いたしまして、その計画が一定の基準に合致しておりますものにつきまして積載を許すというふうな措置をとりたい、かように存じておるわけでございます。
  104. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の局長の御答弁ですと、その積む物について計画図を出させる、それで、それが一定の条件に当てはまったものはいいけれども、そうでないものにはやらせないと、その規制という考え方がどういうのかわからぬので、いま一度答弁して下さい。
  105. 藤野淳

    政府委員(藤野淳君) 穀類貨物につきましては、その穀類をどういうふうに積みつけるか。たとえば一番底と申しますか、底にはどういうふうに積み、中高場にはどういうふうに積み、またその間仕切りはどういうふうにする、航海中に船の動揺によって穀類が移動する、その移動を防止する措置はどのようになっているか、といったような計画でございます。それを出させまして、航海中に、穀類が移動いたしまして、それが原因になって船が転覆したり、あるいは危険に頻することはないか、ということを確認して航海を許す、こういうことでございます。
  106. 相澤重明

    ○相澤重明君 それで、これは局長知っておるかどうか、ハッチ作業というものについてどういうふうに考えているか、今の荷物を積むのに、底から中段から上と、こうあるわけです。ところが、ハッチがあるわけです。実は、このハッチの扱い方によって人命がずいぶんなくなっておる。これは実は、四年ばかり前から私はいつも当委員会で言っている大きな問題なんですが、そういうものは、荷主あるいはこれを扱うところの全港振というものがあるが、知っておりますね、全港振。それから労働組合では荷役をする沖仲仕、こういう専門的な——私も横浜などにおってよくわかるわけですが、そういうことに対しては、何らかの規制がありますか。
  107. 藤野淳

    政府委員(藤野淳君) ただいまの御質問は、船舶の荷役施設について、荷役災害の防止について何らかの配慮あるいは規制が行なわれているかという御質問だと思います。これにつきましては、国際水準の規則を制定いたしまして、昨年の六月からこれを施行しておる次第でございます。ただ、在来船あるいは入港して参ります外国船を考慮いたしまして、一年の経過期間を設定いたしましたので、すべての船舶の荷役を全面的に防止する規制が実施されますのは、ことしの六月からということに相なっておる次第でございます。
  108. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは、今の穀類のバラ積みとか含水微粉鉱石とか、中に外国船のクレゾール液等を扱かった場合に、実は横浜港で問題を起こしたことがあるわけです。これは、外国の船が荷物を持ってくる場合、日本の船が積んで外国に行く場合、二通りあるのでありますから、確かにそういう場合に、いつも積み方について相当問題が出ているわけです。私はひとつの船内荷役の場合のハッチのことを質問した。人命安全の問題から御質問したのですが、こういういわゆる危険な品物を扱う場合に、実はこのバラ積みが一番むずかしいのですね。そういうことで常に全港振とか荷役の労働組合の中に紛争があるわけです。このことは十分ひとつ頭に置いていただきたいと思うのです。それで、これは第四項に提案をしておるのは、私はこの提案の趣旨に賛成です。賛成ですが、条約で押しつけたものではないわけですね、条約でこうするのじゃないですね。
  109. 藤野淳

    政府委員(藤野淳君) 穀類貨物の積載に対して積載計画図を要求しておりますのは、条約の線に沿っているわけでございます。
  110. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の条約の線に沿う勧告に基づいて行なう、こういうことですね。わかりました。それはそれでけっこうだと思うのです。そこで、本年六月で経過措置の一カ年がたつわけですから、そういうときに、私が特に今申し上げたような船内荷役の問題なり、あるいは航行安全について十分ひとつ配慮してもらいたい。ここに提案をしておるのは、そういう趣旨だと思うのです。そういうことでこの前も、この木船関係の法案のときにも大臣に申し上げましたが、これは単に法律というものは通ったからそれでいいということではなく、それを実施する場合に一体どうなるのか、こういうことが大事なことでありますから、荷主の人にも船主にも、あるいは荷役を行なう人たちにも、この趣旨を徹底して、いわゆる船舶安全法の趣旨が生かされるように、航行安全ができるようにしてもらいたい、これを私は特にお願いしておきたいと思います。こまかい点はたくさん実は質問すればあるのですが、先ほどの委員長理事の趣旨を体して、私は質問をこの程度にします。以上です。
  111. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 他に御発言もなければ、これにて質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 御異議ないと認めます。     —————————————
  113. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) この際、委員の異動について報告いたします。  本日付をもって前田佳都男君が辞任され、その補欠として三木與吉郎君が委員に選任されました。     —————————————
  114. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 次に、これより討論に入ります。御意見のあります方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もなければこれにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 御異議ないと認めます。これより採決に入ります。  船舶安全法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  116. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。  この際、綾部運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許可いたします。
  118. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 非常な熱心な御審議によりまして本委員会を通ったことに対して、所管大臣として厚くお礼を申し上げます。     —————————————
  119. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 次に、運輸事情等に関する調査を議題といたします。
  120. 小酒井義男

