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1963-03-08 第43回国会 参議院 オリンピック準備促進特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月八日(金曜日)    午後一時十九分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加賀山之雄君    理事      河野 謙三君            岡田 宗司君    委員      石井  桂君            小柳 牧衞君            天坊 裕彦君            山本 利壽君            柴谷  要君            田中  一君            藤田  進君            永末 英一君   政府委員    大蔵政務次官  池田 清志君    大蔵大臣官房日    本専売公社監理    官       片桐 良雄君    文部省体育局長 前田 充明君    農林省畜産局長 村田 豊三君    建設省営繕局長 建部 仁彦君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   説明員    日本専売公社総    裁       阪田 泰二君   参考人    オリンピック東    京大会組織委員    会副会長    竹田 恒徳君    オリンピック東    京大会組織委員    会事務総長   与謝野 秀君    オリンピック東    京大会組織委員    会事務次長   村井  順君    オリンピック東    京大会組織委員    会事務局施設部    長代理     岡部十三郎君    東京オリンピッ    ク資金財団理事    長       靱   勉君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○オリンピック東京大会準備促進に関  する調査競技施設整備等に関す  る件) ○オリンピック東京大会準備等に必  要な資金に充てるための寄附金付き  製造たばこの販売に関する法律  案(内閣提出)     —————————————
  2. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) ただいまよりオリンピック準備促進特別委員会を開会いたします。  まず、オリンピック東京大会準備促進に関する調査議題にいたします。競技施設整備等に関する件その他につきまして、質疑の通告がございます。これを許します。
  3. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは、この前の委員会のときに、私他の委員会に出て欠席したものですから、お伺いできなかったのですが、インドネシア脱退の問題であります。この問題に関連して少しお伺いしたいと思います。与謝野さんはあちらに行っておられたので、あの理事会のときの状況をよく御存じだと思いますので、その点についてお伺いしたいのですが、あの理事会はフル・メンバーで開かれたのですか。
  4. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) あの理事会秘密会でございまして、私どもは列席を許されなかったわけでございますが、現に日本側実行委員である東委員欠席されておるような次第でございまして、結局フル・メンバーではなかったわけであります。
  5. 岡田宗司

    岡田宗司君 あれは八人でしたか、メンバーは。
  6. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) 私は七人と記憶しておりましたが、八人であったかもしれません。
  7. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうですか。おそらく私の記憶では、アジアからインドソンディ氏とそれから東氏とが出ることになっておった。そういうふうに聞いておった。それで東氏が欠席したということは、私はあの決定にかなり重大な影響を与えたのだろうと思います。御承知のように東氏はあの委員会に出なければならぬはずだ。東京オリンピックインドネシアがどうなるかという問題があるときに、なぜ日本側理事欠席したかということなんです。これは私重大な問題だと思うのです。で、ソンディ氏が御承知のようにインドネシアのあの大会のときに、たいへんインドネシア側から責められまして、いろいろデモをくらったりした。それですから、おそらく感情上からいっても、インドネシアに対していい感じを持っていなかったし、そうしておそらくインドネシア態度に対してきつい態度をとったと思うのです。秘密理事会にあなたは出られなかったにしても、外からうかがうところでは、それがやはり相当影響を与えたのじゃないかと思うのです。しかし、もし日本理事、つまり今度の東京オリンピック理事が出ておりまして、インドネシアが欠けてはならないのだと、何とかしてこれを取りなしたいというような気持で出ておったとすれば、あるいは違った結果が生まれているかもしれぬのです。なぜああいう重大な会議日本委員欠席したのか。これは重大な問題だと思う。それは、東氏の個人的な理由欠席したとしたら、東氏がIOC理事として無責任だと言われる。もしあなた方があのインドネシアの問題が議題になるだろうということを大体察知しておって東氏の欠席を許したと、あるいは行かなくてもいいのだという態度で臨んだとすれば、これはあなた方の責任も重大だと思う。この点はいかがですか。
  8. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) 実は私からお答えするのはいささかおかしいかとも思われるのでありまするが、御承知のように、IOCメンバー日本側から高石、東両氏委員になっておられます。また実行委員に東氏が選ばれておりますが、これも日本代表という意味委員メンバーになっておられるのではない。もちろん日本人でありますが、IOCのほうでその個人として選ばれておる方なんでありまして、今回の理事会が開かれる招集状を見ましても、今回は、各国際競技団体との懇談会において、政治スポーツという問題が討議されるという議題通告はあったのでありますが、理事会のほうの議題に何が出るかということは、われわれいわばIOC部外者から見てもわからなかったのでありますから、東さんのところにもそういう通知はなかったわけであります、いかなる議題であるか。したがって、東さんがどういう理由で御欠席になったかということは、私どもは本来は承知しておらないのでありますが、私が伺ったところでは、都合の悪いもの、ないしは体のちょっと調子の悪いものは必ずしも出席しなくてもいいような実行委員会というふうに私は了解しておりました。またインドネシアの問題が討議されるかどうかということ、今度はわれわれ組織委員会その他の関係者が事を甘く見ていたんではないかという御質問がございましたが、これは実は私は割合慎重と申しますか、憶病と申しましょうか、こういう問題も必ず起きるんではないかということは、かねて思っていたのでありますが、従来の経緯から言いまして、特に目下ジャカルタの問題はアジア競技連盟調査団を作って、調査報告を待っているところなんであります。したがって、その調査報告が出ないうちにIOCがこの問題を取り上げることはなかろうという意見もあったのでありますが、あるいは何か起こりはしないかと。ところで、私が東委員から個人的に出発前に伺ったところでは、インドソンディ氏がジャカルタ問題について、自分が受けた待遇を中心とした事件のレポートを作って、理事会に出されるための素案のようなものを送ってきておられたのじゃないかと思います。それはもう出発の直前でございました。したがいまして、先ほどお話のあったソンディ氏の意見が非常に強かったのではないかということは、もう当然、そのレポートを見ますと、いかなる非礼をIOC委員に対して加えたかということが、そのレポートの主題となっているわけでありまして、そのレポートが出ました以上、IOCとしては、こういう失礼なことをやる国に対しては頂門の一針を加えるというような態度に出たのじゃないかと思いますので、インド態度というよりも、インドソンディ氏のやはり態度なり、主張なりが相当強く働いたような印象を私はあとで、いろんな人と接触した面では受けたのであります。しかしながら、これもインドインドネシアという問題ではなく、ソンディ個人インドネシアという問題であり、先ほどの東さんの問題も、東個人IOC実行委員会の問題と、こう私は了解をいたしているのであります。
  9. 岡田宗司

    岡田宗司君 それは東さんはIOCメンバーである、いわゆる日本代表ではない。したがって東個人の問題である、こういうふうに言われておりますけれども、しかし、東氏は東京オリンピック主催地の人で、そしてその問題はインドネシアがあのような状態から東京オリンピックにこれを参加さすか、させないかということが問題になるであろうということが、あなたにも予想されたし、われわれにもその問題が出るであろうということは予想されていた。そうすると、その同じIOC理事でも、東さんが東京オリンピック関係のある人だということで、かなりこの問題は他の委員とは違った何と言いますか、状態においてあったことだと思うのです。ソンディ氏の意見が強く他を動かしたとすれば、開催地の出身の東委員意見というものも相当これは私は重んぜられるべき筋合いのものだと思うのですよ。その人が欠席をしたということは、これは私があの決定にあたって日本側として、日本側と言っては悪いかもしれませんが、東氏としてはなはだ無責任であったと思うのです。もしその問題が出ないであろうなんて思っていたら、私はこれほどひどい誤りはないと思う。それは、そういうことはあの理事会でもって問題になるだろうということは、前々から予想もされていましたし、さらにまた今のお話では、ソンディ氏からその問題に対する何か書類が来ておったとすれば、これが当然取り上げられるだろうということは明瞭なわけなのです。なぜ一体、東氏が私はこの重大なIOC理事会に出なかったかということ、これは非帯なミスじゃないかと思う。その東氏が何ゆえに出なかったのかということについて、あなたお聞きになりましたですか。
  10. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) いや、私は東さんが御出席にならなかった理由を伺ったこともないし、また東さんが私に御説明になる立場にもなく、私は組織委員会の仕事をいたしておりますが、日本国内オリンピック委員会メンバー籍も持っておらない次第であります。しかし、ただいまの岡田委員お話を伺っておりますと、東委員出席したならば、かくかくの意見を述べたであろうということを、もうすでに大前提としてお話になっているようでありますが、IOCメンバーがその委員会においていかなる意見を述べたであろうかということも、私としては言えないのでありまして、したがって、欠席したことがミスであったかプラスであったかというようなことも、ちょっと、これは私の口からは申せないことであると、御了承願いたいと思います。
  11. 岡田宗司

    岡田宗司君 いや、それはあなたの立場からは言えないでしょう、それは私もよくわかります。けれども、これはインドネシア東京大会に加わるか加わらないかという問題についての決定——、決定というか、何か理事会としての意見が出されるだろうということは、想像されていたわけですね。そうしてその際に、ソンディ氏からそういうふうな書類なり何なりが各方面に回されていたとすれば、これはもう確かにそれが出るだろうということははっきりしていたと見ていいと思うのです。その際に、東京オリンピックをやるそこの国のIOC委員が出ていない、これに何も意見を述べないということは、これは私はどうもふに落ちないのです。で、東さんが、あるいは出てあなたの言われるように黙っておって、何も言わないかもしれません。そういうこともあり得るわけです。しかし言うかもしれないわけで、私どもとすれば、やはり東京オリンピックには世界中のすべての国が、政治問題いかんにかかわらず参加してもらいたい、こういう気持でおる。そうしてそのために私はインドネシアの問題が起こりましたあとで、この委員会でもって、ひとつ何とかインドネシアの加われるように、日本側としても何か案を持って臨んでもらいたいという意味のことは申し上げたつもりです。そういたしますと、東さんはIOC委員としてはもちろん、東京オリンピック開催地責任者として、まことに怠慢であった、こう言わざるを得ないと思います。病気であったとは思えないのです。と申しますのは、あのころは東さんは健康で東京都知事の選挙がこの四月にありますので、盛んに活動されておりました。だから病気などとは申せないと思うのです。つまり東京オリンピック主催地責任者が、東京オリンピックが完全に行われるか、それともそういうインドネシアが参加で主なくなるような事態によって、非常におかしな格好になるかという問題について、東さん自身が出ていくのが私当然だろうと思う。それを出ないとすれば、こんなべらぼうな話はないと思う。それはまああなたが、あなたの意思でもって、東さんが出なかったことに対して、どうのこうの言えないということはわかっております。しかし、私どもにしてみれば、IOC委員としての東さんは、職責大いに欠けるところがあったと言わざるを得ないと思います。で、委員長、この問題について、この次の委員会に東さんをぜひ呼んでいただきたいと思います。
  12. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) ただいまの岡田委員の御提案に対しては、理事会で相談をしました上でいたします。
  13. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) 一言蛇足でありますが、付け加えさせていただきます。インドネシアの問題が今度の理事会で上程されるということが明瞭であった、今になってはそういうことも言えるかと思うのでありますが、その当時においては、私の知っておる限り、今回はそれは問題にしないで、ナイロビの総会までに各国報告が出そろって、そこできまるのだということが一般の観測であったのであります。私も万一出るのじゃなかろうかというような危惧の念を抱いておったという程度でありまして、もちろん東さん自身も出ることがわかっていて、欠席なすったというようなことはなかったと私は承知しておるのであります。一言つけ加えます。
  14. 岡田宗司

    岡田宗司君 あなたが東さんを弁護されるのは、これはあなたの御自由ですけれども、しかし、私おかしいと思うのですよ。なるほど、何というのですか、あの理事会の日程には、そのことがしるされないにしても、あのときの空気ですね。とにかくインドネシアのあの問題が起こってからの空気で、しかもソンディ氏が出れば、何かこの問題が取り上げられるだろうということは、だれだって予想しておると、私どもも予想しておった。それから今のお話では、ソンディ氏からそれについて何か書類が回されたというならば、よけいその問題が問題になるだろうということはだれだって推測できると思うのですよ。ただそういう問題は出なかったと思うじゃ私は納得できない。でも、あなたはそういう問題が出るのじゃないかと思われた。東さんが、それは出そうもないのだから欠席して大丈夫だということで欠席されたとしたならば、これは東さんの大へんな誤りであり、また同時に非常に責任のない態度だと言わざるを得ない。私はその点について、あなたを責めてもしようがありませんけれども、しかし、東さんは一ぺん呼んでこの問題は明かにしなければならないと思います。  それからもう一つは、そういうようなIOC理事会というものがあって、これはやはり東京オリンピックの問題には重大な関係があるわけなんです。その委員会日本側から出る委員と何らの打ち合わせもない。意思疎通もないということになったとしたならば、それは東さんが悪いのか、あなた方が悪いのかもしれませんけれども、あるいは組織上の欠陥があって、そういう意思疎通ができないのかわかりませんけれども、これまた日本東京オリンピックを進めていく上に、やはり非常な欠陥じゃないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  15. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) 事前に私は東さんから従来の経緯等についていろいろお話を伺うこともできたのであります。また東さんはブランデージ会長その他に手紙を書かれて、与謝野というものが行く、今度組織委員会事務総長になっているが、この機会にもし理事会出席できる場合には出席さしてやってくれということも書いていただいたのでありますが、これが秘密会で、実行委員ないしはその代理IOCメンバーというものが許されただけでと私は列席できなかったのでありまして、東さんも決して組織委員会のほうと連絡がなかったということではないのでありますが、ただ何分にもその理事会議題にこの問題が入っておらなくて、翌日一般の討議で、国際団体政治スポーツという題で討議するということになっていたというのが事実でございます。まあ私としてはこれだけにとどめておきます。
  16. 岡田宗司

    岡田宗司君 今の与謝野さんのお話を聞いておりますると、東さんはブランデージ会長に何か手紙をやった、しかしそれは与謝野さんを紹介しただけの手紙のようです。それ以上のものではないように思われるのですが。
  17. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) 自分は今回の会に出られないがということを通告されたのであります。
  18. 岡田宗司

