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1963-02-21 第43回国会 参議院 オリンピック準備促進特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年二月二十一日(木曜日)    午前十時二十三分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加賀山之雄君    理事      河野 謙三君            西田 信一君            岡田 宗司君    委員      石井  桂君            北畠 教真君            小柳 牧衞君            天坊 裕彦君            田中  一君            永末 英一君   政府委員    大蔵政務次官  池田 清志君    大蔵大臣官房日    本専売公社監理    官       片桐 良雄君    文部省体育局長 前田 充明君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   説明員    日本専売公社総    裁       阪田 泰二君   参考人    オリンピック東    京大会組織委員    会事務総長   与謝野 秀君    東京オリンピッ    ク資金財団理事    長       靱   勉君    日本体育協会事    務局次長    山辺 貞雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○オリンピック東京大会準備促進に関  する調査  (国際オリンピック委員会理事会の  経過報告に関する件) ○オリンピック東京大会準備等に必  要な資金に充てるための寄附金付き  の製造たばこ販売に関する法律案            (内閣提出)  (東京オリンピック選手強化対策に  関する件)     —————————————
  2. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) ただいまからオリンピック準備促進特別委員会を開催いたします。  オリンピック東京大会準備促進に関する調査議題にいたします。  この際、与謝野オリンピック東京大会組織委員会事務総長が出席されておりますので、ローザンヌにおけるIOC理事会の結果につきましての御報告をいただきたいと思います。
  3. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) 与謝野でございます。  今月の四日の晩に東京を立ちまして、六日にローザンヌへ参りました。ちょうど国際オリンピック委員会IOCと申しておりますが、このIOC実行委員会通称理事会でございますが、これがローザンヌで二月の七日に開催される、その機会にいろいろ国際オリンピック会長以下にごあいさつするということと、その翌日に各国際競技団体代表IOC理事との懇談会がありまして、それに政治スポーツという議題が与えられているので、それにオブザーバーとして列席するようにということで参ったのであります。御承知のように、IOCメンバーは国の代表ということでなく、個人として選ばれておりまして、実行委員会には日本国側としては東都知事委員としてメンバーとなっておられるのでありますが、今回は都合によって出席されませんでした。私も、もし代理というものが認められたならば、この理事会のほうにも出席いたしたいと考えておって、東さんからの手紙も持って行ったのでありますが、向こうの規則上やはり個人代表でありますから、その代理というものは認められなかったので、七日の理事会には出席いたしませんで、八日の懇談会のほうに出席したわけでございます。実は昨年のジャカルタ大会の跡始末の問題が今回の理事会に出るのではないかということを私も考え、いろいろ皆さんの御意見も伺って行ったのでありますが、今回は日程にその点が明らかにされておりませんでしたために、あるいはアジア競技連盟が目下調査中でもあり、今回はこの問題に触れないのではないかという楽観的な意見日本を出る前に相当聞かされていたのであります。私はあぶないな、問題が出るなという予感を持っておりました。六日に着きまして、ブランデージ会長以下にごあいさつし、七日は札幌の冬季オリンピック招致のための使節団が来ましたもので、これの立候補の届出その他の世話をいたしておりました。理事会秘密会が相当長く続いたのでありますが、その夜に至って、事務総長から私はインドネシアIOCメンバーであることの資格をしばらく停止されたということを聞いたのであります.そこでブランデージ会長に翌朝早くお目にかかって聞きましたところ、これは条件付のものであって、ジャカルタ大会のようなことをもう一度繰り返さない、今後は繰り返さないという保証さえあれば、いつでもとけるものだ、こういう御説明だったのであります。その後懇談会が開かれまして、一日じゅう各代表意見開陳が行なわれました。結局この懇談会のほうでは、インドネシアに課したようなことを一般化して、各国際競技団体がそれぞれの加盟団体を通じて、それぞれの政府に働きかけ、人種、宗教あるいは政治等の理由による差別待遇を行なわないということを原則的に認めさせようとしたのでありますが、いろいろ各国代表にも意見がございまして、ついに夜に至って、意見がまとまらず、一つの案文を作って、これを勧告案としてまたこの次の総会に持ち寄って、皆で考えようということで別れたわけでございます。  ところで、このインドネシアの除名ということは、秘密会でございましたから、いかなる討議の結果こうなったか、詳細わかっておらないのでありまして、スイスの新聞その他を総合いたしますと、事務総長が強かったのを会長がなだめて、条件付にしたのだというようなうわさ新聞に載っておりましたけれども、はっきりしたことはわからないのであります。ただ、インド代表として昨年ジャカルタ大会で、インドネシア側から相当ひどい待遇を受けましたインドソンディ代表は、詳細の報告書委員会に提出しておりまして、これは私も事前に読んでおったのであります。そういう報告のために、非常にIOCメンバーに対する侮辱的なことをやったというような感情的な面もある程度作用していたのではないかと思うのであります。同時に、いつまでも放っておけば、ますますこれは事態が収拾できなくなる、ひとつこの辺でしかっておくのが必要だというような、比較的甘い判断もあったのではないか、こういうふうに考えられるのでございます。ただ、文書で何も発表されませんでしたために、インドネシアにどういう通告がされるかということはわれわれにもわからず、ブランデージ会長言葉どおり、つまり今後の保証というものが与えられるまで、しばらく資格を停止するということであったのでありますが、御承知のように、数日後にインドネシア側は反発を示しまして、IOC自分のほうから進んで脱退する、こういう態度を表明したわけでございます。私は、その七日の晩にいろいろ考えたのでございますが、これはインドネシアだけの問題でなく、おそらくすでにIOCを脱退しております中共はもちろん、アラブ諸国にも波及するのではないか、こういう危惧の念を持って非常に心配したわけでございます。なぜかと申しますと、昨年のジャカルタ大会のごたごたという裏には、やはりアラブ諸国イスラエルという問題がございまして、インドネシアがああいう態度をとったのにも、これはアラブ諸国に対する気がねないしアラブ諸国からの要請というものがあったということは、大体今日明らかとなっているわけではございますが、したがって、今日インドネシア側が苦境に立てば、アラブ諸国のほうから、インドネシアを見殺しにするわけにはいかない、こういうことで、昨夜来いろいろ電報が入っておりまして、まずアラブ連盟の中の十二カ国にIOCと絶縁することを勧告するような提案がなされているのであります。このアラブ連盟と申しますのは、私もエジプトに三年おりましたためによく知っておりますし、事務総長もよく知っておるのでありますが、平素ほかの問題ではいろいろアラブ諸国が利害対立していがみ合ったりすることもあり、昨年来事務総長も辞職するというようなうわさまで飛んだのでありますが、事イスラエルに関します限り、このアラブ諸国の歩調というものは一つになるのでありまして、今後この十二カ国の中にはぜひともオリンピック参加したいという国も多々あるに相違ないのでありますが、おそらく、一応インドネシア行動をともにするという態度に出る公算が強いのではないかと思うのであります。御承知のように、ローマのオリンピックマラソンで、アベベに負けたのはモロッコ選手でございまして、これはモロッコは必ず一着をとるという確信を持っておったのがアベベのようなものが現われて負けたのであります。またフランスの植民地時代のアルジェリア、その他のアフリカの諸国マラソンに優勝したことがあるのでありまして、これらの国の人たちは相当オリンピックというものに関心を持っておるのでありますが、一方そういう政治的な問題が優先いたしますために、なかなかこの問題もいわゆるスポーツの社会だけでは解決できないのじゃないか、こういうふうに思われるのであります。今日まで、まだ七日の理事会議事会議事録東委員のもとに送られてきておらないのでありまして、どういう発言、どういうことからこの決定があったかということははっきりしておらないのでありまして、新聞等によれば、ソ連だけは反対したが、あと賛成だったというようなことを伝えておりますが、もともとこの委員会というものは各国代表——偶然一国一人ずつ出ておりますが、国の代表という資格で論議しているのではないのでありますから、ソ連以外は賛成という言い方も少しおかしいかと、こう考えておるのであります。  なお、この問題につきまして、日本としてとるべき態度というようなことについても、各方面においてみな慎重に考えておるのでありますが、外に対する窓口という意味におきましては、やはり今後オリンピック憲章の問題ないしアジア競技連盟が、今後いろいろな問題がこのインドネシアの問題に関連して起こってくるために、やはり日本オリンピック・コミッティ、日本国内委員会が主としてこの問題を扱い、究研し、またとるべき措置があればとるということに大体きまっておりまして、私どものほうの組織委員会は来たるものは皆さん喜んでお受けするという態度オリンピック準備を進めていく、こういう態度になっておる次第であります。まだこまかいこともございますが、大体もうすでに新聞等で御承知のとおりでございますから、簡単でございますが、もし御質問でもありましたらお答えいたしたいと思います。
  4. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) ただいまの御報告に対しまして御質疑のおありの方は御発言をお願いいたします。
  5. 河野謙三

