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政府委員(池田清志君) 今のお尋ねにお答えを申し上げまする前に、特に
委員長から先ほど来御
発言も許されておりますので、ただいままでのお尋ね等と重複をいたし、あるいはまた
政府委員からのお答えにも重複をするかも存じませんが、しばらくお許しをいただきたいと思います。
この前の
委員会におきまして、皆さん方の御
意見といたしまして、端的に申しますと、
専売公社が持ち出したらどうだという
お話、一、二の事例といたしましては、十円の募金についての募集費用を
専売公社で出したらどうかという御
意見、あるいは五十円プラス十円の六十円では、買う方々の不便もあるから、四十円プラス十円の五十円に格下げをしたらどうかというような具体的なお示しもございました。そういうお尋ねに対しまして、私は専売制度を維持いたしつつ、
資金財団の募金につきまして協同をさしていただきまするのがこの法案であり、
政府といたしましては、これが
最善なものでありますと、こう申し上げておったのでありますが、皆様方からもさらによく検討せよ、研究せよと、こういう強い御下命もありましたので、その後、
政府の間におきましてもいろいろと各方面から検討をいたし、相談もいたして参ったのです。ところが、やっぱり結論的に申し上げますと、貴重な御
意見ではありまするけれども、専売制度を維持して参りまする建前上、その御
意見に聴従することができないという
考え方になっておるわけです。
そこで、くどいようですが、少しく申し上げさしていただきますと、
専売公社の仕組みと申しましょうか、本質と申しましょうか、それはすでに法律にもありまするように、「国の
専売事業の健全にして能率的な実施」をすることと、こうありまして、しかもまた法律には、専売納付金を国庫に納付せよと、こういう法律上の義務を負うておるわけです。したがいまして
専売公社は、ほかの
公社あるいは現業と違いまして、事業をするばかりが使命ではないのでありまして、事業をいたしまして、利益を得まして専売納付金といたしまして一般歳入の中にこれを納めるという至高の命令を受けておるわけです。ほかの
公社、現業におきましては、そうでないのでありまして、事業すること自体がその存立の使命であるように私は
考えます。その点におきまして、
専売公社自体が特別の使命であるということを、私どもは強く
考えておるわけです。そこで一般歳入会計におきましては、歳入の私は四本の柱の
一つであると
考えております。一般歳入は、御
承知のように、租税でありますとか、専売益金でありますとか、そういうものを集めておるのでありますが、所得税、法人税、酒税及び
たばこの専売
——たばこと言っちゃ語弊があります。
——専売納付金というものが
一つの柱になっておるわけです。三十八年度の御審議をいただいておりまする
予算におきましても、御
承知のように、一千五百七十二億円というものを一般歳入に納付するわけであります。その数字は、昨年度からいたしますと、十七億円減っております。そういうようなこともありまして、
専売公社といたしましては、この責任の重大性を
考えまして、いよいよ努力をしなければならないと、こう言うふうに言っておるわけであります。ところでオリンピアスにつきましては、
たばこ自体は五十円の値打ちのある
たばこでございます。
専売公社の本来の事業といたしましては、五十円の
たばこを作って
販売するというのが使命であります。その
たばこに、
資金財団の
お話、協同と申しましょうか、によりまして十円の寄付金をくっつけて売り出す、こういうことであるわけです。したがいまして、五十円の
たばこ自体につきましては、
専売公社は本来の使命にしたがいまして純益を得さしていただいておるわけです。十円の寄付金につきましては、
資金財団が募金するのでありまするから、これらに要しまする費用は、おのずから
資金財団みずからにおいて御負担をいただく、こういう話し合いで進んでおるわけです。この点は靱さんからもいろいろと御
説明をいただいておるわけです。
ところでオリンピアスという
たばこの内容でありますが、これはいい
たばこでありまして、五十円の値打ちのある
たばこだと、こう申しましたが、これにおきまして車売
公社といたしましては六四・五%の純益を得ることになっております。この計算がもとになりまして、先ほど申しましたところの専売納付金が組み立てられておるわけです。ところで六四・五%の純益率は高いのじゃないかと、お示しがあるかもしれません。御
承知のように、
たばこにつきましては上厚下薄というような格好で、よい
たばこにつきましては純益を得ることが多いし、悪い
たばこにつきましてはなるべく純益を得ないようにというのが
専売公社の
たばこの価格体系であります。でありまするから六四・五%の純益率を動かすということもなかなかできない相談であるわけでございます。さらにまた寄付金につきまして、持ち出しをしたらということでございますが、これは先ほど来申し上げておりまする
専売公社そのものの使命に反することでありまするし、靱さんからも
お話がございますように、ほかの
公社、現業等が、募金について協力しておりますが、それはしかし
公社、現業におきまして取るだけのものは取って、そこで寄付金といたしまして協力はしておるわけです。この点は、
専売公社のオリンピアスそのものの問題に移して
考えますと、
専売公社が五十円の
たばこについて六四・五%の純益を得て、そして十円については
資金財団のほうにおきまする経費負担によって募金が行なわれる、こういうことに割り出されて参っておるわけでございます。さらにまた、小売価格を四十円の
たばこにしたらどうか、こういう御
意見につきましても研究をいたしたのでありますが、四十円の
たばこに下げますというと、一億八千四百万円という赤字になります。その赤字は、ひいては先ほど申しましたような専売納付金の千五百七十二億円に
影響してくるわけでございます。あれやこれや
考えて参りますというと、
専売公社自体の本質、使命というものからいたしまして、
専売公社が何がしか持ち出すということになりますと、それは一般
予算の中に
影響してくるし、
政府各関係の
予算に
影響を来たすわけでございます。したがいまして、われわれ
政府のものといたしましては、先ほど来も申し上げましたとおり、こういうふうにお願いするのが
最善であるという、こういう
考えのもとに御審議をいただいておるところでございます。御参考までに申し上げますと
オリンピックは
国民の祭典でございますから、
国民みんなが協力するわけです。
政府自体と言っては語弊がありますが、
国民の方々に
政府を通じてこの
オリンピックに御協力をいただいております。たとえて申しますというと、
オリンピック施設の問題とか道路の問題とか環境施設の改善の問題等、いろいろ
国民から、
政府を通じまして、国を通じまして協力をしていただいておりますが、それはつまり三十八年度におきましては六百四億、こういうような歳出にも、今審議をいただいておりまする
予算の中でなっておるわけです。さらにまた、
資金財団の親もとでありまする
日本体育協会、この協会に対しましては、一般財源の中から二億五百万という寄付も
——寄付といっては語弊がありますが、補助金を出すことになっております。こういうふうにいたしまして、このオリンピアスを通じまして、
専売公社というのも、その五十円の
たばこにくっつけて
資金財団が募金をしていただくということについて御協同申し上げておるのでありまして、
専売公社自体が何がしか持ち出しということになりますと、これはもう一般の
予算とか
政府機関の
予算等に
影響をして参ります。歳入欠陥を生ずることになります。したがいまして、問題は金高の問題ではないのであります。本質、使命の問題であります。
政府といたしましては、歳入欠陥を生ずるようなことを予測するようなことにつきましては、何といたしましても聴従することができない次第でございます。
お耳ざわりになったかと思いますが前の
委員会におきまする宿題にお答えする意味合いにおきまして、ここに申し上げさしていただいた次第です。