    岡田宗司君 それがブランデージ会長通告されたことについて、あなたは内容を御存じになっているわけなんだ。とすると、東さんがなぜ欠席されたということも、あなた御承知ではなかったのですか。
  19. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) 私は東さんから直接何も聞いていないのですが、欠席理由については、ただ私が出席しなくてもいいものかどうか、いろいろIOCの過去の委員会に御出席になった人たちに聞きましたところ、これは大体において都合のいい人だけが集まるので、全員が出るなんということはほとんどない会合だというようなことを伺っておりました。
  20. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、日本IOC委員である東さんという人は、インドネシア東京オリンピックに参加できるかできないかという問題について、あまり関心がなくて、この問題はどうでもいいんだというふうに考えていたように私どもには受け取れるのですが、これはまああなたはそうお考えにならぬかもしれませんけれども、私にはどうもそういうふうな、たいへん無責任か、あるいは見通しがないか、いずれにせよ東京オリンピック責任者の一人としてたいへんどうも欠けるところがあったように思われるのです。この問題についてはあなたにお聞きしても真相はわかりません。なぜ欠席したかということ等については、いずれ東さんをお呼びして伺いたいと思っております。  それからもう一つ。次にこのアラブ連盟事務総長ですか、その人が、インドネシア除名といいますか、ああいう発表がありましてから、アラブ諸国は参加しないのだ、こういうことを発表しております。これはまあ非常にわれわれを驚かした、とにかく国の数が多いのでございます。やはりアラブというふうな、世界でも大きな今グループになっておりますが、これらの国々グループがこぞって参加しない、そうしてまあインドネシアスカルノ大統領の言うような、別にアジアだのアラブだの、それから共産圏の国だのなんかで、別に国際競技組織するということになって、それにアラブ連盟に属する諸国が入るということになれば、これは分裂の始まりだと思う。これは重大な問題なんです。その点について、あとアラブ連合のほうはあれに拘束されないで参加するというようなことも新聞に伝えられておりますが、あのアラブ連盟事務総長発言と、それからその後のアラブ諸国オリンピック委員会東京オリンピックに対する態度等々について、あなたのほうで何か情報を得られておりますならばお聞かせ願いたいと思います。
  21. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) 先月の七日に、インドネシア条件付と申しますか、IOCから資格を停止するという決定がなされたときに、やはりこれにもし連鎖反応が起こるとすれば、アラブのこの諸国だということは大体皆さんも予想できたことだろうと思います。これは詳しい現地の事情を、昨年私はジャカルタに行っておりませんから存じませんが、やはりイスラエルというものをインドネシアが除外したことが非常に後日の大きな原因になっているわけでありますが、それはつまりイスラエルインドネシアが特に仲が悪いという以上に、ほとんどのアラブ諸国敵対関係にあるわけであります。したがいまして、その問題でインドネシアが苦境に立てば、アラブ諸国としても見殺しにはできないというような考え方はあったわけであります。先ほどアラブ連盟のほうの事務総長というお話でしたが、あのときの新聞記事では、事務総長ハスーナ博士という前の外務大臣で、私もよく存じ上げておりますが、その名前でない事務局次長ぐらいの名前だったと思いますが、これが連盟に加盟している各国に共同の歩調をとろうということで呼びかけたということで、そこで私どもの得ている情報では、この情報は、たとえばアラブ連合のようにアラブ諸国の中で一番通信機関等も発達している国でも、国内ニュースでは出ておらないということであったのでありまして、今度はアラブ連合オリンピック委員会の人の発言で、自分たち東京大会をボイコットするなんということは聞いておらんし、出るつもりだ、こういうことがありましたので、まだ政治問題として提起されているのかもしれないけれどもオリンピック委員会のほうにそういう話はないんじゃないかと、つまり何ら態度決定されておらないという印象を私どもは持っているわけでありまして、大体そういう方向ニュースが今日われわれのところに入っているのでありますが、しかし、今後あれでもっていよいよ態度が表明されたと見ていいのか、やはり政治というものの力がスポーツ世界にも相当大きく力をふるいます国々のことでありますから、現在のところ、まだどうってきまった問題ではないと、こう見ているわけであります。
  22. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあきまった問題ではないというお話ですけれども、とにかくアラブ連盟のほうで、そのようなことをアラブに加盟している各国に向かって勧告というのですか、あるいは何と言うのですか、そのようなことをした。それで、幸いにアラブ連合がそれと違った態度をとっておることは望ましいことですけれども、しかし、インドネシア東京大会出場停止というか、除名というか、そういうことが今度の総会でもってはっきりきまるというようなことにでもなれば、それこそ波紋は一そう大きくなると私どもは思うのです。そういたしますと、やはり理事会はああいう決定をしたけれども最終決定が今度は総会でなされるということになれば、たとい片方においてスカルノ大統領の強い発言がありましょうとも、少なくとも東京オリンピックを開催するほうの側としては、ただ成り行きがどうなっても、これは手をこまねいて見ておるのだというのでは私はしょうがないと思うのです。やはりやるときまった以上は、これはそういう問題が解決されて、そうしてインドネシアもほかの国もすべて参加できるように、日本がやはり積極的な努力をすべきだと思うのです。私は、そのために理事会に東さんが欠席された、そうしてその第一のチャンスを逃がしたということをたいへん遺憾に思うものですけれどもアラブ連盟のほうから通告が出て、アラブ連盟に加盟しておる諸国がそれに動かされていくということになりますれば、これはたいへんなことだと思うのです。いよいよオリンピック完全分裂とまではいかないけれども、そういう方向に進まざるを得なくなるのじゃないかと思うのです。これは政治スポーツに介入するということで非難排撃いたしましても、それであってはいけないという態度をとったにいたしましても、現実には脱退分裂というような事態が起こってくるのです。ですから、われわれはもし東京オリンピックを成功せしめる、そればかりではない、それを通じて世界オリンピックというものが分裂しないでもっていけるというようにするには、やはり日本がこの際できるだけの努力をして、そうしてこの紛争を解決の方向に導いていかなければならぬ積極的な態度をるとべきだと思うのです。今お伺いしていると情報、それも不完全な情報だけしか得られておらないようですが、やはり各国についてそれぞれ問い合わせをして正確な情報を得られる、その上で各国アラブ諸国に対しても日本側として、参加してもらうように説得なりいろいろな内面工作なりをすべきではないかと思うのですが、その点はどうお考えになりますか。
  23. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) ただいまお話のように、東京大会にできるだけ多数、あるいは全部の参加を求めて、りっぱに大会を遂行したいというのがわれわれの念願でございまして、この点岡田さんのおっしゃったとおりわれわれも考えているのであります。ただ、積極的にこういう機運を譲成するなり、あるいは何らか仲裁的な方法をとるというような問題につきましても、われわれはただ手をこまぬいて見ておるのではないのでありますが、たとえば同じけんかの仲裁に入るにしても、いわば冷却期間というものが必要なこともございますし、いま暫らく静観するというのが最良の方法ではないか、こう考えているのであります。実は組織委員会は、東京オリンピック大会をりっぱに組織するために準備を重ねているのでありまして、あらゆる国の参加を大手を広げて迎え入れる、こういう立場をとっているのであります。日本オリンピック委員会、ここに竹田委員長も御出席でございますが、今後の問題については、日本オリンピック委員会において、特にオリンピック憲章その他との関係もあり、またアジア競技連盟との今後の問題もあるのでありますから、こちらのほうでもっぱら注視し、また適当な方法、時期があれば、また積極的な態度をとる、こういうことに窓口をお願いしておる次第でございます。
  24. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ今度の東京大会世界の全部の国が参加できるように努力したいということは、私どももけっこうなことだと思います。ただ冷却期間を置いておいたほうがいい、また、今まだそういうことで話すべき時期ではない、もうちょっと頭を冷やしてからというようなお話ですけれども、とにかくもうそう長い時間があるわけじゃないのですし、また冷却期間を置いておくのもいいのですけれども、あまり今度冷却期間が長過ぎると、その間にこじれるものはいよいよこじれてしまう。冷却期間を置いたつもりなんだけれども、実際はもっとこじれちゃって、どうにも手がつかないということになる場合も往々この問題じゃない、ほかの問題にもたくさんあるわけですから、だからよほど間に入るというか、あるいはいろんな内面的努力をするというか、その問題については、こちら側でもちゃんとしたいろいろな方法を考えて、そして急速に手の打てるような方法をとってもらいたいと思うのです。それにはやはり何といっても、こういう問題がこれからさらに広がるのか広がらないのか、それからそれぞれの国が今後具体的にどういう態度をとるのか、これらのことについて、それぞれの国別にやはり正確な情報をつかむということが必要ではないかと思うのです。このためには、やはり日本からだれか非公式に方々の国をたずねて、そしてそれらの国々の情勢をつかんでくることも必要ではないかと思うのです。ずいぶん外国のほうにも行かれるようですが、そういう場合に、そのことを的確につかみ、ときによっては話もできるような方法をとられていいのじゃないかと思うのですが、そういう点はどうお考えになりますか。これは竹田さんにもお伺いしたいと思います。
  25. 竹田恒徳

    参考人(竹田恒徳君) 先般のこの会議でも御質問がございました。その後、日本オリンピック委員会といたしましては、二回この問題の討議をいたしました。ただ与謝野事務総長が帰りまして、ローザンヌの会議報告を聞きますと、あの際、インドネシアに対してどういう文書で通達をするという決議がはっきりしておりませんし、またあの当時新聞に出まして、岡田さんから御指摘がございました七カ条、こういう問題もいろいろ意見があって、結局まとまらずに終わってしまったという結果のように聞いております。したがって、実際のあの会議の内容がまだはっきりわかりません。まずこれを知ることが第一である。東IOC委員にたのみまして、至急議事録等、正式のものを取り寄せるように希望いたしましたが、実はまだこれが入手いたしておりません。一方、日本オンリピック委員会といたしましては、この間のジャカルタ大会を形成いたしましたアジア競技連盟の一員でございまして、先ほど事務総長から申しましたとおり、あの際、このジャカルタ大会については調査委員会を作って調査をする、二月末を目標に調査をして、六月に評議員会を開いて態度をきめるということになっています。その調査することに、日本側としても当時の委員が同意をいたしておりますので、この進展をみない前に、またいろいろやるのにも限度がございます。これをひとつ早くしろという促進方法をとっております。一方、ただいまも御指摘がございましたとおり、情報を正確に得ますことがまず基礎でございます。目下情報収集中でございまして、ある程度のインドネシア並びにアラブ連合情報は入手いたしておりますが、まだ決定的でもございませんし、たいへんデリケートな問題で、今ここで結論的に申し上げるのは控えさせていただきたいと思います。  しかし、それらの情勢によりましては、今までお話のように人を派遣いたしますなり、あるいは話し合いをいたしますなりの処置をとるべきであるとは思いますが、現在の時期としては、今情報集めの時期と、それから正式の議題の到着を待っておる時期でございますが、日本オリンピック委員会の全員の意見としては、とにかく東京オリンピックは、主催国のNOCとして、ぜひともこぞってみな参加してもらいたい。何とかその希望を達成したいものだという申し合わせをいたしました。具体的な処置として、現在、申し上げましたような次第でございます。
  26. 田中一

    ○田中一君 これは文部省に伺っておきますが、この組織委員会のうちの特別委員会にある施設関係ですが、これは何ですか、国としてオリンピックのために施設を提供しようという予算上の措置をとったものと、あるいは日本オリンピック委員会になるのですかどうですか、単独で委員会がそういう施設を作るものと、こういうふうに分類されるものになっておるんですか。それがもしそうならば、それはどういう工合に区分されておるのか。最初にそれをお伺いしたいと思うのです。
  27. 前田充明

    政府委員(前田充明君) 方針といたしましては、国立競技場−恒久的な競技場につきましては、国並びに都で大体やる、そういうことであります。また、仮設とか、あるいは現在ある競技場、その他いろいろ競技場を借りてやって、そして借りる場合の借料とか、あるいは借りた場合には仮設的なものを作ってやるような場合、そういうふうにあるわけでございますが、恒久的なものを作るのについては、大体国並びに都、それから仮設的なものは組織委員会がやる。こういう一般的な方針のもとにやっております。で、現在私のほうの文部省でやっておりますのは、国立競技場と、それから屋内総合競技場、戸田の漕艇場、それから朝霞の射撃場、その他大学の練習場に少し手を入れるというようなことを大体やっておる次第でございます。
  28. 田中一

    ○田中一君 組織委員会か、あるいは日本オリンピック委員会ですか、どちらかでやっているんだと思うのですよ。仮設的なものというのは。たとえば選手村にしても、選手村は諸外国の選手を入れるのだから仮設です、結局。しかしながら、それを一時選手の収容に使って、あとは国が恒久的に持つのだという建物の場合などはどういうふうになっておりますか。どちらが持つようになっておりますか。
  29. 前田充明

    政府委員(前田充明君) 選手村につきましては、国の建物でございますから、これに対して組織委員会で修理等する必要のあるものは修理をいたしますし、そのまま使えるものは使うということで、組織委員会のほうでやるようにいたしております。
  30. 田中一

    ○田中一君 国が予算措置で建てようとする恒久建築、競技場、建造物については、組織委員会との関連はどうなっているのですか。それは独自で国が行なうのか、あるいは組織委員会の希望によって、あるいは日本オリンピック委員会ですかの意思が織り込まれて決定されているのかどうか、伺っておきます。
  31. 前田充明

    政府委員(前田充明君) もちろん作ります場合は、競技団体関係の方方、それから組織委員会関係の方方、そういう方々の意見を十分聞いてやっておるつもりでございます。
  32. 田中一

    ○田中一君 そうすると、恒久的とはいいながら、今回のオリンピックのための施設だ、こういうことに判断していってもかまいませんね。そうして、後は民族のものとして国が国民全般に使わすのだという工合に理解してよろしいですか。
  33. 前田充明

    政府委員(前田充明君) けっこう、だと思います。
  34. 田中一

    ○田中一君 組織委員会の中の施設特別委員会の構成はどうなっておりますか。
  35. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) 事務当局からお答えいたさせます。
  36. 岡部十三郎

    参考人岡部十三郎君) それではお答えいたします。施設特別委員会組織委員会の諮問機関となっておるわけでありますが、その構成は、第一に関係省庁、つまり大蔵省だとか、建設省だとか、文部省、いろいろなほうの大体部長、またはそれに密接な関係のあります課長さん、そういう方々、それと、各二十種目の競技団体の一番施設等につきましてよく知識のあるお方、また、その他全般的なスポーツ施設につきましての学識経験者、そういう方でこれがなっておるわけでございます。委員長は東大の名誉教授の岸田日出刀博士にお願いをしておるわけであります。委員の総数は現在で約八十名になっております。
  37. 田中一