    河野謙三君 私は、ここにおいでの組織委員会の村井君らとともにジャカルタへ行って、終始あの紛争の中に巻き込まれまいと思ったけれども、巻き込まれた一人でございます。それはこまかく何も報告する必要はございませんが、ただ、われわれのように外国の事情によく通じていない者は、日本の国の常識では全く判断のできないような国であり、またそこの国の政治家はわれわれの判断のできないような考え方、行動をするということをつくづく私は見て来たのです。で、私は与謝野さんにお尋ねしたいのは、インドネシア紛争の場合も、われわれ行ってわかりましたのは、事スポーツといえども国際間の問題でございますから、外務省情報というものと常に密接な連絡を持ってやらなければいけないということを痛感したんです。あの場合も行きましたら、当時の大使の黄田さんには、ああいうことが起こるのであろうということは、スカルノですか、大統領は。あの人自体の口から一カ月も二十日も前にその話を聞いておられるんですね。ただそれが事スポーツのことだからということで、外務省出先機関はむしろその情報連絡に遠慮しておられたというような私は形があったと思う。であるから、そういうことを知らずに監督はどんどん出ていく、選手はどんどん出発していく、行ってみたらたいへんなことになっている。できたことは仕方ありませんが、今後におきまして、私は今のインドネシアの問題も、スポーツのことであるから対外的には一切スポーツ団体がやるんだ、形式はそれでなければいけませんけれども、実質的には、幸い与謝野さんのような世界各国情勢に通じておられて、しかも、外務省機関とは非常に密接な連絡を持っておられる。やはり国際情報というものを外務省を通じてよくキャッチされないと私はいけないと、こう思うのです。従来の例でいなますと、政府機関はえてしてスポーツのことには引っ込み思案である。スポーツ団体スポーツのことはおれたちにまかせろというような形で、形式だけでたっとんで実質が伴わないということで、ちぐはぐに私はなってくると思う。やはり明年のオリンピックにつきましても、ある人はこう言います。オリンピック憲章に基づくオリンピックというのは、無理をしてやっても東京大会最後であって、そのあとは開催できないだろう。オリンピック憲章そのものを変更すれば別であるけれども、アマチュアリズム一つをとらえても全くめちゃくちゃでございます。無理なことは、今後東京大会最後として続かないだろうということさえも言われております。私はむしろそういう説に賛成するほうであります。しかし、まあ何と申しましても、来年のオリンピック大会は盛大に、しかも何らの混乱もなくやらなければいかぬという際に、私が与謝野さんにお尋ねしたいのは、もう少しスポーツ団体におきましては、事インドネシアの問題については、慎重であって、みだりに個人的な発言というものはすべきじゃない、この際はあげてもう少し政府機関である外務省とよく密接な連絡をとって一切の行動をすべきである、かように思いますけれども、事務総長であり、前の外務省の高官であられるあなたはどういうふうなお考えでございますか。
  6. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) お答えいたします。ただいまの河野先生の御発言、私はしごく同感なんでございます。まず第一に、つまり形式実質というお言葉がございましたが、実はわれわれも、形式的にこれはIOCの問題であるということを申しておりますが、心の中で、実質的には決してIOCだけにまかして横を向いていればいい、こういう考えでそう申しているんではなく、対外的にもそういう態度を示しておいて、こちらが実質的にいろいろ研究し、また行動しなければならない、こう考えておるのであります。実はインドネシアの昨年の大会のときにおける現地のいろいろな事情については私は詳しくは存じないのでありますが、やはり外務省出先機関といものもあります以上、これがフルに有益なインフォーメーシッンを与え、また同時に示唆を与えてくれるということが必要なことはお言葉のとおりなんでありまして、今後またこの問題がさらにインドネシアのみならず、ほかの国にもいろいろ波及してくるということでございますから、できるだけ外務省及び政府の意向というものをよくわれわれが意に体するように密接な連絡をとっていきたい。ただ、今もお言葉にありましたとおり、外に向かっては慎重に、軽々にものが言えないような事態でございますために、主としてJOCにこの問題は研究していただく、こういう態度をとっておるわけでありまして、実際は河野さんのお説のとおりにやっていきたい、こう考えております。
  7. 河野謙三

    河野謙三君 私は希望を申し上げておきますが、インドネシアの問題が起こって以来、評論家発言は自由でございますけれども、組織委員会その他体育協会に関係のある名士の方々でいろいろの意見を言われておりますが、その意見の中に、少数ではございますけれども、この際日本が仲介の労をとったらいいだろうとか何とかいうのが、出ておりますが、不謹慎きわまると思うのです。私はそういうことは、あれやこれやを拝見いたしまして、この際私は前段申し上げたような意見を申し上げたわけなんです。幸い事務総長形式はともかくとして、実質的には君と同じだとおっしゃるなら、私は今後組織委員会等の会合がありました場合に、この点につきましては、もう少し慎重にひとつ発言をしてもらうようにしなければ、非常に国際的な大きな影響があると思う。政治スポーツは別だといいましても、政治がからまないスポーツは今は通用しませんよ。ところが、スポーツ界の人は、大体においてスポーツのことは知っておるけれども、国際情勢は知らぬ、政治はわからないという方が比較的多いのじゃないかと思うのです。そういう方の発言が、悪意というのではないでしょうけれども、結果的に悪い影響があると思うので、この際私は特に申し上げたわけです。  ちょっと私は別の問題でもう一つ。ちょうど事務総長がお忙しいところおいで願ったので御質問申し上げますが、まあお骨折りで組織委会長はきまりました。しかも、非常にりっぱな方がきまりまして私は喜んでおるのですが、肝心かなめ強化本部部長ですか、これはきまらないのですね。これは一番重大な任務を持っているのですが、幾ら予算がきまりましても、強化案に対して非常に重点的に予算を組みましても、その指導者である強化本部長がきまらないのはどういうわけなんですか。きまったのか、それともきまらないのか、もしきまらなければ、いつごろまでにきまるのか。もしおわかりでしたらお見通しをお聞かせ下さい。
  8. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) お答えいたします。前段の、スポーツ評論家といえども軽々発言すべきでないことは、実は私が東京に着きました晩から申しておることでございまして、全く御同感でございます。  ただいま選手強化本部長の席が空席になっておるというお話でございました。私は体育協会及びJOCには一つの肩書も持っていない、形式的に全然無関係なのであります。ただ会長初めいろいろ折衝する機会が多く、いろいろ及聞することも多いのでありますが、強化本部長を早くきめたいということで、体育協会のほうで熱心に目下選考を進められているということを聞いております。それ以上のことは私としても存じませぬわけであります。
  9. 河野謙三

    河野謙三君 それは組織委員会としては、強化本部長の問題は外の問題ですけれども、しかし、私は外とも言えないと思うのですよ。組織委員会というものは勧告もし、指導もしたらいいと思う。これはほかの事務局の一部長空席であるとか何とかということと違いまして、もう一年ちょっと控えていよいよやるのでしょう。その場合に一番大事な、準備の中でも一番重点を置かなければならない強化本部長がきまらないということは、組織委員会としても十分関心を持っておられる、関心を持つだけでなしに、ぜひそういう発言もあったということで御勧告をいただきたい、私はこう思います。  その他この前、私が伺いましたスポーツ用具の検定ということにつきましては文部省の方が見えておりますから、後ほど私はお尋ねすることにして、一応私の質問は終わります。
  10. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) ただいまのお話の点は、私がまた石井体育協会長、ないし竹田JOC委員長とお目にかかるときに、御発言委員会であったということを私からお伝えをいたしたいと思います。
  11. 田中一

    田中一君 そうすると、アラブ各国で十何カ国が参加しないという通告があった場合に、またそういう気配があった場合に、組織委員会はどういう態度をとろうとするのか、そのまま何も出ないものはしようがないというようなことになるのか、あるいはスポーツマン精神に徹して、政治云々というのではなくて、出てくれという要請をしようとするのか、心がまえの問題です。結局だれが、どの国のどの民族が幸いだとか不幸だとかということではないと思うのです。したがってフェアにスポーツ精神に徹した行動というものは許されるべきだと思うのです。何か自分一つ一つ発言の陰に、何らかの一つのものを持ちながら発言するところに不純なものがあり、かつまた国民の批判もあろうかと思う。したがって、あなたの場合、東京大会というものに最善の努力をするということは、出ないものはやむを得ないからうっちゃっていくということなのか、あるいは最善を尽くして参加を勧めるのか、その点はどういう心がまえを持っておりますか。
  12. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) お答えいたします。先ほどから申しましたとおり、組織委員会としては、あらゆる国が東京大会参加してくれることを望んでいるのでありまして、また最後の瞬間までそのつもりで準備を進めてきたいわけでございます。今度のインドネシアの問題、それが波及してアラブの問題が起こりました場合に、これに対してどう善処するかは、もっぱら日本オリンピック委員会というほうで研究していただき、実質的にはわれわれとして、こういうこともある、こういう智恵もあるということは、裏ではいろいろ皆話し合いますが、組織委員会というものは東京大会準備する委員会である、そういう建前でいきたいと思うのであります。また、それじゃ今後参加要請するかどうか、仲裁するかどうかということは、先ほど河野委員からの御発言がありましたような趣旨で、今日のところは慎重に構えて参りたい、こう考えております。
  13. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) それでは、与謝野事務総長の御報告にかる問題につきましては、この程度にいたします。
  14. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) 次にこの前に引き続きまして、オリンピック東京大会準備等に必要な資金に充てるための寄付金付き製造たばこ販売に関する法律案議題にいたします。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  15. 田中一

