○辻原
分科員 総体的に
お話が出たのでありますが、私が抽象的に申し上げました
一つの
問題点は、やはり
賃金の
決定にあると思うのです。私が、保険の観念を少し破って足を踏み出せというのは、その主たる解決がやはり
賃金の設定にあると思います。というのは、たとえば同じような土建の仕事に従事する、同じような山間における林道の事業に従事する、同じ仕事をする、同じけがをする。ところが、片やの保障せられておる
賃金は日額にしてかりに三千円とする、片やは六百円とする、補償額が出てくる、もっと極端な場合があると思うのです。その人間の働き、能力のいかんにかかわらず、これは私
企業一般の原則であると言えばそれですけれ
ども、主として肉体
労働を
中心としてやっている
労働の中に、その経営状態のいかんによって補償額が大きく違うということは、これは保険の観念で言えば当然だと思いますし、私
企業のあり方から言えばあたりまえじゃないか、通例そうじゃないかとおっしゃるかもしれないけれ
ども、しかし、あくまでも
労働災害に対する補償なんだ、その補償という観念は、
賃金を含めての、その個人に対する補償よりはむしろ私は
労働再生産ということに対する問題と同時に、その人間が背負わされておるところの家族に対する補償、広義においてはそれがひっくるまってくると思います。そういう場合に、若干の前進はあったと思います。あったと思うけれ
ども、今なおやはりそういう点から、
現実には非常に不合理なことが間々起きている。だからそれらを改める必要があると思うのです。一方において、またそれの弊害が伴うととも私はよく
承知しております。しておるが、基本をそういう形に置いてせっかく検討を加えられようとしておる
段階でありますから、問題の
中心はどこにあるかということを、研究会等におかれても十分検討せられてやっていただきたいと思います。少なくとも同一
業種、また同一
労働内容を持っておる事業等については、全部が同じでなければいかぬという議論は少し極端だと思うので、ある一定の
標準がなければいかぬと私は思う。すなわちその
標準とは、
労働基準法もそうでありますが、
最低の
一つの補償
基準というものをやはり設定する必要があるのじゃなかろうか。そうでなければ、今日のような非常に
生活水準も上がるし、また一般の消費物価も上がるといったようなおりに、
賃金それ自体も問題であるが、さらにそれが補償にまで影響するということは、これは国の施策としては少し酷ではないか、私はこういうふうに思うわけなんです。たとえば、私がいろいろタッチしてやっている山林
労働等の
関係の
賃金協定を見ても、現状から見て、はたしてこれが妥当な
賃金協定と言えるか、そういう問題がたくさんあります。私の県における山林
労働の
賃金協定、これは県全体ではやっておりませんで、
地域々々においてやっておりますが、
地域々々においても異なっていますし、それから他県との比較においても異なっておる。ある
賃金協定では現在の水準において四百円を出ない、そういうような
賃金協定もある。ところが
現実はどうかといいますと、最近の山林
労働等の雇用
関係からいいますれば、かなり
賃金は
上昇しております。少なくとも千円から千五、六百円ないしは二千円に近づいておる。ところが一方、
賃金協定は四百円ないし五百円くらいのところで、すったもんだやっておる。それが
基準になっておる。これはもちろん労災のみではありません。失業保険のあれにも
関係してくるだろうと思うのでありますけれ
ども、そういった矛盾というのは、何とか
賃金を確定させようというこの動きはいいのですけれ
ども、それに対する何も尺度がない。さらに問題を飛躍させれば、
最低賃金等のいわゆる
賃金協定にもそういう
傾向が現われてくるからわれわれは反対したのでありますが、
現実にそうなんです。だからそれを救済する道というものは、
労働基準法の精神から、
最低について何がしかを
考える必要があるのじゃないか。その種のことは、労災の問題を論じながら、おのずから最賃の
一つのものの
考え方にもなっていくわけでありますけれ
ども、そういった矛盾を
制度全般の検討の中で解決をつけていく、これが
一つだと思います。もう
一つは、今私がたまたま例をあげた、各地における労災を
中心にした
——賃金協定そのものは、目的は労災ではありませんけれ
ども、
現実には労災にそれを適用されておるわけなんです。だからそれらの点についての現地の
基準局ないしは監督署等の
指導というものは、私の県等においてはかなり積極的にやっておられます、それは
現実に問題がたくさんあるから認識も深まっておると思います。しかし
全国的に、たとえば山林
労働等の
関係においても、私の県のみならず、各府県において相当あると思います。しかし、あまり他県においてそういう行政
指導をやられておるようには聞いていない。奈良県とか近畿の数府県においてはかなり積極的にやっておるようでありますが、この辺のところは行政
指導でかなり改善の道があると思うので、そういった点については、皆さんもお回りになっておるとは思いますけれ
ども、
一つそういう現地を踏まえられる機会を持たれたらどうか。そうして
一つその地方局とともに現地
指導をやってみるというくらいの心がまえが、軌道に乗るまでのある時期、ある期間においては必要だと思うのです。そういった点についていかがなものか、
一つお
考えがあれば部長からもお答え願いたいし、
大臣等にも御認識を持っていただきたいと思うのですが、いかがですか。