    ○田中一君 どこまでも組織委員会は諮問機関だということでいいんですか。
  38. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) 組織委員会の中の施設委員会は諮問機関でございます。
  39. 田中一

    ○田中一君 私は、東京招致がきまって以来、非常にオリンピック開催というこの事実に名をかりて、国費が非常にむだな使い方をしているという点がありはしないか。あるいは当然公共団体東京都なりあるいは国なりがすべき公共施設に対してオリンピック委員会のほうの意思が非常に強いために、これがまた過当なる施設を持とうとするような傾向があるのではないかという点を危惧しているものなんです。その一つの例として、たとえば屋内総合競技場に対してはどういう予算づけをしてこれを実施しようとしておったか。これは三十七年度の分だと思いますけれども、三十七年度の当初その計上した予算はどうなっておるか、それをひとつ明らかにしてほしいと思います。
  40. 前田充明

    政府委員(前田充明君) 三十七年度は二億円の予算がついております。そういたしまして、二十億円の債務負担行為が同時についておりますが、御承知のとおり、二十億円の中に二億円が入っておる、そういう勘定になっております。そうして、それは事務費、設計費、施設、敷地整備費及び工事費、そういう内容でございます。
  41. 田中一

    ○田中一君 最近非常にうるさく私どもの耳に入ってくるのは、屋内総合競技場の設計を、まあどういう形で依頼したかは知りませんが、これは説明を願いたいと思いますが、現在設計が完了したところのものが国が準備しておる予算以上に出てしまっておる。それを時間がないからという理由でその設計を無理やりに押しつけられて仕事をしようとしているという事実が相当強く訴えられてきているのです。一体設計を依頼する場合には、大体の予算というものを明示して設計を依頼しているのか、あるいはその建築家の遊びとはいいませんけれども、自由に、予算は別に、自由にある一定の規模のものを作ってくれという依頼をしておるのか。また、それらの問題が当初計画された文部省の国の考え方と、それから委員会のほうの注文によって変更されたものと、それらはどうなって今日このいよいよ着工をして建設するような段階になったか、ひとつ説明をしてほしいと思うのです。
  42. 前田充明

    政府委員(前田充明君) 順序的に申し上げます。三十六年の二月に第一回の屋内総合競技場を作ることの打合会を文部省において開きまして、そうして、その三十六年の四月に屋内総合競技場建設協議会というものを作りました。そこでまあいろいろな内容について検討がされまして、それに対しまして三十六年の七月に第一次の案ができましたのでございます。それからその案に基づきまして、三十六年の十一月に基本設計者が決定をいたしました。そうしてその年の暮に大蔵省との折衝が一応済んだわけでございます。  そういたしまして、三十七年の二月から丹下健三先生を中心といたしまして、設計にかかりまして、それから三十七年の五月にその基本設計が完成をいたしたのでございます。それから今度は実施設計に移りまして、そうして実施設計の大部分が三十七年の十月の終わりにできました。基本設計の大部分ができましたのですが、当初文部省の計画は一応二十二億程度ぐらいでできるのではないかと、そういうことで計画いたしたのでございますが、お話のとおり実は幾分超過いたした設計ができました。その間におきましては、もちろん私どもといたしましては、当初の二十二億円程度ということでございますが、その程度でできるようにお願いをいたしておったのでございますが、実際に設計をいたしました場合にこの何と申しますか、構造が非常に新しい構造で、水泳場でございますので、途中に柱があってはいけないわけでございます。したがって、柱のない家でございまして、非常に大きいものでございますので、それの設計がいわゆるつり橋式の設計構造でございます。これによれば全然柱がなくできるわけでございますが、そういう構造でやりましたものですから、日本はまだこういうような大きなものがございませんので、非常に予定が幾分違ったということが一部あったようでございますが、それよりも当初基本設計をやったときに十分土質の検査がしてなかった関係で、それをあとで検査いたしましたところが、水位が非常に高かった。そういうような思わぬようなことがあった関係で、まあその他いろいろ設計者としてはあったことと思うのでありますが、大きいこととしてはそういうような予定がしていたことが違っておったということによる変化と申しますか、知らなかったことがありましたものですから、一部高くなったようなわけでございます。そういうわけで三十八年度予算要求の際に、それについて大蔵省と十分折衝をいたしまして、一部増額をする。そういうことで話がきまったと、こういう状況でございます。
  43. 田中一

    ○田中一君 一体建築物が経済性を尊ぶか芸術性を尊ぶか、どっちを主に置くかということは、問題のところなんです。国が行なう施設、これは個人の財産を幾らでもいいから投げ込んで一つの記念塔的なものを作るならいざ知らず、国民の税金で作っていこうというものが思わざる障害、いわゆる地盤等を調査しないで依頼をして、またその建築家がそれを調べないで設計をするなんということはありようがないのです。文部省の施設というものは全部そうやっているのですか。意外なこととか何とかということじゃないのです。そういうものを全部調査した上に一つの計画が持たれるのが建設の常道なんです。水位が高いとか低いとかいう問題は、もう文部省が予算化する以前にそうしたものが検討されなければならないのです。ことに、今申したような一人の建築家にたのんで、野放図の、経済性とか予算も考えずにやるというようなことで今まで文部省はたのんでおったのか。同時にまたそれに押しつけたところの組織委員会の考え方というのは一体何かということなんです。一応の予算がある、あなた今二十何億と言われるけれども、それには機械とか付帯設備とか、あるいは周囲の、表のほうの庭園なんかも含めての予算だと思うのです。一人々々の設計家が設計したから、それについていかなければならんということでやっていこうとするのか、私は非常にそれは疑問があると思うのです。ましてや、当然基礎的な建設の場合に調査をしなければならんことをしなかったなんということは、この国会の委員会でのめのめとそういう答弁をするなんというのはおかしいですよ。無知とそれから不用意というものを明らかに自分で自白しているようなものです。国の予算が一人の設計建築家のために予算の増加をみなければならんということはありようがないのです。オリンピック競技の施設というものが国民の感情にはいろいろ訴えておりますけれども、国民の直接の生活には、外観とかあるいはその設備の是非の問題よりももっと切実に考えているのは、そういう余分な金があるならば、よそに回してくれという一部の声、一部の声というより、大部分の声も聞こえているわけなんです。開催するほうの事務を扱っている組織委員会としては、何でもかんでもこの際ふんだくってやるというような気持でもってそういうような方向に持っていっているのか、おそらく施設特別委員会等でもそれらの設計に対する注文とかあるいは検討とか、選択とかいうものの意見はあるだろうと思うのです。経済性を考えずにそういうものを強要したのかどうか、その点をひとつ与謝野さんのほうから説明していただきたいと思うのです。はなはだどうも不当なものがあると思うのです。
  44. 前田充明

    政府委員(前田充明君) ちょっとその前に一言申し上げますが、実は水位の調査ということでございますが、これはアメリカのワシントンハイツへ相当承知のとおりあとになってから急速に変わったため、あそこに競技場を作るということに急にきまりました関係もございます。なお、アメリカの住宅地になっておりまして、人が入っておりました関係上、もちろんその前に土質調査等はやったわけでございますが、それが、専門的なことは私実はよくわかりませんが、普通一般に水位というのは割合に平行に流れている場合が多いのが、あそこは高いところには高くなっておったために普通の地盤と少し状態が違っていて、それを事こまかにやればたいへんよかったわけでございますが、そういう先ほど申しましたような事情で事こまかにやることがちょっとできにくかったためでございまして、別に私のほうで特にやらなかったとか、そういうようなことがやり方の常であるというようなわけではございません。この場合、今申し上げましたような特殊な事態がございましたので、そういう結果になったのでございます。
  45. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) 実は昨年の十一月に私が組織委員会事務総長を引き受けました直後にこの問題の話を聞いたのでございますが、過去において施設委員会において十分検討し、また文部省より組織委員会の全体会議で了承を得てこの案が採択された。ただし、予算が大蔵省において当初より二億五千万円ほど削減された。ところが、その後地盤の関係その他のために補強工事で要ることがあって、やはり削減された予算だけはどうしても要ることになってきたので、この設計によって工事を遂行するためには、何とか大蔵省のほうで認めてもらいたい。こういうことで文部省のほうで御尽力になりまして、大蔵省がまた設計について一々当たりまして、結局削減した額では足りないということで、ことしの予算の額をその点だけがまた当初の設計で要求した額に近いものになったと聞いておるのであります。われわれ組織委員会としては、もちろん後世に残る運動場でありますから、できるだけりっぱな今度の総合体育場は世界に誇る——先般もフランスのスポーツ長官がきてその設計を見ただけで、これは世界一の総合体育館である、こういう折り紙をつけたくらいのものでありまして、できるだけりっぱなものができることはわれわれの希望するところなのでありますが、これを国民の税金でまかなう国家の予算、金のほうの面も無視して押しつけるなどとは、われわれ考えたことはなく、また組織委員会は先ほど御当局からの御説明のとおり、仮設物その他についてわれわれが直接いま建造にも当たっているのであります。国民の非常に貴重なお金ということは常に念頭を離れたことはないのでありまして、われわれのほうが文部省なり大蔵省なりに、金はどうでもいいからこれをのめといって押しつけたことはないし、また押しつけるだけの力もないというのが現状でございます。
  46. 田中一

    ○田中一君 一月二十五日にこの設計によって入札された際、建設省の関東地方建設局で積算してみると、これがまず二十億になる。金はないわけです。そうすると、文部省のほうでは注文を出そうという側のほうで、積算して二十億になったものに対して二十億の予算の裏づけをするのは当然です。その点はどういうことになっているんですか。文部省に聞きます。
  47. 前田充明

    政府委員(前田充明君) 私どもは、設計者が先ほども申しましたように、基本設計において二十二億ということできまり、その後設計が最終的には大体二十五億円見当でできるのじゃないか、こういうようなことで、二十五億でできるとそういうようなことになっておるのでございます。したがって、その設計によって建設省にお願いをいたした次第でございます。
  48. 田中一

    ○田中一君 建設省営繕局長に聞きますが、そうすると、二十五億で水泳場並びにバスケット場ですか、総合競技場だけの問題か、建築部分の問題か。あるいはその他の問題は二十五億以外に予算があるわけですか、
  49. 建部仁彦

    政府委員(建部仁彦君) 現在契約しております分は建築でございまして、今の二十五億は機械、電気、その他外まわりの土木工事が、全部包括いたしまして、総計二十五億ということになっております。
  50. 田中一

    ○田中一君 建設省のほうで丹下君の設計を積算したところが、二十億になったというのは事実ですね。
  51. 建部仁彦

    政府委員(建部仁彦君) 普通の、一般の建築のとおりやりますと、大体二十億という数字になったわけでございます。二十五日に入札の予定になっておりましたのですが、若干超過しましたので、それから設計者と協議いたしまして入札を二十九日まで延ばしまして、一部設計の低下を二十八日に全業者に指示しております。その内容につきましては、一部面積の削減、それから仕上げ材料の低下ということで、約九千万近い金を設計のほうで落としました。それからその間需給の関係をいろいろ調べましたところが、材料業者からだいぶ協力するような価格でもって提供するというニュースがございまして、それから業者のこの工事に対する熱意が非常に強かったわけでございますので、それを両方ひっくるめまして、約一億六千万を低下するということで、予定額といたしましては十七億五千万円で入札を執行した次第でございます。
  52. 田中一

    ○田中一君 少なくとも建設省が適正価格として、入札の予定価格としてきめたものよりも二億五千万円値引きしたから、どうやら文部省の計上している予算に追いつくんだということは、これははなはだ不当なものなんです。私は常々考えておるのですが、建設業者なんというものは、たくさんな各方面の仕事をして、損しようが得しようが、われわれ考ええる必要はないと思う、商売ですから。この積算の中に織り込まれているところのこういう一割何分の値引きということは、だれかに、どこかにしわ寄せになるということなんです。一番ひどいのは労働賃金にしわ寄せになるのが多いのです。それからまた、八千五百万の設計変更、あるいは六千万の精出値引きとか、材料屋が一億円だけを安くしますなんということは、口では言っておりますけれども、何もそうそう——今は建築のほうは不況です。決して一年前の好況と違います。そういうことを喜んでやっているというわけのものではないと思うのです。ただ、建築家の設計が国の押えている、国の持っているところの予算よりもオーバーしたから、そして、時間がないから設計変更もできないから、それで押しつけたのだということの印象しかわれわれ受け取れないわけなんです。えてしていつもそういうことになるのです。その二億五千万のしわ寄わせというものは、結局品物にくるのです。もう一つはでき上がるものにくるのです。二億円も値引きしていいといって仕事をする者は一人もいませんよ。聞くところによると、そういう安い単価ではできないから単価を上げていただきたい、そうして二億でも三億でもあるいは十億でも、寄付はいたしましょうというような発言も契約の際にあったというように聞いているのですが、その点はどうでしたか。これは営繕局長は、あなたが契約担当官じゃないから知らんかもしれんけれども……。
  53. 建部仁彦

    政府委員(建部仁彦君) 私、聞いておりません。
  54. 田中一

    ○田中一君 私はオリンピックという世界的な一つの催し事のために、多くの仕事が今のような形で押っつけられておるのじゃないかという心配を持っているのです。一方、三億本のオリンピアスというたばこを作って、零細なたばこ愛好者から寄付金を取るということをやっておる。おまけに専売公社は、やはり同じように手数料を取り利潤を取る。オリンピックという世界的な催し事を種にして金もうけをしている。同時にまた、こうしてこの積算された内容というものは、ここに持ってこいといってもたいへんだろうから要求もしませんけれども、非常にいろんな不純なものがあるのじゃなかろうかと思うのです。どういう材料屋が一億円というものを値引きすると言ったか、それは明示していただきたいのです。どういう材料屋がどういう材料を値引きすると言ったか。あるいは特定なる材料が設計の最初にもう仕様書に織り込んであるということは、これは今日の役人が与えられている権限以上のものなんです。役人が単独、一つのものを材料として指定するなんということはしないものなんです。一つのある材料に対して選定して入札したなんということになると、これは重大な問題になる。どういう材料を扱っているどういう業者が一億円の値引きをすると言ったのか、またそういう材料屋に、初めからお前のほうの品物を買うという予備的な約束をしながらこういう値引きをさせたのか。これはおそらく少なくとも契約担当官としてはとんでもない問題です。自分の身分に関する問題です。特定なる業者と特定なる材料業者と話し合って、お前のほうを買ってやるからこうしてくれというようなことは、今日の会計法上入札制度の面から見てもこれは違法であります。そういうことはあり得ません。営繕局の各出先機関の契約担当官は常にそういうことをして、特定なる業者の製品を採用しているのかどうか、伺っておきます。
  55. 建部仁彦