    田中一君 専売公社の三十八年度の事業計画といいますか、これはやはり政府に出すのでしょう。その中で今度の三億本といいましたか、オリンピアスの計画はどういう工合に折り込んであるのですか、予算的に。
  16. 阪田泰二

    説明員阪田泰二君) 三十八年度の予算につきましては、ちょうど一年分、大体一年間このたばこを売ることになりますので、全体三億本でありますが、三十八年度一年分ということで二億本の売り上げを予算の収入なり、また計画に見込んでおります。
  17. 田中一

    田中一君 しょせん専売公社たばこの商人です。結局一応バランスをみながら、決算面バランス考えながら、国民が求めるもの、売れ行きのいいもの、売れ行きのいいものは国民が求めるものなんですから、そういうものを選んで製造し販売するのだと思うのです。したがって、どのたばこが売れ、思惑違いでどのたばこが売れなくなったということもあろうと思うのですが、そういう点についてはどこからも、そういう悪いたばこは売るなとか、また製造したものを、その葉を再生することもあると思うんですが、そういうものに対しては——私はちょっとそのほうはわからぬのですが、大蔵省がそれを監督するという立場になっているのか、そしてまた、それらの報告ですね、経営上の報告というものに対してはどこかで何か制肘を受けるようなことがあるんですか。それとも公社自分でやって、失敗失敗、よく売れたものは売れたものというので、その経理をそのまま報告すればいいということになっているんですか。
  18. 片桐良雄

    政府委員片桐良雄君) 大蔵省立場から一応御説明申し上げます。  専売公社専売事業を営むにつきましては、公社として成立いたしましたゆえんがやはり経営自主制ということを考えての措置でございまして、もちろん大蔵大臣監督下にあるのでございますが、今おっしゃいましたように、どういうたばこを作るとか、どういうたばこをどういうふうにして売るとかということは公社経営に属することなんでございまして、これは公社が責任を持ってやっていることでございます。もちろん、その間におきまして大蔵省といたしましても、自主的とは申しながら、やはり政府の重要な仕事をやっておりますので、十分な監督並びに協議、意見開陳等をいたします。理事会等におきましても大蔵省代表いたしまして私が出席いたしまして、一緒にいろいろ意見を交換しながら、大蔵省意見も十分に公社にお伝えし、その上で公社が自主的にまたいろいろお考えになってこういう事業計画もやっておられるわけであります。ですから、もちろんたばこのよしあし、味のどういったところをどういうふうにするかということは公社経営権に属するものとして、私どもは十分その意見も尊重しながら、かつ国家の要請するところに従いまして意見があるときにはこれを申し上げている、こういうことでございます。
  19. 田中一

    田中一君 新しくオリンピアスを発売する。これが売れない場合には、少なくとも国民たばこを媒体とする寄付行為というものが縮まるわけなんですね。一体専売公社あるいは政府として一うしろだての政府として、国民から寄付金を徴収するための手段としてオリンピアスを発売しようという考えに立っているのか、あるいは積極的に国民が喜んで出すという機会というか媒体を何に求めるかというところできたものか。それから組織委員会の問題ですか、このたばこの問題は。——そうなると、組織委員会としては新しいオリンピアスというたばこを出して、これが一応予想される三億本ということを考えれば、三億円という寄付金を国民から強奪するんですよ、結局ね。ということは、こういう新製品のたばこによってその方法をとるのが一番適当であるという判断に立ったのか、私はその点の真意がまだ明らかに理解できないんですよ。一番国民が求めている、まあどういうたばこかしらぬが、私はピースを吸っていますが、ピースならピースに小さい額の、あるいは何かの形でもってそういった寄付行為を行なうような機会をピースならピースに乗っけてやった場合には、非難もあろうけれども、まあ国民に受けるか受けないかはこれからの問題でしょうけれども、あるいは場合によればもっと高価なたばこもあろうと思うんです。そういうものには割高の寄付行為をくっつけるようなものも私は考えられると思うんですよ。だから、公社の意思というものは、何もオリンピック東京大会に対して貢献してない。商売の道具に使っているにすぎないんです。ですから、そういう点が非常に理解しにくいのですがね、どうなんですか、その点は。なぜこうしなければならぬものか。なぜ新しい新製品に寄付金というものを乗っけなければならぬ、寄付金というものをくっつけて販売しなければならないか。その点がほんとうに理解できないのですよ。公社の意思というものは何もないのですよ。あらゆる費用、取り扱いの費用も全部東京大会というか、開催側のほうに持たして、それで一箱五十円で二十六円三十七銭という販売のあたりまえな利潤というか、剰余金か知りませんけれども、そういうものを取り上げるということは、はなはだ理解に苦しむのです。むろん公社オリンピック大会に対して自分のほうからある一つの寄付行為とか何とかいうものを考うべきものじゃないかもわからぬ。しかし民間の各団体は、またスポーツ団体等も、プロの世界でも、標識、五輪−五つの輪ですか、あれを使う場合にはどうこうということをやっている。一生懸命金集めをやっている。その諸経費を引いて寄付をやっているんですね。実費を引いて。公社の場合には、ピースを売ったり新生売ったりするのとちっとも変わらない形でもって媒体としての役目を果たしているにすぎないと思うんですよ。一面、売れない場合には損失を受けるのじゃないかということをいいますけれども、これは売れますよ。ピースの広告なんか盛んに出しているから、売れそうなものは、購買力をそそるものはいろいろやっているんですから、そういう点の真意がわからないのですよ。大蔵省が押えているのか。専売公社の役員会では、専売公社としても、ひとつ何かそれによって利潤のうちから幾らかでも寄付しようという考えが出たのか出ないのか。そんなことはいけないといって監理官が押えたのか。どうもそういうところが国民にだけいろいろな意味の負担をしいるというようなところが見えるのじゃないかと思うんです。そういう点はどういう経緯なんです。
  20. 与謝野秀

    参考人与謝野秀君) 最初に組織委員会に関係いたしましたことからお答えいたします。オリンピック準備の組織はオリンピック組織委員会、また資金関係につきましては特別な財団法人資金財団というものを作っていただきまして、資金関係はそちらでいろいろ頭をひねっていただいているわけであります。もちろん、そこから集まりました国民の寄付、その他政府の補助、全部ではありませんが、組織委員会がこれをいただいてオリンピック準備をいたしているのでありますが、オリンピアスであれば国民の寄付の強奪であり、ピースであればその懸念は少なくなるという点になりますと、やはり資金財団のほうでこれをお考えになりましたときにいろいろお考えがあったと思いまして、組織委員会としてはちょっとお答えいたしかねるわけでございます。
  21. 靱勉

    参考人(靱勉君) この前もちょっと御説明申し上げましたが、一昨年の夏に特別措置法を作っていただきまして、これは郵政省、三公社の御協力を得るということで特に法律を必要とするので国会の審議で成立いたしたわけでございますが、ただその際に、専売公社の御協力を得て資金を調達する方法といたしましては、愛煙家の方、スモーカーに御協賛をいただくか、あるいはこの前の案はたばこに広告のカードをつけて、これは結局その企業体、会社等がスポンサーになって御協賛をいただく、どっちの方法かということにつきましては、率直に申しますれば、私どもでもできるだけ一般スモーカーの方にお願いできないだろうかとお願いに上がったのですけれども、これはなかなか、あるいは監理官から御説明があるかと思いますが、考え方によっては問題があるということで、当時、現在できておりますように、広告によるということになった結果は、先日御説明申し上げたとおりで、三十七年度では一応中止した格好になっております。  そこで、今回のお願いというものは、全く愛煙家の方の御協賛をいただきたい。それにはどうしても専売公社が、やはり新種のたばこを出し、それに寄付金をつけて売り出さないと、たとえば、あるピースは四十円である、あるピースは寄付金がついていて五十円といいますと、これはなかなかたいへんなことだ。そこで、いろいろ専売公社大蔵省の監理官等におかれまして御検討下さいまして、この案なら国会の御承認を得られるだろうということで、御提出になったと存じております。私どもこれが最良の方法ではないかというふうに考えまして、ぜひお願いいたしたいと、こういう次第でございます。
  22. 片桐良雄

    政府委員片桐良雄君) ただいま靱理事長からもお話がありましたように、オリンピックに協賛いたしたいという気持は、われわれも十分持っておったわけでございます。ただ、専売公社としましては、その本来的な性格から、直接に専売事業以外に金を出す、寄与するということは、一種の財政秩序を乱すことにもなりますので、これはちょっと不可能なことなんでございます。したがいまして、やはり今お話がございましたように、公社が御協力申し上げるけれども、そういった不都合の起きないような意味での御協力の方法はないものかということになりまして、結局、たばこをお吸いになる方々の好意に待って寄付を集める、こういうことになったわけであります。したがいまして、大蔵省としましても、積極的にこの法案を、たばこの発売について、省議をいたしまして、この方法が一番いいというふうに決定いたしました。公社にもいろいろ御努力願って、昨年の夏以来数カ月にわたっていろいろ試作品を作りまして、その結果、やっとこれならいけるという品を見出しまして、今日ここにこの法案としてできたわけであります。したがいまして、公社としましても、もし、こういうことがございませんでしたら、こういうたばこができ上がったかどうかというと、私は非常に疑問に思うわけであります公社にしましても、オリンピックのためにぜひいいものを作りたいということで、新種たばこを作ったわけであります。で、従来ございますピースに寄付金をつけるということは、いろんな意味でピースの愛用直の方の負担をふやすということになり、ある意味では値上げというようなことにも受け取られがちになりますので、従来あるたばこに寄付金をつけるということは、私どもは当初から考えなかったのでございます。こういう形でやりますのは、あくまで新品種で、しかもオリンピックにふさわしいりっぱな品格を持ったたばこにいたしたいということで、今日まで参ったわけでございます。
  23. 田中一

