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野原(覺)
分科員 なぜ私がこういうことをしつっこく
お尋ねするかと申し上げますと、今日まで自民党
政府がとってきた教科書無償の過去の歴史があるから聞いておるのです。これは
文部大臣御承知でございましょう。
昭和二十六年度に入学する
児童に対する教科用図書の給与に関する
法律、
法律第四十九号、
昭和二十六年三月二十九日公布、これで
小学校一年の国語、算数は国と
地方が半額国庫負担でお祝いとして出すということになったのです。
昭和二十六年はそうだったのです。
法律をわざわざつくってやったのです。ところが今度は
昭和二十七年以降になりますと、新たに入学する
児童に対する教科用図書の給与に関する
法律として第三十二号を公布いたしまして、
昭和二十七年、二十八年の二カ年にわたって
小学校一年の国語、算数は全額国庫負担で今度は差し上げるということにこの
法律をつくってやったのです。ところが今度は
昭和二十九年になったら、これを停止した。三十一年にはこれを廃案にしたのです。こういうりっぱな
法律ができておったものを廃案にしたのです。だから幾ら無償を
原則にするという
法律ができたからといって、国民は安心できませんね。こういう歴史があるのですから……。そうでしょう。二十六年は
法律で無償だ。二十七年、二十八年の二年カにわたって無償で差し上げるという
法律をつくっておきながら、翌二十九年にはストップ、三十一には別の
法律を持ってきて、これは廃案だ。そうして自来十年を経過したのであります。立ち消えになること十年であります。自民党の文教政策に対する国民の
批判はやかましい。超国家主義だ、反動だという
批判が一面であります。環境と
条件を整えるといって池田さんが本
会議で施政演説をしても、辻原委員が
質問したように、高等
学校の急増対策は何という一体環境と
条件の整備の仕方です。だからここら辺で点数をかせがなければならぬと
考えたのでしょう。これは党で
考えたのでしょう。私はそういう受け取り方しかできないのですよ。ほんとうにまじめに自民党の諸君が教科書無償を
考えておったから、二十六年、二十七年のこの
法律を生かしてきた。ところがまた今度はこういう法案を出した。あなたに
お尋ねしたように、国民にあれだけ
選挙のときに総理
大臣が演説をしておきながら、いまだに閣議
決定ができないとは何という醜態ですか。教科書無償については
文部大臣も至るところで演説をしてきたでしょう。ところが閣議
決定もしていないのです。三月三十一日に制度
調査会は解散しなければならぬ。それで答申を十一月末でございましたか期限を切って出させておきながら、いまだに閣議
決定しない。予算だけ通す、こういうようなことは、歴史がございますから、これは単なる
原則だけで、国民に対する宣伝だけで、あすの運命はどうなるかわかったもんじゃない、こう受け取られてもやむを得ないのじゃないかといったら、あなたは先ほどお認めになったのです。お認めにならざるを得ないのです。私の言うことは、これは決して間違いじゃありません。だからして本気で教科書無償のこういう
法律案を国会で審議してもらおうと思うならば、まず閣議
決定していらっしゃい。その閣議
決定の裏打ちがない限り国会は審議しません。こんなものを出して、そして中身は何ですか。私はきょうは提案説明を聞いておりませんからあとで
指摘しますが、この中身は実にひどいものです。読んでみて私はがく然とした。陰険で悪質で、無償措置は社会党も反対しないだろう、国民もついてくるだろう。これはおそらく大多数の国民が双手をあげて、父兄負担が軽減するという立場からもついてきます。私ども社会党は無償措置の法案を出したくらいですから、無償措置には反対いたしません。それならば、純粋にいかなる
児童、
生徒に供与するのかという対象の問題、どういう方法で無償供与を実施するか、措置をやるかという方法の点、代金の支払いはどうするのかという無償措置だけの
法律をなぜつくらないのです。ところが無償措置という羊頭を掲げて狗肉を売っているでしょう。私は時間がないから一々
お尋ねをしないで急ぎます。これはいずれば国会で問題になるから、私どもは逐条にその正体を国民の前に明らかにしていきますが、大へんなことをやっておるのですよ。
文部省の役人が教科書会社に刑事のごとく立ち入る権利を与えておるのですよ。第二十条、無償措置という
法律で、
文部省の役人にそんな警察権を与えるとは一体何事ですか。それからこれは初中
局長もよく聞いてもらいたい。実は採択、発行についての
規定をやっておる。閣議で
決定もしないでおきながら採択、発行の
規定をやっておる。清瀬文相の第二十四国会に教科書法案が出ました。衆議院は大混乱のうちに強行に押し切られました。私は当時文教委員であった。ところが参議院でストップになってこれが廃案になった。議会で廃案になったということは、民主主義、立憲政治の建前からいうならば、国民の意思がそこにないということです。だから少なくとも清瀬文相の出した教科書法案の中にうたっておった検定、採択、発行、この三つについては、あらためて
法律を出して国会の賛成が得られない限り実施すべきではないにかかわらず、歴代の
文部大臣はあの中の検定を抜き出して行政措置でやってしまった。国会のじゅうりんですよ。われわれ野党が少数だから、あなた方は平気でこれをやっておる。立憲政治のもとに許せますか。国会で廃案になってそれがだめだというものを、行政措置でやってきたのです。検定は行政措置でやったけれども、残る採択と発行には手がつかないというので、あのときの三つのうちあとの
二つが残っておるから、国民がついてくるであろう無償措置の中に入れた。この膨大な中身は何ですか。みな採択と発行でございましょう。題名を変えなさい。教科用図書の採択、発行に関する
法律案としなさい。無償措置に関する
法律案としてこういう羊頭を掲げて狗肉を売るようなことをやって、われわれ社会党がだませるとか、国民がだませるとか
考えておったらとんでもないです。私は、一々
質問しておる時間もありませんから、急ぎますから、私の意見だけに終わったわけですけれども、そういうことなんです。
教科書
課長はここにおられますね。きのうの毎日
新聞に
課長談話が載っておる。「採択にあたっては
教育委員会が新しく設ける教科書選定審議会の意見を聞くのだから片寄ったものを選定したり、
文部省の意向に支配されるおそれは全くない」とこう言う。
課長さん、子供だましの談話を出したらいけませんぞ。全くないとは何事ですか。私は
文部大臣にお伺いしたい。あなたが責任者ですから
お尋ねしますよ。あなたはこの教科書
課長談話と同じ見解ですか。同じ見解だというならば、私は
質問があるのです。同じ見解ですか。もう一ぺん
文部大臣聞いて下さい。こう言っておるんです。
課長が、「採択にあたっては
教育委員会が新しく設ける教科書選定審議会の意見を聞くのだから片寄ったものを選定したり、
文部省の意向に支配されるおそれは全くない」と言っておる。お伺いします。