    政府委員(建部仁彦君) 材料の値引きの問題でございますが、これは別段特定の製品が幾らということではなしに、先ほどの当初の二十億円は見積もりでございまして、予定額の決定をいたしますにつきましては、需給の状況とか、その他種々の相場というものを勘案して決定するわけでございますので、いわゆる材料メーカーあるいは素材等で一時担当に勉強するというようなムードがあったわけでございますので、そのムードの中で、大ざっぱに一億というのは、今の業者の勉強と、それら材料費の勉強のあれとして、大体一億六千万ぐらいは低い予定額によって契約が締結できる、またそれが大体妥当な線である、こういうふうに契約担当者は考えたんだという報告をとっております。
  56. 田中一

    ○田中一君 フランスの委員が来て、これは世界一の設計だ、規模だと言われたんで、これを押し切る気持になった人間的な弱さというものを文部省がうのみにした点もあると思うのですが、私は、えてして、建築家が予算あるいは採算性、経済性というものを無視して、自分が絵をかく芸術家気取りでもってかいて、それはなるほど金を使って絵をかけばいい絵もできるでしょう。それを押しつけられて、無批判にそれを受け取って、そうしてだれかに大きな損害を与えるとか、あるいは予算上無理をさせるなんということは、今後の日本の施設のために惜しむのです。前田体育局長、一体あなたはそういう施設に対する何らの発言権はないのですか。そして外国人がいいと言ったからといってそれに随喜の涙を流すという傾向は、これはフランス人だというけれども、アメリカ人の発言に対しては随喜の涙を流してそれについていくという日本の官僚の悪いくせがあるのです。与謝野さんがああいう発言をしてくれなければいいのです。自分意思でもって、私がいいと思ったというのはいいけれども、そういう言葉を引いて説明されるなんということは、私軽べつしますよ。あなた自身がいい、あるいは日本の各委員ともにこれは最良のものじゃないかということできまりましたという発言ならばいざしらず。
  57. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) フランス人のスポーツ長官に見せて、それがいいといったからきめたのではありませんで、きまったところを見せたら、さすがにすごい、実は自分のほうのも見てくれといって、この間私がパリに行きましたときに屋内プールの練習場、一番新式なのを見せてくれたのでありますが、これよりも今度できるのはいつそうりっぱだ、こういうことでありまして、私はただ一例として、そういうものがきまった後のことを申し上げたのでございます。私としても、りっぱなもの、きれいなもの、お金というものを考えなければそれにこしたことはないと、こう思うのであります。一時は私も予算の許す範囲であらゆる設計というようなことも将来は起ってくると思った時期もあったのでありますが、幸いにして予定地に大体一部の削減で建つということになっているわけでありまして、先ほどのは、ただりっぱなものができるということだけを申し上げたのであります。私がフランス人と相談したり、勧められたり、そういうことはありません。
  58. 前田充明

    政府委員(前田充明君) 私ももちろんこれは国の予算でございますので、国が執行するわけでございますから、国がきめるのでございます。したがって私は体育局長の立場でもちろんものを言えるわけでございますので、それで申しております。  なお、この設計を最終と申しますか、きめましたのは、基本設計ができまして、そうしてその委員の方はもちろんでございますが、模型を、委員のみならず体育関係者、それから建築の関係者、それから私どもと建設省等、関係の各省の方々に全部模型を見せて、その上で、たいへんこれはいいということできまったのでございますから、ひとつ御了承をいただきたいと思うのです。
  59. 田中一

    ○田中一君 私はどうも、まずこのオリンピック開催ということをある政党のある人はこれを政治に利用している。それを利用している政治家から、ちょうど五輪のマークを使うために広告料を取っていると同じように、これは何か寄付金を取ることが一番望ましいと思う。またいろんな形で東京都の公共施設というもの、道路その他がオリンピック開催ということに籍口して、当然しなきゃならぬ自分の今までの義務、公共事業に対する投資をしないでおって、それを別のほうに使って、この際ここでもって——というような気持で仕事が進んでいるという現状から見ましても、国民がやはり批判しております。地方へ参りますと、オリンピックのことでもって、われわれ後進地域は全く何もしてくれなくなるんじゃないだろうかというような心配をしておるのです。ましてや、一建築家にそれを依頼したものが、予算よりも相当逸脱したような設計ができたものをうのみにして、どこかにそのしわ寄せを持っていくという考え方は、今後とも相当そういうことがあるんじゃないかと思うのです。組織委員会がじかに行なうところの仮設的なものも同じです。将来日本の民族に残る記念建造物だからといって、そういう何にに訴えて不当なことをすることは許されません。これは一つの例です。今後とも多くの国民から寄付金を募集しようという心がまえの中に、こういうようなことが行なわれると、これから突貫工事という名をかりて、工事も期日がないのだと言っておそらくむちゃなことが行なわれるんじゃないかということを心配するのです。その点ひとつ与謝野さんからも、あなたのほうで持たれている施設特別委員会にまかせればいいというのじゃなくて、それらを除いただれか監査的な人たちをあなたが新しく事務総長の側近に置いて、十分に監査をきせて、間違いのないようにするということぐらいの心がまえはありませんか。ただ自分はしろうとでわからないから、あの人がいいと言ったからということじゃ通りません。
  60. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) ただいまお話の点は今後とも重々留意して、気をつけたいと思います。実は三十八年度予算を組織委員会の予算として出しましたときも、大蔵省、文部省との折衝において相当大幅に減額したものもあるのであります。特にこれは施設関係におきまして、なるべく簡素に、たとえば選手村の食堂は半恒久的な、りっぱなものを外国の選手も希望するのでありましょうが、できたらこれはもう組み立て式の、最も簡素なもので、できるだけ最小限度間に合えばいいというふうにして、予算をこちらで相当削減して、当初の予算から見ますとだいぶ減っておる面もあるのであります。今後とも国民の声というものについて、特にその財政面について留意して参りたいと思います。
  61. 田中一

    ○田中一君 文部省のほうでもまだ残っているものがあると思うのです。それから建設省もそういう無理なことを唯々諾々として聞くなんということをしないで、弱いものにしわ寄せをするのではなくて、強いものに正しい要求をぶち返すというような考え方になると思うのですが、その点の心がまえはどうですか、前田さんのほうと建設省のほうは。
  62. 前田充明

    政府委員(前田充明君) もちろん私どもも当初からそれでなければならないと思っておりますので、十分そういう御趣旨のようなことで参りたいと思っております。
  63. 建部仁彦

    政府委員(建部仁彦君) 建設省におきましても同様でございますが、やはり業者の熱意とか、その他いろいろな数字の推定、これをあまり辛くやらぬように今後十今気をつけて参りたいと思っております。
  64. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 本件に関する調査はこの程度に本日はとどめます。      —————・—————
  65. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 次に、オリンピック東京大会準備等に必要な資金に充てるための寄附金付き製造たばこの販売に関する法律案(閣法第六三号)を議題にいたします。  前回に引き続きまして質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  66. 柴谷要

    ○柴谷要君 他の委員会出席関係で質問がきょうになりましたので、あるいは重複した質問があろうかと思いますが初めての質問でございますので、懇切に御説明をいただきたいと思います。  専売公社にお尋ねをいたしますが、公社のこの問題に対する態度としてまず承っておきたいのでありますけれどもオリンピック協賛の意味と、資金確保のため、オリンピアスという銘柄の新製品を発売する、これが専売公社の態度であろうと思いますが、そのように理解して間違いございませんか。
  67. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) お尋ねのとおりでございまして、寄付金つきのオリンピアスというたばこを発売することによりまして、オリンピックの御趣旨にも御協力いたす、こういうふうに考えておるわけであります。
  68. 柴谷要

    ○柴谷要君 協賛という意味は、専売公社がたばこを作って市場に出す、このたばこに十円の寄付金をつけさせるというところが協賛という意味でございますか。
  69. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) そのとおりでございます。
  70. 柴谷要

    ○柴谷要君 世間通例の協賛というのは、物心両面の協力をする、そこに協賛という言葉が生まれると思うのでありますが、これは従来の専売公社の事業そのものを遂行するだけで、何らオリンピックに協賛の意味がないと思うのですが、この点はいかがでございましょうか。
  71. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) この点いろいろとこの委員会でも御質問がいございましたわけでございますが、専売公社といたしましては、これは御承知のように、専売公社は専売事業を遂行いたしまして、また国の財政に必要な益金を上げて、これを納付しておる、こういったような性格の公共企業体でございます。公社の仕事といたしましては、そういう趣旨に沿った専売事業を運営いたしていく。ただ、その専売事業の趣旨に沿ったオリンピアスというたばこを売る、こういうことにつきまして、その場合に一般の消費者の方から寄付をしていただく、こういうことをやりまして、そういうやり方でオリンピックにも協賛いたしたいと考えておるわけでございます。
  72. 柴谷要

    ○柴谷要君 この新銘柄のたばこが市場に出た場合に、今日まで愛用されておりますたばこ、一般のたばこに年間どのくらいの影響があるとお考えでございますか。
  73. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) お尋ねの点は非常にむずかしい問題でありまして、今回販売いたしますオリンピアスというたばこは、かなり高級なたばこでございまして、現在販売しておりまするたばこでありますと、富士とか、あるいはピースよりもちょっと上くらいのたばこでありまして、そういう意味におきまして、その辺の消費者層といいますか、今まで富士、ピース等を吸っておられた方が、このほうにかわられるということは予想されないことではないのであります。ただ一方から申しますと、このオリンピアスというたばこは、オリエント・タイプの特殊な嗜好のたばこでありまして、そういう意味におきましては、ただ値ごろが似ているから、すぐに富士がこっちに移るというふうにも考えられない点がございます。なかなかそういう意味でむずかしいわけでありますが、非常に大ざっぱに考えまして、やはりある程度は高級たばこを今まで吸っておられた方が、このたばこに移られる面もあるだろうと思いますし、こういう特殊なたばこでありますから、新たにこれによって全体として消費が増加する。こういった面も多少はあると考えております。これから発売いたしますわけでありますし、趣味、嗜好の問題でありますので、的確なことは申し上げかねますが、さようなふうに大体考えております。
  74. 柴谷要

    ○柴谷要君 総裁のお言葉ですが、この新銘柄のたばこが出て市場に販売をされる。それから一般のたばこもそうは打撃を受けないということになりますと、年間を通じて相当の売り上げが生まれる。そうしますと、予定よりもいわゆる専売公社の利益金というものは増大されると見るわけですが、そのようにこの法案審議にあたってわれわれが見解を持ってよろしいか、これをひとつ伺っておきたいと思います。
  75. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) 三十八年度の専売益金の問題といたしましては、このオリンピアスというたばこは二億本売れると、こういうことを見込みまして、売り上げの見込みを立てておるのであります。そういうものを現在すでに見込んでおるということでございます。
  76. 柴谷要

    ○柴谷要君 実際の価格は五十円であるけれども、十円の寄付金をつけるということであって、専売事業だからこれはできますけれども一般通常ではこうこうことはできないのですね、そういうことがはたしていいのか悪いのか、専売公社としてこれはいいんだと、こうお考えになっておられるか、これはオリンピックのためにやむを得ないことであるとお考えになるか、この点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  77. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) 専売公社のためにいいかどうかという問題でございますが、そういったような観点に立ちますと、こういったようなオリンピアスというオリエント・タイプのたばこでございますが、これは在来今まで販売しておりますたばこの系列になかった特殊なたばこでありまして、こういう事態がありませんでも、ある時期においてはこういう式のたばこも作って発売したいということは、専売公社は以前から考えておったことでございます。そういった面からいいますと、寄付金つきのたばこを販売いたしまして、オリンピックに消費者の方から御寄付をしていただいて協賛していただく、こういう趣旨で今日やるわけでございますが、そういう考えから公社としては今回こういう措置をとるわけでございますが、もちろん寄付金のつかない、それだけ価格の低い、今回の場合でありますと五十円でありますが、五十円で販売いたしますれば、それはそのほうが売りやすいと申しますか、これは当然の事実だろうと思います。
  78. 柴谷要

    ○柴谷要君 一体寄付金十円つきというたばこを立案した人はだれですか、専売公社自体でありますか、それとも政府でありますか、それとも個人のだれかのサゼスチョンがあって採用されたのか、これをひとつお聞かせ願いたい。
  79. 片桐良雄

    政府委員(片桐良雄君) 寄付金つき製造たばこという構想は、実は昨年初めからあったのでありますけれども、何分にも今までこういうことを行なった例もございませんし、今お尋ねのございましたように、専売公社がこういうことをやることについて問題なしとしませんでしたので、いろいろ検討しておったわけでございます。オリンピック資金財団のほうでは、何か専売公社がたばこを売ることによって、それに伴って何らかのオリンピックへの資金の導入はないものかということをお考えになりまして、資金財団のほうからオリンピックの寄付金つきのたばこという構想が出たわけであります。私どももいろいろ検討いたしまして、御承知かとも存じますが、一昨年の暮れに行ないました広告による資金オリンピック財団への寄付ということが、どうもうまくいきませんので、それにかわりまして、それではこの方法があるということになって、いろいろ検討したその結果、この案が浮かんできたわけでございます。
  80. 柴谷要

    ○柴谷要君 オリンピアスの発案者はオリンピック資金財団であるということが明確になりましたので、それはわかりました。  それで、たばこの葉組みについてお尋ねしますが、オリエント葉を中心に、大体八〇%オリエント葉を使われる、こういうことでありますが、現在発売のハイライトとかホープとか、スリーエーとかいうのは、このオリエント葉を五%しか使っておらない。こういう実は専門家から話を聞いたのでございますが、これは事実でございますか。
  81. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) お説のとおりでございます。
  82. 柴谷要

    ○柴谷要君 次は、製造予定でありますけれども、三億本余と、こうなっておりますが、大体寄付金は三億円を上げよう、こういう予定のようでありますけれども、それならば三億本でいいと思うのですけれども、三億本余というのは、これはどういう意味ですか。
  83. 片桐良雄

    政府委員(片桐良雄君) 以前、私がこの委員会で申し上げたと思いますが、これは第四条の2にございますように、オリンピアスを発売しまして得た寄付金を公社に送付いたします費用が若干かかりますので、その費用を小売人に払うという前提、そして、その費用は資金財団がこれを持つという前提にいたしまして、私どもといたしましては、できるだけこの資金財団への資金を豊富にしたいという意味から、三億本はネット三億本、ただいま申し上げました経費は引きましてネット三億円は差し上げたいという意味で、そのためには若干三億本を上回る本数を売らなければなりませんので、三億余本ということを申し上げたのでございます。
  84. 柴谷要