    田中一君 せんだっての委員会報告された五十円の内訳というもの、これはわかりましたけれども、この中から何らかの寄付行為がされるようなものが出るならば、これが今までの経営体系を乱す、経理体系を乱すのだ、こういうことだと思うのです。だれがそういうことを言うのです。乱すだとか乱さないとか、だれが言っているのです。管理官が言っているのですか。それとも国が言っているのですか。大蔵大臣の見解で言っているのですか。どういうことですか。
  24. 片桐良雄

    政府委員片桐良雄君) 現在の法秩序のもとでそういうことになっておりまして、もちろん立法措置が講ぜられれば、これは別であります。現在の専売公社法のもとでは、そういうことになっております。
  25. 田中一

    田中一君 今新しいたばこを作るために、この立法府へ法案を提案しているのでしょう。法律を改正すればいいのでしょう。
  26. 片桐良雄

    政府委員片桐良雄君) 立法されますれば、公社として、もちろんどのようなことでもできるわけでございます。
  27. 田中一

    田中一君 立法されれば——といって、そういう気持があるならば、じゃ、国会でもってそうおきめになればけっこうでございますということですね。
  28. 片桐良雄

    政府委員片桐良雄君) 国会は、もちろん国の最高機関でございますから、国会でおきめになったことは、もちろん政府はこれをちゃんと実施いたすつもりでございます。
  29. 田中一

    田中一君 すべてそういう形でもって、責任を回避しようというようなことばかりやっているんですよ。積極的にやろうとするならば、これは新しい特別措置法なり特別立法で、金はひとつもう三億円程度の三億本なら三億本程度のものは、何とか国としても、この面からはみ出してもいいじゃないか、あるいはこうした利潤的な二十六円三十七銭というものは縮めて、おいしいたばこを安く売って、そうしてたくさん売り上げてもらって、あるいは記念だといって秘蔵する人もあるかもしれない。これはもう厳密な意味の生活の問題とか賃金の問題等々うるさい理屈は言いません。一応民族の祭典というか、世界の祭典として、今度東京大会を持つならば、そうしたむだもあろうかと思うのです。それなら、あなた方が与えられている権限の中の判断だけで、今の二十六円三十銭という利潤を、そのままの形で持っていく、そうして増収をはかるという考えよりも、もう少し、これは大蔵大臣に聞くべきか総理大臣に聞くべきか知らぬけれども、あなた方が行政——結局よく小汀利得君が言っているように、現在の政治には、行政はあるけれども政治がないということです。ほんとうに国をあげての祭典であり、かつまた人類の祭典であるならば、政治を持ちなさい。行政面からだけ判断して、そうしてもし進んでいるならば、あなた方の権限でできるならば、何も国会に新製品なんか出す必要はございません。ほんとうに出してまでやろうとするならば、りっぱな東京大会を持ちたいというならば、そこまでの政治的な夢をもって共鳴すべきであると思う。そうしてそれを国民に訴えるべきであろうと思う。  だから私はもうこれ以上言いません。あと大蔵大臣に一ぺん来ていただいて、そうして最後の集約した質問をして、やめますが、これは監理官に言ったところがもう始まらない。とにかく言っていることが全部官僚が言っている言葉なんですよ。また総裁にしても、がんじがらめに締めつけれている機械の一つがものを言うんだから、言ったってしようがない。問題は政治ですよ、政治。えらいもの引き受けたという考えを持たないで、政治というのも国内政治ですよ。外国との政治的なものではなくて、これを援助しようという政治が必要だということを言っているわけです。関与する政治ではございません。私はスポーツには政治は介入してはいかぬと思います。どこまでもいかぬと思います。しかし、これを国民に知らしめ、国民の共感を仰ぐには、政治力が必要であり、そういう意味で答弁は要りませんから、委員長、次回にはどうしても大蔵大臣に来ていただきたい。もし大蔵大臣で不十分なら、総理大臣に来ていただくことを要望して、質問を終わります。
  30. 河野謙三

    河野謙三君 まず、公社に伺いますが、公社オリンピックに協力する体制ですか、協力するという気持はなくて、ただその機関を貸すというのですか。協力という体制でないのか。どっちか。それを基本的に伺いたい。
  31. 阪田泰二

    説明員阪田泰二君) 公社といたしましても、もちろんオリンピックに御協力申し上げる気持を十分持っておりまして、その方法として、今回かような新種たばこ、寄付金付たばこを発売するということを考えたわけでございます。協力という形が直接公社の支出として寄付金を出すという、負担するというそういった形には出ておりませんが、これは先ほど来いろいろ話に出ておりますように、公社の性格といたしましては、やはり専売によりまして財政収入を上げる、こういう形が基本になっております機関でありますので、もしそういう形でオリンピック資金に寄付をする、こういう必要がございますれば、これは私どもが考えますのは、公社の利益を上げて一般会計に納付されておるわけでありますから、一般会計のほうでそういうものは出していただく、これが財政法の建前の筋道であろう、私どもはそう考えておるわけであります。
  32. 河野謙三

    河野謙三君 私は何も協力しなければ——寄付をしなければ協力じゃないと、そんなことを言っているのじゃない。気持の上でもいいんです、協力する気持であるかどうか、協力とは何かということを私は聞きたい。協力するというなら、何が協力だ、どこで協力しているのだ。具体的に物心両面どちらでもいいのです、協力だという、協力するということでしょう。この提案理由にも従来も協力してきたと書いてある。これは何を協力したか知らぬけれども、今後も協力するのだ、協力の一助としてこれをやるのだ、協力の実は何か、何が協力です。寄付だけを協力だと言っているのじゃない、寄付も協力でしょう、それ以外にも協力の仕方は幾らでもあります、どういうことを協力だと言っているのですか。
  33. 阪田泰二

    説明員阪田泰二君) お説のとおり、オリンピックに協力するということに関しましては、寄付ばかりが協力の方法ではないと考えます。私どもといたしましても、オリンピックに対する協力ということにつきましては、公社という性格、与えられた制約もございますので、その制約のもとにおきまして、できるだけのことはやりたいと考えまして、いろいろ工夫をいたしたわけでありまして、靱さんから先刻御説明ありましたが、先般は抽せん券付で、たばこを売る場合に、抽せん券をつけるというような方法でやったこともございますが、これがはなはだ遺憾なことでありましたが、十分に成功しませんでしたので、その後何かかわる方法はないかということで、私どもといたしましても、大蔵省あるいは靱さんのほうの関係、いろいろ御相談申し上げまして、今回こういう案を作りましたわけでございます。
  34. 河野謙三

    河野謙三君 いや従来のことはいいのですが、今後これによってどこに協力の実があるのでしょうか。この法案で今度たばこを売り出すことによって、どこの面に協力の——精神でもいい物質的にでもいいがどこにある、それを私は伺いたい。私がみるところでは終始一貫協力なんというものはないですよ。名前、文字は提案理由に協力すると書いてあるけれども、どこに一体協力の実が上がっておるかというのです。先ほどから田中さんの言うように、ピースやホープと同じように、オリンピアスを作って売るときはやはり従来と同じような計算方式によって一定の収入を取って、それでたばこ屋さんに渡す、これだけでしょう、何が一体協力なんです。これは私は協力というのはどこをどう探しても出てこない協力の実が……。  私はついでに申します。なぜこんなこまかいことを言うか、これは物によってはこまかい、見方によってはこまかくない。というのは、ここに靱さんもおられるけれども、資金財団でもこういう大したことのない法案をなぜ河野はめんどうなことを言うのか、おれのほうは金をよけいほしいということを言ってるのじゃない、迷惑だというような——専売公社やあるいは大蔵省は、何を厄介なやつだと、うるさいやつだと、こう言われるかもしれぬ。ここに文部省の西田君もおられるけれども、私は好きであって、同時にやはりこれも社会のために多少でも役に立つと思っておるから、数十年私はスポーツ界の末端におりましてスポーツの振興に幾らか協力してきた。スポーツ界事情はどうかというと、こういうオリンピックのためにバッジを売る、なかなか売りにくいのです。それを手間ひまかけて、方々バッジを押しつけて歩く、今度オリンピック資金を集めるために映画をやる、映画の切符を売ってくれ、みんなで、それをやる、全国的にそういうことで日本スポーツというものは今日まできておるんですよ。みんな手間ひまかけてきておるんです。汽車賃を使い自動車賃を使ってきておるんです。そういう際に、せっかく専売公社オリンピックについて協力しようということで打ち出したなら、もう少し協力の実を何かここに出してもらわなければ困るじゃないかということなんです。私は、資金財団の要求でもありません、だれの要求でもありませんよ。私は単にスポーツ界と言わないでも、国民全体私のような感じを持っておると思う。そういう意味で私はここで言うんです。協力というのは何が協力だか具体的に言ってもらいたい。
  35. 阪田泰二