    小酒井義男君 前々回の委員会でもちょっと運輸大臣にお願いと御要望を申し上げておきましたし、また、閣議のほうでも、豪雪地域における運輸関係の事業に対して長期低利の融資をすることが必要だという発言もしていただいておるようでありますが、大臣のお考えになっている運輸関係の中でそういうことの必要な対象となりますものは、陸上と海上と両方ありますが、陸上といいましても、私鉄、バス、トラック等があるわけですが、範囲としてはそういうものを含めたものというふうにお考えになっているかどうか、それを承りたい。
  121. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) とりあえず被害のわかっているものを対象といたして、被害がわかり次第にトラックその他についても考えてみたい。
  122. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから、低利長期の融資が必要だというお考えのようですが、大体それはどのくらいの具体的な内容のものをお考えになっておりますか、期間及び利子の点です。
  123. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) まあ利子は、私鉄、バス等で借りている利子は、大体承知している範囲では九分ないし一割と思います。それを六分ぐらいにして、期間は一年据え置きの、長いほどいいのですが、あまり長いのもいかぬと思いまして、五年間に払い得る状態にするのがいいのではないかということで大蔵大臣とせっかく折衝いたしております。
  124. 小酒井義男

    小酒井義男君 大臣に申し上げるままでもないのですが、豪雪地帯の交通機関というものは、これは国鉄のように広範囲の中の一部がとまったというのといささか事情が違いまして、事業全体が埋没をして停止をしているということなんですから、そういう特殊事情をひとつ考えて対策を推し進めていただく必要があるというふうに思うわけですが、私鉄、バスだけじゃなしにトラックもやはり含まれる、そういうわけですね。
  125. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) ただいま対策本部に集まっております諸資料によりますというと、トラックのという具体的ななにがまだ出ておらないのです。それで順次まあ出てくるであろうと思いますので、それが出てきました場合においては、順次加えていきたいと思います。
  126. 小酒井義男