    ○柴谷要君 このたばいの発売期間は三十八年——本年の四月一日からオリンピック開催時期の末日までとなっておりますけれども、まだ、この法律案がきょうは採決にならぬ。いかようになっていくか、まだ先の見通しはわからない。こういうことになりますと、一体四月一日から発売できるような準備が現在整っているのかどうか、これをちょっとお尋ねをしたい。
  85. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) このオリンピアスにつきましては、こういうことをやるということになりますれば、できるだけ早く発売したほうが収入も多く、寄付金もよけいやれるわけでございます。この法案が国会を通過し次第、できるだけ早く出せるようにしたいということで、今準備しております。四月一日からというお話でございましたが、四月一日ということではなくて、早くこの法案を通していただけますれば、四月一日以前にでも、できれば出したいということで準備はいたしておるわけでございます。
  86. 柴谷要

    ○柴谷要君 でき次第、四月一日以前でもやりたい、こういうお話がございましたが、製造工場は業平工場と私は聞いているのですが、それでよろしゅうございますか。その工場の現在の実情は、三月八日予備作業に入る、それから三月十五日に装置作業に入って、そうして四月一日に発売になる。こういうふうに、すでに専売公社としては順序を立ててお進めになっておるようですが、きょうは一体何日ですか。きょうこのように採決ができない。それでも予備作業にお入りになっておられるのでございますか。この点を伺っておきたい。
  87. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) これは、やはり法案が、通過いたしましてから初めから準備をするということでありますと、やはり、万事この準備が遅延することになりますので、現在でもある程度の段階の準備はやっておりますが、ただ、法案が通過いたしませんと、着手といいますか、やるにはどうしても工合が悪いという部分だけをまだとめておりまして、部内でやれるだけのことはやっておる、こういう段階でございます。
  88. 柴谷要

    ○柴谷要君 五十円定価の中に占める税金は幾らになるのでありますか。
  89. 片桐良雄

    政府委員(片桐良雄君) 三十八年度の政府関係機関予算の参照書にございますが、新製品丁でございまして、これによりますと、五十円の定価にいたしまして、地方に還元いたします地方消費税が五円八十七銭、差額の国庫に納付されます納付金が二十六円三十七銭となっております。
  90. 柴谷要

    ○柴谷要君 これは政府が提案された法律案なんですが、次官は…。
  91. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 次官は、ちょっと他の委員会に出ておられますけれども…。
  92. 柴谷要

    ○柴谷要君 そうすると、政府を代表しての答弁はだれがやってくれるのですか。
  93. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) それは大蔵省の監理官が……。もし必要があれば…。
  94. 柴谷要

    ○柴谷要君 大蔵省の監理官が責任ある答弁をしてくれるわけですね。
  95. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 御要求になれば…。
  96. 柴谷要

    ○柴谷要君 いや…。  それでは一体十円という大衆負担をかける前に、このようなオリンピックの協賛の意味でやられるとするならば、まず第一に、この市販をするたばこに対しては税金を免除するということをまず考えられていかなければならぬと思うのだが、この点はどうなんですか。大蔵省としての見解を。
  97. 片桐良雄

    政府委員(片桐良雄君) ただいま御質問の御趣旨は、政府に入ります二十六円三十七銭という原価計算いたのましたこの金額をゼロにしようとか軽減しようということかと思いますが、先ほど公社総裁が御答弁申し上げましたように、専売公社はあくまで専売事業を営んで国庫に相当多額の納付金を出すということを目的として設立されている機関でございますので、私どもは、あくまでオリンピックに協賛いたしますが、しかしその協賛の程度は、専売公社本来の事業を間違いなく遂行しながら協賛していこう、こういう態度でございますので、やはりこのたばこは高級品でございまして、普通に売り出せばやはり五十円のたばこでございますので、これをまげて、特に益金を下げて売り出すということは適当でない、こう考えたわけでございます。
  98. 柴谷要

    ○柴谷要君 特に高額な税金を五十円のたばこの中で国並びに地方へ払うだけでも三十二円何がしの税金を払う、そういうような大きな税金を国としては召し上げておきながら、特にたばこの愛好者である諸君かち十円ずつ寄付をさせる、こういったねらいが、はたして政治の面でほんとうに血の通った政治であるかどうかということを考えると、私はそうではないと思う。むしろオリンピックなどというものは、特定の人間に物を売った場合に寄付金を取るのでなくて、国民全体にオリンピックに協賛の実をあげきせるという意味から見れば、やはり税金の面等は、当然たばこの中の税金は、これを買えば税金はこれだけ安くなっている、それによってオリンピックに協力ができるのだという態勢が伝わっていけば、これは多くの人から買ってもらえる。そうなれば三億をこして売れると思うのだけれども、そういうようなお考えはさらさらなかったのかどうか、これをひとつ再度お聞きしたい。
  99. 片桐良雄

    政府委員(片桐良雄君) 私どもは、やり専売公社はその本来の使命たる専売事業を、従来踏襲してきました原則に従って行ない、益金はすべてこれを国庫に納入しまして、必要な経費は国から出すということでいきたい。したがいまして、もしこのたばこを、本来ならば五十円で売れるものを、益金を安くいたすということは、専売公社が直接にある種の資金を出したというようなことにもなりかねませんので、財政秩序の維持という意味からも、この五十円のたばこは五十円で売るという考えで参りました。これを専売益金を安くして売り出すということは考えておりませんし、考慮にも実は上らなかった次第でございます。
  100. 柴谷要

    ○柴谷要君 専売の監理官だから専売の立場でものをおっしゃっておりますけれども、どうしても納得のいかないものがここにあると思う。それならば、小売店の手数料は五十円は五十円で取り、十円は十円で手数料を取るわけですね。これをしからば六十円の価格として手数料を取った場合には、大体十円に何%かかることになりますか、それをお尋ねしておきたい。
  101. 片桐良雄

    政府委員(片桐良雄君) お尋ねの点は、たばこを六十円で売った場合、これは実はオリンピアスは五十円と十円とはっきり分けておりまして、小売店がその収入となります手数料は、五十円のたばこを売った点でありまして、十円は全くたばこ屋の利益にはなりません。手数料と申しましても、実費でありまして、利益が入っておらないのでございます。したがってただいま御質問のように、たばこの定価を六十円にした場合はどうかということになりますと、この計算は八%、これは実はたばこ屋さんの売上高によって歩率は変わるのでございますが、一応八%とお考えいただいてけっこうだと思いますので、五十円で申しますと八%は四円になります。六十円になりますと四円八十銭、もし六十円の定価で売りますと、たばこ屋さんの収入は八十銭ふえる、こういうことになります。
  102. 柴谷要

    ○柴谷要君 そうすると五十円の手数料は、約八%のものは入るけれども、十円のものは一銭も入らない、こういうことでございますね。
  103. 片桐良雄

    政府委員(片桐良雄君) そのとおりでございます。
  104. 柴谷要

    ○柴谷要君 ところが三%手数料を取るというのは、これはどこで使われる三%ですか。
  105. 片桐良雄

    政府委員(片桐良雄君) この仕組みは、たばこ−オリンピアスを買っていただいた方が買ったときに十円寄付金をお払いになる、それを小売店が保管いたしまして、集計いたしまして、公社に送付する。公社はそれをオリンピック資金財団に渡す、こういう順序になっております。ただ、小売店は全国に非常に数が多いのでございまして、一々小売人が集めた寄付金を送付するのはたいへんでございますので、小売人の組合等が人を使いまして、この寄付金を集めまして公社へ持ってくる、公社はそれを送付するという手はずになるかと思います。そのために若干の経費がかかりますので、その経費が大体三%と見込んでおるわけでございます。
  106. 柴谷要

    ○柴谷要君 そうすると、その三%は小売人組合に支払う金、こう理解してよろしいのですか。
  107. 片桐良雄

    政府委員(片桐良雄君) 小売人及び小売人組合に支払われる金でございます。
  108. 柴谷要

    ○柴谷要君 そうしますと、この十円の寄付金を集めて——集めるといいますか、たばこを作って十円の寄付金を取る、この十円の金を集めるために犠牲を払うのは一体だれとだれで、何らの犠牲も払わないでたばこの売り上げだけもうかるのは一体だれなんですか。
  109. 片桐良雄

    政府委員(片桐良雄君) お言葉でございますが、犠牲という言葉はちょっと私ども理解いたしかねるのでございますが、公社は普通の専売事業を営むわけでございますし、小売人も自分の必要としました経費は返してもらえますので、特に手間損ということ、実害を払うということにはならぬと思います。もちろんたばこをお買い下すって寄付いたす方も御承知の上で十円御寄付下さいますので、犠牲ということは出ないのじゃないかと思っております。
  110. 柴谷要

    ○柴谷要君 そこは監理官は明白に物を申せませんので、私が率直に申し上げますけれども、まず十円という金を、五十円の価格のものを六十円に買い取るたばこ愛煙家というものは、これは十円の負担がかけられるということだから、これを第三者的な立場で見れば、これは犠牲者です。それから当然五十円の価格の手数料しかもらわないで、六十円の金を扱ってやるのですから、それには何らの手数料がいかないという小売店も犠牲者の一人、そうでしょう。ところが、その金が集まって来て、専売公社ではそれを扱って、ただ資金財団に金を上げるというだけなんです。しかも新しいたばこだからといって、一つでも二つでも余分に売れば、それだけ増収があるということですから、受益者というものは専売公社である、こういう結論になる。オリンピックのために協賛をします、たばこを作って国民から金を集めますという、りっぱな内容を持っているようだけども、実は弱き大衆から金を集め、弱き小売業者に業務の繁雑さを与え、そうして金を集めているというのがこの法律ではないでしょうか。しかも新しいたばこを作るということになりますというと、これは専売に働く労働者の上にも大きな負担がかかってくるわけです。銘柄が変われば変わるだけに、やはり配達業務が増大をされることは、これは明らかです。そういうことに対して、どう総裁はお考えになっておられますか。非常に労務対策などはごりっぱで、最近実績をお上げになっておられるようですけれども、この銘柄の問題に対する労務対策その他をお聞かせ願いたい。
  111. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) お尋ねの点でありますが、専売公社といたしましては、先ほども申し上げましたように、このたばこの製造販売という仕事につきましては、従来やっておりましたと同じような、専売事業の趣旨に従ってやっていく、こういうことであります。そのために、ただいまいろいろお話がございましたが、特に利益したとか、あるいは損をしたというようなことは、私どもとしては考えていないわけであります。それで、ただいま労働関係お話でございますが、これはただいまお示しありましたが、業平工場でやることになりますが、業平工場は、従来からもいろいろな種類のたばこを作っておりまして、今度その一部を減らしまして、こういうたばこを作ることになるわけでありますが、そのために特に労働者といいますか、労務者の手数がふえた、労働強化になっているというような事実はないというふうに私どもは考えております。
  112. 柴谷要

    ○柴谷要君 そこで私は、これは思いつきでなしに、私の考えていることを率直に申し上げて、総裁の御意見を伺っておきたいと思うのでありますが、どうも資金を集めるのに十円の寄付金を取る、この手数料を差っ引いてそうしてオリンピックのほうに納めるというのは、どうもごろが悪い。受け取るほうもどうもまずい。そこでこの手数料を国会の議決としては、専売公社負担という決定ができればしたいと思うんだけれど、その場合に、専売公社として、どのような措置をおとりになられるか、これをちょっと伺っておきたい。そういう法律改正が行なわれた場合にはいかがでございますか。
  113. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) ただいまの点でありますが、私どもはそういう場合を予想してといいますか、考えて、十分な検討をしたわけではございません。また、そういうことになりますれば、いろいろ大蔵省、財政当局その他とも御相談申し上げなければならないと思いますが、そういったような経費を負担するといったような法律といいますか、そういうことになりましても、いろいろとこれは法律ばかりでは参りません。予算の支出も必要といたします。現在の予算、あるいは予算に関する法規の規定等で、どういう措置が専売公社としてとり得ますか、よほど検討してみないと、かなりむずかしい問題があるのではないか、こういうふうに考えております。
  114. 柴谷要

    ○柴谷要君 私はその考え方を貫く場合には、こういうふうに考えている。その手数料を専売公社は負担をする、こういうことに議会が決定をして、専売公社は立ちどころにその決定に従って、専売予算の中に寄付金という項目を一つ作る、いかがですか、作って、そうして政府に向かってこれに補正をさせる、そうすれば楽に総裁出せるのじゃありませんか、この点一つ伺っておきたいと思うのです。
  115. 片桐良雄

    政府委員(片桐良雄君) 公社総裁に対する御質問でございますが、ちょっと私かわってお答え申し上げます。その点は、実は非常にむずかしい問題でございまして、私もその衝の責任にあるものでございませんので、ちょっとお答えいたしかねる点がございますが、理屈としては先生のおっしゃるようなことになるかと思います。法律で公社の負担がきまりますれば、その限度において当然予算が変わらなければならぬのでございまして、その変わる手続その他はどうするかという問題は残ると思いますが、いずれにしましても理論的には現在御審議願っております公社予算というものが変更にならざるを得ないのじゃないかと考えます。
  116. 藤田進

    ○藤田進君 関連して一つだけ。この前、私が非常に念を押しましたね。三月早々からもこれを実施したい、先ほども総裁も言われておる、その際に、一方予算委員会に政府関係機関予算として出ている。これが成立しなければ三月途中からでもオリンピアスを販売したいということは、これはむずかしいのではないかと、今の予想では。当時あなたに質疑したときの予想では、予算はどう早く見ても三月の三十一日ごろ、かりに成立するとしても、内容としては、四月一日からの新年度予算として組まれているわけです。ところが、予算とこれは関係ないのだという話でしたね。今は予算の関係を出されているので、どういうことになるのでしょう。
  117. 片桐良雄