    説明員阪田泰二君) 先ほど来申し上げましたように、私どもといたしましては、オリンピック関係に寄付をいたしますために特別のたばこを作りまして、それに寄付金をつけて売る、こういうことをやることが、私どもとしての与えられた性格の範囲内におきまして協力をしたことになると考えておるわけでございます。
  36. 河野謙三

    河野謙三君 まあそうおっしゃる以外にないと思うがね。ところが、たばこはホープやピースや何か売るのと同じような手続で、同じような手数料の計算でやっているんじゃないですか。それがためにあなたのほうの職員が特別夜業をしてやらなければいかぬとか、特別従来の仕事以上に仕事の分担をよけいやらなければいかぬとか、そういう面もあるわけじゃない。それではあなたのほうじゃ——要するに私はこの間も監理官に言った、高崎でも前橋でもどこでもいいですが、十トン車のトラックが走っておる、あなたトラックが高崎へ行くなら、私は高崎へ届けたいものがあるから、ちょっと運転台にこのくらいの小荷物を載せてもらいたいという場合に、運賃を計算しますか、人間の社会というものはそんなものじゃありませんよ。それをあなたのほうの今度の方式は、運転台にちょっと載せる小荷物の場合行き先が変わるわけじゃない、それにちゃんとやっぱり運賃を計算してとっているのと同じことじゃありませんか。それで協力と言えますか。田中さんがおっしゃるのは私とちょっと角度が違うので、これを五十円で売ってあなたのほうの二十六円何がしの中から出したらいいだろう、こういうお説のようでありますが、それも一つの方法ですが、たばこ屋さんが十円寄付金をとって、それを別の経理で事務をとらなければいかぬ、その手数料を資金財団からとる、こうおっしゃるんでしょう。たばこ屋さんにはそんな負担かけてはかわいそうですよ。それの手数料をたばこ屋さんじゃなくて専売公社が支出する場合に法律が要りますか。専売公社の事務費は一体何だ、私は法律なんて要らないと思う。金額の多寡じゃない、数字からいきまして、一般の事務費の中で十分処理できる問題だと思う。それをオリンピアスの特別の十円の集金、送金その他の帳簿整理、これに要する事務費を専売公社の一般の事務費の中から負担する場合法律の改正が要りますか。一体事務費とは何か、こういうことです。私はそのほうは暗いけれども、要るなら要るで法律を改正しなければならぬと思うが、私は要らないと思いますが、法律の改正が要るんですか。
  37. 片桐良雄

    政府委員片桐良雄君) ただいま河野委員の御質問になりました法律の云云の問題だけについて申し上げますと、私どもずっとこの問題が起きてから法制局その他と協議いたしておりますが、法制局、大蔵省主計局いずれもやはり法律の根拠が要る。これは専売公社法に基づく公社の業務のための経費とはみられないものでございますので、これを支出するとなると、やはり法律の根拠が要るというふうに意見が大体一致しております。
  38. 河野謙三

    河野謙三君 まあいろいろ研究された結果、この販売方法を五十円と十円に分けてあなた方がたばこ屋さんに売る場合には五十円で売ってそれは即金でしょう、現金と引きかえですね。それであとの十円を切り離して消費者からたばこ屋さんがとって、それを別経理する。ところが、それを初めから内容は五十円と十円でいいですが、初めから六十円ということで処理できないんですか、形式上は。私はそれは専門家じゃありませんから、私は委員長にお願いしますが、この次に法制局を呼んでいただきたい。われわれの意図しているところを言って、よく説明して、それに対して法律上どういう解釈が生まれるか私は聞きたいんですが、かりに、一つの私は別の提案をしますが、五十円と十円を分けておくのはいいけれども、事務整理上、たばこ屋さんと初めから六十円とオリンピアスを取りかえちゃってやれば、そうすると集金事務は要りませんね。帳簿の整理も要りませんね。そういうことは別に事務の処理上、便宜上できないですか。どうしても不可能ですか。
  39. 片桐良雄

    政府委員片桐良雄君) もちろん不可能という問題ではございません。ただその場合には、その寄付金の十円をたばこ小売店が立てかえ払いするということになります。したがいまして……。
  40. 河野謙三

    河野謙三君 それは今までのホープでもピースでも、一時的には立てかえ払いですよ。そうでしょう。あなたのほうで現品と引きかえでしょう、金は。そうでしょう。同じことでしょう。それを今度は十円だけ、これは取れない金じょないんですから……。五十円で売る場合と六十円で売る場合とあるというのじゃないんだから……。これは定価は五十円でも、実質的には六十円でなくちゃ売れないから、あなたのほうで代払いをする、売って初めて金を取る。その間に十日あるか、十五日あるか二十日あるか、その金の金利という問題は起こってきますよ。だけれども、立てかえ払いは一般のたばこと同じじゃないですか。十円だけ特に立てかえ払いということはおかしいじゃないですか。
  41. 片桐良雄

    政府委員片桐良雄君) この場合には、たばこ店が取ります手数料といいますか、たばこ販売のためのたばこ店に行きます手数料と俗に言っておりますが、これは五十円の定価に対して何%とかかるわけでございます。六十円でたばこ店が買いましても、その十円分全部についてのたばこの普通の販売手数料をもらうわけじゃございませんので、小売店としましては、十円分については、やはり今先生がおっしゃいましたように、金利の負担問題とかいうことが起きてくるわけでございまして、公社としてはちょっと小売店にそういう意味の犠牲をしているということはできにくいと、こう思います。
  42. 河野謙三

    河野謙三君 たばこ屋さんから六十円を取ると、六十円にかける八%ですか、何か手数料の基準はそれでやらなければならぬと、そうすると五十円の場合は四円ですけれども、六十円の場合には四円何がしになると、そうしなければたばこ屋さんに相済まぬと、そういうことをおっしゃるんですか。
  43. 片桐良雄

    政府委員片桐良雄君) さようでございます。たばこ屋さんは六十円現金引きかえに現品をもらいまして、彼らの歩合になるのは五十円分についてだけということになりますと、販売意欲が落ちますし、全部公社たばこ販売方法というのは、小売店がこういうたばこをほしいと言ってきて、その必要なたばこを渡しておりますので、小売店がそのたばこはほしくないということをいわれますと、そのたばこは売れませんので、販売政策上からもどうも好ましくないと考えております。
  44. 河野謙三

    河野謙三君 私は百歩譲りまして、手数料をいかに安くするかということで、今私が言うように、六十円取っちゃって、別計算で、帳簿整理も送金も要りませんね。手数料が一番大きいのですから、あと残る問題は、あなたが言うように、五十円の手数料か、六十円の手数料かという問題が残るわけだな。一般の手数料として五十円のものを六十円にした場合に、五十円じゃ四円だと、六十円じゃ幾らになるんですか。
  45. 片桐良雄

    政府委員片桐良雄君) 四円八十銭というふうになります。
  46. 河野謙三

    河野謙三君 そこで、今度はたばこ屋さんの側でも、たばこ屋さんがこのオリンピックに一切協力することはいやだと私は言っていないと思うんだ、専売公社につながるたばこ屋さんが……。専売公社に私は協力すべきだと言っているが、たばこ屋さんだってあなたのほうで言われなくたって協力はしますよ。何でそんなにたばこ屋さんに、はれものにさわるようにされるんですか。圧力団体だからおそろしいと言うのなら、それはわれわれが言うことで、あなた方の言うことじゃないよ。われわれに、たばこ屋さんおそるべしという議論があるかもしれないけれども、あなた方が、専売公社がそんな議論をすべきじゃない。筋の通ったことならたばこ屋さんに協力を求めたらいいじゃないですか。話がだんだん詰まってきたからわかった。要するに、たばこ屋さんのごきげんをとって、たばこ屋さんの一切痛くもかゆくもないようにしてやらなければ相済まぬということがこういう形になって出てきた、こういうことでしょうね。そうでしょう。私はもうこれ以上議論しませんが、あとはいずれ法制局に来てもらいまして議論しますが、いずれにしても、今度の法律というのは、専売公社から始まって、たばこの小売屋さんに至るまで、協力なんていう字はおこがましくて使うわけにいきませんよ。何にも協力なんかしてやしないじゃないですか。だから、私はせめて国民オリンピックの財団に寄付するという十円に手をつけずにやったらいいじやないか、それに対して、たばこ屋さんじゃなくて、大もとの専売公社のほうで、何か——私は結論をあんまり言っちゃいかぬけれども、これを何とか経費を持ってやろうと思えば、どんな方法でも持てると思う。テレビやラジオにあんなはでな宣伝をする宣伝費用まで持っているのだから。役所のことだから、金はあるけれども、ただその一つの費目に当てはまらなければこの金は出せないということであるでしょうけれども、専売公社だって、営業費の中にいろいろな引き出しがあるはずだ、いろいろな科目が。そのどこかの引き出しの中から出してやろうと思えば出せると思う。それを出せないように、出せないように、窮屈にやるから私は出せないことになると思う。それはいずれにいたしましても、この次に委員長にお願いしますが、法制局をひとつ呼んでいただいて、この問題について法制局の見解を伺いたいと思いますから、これだけ要求しておきます。
  47. 靱勉