    小酒井義男君 数字がなかなかすぐ簡単には掌握できぬと思うのですけれども、今申し上げているように、企業の内部で掌握できるところはけっこうですけれども、それのできないところが相当それぞれの業態にあると思うのです。それはやはり事業の性質上もありますから、これが責任を持ったひとつ遂行ができるようなことは、やはり運輸省としてもひとつ十分お考えをしていただきたいと思っております。  そこで次に、補助という点が一つ問題になると思うのですが、これは具体的には、今のところ、鉄道軌道関係に問題が出てきますが、そういう点については、大体どういうことがそれらの問題になりそうかというような問題について御検討願っておると思うのです。それをひとつお尋ねいたしたい。
  127. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 補助の対象となりますものは、私のほうの施設の関係で申しますと、除雪の経費、それからあと、かりに施設に災害があったといたしますと、その災害復旧費、こういったものをどう補助するかという問題であろうかと存じます。  地方鉄道軌道整備法の第三条第一項第四号に、「洪水、地震その他の異常な天然現象により大規模の災害を受けた地方鉄道であって、すみやかに災害復旧事業を施行してその運輸を確保しなければ国民生活に著しい障害を生ずる虞のあるもの」、こういうことでございますので、この「異常な天然現象」にこの豪雪というものが該当するかどうかという法律の解釈でございますが、これは当然われわれは該当すると考えておりますが、ただ運用方針というものがございまして、これは省令でも政令でも何でもございませんが、いわば内規的なものでございまして、大蔵省といろいろ協議をしまして、運用方針というものをきめておりますが、それで、積雪は入れないということに一応申し合わせをいたしておるのでございます。そこで、そういう運用方針を改めれば法律上は別に差しつかえはないわけでございますから、可能でございます。それから、これにつきましては、もちろん今後あらためていろいろ折衝してみたいと思っております。それから「大規模の災害」、これが大規模な災害に該当するかどうかという問題が一つございます。これはつまり大蔵省との大体の打ち合わせでは、年間の営業収入の一割程度以上損害をこうむったというふうなものを大規模の災害、こういうことでございます。  それから第八条に、第四項でございますが、「政府は、地方鉄道の地方鉄道業者がその資力のみによっては当該災害復旧事業を施行することが著しく困難であると認めるときは、予算の範囲内で、当該災害復旧事業に要する費用の一部を補助することができる。」、こうございまして、いわば資力復旧はできない、こういうことが一つの要件になっておるわけでございますが、この「資力」という解釈でございますけれども、この「資力」は、現在会社が持っております手元資金だとか、あるいは預金であるとか、そういうことだけでなしに、社債発行あるいは増資あるいは市中銀行からの借り入れ、そういったことを全部含めましての能力をいうのだということでございまして、相当大きな施設でございますと資力信用がございますので、はたして政府が補助しなければその資力だけでできないかどうかということは、相当問題があろうと思います。こういう解釈の問題があります。  それからもう一つは、この補助の割合でございますけれども、これは、補助の割合は政令できまっておりまして、所要復旧費の二割、それから補助を受けますと、五年間は配当が制限される、こういうふうなことでございまして、はたしてこれで目的を達するかどうか、目下鋭意関係方面とも折衝いたしまして研究をいたしておるのでございます。  それから施設に災害を受けました場合は、これは当然今申し上げましたような要件にかなっておりますれば、この地方鉄道軌道整備法によりまして、補助を受けられるわけでございます。
  128. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうしますと、現地代表陳情に来たわけですが、私どもが見てもこれは無理だなと思うようなこともないことはないのです。ないですが、たとえば軌道部へ、ああいう豪雪ですから、それぞれの家から屋根の雪おろしをしてしまう。そうすると、道路というものがほとんど使用不可能になって、軌道の部分だけでいろいろな除雪その他に活動をするトラックその他が動くために、軌道が非常な損傷を受けておるという、こういう例が一つ載っておるのですが、私はこれなどは特に顕著な例として、国のほうでもそういうものの復旧には考えてやる必要があるのじゃないかというふうに思っておるのです。これは、今鉄監局長説明になりました中にそういうものが入りますか。
  129. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) この軌道の補修の責任の問題につきましては、ただいま仰せの豪雪による場合でなくて、かねてから軌道事業者の間では問題にしておったわけでございます。と申しますのは、その原因が何であれ、要するに軌道が専用でなくてほかの車が相当通るわけでございます。特に車両が最近は非常に大型化して参りまして、十トン・トラックであるとか相当大きなダンプカーが走っております。そういうときに軌道が非常にいたむわけでございます。軌道法上は、御承知のようにこの補修責任の所在は軌道事業者にあるということでございます。したがって、経費も当然支払わなければならぬ、こういうのはまことに不公平じゃないか、だから道路管理者もひとつその責任の一半を負担して経費を分担しろ、こういうことが非常に問題になっておったわけでございまして、運輸省といたしましても、いろいろ研究いたしまして、建設省とも話し合って参ったのでございますが、大まかに申し上げますと、事実上それぞれの軌道事業者が、地方公共団体である道路管理者とお話し合いになりまして、部分的には片づいておるところもあるのでございます。ですから、今回は豪雪ということで、たまたま軌道敷をまっ先に掃いて、そこへ車両がまっ先に通って軌道敷がいたむということでございますが、要するに、ほかの車両が線路敷の中に入ってきて損傷を与えるわけでございますから、今申し上げましたような事例と実質的には同じでございます。やはり道路管理者と積極的に話し合いをしてもらいたい、われわれ運輸省といたしましては、自治省あるいは建設省を通じましてその交渉を応援する、こういうことを申し上げておるのでございます。
  130. 小酒井義男