    政府委員(片桐良雄君) その際実はお答えいたしましたのは、これは公社が現在のたばこを作っておりますそのたばこの中に、オリンピアスというたばこを作って売り出しても実はある期間は売れる——ちょっと失礼いたしましたが、寄付金つきとかいうたばこじゃございませんで、全然オリンピアスと同じようなたばこを一つ新しいものを作りまして売ることは、現在の公社法でもできるわけであります。もちろんその後においてたばこの定価表の改正を国会にお願いいたさなければなりませんが、試作期間というのがございまして、若干の期間はこれは売れることになっております。ただオリンピアスの場合には、寄付金つきでございますので、その点はこの法律が通らなければ売れないということを申し上げたわけであります。ただその場合にも、公社の予算との関係から申しますと、御審議願っております公社の三十八年度予算、歳入といいますか、公社のほうのたばこの売り上げは、これは一種の見積もりでございますので、どのたばこが幾ら売れるかということは、実はその内容になっていくわけであります。したがいまして、このオリンピアスを売り出しましても、その点について予算上の制約はないわけであります。ただ、今申し上げました柴谷先生の御質問の件は、これは公社の支出でございまして、経費として支出する場合でございまして、しかもこの経費は公社の事業とは何ら関係のない経費なので、この経費を支出するには法律的な根拠が要る、さらに、法律的な根拠が要るのみでなくて、公社の支出予算の中にこういう項目がございませんので、それを作らなければならぬのじゃないかという、ただいまの御質問に対して、それはそうだと、こう申し上げたわけであります。
  118. 柴谷要

    ○柴谷要君 それからもう一つ。監理官でけっこうですが、お尋ねしておきたいが、この十円のいわゆる寄付金から三%の手数料というものを取れることが、専売公社法のどこにあるのですか。専売公社法のどこにそういうことが書いてあるのか、ひとつ御説明を願いたいと思います。
  119. 片桐良雄

    政府委員(片桐良雄君) もし今お手元にございます法律案に従いますと、最後にこの公社に支払うことができると、これは公社としては受け取ることができるわけでありまして、もし必要があれば、これによって公社が受け取ることができる、こういうことでございます。
  120. 柴谷要

    ○柴谷要君 わかりました。それならば、この法律が出た場合にはこれが優先して、専売公社法というものは優先しないことになるのですね。たばこを売るという場合には専売公社法というものが優先をしていかなければならないでしょう。その専売公社法の中に手数料というものは規定をされておりましょう。その規定の手数料は小売人にいかないで、この法律によって制約をされてくるわけですけれども、そういうことはいかがでございますか。
  121. 片桐良雄

    政府委員(片桐良雄君) ちょっと先生の御質問の趣旨が、私ははっきりつかめないのでございますが、公社がこれを売りますときには、五十円で小売店に売るわけで、六十円でなくて五十円のたばことして、普通のたばこと同じでございまして、そういうたばこを売ります場合に、手数料を引いた値段で公社は売るわけであります。八%と申しますと四十六円でこのたばこを小売店に売ります。十円は別にのけておくわけであります。公社としては全く関係のない十円でございます。この十円で、公社は幾らたばこが売れたかということをチェックする。公社に持って参りますと、通り抜けで、もちろん資金財団のほうに持っていくわけであります。公社はこの十円という金にびた一文触れるわけにいきません。したがいまして、この十円は公社の収入にも何にもなりません。ただ、売りますときに小売手数料がかかります。その手数料の分は資金財団から小売店のほうに返すというのが四条の規定でございます。公社としては、その点は別に収入があるわけではございません。
  122. 柴谷要

    ○柴谷要君 そういうものを扱う場合に、公社の収益には少しもならないというものも、現金として扱いますね、現金として扱って処置する、そういうことができるのは専売公社法のどこにあるのですか。こういうお尋ねです。
  123. 片桐良雄

    政府委員(片桐良雄君) その点は、この法律ができますれば、この法律によってできるということであります。
  124. 柴谷要

    ○柴谷要君 そうなりますと、こういう法律ができますと、専売公社法もひとつ改正しなければならぬということになりませんか。何らかの条項を挿入しなければならぬと、こう思うのですが、しなくてもよろしゅうございますか。
  125. 片桐良雄

    政府委員(片桐良雄君) 専売公社法というのがございますが、これはプラスになる法律でございますので、別にこれによって専売公社法そのものを改正しなければならぬということはないと思います。
  126. 柴谷要

    ○柴谷要君 そうなりますと、小売業者がその十円の金の取り扱いに粗漏があった、あるいは何かあったといっても、専売公社法の上からいって、小売業者を罰する規則はあなたのほうにはありませんね。
  127. 片桐良雄

    政府委員(片桐良雄君) ございません。
  128. 柴谷要

    ○柴谷要君 なくなった場合には、これはどなたが責任を負い、どなたが弁償していくのですか。その点をお聞かせ願いたい。
  129. 片桐良雄

    政府委員(片桐良雄君) その点は小売人は——まあそういうことはないと思っておりますが——資金財団と一種の、何と申しますか、契約を結ぶことになるわけであります。寄付金を預かりまして送ります。そのかわりにそれに応ずる手数料、実費を払ってもらう、こういう関係がございますので、もしこのとき小売人がたとえば寄付金を預かりまして、それを渡す前に火災とかそういうもので焼失した、なくしたというときには、やはりその資金財団に対して金銭的な債務を負うわけであります。したがいまして、これは債務として残るもので、いつか払わなければならぬものであります。それから、もちろん小売人が寄付金を受け取りながら横領といいますか、資金財団に渡さずに、どっかにやってしまったという場合には、公社といたしましては、その小売店に幾らたばこをやったということはよくわかっておりますから、資金が来ましたときに、それはおかしいということがわかって、その点で小売店を追及できるわけであります。ただこの点は、たばこ専売法で処罰ということは、ただいま先生がおっしゃいましたようにできません。しかし、資金財団と小売店との間のそういった一種の契約的なものからしまして、民事的にこの小売人に対して金銭債権の追及ができるわけであります。
  130. 柴谷要

    ○柴谷要君 たとえば、これは例でございますけれども、盗難にあった、オリンピアスという珍しいたばこが出たからといって、これがそっくり持って行かれた、あるいは火災にあった、そういった場合に、その五十円までの問題については専売公社で処置できますけれども、十円の問題については資金財団に負債として残り、専売公社が後日処理をする、こういうことになるわけですか。
  131. 片桐良雄

    政府委員(片桐良雄君) 小売人の家にありますときに火災、盗難にあいましても、現実にはまだ寄付が行なわれておりませんので、資金財団がその分について小売人に対して債権を持つということはございません。したがいまして、今先生のお尋ねの点については、小売人は何ら——たばこがなくなったという点のあれはありますけれども——寄付金につきましては、負債を負うわけではありません。
  132. 柴谷要

    ○柴谷要君 そうすると、阪田総裁は、人のことで金を集め、非常に骨折って、最終的に何か事故でもあったときに責任をとらなければならぬことになるわけですけれども責任といっても、資金財団に負債を負うというような形ができたり何かするのですが、そういうまぎらわしいことはやめて、すっきりした姿にできませんか、つまり専売公社が全額負担をするという形になれば、そんなまぎらわしいことはきらさらなくなってしまうことなんです。どうなんです、その点は。つまり、からかさ屋の小僧が骨を折っても益がないような法律ですよ。これは正直なことを言って、いかがですか総裁、ひとつ苦しい、心境を話して下さい。
  133. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) 御答弁申し上げますが、専売公社といたしましては、再々申し上げておりまするように、一般の専売事業を行なう場合と同じようにやるわけでございますが、オリンピアスが小売店の店頭で亡失したというような場合に、それぞれ災害その他定めがございますので、それによりましていろいろ補充するとか、取りかえるとか、そういった問題が起こることは当然でございまして、一般の業務を行なっている場合と少しも変わりはございません。寄付金の関係につきましては、これは寄付金を小売人が途中で亡失すると、預かった寄付金を亡失するということになりますれば、これは小売人の責任でありまして、公社といたしましては何ら責任を負う理由はないと思います。ただ、これはまあこういうことはあり得るかどうかわかりませんが、公社がちょうど寄付金の額をチェックいたしますために、公社を通じて財団に送付することになっておりますが、その公社を通るときに亡失でもいたしますれば、それは責任の場合があると思いますが、これはまあ一般の公社の事業の関係におきましていろいろ事故が起こりまする場合と同一に考えてよろしいかと思っております。
  134. 柴谷要

    ○柴谷要君 どう見ましてもこの法律は——まあ大体の法律が半分くらいはいいけれども半分が悪いというのは、これは悪い法律ですよ。ところがこの法律は、まあ調べていき、検討していきますと、八、九分どおり悪くて、一部ぐらいしかよくない。こんな法律自体どこで作られたのか知らぬけれども、のめのめと出してきたというところに実際国民を愚弄していると私は思うのですよ。得るところがないのだ、たばこを押しつけられ、扱う人は利益がない、専売公社だってたいへんなこれは負担だと思うのですよ。阪田さんは紳士ですから、あのようなりっぱな答弁をなさっているのでしょうけれども、事実こんなたばこを作りたくないというのは、私は腹の中にあると思う。そういうものを一体オリンピック委員会が審議をして可決をしなければならぬという結果にならぬ、だから、もう少しひとつ与党に差し戻しをして、政府がほんとうにいい法律案に直してきて、これは河野理事さんもいらっしゃるし、与党の先生もいらっしゃるから、十分検討して、少なくとも悪くても五分々々という法律案にして再提出するというような決意をひとつ持ってもらいたいということを要望して私は質問を終わります。
  135. 河野謙三

    ○河野謙三君 他の問題に入ります前に一言。片桐さん、さっき専売公社としてはこのたばこに関する限り何にも関係がないのだとおっしゃった、それは少し言い過ぎじゃありませんか。私はこの前も言いましたが、この法律の提案理由に、これを通じてオリンピックに協力するのだという題目で出発している。ところが十円に関する限り何にも関係がないのだ、そういうことを言われるから、今のような十円の取り扱いの問題についていろいろ起こる、やはり負担するしないは別問題として、どこまでも親切にこの問題は専売公社が中心になってリードしなければ私はだめだと思うのですよ。それを速記録を見てごらんなさい、この問題に関しては関係のないのだと言っている。関係がない、また関係したくないというなら、今の柴谷さんのような意見になりますよ。それはあとでいいですから、速記録を見てから、言い過ぎだったら取り消しなさい。それでも関係がないのですか。
  136. 片桐良雄

    政府委員(片桐良雄君) もし私の発言に先生の誤解をお招きするようなことがありましたらおわび申し上げなければならぬと思いますが、私が申し上げましたのは、もちろん公社といたしましても、大蔵省といたしましても、このたばこは大いに売れて資金財団へ三億円以上、できるだけたくさんの寄付金がいくように努力いたすつもりでございます。また公社といたしましても、販売のほうで、その価格で、いろいろ研究いたしております。その点は十分御理解いただきたいと思うのでございますが、私が申し上げましたのは、私は、経理上は十円と五十円というのは別だということを申し上げましたのが、その点先生の誤解を招いたのは、はなはだ私の申し方が悪かったので、またいずれ速記録を見まして、その辺の私の発言が不十分でございましたら取り消しいたします。
  137. 河野謙三

    ○河野謙三君 私の誤解でありましたら私が取り消します。速記録見てから、あなたの誤解だったらば率直に取り消しなさい。先ほどの言葉をもう一ぺん申しますと、十円に関する限りは、たばこの小売屋さんと資金財団のほうの関係だけであって、おれたちは知ったことじゃないという、一言で言えば。資金財団にそんな能力がありません。そんな能力ないですよ、権限もないですよ。そこは専売公社というもの、その機関ですよ、いろいろあっせんの労をとってやらなければうまくいきっこないですよ。それだけでも関係深いじゃないですか。十円に関する限りは知ったことじゃない、わしは関係ないのだ。そういうふうに言われたと思うのです。よく速記録を見てから御善処願います。
  138. 片桐良雄

    政府委員(片桐良雄君) もちろん公社といたしましては、この寄付金を集め、それを一々チェックしまして送りますことについて万全を期します。その点ははっきりお約束申し上げることができると思いすす。したがいまして、経理上はこの十円は関係ございませんが、実際資金財団へ寄付として到達するまで、これは公社が全責任を持ってやります。
  139. 河野謙三

    ○河野謙三君 それならばわかる。
  140. 岡田宗司

    岡田宗司君 これはどなたにお伺いしていいのかあるいは資金財団のほうのお方に伺っていいのかと思うのですが、五輪のマークの使用料の問題ですが、あれは今までのところどういうふうになっておりますか。
  141. 靱勉

    参考人(靱勉君) 五輪マークにつきましては、日本体育協会のJOCが管理しておられますが、元来あれを使用することによる使用料というのは、なかなかむずかしい問題でございまして、私ども五輪のマークを使った場合に、それに対してできるだけオリンピック資金に御協賛を願うという立場で在来やっております。
  142. 岡田宗司

    岡田宗司君 使用料の規定はないのですか。
  143. 靱勉

    参考人(靱勉君) 使用料という正式な名儀というものはないと心得ております。したがいまして、それはどういう場合に使えば幾ら使用料が必要だというようなことはきめてございません。結局マークの使用をどういう方面に認めるか、これは勝手に使えませんので、許可番号がつくわけでございますから、その場合において、これは当然使用料が最低幾らにつくというような性格のものじゃないのでありまして、主として使用される方の御好意によるところの寄付というような形に相なるのであります。
  144. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、やはり許可が要るわけなんですね。
  145. 靱勉

    参考人(靱勉君) JOCのマーク委員会というのがございまして、そこで審査しまして、これを承認するという形になって、無断では——法律的でなく国際的な一つの道義と申しますか、まだ日本には国内法でこれを禁止した例がございませんが、そういうような形で全部許可番号をつけまして、そういうのが正式であるということで、一々審査して個別的に承認を与える、こういう形になっております。
  146. 岡田宗司

    岡田宗司君 今まで承認したもので金を支払わなかったものがありますか。
  147. 靱勉

    参考人(靱勉君) それは払わないものもございます。そういうものをちょうだいする根拠というものには、両者の合意による問題でして、これは一般的なPRの場合等は、もちろんそれから必ずこれだけ使用料とか、あるいは寄付を必ずいただくというような形になっておりません。
  148. 岡田宗司

    岡田宗司君 それで今まで許可して、使用料をもらってない例、それからもらった例、それはあなたのほうか、JOCのほうか知りませんけれども、おそらくちゃんと表ができているだろうと思うので、これはひとつ私どもに示していただきたいのです。
  149. 靱勉

    参考人(靱勉君) 承知いたしました。
  150. 岡田宗司

    岡田宗司君 というのは今度専売公社でオリンピアスを売りますね、あれは何ですか、専売公社のほうから五輪のマークを使用することの許可の申請が出ておるのですか。これはちゃんと承認番号を与えて許可したのですか。
  151. 靱勉