    参考人(靱勉君) 私、財団の立場からちょっと皆様に発言さしていただきますが、今回のこの問題につきましては、大蔵省専売公社、国会にかけまして、各委員の皆さんが御配慮いただいてまことに恐縮に存じております。ただ、専売公社の御協力のことにつきましては、三十六年度に実施しましたときは、前の法律によって御協力をいただきました。三十七年度は、とにかく一応新しい方法を検討しようということでございましたので、その間、全然法律に基づくところの措置は実施はいたしませんのでございましたが、御案内のようにこれは国会の皆様方にも御協賛をいただいておりますが、十円募金の際には、三十七年度は全然何にもやらぬから、それじゃ十円募金の点について協力してやろうということで、小売商の方々から御協賛をいただきましたが、その際に専売公社からも非常なお力添えをいただいたような次第でございます.それで、今回ようやく私ども前から熱望いたしておりました、とにかくたばこの寄付金にして発売していただくという法案が国会に御提案になったわけでごいます。経費の問題につきまして、私ども皆さん方に反対申し上げる意思も何もございません。また、意見を申し上げる必要ないのでざいますが、公の機関としまして、郵政省、電電、その他の三公社の御協賛をいただいた場合に、その企業体に特別の経費の支出はなるべくこれは避けまして、ともかくその目的によって広告なら広告を出そうというほうの御協賛をいただく、たばこにつきましては、たばこをお好きな方に御協賛をいただく、こういう形で郵政省及び三公社というものにお願いしているような次第でございます。在来三公社にも政府機関ないし準政府機関として、一般の民間の個人の団体、会社等の御協賛をいただくとともに、先般御提出しましたような全体の資金調達見込額に、各方面からの御協賛をいただきまして、ともかくできるだけ早い機会に、もう大会開催のために、選手強化の経費というものの資金はもう十分だというところに到達いたしたいと念願いたしておるような次第でございます。どうぞよろしく。
  48. 河野謙三

    河野謙三君 靱さんからそういうことをおっしゃられると、私はこういうことを言わなければならぬ。あなたにして専売公社に協力を求めているとおっしゃるが、一方において民間に対して協力を求めておるでしょう。それと同じ態度政府機関にも協力を求めなければいけませんよ。あなたが協力を求めたときに、こういうこまかいことを言って、取るだけのものは取って、経費を全部取って、残りだけ出しますという、そんな協力ありますか。私は民間のほうを代表します。あなたから積極的にこの法案についてどうこうということを言えと言うのではない。ただ、あなたのほうは大きく民間にも依存しているのでしょう。政府機関にも依存する。その場合に、同じ態度でなければいけませんよ。一方はちゃんと協力——私はこの提案理由が気に入らない協力という字は消してもらいたい。何も専売公社は協力しておらないじゃないか。内容何もないじゃないですか。内容がないものを協力しているやにいっても、どこにどうやってみても協力なんてありはせん。民間のほうが実質的に協力しておりますよ。協力の実をあげていますよ。ただこれはひさしを貸しているだけじゃないですか。専売公社というのは、これは国民機関ですよ。国のものですよ。国のものですから、国民のみんなが希望するようにやる。国民は一方において個人々々が協力している。国の機関によって協力することを国民は私は希望すると思う。私はそういう資金財団の靱さんとしてのあれはよくないと思う。民間は異存ありますよ。私自身異存ありますよ。民間のほうでも協力しているのだから、どうぞあなたのほうでも協力の内容について、とやかく言わぬで協力してもらいたい。専売公社は協力しているというが、協力していないじゃないですか。提案理由からこの協力という言葉を消しなさい。
  49. 靱勉

    参考人(靱勉君) 決して先般来の各委員の皆さん方の御発言に対して私は異存を申し上げてただいま申し上げたのではないのでございまして、ただいままで郵政省並びに三公社に御協力をいただいておるのはこういうような点でございましたということを申し上げたのでございます。今御指摘のように、民間のほうでも積極的な御協力と御協賛をいただいておりますことは、おっしゃったとおりでございます。この点については全く私ども別の考えを持っておるわけではないのであります。ただ若干、公の郵政省になりますと、これは国の基金になりますが、そういうようなものにつきまして、私ども当初の出方としましては、何とか全面的に郵政省あるいは三公社が事業官庁といたしまして御協賛をいただけないかというようなお話を申し上げたこともあるのでございます。しかしながら、それは御案内のようにオリンピック大会の経費並びに選手強化の経費も国の補助金が出ておりますので、財団に、ある意味においては税金あるいはそれに準ずるものを入れるのはおかしいじゃないか、やはり一般民間の方々からの資金をできるだけ財団に集めて、そういうような形で、いやしくも公の金となれば、これはやはり補助金というような形でやるべきだというような御意見も当時拝聴いたしたような次第でございます。一昨年できました法律の趣旨はそういうようなことで、一応便宜を与えるというような表現で郵政省及び三公社の御協力をいただくようになっておると、そういうことを先ほど申し上げたような次第でございます。
  50. 河野謙三

    河野謙三君 くどいですけれども、あなたから専売公社に私の言うようなことを言えとは言いませんけれども、あなたはお聞きのように、これには専売公社の協力という字が書いてあるけども、協力の内容は何もないじゃないですか。一般の会社でも個人でも、今までもそうだが、これからも来年のオリンピック大会までにいろいろな形で協力しなければいかぬ、みんな自分の生活資金の中から出すのですよ、よけいな金があるから出すのじゃないですよ。たばこを買うにしても何をするにて、一方的に自分一つの土俵をきめて、そうして自分たちの従来の仕事のしきたりそのままでやって、一歩も手をつけないで、これからはみ出した分だけを金を出そう、これは協力じゃないじゃないですか、それを私は言っている。あなたは方々資金財団の寄付金集めで御苦労なさっておるでしょう、どういう形でみんな出していますか、よけいな金、余った金、うっちゃらかす金を出しているのじゃないのですよ。あまりに双方比べると、アンバランスになり過ぎているから私は言うのです。もうこれ以上言いません。この次に法制局に私は伺います。
  51. 田中一

    田中一君 政務次官来たから聞いておきますがね、これはまあ今度の資金関係は、すべて一つ一つの募金の形式大蔵省がタッチしているのですか、相談にあずかって、よしこれはいいだろう、これはやめたらどうだ、こういうことを言っているのですか。
  52. 池田清志