    小酒井義男君 普通の東京都内のようにこういう状態で自動車が走っておる場合と、ああいう突然予想外の豪雪のためにそういう事態が起こった場合と若干性格が違うと思うのですね。ですから、やはり一般問題とは違うという考え方で、何らかの方法を考えていく必要が私はあると思うのです。まあどのくらいの損害程度になっておるか、その点もわかっておりませんからあれですが、これからもあり得ることかもわかりませんから、そういう場合の救済方法をこの機会にひとつ樹立をしておいていただくことがいいのではないかと思うのです。せっかくひとつ御努力をしていただきたいと思います。  もう一つですが、税金の問題でどういうものが減税になる対象として今後考えられるか、これをひとつ、税の問題ですと自動車局のほうにも関係があると思うので、それぞれひとつ。
  131. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 国税と地方税につきまして減税を、租税を減免する措置をしなければいかぬじゃないかという考え方がございます。そこで、現在やっておる状態を申し上げますというと、本日までにやった状態を申しますと、法人税については、関係府県につき申告の猶予、徴収期限の延長等の措置を講じて、そうして、なお損害額は損金のほうに算入せられるようにいたしております。これ以外の特別の措置は、税法の改正が必要で、その改正に待つべきことがありますので、それについては研究中でありますが、地方税では事業税、住民税については、やはり申告の期限延長、徴収猶予の措置を法人税に準じて取り扱われております。また、固定資産税、事業税等については、いずれも税法上、地方公共団体の議会の議決により減免措置を講ぜられることになっておりますので、自治省に対し、減税の措置について、関係地方公共団体に対し手配方を強く要請し、また、関係陸運局長、当該地方公共団体の長に対しまして、以上の租税の減免措置が講ぜられるよう要請いたしております。  それから、そのほか法律を改正してやらなければならぬという税金については、鋭意雪害対策本部でも、予見し得なかった段階でございますので、何か税法、法律上必要なことはないかということを、雪害対策本部では大蔵省、自治省と協議をいたしております。
  132. 小酒井義男

    小酒井義男君 それで地方税の場合に、地方自治体の収入にそれぞれ穴があきますと、やはり自治省のほうから何かその分を見てやらなければならぬわけですが、そういう点について、政府部内で自治省との間に、何かそういうことを現地に指示されるというような段階にまで進んでおるのでございましょうか。
  133. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 現在の法律でやり得る措置につきましては、繰り上げ支給等をいたしておりますが、それは現実にやっております。しかし、ただいま申し上げましたように、税法の改正を待たなければ自治省としてもどうしてもできないということについては、今研究中でございます。
  134. 小酒井義男

    小酒井義男君 それで、現在の法律で行なうことによって、地方財源に穴があく、こういう問題が出てくると思うのです。そこで、やはり現地話し合いをせよと言っておいても、なかなか進まぬ場合が多いのですね。やはり自治省なら自治省からこういう問題については、あとで国がその点はみてやるというような通達でも出さぬと、実際に扱いが進まないのじゃないかという気がするのですが、そういう心配はないでしょうか。
  135. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) そういうことは、今までは私はまだ雪害対策本部にも自治大臣にも申しておりませんが、非常にひどいというのであれば、そういうことについて重ねて自治大臣また雪害対策本部に要求いたしたいと思います。
  136. 天坊裕彦

    ○天坊裕彦君 時間もだいぶなくなりましたので簡単にやりますが、今の小酒井さんの御質問に関連して、初めにひとつ私鉄以外の自動車関係のバス、トラック、ハイヤー、通運事業、こういうような運輸関係の事業があるわけですが、それに対しての今の大臣お話では、いまだに全然雪害の実態もよくわかっていない、こういう御答弁だったのですが、これは正確には、あるいは的確には委員会で把握できていないということはわかりますが、大よその損害というものは報告が来ているのではないかと考えますし、同時に、大臣お話では、損害を聞いてから考えるというお話なんですけれども、やはり一応はその他の諸産業についても、いろいろ救済策が講ぜられておるときですから、当然そういう自動車関係の事業にも救済の措置を講ずるという建前で、実態を調査しているというふうに解釈しているのですが、そういうふうに考えていいですか。また同時に、自動車関係の問題について何ら報告が出ていないのかどうかということを、もう一ぺんお伺いしたいと思います。
  137. 木村睦男