    参考人(靱勉君) これはすでに手続が済みまして、許可番号も与えましてきまっております。
  152. 岡田宗司

    岡田宗司君 大体民間なんかですと、あれを使うと、今言われたように一定の額は払っておらぬけれども、とにかく合意でもって金を払っている。そうすると、何ですか、これは専売公社のほうにお伺いするのですが、あれはちゃんとつけるのだけれども、専売公社としては一文もお金をお払いにならないのですか。
  153. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) ただいま御説明がごさいましたとおり、五輪のマークを使用することにつきましては許可はちょうだいしております。使用料につきましては払うことになっておりません。
  154. 岡田宗司

    岡田宗司君 払うことになっておりません……。法律を見ると、このたばこはオリンピックに協賛すると書いてある。マークはただで使う、ほかの民間はマークを使うと寄付金を払わなければならない、それで払っておりませんと涼しい顔をして協賛をしておるというようなことが言えますか。このマークというのは、民間でもほかでも使うときには、あれは一種の広告として使うのでしょう。
  155. 靱勉

    参考人(靱勉君) マークの使用につきましては、オリンピックの憲章のほうに相当やかましい規定がございますが、しかし、大いにオリンピックの精神を高揚するとか、そういうふうな意味合いにおいてこれが使われるのが原則でございます。しかしながら、オリンピック大会等におきまして、いろいろやはりオリンピックを象徴するために使いますから、一部それによって反射的利益のある場合もございます。そういうようなことも考えて、私どもとしましては、そのものによりまして、場合によっては御寄付をいただく、こういうような形で実際上処理しておる次第でございます。
  156. 岡田宗司

    岡田宗司君 オリンピアスというたばこは、これはオリンピックを象徴した名前だろうと思う。そうすると、五輪のマークをそこにつけるということは、オリンピアスというたばこの広告ですな。専売公社はそれを使って広告をして、しかも広告料としては何も払わない。それでもなおオリンピックに協賛するというに至りましては、これはどうも……。民間の会社には協力をさせるけれども、専売公社は知らぬぞと涼しい顔をして、ただで使うということは、私どもにはどうも解しかねるのですが、これはどうですか。
  157. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) オリンピックのマークの使用料の問題につきましては、現在のところ、そういうものは払う話になっていないということを申し上げたわけであります。専売公社は全然払う気がない、あるいは払ってほしいというお話がありましたのにお断わりをした、こういうことではございません。
  158. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、今の阪田総裁のお話ですと、今まで払っていないというので、まだ交渉もしていなければ、そういう要求もない。それだと、場合によっては、払う意思のある場合もあるわけですね。
  159. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) ただいままでのところ、お話がないというのが現実のところであります。
  160. 岡田宗司

    岡田宗司君 それでは、お話があれば、その交渉いかんによっては広告料として払う場合もあり得るということですか。
  161. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) 先のことはちょっとお約束と申しますか、申し上げかねるのでありますが、先ほど申し上げたような状況で現在おるのであります。
  162. 岡田宗司

    岡田宗司君 私は、あなたが総裁なんだから、広告料を払うか払わないかぐらいのことは、自分で裁量できるはずだと思うのですが、総裁というものはそんな権限がないんですか。専売公社は広告の費用はあるでしょう。テレビなんかでずいぶんいかがわしいフィルムをやっているのですが、ああいうものにはうんと金を出すのでしょう。
  163. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) この問題につきましては、先ほど来申し上げましたように、私どものほうでは、これは小売人に対する手数料の問題とか問題になっておりますが、こういうような問題と違いまして、ただいま確かにお示しのように広告料を払っている例等がありますが、またマークを使用するために使用料を払う必要があるということでありますれば、これはまあたばこの製造の原価に当然入ってくる費用でありますから、支出することもできるわけであります。まあそういう状態でありますが、現在のところはそういうお話もございませんし、私どものほうも考えておりません。これはほかのこういう公共企業体等でいろいろオリンピックに協賛いたしますためにマークを使用いたしました場合でも、従来でもそういうふうな扱いに他でもなっておるように承知いたしております。
  164. 岡田宗司

    岡田宗司君 ずいぶんおかしな話で、公社というものはやっぱり一つの営利事業をやっておるのですね。それはまあ一面においては公益事業ですけれども、確かにもうけている。そうして普通の商売をやっている。だから普通の広告もするのです。だから、私はこれはなんですな、普通の商社と同じように、やっぱりオリンピックのマークの使用料というものは取って差しつかえないのじゃないか。何もそれを遠慮して公社にだけはただやらして、民間だけもらうなんということは、これは不公平だと思う。公社が——専売公社にしても、あるいは国有鉄道にしても、電電公社にしても、これは営利事業でなければいいと思うのですが、とにかくもうけているのですからね。そしてその目的は、やっぱり商売なんですよ。商売をやっているのですからね。だから私はやっぱりそういう場合に——しかも売らんがために広告をしているのでしょう。だからそれを何も分けて、協賛とうたっている以上は、それくらいのものを協賛さしてもいいように思うのだし、それからあなたのほうもあの法律を出すときに、これはまあ大蔵省のほうで作ったのだろうと思うのだけれども、協賛と書いてあるのなら、まあこのたばこにマークをつけるのなら、これはこの法律に直接関係はないかもしれませんけれども、それくらいの心がまえはしてもいいんじゃないですか、どうですか。
  165. 河野謙三

    ○河野謙三君 関連して。阪田さんね、今まで話があったからとないとかいう問題じゃないのです。要するに、あなたのほうで協賛する気持があるかないかという問題です。これは、その金は予算にも関係ないし、寄付金の問題でもないし、広告費ということで出せば何でもないことだ。あなたの裁量でできる。だから問題は、話があったとかないとかでなくて、話があって出したら死に金になりますよ。あなたの気持において出せば、同時にあの総裁はなかなか話がわかる、あの総裁はなかなかオリンピックに理解があるということになる。話があるとかないとかいうことじゃないのです。また、話あって、向こうのほうであなたの顔ばかり見ている資金財団が、あなたのほうになんか出してくれって言えませんよ、だからいつまでたっても言えませんよ。それをいいことにして、あなたは話があるまで出さない。それじゃ今ここで出す気がないと言ったほうがいい。
  166. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) この五輪マーク使用料の問題につきましては、実は私どものほうでも現にいろいろ意見があり、こういう五輪マーク使用料——公社のたばこその他に五輪マークをつけまして、その使用料を払うという形でオリンピックに協賛する考えはないかということを以前に検討したことはございます。しかしそれだけでは、あまりに非常に巨額の使用料を払うということは、何といいますか、つじつまが合わないといいますか、三億円もの使用料を払うということもちょっとおかしな話でありますので、これでは財源にならないだろうということで、今度いろいろこういう法案を出しまして、もう少し金高の入る方法を工夫したわけでございます。まあそういうことでございまして、これで三億円というものを財団のほうの収入に上がるように私どもとしても御協力をいたしたいというようなことになりましたもので、前に考えておりましたことのありまするマークの使用料のほうの問題につきましては、その蔭げになりましてといいますか、実は他の公社等におきましてやはり五輪マークを使った場合の例等におきましても、他の方法で協力しておるということで、使用料自体としては払っておらない例がございましたので、この関係——あまり大きな金額にもなりませんので、まあ見のがしてしまったといいますか、あまり関心を持たずに向こうさんのほうからお申し出もありませんし、私どものほうでも考えていなかったのですが、ただいまお話ございましたので、この問題どういうふうに処置いたすか、あまり無責任なお約束はいたしかねますが、十分に検討いたしてみたいと思います。
  167. 河野謙三

    ○河野謙三君 岡田さんのおっしゃることと私違うかもしれないが、私も何も五輪のマークの使用料等を三億円と見積もって国民から十円取らないでと、そういう意味じゃないのです。国民は一方において十円の協力をするから、専売公社自体も、露骨に言えば役所ですから出す手段がちゃんと正当でなければいけませんから、寄付金ということなら正当にいけるということなら、五輪のマーク使用料ということで向こうから要求がなくても、あなたのほうから進んで何がしかのものを出して資金財団に協力する。そうすれば国民のほうで十円協力するにも非常に気持よく協力できるわけですよ。そこらのところは、きょうは十分検討されると言うから、あなたの善意の検討を期待して質問を終わります。
  168. 山本利壽

    ○山本利壽君 今の点で尽きますが、全面的に賛成ですが、広告料をお出しになることは出していただきたいことをお願いしますが、五輪のマークを無断で使用した場合にはどういうことになるのですか。これは許可が要るということになっているのでしょうが、もし無断で使用した場合には…。
  169. 村井順

    参考人(村井順君) お答えいたします。五輪のマークにつきましては、国によりまして法律でこれを勝手に使用することを禁止している国もございますが、日本の場合においてもこの点二年前からいろいろ研究しておりまして、しかしいろいろな問題点もございまして、まだ法律化いたしておりませんし、一応道徳的にこれを取り扱っていく、道義的に。ですから、とにかく五輪のマークは使わないでもらいたいという道義的な立場で使わないようにお願いしているというのが実情でございます。
  170. 山本利壽

    ○山本利壽君 それでは、善意でオリンピックに協賛する意味で、利益でなしにどんどん使う場合もあるし、そういうことはそれでも許可がいるはずでしょうけれども、害は少ないわけですが、かりに知らずに何かの商品につけて売り出して、その人がもうけていても、今のところでは何らの制裁はないわけですね。
  171. 村井順

    参考人(村井順君) さようでございます。ローマの場合も、結局、法律化いたしませんためにそういうことになりまして、私組織委員会でございますが、これは組織委員会の問題でなくて、むしろ体協の問題でさように扱っているように聞いております。
  172. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は農林省の畜産局長にお伺いしたいのですけれども、どうも農林省でも先ほど来たばこの問題をめぐって、お聞きのように、政府機関がオリンピックに協力する場合に、どうも協力に名を借りて、私は、たばこの場合は便乗しているとは思いませんけれども、便乗しておるかのような誤解を受けるような点が多々あります。私はオリンピックというものは、今さら申すまでもなく、国民全体、政府一体になって、この両者の犠牲のもとにオリンピックというものは完全に成しとげることができると思う。それであるにかかわらず、もし政府機関において、国民が一方において協力態勢にあるにかかわらず、政府機関において、もしそういうようなオリンピックの完成に向かっていろいろな準備の過程において、協力ではなくて便乗しておるというような形があれば、私は非常に遺憾だと思うのです。そこで競馬の問題ですが、たしか二、三回前の国会と思いますが、オリンピックに協賛するためにオリンピックのための競馬を開催して、それによって出た益金によって馬事公苑の中にオリンピック用の馬事の施設を作る。こういう法律が出ました。そのときに私はたまたま当該委員会におりまして、それは非常にけっこうであるが、それによって出た益金というものは、法律を修正して一ぺんその益金を資金財団に渡して、資金財団がその政府からもらった益金の範囲内において畜産局なり、競馬協会ですか、これに、一定の設計のもとに一定の施設を作ることを委任する。こういうふうにしたほうがすっきりするじゃないかと言いましたところが、それをやっておりますと法律の改正にもなりますし、国会が時間切れになりますので、そういう趣旨で運営していただくように私は希望をつけて可決になったと記憶しております。そこで、私はきょう伺いたいのは、法律は、その益金を競馬会に渡して、競馬会が自分の持っておる馬事公苑に施設をして、オリンピックが済んだらその財産はそのまま競馬会の所有になる。こういうことですね。それこそ見ようによっては競馬会といいますか、農林省というか、特に競馬会のこれは便乗ですよ。オリンピックに名をかりて競馬を開催して、益金を八億なり十億出して、そうしてオリンピック用の馬事施設をやって、なるほどそれがなければオリンピックはできません。ところが、オリンピックが半月間やって済んだあと、その翌日からは競馬会の財産でしょう。こういうばかなことはないじゃないですかと私はそのとき言ったのです。そこでその際は、せめてオリンピックが済んだあとは、この施設は一般体育の向上のために一般大衆にこれを公開しろということを附帯決議をつけて可決になったはずであります。  そこで私は質問したいのは、法律はどうあろうとも、法律の精神というものからいって、オリンピック用の競馬を開催して、かりに八億の施設がかかるものに対して十億の益金が出るという場合に、その差額の二億というものは一体どうなるかということなんです。私は、それは競馬の名前において開催した、また、オリンピックの協賛だということで競馬に行って馬券を買った。それによって大衆から利益を得た、その利益というものは、一応私は法律にどう書いてあろうが、まあ法律を無視するわけにいきませんけれども、競馬会から資金財団にその金は全額私はやるべきだと思うのですが、それはどうなんでしょうか。最近聞くところによりますと、競馬は農林省が当初予算を立てている以上に売れ行きがいいそうです。でありますから、オリンピックの競馬というものは、これはあなた方が予定している以上に売れるのじゃないかと思う。そういう場合にどうなりますか。
  173. 村田豊三

    政府委員(村田豊三君) オリンピック協賛のための中央競馬の特例法制定以来、河野先生には特段のこれにつきましていろいろ御配慮を前からいただいておりますことを、この機会にお礼を申し上げる次第でございます。  ただ、ただいま御指摘になりました点でございますけれども、この点は法令の建前上——当時の法律、なるほど修正等の御意見もあったように伺いますけれども、法律そのものは、第二条に、政令の定めるところによって国庫納付金の処置をするというふうに、明らかに規定されておりまして、納付金の具体的な処置につきましては、政令でこれを規定するということに相なっておるわけであります。その政令の規定によりますれば、ただいま御指摘になりましたような場合には、これは国庫にその部分は納付するという建前に相なるわけであります。確かに今御指摘がございましたように、施設は競馬会の施設になるわけでありますので、河野先生が今御指摘になりましたような問題が起こらないとは限らないわけであります。ただ、今後馬券がより以上に売れるであろうという御見通しをお述べになりましたけれども、御承知のように、これはまた四月一日からは新しい馬券の売り方と申しますか、やや従来の競走方法と異にした新しい制度の実施を四月からいたすことに相なっておりまするので、必ずしも従前どおりのようなテンポで馬券の売り上げが伸びていくかということにつきましては、私一縷の疑念を持っておりますが、それはともあれ、とにかく一応施設ができ上がりますると、ただいま御指摘のとおり、これは競馬会の施設にもなるわけでありますけれども、これにつきましても、かねがね当委員会等でも十分なるこれについての御配慮がございまして、附帯決議等もいただいております。私どもこの附帯決議の御趣旨を十分体しまして、これが単なる一団体と申しますか、一機関の私有的なものとして今後受益をしていくことのないように、その点の配慮は十分に加えて参りたい、かように考えております。
  174. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、こういうことですか。馬事施設にかりに八億かかる、そうしますとオリンピックのための競馬を開催して、売り上げが十億かりにあるという場合には、八億のところで切っちゃって、あとの二億というものは、これはもう国庫に納付すると、こういうふうに政令できまっておる、こういうのですか。
  175. 村田豊三