    政府委員(池田清志君) 今のお尋ねにお答えを申し上げまする前に、特に委員長から先ほど来御発言も許されておりますので、ただいままでのお尋ね等と重複をいたし、あるいはまた政府委員からのお答えにも重複をするかも存じませんが、しばらくお許しをいただきたいと思います。  この前の委員会におきまして、皆さん方の御意見といたしまして、端的に申しますと、専売公社が持ち出したらどうだというお話、一、二の事例といたしましては、十円の募金についての募集費用を専売公社で出したらどうかという御意見、あるいは五十円プラス十円の六十円では、買う方々の不便もあるから、四十円プラス十円の五十円に格下げをしたらどうかというような具体的なお示しもございました。そういうお尋ねに対しまして、私は専売制度を維持いたしつつ、資金財団の募金につきまして協同をさしていただきまするのがこの法案であり、政府といたしましては、これが最善なものでありますと、こう申し上げておったのでありますが、皆様方からもさらによく検討せよ、研究せよと、こういう強い御下命もありましたので、その後、政府の間におきましてもいろいろと各方面から検討をいたし、相談もいたして参ったのです。ところが、やっぱり結論的に申し上げますと、貴重な御意見ではありまするけれども、専売制度を維持して参りまする建前上、その御意見に聴従することができないという考え方になっておるわけです。  そこで、くどいようですが、少しく申し上げさしていただきますと、専売公社の仕組みと申しましょうか、本質と申しましょうか、それはすでに法律にもありまするように、「国の専売事業の健全にして能率的な実施」をすることと、こうありまして、しかもまた法律には、専売納付金を国庫に納付せよと、こういう法律上の義務を負うておるわけです。したがいまして専売公社は、ほかの公社あるいは現業と違いまして、事業をするばかりが使命ではないのでありまして、事業をいたしまして、利益を得まして専売納付金といたしまして一般歳入の中にこれを納めるという至高の命令を受けておるわけです。ほかの公社、現業におきましては、そうでないのでありまして、事業すること自体がその存立の使命であるように私は考えます。その点におきまして、専売公社自体が特別の使命であるということを、私どもは強く考えておるわけです。そこで一般歳入会計におきましては、歳入の私は四本の柱の一つであると考えております。一般歳入は、御承知のように、租税でありますとか、専売益金でありますとか、そういうものを集めておるのでありますが、所得税、法人税、酒税及びたばこの専売——たばこと言っちゃ語弊があります。——専売納付金というものが一つの柱になっておるわけです。三十八年度の御審議をいただいておりまする予算におきましても、御承知のように、一千五百七十二億円というものを一般歳入に納付するわけであります。その数字は、昨年度からいたしますと、十七億円減っております。そういうようなこともありまして、専売公社といたしましては、この責任の重大性を考えまして、いよいよ努力をしなければならないと、こう言うふうに言っておるわけであります。ところでオリンピアスにつきましては、たばこ自体は五十円の値打ちのあるたばこでございます。専売公社の本来の事業といたしましては、五十円のたばこを作って販売するというのが使命であります。そのたばこに、資金財団のお話、協同と申しましょうか、によりまして十円の寄付金をくっつけて売り出す、こういうことであるわけです。したがいまして、五十円のたばこ自体につきましては、専売公社は本来の使命にしたがいまして純益を得さしていただいておるわけです。十円の寄付金につきましては、資金財団が募金するのでありまするから、これらに要しまする費用は、おのずから資金財団みずからにおいて御負担をいただく、こういう話し合いで進んでおるわけです。この点は靱さんからもいろいろと御説明をいただいておるわけです。  ところでオリンピアスというたばこの内容でありますが、これはいいたばこでありまして、五十円の値打ちのあるたばこだと、こう申しましたが、これにおきまして車売公社といたしましては六四・五%の純益を得ることになっております。この計算がもとになりまして、先ほど申しましたところの専売納付金が組み立てられておるわけです。ところで六四・五%の純益率は高いのじゃないかと、お示しがあるかもしれません。御承知のように、たばこにつきましては上厚下薄というような格好で、よいたばこにつきましては純益を得ることが多いし、悪いたばこにつきましてはなるべく純益を得ないようにというのが専売公社たばこの価格体系であります。でありまするから六四・五%の純益率を動かすということもなかなかできない相談であるわけでございます。さらにまた寄付金につきまして、持ち出しをしたらということでございますが、これは先ほど来申し上げておりまする専売公社そのものの使命に反することでありまするし、靱さんからもお話がございますように、ほかの公社、現業等が、募金について協力しておりますが、それはしかし公社、現業におきまして取るだけのものは取って、そこで寄付金といたしまして協力はしておるわけです。この点は、専売公社のオリンピアスそのものの問題に移して考えますと、専売公社が五十円のたばこについて六四・五%の純益を得て、そして十円については資金財団のほうにおきまする経費負担によって募金が行なわれる、こういうことに割り出されて参っておるわけでございます。さらにまた、小売価格を四十円のたばこにしたらどうか、こういう御意見につきましても研究をいたしたのでありますが、四十円のたばこに下げますというと、一億八千四百万円という赤字になります。その赤字は、ひいては先ほど申しましたような専売納付金の千五百七十二億円に影響してくるわけでございます。あれやこれや考えて参りますというと、専売公社自体の本質、使命というものからいたしまして、専売公社が何がしか持ち出すということになりますと、それは一般予算の中に影響してくるし、政府各関係の予算影響を来たすわけでございます。したがいまして、われわれ政府のものといたしましては、先ほど来も申し上げましたとおり、こういうふうにお願いするのが最善であるという、こういう考えのもとに御審議をいただいておるところでございます。御参考までに申し上げますとオリンピック国民の祭典でございますから、国民みんなが協力するわけです。政府自体と言っては語弊がありますが、国民の方々に政府を通じてこのオリンピックに御協力をいただいております。たとえて申しますというと、オリンピック施設の問題とか道路の問題とか環境施設の改善の問題等、いろいろ国民から、政府を通じまして、国を通じまして協力をしていただいておりますが、それはつまり三十八年度におきましては六百四億、こういうような歳出にも、今審議をいただいておりまする予算の中でなっておるわけです。さらにまた、資金財団の親もとでありまする日本体育協会、この協会に対しましては、一般財源の中から二億五百万という寄付も——寄付といっては語弊がありますが、補助金を出すことになっております。こういうふうにいたしまして、このオリンピアスを通じまして、専売公社というのも、その五十円のたばこにくっつけて資金財団が募金をしていただくということについて御協同申し上げておるのでありまして、専売公社自体が何がしか持ち出しということになりますと、これはもう一般の予算とか政府機関予算等に影響をして参ります。歳入欠陥を生ずることになります。したがいまして、問題は金高の問題ではないのであります。本質、使命の問題であります。政府といたしましては、歳入欠陥を生ずるようなことを予測するようなことにつきましては、何といたしましても聴従することができない次第でございます。  お耳ざわりになったかと思いますが前の委員会におきまする宿題にお答えする意味合いにおきまして、ここに申し上げさしていただいた次第です。
  53. 田中一

    田中一君 これはなんですか、政務次官として、大蔵省の省議をもって今の説明というか意思表示があったのですか。
  54. 池田清志

    政府委員(池田清志君) 意思表示と申しましょうか、政府委員といたしましてお答えをいたしておるのでありますが、前の委員会におきましてもお答えしましたように、この法案を御審議いただくにつきましては、いわゆる資金財団あるいは専売公社というところでよく御相談いただきまして、結局大蔵省におきましてもそれを研究し、なおかつ閣議決定の後にここに御審議をいただいておるわけでございます。
  55. 田中一

    田中一君 そうすると、今耳ざわりな点は、われわれの意見というものは聞くことができない、こういうことに結論づけておるのですね。したがって、そこに結論づけるまでの内容については議事録を、あなたの発言をよく調べて再質問しますが、少なくとも私は今のような発言は、当参議院の委員会におきましても、中間にあってそういう発言があったことは異例です。異例なんです。決定するのはあなた方の意思でもって決定するのじゃない、われわれが十分に討議をして決定いたします。したがって途中においてそういう発言というものはかつてございません。したがってあなたの発言議事録をよく調べて大蔵省に対して質問をいたします。
  56. 河野謙三

    河野謙三君 非常に御親切に御答弁いただいたのですが、途中から委員会においでになったから、本日の委員会の審議の経過も御存じなかったと思いますが、われわれは専売制度そのものに大きな支障を来たすようなことをしてはいかぬというようなことは、当然承知の上で言っているのです。そんなことを言っているのじゃないのです。また、予算影響のあるようなことをやっていいか悪いかくらいのことは、国会議員として知っております。そんなこと言っているのじゃないのです。同時に、われわれは専売公社に寄付行為をしろとは言っていないのです。ただ、この次に法制局を呼んでもらって、もう少し詰めてみようと思っていますことは、たばこ屋さんの手数料というものを、それを専売公社の経費の中で合理的に出す方法がわれわれはあるのじゃないかと思っておるのです。あなたのほうでは、それはないとおっしゃる。たとえば専売公社は非常に大きな経費を持っていますよ。営業費と申しますか販売経費と申しますか、テレビの宣伝までやっていますよ。今度のオリンピアスを売るにつきましても、相当の宣伝は一般のたばこと同じようにしなければいかぬでしょう。そういうふうな一つの例ですが、そういう経費の中に包含してやるような方法も一つの例ですが、そのほかにもいろいろあるでしょう。あるんじゃないか。なければないで別です。あるんじゃないかということがわれわれの考え方なんです。もしあるのならばそういう形において……。一般ではオリンピックに自主的に自分の財布から、生活資金の中から民間は協力しておるのであるから、専売公社もそれが許されるなら、そういうことで、専売公社全体から見ればたいした金じゃないので協力の実をあげたらいいじゃないか、こういうことを言っておるので、われわれは、くどく申しますけれども、政務次官が御心配のように専売公の制度にまで入り込んで云々するようなことを言っているじゃない。寄付をしろと言っているのでもないのです。十分そういう御心配は承知の上で、その範囲外においていろいろな方法を見出すべくいろいろ質疑をしておる。こういうことでございますから、その点御了願います。
  57. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) ほかにこの問題につきまして御質疑はございませんか。——それではこの問題につきましてはこの程度にいたしまして、前回の委員会におきまして、スポーツ用品等につきまして文部省関係の資料が出ておりますが、この資料につきまして河野委員から御質疑を願います、
  58. 河野謙三

    河野謙三君 ちょうど組織委員会事務総長もおられますが、これは直接御関係はございませんけれども、ひとつぜひ差し繰って聞いていてもらいたいと思う。東京大会を控えて国際的にもいろいろ問題がありますが、まず何も申しましても日本準備態勢の中において、日本スポーツ団体を浄化しておかなければいかぬと思うのです。スポーツ団体にとかくの批判のあるようなことが残っていてはいかぬと思う。そこで、その一つといして、私はこの前に文部省にここに出ていますような資料を要求したのですが、各競技団体がスポーツをやる以上は、そのスポーツ用具というものがあります。陸上におきましても水上におきましても、あらゆるスポーツ団体にこれはスポーツ用具がある。その中で、私がたまたまいやなことを聞いておるのは、バレーボールの協会におきましては、協会で雑誌を発行しておる。そのバレーボールの協会ではこのバレーボールの雑誌に広告を掲載しなければ、言葉をかえれば、何万か知らぬけれども相当の寄付をしなければ、その運動具屋さんのボールは、登録はなかなかむずかしいということが一般に流布されております。特に大阪方面では非常にその非難が多いと聞いております。これは一つの例ですが、各競技団体において、ここにありますように、競技団体がそれぞれ検定料を取っておる。これは検定はどういう形でやっておりますか。これだけのボールについての検定料を取る以上は、検定と名がつく以上は、だれにも侵されないところの厳正中立な検定機関というものがなくちゃいかぬはずです。ただ判こを押してやれば、それで証書を送ってやれば、自動的に金が協会に入ってくる、こういう不見識なものじゃいかぬと思うのです。そういうことを継続することによって非常にこの社会に堕落が起こります。外国でもみんなやっておりますが、私が知っておる範囲では、そういう不見識な検定はやっていないはずです。どういうふうにやっておられるか、具体的にひとつお示しいただきたい。
  59. 前田充明