    政府委員(木村睦男君) 自動車関係の今回の雪害によります被害調査でございますが、まだ十分には資料が集まっておりませんが、新潟・北陸地区、山陰・中国地区、それから京都付近、それから東北というふうに地域を分けまして、バス事業、それからハイヤー、タクシー事業、トラック事業、通運事業、それぞれにつきまして、雪害による事業救済のために、得べかりし利益の減収額、それから除雪費に要した金、あるいは車が雪で埋もれる等、物的損害の額は、一応はごく最近各陸運局から報告をとったのでございますが、合計を申し上げますというと、減収額が、これは今の地域各業種合計いたしましておおむね二十二億程度の減収になっています。もちろん減収につきましては、こういう毎年雪の降ります地域は、必ず減収があるわけでございますので、この二十二億という減収は、今回の雪害のために直接起きた減収全部というふうに見ることはどうかと思います。この中で、平年度の雪害による減収を差し引いたものが今年の雪害による減収だと、こういうふうに見るわけでございまして、平年度の減収が、これらの地域においてどの程度かということにつきましては、今詳細に調べておりますが、それが出ますと、今回の雪害による減収がどの程度であるかということが間もなくはっきりすると思います。  それから除雪に要しました費用は、この各地方でおおむね三億程度でございます。それから車両の損害等、物的損害の額もおおむね三億程度、この程度の実害の資料は出ておりますが、なお、これらの物的損害等の内容につきましては、目下詳細な資料を取り寄せておりますので、今回は概況だけ被害額について御報告を申し上げます。
  138. 天坊裕彦

    ○天坊裕彦君 今のお話被害額の概算はわかったのですが、これらは、先ほどのお話のように、企業全体がみな被害をこうむっているという性格のもので、しかも、中小企業が多いわけです。これは一般に中小企業に対するいろいろの今度の雪害に対する補助、あるいは救済策というものと一緒に足並みをそろえて、このワクの中に入れてもらえるものと考えるわけです。特に交通が途絶したということは、いろいろの問題に対して障害を激しくしており、早く復旧しなければいかぬということで努力していただいたわけですが、そういう意味からいっても特別に考えていただけるものと考えてよろしゅうございますか。
  139. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 大体私は対策本部の方針をまだ聞いておりませんが、私といたしましては、そうすべきだと考えております。
  140. 天坊裕彦

    ○天坊裕彦君 これはもう大臣、そういう立場で早く概算でも持って対策本部にも、こういう損害もあるのだということをはっきり意思表示していただきたい。そういう救済のワクの中で講じていただくようにしてもらいたいと思うわけです。したがって、同時に、私鉄等に考えられるような、先ほど小酒井さんからもお話がありましたが、除雪その他に対する問題も、あるいは減収額に対する問題も別々に、あるいは物的損害に対する問題に対しても、それぞれできるだけの救済策は考えていただきたいと思うわけです。大臣お話、この前からもできるだけ長期、低利の資金の融通だけは考えてやる、その他の問題は研究すると、こういうことになっているわけですが、一方災害全体の問題として激甚災害法を適用しようじやないかというような話もあるように伺っているわけです。この問題はどうなるか知りませんが、この激甚災害法が適用されても、これはどうも運輸関係の事業にそれが適用されるかどうか、法律の内容では、どうも適用がないように考えるわけなんですが、そういう場合には、これはもうぜひともひとつ、今度の豪雪というものは特別な事情だということで、先ほど鉄監局長からは、整備法によって救済する方法もあるというようなお話もございましたけれども、その案では、今のお話でどうもいろいろ弊害というか、解釈上の議論もまだ残っているし、あるいはまた、適用して補助金を出してやっても、配当の制限を、五年間は影響を受けるとかというようなことで、救済が救済になるかどうかという点も考えるとすれば、何らか別個の立法措置というようなことも考えるべきじゃないか、こう思うわけですが、その点に対して大臣はどうお考えになるのか、御所見を伺いたいと思います。
  141. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 私がさっき申しましたように、現行の法律といたしましては、救済し得る限度が非常に微々たるもので、はたしてそれが救済になるやいなや、疑問があります。そこで、私は、何か別途の、他の立法を特に今回の豪雪に限ってやるようなふうに、雪害対策本部と話し合ってやるように努力いたしたいと考えております。
  142. 天坊裕彦

    ○天坊裕彦君 これでおしまいですが、今の大臣お話から、努力をしたいというお話、非常に期待をいたしておるわけであります。特にいろいろこまかい部分、除雪に対してはどうするか、減収に対しては特別な運賃をどうするかというような問題等もありますが、あるいはまた、地方の税金の問題にからんで、特別交付金が出たような場合には、これらの関係業者のほうにも行き渡るように十分御配慮願いたい、ひとつ、できるだけの措置を遺憾なくとってもらいたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  143. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 他に御発言もなければ、本日はこの程度にいたしまして、これをもって散会いたします。  次回は、公報をもってお知らせいたします。    午後一時三十二分散会