    政府委員(村田豊三君) 売り上げと申されましたけれども、多分国庫納付金のことだろうと存じますが、そうでありますれば、ただいま河野先生の御指摘のとおりになるわけでございます。
  176. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は法律できまったことを云々するのじゃなくて、そういうことを、先ほど申し上げたように法律審議の際にるる私は主張をしておるにもかかわらず、一片と言っちゃはなはだ失礼ですけれども、われわれから見れば一片の政令でそういうことを勝手にやられちゃ私は困ると思うのです。何も競馬の益金というものはたくさんあるんですから、オリンピックのための競馬だと言って看板をかけてやった競馬の益金は、オリンピックと名がついた以上は、そのまま資金財団に一ぺんやって、そしてもし余ったら、資金財団は何も悪いことに使うわけじゃない、オリンピックの協賛のために使うのですから、こまかなことをやらないで……。八億なら八億のところで打ち切っちゃって、それ以上出たところはお前らに一文もやらないのだ、看板だけはオリンピックの協賛だということで競馬を開催する、これもたばこと同じように、国民がオリンピックに協賛するつもりで行くファンばかりはないでしょうけれども、一応オリンピックの協賛という看板を掲げて競馬を開催をしておいて、そのうちの一部分はオリンピックの馬事施設に行くけれども、一部分は国庫のほうに行くんだ、これはちょっと、私はインチキとは言いませんけれども、ちょっと趣旨が違うんじゃないですか。その政令について再検討されるということは、今ここで局長なり課長が、それを私は再検討しますとは言えないでしょうけれども、十分私は再検討をしていただいて、必ずしもお前の言うとおりにならないということでけっこうですが、再検討した結果を、もう一度当委員会で、次回にひとつ御説明をいただきたい、御回答をいただきたい、こう思いますが、どうでしょう。
  177. 村田豊三

    政府委員(村田豊三君) 河野先生から非常にむずかしい宿題をいただいたことになるわけでございますが、私はやはり率直に申し述べさせていただきますと、納付金の関係は、法律並びにその法律が委任した政令によりまして、その点が明記をされておるわけでありまして、これは何も農林省が独断でやったとかいうことじゃなくて、大蔵省なり、それぞれ関係の政令でございますから、当然関係省の協議の上において成り立った政令でございます。でありまするので、法令の建前を曲げてこれを再検討せよと申されることは、私自身にとりましても荷が勝ち過ぎることでございまするので、その点はお許しをいただきたいと存ずるのでありまするが、ただ、ここで今、河野先生のおっしゃいます意味が私どもにもわからなくはないのでございます。法令の建前は建前でございますから、その法令の建前を離れまして、ただいま河野先生のおっしゃいまするように、中央競馬会がオリンピックに積極的に協力をする、便乗というお言葉がございましたけれども、便乗どころではなくて、むしろ法令の建前は建前で通しまして、別の立場からオリンピックのために積極的な協力をするという方法は、これは私どもむしろ前向きの姿勢で積極的に考えていいかと思っております。具体的にも、ただいま競馬会の、あるいは馬事公苑等にありまする施設について、この法律の範囲外の問題といたしまして、競馬会に相当の支出を覚悟してもらいまして、ある一定の施設のための協力を着々やっていただいております。これなどもその一例かと思いまするし、また、先ほど出来ましたこの納付金によりましてできまするオリンピック用の施設の今後の運営等につきましても、これを単なる競馬会の一私有物として使わない、広く公共の役にも立つような、こういう問題につきましても、私ども前向きの態勢で積極的に考えて参りたい。そういう意味で、ただいま河野先生の御指摘になりましたような点について、さらに検討をさせていただきたいと存じます。
  178. 河野謙三

    ○河野謙三君 局長の気持は、私は全く私の言わんとするところと一致しておりますから、あえて申しませんが、ただ村田さんがいつまでも畜産局長をしているわけじゃないし、おそらく私は来年のオリンピックまで、そのあとまであなたが畜産局長をしているとは思わないのでありまするから、あとによく私は引き継いでもらいたいと思うのですが、ほかの方に御迷惑といいますか、私は馬事公苑なんというのはもってのほかだと思うのですよ。このごろゴルフがぜいたくだ、ゴルフがぜいたくだというが、ゴルフはみんなが会費を出していって、負担金五十万円でも六十万円でも会費を出していって、お互いに持ち合ってやっている。しかも大ぜいの人が楽しんでいる。馬事公苑というのは、一体だれが、何人あそこで遊んでいるか、一文の金も出さないで。乗馬の愛好者というのは、全体から見れば大衆とは全く無関係ですよ。しかもそれは国の財産です。国の財産を、ごく一握りにもならぬような人があそこで楽しんでいる今の姿だって、非常に私はこれはけしからぬと思うのですよ。その上に、さらにオリンピックに便乗じゃありませんけれどもオリンピックを契機に、何億という施設をして、そうしてそのオリンピックが終わったあとにおいて、相変わらずほんの一部の、これこそ特権階級です、特権階級の利用に、しかも無料で供している。幾らか馬事クラブとかなんとかあるかもしらぬけれども、そういうことは許せませんよ、そんなことは。しかも東京のまん中で。でありまするから、私は先ほど来からたばこのことをいろいろやかましく言ったが、たばこのほうはまだずっといいですよ。競馬会なんというのは、さっきから申し上げるように、オリンピックなんかで八億も九億もかけて施設をして、そして終わったとたんに、一応競馬会の財産になるでしょう、競馬会の財産は国の財産として逃げられますけれども、そんなわけにいきませんよ。でありまするから、こういう点は、今村田さんは、私が質問する前に、積極的に、終わったあとは大衆のために大いに公開するのだと言われましたが、それは速記にもあることですから……。ただ、現在の村田局長だけのお話じゃなくて、それが農林省を通じての、末の末までずっとつながったところの責任ある御回答である、こういうふうに私は解釈しますが、それは差しつかえございませんか。
  179. 村田豊三

    政府委員(村田豊三君) ただいまお答えしておるのは、村田畜産局長でございまするので、村田畜産局長の答弁でございますが、私も、もちろんいつまでも同じ職をやっているとは限りません。いつやめるかわからないのでございますから、よく先ほど御指摘の点、かりに私の在任後の問題であるとしまするならば、よく後任者に趣旨を引き継ぐことにいたしたいと思います。
  180. 河野謙三

    ○河野謙三君 その点はよくわかりました。ただ先ほどの政令云々の問題につきましては、もちろん法令を曲げてまでとは言いませんが、何かあなたの善意で、私の申し上げた趣旨について、答弁の方法があったら御検討いただきたいと思います。  それから体育局長、この前私が申し上げたスポーツ用具の登録の問題は、その後どういう経過になりましたか。
  181. 前田充明

    政府委員(前田充明君) スポーツ用具の検定の問題につきましては、これは文部省が直接やることではないと思います。したがって、体育協会の中に、そういう委員会を持つようなふうに話が現在進行中でございまして、まだ最終的な結論は得ておりませんでございます。もし最終結論を得ましたら、また御報告さしていただきます。
  182. 河野謙三

    ○河野謙三君 あなたよく文部省の関係じゃない、体育協会だと言うけれども、やっぱりスポーツ行政全体は、あなたのほうが指導監督しておられるでしょう。法律的には監督の責任がないと言ったって、スポーツ界に起こった問題につきましては、あなたたちは無関心でおられないと思う、そうでしょう。そうであれば、そんな遠慮しないで、私は何もスポーツ団体の自主性を破壊してあなたのほうが干渉しろというのじゃないですよ。現実に、具体的にスポーツ用具の登録に名をかりて、あるスポーツ団体のごときは非常に不正なことまでやっておるという事実を出しているじゃありませんか。これに対して、文部省は何にも言うことができないなんてばかなことはありません。靴の裏から足をかくように体育協会にいろいろ言っていますが、もっと積極的にやったらいいじゃないですか。たとえば、あなたもそういうスポーツのことは詳しいから意見があると思うが、私はこう思いますよ。スポーツ用具の登録は要らないと、一つ意見として。たとえばフットボールならフットボールは、こういうきめ方で、こういう規格のものだときめておけばいいじゃないですか。それ以外にその規格に合わないものは使用できないということにしておけば、おのずとスポーツ用具店が規格に合わすように作るでしょう。極端かもしれないけれども、それも一つの方法ですよ。検定する、検定するといって、実際は検定しないで、証票と検定料を引きかえに金を取っているでしょう。しかも検定する場合に、スポーツ用具店といろんな因縁情実が、人間社会だから起こりますよ。人間の社会だけれどもスポーツ界だけは蒸留水のようにきれいだ、有機物は入ってないのだと、それがスポーツに対するあこがれですよ。スポーツ界に有機物が入ったらだめですよ。ボウフラがわいたらだめですよ。だから私はやかましく言う。一般社会なら、そんな神経質なことは言わない。ある程度のことは仕方がない、社会だから仕方がない。スポーツ界はそういうことはできませんよ。それに対して、もう少し積極的に指導されないと、たとえば私はもう一つ例を言う。後楽園のコートがバレーボールの指定を受けないでしょう。ああいうりっぱなコートがなぜ指定を受けないか、公認されないか、この裏にもいろいろ問題があります。そういうことで、いろいろ発展してくる。私はバレーだけ言いますけれども、バレーだけじゃない。でありますから、これは文部省の問題じゃなくて体育協会の問題だと、そういうことじゃいけません。今せっかく御指導中のようでありますが、さらにもう一歩二歩踏み込んで、オリンピック前でありますから、日本スポーツ界がほんとうにきれいなスポーツ界になるように覚悟してもらいたいと思いますが、覚悟がありますか。
  183. 前田充明

    政府委員(前田充明君) 全くスポーツ界が蒸留水のようにとおっしゃったことと、私も全く同感でございます。少しうるさいぐらい実は申しておるのでございますが、ただ、今の先生のお話の問題につきましては、検定をしないで、何といいますか、規格でよいということは、これは考え方として、そういう考え方もおありになるのはごもっともだと思うのでございますが、ただ使う人は一般の人でございまして、何といいますか、検定があるというのは、何となしに一つの信用度と申しますか、そういう考え方もあって、結局現在行なわれていると思うのであります。試合のときだけただ検査すればいいわけでございましたら、試合そのものに対しては別に差しつかえはないと思いますから、先生のおっしゃるとおりだと思います。一般に使うにも、やっぱり検定があると信用するような習慣がございますので、そういうことになっておると思うのでありますが、ただ、今の検定委員会の検定の方法について改善すべきでございますがもちろす文部省自体でやってもあるいは差しつかえないことかもしれませんが、長い間日本スポーツ界が自主的にそういうことも自分でやって、きれいにやってこられたわけでございますので、これからもできるだけやはりそういう自主的なやり方と申しますか、そういう点については私はあまり干渉がましいことはできるだけ避けたい。ただ、肝心の点については、申すまでもなく十分関心を持っておりますので、この辺についてのやり方の問題になるかと思いますので、先生の御注意もございますから私どもももっと積極的にやるように努力と申しますか、話し合っていきたいと思います。
  184. 河野謙三

    ○河野謙三君 これで質問をやめますが、誤解があるといけませんから。私は検定なんて一切要らぬということを強く主張しているわけではない。現在のような証票と検定料を引きかえにやっている、現実にボール一つを検定するとか、またサンプリングで検定するとかいうことでさえもやっていないような検定なら、そんなものは要らないじゃないか、むしろ規格をきめて、検定というのはやめても同じことじゃないか、むしろ規格をきめたほうがより正確じゃないかということを言っているのであって、検定そのものを厳格にやるなら、検定料を取って検定をやったほうがいい、検定を否定しているわけではないのです。今言ったような検定の形ならやめちゃって、規格をきめてやったほうがいい、こういうことを言っている、今まで正しかったら…。しかし、あなたに干渉しろとは言いませんが、少し変なことがあったら小言くらい言う資格はあるでしょう。あなたが小言も言わないから私は文句を言っている。体育局長が小言を言わなければだれが文句を言うのか、まきか荒木さんが一々文句を言うわけにはいかないでしょう。そういう意味で、いろいろスポーツ界も、スポーツが盛んになればなるほど、それが多いようでございますが、その他にもあります。私ども、しかし一々そのことをここに来てぶちまけるわけにはいかない。どうのこうのと言うわけにはいかない。スポーツ界が早く蒸留水のように——かってはほんとうに、やまと魂時代がきれいなスポーツ界であったことは間違いありません。そこに西田君もおられますが、お互いに古いことを言うようですが、今のようなプロだかアマだか区別がつかないようなスポーツ界じゃなかった。一つには文部省の干渉があったかもしれませんけれども、文部省が体育行政について積極的な指導をしたおかげでもある。ところが民主主義の名において、文部省があまり引っ込み過ぎた。一方スポーツ界が非常に発展した、こういうような膨張をし、発展をして、そこに、今厳格に言ってアマチュア精神がないとは言わないが…。こんなアマチュア精神を捨ててこれでいきますかというとそうじゃない、オリンピック憲章に基づいて、アマチュア精神に一致したところの東京大会をやるんです。何も日の丸の旗を揚げるのが目的ではない。日本選手はアマチュア精神に徹して、どこからも指をさされないようなりっぱな競技をやらなければならぬ。私はそれがための準備だと思う。今まではともかくも、これから一年半ですか、体育局長、世紀の体育局長ですから、大いにひとつがんばっていただきたいとお願いして、はなはだよけいなことを言いましたけれども…。
  185. 前田充明

    政府委員(前田充明君) 河野先生は、体育界の実情は申し上げるまでもなく十分御承知でございますので、何も申し上げる必要はございませんですが、またお気持も十分私よくわかりました。全く先生の気持に私の気持も一致しておりますので、できるだけ御趣旨に沿うように努力いたすつもりでございます。
  186. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) ほかに御質疑のおありの方はございませんか…。別に御発言もないようですから、本件についての質疑は、本日はこの程度にいたします。  次回の委員会は公報をもってお知らせをいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時九分散会