    政府委員(前田充明君) 前回、河野先生から御要望がございまして、そしてこの表を作ったのでございます。ただ、前回にも申し上げましたのですが、時間がもしございませんと、またその次に間に合うようにやりますと申し上げたのでございますが、きのう、やっと一応でき上がったような始末でございまして、はなはだ完備したものではないかもしれませんが、御提出申し上げた次第でございます。検定方法につきましては、私のほうといたしましては、このスポーツ団体加盟団体としている日本の中央団体、スポーツ団体と申しますか、体育協会を通して調べたのでございます。検定方法はここに書いてございますように、大体用具委員会というものがございまして、用具委員会が検定をいたしておる。そうして現実の問題はボール等でございますので、一つ一つやるということでなく、抜き取り検査というような方法でやっておるように伺いました。
  60. 河野謙三

    河野謙三君 体育協会の方も来られておるようでありますが、体育協会は各競技団体の監督機関といいますか、指導機関と申しますか、総括機関みたいなものですが、体育協会はこれに対して何か指示をしておることがあるのですか。たとえば検定料金については一定の基準をきめるとか、また検定をする場合にはどういう事務手続が要るとか、そういうものの指導はしておられますか。
  61. 山辺貞雄

    参考人(山辺貞雄君) 体協幹部がきょう出席いたしておりませんので、次長でございますが、今の御質問に対してお答えいたします。  用具の問題につきましては、体育協会自体は、今までのところ関係いたしておりません。これは各競技団体が長い歴史の間に、いろいろの資金調達その他の面から、当初は先生も御承知のようにアマチュア競技団体というものが非常に経済力の乏しい弱体団体でございますから、当初は役員が持ち寄ったり、あるいは特に御理解のある関係方面から御寄付をいただいて事業を運営してきた歴史がございます。しかしながら、競技団体の事業も逐次増大いたしまして、そういう形ではいけないということで、特に用具に関係のある団体については、その用具の品質の向上あるいは競技技術の向上という面から見ましても、どんな用具でもいいというわけではございませんので、いい用具を指定をして、その用具を使って競技技術の向上に努めようというような経過で、用具については検定制度を設けて、そうして検定料を徴収して競技団体が計画する事業費に充当しようというような歴史からそういうことになったのだろうと思いますが、体育協会としましては、この点について直接今お話がございましたように、検定の方法あるいは検定料が適切であるかどうかということについては、今までのところ、正直に申し上げまして全然関与いたしておりません。それらはすべて各競技団体が自主的に今までやってきたというのが経過でございます。
  62. 河野謙三

    河野謙三君 私は、検定をやって検定料を取っていかぬというようなことを言っておるのじゃないのです。それは、一つの財源としてこの制度を置き、そうして検定することによってスポーツ用具そのものの質を向上させ、ひいては競技の向上をはかる。それは、非常に大きなたくさんの目的を持ってやられることはいいんですが、検定をやる以上は、検定者のほうに責任というものがなければいかぬですよ。その責任を果たしていないじゃないですか。私は水くさいことを言わない。実はみんな知っているんだ。美津濃なら美津濃から、これだけボールを納めるんだが、証書を送ってくれということで、一ぺんに五千枚、七千枚証書を送ってやって、それで金と引きかえる、それだけのことなんだ。それも秩序が乱れてこないうちはいいが、これだけスポーツが盛んになって秩序がだんだん乱れてきますと、これではいかぬと思う。特に来年の東京大会を控えて、きちっとしておかなければいかぬと思う。特に私は体育協会がこういう問題についてノー・タッチであった——今後もまたノー・タッチでいくつもりですか。こういう、自分加盟団体、わがひざに抱いておる子供がお行儀の悪いことをした場合に、ほうっておきますか。どうなんです、これ。そろそろここらで検定らしい検定をして、そうして秩序を立てたらいいんじゃないですか。調べてごらんなさい、バレーボールの問題でも、私が言うように、バレーボールの協会で雑誌の広告とスポーツ用具の検定をからましている事実が、なければいいけれども、あったら、体育協会はおれは知らぬと、こういうことで通りますか。その他の競技団体みんな調べて下さい。もうそろそろスポーツ用具に一定の基準を設けて、検定料は何パーセントであるとか、検定の事務はどういうふうにしてやるべきかということをきめるべき時期です。むしろ僕は進んで体育協会の中に各競技団体を代表して権威ある人を選んで、検定部というのを設けて、体育協会で私はこれを統一してやるべきだという積極的な意見さえ持っている。与謝野さん、これは組織委員会の問題じゃございませんけれども、スポーツ用具スポーツ団体の関係については非常に乱れている。これをひとつ念頭に置いて組織委員会の話題にして下さい。同時に、体育協会会長組織委員をしておられるから、このままじゃいけません。東京大会を控えて、そのうちに必ずどこかに出る。極端に言うと、汚職になるかもしれません、どうですその点。
  63. 山辺貞雄

    参考人(山辺貞雄君) お答えいたします。正直に申し上げまして、用具の関係については、先般、検定をしておる競技団体の代表にお集まり願いまして、つぶさに事情を聞いたのであります。中には、先生からお話もございましたが、適確にやっておる団体もあると思います。しかしながら、全部が必ずしもそうじゃない。河野先生御指摘の面も多々あると思います。今までのところは、先生いろいろ御心配を願っておりますが、私ども、各競技団体の責任者から聞いた範囲におきましては、そういう乱れたことはないと確信いたしますが、しかし、今後のこともございますので、やはりこの時期に将来のことも考えて、用具の検定については、各競技団体とも権威のある用具委員会制度を設けて、そうして適切な検定を実施していくということが必要であろうと思いますので、早急に関係者ともよく御相談いたしまして、御趣旨のあるところを十分反映するようなふうに努力をいたしたいと思います。それからバレーボールのことについて、この前文部省を通じてお話がございましたので、責任者からそのことも聴取いたしたのでございますが、バレーボールの用具の検定といいますか、指定したメーカーは非常にたくさんございまして、なるほど一部については毎月広告を出しておる業者もございます。それから一部についてはあるいは隔月あるいは三カ月に一回というような程度で広告を出しておる業者もございますが、半数程度は全然広告は出しておりません。広告を出さないと指定業者として指定をしないような事実はないと思います。  なお、文部省のほうにもバレーの責任者が伺ったと聞いておりますので、そのことは文部省のほうにも通じてあると思いますが、いろいろ御指摘の問題もございますので、今後はどういう形になりますが、よく御趣旨のあるところを幹部に御報告申し上げまして善処いたしたいと思います。
  64. 河野謙三

    河野謙三君 さっそく検討して具体化して答えていただくということでございますから、私はこの次になりますが、その次になりますか、そちらからの具体案を示されるまでお待ちします。ただバレーの場合は、私はもっと露骨に言いますと、有名な貝塚というチームがあるでしょう、あそこの監督をしておられる——ちょっと名前は忘れましたが、その方の意見を聞いてごらんなさい。大事な東京大会を控えて今私は隠忍しておるけれども、実に困ったものだと嘆いておられますよ。これまで具体的に申し上げれば、今あなたが広告を出しておる業者もあればあるいは出さない業者もあるということをいろいろ言われましたが、そんなこまかいことまで一々聞くよりは、こういうバレー協会の中におきまして権威ある、信頼を受けておる人が非常に嘆いておられますよ。そういうことが方々に出てくるといかぬから、ころばぬ先のつえで御注意申し上げます。もう少し積極的に体育協会もこの点について指導することを要望して、あとは具体案があなたのほうから示されるまでお待ちいたします。同時に文部省も、私から資料の要求があるから体育協会に資料を整えさしておくというだけじゃいけません。文部省だってもう少しスポーツ界の秩序というものについて積極的でなければ、これは東京大会準備に大きな支障を与えることですよ。私そう思う。ぜひ体育局長にお願いしておきます。
  65. 前田充明

    政府委員(前田充明君) たいへんいい御注意を受けまして、私どもただいわゆる文部省としての権限としてやる問題ではないと思うのでございまして、むしろ指導的な立場お話し合いをして、だんだんスポーツ界が浄化してりっぱなものになることは望んでおりますので、御趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。
  66. 加賀山之雄

    委員長加賀山之雄君) ほかに御質疑のおありの方はございませんか。——別に御発言もないようですから、本件についての質疑は、本日はこの程度にいたします。  なお、先ほどの田中委員河野委員の大臣並びに法制局長に対する出席要求の取り扱いにつきまして、理事会におきまして協議をして取りきめたいと存じます。  次回の委員会は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時七分散会